JP2002339163A - 耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維及びその製造方法 - Google Patents

耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維及びその製造方法

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JP2002339163A
JP2002339163A JP2001138705A JP2001138705A JP2002339163A JP 2002339163 A JP2002339163 A JP 2002339163A JP 2001138705 A JP2001138705 A JP 2001138705A JP 2001138705 A JP2001138705 A JP 2001138705A JP 2002339163 A JP2002339163 A JP 2002339163A
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mass
yarn
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JP2001138705A
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Yoshitaka Matsuo
嘉高 枩尾
Seiji Abe
清二 阿部
Masaki Nishimura
雅樹 西村
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Unitika Fibers Ltd
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な抗菌性を発現し、アルカリ処理を行っ
ても変色(着色)が少なく、かつ洗濯後の抗菌性の低下
が著しく少ない耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 粒子の表面をカップリング剤で被覆処理
した酸化亜鉛微粒子を0.1〜5.0質量%含有してい
るポリアミド樹脂からなり、アルカリ処理前後の色差Δ
Eが2.0以下であり、かつ100洗後の静菌活性値が
2.2以上である抗菌性ポリアミド繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌剤を含有する
樹脂からなる繊維であって、アルカリ処理を行っても変
色(着色)が少なく、かつ耐洗濯性に優れた抗菌性ポリ
アミド繊維及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6をはじめとするポリアミド繊
維等の合成繊維に抗菌性を有する粉体を含有させた抗菌
性繊維は、これまでに数多く提案されている。中でも、
銀系の無機物質は抗菌剤として広く使用されており、銀
イオンを担持させたリン酸塩系抗菌剤、銀イオンを担持
させたゼオライト系抗菌剤、銀イオンを担持させたヒド
ロキシアパタイト焼成物系抗菌剤等が使用されている。
【0003】このような銀系の無機抗菌剤を含有する繊
維は、抗菌性が良好でその耐久性も優れているが、製織
性を向上させるために付与した糊剤を染色前の工程で洗
い流すためにアルカリ処理を行うと、抗菌成分である銀
の酸化が起こって変色(着色)し、その結果、抗菌性が
低下するので、アルカリ処理を行うような用途には使用
し難いという欠点があった。
【0004】そこで、変色を防止し、繊維の白度や鮮明
性を向上させるために、過炭酸ナトリウムや次亜塩素酸
ナトリウム、あるいはメルカプト基を持たないアゾール
化合物などの変色防止剤で処理した抗菌性繊維が、特開
平4−50376号公報や特開平6−264360号公
報、特開平6−272173号公報に提案されている。
しかしながら、これらの繊維は、変色防止剤による処理
のみではアルカリ処理を行ったときの変色(着色)を十
分に回避することができず、処理も煩雑であり、衣料用
などの白度や鮮明性が要求される用途には使用し難いと
いう問題があった。
【0005】これらの問題を解決するために、本発明者
らは、特開平11−293521号公報において、粒子
の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子
を含有させることで、アルカリ処理をおこなっても変色
(着色)が少ない抗菌性ポリアミド繊維を提案した。こ
の繊維は、アルカリ処理後に着色が少ない、優れた抗菌
性繊維である。しかしながら、この繊維の製造において
は、紡糸中に抗菌剤が繊維表面にブリードアウトしてく
る傾向があり、得られる繊維中の抗菌剤の分布が不均一
(特に表面に局在したもの)となることがあった。この
ため多洗後には繊維表面から抗菌剤が脱落し、抗菌性能
の持続性が十分でないという問題点があった。
【0006】この問題点に対して、本発明者らは特願2
000−051416号に多洗後の抗菌性の低下が少な
い、耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維を提案し
た。しかしながら、この抗菌性繊維の耐洗濯性は50洗
後の静菌活性が2.2以上であるにすぎず、更に耐洗濯
性が良好な、抗菌性繊維の出現が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、良好な抗菌性を発現し、アルカリ処理を行っ
ても変色(着色)が少なく、かつ洗濯後の抗菌性の低下
が著しく少ない耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維
及びその製造方法を提供することを技術的な課題とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、低分子量ポリア
ミドが繊維の延伸時にポリマーの可塑剤として働くこと
によって、延伸性が向上し、これにより耐洗濯性に優れ
た抗菌性ポリアミド繊維が得られることを見出し、本発
明に到達した。すなわち、本発明は次の(1)〜(2)
を要旨とするものである。 (1)粒子の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化
亜鉛微粒子を0.1〜5.0質量%含有しているポリア
ミド樹脂からなり、アルカリ処理前後の色差ΔEが2.
