JP2007177354A - 抗菌性繊維製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】染色加工後において抗菌性能の低下を起こさず、優れた抗菌性能を有するとともに風合、吸湿性、吸水性に優れたポリエステル繊維とセルロース繊維との混用品を提供する。
【解決手段】銀、亜鉛、銅、錫、金、白金より選ばれる1種以上の抗菌性金属成分が無機化合物に担持された無機系抗菌剤を含有したポリエステル繊維とセルロース繊維とからなる混用製品を濃度0.01〜3重量%の不揮発性酸で処理することを特徴とする抗菌性繊維製品の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は抗菌性に優れたポリエステル繊維とセルロース繊維との混用品に関するものである。更に詳しくは、優れた抗菌性を発揮するとともに吸湿性、吸水速乾性、染色性、風合に優れたポリエステル繊維とセルロース繊維との混用布帛製品に関するものである。
ポリエステル繊維は、優れた力学特性、化学特性、加工性、イージーケアー性を有することから、衣料用、寝装具用、インテリア用、産業用資材用等に広く使用されている。
近年、これらの繊維用途において、快適性機能の一つとして抗菌性を付与した繊維に対する要望が高まってきている。
一般に、繊維に抗菌性を付与する方法として、芳香族ハロゲン化合物、有機シリコーン系第4アンモニウム塩、有機窒素化合物等を繊維に付着させる方法が採用されているが、これらの化合物は、洗濯などにより脱落しやすいため、洗濯耐久性に問題があった。
そこで繊維に含有させて抗菌性を発揮させ、耐久性に優れたものとして、中でも無機系抗菌剤は特に注目されている。大半の無機系抗菌剤は、抗菌性を発揮させるために銀、銅、亜鉛等の金属イオンを種々の方法で無機化合物に担持させたものであり、銀、銅、亜鉛イオンを担持させたゼオライト粒子を抗菌剤として含有する繊維等のポリマー組成物が特許文献1に開示されている。
ポリエステル繊維においても銀イオンを中心に各種金属イオンを種々の方法で無機化合物に担持させた無機抗菌剤を含有した抗菌性繊維を得る試みが最近精力的に行われている。抗菌剤を胆持無機抗菌剤を含有したポリエステル繊維は、風合、吸湿性、吸水性などの物性を改善するため、特に肌着や寝装用品分野では、綿繊維と混紡したり、交編したりして商品化されている。しかしながら、抗菌性ポリエステル繊維と綿繊維との混用品の染色加工品は抗菌性能が低下するという問題がある。この問題は、綿繊維に含まれるタンパク質、色素等の不純物が原因と思われるが、混用品の染色加工にて抗菌性能が低下する詳細な機構は不明である。
抗菌性ゼオライトを含有する繊維形成性ポリマーよりなる繊維の少なくとも一部の表面が正帯電性の基を有する樹脂により被覆された抗菌性繊維が特許文献2に開示されている。しかしながら、この方法で得られた抗菌性ポリエステル繊維を綿繊維と混用、漂白、染色加工を施された製品の抗菌性能は悪く、性能の改善にはいたっていない。
従って、現状では抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維の混用布帛染色製品において、染色加工により抗菌性能の低下がなく優れた抗菌性能を発揮し、なおかつ、吸湿性、吸水性の優れた染色製品が得られていないのが実状である。
特公昭63−054013号公報 特開平04−119169号公報
本発明は、抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用製品において、染色加工後において抗菌性能の低下を起こさず、優れた抗菌性能を有するとともにセルロース繊維本来の風合、吸湿性、吸水性に優れた混用染色製品を得ることができる抗菌性繊維製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用布帛の染色加工について鋭意研究を行った結果、抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用布帛に不揮発性酸を含有させることにより上記課題を解決することを見出し、更に検討した結果、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)銀、亜鉛、銅、錫、金、白金より選ばれる1種以上の抗菌性金属成分が無機化合物に担持された無機系抗菌剤を含有するポリエステル繊維と、セルロース繊維とからなる混用製品を濃度0.01〜3重量%の不揮発性酸で処理することを特徴とする抗菌性繊維製品の製造方法。
抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用品に不揮発性酸を含有させることにより、優れた抗菌性能を有するとともに綿本来の風合、吸湿性、吸水性に優れた混用染色製品が得られるという効果を奏する。
本発明について、以下に詳細に説明する。
本発明は、抗菌性金属成分が担持された無機系抗菌剤含有ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用染色品において、不揮発性酸を含有していることを特徴とする。
本発明における無機系抗菌剤は、銀、亜鉛、銅、錫、金、白金より選ばれる少なくとも1種以上を担持させた無機化合物であれば特に制限はなく、これらの金属イオンを担持させる無機化合物としては、例えば、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル等の無機系吸着剤、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化アンチモン、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、含水酸化チタン及びハイドロタルサイト等の無機イオン交換体等が挙げられる。
特にゼオライトに金属成分を担持させた抗菌剤は、金属成分の担持性に優れており、抗菌性能の安定性及び耐久性に優れ、ポリエステルに練り込んだ際の変色が少ないという利点を有しているので好ましい。
これらの無機化合物に本発明でいう金属イオンを担持させる方法には特に制限はなく、例えば、物理吸着又は化学吸着により担持させる方法、イオン交換反応により担持させる方法、結合剤により担持させる方法、金属化合物を無機化合物に打ち込むことにより担持させる方法、蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成法により無機化合物の表面に金属化合物の薄層を形成させることにより担持させる方法等が挙げられる。
無機系抗菌剤の平均粒子径は紡糸時の操業性の点で5μm以下が好ましく、更に好ましくは2μm以下である。粒子径が5μmを超えると紡糸フィルター圧力上昇、紡糸時の糸切れ、延伸時の毛羽欠点が増加し好ましくない。
無機系粒子中の金属成分含有量は、0.1〜20重量%が適当である。特に銀は抗菌性能に優れており0.1〜5重量%で十分な効果が得られる。銀の担持量が0.1重量%未満では、得られた繊維の抗菌性が十分でなく、5重量%を超えると得られた繊維の白度が低下する。亜鉛、銅、錫、金、白金等の金属成分の担持量は20重量%以下、好ましくは0.1〜15重量%以下である。銀、亜鉛、銅及び他の金属を併用することはそれぞれの金属成分を担持することによる抗菌性能、分散性、着色、コスト等の長所短所を補完する意味で好ましい方法といえる。
該抗菌性無機粒子のポリエステルへの混合量は0.3〜2.0重量%である。無機系粒子中の金属成分含有量、組成によって添加量の最適範囲は異なるが、添加量が2.0重量%を超えるとパック圧力上昇が急激となり紡糸安定性が低下し好ましくない。
本発明のポリエステル繊維に吸水性を付与し、抗菌性能を安定化させるためには、単糸の扁平度が2.0〜4.0が好ましい。扁平度が4.0を超えると単なる扁平糸に近くなり、毛細管現象による吸水特性が不十分となりかつ抗菌性能が不安定となる。一方、扁平度が2.0未満でも吸水特性が不十分となり、比表面積が丸断面糸と近似するため抗菌性能が不安定となる。
また低濃度の抗菌剤によって抗菌性能を安定化させるためには、本発明のポリエステル繊維の単糸の断面形状はW字状であって、各凹部の開口角度が100〜150度であることが好ましい。
ポリエステルを高度に異型化し吸水性を付与する方法として、単糸断面の形状を、Y型断面、十字型断面、H型断面、星型断面等するものが挙げられるが、高度に異型化することで吸水性が改善され、抗菌性も安定化されるが、布帛の風合が硬いという欠点が顕在化する。このことより単糸断面形状をW字状断面とすることにより吸水性の付与により少量の抗菌剤の含有で優れた抗菌性能を有するとともにソフトな風合を有したポリエステル繊維が得られる。
