JP2008013880A - 抗菌性ポリエステル繊維 - Google Patents

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Koji Kakumoto
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健史 千塚
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武徳 土門
Ken Shimonomura
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Abstract

【課題】抗菌剤として銀含有無機系抗菌剤を含有するポリエステルからなる繊維であって、可紡性が良好で低コストで得ることができ、経時及びアルカリ処理による変色(着色)が少なく、かつ良好な抗菌性能を有する抗菌性ポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】ポリアルキレンテレフタレートを主成分とし、亜鉛及び銀を抗菌性金属成分とする不定形シリカ系抗菌剤を含有してなるポリエステルを少なくとも一部の構成成分とする単糸からなることを特徴とする抗菌性ポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、不定形シリカ系抗菌剤を含有するポリエステル繊維であって、抗菌性金属成分として銀成分を含有するにも係わらず、経時およびアルカリ処理による変色が少なく、優れた抗菌性能を有し、各種の衣料用途、インテリア用途、産業資材用途や家庭用品用途に好適に用いることができる抗菌性ポリエステル繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、優れた機械特性及び化学特性を有するため、衣料用、寝装具用、インテリア用、産業資材用等の広範囲に使用されている。近年、消費者の価値観の多様性、衛生に対する意識の高まりにより種々の抗菌性繊維が実用化されている。
ポリエステル繊維に抗菌性を付与する方法として、芳香族ハロゲン化合物、有機シリコン系第4級アンモニウム塩、有機窒素化合物等を布帛に後加工する方法が採用されているが、これらは繊維表面に抗菌剤を固着させているので、洗濯や摩擦、摩耗により脱落または溶解し、抗菌性能が低下するという欠点を有する。また、イオン交換基を表面に含む繊維に銀イオンを結合させる方法や、同様の繊維に遷移金属イオンを結合させる方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、これらはイオン交換基を繊維表面に導入させることが必要になり、官能基の少ないポリエステル繊維には不適である。
上記の問題点を解決するために、銀イオン等の抗菌性金属イオンを担持したゼオライト粒子を抗菌剤として含有するポリマー組成物が提案されている(特許文献2)。このポリマー組成物は抗菌効果の耐久性に優れているが、ポリエステル繊維が本質的には疎水性のため抗菌性能にバラツキを生じるという欠点を有している。そのため、ポリアミド繊維と比較して多量の抗菌性ゼオライト粒子を添加する必要があった。ポリエステルの疎水性を改善し抗菌性能を安定化するため、抗菌性ゼオライトを含有するポリエチレングリコールやスルホイソフタル酸ソーダを共重合したポリエステル系成形体が提案されている(特許文献3)。
この方法では、ポリエステル成形体の抗菌性能の安定化は達成されるが、親水成分を共重合することによりポリエステルの優れた力学特性や耐熱性、耐薬品性が著しく損なわれる。また、ゼオライト粒子は凝集性が高くポリエステル繊維への分散性が悪く、抗菌性ゼオライト粒子を必要量ポリエステル繊維に練り込み溶融紡糸した場合、糸切れや毛羽の発生、巻き取りチーズ端面落ち等のトラブルが生じやすいという問題があった。ゼオライト粒子の凝集性を改善するために、流動パラフィン、シリコン系コーティング剤またはフッ素系樹脂でコーティングする方法(特許文献4、5)等があり、微分散性は改善されるものの充分でなかった。
また、銀ゼオライト系抗菌剤は、典型的な吸着剤であって比較的多量の水分を吸着しており、樹脂に配合して溶融混練等を行った場合、水分を放出して樹脂を発泡するということと、ゼオライトの有するアルカリ金属成分により樹脂添加剤を分解変色する、さらに、抗菌性ゼオライトを含有する合成繊維は抗菌性が良好でその耐久性にも優れているが、このような繊維は、ポリエステルの風合い改良の一手段であるアルカリ減量加工を行うと、抗菌成分である銀の酸化が生じて変色(着色)するため白度が要求されるような用途への使用が制限されるという問題も有している。
特許文献6には、銀を他の金属と併用した抗菌剤を含有した抗菌ポリエステル繊維を過炭酸ナトリウムで処理し、繊維の白度を向上させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では特別な後処理工程が必要になるため、製造コストがアップし、生産性が低下するという欠点がある。また、ここではアルカリに対する変色についての効果は触れられておらず、アルカリ減量加工後の変色を改善するものではない。
