JP2022135009A - 混繊糸および繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な抗菌性を有し、かつ発色性および風合いに優れた繊維構造物を提供することである。【解決手段】熱可塑性繊維(A)を芯糸、熱可塑性繊維(B)を側糸として含む混繊糸であり、前記熱可塑性繊維(A)は平均粒子径が0.1~10μmである無機系抗菌剤を熱可塑性繊維(A)に対して0.1~15重量%含有し、かつ平均粒子径が1~100nmである無機粒子を熱可塑性繊維(A)に対して0.5~10重量%含有し、前記熱可塑性繊維(B)は平均粒子径が1~100nmである無機粒子を熱可塑性繊維(B)に対して0.5~10重量%含有し、前記熱可塑性繊維(A)と前記熱可塑性繊維(B)の重量比率がA:B=30:70~60:40である、混繊糸。【選択図】なし

Description

本発明は、洗濯後でも十分な抗菌性を有し、かつ発色性および風合いに優れた混繊糸および前記混繊糸を含む繊維構造物に関する。
従来、ブラックフォーマルなどの用途に用いられる繊維構造物には、深みのある発色性(深色性)の編織物が要求されており、さらに近年においては、衛生に関する意識の高まりから、抗菌性も兼備した深色性の織編物が要求されている。例えば、特許文献1(特開平10-53922号公報)では、銀イオンや銅イオン等を固体粒子に担持せしめた無機機能性付与剤(抗菌剤)を含有するポリエステル繊維が開示されており、抗菌性に優れ、染色性が改善されたことが提案されている。
特開平10-53922号公報
しかしながら、特許文献1に記載のポリエステル繊維は、ポリオレフィン系ポリマーに対しての染色性の改善はなされているが、アルカリ減量処理を想定したものではなく、多孔性微粒子の無機機能性付与剤に吸着されている吸着水あるいは結晶水が外部に放出されるときの割れ目によるものであるため、繊維表面の凹凸の密度も粗であり、ブラックフォーマルに要求される深色性は得られていない。また、生地にしたときの膨らみやハリ感も不足しており、抗菌性、深色性および風合いの両立において十分とは言えなかった。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、上述の従来技術の欠点を解消し、洗濯後でも十分な抗菌性を有し、かつ発色性および風合いに優れた混繊糸および繊維構造物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]熱可塑性繊維(A)を芯糸、熱可塑性繊維(B)を側糸として含む混繊糸であり、前記熱可塑性繊維(A)は平均粒子径が0.1~10μmである無機系抗菌剤を熱可塑性繊維(A)に対して1.0~15重量%含有し、かつ平均粒子径が1~100nmである無機粒子を熱可塑性繊維(A)に対して0.5~10重量%含有し、前記熱可塑性繊維(B)は平均粒子径が1~100nmである無機粒子を熱可塑性繊維(B)に対して0.5~10重量%含有し、前記熱可塑性繊維(A)と前記熱可塑性繊維(B)の重量比率がA:B=30:70~60:40である、混繊糸。
[2]前記熱可塑性繊維(A)および前記熱可塑性繊維(B)を構成する熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂である、前記[1]に記載の混繊糸。
[3]前記無機系抗菌剤が銀ガラス系抗菌剤である、前記[1]または[2]に記載の混繊糸。
[4]一般社団法人繊維評価技術協議会「SEKマーク繊維製品の洗濯方法」に規定された高温加速洗濯法に基づいて80℃での洗濯処理を行った後の前記無機系抗菌剤の保持率が80%以上である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の混繊糸。
[5]前記[1]~[4]のいずれかに記載の混繊糸を繊維構造物全体に対して25~100重量%用いてなる繊維構造物。
本発明によれば、以下に説明するとおり、洗濯後でも十分な抗菌性を有し、かつ発色性および風合いに優れた繊維構造物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明の混繊糸は、芯糸となる熱可塑性繊維(A)と、側糸となる熱可塑性繊維(B)とが混繊されてなるものである。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)は、平均粒子径が1~100nmである無機粒子を、熱可塑性繊維(A)に対して0.5~10重量%含有し、かつ平均粒子経が0.1~10μmである無機系抗菌剤を、熱可塑性繊維(A)に対して1.0~15重量%含有することが必要である。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(B)は、平均粒子径が1~100nmである無機粒子を、熱可塑性繊維(B)に対して0.5~10重量%含有することが必要である。