0以下であり、かつ100洗後の静菌活性値が2.2以
上であることを特徴とする抗菌性ポリアミド繊維。 (2)粒子の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化
亜鉛微粒子を0.1〜5.0質量%含有するポリアミド
樹脂チップを、水分率が0.01〜0.2質量%となる
ように調整し、かつ低分子量ポリアミド成分が0.3〜
4.0質量%となるように低分子量ポリアミド成分を調
整した後に溶融紡糸し、紡糸糸条をノズル面より400
mm以内で固化させることを特徴とする(1)記載の抗菌
性ポリアミド繊維の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の繊維を構成するポリアミドとしては、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン46
等の単独あるいはこれらの共重合体、またはブレンドし
たもの等が挙げられる。そして、本発明の効果を損なわ
ない範囲であれば、艶消剤、改質剤、制電剤、顔料等を
含んだものでもよい。
【0010】本発明の繊維に含有させる抗菌剤は、粒子
の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子
である。酸化亜鉛微粒子は、紫外線吸収や脱臭という作
用に加えて、殺菌、抗菌作用を有しているが、光触媒活
性を有するために、樹脂中に含有させたときに光劣化を
生じ、得られる繊維の物性が劣ったものになるという欠
点がある。
【0011】すなわち、酸化亜鉛微粒子の光触媒活性は
粒子表面における反応であり、粒子の表面を処理するこ
とにより活性を抑制しようとする試みは従来よりなされ
ている。例えば、酸素や水との接触を断つためのマイク
ロカプセル化表面処理がなされていたが、この処理を施
した酸化亜鉛微粒子は、光学的には酸化亜鉛の性質を有
しているが、化学的には酸化亜鉛の性質を失うという問
題があった。
【0012】そこで、本発明においては、酸化亜鉛微粒
子の欠点である光触媒活性を抑制し、かつ光学的にも化
学的にも酸化亜鉛の性質を有するようにするために、粒
子の表面をカップリング剤で被覆処理したものを用い
る。
【0013】カップリング剤としては、特に限定される
ものではないが、シランカップリング剤が好ましく、例
えば、信越化学社製のシランカップリング剤KBM−4
03、KBM−503が挙げられる。
【0014】また、シランカップリング剤以外のカップ
リング剤としては、チタン系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、ジルコアルミネート系等のカップリング剤が
挙げられる。
【0015】そして、カップリング剤の被覆量は、酸化
亜鉛微粒子の表面積にもよるが、おおむね0.1〜20
質量%程度とすることが好ましい。このように酸化亜鉛
微粒子の表面がカップリング剤で被覆されていることに
よって、酸化亜鉛微粒子が有する光触媒活性を少量の被
覆量で無駄なく十分に抑制することができ、一方では、
紫外線吸収作用や抗菌、殺菌等の作用をそのまま維持す
ることができる。このため、このようなカップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を含有する繊維は、
紫外線による変色が防止され、同時に抗菌や殺菌等の効
果が達成される。
【0016】本発明の繊維においては、カップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子のポリアミド樹脂中
の含有量を0.1〜5.0質量%、好ましくは0.3〜
3.5質量%とする。含有量が0.1質量%未満である
と、抗菌性が十分に付与された繊維とならず、含有量が
5.0質量%を超えると、紡糸や延伸時に糸切れが発生
したり、製織時にガイド、筬、綜絖等の摩耗による糸切
れや毛羽等が多発し、操業性が悪化する。さらに、抗菌
性能が飽和してコスト高となるばかりか強伸度等の糸質
性能が低下する。
【0017】そして、酸化亜鉛微粒子は、紡糸から巻き
取りまでの工程において、ガイド摩耗等の問題が生じな
いようにし、工程通過性をよくするために、また、ノズ
ルパック圧の上昇も防ぐために、平均粒径0.01〜
5.0μm程度のものとすることが好ましい。
【0018】さらに、本発明の繊維には、抗菌性の発現
を阻害しないものであれば、後加工により防ダニ剤、消
臭剤等を付与してもよいし、撥水加工、透湿防水加工等
を施してもよい。
【0019】本発明の繊維は、アルカリ処理前後の色差
ΔEが2.0以下であり、好ましくは1.5以下、さら
に好ましくは1.0以下である。すなわち、この値は、
抗菌剤として前記したようなカップリング剤で表面処理
された酸化亜鉛微粒子を含有することにより達成される
値であり、主に銀系の抗菌剤を使用することで生じてい
たアルカリ処理による変色(着色)がないことを示す指
数である。本発明におけるアルカリ処理前後の色差ΔE
とは、アルカリ処理後の抗菌性繊維と同アルカリ処理前
の抗菌性繊維との色差ΔEであり、アルカリ処理前及び
処理後の繊維を筒編みした編物を8枚重ねにして、分光
光度計(マクベス社製、CE−3100)を用いて測定
することにより行う。
【0020】このアルカリ処理前後の色差ΔEが2.0
を超えると、精練処理等のアルカリ処理により繊維が着
色する度合いが大きく、顔料や着色剤を含有しない繊維
の場合は白度が低下し、顔料や着色剤を含有する着色繊
維の場合は、鮮明性が低下し、品位の低下した繊維とな
る。また、アルカリとの反応により抗菌性が著しく低下
している場合もあり、好ましくない。また、含有させる
顔料や着色剤としては、カーボンブラック(特にチャン
ネルタイプが好ましい)や黄色顔料(例えば、Bayer社
製Yellow10G)、青色顔料(例えば、大日精化社製シア
ニンブルー)、緑色顔料(例えば、大日精化社製シアニ
ングリーン)、赤色顔料(例えば、DIC社製スレン系レ