種々の抗菌性金属成分の内でも、銀成分は抗菌作用や人体に対する安全性に優れたものであるが、公知の銀含有無機系抗菌剤は経時及びアルカリ処理による変色が大きく、未だ改善すべき余地があり、改善が求められている。
特開昭56−148965号公報 特公昭63−054013号公報 特公平06−094534号公報 特公平03−080812号公報 特公平03−080813号公報 特開平04−50367号公報
本発明は上述のような問題点を解決するものであって、抗菌剤として銀含有無機系抗菌剤を含有するポリエステルからなる繊維であって、可紡性が良好で低コストで得ることができ、経時及びアルカリ処理による変色(着色)が少なく、かつ良好な抗菌性能を有する抗菌性ポリエステル繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートを主成分とし、亜鉛及び銀を抗菌性金属成分とする不定形シリカ系抗菌剤を含有してなるポリエステルを少なくとも一部の構成成分とする単糸からなることを特徴とする抗菌性ポリエステル繊維を要旨とするものである。
本発明の抗菌性ポリエステル繊維は、糸中の抗菌剤の濃度が低濃度でありながら、良好な抗菌性能を有し、かつ抗菌成分として銀成分を含有するにもかかわらず経時及びアルカリ処理を行っても変色(着色)傾向が少なく、可紡性がよく、低コストで得ることが可能である。このため、本発明の抗菌性ポリエステル繊維は白度や鮮明性が要求される衣料用途やインテリア用途や産業資材用途など様々な分野に好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の抗菌性ポリエステル繊維(以下、ポリエステル繊維とする)は、抗菌剤を含有するポリエステルを少なくとも一部の構成成分とする単糸からなるものである。すなわち、本発明の抗菌性ポリエステル繊維は、抗菌剤を含有するポリエステルを少なくとも一部の構成成分とする単糸(以下、単糸Mとする)のみからなるものであっても、単糸Mと他の単糸からなるものであってもよい。
本発明のポリエステル繊維は、マルチフィラメントであってもモノフィラメントであってもよい。つまり、本発明のポリエステル繊維が単糸M1本のみからなる場合はモノフィラメントであり、単糸Mを複数本、もしくは単糸Mと他の単糸複数本とからなる場合はマルチフィラメントである。マルチフィラメントの一部の単糸のみが単糸Mであるマルチフィラメントとしては、他の単糸と単糸Mとを引き揃えたものや混繊、共紡糸して得られたものが挙げられる。
そして、単糸Mは、抗菌剤を含有するポリエステルを少なくとも一部の構成成分とするものであり、抗菌剤を含有するポリエステルのみからなる単一型のものであっても、抗菌剤を含有するポリエステルと他の成分とからなる複合型のものであってもよい。
単糸Mが複合型の繊維である場合は、芯鞘型、海島型やサイドバイサイド型等の複合繊維とすることが好ましく、中でも抗菌剤を含有するポリエステルが繊維表面に露出するような構造とすることが好ましい。
そして、単糸Mを複合繊維とする場合は、以下に示すような単糸M中の抗菌剤の含有量を満足することが好ましく、製糸性よく得るためには、単糸M中の抗菌剤を含有するポリエステル成分が30質量%以上とすることが好ましい。
また、単糸Mの断面形状は、丸型や多角型、多葉型等の異形形状のいずれであってもよく、中空部を有していてもよい。
中でも本発明のポリエステル繊維としては、全ての単糸が単糸Mからなるマルチフィラメントであって、かつ単糸Mは抗菌剤を含有するポリエステルのみからなる単一型の繊維であることが好ましい。
単糸Mを構成する抗菌剤を含有するポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレートを主成分とするものである。具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)やポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましく用いられる。
ポリアルキレンテレフタレート中には、その性能を損なわない範囲であれば、共重合成分を含有していてもよく、共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキシルジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等のグリコール成分、4−ヒドロキシ安息香酸、ε―カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分等が挙げられる。