上記熱可塑性繊維(A)および(B)を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とする繊維形成能を有するポリエステルを指し、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート等を挙げることができる。また、これらポリエステルは第3成分として、ブタンジオールのようなアルコール成分又はイソフタル酸等のジカルボン酸を共重合させた共重合体でも良く、更にこれら各種ポリエステルの混合体でも良い。熱可塑性繊維(A)と熱可塑性繊維(B)とで、構成するポリエステル系樹脂が同じであってもよく、異なっていてもよいが、発色性の観点から、同じポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)および(B)に含有される上記無機粒子は、具体的にはシリカゾル、微粒子状シリカ、アルミナゾル、粒子状アルミナ、極微粒子酸化チタン、炭酸カルシウムゾル、微粒子状炭酸カルシウム、変性シリカゾル等を挙げることができ、これらの混合物であってもよい。発色性、良好な光沢の観点から、シリカゾル、微粒子状シリカが好ましい。熱可塑性繊維(A)に含まれる無機粒子と、熱可塑性繊維(B)に含まれる無機粒子は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、アルカリ減量速度の違いによる色ムラを軽減するため、同じ無機粒子であることが好ましい。
上記無機粒子は平均粒子径が1~100nmである必要がある。上記上限値を超えると、繊維表面に大きな凹凸が生じ、これに基づく色のくすみが発生することで、繊維の品位が劣る場合がある。一方、上記下限値未満では、無機粒子の比表面積が大きくなり、凝集粒子が形成されやすく、製糸時の断糸が増大する場合がある。無機粒子の平均粒子径は好ましくは10~60nmであり、より好ましくは15~30nmである。なお、上記平均粒子径は、例えばレーザー光回折法による粒度分布測定装置などを用いて、重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)および(B)における無機粒子の含有量は、それぞれの熱可塑性繊維に対して0.5~10重量%である必要がある。該含有量が上記下限値未満では、最終的に得られる繊維構造物の発色性が不十分となる場合があり、また、上記上限値を超えると、製糸時の断糸が増大する場合がある。無機粒子の含有量は0.5~7.0重量%であることが好ましく、1.0~5.0重量%であることがより好ましい。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)に含まれる無機系抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛等の抗菌性の金属を、結晶性アルミノケイ酸塩、無定形アルミノケイ酸塩、シリカゲル、活性アルミナ、珪藻土、活性炭、リン酸ジルコニウム、ヒドロキシアパタイト、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、ガラス等に担持させたものが挙げられ、樹脂の黄変が起きにくいことから、特に銀をガラスに担持させた銀ガラス系抗菌剤、又はこれと他の無機系抗菌剤を併用したものが好ましい。また、担持する抗菌性金属の量は無機系抗菌剤の全重量に対して、10~30重量%であることが好ましい。抗菌性金属の量が上記下限値より少ないと十分な抗菌性が得られにくい場合があり、また、上記上限値より多いと繊維をアルカリ処理した後の色調が悪くなる場合があり、かつコストの点でも好ましくない。