ッド)、紫色顔料(例えば、SANDOZ社製サンドリンバイ
オレットBL)等が挙げられる。
【0021】次に、本発明の繊維は、100洗後の静菌
活性値が2.2以上である。100洗後の静菌活性値と
は、抗菌性繊維及び捲縮加工糸を筒編みした編物を用
い、繊維製品新機能評価協議会(JAFET)が定める
繊維製品の定量的抗菌性試験方法(統一試験法)マニュ
アルに準じ、試験菌として黄色ブドウ状球菌(Staphylo
coccus aureus ATCC 6538P) を用いて100洗後の静菌
活性値を測定し、抗菌性の評価を行ったものである。サ
ンプルは、未処理、アルカリ処理、100洗後、耐候後
(未処理サンプルを直接耐候処理した)について評価し
た。(抗菌性評価)なお、アルカリ処理は、0.1%水
酸化ナトリウム水溶液で30分間煮沸して行い、100
洗は、アルカリ処理後のサンプルをJIS L 021
7の103の方法で行った。耐候処理は、JIS L
0842に準拠し、カーボンアークフェードメーターを
用い、63℃で20時間、照射(4級照射)を行った。
【0022】本発明において、100洗後の静菌活性値
を基準として採用する意味は以下のとおりである。すな
わち、後加工工程で抗菌剤を繊維表面に被覆する方法の
従来法では、高々数回〜10回程度の洗濯で抗菌性が著し
く低下してしまうため、特に洗濯回数が多い衣料用途で
は使用が難しい。一方、本発明における洗濯回数100
回は従来方法に比べ著しく耐洗濯性が向上したもの(従
来法が数回〜50回に比べ、100回)であり、この1
00洗という数値は、例えば繊維製品新機能評価協議会
(JAFET)のSEK評価の洗濯回数が最大でも50洗(衣料
・寝具等)であることから判断して、衣料用途でも十分
な耐洗濯性を有しているといえる。そして、抗菌効果と
防臭効果の検討(繊維製品新機能評価協議会抗菌防臭加
工部会評価基準WG報告書)より静菌活性値が2.2以
上の時に皮膚常在菌による臭気の発生が押さえられるこ
とから、本発明において、衣料用に用いる際の実質的な
抗菌効果が発現される指標である静菌活性値が2.2以
上を抗菌性の指標とした。
【0023】100洗後の静菌活性値が2.2よりも小
さいときは、多洗後に抗菌性が低下してしまい、抗菌性
の持続が困難な繊維となる。このため、耐洗濯性が要求
されるような衣料用途などには使用し難くなる。
【0024】本発明の抗菌性繊維においては、100洗
後の静菌活性値は2.2以上であるが、特に、3.0以
上、さらには4.0以上であることが好ましい。
【0025】そして、本発明の抗菌性ポリアミド繊維に
おいては、繊維の横断面形状を異形度20〜60%の異
形断面とすることが好ましい。このような異形断面形状
とすることにより、フィラメントの表面積が増すため抗
菌性能が向上する。また後記のノズル面より吐出後の糸
条の冷却に有利となり、固化点をよりノズル面に近くす
ることができる。これらのため本発明の抗菌性繊維の効
果、酸化亜鉛微粒子の効果が十分に発揮され、抗菌性及
びその持続性が向上する。これにより、酸化亜鉛微粒子
の含有量を減少させることもできるので、コストを軽減
することもできる。
【0026】本発明の繊維における異形度とは、フィラ
メントの横断面形状における内接円の直径を外接円の直
径で除した値に100を乗じた数値(%)をいう。この
ような形としては、三角や四角等の多角形のものや、凹
凸を多数有する多葉断面形状のもの、また、田型や井型
形状のものが挙げられる。
【0027】そして、本発明の繊維においては、異形、
異形でないにかかわらず、中空部を有していてもよく、
製織時の糸切れや毛羽の発生等を回避するために、芯部
に酸化亜鉛微粒子を含有させた芯鞘構造としてもよい。
【0028】さらに、本発明の繊維は、短繊維でも長繊
維でもよく、長繊維としてはマルチフィラメントでもモ
ノフィラメントでもよく、短繊維、長繊維ともに単糸繊
度0.5〜2300dtexのものが挙げられる。
【0029】次に、本発明の抗菌性繊維の製造方法につ
いて説明する。まず、本発明の製造方法においては、カ
ップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を0.1〜
5.0質量%含有するポリアミド樹脂チップを製造し、
チップの水分率が0.01〜0.2質量%となるように
調整し、かつ低分子量ポリアミド成分が0.3〜4.0
質量%となるように低分子量ポリアミド成分を調整した
後に溶融紡糸を行う。
【0030】なお、本発明において、酸化亜鉛微粒子を
0.1〜5.0質量%含有するポリアミド樹脂チップと
は、あらかじめこの量の酸化亜鉛微粒子を含有するチッ
プを作成する方法のみならず、これらの酸化亜鉛微粒子
をポリアミド樹脂チップに直接ブレンドする方法や、あ
らかじめ酸化亜鉛微粒子を高濃度に含有したポリアミド
樹脂チップを製造し、そのチップとポリアミド樹脂チッ
プをブレンドするマスターチップ法により製造されたも
のが挙げられる。いずれの場合においても、使用する樹
脂チップの水分率を上記範囲となるように調整してから
溶融紡糸を行う。
【0031】まず、チップの水分率が0.01〜0.2
質量%となるように調整するのは、得られるポリアミド
繊維のアルカリ処理後の着色や変色の要因として、樹脂
チップ中の水分率が関与しているからである。これは、
ポリアミド繊維が溶融状態では加水分解等の劣化を受け
やすいためであると思われ、水分率が増加するほど、得
られる繊維のアルカリ処理後の着色や変色は大きくな
る。すなわち、アルカリ処理を施す前の繊維において
は、着色や変色の差がなくても、チップの水分率が大き
いものほど、アルカリ処理後の繊維は着色や変色が大き
くなる。そこで、樹脂チップの水分率を上記の範囲内の
ものとするには、90〜160℃程度で乾燥させればよ
い。
【0032】チップの水分率が0.2質量%を超える
と、得られる繊維のアルカリ処理後の着色や変色が大き
くなり、アルカリ処理前後の色差ΔEを2.0以下とす
ることが困難となり、チップの水分率が0.01質量%
