JP2007173402A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パッド電極からの金属元素の拡散を発生させることなく、共振器の中央部分に対する端面部分の相対的な温度上昇を低減して、信頼性が高い半導体レーザ装置を得られるようにする。
【解決手段】半導体レーザ装置は、活性層105の上方に形成されたストライプ部109aからなる電流注入領域を有する半導体積層体120と、該半導体積層体120の上にストライプ部109aを覆うように形成されたp側オーミック電極141と、半導体積層体120の上にp側オーミック電極141と電気的に接続されるパッド電極143とを有している。半導体積層体120は、活性層105を含み且つストライプ部109aの長手方向にほぼ垂直に形成され、互いに対向する一対の劈開面160を持つ共振器を有し、パッド電極143はストライプ部109aの上側部分を除く領域に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、高密度光ディスク装置、レーザディスプレイ装置又は照明装置等に適用可能な半導体レーザ装置に関する。
近年、半導体レーザ装置のうち、III-V族窒化物系化合物半導体(以下、単に窒化物半導体と称す。)を用いた半導体レーザ装置の研究及び開発が進み、高密度光ディスク装置用の短波長光源として一部が実用化されるに至っている。
窒化物半導体レーザ装置は、通常、有機金属気相成長(MOCVD)法により、例えばn型窒化ガリウム(GaN)からなる基板の上に、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層及びp型コンタクト層を含むダブルへテロ構造体を形成した後、形成されたp型層の一部をリッジ状のストライプ部として加工して導波路を形成し、ストライプ部の上面を除く領域を絶縁膜で覆った後にp側電極を形成する。さらに、基板の裏面にn側電極を形成し、続いて、ダブルへテロ構造体を所定の結晶面で劈開して共振器を形成することにより作製される。これら製造工程のなかで、とりわけp側電極の形成方法は、半導体レーザ装置の性能、信頼性及び歩留まり等に大きく影響を及ぼす要因として注目され、種々の改良が加えられている。例えば、下記の特許文献1に開示された従来の窒化物半導体レーザ装置におけるp側電極の構成について図面を参照しながら説明する。
図12(a)は従来の窒化物半導体レーザ装置におけるp側電極を含む部分の断面構成を示し、図12(b)はp側電極の平面構成を示している。
図12に示すように、従来の窒化物半導体レーザ装置は、活性層を含み、上部がリッジ状のストライプ部を有する半導体積層体1と、該半導体積層体1におけるリッジ部の上部に形成されたp型半導体層(コンタクト層)2と、該p型半導体層2の上に形成されたp側オーミック電極4とを有している。
ストライプ部の側面を含む半導体積層体1は絶縁膜3により覆われており、p側オーミック電極4は、その上面及びストライプ部の側方を含めチタン(Ti)等からなる第1の薄膜層5及び該第1の薄膜層5の上に形成され幅が第1の薄膜層5よりも小さく且つ長さがストライプ部よりも短い金(Au)からなる第2の薄膜層6からなるパッド電極7により覆われている。
この構成により、パッド電極7は、p型半導体層2と良好なオーミック特性を得られると共に、第1の薄膜層5を設けることより、半導体積層体1を劈開する際の電極剥がれが発生しにくくなる。さらには、第2の薄膜層6を設けることにより、良好な放熱性を確保することができる。
なお、特許文献1においては、第1の薄膜層5と第2の薄膜層6とを併せてパッド電極7と称しているが、本願明細書においては、より厳密に、ワイヤボンディング又はヒートシンクとの半田付けに供される、特許文献1に係る第2の薄膜層6に相当する部材をパッド電極と称し、特許文献1に係る第1の薄膜層5に相当する部材は配線電極と称し、これらを区別する。
特開2000−22272号公報
本願発明者は、前記従来の半導体レーザ装置に対して種々の検討を加えた結果、従来の半導体レーザ装置の構成では十分な信頼性を得られないという結果を得ている。
具体的には、光出力一定の条件下で従来の半導体レーザ装置を駆動した場合に、動作電流が時間と共に徐々に増加すると共に、ある時点で動作電流が急激に増大して不可逆的に劣化してしまう現象を確認している。劣化した半導体レーザ装置を観察した結果、ストライプ部における端面近傍、すなわち第2の薄膜層6が設けられていない領域において、ストライプ部の一部が溶解し破壊されていることを観察した。
解析の結果、時間と共に徐々に動作電流が増大する現象は、本願発明のパッド電極に相当する第2の薄膜層6を構成するAu等の元素が第1の薄膜層5又はp側オーミック電極4と相互拡散して半導体積層体1にまで侵入し、非発光再結合中心が形成されたためと推察される。また、ある時点で発生した端面付近の不可逆的な破壊は、放熱性が非常に良好な第2の薄膜層6で覆われる共振器の中央部分に対し、該第2の薄膜層6で覆われていない共振器端面の近傍の温度が相対的に異常に上昇し、これが端面近傍のバンドギャップエネルギーを低下させ、さらには光吸収を増大させるという正帰還的な現象が発生し、ついには結晶及び電極の溶融を引き起こすまでに温度上昇したためと推察される。
本発明は、前記の問題に鑑み、パッド電極からの金属元素の拡散を発生させることなく、且つ、共振器の中央部分に対する端面部分の相対的な温度上昇を低減して、信頼性が高い半導体レーザ装置を得られるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、ストライプ状の電流注入領域を有する半導体レーザ装置を、オーミック電極と接続されるパッド電極を電流注入領域の上側から外れた領域に形成する構成とする。