上記無機系抗菌剤の平均粒子径は、0.1~10μmであることが重要である。平均粒子径が上記上限値よりも大きいと、紡糸する際に断糸、フィルター詰りが発生しやすく、また、繊維から無機系抗菌剤の粒子の脱落などが起き易くなる。一方、平均粒子径が上記下限値よりも小さいと、練り込みの際に無機系抗菌剤粒子間の凝集などが生じやすく、熱可塑性繊維(A)中に均一に分散しにくくなる。無機系抗菌剤の平均粒子径は好ましくは0.2~5.0μmであり、より好ましくは0.5~3.0μmである。なお、上記平均粒子径は、例えばレーザー光回折法による粒度分布測定装置などを用いて、重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)における無機系抗菌剤の含有量は、熱可塑性繊維(A)に対して1.0~15重量%である必要がある。該含有量が上記下限値未満では、洗濯時の脱落や染色による失活により、抗菌性が低下する場合があり、また、上記上限値を超えると、製糸時の断糸が増大する場合がある。無機系抗菌剤の含有量は抗菌性とコストの点から1.0~10重量%であることが好ましく、2.0~6.0重量%であることがより好ましい。
熱可塑性繊維(A)における無機系抗菌剤は、一般社団法人繊維評価技術協議会「SEKマーク繊維製品の洗濯方法」に規定された高温加速洗濯法による高温洗濯50回後に、洗濯処理前の無機系抗菌剤の含有量に対して80%以上保持していることが好ましい。上記抗菌剤保持率は、後述する実施例記載の方法にて算出することができる。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)および(B)の総繊度は特に限定されず、任意の総繊度にすることができるが、風合いと発色性の観点から、総繊度は40~200dtexであることが好ましく、50~170dtexであることがより好ましい。熱可塑性繊維(A)の総繊度と、熱可塑性繊維(B)の総繊度は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)および(B)の単糸繊度は特に限定されず、任意の繊度にすることができるが、抗菌性、風合い、発色性の観点から、単糸繊度は0.5~6dtexであることが好ましい。熱可塑性繊維(A)の単糸繊度と、熱可塑性繊維(B)の単糸繊度は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
さらに、本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)および/または(B)には、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、防ダニ剤、消臭剤、艶消剤等を含んでいてもよい。
本発明の混繊糸に用いられる熱可塑性繊維(A)および(B)の製造方法に特に限定はなく、従来公知の溶融紡糸装置を用いて製造することができる。例えば、熱可塑性繊維を構成する樹脂としてポリエステル系樹脂を270~300℃の範囲で溶融紡糸して製造してもよい。溶融紡糸の速度は400~5000m/分であることが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また、延伸は繊維を巻き取ってから行ってもよく、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に行ってもよい。熱可塑性繊維(A)に含有させる無機系抗菌剤は、ポリマーを重合するときに添加してもよいし、製糸工程中のポリマー溶融時に添加し、均一に混練、分散させてもよい。さらには、無機系抗菌剤を高濃度で含有するマスターポリマーとベースポリマーとを混練して使用することで繊維中に含有させてもよいし、無機系抗菌剤を低濃度で含有するマスターポリマーをそのまま使用して繊維中に含有させてもよい。
本発明の混繊糸は、前記熱可塑性繊維(A)を芯糸、前記熱可塑性繊維(B)を側糸として、例えば流体加工して混繊・交絡することによって得ることができる。側糸用の糸の流体加工装置への供給速度が芯糸用の糸に対して、0~10%のオーバーフィード率になるようにしながら、両方の糸を100~1000m/分の速度でインターレースノズルなどに供給して、1~7kg/cmの流体圧で混繊・交絡させる一般的方法を採用することができる。
前記芯糸と前記側糸との混繊比率は、抗菌性、発色性の観点から、重量比で芯糸:側糸=30:70~60:40であることが必要である。混繊比率は40:60~50:50であることが好ましい。
本発明に用いられる混繊糸の総繊度は特に限定されず、任意の繊度にすることができるが、抗菌性、風合い、発色性の観点から、混繊糸の総繊度は22~250dtexであることが好ましい。
前記混繊糸を使用する繊維構造物は、例えば、織物、編物、不織布であってもよい。繊維構造物は前記混繊糸単独で構成されていてもよく、経糸および/または緯糸、表糸および/または裏糸に使用されても、さらに他の繊維が含まれていてもよい。
また、前記混繊糸は前記繊維構造物全体の重量に対して25~100%使用することが好ましい。混繊糸の使用比率が上記下限値未満であると十分な抗菌性能が得られない場合がある。繊維構造物全体に対する混繊糸の使用比率は、抗菌性の観点から35~100%であることがより好ましい。