なお、単糸Mを抗菌剤を含有するポリエステルと他の成分との複合繊維とする場合は、他の成分としては特に限定するものではないが、相溶性等を考慮するとポリアルキレンテレフタレートを主成分とするポリエステルとすることが好ましい。
そして、単糸M中に含有される抗菌剤は、亜鉛及び銀を抗菌性金属成分として含有する不定形シリカ系抗菌剤である。
このような抗菌剤としては、例えば、不定形シリカを亜鉛と銀の抗菌性金属イオンでイオン交換した抗菌性金属イオン担持不定形シリカを、100℃以上の温度で焼成することにより得られたものや、また、亜鉛と銀の抗菌性金属イオンでイオン担持した、金属イオン担持不定形シリカを200℃以上の温度で焼成することにより得られたものを挙げることができる。なお、不定形シリカ系粒子における抗菌性金属成分の担持は、不定形シリカが有する負の帯電性に基づくものである。
このように、本発明で使用する抗菌剤は、抗菌性金属成分が不定形シリカ粒子中に電気的に確実に担持されているため、抗菌作用が長期にわたって持続し、また、電気的に中和されているため、粒子自体の2次凝集の程度も少なく、粉体としての取り扱いも容易で、樹脂等への分散性にも優れている。さらには、この抗菌剤は大気中に放置した場合にも吸水することが殆どなく、従って高温においても水分の放出がなく、樹脂中への配合添加に特に適している。
そして、不定形シリカ系抗菌剤の粒子径は、粒子の凝集と分散性を考慮すると、0.01〜10μmであることが好ましく、中でも0.1〜1.0μmであることが好ましい。0.01μm未満であると、粒子の凝集が生じやすくなり、10μmを超えると、ポリエステル中での分散性が低下しやすくなる。
また、単糸M中の不定形シリカ系抗菌剤の含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、中でも0.3〜3.0質量%、さらには0.5〜1.5質量%であることが好ましい。単糸M中の抗菌剤含有量が0.1質量%未満であると、十分な抗菌性能を得ることが困難となる。一方、抗菌剤含有量が5.0質量%を超えると、紡糸や延伸時に糸切れが発生したり、製編織時にガイド、筬、綜絖等の磨耗による糸切れや毛羽等が多発し、操業性が悪くなる。
一般に、銀成分は抗菌作用に優れているが、変色しやすい特性を有する。本発明のポリエステル繊維中に含有される不定形シリカ系抗菌剤は、抗菌性金属成分の少なくとも一部が銀成分を含有するにもかかわらず、耐変色性に優れているという利点がある。
つまり、本発明のポリエステル繊維は、経時及びアルカリ処理による変色を防止することができ、かつ良好な抗菌性を有するものである。変色抑制効果を示す指標として、経時による変色においては、JIS L−0842 第3露光法に準じて測定した耐光堅牢度における変退色が4級以上であることが好ましい。
本発明における耐光堅牢度の評価について説明する。まず、本発明のポリエステル繊維を丸編機を用いて筒編サンプルを作成し、非イオン系界面活性剤1g/lの水溶液中にて80℃×20分間精練し、以下の条件で染色を行う。その後サンプルを水洗、脱水、90℃で乾燥させる。次に、サンプルを、JIS L−0842の染色堅牢度試験法に準じ、第3露光法によりカーボンアーク灯光で照射した後、JIS L−0804の変退色用グレースケールを基準として、照射前後の変退色の度合い(級)を目視にて判定をする。
(染色条件)
Dianix Blue AC―E(ダイスタージャパン社製、分散染料) 0.1%omf
ニッカサンソルトSN−130(日華化学社製、均染剤) 0.5g/l
酢酸(48%) 0.2cc/l
この耐光堅牢度が4級未満であると、日光の暴露により変色する度合いが大きく、衣料用途で使用した場合、屋外における着用や洗濯後の乾燥等によって、大きく色褪せするという問題がある。また、糸や生機の状態で保管している場合、日光の暴露により部分的あるいは全体が変色し、白物や淡色の製品に加工ができなくなるという問題もある。
さらに、アルカリ処理による変色においては、アルカリ処理前後の色差(ΔE)が2.5以下であることが好ましく、中でも1.5以下、さらには1.0以下であることが好ましい。この値は、主に銀系の抗菌剤を使用することで生じていたアルカリ処理による変色(着色)がないことを示す指標である。
本発明におけるアルカリ処理前後の色差(ΔE)とは、アルカリ処理後の繊維とアルカリ処理前の繊維との色差(ΔE)である。まず、本発明のポリエステル繊維を丸編機を用いて筒編サンプルを作成し、アルカリ処理前とアルカリ処理後の筒編サンプルの色調(L、a、b値)を、分光光度計(マクベス社製、CE−3100)を用いて測定し、下式で算出するものである。色差ΔEの値が大きいほど変色が大きいことを示し、また、b値は黄色および青色の色調を表し、数値が大きいほど黄味が強いことを示す。
ΔE=〔(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
ΔL:アルカリ処理前後のL値の差
Δa:アルカリ処理前後のa値の差
Δb:アルカリ処理前後のb値の差