具体的に、半導体レーザ装置は、活性層及び該活性層の上方にストライプ状に延びる電流注入領域を有する半導体積層体と、半導体積層体の上に電流注入領域を覆うように形成されたオーミック電極と、半導体積層体の上にオーミック電極と電気的に接続されて形成されたパッド電極とを備え、半導体積層体は、活性層を含み且つ電流注入領域の長手方向にほぼ垂直に形成され、互いに対向する一対の劈開面を持つ共振器を有し、パッド電極は、電流注入領域の上側部分を除く領域に形成されていることを特徴とする。
本発明の半導体レーザ装置によると、半導体積層体の上にオーミック電極と電気的に接続されて形成されたパッド電極は、電流注入領域の上側部分を除く領域に形成されているため、電流注入領域にパッド電極を構成する金属元素が拡散することがない。その上、動作時に高温となる電流注入領域をパッド電極が部分的にを覆うことがないため、電流注入領域(共振器)のパッド電極に覆われた部分と覆われていない部分とに生じる温度差が小さくなる。その結果、例えば共振器の端面のみが局所的に高温となって結晶性が破壊されるという事態を防止することができるので、半導体レーザ装置の信頼性が向上する。
本発明の半導体レーザ装置において、パッド電極は、電流注入領域と対向する側に形成され、端部が一対の劈開面の少なくとも一方にまで達する第1の領域と、第1の領域に対する電流注入領域の反対側に形成され、端部が各劈開面と間隔をおいた第2の領域とを有していることが好ましい。このように、端面部分の温度がその中央部分よりも高くなる共振器において、パッド電極における電流注入領域に近い第1の領域を劈開面の少なくとも一方にまで達するように形成するため、端面部部分の温度と中央部分の温度との温度差がさらに小さくなるので、信頼性がより向上する。
本発明の半導体レーザ装置において、電流注入領域とパッド電極との間隔は、電流注入領域の中央部分よりも両端部で小さく設定されていることが好ましい。
本発明の半導体レーザ装置において、パッド電極は、金若しくはアルミニウムを含む単層膜又は積層膜からなることが好ましい。
本発明の半導体レーザ装置において、パッド電極は、半導体積層体上における電流注入領域の長手方向の両側に形成されていることが好ましい。
本発明の半導体レーザ装置において、オーミック電極は、電流注入領域の放熱性を高める膜により覆われていることが好ましい。
この場合に、膜は、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン又はグラファイトからなることが好ましい。
本発明の半導体レーザ装置において、半導体積層体は、p型半導体層及びn型半導体層を含み、オーミック電極は、半導体積層体におけるp型半導体層と接するように形成されていることが好ましい。
本発明の半導体レーザ装置において、半導体積層体は、III-V族窒化物半導体からなることが好ましい。
本発明に係る半導体レーザ装置によると、パッド電極を構成する金属元素の半導体積層体への拡散が生じず、非発光性再結合中心が形成されることがない。さらに、共振器の端部と中央部との温度差が小さくなるため、共振器の中央部に対する端部の相対的な温度上昇が抑制されるので、共振器端面及びその近傍に結晶溶融が発生しにくくなり、その結果、半導体レーザ装置の信頼性を大幅に向上することができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1(a)及びは図1(b)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置であって、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のIb−Ib線における断面であって、共振器の長手方向に対して垂直な方向の断面構成を示している。
ここでは、図1(a)及び(b)を用いて、第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の構成及びその製造方法を説明する。
まず、図1(b)に示すように、MOCVD法により、例えばn型GaNからなる基板101の上に、基板温度を1050℃として、厚さが3μmのn型GaN層102、厚さが1.2μmのn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層103及び厚さが0.08μmのn型GaNからなる第1光ガイド層104を順次成長する。なお、基板101は図示していないが、劈開するまではウエハ状態にある。
続いて、基板温度を800℃にまで降温した後、厚さが7.5nmのIn0.02Ga0.98Nからなるバリア層と厚さが3.0nmのIn0.10Ga0.90Nからなる井戸層とを3周期分繰り返して成長することにより多重量子井戸(MQW)活性層105を形成し、その後、該MQW活性層105の上に、厚さが50nmのIn0.02Ga0.98Nからなる第2光ガイド層106を成長する。
次に、基板温度を1000℃に設定して、第2光ガイド層106の上に、厚さが50nmのGaNからなる第3光ガイド層107、厚さが10nmのp型Al0.20Ga0.80Nからなるp型第1クラッド層108、厚さが1.5nmのp型Al0.10Ga0.90Nからなる第1層と厚さが1.5nmのp型GaNからなる第2層とを160周期分繰り返して形成し、厚さが0.48μmの歪超格子構造を有するp型第2クラッド層109、及び厚さが0.05μmのp型GaNからなるp型コンタクト層110を順次成長する。このようなエピタキシャル成長により、ダブルへテロ構造を有する半導体積層体120が形成される。