未満であると、チップを乾燥させる工程が長くなり、コ
ストが高くなり、得られる繊維の強伸度等の物性も低下
しやすくなる。
【0033】さらに、本発明の製造方法においては、溶
融紡糸するに際し、(紡糸時)低分子量ポリアミド成分
が0.3〜4.0質量%となるように低分子量ポリアミ
ド成分を調整したポリマーを用いる。調整方法として
は、前述したようなチップに添加するドライブレンド法
やマスターチップ法が用いられる。
【0034】通常、ナイロンチップ中には低分子量ポリ
アミド成分が存在し、チップを精練することによりモノ
マーや低分子量ポリアミド成分を溶融紡糸可能な量まで
除去している。しかし、本発明者らは、この低分子量ポ
リアミド成分量を特定範囲内に調整することにより、そ
の低分子量ポリアミドが以下に詳述するように可塑剤と
して働き、かつそれによる延伸性の向上が得られる繊維
の耐洗濯性をアップさせることを見出した。
【0035】従来、静菌活性値が50洗付近で2.2程
度まで減少するのは、延伸した際に、表面に存在する酸
化亜鉛の周りにボイドが発生するため、酸化亜鉛が洗濯
時に脱落してしまうためであると思われる。
【0036】そこで、本発明のように、紡糸時のポリマ
ーの低分子量ポリアミド成分を0.3〜4.0質量%程
度とすることにより、低分子量成分が延伸時の可塑剤と
して働き、延伸時のボイドの発生を減少させることがで
きる。したがって、繊維表面から脱落する酸化亜鉛の量
が減少し、100洗まで静菌活性値が持続する。
【0037】なお、紡糸時のポリマー中の低分子量ポリ
アミド成分を調整する方法としては、チップの精練を緩
くしチップ中の残存低分子量ポリアミドを多くする方法
や、チップの精練を通常通りとし、紡糸時にチップに低
分子量ポリアミドを添加する方法が挙げられる。前者の
方法ではチップ中にモノマーが多く残存し、紡糸時にモ
ノマーガスが多量に発生し紡糸操業性が悪化するため好
ましくない。このため、後者の方法で低分子量ポリアミ
ド成分を調整する方法が好ましい。
【0038】本発明でいう低分子量ポリアミドは、分子
量の低いポリアミドをいい、具体的にはモノマーの10
量体以下のものをいう。ポリマーの可塑化効果や操業性
は低分子量ポリアミドの分子量及び構造(環状か直鎖状
か)に強く影響を受ける。可塑化効果については分子量
が低いものほど効果があるが、低分子量であるほど加工
段階で繊維表面にマイグレートするため、白粉の発生や
操業性悪化の要因ともなる。このため、モノマーの10
量体以下の中でも、2〜6量体がより好ましい。また、
環状よりも直鎖状の方が操業性が良好となり、より好ま
しい。これらの低分子量ポリアミドは、モノマーから1
0量体の中でそれぞれ単一のものを用いてもよく、また
混合品を用いてもよい。
【0039】紡糸時の低分子量ポリアミドのポリマー中
の総量は0.3〜4.0質量%とし、好ましくは0.5
〜3.0質量%、さらに好ましくは0.7〜3.0質量
%である。低分子量ポリアミドの量が0.3質量%未満
であれば、前記したようなポリマーを可塑化することが
できない。低分子量ポリアミドの量が4.0質量%を超
えると、紡糸時に切れ糸が発生したり、延伸時に操業性
が悪化する。
【0040】さらに、本発明の方法においては、固化点
をノズル面から400mm以内とする必要がある。本発明
においてノズル面から固化点までの距離は、得られる繊
維の抗菌性能の持続性に非常に大きな影響をおよぼす。
ここでいう固化点とは、ノズルより吐出した糸条の繊径
が最初に実質的に一定になった点であり、いわゆる糸条
が固化する点である。このノズル面から固化する点まで
の距離の計算方法は、モノフィラメントではその単糸の
値であり、マルチフィラメントでは、各単糸の平均値で
ある。
【0041】通常の紡糸条件における固化点は、単糸繊
度にもよるが、600〜2000mmの範囲内である。本
発明においては、以下に説明するような方法を採用し
て、固化点がノズル面から400mm以内となるように冷
却、固化させる必要がある。すなわち、固化点をノズル
面から400mm以内とすることにより、ノズル孔から吐
出した溶融状態のポリアミドが冷却、固化する時間が短
くなり、抗菌剤が繊維表面にブリードアウトすることを
防ぐことができ、抗菌剤が繊維表面に局在化せず、繊維
内に均一に含有された繊維とすることが可能となる。
【0042】抗菌剤が繊維表面にブリードアウトする
と、抗菌剤が繊維表面から脱落しやすくなり、抗菌性能
持続期間が短くなり、耐洗濯性に劣るものとなる。固化
点がノズル面により近いほど、繊維表面に抗菌剤がブリ
ードアウトすることを防ぐことができ、抗菌性能の持続
性がより向上するので、中でも、350mm以内とする
ことが好ましい。
【0043】固化点を400mm以内とするための方法と
しては、ノズル孔から吐出する際のポリマー温度を低く
抑えること、ノズル孔から吐出した溶融ポリアミドを冷
却するための冷却風の吹付温度を低くしたり、吹付風量
を多くすること、糸条の冷却を水等の液媒で行うこと等
の手段が挙げられる。
【0044】ノズル孔から吐出する際のポリマー温度を
低く抑える手段を採用する際には、吐出時のポリマー温
度を235〜255℃とすることが好ましく、さらに好
ましくは250℃以下、より好ましくは245℃以下と
する。通常の紡糸条件ではポリマー温度は255℃を超
えることが多く、例えば258℃の場合、通常の冷却条
件では、固化点を400mm以内とすることができず、繊
維表面に抗菌剤がブリードアウトし、得られる抗菌性繊
維の耐洗濯性が低下する。一方、吐出時のポリマー温度
が235℃よりも低い場合は、未溶解物等の発生により
紡糸時に糸切れが発生しやすくなる。
【0045】冷却風による冷却の場合は、冷却風の温度
を10℃以下とすることが好ましい。冷却風の温度が1
0℃を超えると、固化点を400mm以内とすることは困
難である。
【0046】冷却風の吹付風量は多いほど冷却には有利
となり好ましく、冷却風の吹き付け速度を1.5〜2.