次に本発明におけるポリエステル繊維の製造法について述べる。
本発明でいうポリエステル繊維とは、構成単位の少なくとも90%以上がエチレンテレフタレートであり、前記のポリエチレングリコール成分以外にも5モル%以下の他の成分を共重合していてもよい。例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、ホウ酸等の鎖分岐剤を小割合重合したものであってもよい。
また、前記共重合成分の他に通常のエステル交換触媒、重合触媒、リン化合物、二酸化チタン等の艶消し剤、着色防止剤、酸化分解防止剤、消泡剤、ケイ光増白剤、顔料などを必要に応じて含有させてもよい。
抗菌性無機系粒子のポリエステルへの練り込み方法としては、ポリエステル重合時に抗菌性無機系粒子をエチレングリコール等に分散して添加し、重合完了後チップ化し、溶融紡糸する方法がある。また、ポリエステルチップに抗菌性無機系粒子を直接練り込んで溶融紡糸する方法、マスターチップ化しポリエステルとポリエステルチップと混合した後、紡糸する方法等がある。重合時に銀成分を含む抗菌性無機系粒子を添加した場合、高温度に長時間保持され、ポリエステル重合に際して使用される触媒や添加剤により銀成分が変色し、ポリマー色調を悪化させることとなる。また、ポリエステルチップに抗菌性無機系粒子を直接練り込んで溶融紡糸する方法では無機系粒子のポリエステルへの分散が不十分であり、紡糸フィルター圧力の上昇や糸切れ等の欠点が顕在化することとなる。
一方、マスターチップによる抗菌性無機系粒子の練り込み方法はマスターチップ化される段階でのポリエステルへの練り込みに加え、紡糸工程で更にポリエステルとの混練が成され、2段階でポリエステルへの無機系粒子の練り込みが行われるため、無機系粒子の微分散が他の方法に比べ優れている。また、練り込み時間が短時間であることからポリエステルの色調変化が少なく、色調が良好で均染な繊維が得られる。従って、ポリエステル繊維の物性、色調、生産性等の安定性面でマスターチップによる練り込み方法が最も好ましい方法といえる。
本発明で使用されるマスターチップ中の抗菌性無機系粒子の濃度は5〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。30重量%を越えると無機系粒子の分散性が不十分であり、5重量%未満では効率が低下するため好ましくない。
本発明の抗菌性ポリエステル繊維は、特に限定はしないが、総繊度が30〜250デシテックスでの繊維が好ましく適用される。また繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
本発明において、混用されるセルロース繊維とは、綿、麻、ビスコースレーヨン、キュプラ繊維等をいう。
本発明の混用品におけるポリエステル繊維とセルロース繊維の混用の割合は、ポリエステル繊維が概ね75重量%以下であることが好ましい。混用の割合は混用品の形態あるいは用途に応じて選択される。その他にスパンデックス、ポリアミド、アクリル、タンパク繊維等が混用されることもあり得る。
本発明のポリエステル繊維とセルロース繊維との混用品の形態は、糸条の形態であることも、布帛の形態であることも可能である。糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。一方、布帛の形態の例としては、一般的な交編があり、例えば交編では、両者を引き揃えて給糸したり、二重編地(例えばダブル丸編機、ダブル横編機、ダブルラッセル経編機)において表面及び又は裏面に各々給糸又は引き揃えて給糸する方法が挙げられる。交編では、一方が経糸に他方を緯糸に用いる、経糸及び又は緯糸において両者を1〜3本交互に整経や緯入れにより配置する、さらには起毛織物やパイル織物において一方が地組織を構成し、他方が起毛部、パイル部を構成したり混用して地組織、起毛部等を構成する、二重織物において表面及び又は裏面を各々構成、又は混用して構成する等が挙げられる。また、これら各種の糸段階での複合と機上での複合を組み合わせてもよい。特に、芯部にポリエステル繊維を、鞘部にセルロース繊維を配置するように複合した鞘芯複合糸や交撚糸は、セルロース繊維の風合を保持しつつ、寸法安定性、ストレッチ性、防シワ性などの機能性をも付与することができ好ましい。