続いて、半導体積層体120が形成された基板(ウエハ)101を反応炉から取り出し、塩素(Cl2 )ガスを用いたドライエッチングにより、コンタクト層110及びp型第2クラッド層109の上部に、幅が約1.5μmで高さが約0.5μmのリッジ状のストライプ部109aを形成する。ここで、ストライプ状に形成されたp型コンタクト層110が半導体積層体120における電流注入領域となる。
次に、図1(a)及び図1(b)に示すように、化学的気相堆積(CVD)法により、ストライプ部109aが形成された半導体積層体120の上に全面にわたって、厚さが0.1μmの酸化シリコン(SiO2 )からなる絶縁膜130を成膜する。続いて、リソグラフィ法及びフルオロカーボンガスを主成分とするドライエッチング法により、成膜された絶縁膜130におけるp型コンタクト層110の上側部分を選択的に除去して、p型コンタクト層110を露出する。
続いて、真空蒸着法により、露出したp型コンタクト層110を含むストライプ部109aの上面及び側面を覆うように、厚さが40nmのパラジウム(Pd)と、厚さが40nmの白金(Pt)とを順次成膜して、ストライプ部109aの上面の電流注入領域にp側オーミック電極141を形成する。
次に、絶縁膜130の上のp側オーミック電極141を含む全面に配線電極142を形成する。その後、形成した配線電極142の上のストライプ部109aの一方の側方領域にパッド電極143を形成する。ここで、配線電極142は、真空蒸着法により、p側オーミック電極142側から、例えば厚さが50nmのチタン(Ti)と厚さが100nmの白金(Pt)とにより構成している。また、パッド電極143は、真空蒸着法又はめっき法により、配線電極142側から、例えば厚さが50nmのチタン(Ti)と厚さが1.0μmの金(Au)とにより構成している。配線電極142及びパッド電極143のそれぞれの1層目のTiは下地金属である白金との密着性を向上させるために設けている。
図1(a)に示すように、パッド電極143の平面形状はほぼ長方形であるが、互いに対向する共振器端面のうちの出射端面が識別可能なように、長方形の1つの角部にかぎ型の切り欠き部を設けている。パッド電極143におけるストライプ部109aが延びる方向(長手方向)の寸法は、共振器長の600μmよりも短い580μmとし、ストライプ部109aに対して垂直な方向の幅は200μmとしている。ここで、パッド電極143の長さ寸法を共振器の長さ寸法よりも短くし、劈開面(共振器端面)160よりも内側に形成しているのは、パッド電極143を複数のレーザチップに跨って形成した場合に、この後の劈開工程において、パッド電極143が剥がれたり、逆に分離できなかったりする事態を回避するためである。また、ストライプ部109aとパッド電極143の間隔dは5μmとしている。
続いて、基板101におけるn型GaN層102の反対側の面すなわち裏面を研磨して、該基板101の厚さを約100μmにまで薄膜化する。その後、真空蒸着法等により、薄膜化された基板101の離面上にn側オーミック電極150を形成する。ここで、n側オーミック電極150は、基板101側から、厚さが10nmのチタン(Ti)、厚さが100nmの白金(Pt)及び厚さが1.0μmの金(Au)を順次積層して形成されている。
次に、n側オーミック電極150が形成された基板101及びパッド電極143が形成された半導体積層体120をストライプ部109aの長手方向とほぼ直交する方向に劈開して、幅が600μmのバー状に切り出して共振器端面160を形成する。なお、バー状に劈開された基板101には、各ストライプ部109aが互いに平行に位置する複数の半導体レーザ装置(レーザチップ)が含まれる。続いて、例えばスパッタ法により、各共振器端面160上に誘電体からなるコーティング膜(図示せず)を形成する。ここでは、前端面及び後端面の発振波長に対する電力反射率をそれぞれ20%及び95%となるように形成している。
次に、スクライブによって、バー状の基板101に含まれる半導体レーザ装置を個々のレーザチップに分離する。
その後、図示はしていないが、形成された窒化物半導体レーザ装置を、両面がメタライズされた窒化アルミニウム(AlN)からなるサブマウントの上に、基板101のn側オーミック電極150が接するように、いわゆるジャンクションアップと呼ばれる実装法によって、金錫(AuSn)からなる半田材により固着する。さらに、半導体レーザ装置が固着されたサブマウントを銅(Cu)からなるヒートシンクの上にAuSnからなる半田材により固着する。
続いて、パッド電極143に、金(Au)からなるワイヤを接続し、接続されたワイヤと、n側オーミック電極150と電気的に接続されたサブマウント上の金属電極とにそれぞれ外部から電流を供給することにより、半導体積層体120におけるストライプ部109aに電流を注入することができる。
以下、第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の動作特性を評価した結果を図2に示す比較例と共に説明する。図2に示すように、本比較例は、パッド電極243がストライプ部109aを含め、配線電極142のほぼ全面を覆う構成としている。具体的には、パッド電極243のストライプ部109aの長手方向の寸法は、第1の実施形態と同一の580μmであるが、ストライプ部109aに垂直な方向の幅は300μmとし、その一部がストライプ部109aを覆うように形成している。この比較例も、第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置と同様のサブマウント及びヒートシンクに実装して動作特性の比較を行なっている。