5m/分とすることが好ましく、さらに好ましくは1.
7〜2.3m/分である。風速が2.5m/分を超える
と、紡糸時に糸切れが発生しやすくなり好ましくない。
通常の条件では、風速は1.5m/分未満としており、
1.5m/分未満では冷却が不十分となり固化点を40
0mm以内とすることが困難となる場合がある。
【0047】繊維を冷却、固化させるときには、単糸繊
度の大きさが関係し、単糸繊維度が小さいほど表面積が
大きくなるため冷却に有利となる。そこで、単糸繊度が
3.3dtex未満のものは、冷却風による冷却を採用
し、単糸繊度が3.3〜100dtexの繊維の場合
は、冷却効率が高い、後述するようなローラ式又はスリ
ットノズル式の液媒による冷却を採用することが好まし
い。さらに、単糸繊度が100dtexを超える繊維の
場合は、さらに冷却効率が高い、後述するような液浴に
浸漬させる方法や噴霧装置等により吹き付ける方法を採
用することが好ましい。
【0048】次に、液媒による冷却手段について説明す
る。冷却媒体として、水や油剤等の液媒を用いるもの
で、これらを用いて冷却すると、比熱の関係から冷却風
よりもより効率良く冷却されるため、単糸繊度が3.3
dtex以上の繊維の場合であっても固化点を400mm
以内とすることが容易となる。
【0049】ローラ式の液媒供給手段やスリットノズル
式の液媒供給手段をノズル面より400mm以内、好まし
くは、350mm以内に設けて、糸条を冷却、固化させ
ることが好ましい。これら、ローラ式又はスリットノズ
ル式の液媒供給手段は、後述する液浴に浸漬させる方法
や噴霧装置等により吹き付ける方法に比べて、紡糸速度
を1000m/分以上にすることができるため、生産性
の面からもより好ましい。
【0050】ローラ式の液媒供給手段では、液浴中の液
体をローラに供給して糸条(固化前)に付与する。スリ
ットノズル式の液媒供給手段では、液体供給管より液体
付与ノズルに供給された油剤を糸条(固化前)に付与す
る。その他には、液浴に浸漬させる方法や噴霧装置等に
より液媒を付与する方法でもよい。以上のこれらの冷却
手段は、単独で用いてもよく、2以上の手段を併用して
もよい。また、冷却風吹き付け装置とともに併用して、
冷却してもよい。
【0051】ここでいう液媒とは、例えば水やポリアル
キルグリコール、または鉱物油、有機酸、エーテル類等
を含む紡糸油剤が好ましく、これらを単独で用いても、
混合して用いてもよい。また液媒には、仕上げ剤等の種
々の添加剤が含まれていてもよい。
【0052】これらの液媒の温度としては、低いほど糸
条の冷却効果が高くなるが、経済的な面から−20〜5
0℃とすることが好ましく、さらに好ましくは−10〜
30℃、より好ましくは0〜10℃である。
【0053】このような方法により本発明の抗菌性繊維
を製造すると、紡糸中に抗菌剤が繊維表面にブリードア
ウトしないため、得られる繊維は、繊維内に抗菌剤が含
有され、繊維中の抗菌剤の分布も均一のものとなる。さ
らに、延伸時のボイドの発生を減少させることができる
ので、多洗後でも繊維表面から抗菌剤が脱落せず、抗菌
性が維持され、耐洗濯性が要求されるような衣料用途に
も好適に使用することが可能となる。さらに、本発明の
繊維は耐候処理後の抗菌性能も高く、耐候処理後の靜菌
活性値が2.2以上となる。この理由は明らかではない
が、抗菌剤が繊維表面に局在化せず、均一に分布するこ
とから耐候処理による抗菌剤の劣化も抑制されるものと
推測される。
【0054】本発明の抗菌性ポリアミド繊維を製造する
場合、紡糸した未延伸糸を一旦巻き取った後延伸する二
工程法でも、紡糸した糸条を冷却後、100m/分以上
の速度で巻き取る直接紡糸延伸法により製造してもよ
い。
【0055】本発明の繊維を、溶融紡糸後一旦巻き取
り、延伸する二工程法により製造する場合には、25〜
1500m/分程度の速度で巻き取り、その後、延伸倍
率1.5〜6.0倍程度で延伸することが好ましく、糸
条の種類により熱延伸としても、室温程度の冷延伸とし
てもよく、熱延伸の場合は50〜170℃程度で行うこ
とが好ましい。
【0056】直接紡糸延伸法により製造する場合には、
溶融紡糸した糸条を一旦巻き取ることなく、100m/
分以上の速度で引き取って製造する。このとき、単糸繊
度が大きい繊維を得るときほど、紡糸速度が遅いほうが
好ましく、例えば単糸繊度が0.6〜3.3dtexで
は500〜5000m/分が好ましく、3.3〜100
dtexでは500〜3000m/分が好ましく、10
0dtexを超えるときは100〜1500m/分とす
ることが好ましい。巻き取るまでの間で延伸を行っても
よく、この場合は、50〜 150℃程度に加熱しながら、倍
率1.1〜3.0倍程度で熱延伸を行うことが好まし
い。
【0057】そして、本発明の捲縮加工糸の場合は、上
記のようにして得られた繊維に捲縮加工を施すものであ
るが、捲縮を付与する方法としては、例えば、仮撚加工
法、押込捲縮加工法、加熱流体による流体押込捲縮加工
法等が挙げられる。中でも、品質安定性やコストの面で
仮撚加工法が好ましい。
【0058】仮撚加工機としては、ピンタイプやディス
クタイプの施撚装置を備えた一般的な仮撚加工機を用い
ることができる。仮撚加工条件は、一般的な条件範囲で
適宜選択すればよく、通常は仮撚数(T/M)と繊維繊
度(d)の平方根との積で表される仮撚係数が1500
0〜33000の範囲となるようにすることが好まし