本発明で用いられる不揮発性酸とは、常温(25℃)において実質的に揮発しない酸のことを言い、一般的には、有機酸、無機酸またはリン酸系有機酸よりなるもののうち、好ましくは120℃以上の沸点を有するもので、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルピン酸などの有機酸、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ホウ酸、メタホウ酸などの無機酸などが挙げられる。
ポリエステル繊維やセルロース繊維表面は一般に負に帯電しており、染色加工後の抗菌性ポリエステル繊維表面は、特に大きく負に帯電している。一方、菌体表面も負に帯電していることから抗菌性評価時に菌体が繊維のごく表層に近づきにくいことにより安定した抗菌性が得にくいと推察される。
本発明の不揮発酸で処理することにより、ポリエステル繊維、セルロース繊維の両方とも繊維表面のジーター電位を低下させ、混用布帛の繊維表面のジーター電位が下がることにより、菌体が繊維表面に引き寄せて捕捉し易くなるため、抗菌剤中の金属イオンの励起作用により安定して良好な抗菌性能が得られる。
本発明の不揮発酸の抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用布帛への付与は染色加工段階で付与するのが好ましく、特に、綿の染色が終了した段階で処理するのが好まし。処理法は特に制限はなく適宜使用でき、例えば、浸漬処理、パディング処理、スプレー処理などの方法で付与し、その後、100℃前後で乾燥後、160℃以下で熱処理を行えば良い。
また付与の際には、吸水加工剤や柔軟剤や帯電防止剤など他の薬剤を併用してもさしつかえない。
本発明の抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用品の染色にあたって、抗菌性ポリエステル繊維を分散染料で染色する場合、通常ポリエステル繊維が分散染料にて染色されている染色条件であればいずれでも適用でき、染色助剤の種類とその使用濃度、染色pH、染色浴比、染色時間等は被染色品の種類、用いられる処理装置、染色法を勘案して適宜設定すればよい。分散染料としては、ベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾ、ナフタレンアゾ系)や複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンアゾ、ピリドンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾ等)に代表されるアゾ系分散染料の使用が抗菌性ポリエステル繊維の発色性を高め、セルロース繊維との同色性、染色堅牢度を高める上で好ましい。また、特に染色濃度が低い場合には、拡散指数3.0以上の分散染料を用いると染色バッチごとの色のバラツキが少なくなるので好ましい。また、染色の際には芳香族ポリエーテルブロック共重合体を併用処理するのが混用品での吸水性能を高めるうえで好ましい。
またセルロース繊維の染色は、直接、反応性染料等にて通常セルロース繊維が染色されている条件であればいずれでも適用でき、染色法は分散染料との二浴染色法、一浴二段染色法、一浴染色法等適宜実施すればよい。
またセルロース繊維として綿、レーヨンを使用した場合、染色に先立ち漂白処理を行う場合には、通常実施されている過酸化水素とアルカリ剤とを用いる方法にて処理を行えばよい。
染色する際の染色温度は135℃以下が好ましく、染色操作は、ウインス、ジッガー、ビーム染色機、液流染色機等の装置を用い、バッチ方式、連続方式のいずれによっても実施することができる。なお、浸染以外にパディング染色法、プリント法であっても実施することができる。
本発明の抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維からなる混用布帛の染色品において、仕上セット時のセット温度は、160℃以下が染色堅牢度の点から好ましい。