図3は第1の実施形態に係る半導体レーザ装置と比較例に係る半導体レーザ装置の室温における電流−光出力特性の代表例を示している。図3に示すように、電流−光出力特性は両者でほぼ同等であったが、測定数を増やしてより詳細に比較すると、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の方が高出力時の動作電流が若干多めになっていることが分かる。これは、比較例においては、ストライプ部109aの直上に放熱性に優れた比較的に膜厚が大きいAuからなるパッド電極243が形成されているのに対し、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置においては、ストライプ部109aの直上にはパッド電極143が設けられていないためである。
図4に各半導体レーザ装置について、光出力を150mWの一定値とする条件下でエージング試験を行なった結果を示す。図4から分かるように、比較例に係る半導体レーザ装置は、初期の動作電流が第1の実施形態に係る半導体レーザ装置と比べて平均して小さいものの、500時間程度の比較的に短時間で電流の増加が起こり、1000時間前後でついには急激に動作電流が増大して故障に至っている。一方、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置は、電流の増加の割合が極めて小さく、2000時間が経過しても安定した動作を示す。
一般に、半導体レーザ装置の寿命は動作電流が大きい程短くなることが知られているが、図3及び図4に示す評価結果はこれに当てはまらない。本願発明者は、この原因を探るために、数値シミュレーションによってストライプ方向の温度分布を計算した。ここでは、数値シミュレーションの前提として、リッジ状の電流注入領域であるストライプ部109aに均一に発生した熱が、レーザチップ及びサブマウントを通して、ヒートシンクに放熱される単純なモデルを仮定している。
図5はレーザ駆動時のストライプ部109aに沿ったMQW活性層105における温度分布のシミュレーション結果を表わしている。図5から分かるように、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置は、横軸に示す距離が0μm及び600μmの端面の近傍でわずかに温度上昇が見られるものの、共振器(ストライプ部109a)の全域にわたって比較的に均一な温度分布を示している。
これに対し、図5に示すように、比較例に係る半導体レーザ装置は、パッド電極243による良好な放熱特性を反映して全体的に温度は低いものの、パッド電極243に覆われていない共振器端面160近傍の温度がパッド電極243に覆われたストライプ部109aの中央部分に対して大きく上昇している。このように、比較例に係る半導体レーザ装置は、局所的に温度が上昇する共振器端面160の近傍において、ストライプ部109aの中央部分と比べて活性層105のバンドギャップエネルギーが相対的に小さくなるため、発振波長の光エネルギーがより多く吸収されてしまう。これにより、発熱がさらに多く生じるという正帰還的なプロセスを経ることとなって、共振器端面160の近傍では、実際には数値シミュレーション以上に温度が上昇して、局所的な劣化を引き起こしていると推測される。
この局所的な劣化とは、前述したように、動作時の発熱によって、パッド電極243における共振器端面160に比較的に近い領域が、p側オーミック電極141を介して半導体積層体120に拡散し非発光再結合中心を形成するメカニズムと、温度上昇によって共振器端面160の近傍で半導体積層体120自体が溶融するに至るメカニズムとの双方が並存すると考えられる。
このように、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置は、レーザチップとしての平均的な温度は比較例より高いものの、局所的な温度上昇が小さいため、半導体積層体120に劣化が生じにくい。窒化物半導体は、AlGaAs又はAlGaInPといった従来の砒化ガリウム系又は燐化ガリウム系のIII-V族化合物半導体と比べて化学的に極めて安定で
あるため、レーザチップ全体の平均的な温度の上昇は結晶性の劣化にそれ程影響は及ぼさないが、局所的な温度分布は結晶性の劣化に極めて大きな影響を及ぼすと考えられる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置によると、放熱性が比較的に優れたパッド電極143を電流注入領域を構成するストライプ部109aから離して形成するため、チップ全体の温度は上昇するものの、共振器端面160及びその近傍部分の温度が局所的に上昇することを防止することができる。これにより、パッド電極143を構成する金属元素の半導体積層体120への拡散が生じないため、非発光性再結合中心が形成されることがない。さらに、共振器端面160と共振器の中央部分との温度差が小さくなるため、共振器の中央部分に対する端面部部分の相対的な温度上昇が抑制される。その結果、共振器端面160及びその近傍に結晶溶融が発生しにくくなるので、半導体レーザ装置の信頼性を大幅に向上することができる。
なお、第1の実施形態においては、パッド電極143のストライプ方向の寸法を共振器端面160からそれぞれ10μmずつ内側となるように設定したが、これに限られない。但し、劈開工程における劈開位置のばらつきを考慮すると、共振器端面160から5μm以上のマージンを取ることが望ましい。
また、ストライプ部109aとパッド電極143との間隔dを5μmとしているが、これに限られない。但し、パッド電極143がストライプ部109aに近くなり過ぎると、ストライプ部109aの中央部分と端面部分との温度差が生じ易くなるため、間隔dは少なくとも0.5μm程度とすることが望ましい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図6は本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の平面構成を示している。図6において、図1(a)に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。また、III-V族窒化物からなる半導体積層体の構成も第1の実施形態と同等である。