い。しかしながら、捲縮が得られる限りこれらに限定さ
れるものではなく、仮撚加工後にトルクを抑制するため
連続して熱処理を行う2段ヒータ仮撚加工を行ってもよ
い。
【0059】そして、本発明の抗菌性ポリアミド織編物
は、本発明の抗菌性ポリアミド繊維又は抗菌性ポリアミ
ド捲縮加工糸を少なくとも一部に用いて製編織して得ら
れたものである。すなわち、本発明の抗菌性ポリアミド
織編物は、織編物を構成する繊維の全てに本発明の抗菌
性ポリアミド繊維及び又は捲縮加工糸を用いたものが好
ましいが、十分な抗菌性が得られる範囲であれば、予め
本発明の抗菌性ポリアミド繊維及び又は捲縮加工糸と、
これ以外の繊維との交絡混繊糸や合撚糸等を製造してお
き、このような混繊糸や合撚糸を製編織したもの、ある
いは、本発明の抗菌性ポリアミド繊維及び又は捲縮加工
糸と、これ以外の繊維とを交織、交編したものでもよ
い。
【0060】なお、上記のような織編物中の抗菌性繊維
又は捲縮加工糸の割合は、要求される抗菌性能や風合等
の用途により適宜選択すればよい。また、織編物とする
際の組織等の条件は特に限定されるものではなく、常法
により行えばよい。
【0061】そして、本発明の抗菌性ポリアミド繊維及
び捲縮加工糸はアルカリ処理前後の色差ΔEが2.0以
下であり、顔料や着色剤を含有しないときには白度が、
これらを含有するときには鮮明性に優れており、また抗
菌性能の持続期間が長い。したがって、これらの繊維又
は捲縮加工糸を一部又は全部に用いた本発明の織編物は
所望の色に染色を行うことができ、かつ耐洗濯性が要求
されるような用途に使用することができる。
【0062】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例中の特性値の測定は、次のとおりに
行った。 (a) 強伸度 JIS L1090に準拠して測定した。 (b) 抗菌性 前記の方法にて測定した。 (c) アルカリ処理前後の色差ΔE 前記の方法で行った。 (d) 耐候処理 前記の方法で行った。 (e) 固化点の測定(位置) 繊径測定装置(ZIMMER社製 460A/5)を用
い、ノズル面より下方に5cmずつの間隔でそれぞれの
位置で繊径を30秒測定し、平均値をとり、グラフを作
成する。そして、その平均値が一定(平均値が±1%以
内)になった最初の点(ノズル面下方からの距離)を糸
条の固化点とする。 (f) 低分子量ポリアミド量 チップを8時間沸水抽出し、抽出液から恒量になるまで
水を30℃、40mmHgの減圧下で除去し、続いて150
℃で2時間乾燥させる。残さを低分子量ポリアミドの量
とした。 (g)操業性 紡糸、延伸性が良好であったものを○、糸条の採取がで
きなかったものを×として、2段階で評価した。
【0063】実施例1 相対粘度(96%硫酸を溶媒として、濃度1g/dl、温
度25℃で測定)が2.53、低分子量ポリアミドを0.
2質量%含有し、抗菌剤としてシランカップリング剤で
粒子表面が被覆処理された酸化亜鉛微粒子(三井金属社
製Z−NOUVE、平均粒径0.2μm)を1.1質量
%含有するナイロン6チップに、低分子量ポリアミドと
してアミノカプロン酸ダイマーを1.8質量%添加し、
低分子量ポリアミド成分の総量を2.0質量%としたも
のを用いた。このチップの水分率を0.07質量%に調
整した後、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡
糸温度248℃で溶融し、孔径が0.3mmの紡糸孔を
24個有する紡糸口金より吐出させた。ノズル面より3
20mm下方(固化点の位置)に設けた冷却装置より冷却
風(吹付風量:1.5m/分、吹付温度:10℃)を吹
き付けて糸条を冷却、固化させ、オイリングローラで油
剤を付与した後、巻取速度4000m/分で巻き取っ
て、44dtex/24fの抗菌性繊維を得た。
【0064】実施例2〜3、比較例1〜2 抗菌剤の含有量、ナイロン6チップの水分率、アミノカ
プロン酸ダイマーの添加による低分子量ポリアミド成分
総量、固化点の位置を表1に示すように種々変更した以
外は、実施例1と同様に行った。
【0065】実施例4 ナイロン6チップに、顔料としてサンドリンバイオレッ
トBL(SANDOZ社製)を0.01質量%添加し、抗菌
剤の含有量、ナイロン6チップの水分率、低分子量ポリ
アミド成分総量、固化点の位置を表1に示すように種々
変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0066】実施例5〜7、比較例3 抗菌剤の含有量、ナイロン6チップの水分率、アミノカ
プロン酸ダイマーの添加による低分子量ポリアミド成分
総量、固化点の位置、吐出ポリマー温度、冷却風の吹付
温度と吹付風量を表1に示すように種々変更した以外
は、実施例1と同様の方法にて78dtex/24fの
抗菌性繊維を得た。
【0067】実施例8、比較例4 ナイロン6チップに、顔料としてyellow10G(BAYEL社
製)を0.1質量%添加し、抗菌剤の含有量、ナイロン
6チップの水分率、アミノカプロン酸ダイマーの添加に
よる低分子量ポリアミド成分総量、固化点の位置、吐出
ポリマー温度、冷却風の吹付温度と吹付風量を表1に示
すように種々変更した以外は、実施例1と同様の方法に
て78dtex/24fの抗菌性繊維を得た。
【0068】実施例9 相対粘度が2.53、低分子量ポリアミドを0.2質量
%含有し、抗菌剤としてシランカップリング剤で粒子表