なお、ここでいうアルカリ処理とは、筒編サンプルを70℃で30分乾燥させ、95℃に調製した40g/lの水酸化ナトリウム溶液中で60分間処理を施すことをいう。
アルカリ処理前後の色差(ΔE)が2.5を超えると、通常のポリエステル繊維や他の素材と混繊し、織編した後、アルカリ減量加工と染色加工を行うと、抗菌性ポリエステル繊維の部分のみ発色性が悪くなり、くすんで見えるようになる。また、アルカリ処理中の変色(着色)が大きい場合には、処理中に抗菌性ポリエステル繊維から遊離した成分により他の素材も変色(着色)する場合があり、その後の染色加工で染色斑や発色不良が起こり好ましくない。
さらに、本発明のポリエステル繊維の抗菌性能は、静菌活性値が3.0以上であることが好ましく、中でも5.0以上であることが好ましい。さらには10洗後の静菌活性値も3.0以上であることが好ましく、中でも5.0以上であることが好ましい。
静菌活性値は、ポリエステル繊維を丸編機を用いて筒編にした筒編サンプルに、繊維製品新機能評価協議会(SEK)が定める繊維製品の定量的抗菌性試験方法(統一試験法)マニュアルに準じ、試験菌として黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用いて静菌活性値を測定するものである。試験方法はJIS L1902 定量試験(菌液吸収法)により、生菌数の測定方法は混釈平板培養法により行うものである。また、洗濯方法はJIS 0217 103号の試験方法により行い、洗剤はJAFET標準洗剤を使用する。
そして、本発明のポリエステル繊維は、常法により、溶融紡糸装置を用いて製造することができ、ポリエステル中への抗菌剤の配合は、抗菌剤を高濃度で含有する樹脂組成物(マスターチップ)を作成し、このマスターチップをポリエステル中に配合して、溶融混錬を行い、溶融紡糸を行えばよい。本発明で使用する不定形シリカ系抗菌剤は、溶融混錬時に、水分の離脱により発泡を生じるおそれも全くなく、また熱履歴により着色することもないという利点を有するものである。
本発明のポリエステル繊維中には、抗菌剤以外にもその効果を損なわない範囲で、艶消剤、改質剤、制電剤、顔料等を含んでいてもよい。
また、本発明のポリエステル繊維は、長繊維であっても短繊維であってもよい。
次に、本発明のポリエステル繊維(不定形シリカ系抗菌剤を含有するポリエステル単一成分の単糸Mのみからなるマルチフィラメント)の製造方法について一例を用いて説明する。
上記のようにして抗菌剤を含有するマスターチップを作成し、ポリエステル中に配合して溶融混練し、溶融紡糸を行う。紡出した糸条は、冷却し、油剤を付与した後、未延伸糸の状態で一旦巻き取った後延伸する二工程法でも、紡出した糸条を冷却後、一旦巻き取ることなく連続して3000m/分以上の速度で巻き取る直接紡糸延伸法のどちらを採用してもよい。
さらに本発明のポリエステル繊維には、抗菌性能を阻害しない範囲であれば、後加工により防ダニ剤、消臭剤、撥水剤等を繊維に付与してもよいし、仮撚加工、タスラン加工等を施してもよい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例における各種の特性値の測定と評価は、次の方法で行った。
(1)強度、伸度
JIS L−1013に従い、島津製作所製オートグラフDSS−500を用い、つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分で測定した。
(2)抗菌性の評価(静菌活性値)
得られた繊維を丸編機を用いて筒編にした筒編サンプルに精練(精練剤:サンモールFL(日華化学社製)1g/リットル、温度×時間:80℃×20分)を行った後、繊維製品新機能評価協議会(SEK)が定める繊維製品の定量的抗菌性試験方法(統一試験法)マニュアルに準じ、試験菌として黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用いて静菌活性値を測定し、抗菌性の評価を行った。試験方法はJIS L1902 定量試験(菌液吸収法)により、生菌数の測定方法は混釈平板培養法により行った。
サンプルの未処理(精練後)と10洗後について評価した。ただし、洗濯方法はJIS 0217 103号の試験方法により行い、洗剤はJAFET標準洗剤を使用した。
◎・・・静菌活性値4.0以上
○・・・静菌活性値2.3〜3.9
×・・・静菌活性値2.2以下
(3)アルカリ処理前後の色調(b値)及び色差(ΔE)〕
前記の方法で測定した。
(4)耐光堅牢度
前記の方法で測定した。
実施例1