図6に示すように、第2の実施形態に係る半導体レーザ装置は、パッド電極143を、ストライプ部109aと対向する領域では両端部が1対の共振器端面(劈開面)160にまで達するように設けられた第1の領域143aと、該第1の領域143aに対するストライプ部109aの反対側で且つ端部が共振器長よりも短いすなわち共振器端面160よりも内側に設けられた第2の領域143bとにより構成している。
ここで、ストライプ部109aと第1の領域143aとの間隔dは5μmとし、第1の領域143aの幅aは20μmとしている。第2の領域143bにおける共振器の長手方向の寸法は、第1の実施形態と同様に580μmとし、幅は180μmとしている。
また、パッド電極143は第1の実施形態と同様に、厚さが50nmのチタン(Ti)とその上に形成された厚さが1.0μmの金(Au)とにより構成している。
図7に、図6に示した第2の実施形態に係る半導体レーザ装置のMQW活性層105におけるストライプ部109aに沿った温度分布の数値シミュレーション結果を示す。比較のために、図1に示した第1の実施形態に係る半導体レーザ装置及び図2に示した比較例に係る半導体レーザ装置のシミュレーション結果をも表わしている。
図7から分かるように、第2の実施形態に係る半導体レーザ装置は、共振器端面160における温度上昇がさらに抑制され、レーザチップの全体にわたって均一な温度分布を実現できている。これは、ストライプ部109に近い第1の領域143aが共振器端面160にまで延びていることから、ストライプ部109aにおける最も発熱し易い共振器端面160の近傍部分が効果的に冷却されているためである。
本願発明者は、実際に第2の実施形態に係る半導体レーザ装置を光出力が150mWで且つ温度が70℃の条件下で連続的に通電したところ、2000時間以上経過しても動作電流の増大はほとんど観測されず、第1の実施形態と比べてもさらに良好な信頼性を得ることができることを確認している。
なお、ここでは、第1の領域143aが劈開面である共振器端面160と接する部分の幅aを20μmとしたが、これに限られない。但し、幅aは約1μm以上且つ100μm未満が望ましい。なぜなら、幅aが約1μm未満になると放熱効果が十分に得られなくなるため、共振器端面160の近傍での温度上昇が大きくなる。一方、幅aが100μm以上とすると、半導体積層体120を劈開する際に、パッド電極143の第1の領域143aに対する劈開が困難となるため望ましくない。具体的には、半導体積層体120を劈開する際に、パッド電極143が剥がれたり、逆に、パッド電極143が劈開されず、ちぎれたような不規則な形状で分離されたりして、歩留まりが低下する原因となる。
このように、第2の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置によると、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の構成に加え、パッド電極143におけるリッジ状のストライプ部109aと対向する第1の領域143aにのみ、ストライプ部109aの長手方向の両端部を共振器端面160にまで延ばしているため、共振器端面160と共振器の中央部分との温度差がさらに小さくなる。従って、半導体レーザ装置の信頼性がさらに向上する。
なお、第2の実施形態においては、パッド電極143の第2の領域143bにおけるストライプ部109aの長手方向の寸法を共振器端面からそれぞれ10μmずつ内側になるように設定したが、これに限られない。但し、劈開工程における劈開位置のばらつきを考慮すると、共振器端面160から5μm以上のマージンを取ることが望ましい。
また、第2の実施形態においては、ストライプ部109aとパッド電極143との間隔dを5μmとしたが、これに限られない。但し、パッド電極143がストライプ部109aに近くなり過ぎると、ストライプ部109aの中央部分と端面部分との温度差が生じ易くなるため、約0.5μm以上離すことが望ましい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図8は本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の平面構成を示している。図8において、図1(a)に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。また、III-V族窒化物からなる半導体積層体の構成も第1の実施形態と同等である。
図8に示すように、第3の実施形態に係る半導体レーザ装置は、第2の実施形態と同様に、パッド電極143を、ストライプ部109aと対向する領域では両端部が1対の共振器端面(劈開面)160にまで達するように設けられた第1の領域143aと、該第1の領域143aに対するストライプ部109aの反対側で且つ端部が共振器端面160よりも内側に設けられた第2の領域143bとにより構成している。
ここで、ストライプ部109aと第1の領域143aとの間隔dは5μmとし、第1の領域143aの幅aは20μmとしている。第2の領域143bにおける共振器の長手方向の寸法は、第1の実施形態と同様に580μmとし、幅は180μmとしている。
さらに、第2の実施形態においては、ストライプ部109aと第1の領域143aとの間隔は、共振器端面160の近傍ではd0 =5μmとし、共振器端面160の近傍を除く部分ではd1 =10μmとしている。
図9に、図8に示した第3の実施形態に係る半導体レーザ装置のMQW活性層105におけるストライプ部109aに沿った温度分布の数値シミュレーション結果を示す。比較のために、図1に示した第1の実施形態に係る半導体レーザ装置、図2に示した比較例に係る半導体レーザ装置及び図6に示した第2の実施形態に係る半導体レーザ装置のシミュレーション結果をも表わしている。