面が被覆処理された酸化亜鉛微粒子(三井金属社製Z−
NOUVE、平均粒径0.2μm)を1.2質量%含有
するナイロン6チップに、低分子量ポリアミドとしてア
ミノカプロン酸ダイマーを1.8質量%添加し、低分子
量ポリアミド成分総量を2.0質量%としたものを用い
た。このチップの水分率を0.1質量%に調整した後、
エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度25
5℃で溶融し、孔径が0.3mmの紡糸孔を34個有す
る紡糸口金より吐出させた。口金面より390mm下方
(固化点の位置)に、ローラ式の液媒供給手段を設け、
液媒として水を使用し、糸条に付与して冷却固化させ
た。このとき、水の温度は25℃で付与量は5ml/分
であった。続いて固化後の糸条に、オイリングローラで
油剤を付与した後、巻取速度3000m/分で巻き取っ
て、235dtex/34fの抗菌性繊維を得た。
【0069】実施例10、比較例5 抗菌剤の含有量、ナイロン6チップの水分率、低分子量
ポリアミド成分総量、固化点の位置を表2に示すように
種々変更した以外は、実施例9と同様に行った。
【0070】実施例11〜12、比較例6 ローラ式の液媒供給手段に代えて、スリットノズル式の
液媒供給手段を用い、10℃の水を付与量10ml/分
で付与し、さらに、抗菌剤の含有量、ナイロン6チップ
の水分率、低分子量ポリアミド成分総量、固化点の位置
を表2に示すように種々変更した以外は、実施例9と同
様に行った。
【0071】実施例13 相対粘度が3.70、低分子量ポリアミドを0.2質量
%含有し、抗菌剤としてシランカップリング剤で粒子表
面が被覆処理された酸化亜鉛微粒子(三井金属社製Z−
NOUVE、平均粒径0.2μm)を1.1質量%含有
するナイロン6チップに、低分子量ポリアミドとしてア
ミノカプロン酸ダイマーを1.8質量%添加し、低分子
量ポリアミド成分総量を2.0質量%としたものを用い
た。このチップの水分率を0.05質量%に調整した
後、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度
255℃で溶融し、孔径が2.0mmの紡糸孔よりモノ
フィラメントを吐出させた。紡出モノフィラメントをノ
ズル面から20mm下方に設置した水浴で冷却後、常法
に従い合計5.3倍に延伸し、熱セットを行い、112
0dtexの抗菌性モノフィラメントを得た。
【0072】実施例14〜15、比較例7〜8 抗菌剤の含有量、ナイロン6チップの水分率、アミノカ
プロン酸ダイマーの添加による低分子量ポリアミド成分
総量、固化点の位置を表3に示すように種々変更した以
外は、実施例13と同様に行った。
【0073】実施例1〜8、比較例1〜4で得られた繊
維の強度、伸度、抗菌性、アルカリ処理前後の色差Δ
E、操業性の評価結果を表1に、実施例9〜12、比較
例5〜6で得られた繊維のこれらの評価結果を表2に、
さらに、実施例13〜15、比較例7〜8で得られたモ
ノフィラメントのこれらの評価結果を表3に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】表1〜3から明らかなように、実施例1〜
12で得られた抗菌性繊維及び実施例13〜15で得ら
れた抗菌性モノフィラメントは、強伸度等の糸質物性に
優れ、アルカリ処理前後の色差ΔEも小さく、また10
0洗後及び耐候処理後の抗菌性の評価も高く、白度、鮮
明性及び耐洗濯性の要求される用途に良好に使用できる
ものであった。さらに、実施例1〜15は、直接紡糸延
伸法で製造したが、ガイド摩耗等もなく、操業性よく製
造することができた。一方、比較例1、3は、低分子量
ポリアミドの総量が少なかったため、アルカリ処理前の
抗菌性は高いものの、100洗後の抗菌性能が急激に低
下し、また耐候処理後の抗菌性もかなり低下したものと
なった。比較例5、7も、低分子量ポリアミドの総量が
少なかったため、同様にアルカリ処理前の抗菌性は高い
ものの、100洗後の抗菌性能が急激に低下し、また耐
候処理後の抗菌性もかなり低下したものとなった。ま
た、比較例2、4、6、8は低分子量ポリアミドの総量
が多すぎたため、紡糸、延伸性の劣ったものとなり、糸
条を採取できなかった。
【0078】実施例16〜17、比較例9〜10 抗菌剤の含有量を表4に示すように変更し、紡糸孔を3
4個有する紡糸口金を用い、78dtex/34fの繊
維を得た以外は実施例1と同様にして得られた抗菌性ポ
リアミド繊維に、フィードローラ、仮撚ヒータ、ピンタ
イプの仮撚施撚装置、デリベリローラ、捲取装置を順に
備えた仮撚加工機を使用し、表4に示すように仮撚加工
条件を種々変更して加工を施し、捲縮加工糸を得た。得
られた捲縮加工糸の強度、伸度、抗菌性、アルカリ処理
前後の色差ΔEを表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】表4から明らかなように、実施例16〜1
7で得られた抗菌性繊維は、強伸度等の糸質物性に優
れ、アルカリ処理前後の色差ΔEも小さく、また100
洗後及び耐候処理後の抗菌性の評価も高いため、白度、
鮮明性及び耐洗濯性の要求される用途にも良好に使用で
きるものであった。一方、比較例9は、抗菌剤を含有し
ていなかったため、抗菌性を有していないものであり、
比較例10は、抗菌剤の含有量が多すぎたため、紡糸、
延伸時や仮撚加工時に糸切れが発生し、操業性が悪く、