このようにして得られた抗菌性ポリエステル繊維とセルロース繊維との混用品は、ソフトでしなやかな風合を有し、優れた抗菌性能を発揮するとともに、吸水性能に優れた商品価値の高い混用品を得ることができる。
以下に本発明を実施例などにより更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。尚、本発明で用いられる特性値の測定法を以下に示す。
(1)扁平度
扁平度は、次式によって繊維の単糸横断面の外接長方形の長辺Aと短辺Bの比にて求めた。
扁平度=長辺A/短辺B
(2)抗菌性評価
繊維製品衛生加工評議会(SEK)の統一試験法に準じて行った。減菌後クリーンベンチ内で乾燥した検体(約18mmの正方形の試験片0.4g)に、予め高圧蒸気減菌し氷冷した1/20濃度のニュートリエントブロスで、生菌数を1±0.3×105個/mlに調整した試験菌懸濁液0.2mlを検体全体に均一に浸みるように接種し、減菌したキャップを締め付ける。これを37±1℃で18時間培養し、培養後の生菌数を測定した。検体は、標準布(抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルに規定された布)と加工布の2種類であり、試験菌としては、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用い、下記の方法で抗菌性の指標である静菌活性値を算出した。
静菌活性値:LogB−LogC
但し、試験成立条件(LogB−LogA)>1.5を満たすものとする。
A:標準布の接種直後に回収した菌数平均値
B:標準布の18時間培養後の菌数平均値
C:試験布の18時間培養後の菌数平均値
静菌活性値が2.2以上のものを抗菌性ありと判断した。
[実施例1]
酸化チタン0.4重量%含有し、オルソクロロフェノール中、35℃、1重量%で測定した固有粘度[η]が0.60のポリエチレンテレフタレートのチップと抗菌性ゼオライト粒子(富士ケミカル製:FK43;平均粒子径2.0μm、銀含有量0.5%、亜鉛含有量19%)を10重量%含有するマスターペレットとをそれぞれ個別に連続乾燥を行い、チップ水分率を50%以下としたのち、粉体計量混合機(松井製作所製:ジェットカラー)にて抗菌性ゼオライト粒子が0.5%となるように混合し、バリアタイプスクリュー(Maddock型)を備えた押出機に供給した。一定比率で混合されたチップは押出機で溶融されたのちケニックス社製スタティックミキサーが10エレメント設置されたポリマー配管を通過し、濾過層を有した紡糸パックに導入する。
抗菌性ゼオライトを含有したポリマーは、W型に穿孔された、紡糸孔30個を有するノズルより、紡糸温度(スピンヘッド温度)290℃、紡糸速度2000m/分で押し出し、100℃の第1延伸ロールでフィラメントを加熱し、130℃の第2延伸ロールにて熱セットを行い、伸度が30〜35%となるように延伸を行い、単糸断面形状がW字状断面を有した56デシテックス/30フィラメントの延伸糸を得た(凹部内側の開口角度135度、扁平率3.3)。
次に得られた原糸と綿60/1とを交撚し、この交撚糸と84デシテックス/31フィラメントのレーヨン糸を用い、18ゲージの丸編機にて、通常の編成条件にてフライス編地(ハニカム構造)を調製した。この編地は抗菌性ポリエステル繊維の混用率は約40%、目付は128g/m2であった。
この混用編地を苛性ソーダーでpH11に調整した1%の過酸化水素水を含有する水溶液にて90℃で30分間漂白処理した後、脱塩素処理を行い、下記の染色条件にて染色を行った。
染色条件
染料:ダイアニックス イエロー AC−E 0.16%omf
ダイアニックス レッド AC−E 0.13%omf
ダイアニックス ブルー AC−E 0.04%omf
(以上、ダイスター社製)
カヤセロン リアクト イエロー CN−603 0.18%omf
カヤセロン リアクト レッド CN−603 0.05%omf
カヤセロン リアクト ブルー CN−MG 0.03%omf
(以上、(株)日本化薬カラーズ製)
カヤクバッファー P−7 1g/リットル
芒硝 : 30g/リットル
SR−1801Mコンク(高松油脂社製) 4%omf
浴 比 : 1:15
染色温度、時間: 130℃、30分