図9から分かるように、第3の実施形態に係る半導体レーザ装置は、レーザチップ全体の平均的な温度は若干高くなるものの、共振器端面160の近傍の温度と共振器の中央部分の温度との差が一層小さくなり、均一な温度分布が実現されている。これは、ストライプ部109aとパッド電極143との間隔を共振器端面160とその近傍部分でd0 とし、他の部分でd1 (d0 <d1 )と大きくすることにより、発熱量が大きい共振器端面160の近傍部分の放熱が優先的に改善されるからである。
このように、第3の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置によると、第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の構成に加え、パッド電極143におけるリッジ状のストライプ部109aと対向する第1の領域143aの両端部を除く部分のストライプ部109aとの間隔d1 を両端部の間隔d0 よりも大きくしている。これにより、共振器端面160と共振器の中央部分との温度差がより一層小さくなるため、半導体レーザ装置の信頼性がより一層向上する。
なお、第3の実施形態においては、ストライプ部109aとパッド電極143との距離d0 を5μmとし、d1 を10μmとしたがこれに限られない。各間隔d0 及びd1 は、ストライプ部109aの中央部分と端面部分との温度差が小さくなるように適宜設定することができる。
また、第3の実施形態においても、パッド電極143の第1の領域143aが劈開面と接する部分の幅aを20μmとしたが、これに限られない。但し、第2の実施形態に示した理由で、約1μm以上且つ100μm未満が望ましい。
また、パッド電極143の第2の領域143bにおけるストライプ部109aの長手方向の寸法を共振器端面からそれぞれ10μmずつ内側になるように設定したが、これに限られない。但し、劈開工程における劈開位置のばらつきを考慮すると、共振器端面160から5μm以上のマージンを取ることが望ましい。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図10(a)及びは図10(b)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置であって、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のXb−Xb線における断面であって、共振器の長手方向に対して垂直な方向の断面構成を示している。図10(a)及び(b)において、図1(a)及び(b)に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図10(a)及び(b)に示すように、第4の実施形態においては、第2の実施形態に示したパッド電極143をストライプ部109aの両側方の領域に設けている。
具体的には、第4の実施形態に係るパッド電極143は、ストライプ部109aの両側面と対向する領域では両端部が1対の共振器端面(劈開面)160にまで達するように設けられた第1の領域143aと、該第1の領域143aに対するストライプ部109aの反対側で且つ端部が共振器長よりも短い、すなわち共振器端面160よりも内側に設けられた第2の領域143bとにより構成している。
ここで、ストライプ部109aと各第1の領域143aとの間隔dは5μmとし、第1の領域143aの幅aは20μmとしている。各第2の領域143bにおける共振器の長手方向の寸法は、第1の実施形態と同様にそれぞれ580μmとし、幅は180μmとしている。
また、パッド電極143は第1の実施形態と同様に、厚さが50nmのチタン(Ti)とその上に形成された厚さが1.0μmの金(Au)とにより構成している。
このように、第4の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置によると、第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の構成を持つパッド電極143をストライプ部109aの両側に形成しているため、電流注入領域を構成するストライプ部109aからの発熱がより効果的に放散される。このため、ストライプ部109a全体の平均温度を低下させることができるので、半導体レーザ装置の信頼性をさらに向上させることができる。
なお、第4の実施形態においては、第2の実施形態と同様に、パッド電極143における第1の領域143aが劈開面と接する部分の幅aは本実施形態では20μmとしたが、これに限られず、約1μm以上且つ100μm未満が望ましい。
また、第4の実施形態においては、パッド電極143の第2の領域143bにおけるストライプ部109aの長手方向の寸法を、共振器端面160からそれぞれ10μmずつ内側となるように設定したが、これに限られない。但し、劈開工程における劈開位置のばらつきを考慮すると、共振器端面160から5μm以上のマージンを取ることが望ましい。
また、ストライプ部109aとパッド電極143の第1の領域143aとの間隔dを5μmとしたが、これに限られない。但し、パッド電極143がストライプ部109aに近くなり過ぎると、ストライプ部109aの中央部分と端面部分との温度差が生じ易くなるため、約0.5μm以上離すことが望ましい。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図11(a)及びは図11(b)は本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置であって、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のXIb−XIb線における断面であって、共振器の長手方向に対して垂直な方向の断面構成を示している。図11(a)及び(b)において、図10(a)及び(b)に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