得られた繊維の強伸度等の糸質性能も低かった。
【0081】実施例18 実施例1の繊維を経糸と緯糸として用いて、経密度14
0本/2.54cm、緯密度108本/2.54cmの平織物を製織
した。これらの平織物の抗菌性、アルカリ処理前後の色
差ΔEについて測定、評価した。なお、これらの評価、
測定は前記記載の評価、測定方法のうち編物で行ってい
たものを織物で行ったものであり、白度は織物1枚を分
光光度計で測定した。
【0082】実施例19 実施例16の捲縮加工糸を経糸と緯糸として用いて、経
密度114本/2.54cm、緯密度86本/2.54cmの平織物
を製織した以外は、実施例18と同様にして行った。
【0083】実施例20 実施例1の繊維を経糸とし、比較例9の繊維を緯糸に用
い、経密度140本/2.54cm、緯密度108本/2.54cm
の平織物(抗菌性繊維の混率56%)を製織した以外
は、実施例18と同様にして行った。
【0084】実施例21 実施例16の捲縮加工糸と比較例9の捲縮加工糸をデュ
ポン社製インターレーサーJD−1を用いて空気交絡処
理を施した交絡混繊糸を緯糸とし、経糸に比較例9の捲
縮加工糸を用い、経密度114本/2.54cm、緯密度62
本/2.54cmの平織物(抗菌性捲縮加工糸の混率26%)
を製織した以外は、実施例18と同様にして行った。
【0085】実施例22 実施例1の繊維を用い、メッシュ組織にてトリコット編
物を得た。
【0086】実施例23 実施例1の繊維と比較例9の繊維を用い、モックローデ
ィアの組織にて交編編物(筒編、抗菌性繊維の混率65
%)を得た。
【0087】実施例18〜21の織物、実施例22〜2
3の編物の抗菌性、アルカリ処理前後の色差ΔEの評価
結果を表5に示す。
【0088】
【表5】
【0089】表5から明らかなように、本発明の抗菌性
繊維や抗菌性捲縮加工糸を全て、又は一部に用いた織編
物は、抗菌性の評価が高く、アルカリ処理前後の色差Δ
Eも小さく、白度や鮮明性を要求される用途にも良好に
使用できるものであった。
【0090】
【発明の効果】本発明の抗菌性ポリアミド繊維及び抗菌
性ポリアミド捲縮加工糸は、アルカリ処理を行っても変
色(着色)や抗菌性の低下がほとんどなく、さらに、耐
洗濯性にも優れた良好な抗菌性を有し、強伸度にも優
れ、白度や鮮明性が要求される用途にも好適に使用する
ことが可能となる。そして、本発明の抗菌性ポリアミド
繊維の製造方法によれば、上記のような繊維及び捲縮加
工糸を操業性よく得ることができる。さらに、本発明の
抗菌性ポリアミド織編物は、本発明の抗菌性ポリアミド
繊維又は抗菌性ポリアミド捲縮加工糸を少なくとも一部
に用いているため、耐洗濯性にも優れた良好な抗菌性を
発現し、アルカリ処理を行っても変色(着色)や抗菌性
の低下がほとんどなく、白度や鮮明性が要求される用途
にも好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 21/00 D04B 21/00 B // D01F 1/10 D01F 1/10 Fターム(参考) 4L002 AA06 AB00 AB02 AB04 AC00 BB01 CA01 EA00 4L035 AA02 AA05 BB33 BB56 BB91 CC01 CC20 DD02 DD14 EE08 EE11 EE20 FF08 FF10 HH10 JJ05 KK01 KK03 KK05 LC02 4L036 MA06 MA20 MA33 PA05 RA04 UA26 4L048 AA24 AA37 AA42 AA46 AA56 AB07 AB21 AC00 BA01 BA02 CA00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子の表面をカップリング剤で被覆処理
    した酸化亜鉛微粒子を0.1〜5.0質量%含有してい
    るポリアミド樹脂からなり、アルカリ処理前後の色差Δ
    Eが2.0以下であり、かつ100洗後の静菌活性値が
    2.2以上であることを特徴とする抗菌性ポリアミド繊
    維。
  2. 【請求項2】 繊維の横断面形状が、異形度20〜60
    %の異形断面形状である、請求項1記載の抗菌性ポリア
    ミド繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の抗菌性ポリ
    アミド繊維に捲縮を付与してなる抗菌性ポリアミド捲縮
    加工糸。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の抗菌性ポリ
    アミド繊維、又は請求項3記載の抗菌性ポリアミド捲縮
    加工糸を少なくとも一部に用いて製編織した抗菌性ポリ
    アミド織編物。
  5. 【請求項5】 粒子の表面をカップリング剤で被覆処理
    した酸化亜鉛微粒子を0.1〜5.0質量%含有するポ
    リアミド樹脂チップを、水分率が0.01〜0.2質量
    %となるように調整し、かつ低分子量ポリアミド成分が
    0.3〜4.0質量%となるように低分子量ポリアミド
    成分を調整した後に溶融紡糸し、紡糸糸条をノズル面よ
    り400mm以内で固化させることを特徴とする請求項1
    記載の抗菌性ポリアミド繊維の製造方法。
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