本発明の繊維構造物の製造方法は特に制限はなく、公知の編機、織機等を用いて製造することができる。
本発明の繊維構造物において、編物組織、織物組織としては特に限定されない。丸編み組織としては、平編み、ゴム編み、両面編み、タック編み等が挙げられる。経編み組織としては、トリコット、ラッセル、ミラニーズが挙げられる。織物組織としては、平織、綾織、朱子織、二重織等が挙げられる。
前記繊維構造物を染色する方法としては、通常のポリエステル繊維を染色する分散染料を使用することができ、特に制限は無い。
更に前記繊維構造物は、アルカリ減量処理が好ましく実施され、繊維表面に微細孔を形成させることにより、風合いを高めることができる。
アルカリ減量処理で使用する塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができる。中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。この塩基性化合物水溶液の濃度は、塩基性化合物の種類、処理条件などによって異なるが、特に1.0~25重量%であることが好ましい。処理温度は常温~100℃であることが好ましい。
本発明における繊維構造物をアルカリ減量すると、従来使用される分散染料で染色することができ、繊維表面に形成される微細孔が光を乱反射させるため、鮮明かつ深みのある、色調を得ることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例における各種の特性値の測定と評価は、次の方法で行った。
(抗菌性の評価(抗菌活性値))
実施例または比較例で得られた布帛サンプルについて、社団法人繊維評価技術協議会が定める制菌加工繊維製品認証基準JISL 1902「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」に従い、試験菌として黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureusATCC 6538P)を用いて抗菌活性値を測定し、抗菌性の評価を行った。
抗菌性は未処理(洗濯処理前)と洗濯10回後についてそれぞれ評価した。ただし、洗濯方法はJIS L 0217;103号の試験方法により行い、洗剤はJAFET標準洗剤を使用した。無加工検体には綿布を用い、下記式より抗菌活性値を算出した。
抗菌活性値=(logCt-logC0)-(logTt-logT0)
Ct:綿標準布18時間培養の生菌数の平均値
C0:綿標準布接種直後の生菌数の平均値
Tt:筒編サンプル18時間培養の生菌数の平均値
T0:筒編サンプル接種直後の生菌数の平均値
増殖値:logCt-logC0
得られた抗菌活性値を以下の基準に従い、評価した。
◎・・・抗菌活性値4.0以上
○・・・抗菌活性値2.2以上4.0未満
×・・・抗菌活性値2.2未満
(抗菌剤保持率)
実施例または比較例で得られた布帛を、洗濯処理前および高温洗濯50回処理後に、蛍光X線分析し、洗濯処理前後での抗菌剤の保持率を測定した。洗濯方法は一般社団法人繊維評価技術協議会「SEKマーク繊維製品の洗濯方法」に規定された高温加速洗濯法に基づいて80℃での洗濯処理を行い、洗剤はJAFET標準洗剤を使用した。抗菌剤の保持率を、下記式より算出した。
抗菌剤保持率(%)=(X/Y)×100
X:高温洗濯50回後の抗菌剤成分量(ppm)
Y:洗濯処理前の抗菌剤成分量(ppm)
(発色性の評価(L値))
発色性は、試料をJIS Z 8729(L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系による物体色の表示方法)に示すL*a*b*表色系で測定した。
(風合いの評価(布帛特性))
試験者3名により官能試験を行い、生地を指先で掴んだときに感じる生地の膨らみ感について、以下の基準に従い、評価した。
極めて良好・・・4点
良好 ・・・3点
若干不良 ・・・1点
不良 ・・・0点
次に、試験者3名の合計点から、以下のように風合いを評価した。
◎・・・10点以上
○・・・8点以上9点以下
△・・・6点以上7点以下
×・・・5点以下
(実施例1)