第5の実施形態に係る半導体レーザ装置は、第4の実施形態と同様の構成であるストライプ部109aの両側に形成されたパッド電極143と、該パッド電極143の間から露出するストライプ部109a上の配線電極142を覆うように形成され、例えば窒化アルミニウム(AlN)からなる放熱膜170とを有している。
このように、第5の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置によると、第4の実施形態に係る半導体レーザ装置の構成に加え、パッド電極143から露出する領域の上に、比較的に熱伝導率が高い放熱膜170を設けているため、ストライプ部109aから発生した熱がより効果的に放散できる。このため、ストライプ部109a全体の温度を大幅に低下させることができるので、半導体レーザ装置の信頼性をより一層向上させることができる。
なお、放熱膜170を構成する材料には、劈開が容易な材料、すなわち金属よりも延性が小さい材料が望ましい。また、良好な放熱性を確保するため、熱伝導率が高い材料であることが望ましい。このような材料には、窒化アルミニウム(AlN)の他に、窒化ガリウム(GaN)、酸化シリコン(SiO2 )、酸化アルミニウム(Al23)、窒化シリコン(SiN)、アモルファスシリコン(α−Si)若しくはグラファイト(C)又はこれらのうち2種類以上を含む積層膜を用いることができる。
なお、これらを構成材料とする放熱膜170は、例えば、リソグラフィ法により、パッド電極143の上にストライプ部109aを含む領域を開口するレジストパターンを形成した後、スパッタ法、真空蒸着法又はCVD法等により放熱膜170の形成材料を成膜し、続いて、レジストパターンを除去することにより形成することができる。
なお、第5の実施形態においては、パッド電極143を第4の実施形態に示したようなストライプ部109aの両側に設ける構成としたが、これに限られず、第1〜第3の実施形態のように、パッド電極143がストライプ部109aの片側にのみ配置される構成においても同様の効果を得ることができる。
また、第5の実施形態においては、第4の実施形態と同様に、パッド電極143における第1の領域143aが劈開面と接する部分の幅aは本実施形態では20μmとしたが、これに限られず、約1μm以上且つ100μm未満が望ましい。
また、第5の実施形態においては、パッド電極143の第2の領域143bにおけるストライプ部109aの長手方向の寸法を、共振器端面160からそれぞれ10μmずつ内側となるように設定したが、これに限られない。但し、劈開工程における劈開位置のばらつきを考慮すると、共振器端面160から5μm以上のマージンを取ることが望ましい。
また、ストライプ部109aとパッド電極143の第1の領域143aとの間隔dを5μmとしたが、これに限られない。但し、パッド電極143がストライプ部109aに近くなり過ぎると、ストライプ部109aの中央部分と端面部分との温度差が生じ易くなるため、約0.5μm以上離すことが望ましい。
さらに、第1〜第5の各実施形態においては、パッド電極143として金(A)uを用いたが、これに限られない。第1の実施形態のように、ジャンクションアップで実装する場合は、ワイヤとのボンディング性に優れた材料であればよく、例えばアルミニウム(Al)を用いることができる。また、Au又はAlを含む合金膜又は積層膜であってもよい。
また、各実施形態においては、p側オーミック電極141にはパラジウム(Pd)と白金(Pt)との積層膜を用いたが、これに限られず、p型窒化ガリウムと良好なオーミック特性を得られる金属を用いることができる。
また、各実施形態においては、p側オーミック電極141をリッジ状のストライプ部109aの上面及び側面とその近傍にのみ形成し、配線電極142を介してパッド電極143と電気的に接続する構成を採っているが、必ずしもこのような3つの部材を用いる構成を採る必要はない。例えば、配線電極142を省略する代わりに、p側オーミック電極141を配線電極142と同一の形状に形成して、p側オーミック電極141の上にパッド電極143を直接に形成してもよい。
また、各実施形態においては、パッド電極143の厚さを1μm程度としたがこれに限られない。但し、パッド電極143の厚さは、0.3μm以上且つ30μm未満が望ましい。なぜなら、パッド電極143の厚さが0.3μm未満になると、ワイヤボンディング(ジャンクションアップ実装の場合)又はヒートシンクへの半田付け(ジャンクションダウン実装の場合)が困難となり、また、放熱性も劣化するからである。逆に、パッド電極143の厚さが30μm以上になると、成膜工程である蒸着時又はめっき時に生じる膜中の応力が大きくなって、成膜されたパッド電極143が剥がれる等の不具合が生じやすくなるからである。
また、各実施形態においては、半導体積層体120の上部にリッジ状の電流注入領域(ストライプ部109a)を有する半導体レーザ装置について説明したが、必ずしもこの構成に限られない。例えば、リッジ状のストライプ部109aを埋め込み型の電流狭窄層に挟まれた内部ストライプ部を有する構成のストライプ型レーザ装置であっても同様の効果を得ることができる。
また、各実施形態においては、パッド電極143をp側オーミック電極141と電気的に接続する構成を採ったが、半導体積層体120の活性層105に対して基板101側にp型半導体層を形成し、且つ基板101と反対側にn型半導体層、ストライプ部及びn側オーミック電極を形成して、該n側オーミック電極と電気的に接続される構成でもよい。