染色完了後、非イオン洗浄剤0.5g/リットルの浴で60℃、15分間のソーピング、水洗を行い、下記の条件にて不揮発性酸処理を行った。
処理剤 : リンゴ酸 0.5%
浴 比 : 1:20
処理温度、時間: 40℃、10分
処理後は、脱水し、130℃にて2分間の乾熱セットで仕上げた。
仕上げた混用染色品の抗菌性の評価結果を表1に示す。
尚、繊維表面のζ電位は−9.3mv(大塚電子製測定機にて測定)であった。
[比較例1]
比較として実施例1の同様の条件で染色、ソーピング後、脱水し、130にて2分間の乾熱セットで仕上げた。仕上げた混用染色品の抗菌性評価結果を表1に示す。繊維表面のζ電位は−56.3mvであった。
表1の結果より、本発明の実施例1で得られた混用品は、比較例1に比べ、良好な抗菌性能を示し、商品価値の高い混用品が得られることがわかる。
[実施例2]
実施例1の製造法にて84デシテックス/30フィラメントの抗菌性ポリエステル原糸(凹部内側の開口角度130度、扁平率3.0)を得た。得られた原糸を緯糸に用い、経糸にはキュプラ繊維84デシテックス/75フィラメント(旭化成せんい[株]製、商品名ベンベルグ)を用い平織物(経糸密度106本/インチ、緯糸密度96本/インチ)を調製した。(抗菌性ポリエステル繊維の混用率は50%)
得られた織物を拡布状で80℃にて精練リラックスを行い、180℃でプレセットを行い、下記の染色条件で各々染色した。尚、染料濃度はポリエステル繊維重量に対する濃度とした。
染色条件
染料:ダイアニックス ネービー S−G (200) 1.5%omf
(ダイスター社製)
分散均染剤:ニッカサンソルト RM−340 (日華化学(株)製)
0.5g/リットル
酢酸: 0.5cc/リットル
酢酸ナトリウム: 1g/リットル
SR−1801Mコンク(高松油脂(株)製): 6%omf
浴比: 1:15
染色温度、時間: 130℃、30分
染色完了後、染色機から染色残液を排出し、染色機に水を入れ、温度を80℃まで昇温し、これに下記薬剤を添加して下記の濃度の還元洗浄浴を調整し、80℃で10分間の還元洗浄を実施した。
二酸化チオ尿素 1g/リットル
苛性ソーダ− 1g/リットル
ビスノールUP−10(一方社油脂工業(株)製) 0.5g/リットル
浴比: 1:15
この還元洗浄後、残液を排出し、温湯及び水により染色物をすすぎ洗いした後、下記の条件にてキュプラ側の染色を実施した。尚、染料濃度はキュプラ繊維重量に対する濃度とした。
染色条件
染料:レマゾール ブラック B 1.5%omf
芒硝 : 150g/リットル
炭酸ナトリウム: 20g/リットル
浴比 : 1:10
染色温度、時間: 60℃、80分
これら染色物を、次いで、常法により湯洗、ソーピング処理をした後、次の条件にて不揮発酸処理を行った。
処理剤 : クエン酸 0.6%
浴 比 : 1:20
処理温度、時間: 40℃、10分
処理後、脱水、乾燥、150℃で30秒間の乾熱セットを行い、ペーパーカレンダー処理を行い仕上げた。
仕上げた染色物の抗菌性能評価結果を表2に示す。
[比較例2]
比較として、実施例2において、不揮発酸処理を行わない以外は同様に仕上げた。仕上げた染色物の抗菌性能評価結果を表2に示す。
表2の結果より、本発明の実施例2による混用品は、比較例2比べ、良好な抗菌性能を示し良好であることがわかる。
Figure 2007177354
Figure 2007177354
本発明の混用品は特にインナー分野、裏地分野、寝装品分野で好適に利用できる。

Claims (1)

  1. 銀、亜鉛、銅、錫、金、白金より選ばれる1種以上の抗菌性金属成分が無機化合物に担持された無機系抗菌剤を含有するポリエステル繊維と、セルロース繊維とからなる混用製品を濃度0.01〜3重量%の不揮発性酸で処理することを特徴とする抗菌性繊維製品の製造方法。
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JP2016069771A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 Kbセーレン株式会社 合成繊維

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