平均粒子径20nmの微粒子状シリカを1.0重量%含有し、平均粒子経2.0μmの富士ケミカル株式会社製銀ガラス系抗菌剤「バクテキラー FK-65B」を5.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートを使用し、紡糸温度287℃、巻取り速度4000m/分で溶融紡糸し、64dtex/12フィラメントの熱可塑性繊維(A)を得た。次に、平均粒子経20nmの微粒子状シリカを1.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートを使用し、紡糸温度294℃、巻取り速度2800m/分で溶融紡糸し、86dtex/36フィラメントの熱可塑性繊維(B)を得た。上記で得られた熱可塑性繊維(A)および熱可塑性繊維(B)を3%のオーバーフィード率になるようにしながら、両方の糸を300m/分の速度でインターレースノズルに供給して混繊・交絡加工を行い、150dtex/48フィラメントの混繊糸を得た。次いでレピア織機を使用して、経糸および緯糸に前記混繊糸を100%使用して、布帛を得た。次いで、前記布帛をポリエステル100%生地の加工工程に準じて加工(連続式精錬-プレセット(190℃×1分)-減量(20%)-染色(130℃×30分)-ファイナルセット(170℃×1分))した。染色は、高圧液流染色機を用い、分散黒色染料を13.0%omfの濃度で浴比1:15、130℃×30分の条件で行い、ハイドロサルファイト1g/Lを含む水溶液にて80℃で15分間還元洗浄して黒色に染色した布帛を得た。
得られた布帛について、発色性、風合い、抗菌性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
芯糸と側糸の重量比率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
芯糸と側糸の重量比率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様にして混繊糸を作製し、経糸としてこの混繊糸と、ポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸150dtex/48フィラメントを1:1の配列になるように使用し、緯糸としてポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸150dtex/48フィラメントを使用し、生地全体の使用比率を混繊糸が30%、ポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸が70%としたこと以外は、実施例1と同様にして布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
芯糸及び側糸の無機粒子の含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
芯糸の抗菌剤の含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
芯糸の抗菌剤の平均粒子径を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
芯糸及び側糸の無機粒子の平均粒子径を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
芯糸の抗菌剤の含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例4)
芯糸及び側糸に無機粒子を使用せず紡糸した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例5)
芯糸に抗菌剤を使用せず紡糸した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。次いでレピア織機を使用して、経糸および緯糸に前記混繊糸を100%使用して、布帛を得た。次いで、前記布帛をポリエステル100%生地の加工工程に準じて加工(連続式精錬-プレセット(190℃×1分)-減量(20%)-染色(130℃×30分:同時抗菌加工)-後加工(180℃×1分)-ファイナルセット(170℃×1分))した。染色は、高圧液流染色機を用い、分散黒色染料を13.0%omfの濃度で浴比1:15、130℃×30分の条件で行い、ハイドロサルファイト1g/Lを含む水溶液にて80℃で15分間還元洗浄して黒色に染色した布帛を得た。なお、この同時抗菌加工は酸化亜鉛系抗菌剤を使用した。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例6)