また、半導体積層体120は、III-V族窒化物半導体に限られず、砒化ガリウム(GaAs)又は燐化ガリウム(GaP)系のIII-V族化合物半導体にも適用可能である。
本発明に係る半導体レーザ装置は、半導体レーザ装置の信頼性を大幅に向上することができ、高密度光ディスク装置、レーザディスプレイ装置又は照明装置等に利用可能である。
(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線における断面図である。 比較例に係る窒化物半導体レーザ装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の電流−光出力特性を比較例と共に示したグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の連続動作時の電流変化を比較例と共に示したグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置のストライプ方向の温度分布の数値シミュレーション結果を比較例と共に示したグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置のストライプ方向の温度分布の数値シミュレーション結果を第1の実施形態及び比較例と共に示したグラフである。 本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示す平面図である。 本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置のストライプ方向の温度分布の数値シミュレーション結果を第1及び第2の実施形態並びに比較例と共に示したグラフである。 (a)及び(b)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のXb−Xb線における断面図である。 (a)及び(b)は本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のXIb−XIb線における断面図である。 (a)及び(b)従来の窒化物半導体レーザ装置を示し、(a)はパッド電極を含む断面図であり、(b)は平面図である。
符号の説明
101 基板
102 n型GaN層
103 n型クラッド層
104 第1光ガイド層
105 多重量子井戸(MQW)活性層
106 第2光ガイド層
107 第3光ガイド層
108 p型第1クラッド層
109 p型第2クラッド層
109a ストライプ部
110 p型コンタクト層
120 半導体積層体
130 絶縁膜
141 p側オーミック電極
142 配線電極
143 パッド電極
143a 第1の領域
143b 第2の領域
150 n側オーミック電極
160 劈開面(共振器端面)
170 放熱膜

Claims (9)

  1. 活性層及び該活性層の上方にストライプ状に延びる電流注入領域を有する半導体積層体と、
    前記半導体積層体の上に前記電流注入領域を覆うように形成されたオーミック電極と、
    前記半導体積層体の上に前記オーミック電極と電気的に接続されて形成されたパッド電極とを備え、
    前記半導体積層体は、前記活性層を含み且つ前記電流注入領域の長手方向にほぼ垂直に形成され、互いに対向する一対の劈開面を持つ共振器を有し、
    前記パッド電極は、前記電流注入領域の上側部分を除く領域に形成されていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記パッド電極は、前記電流注入領域と対向する側に形成され、端部が前記一対の劈開面の少なくとも一方にまで達する第1の領域と、前記第1の領域に対する前記電流注入領域の反対側に形成され、端部が前記各劈開面と間隔をおいた第2の領域とを有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記電流注入領域と前記パッド電極との間隔は、前記電流注入領域の中央部分よりも両端部で小さく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記パッド電極は、金若しくはアルミニウムを含む単層膜又は積層膜からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  5. 前記パッド電極は、前記半導体積層体上における前記電流注入領域の長手方向の両側に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  6. 前記オーミック電極は、前記電流注入領域の放熱性を高める膜により覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  7. 前記膜は、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、アモルファスシリコン又はグラファイトからなることを特徴とする請求項6に記載の半導体レーザ装置。
  8. 前記半導体積層体は、p型半導体層及びn型半導体層を含み、
    前記オーミック電極は、前記半導体積層体における前記p型半導体層と接するように形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  9. 前記半導体積層体は、III-V族窒化物半導体からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
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