酸化チタンを0.43質量%、ステアリン酸マグネシウムを0.02質量%含有し、相対粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒とし、濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。)が0.69のポリエチレンテレフタレートチップと、抗菌剤として、亜鉛と銀を抗菌性金属成分とする不定形シリカ系抗菌剤(富士ケミカル株式会社製:FK−67;平均粒子径0.5μm)を20質量%含有する上記と同様のポリエチレンテレフタレートチップ(マスターチップ)を作製した。それぞれ個別に連続乾燥を行い、不定形シリカ系抗菌剤の単糸M中(繊維中)の含有量が0.5質量%となるようにポリエチレンテレフタレートチップとマスターチップを混合し、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度290℃で溶融し、紡糸口金より吐出させた。冷却装置により冷却風を吹き付けて糸条を冷却し、オイリングローラで油剤を付与した後、捲き取り速度3500m/分で捲き取って、122デシテックス/34フィラメントの半未延伸糸(POY)を得た。この半未延伸糸を延伸速度314m/分、ヒートプレート温度150℃、延伸倍率1.4倍で延伸し、84デシテックス/34フィラメントのポリエステル繊維を得た。
実施例2〜3
不定形シリカ系抗菌剤の単糸M中(繊維中)の含有量が表1の値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル繊維を得た。
実施例4
実施例1で得られた半未延伸糸に、フィードローラ、仮撚ヒータ、ピンタイプの仮撚施撚装置、デリベリローラ、捲取装置を順に備えた仮撚加工機を使用し、糸速119.5m/分、仮撚数3400T/M(Z撚り)、延伸倍率1.452倍、ヒータ温度200℃、捲取オーバーフィード率6.2%で仮撚加工を施し、84デシテックス/34フィラメントの仮撚加工を施したポリエステル繊維を得た。
実施例5〜6
実施例2及び3で得られた半未延伸糸を使用し、実施例4と同様に仮撚加工を施し、84デシテックス/34フィラメントの仮撚加工を施したポリエステル繊維を得た。
比較例1
抗菌剤を含有しなかった以外は、実施例1と同様に行い、84デシテックス/34フィラメントのポリエステル繊維を得た。
比較例2
比較例1で得られた半未延伸糸を使用し、実施例4と同様に仮撚加工を施し、84デシテックス/34フィラメントの仮撚加工を施したポリエステル繊維を得た。
比較例3
酸化チタンを0.4質量%、ステアリン酸マグネシウムを0.02質量含有し、相対粘度が0.69のポリエチレンテレフタレートチップと、抗菌剤として、リン酸ジルコニウムに銀を担持させ、さらに酸化チタンを分散させた銀系無機抗菌剤を20質量%含有する上記と同様のポリエチレンテレフタレートチップ(マスターチップ)を作製した。それぞれ個別に連続乾燥を行い、単糸M中(繊維中)の抗菌剤の含有量が1.0質量%となるように両チップを混合し、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度295℃で溶融し、紡糸口金より吐出させた。冷却装置により冷却風を吹き付けて糸条を冷却し、オイリングローラで油剤を付与した後、捲き取り速度3500m/分で捲き取って、122デシテックス/34フィラメントの半未延伸糸(POY)を得た。この半未延伸糸を延伸速度314m/分、ヒートプレート温度150℃、延伸倍率1.4倍で延伸し、84デシテックス/34フィラメントのポリエステル繊維を得た。
比較例4〜5
単糸M中(繊維中)の抗菌剤の含有量を表1の値となるように変更した以外は、比較例3と同様にして84デシテックス/34フィラメントのポリエステル繊維を得た。
実施例1〜6、比較例1〜5で得られたポリエステル繊維の糸質物性、抗菌性評価、耐光堅牢度、アルカリ減量前後の色調(b値)及び色差(ΔE)の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3のポリエステル繊維、実施例4〜6の仮撚加工を施したポリエステル繊維ともに、強度、伸度に優れ、抗菌性、アルカリ処理前後の色調及び色差(ΔE)、耐光堅牢度ともに良好であり、操業性よく得ることができた。
一方、比較例1〜2のポリエステル繊維は、不定形シリカ系抗菌剤を含有していなかったため、抗菌性能を有していないものであった。比較例3〜5のポリエステル繊維は、銀系無機抗菌剤を含有するものであったため、アルカリ処理前後の色調及び色差(ΔE)に劣るものであった。

Claims (3)

  1. ポリアルキレンテレフタレートを主成分とし、亜鉛及び銀を抗菌性金属成分とする不定形シリカ系抗菌剤を含有してなるポリエステルを少なくとも一部の構成成分とする単糸からなることを特徴とする抗菌性ポリエステル繊維。
  2. 単糸中の不定形シリカ系抗菌剤の含有量が0.1〜5.0質量%である請求項1記載の抗菌性ポリエステル繊維。
  3. JIS L−0842 第3露光法に準じて測定した耐光堅牢度における変退色が4級以上であり、かつアルカリ処理前後の色差(ΔE)が2.5以下である請求項1又は2記載の抗菌性ポリエステル繊維。
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