芯糸に抗菌剤を使用せず紡糸した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。次いでレピア織機を使用して、経糸および緯糸に前記混繊糸を100%使用して、布帛を得た。次いで、前記布帛をポリエステル100%生地の加工工程に準じて加工(連続式精錬-プレセット(190℃×1分)-減量(20%)-染色(130℃×30分:同時抗菌加工)-後加工(180℃×1分)-ファイナルセット(170℃×1分))した。染色は、高圧液流染色機を用い、分散黒色染料を13.0%omfの濃度で浴比1:15、130℃×30分の条件で行い、ハイドロサルファイト1g/Lを含む水溶液にて80℃で15分間還元洗浄して黒色に染色した布帛を得た。なお、この同時抗菌加工は窒素硫黄系抗菌剤を使用した。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例7)
芯糸に抗菌剤を使用せず紡糸した以外は、実施例1と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
(比較例8)
芯糸及び側糸に無機粒子を使用せず紡糸し、芯糸と側糸の重量比率を表1に示すように変更した以外は、比較例6と同様にして混繊糸および布帛を得た。発色性、風合い、抗菌性の評価結果を表1に示す。
Figure 2022135009000001
実施例1~6は、芯成分に適切な含有量と平均粒子径の無機粒子および無機系抗菌剤を含有したポリエステル系樹脂からなる熱可塑性繊維、鞘成分に適切な含有量と平均粒子径の無機粒子を含有したポリエステル系樹脂からなる熱可塑性繊維を使用し、芯糸と側糸の重量比率が適切な範囲である混繊糸を使用したため、風合いが良好で、十分な抗菌性を維持し、発色性も良好であることがわかった。また、洗濯後でも抗菌性が低下することがなく、洗濯耐久性を有することがわかった。
一方、比較例1は、無機系抗菌剤の平均粒子径が大きいため、繊維から無機系抗菌剤の粒子の脱落などが起き、洗濯後の抗菌性が劣ることがわかった。比較例2は、無機粒子の平均粒子径が大きいため、大きな凹凸の発生に基づく色のくすみが発生し、発色性が劣ることがわかった。比較例3は、無機系抗菌剤の含有量が少ないため、抗菌性が劣ることがわかった。比較例4は、無機粒子を含有していないため、発色性が劣ることがわかった。比較例5、6は、抗菌剤を後加工で付与しているため、洗濯処理によって抗菌加工剤の脱落などが起き、洗濯後の抗菌性が劣ることがわかった。比較例7は、抗菌剤を付与していないため、抗菌性が劣ることがわかった。比較例8は抗菌剤を後加工で付与しているため、洗濯後の抗菌性が劣り、さらに無機粒子を含有せず、混繊糸の芯糸と側糸の重量比率が適切な範囲を満たさないため、風合いと発色性に劣ることがわかった。
本発明の抗菌性ポリエステル繊維は、操業性よく低コストで得ることができ、抗菌性能と風合い、発色性に優れている。このため、紳士・婦人礼服のような、深色と抗菌防臭性、仕立て映えが要求される衣料に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性繊維(A)を芯糸、熱可塑性繊維(B)を側糸として含む混繊糸であり、前記熱可塑性繊維(A)は平均粒子径が0.1~10μmである無機系抗菌剤を熱可塑性繊維(A)に対して1.0~15重量%含有し、かつ平均粒子径が1~100nmである無機粒子を熱可塑性繊維(A)に対して0.5~10重量%含有し、前記熱可塑性繊維(B)は平均粒子径が1~100nmである無機粒子を熱可塑性繊維(B)に対して0.5~10重量%含有し、前記熱可塑性繊維(A)と前記熱可塑性繊維(B)の重量比率がA:B=30:70~60:40である、混繊糸。
  2. 前記熱可塑性繊維(A)および前記熱可塑性繊維(B)を構成する熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂である、請求項1に記載の混繊糸。
  3. 前記無機系抗菌剤が銀ガラス系抗菌剤である、請求項1または請求項2に記載の混繊糸。
  4. 一般社団法人繊維評価技術協議会「SEKマーク繊維製品の洗濯方法」に規定された高温加速洗濯法に基づいて80℃での洗濯処理を行った後の前記無機系抗菌剤の保持率が80%以上である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の混繊糸。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の混繊糸を繊維構造物全体に対して25~100重量%用いてなる繊維構造物。
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