JP2007155454A - 光ファイバプローブおよび検査方法および検査装置 - Google Patents

光ファイバプローブおよび検査方法および検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】通常伝搬光による検査と滲出近接場光による検査を切り替えて実行できる光学検査において、滲出近接場光による高分解能検査の際の、通常伝搬光によるノイズを有効に軽減し、高いS/N比で高分解能検査を実現する。
【解決手段】レーザ光を伝搬させるコアを有するシングルモードの光ファイバの射出側端面に、近接場光滲出面を軸側にして通常伝搬光射出面が近接場光滲出面を囲繞するように同心面状に有し、近接場光滲出面に表面プラズモン伝搬のための被覆層が形成され、通常伝搬光射出面は射出通常伝搬光が滲出近接場光よりも軸上で離れた位置に集光するように形成された光ファイバプローブの、通常伝搬光射出面の少なくとも一部の領域に、特定の偏光成分の入射レーザ光に所定の位相差を付与して偏光状態を変化させる移相手段を有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、光ファイバプローブおよび検査方法および検査装置に関する。
近来、シリコンウエハの欠陥検査等を「近接場光」を利用して行うことが提案されている。例えば、回折限界以下の寸法の微細構造体をプローブとして用い、プローブ先端部を照明することでその近傍に近接場光を発生させ、発生した近接場光により被検査面を走査することにより、プローブ近傍に局在している近接場光と試料面との電磁気的な相互作用により散乱した光や被検査体を透過した光を検出することで、被検面から反射光強度やスペクトル、偏光状態等の光学的情報を得ることができる。
シリコンウエハの欠陥検査等を行う検査装置として、対物レンズによる観察系を含む通常の光学顕微鏡装置に近接場光検出用光プローブを組み込み、対物レンズによる観察系での低分解能の検査後、近接場光を利用した高分解能の検査へ切り替える構成のものが提案されている(特許文献1)が、対物レンズによる広範囲検査後、近接場光による微細な検査領域への光プローブの位置合わせが容易でなく、検査に長時間を要すると考えられる。
光プローブとして、光ファイバの先端部にテーパ角の異なる2つの領域を同心的に形成し、光ファイバの軸心部分に形成されたテーパ角の大きい「尖った形状の部分」を近接場滲出面としてその面にAuやAg等の金属薄膜を形成し、近接場滲出面の頂部に近接場光を形成し、近接場光滲出面の周囲にテーパ角の小さい通常伝搬光射出面を形成し、通常伝搬光射出面から射出した通常伝搬光がテーパの作用により、近接場光滲出面からの滲出近接場光よりも光プローブ軸上で離れた位置に集光するようにしたものを用いる検査方法が提案されている(特許文献2)。
特許文献2の光検出方法では、通常伝搬光の集光位置と滲出近接場光とがともに「光プローブ軸方向」に位置するので、通常伝搬光による検査から滲出近接場光による検査への切り替えは光プローブ先端と被検面との「プローブ軸方向の距離」を切り替えるのみでよく、切り替えが容易であるので、検査の高速化を実現できる。
特開2000−055818公報 特願2005− 29652号
この発明は、通常伝搬光による検査と滲出近接場光による検査を切り替えて高速の検査を実行できる光学検査において、滲出近接場光による高分解能検査の際、通常伝搬光によるノイズを有効に軽減し、高いS/N比で高分解能検査を実現することを課題とする。
この発明の光ファイバプローブは「光源から放射されたレーザ光を伝搬させるコアを有するシングルモードの光ファイバの射出側端面に、近接場光を滲出させる近接場光滲出面と、通常伝搬光を射出する通常伝搬光射出面とを、近接場光滲出面を軸側にして通常伝搬光射出面が近接場光滲出面を囲繞するように同心面状に有し、近接場光滲出面に表面プラズモン伝搬のための被覆層が形成され、近接場光滲出面は頂角の小さい円錐面状に形成され、通常伝搬光射出面は射出通常伝搬光が滲出近接場光よりも軸上で離れた位置に集光するように形成された光ファイバプローブ」であって、以下の特徴を有する(請求項1)。
即ち、通常伝搬光射出面の少なくとも一部の領域に「特定の偏光成分の入射レーザ光に対し所定の位相差を付与して偏光状態を変化させる移相手段」を有する。
光ファイバプローブを構成する「シングルモードの光ファイバ」の長さには、特に制限がなく、設計条件に応じて適宜の長さのものを用いることができる。
上記の如く、光ファイバプローブは、シングルモードの光ファイバの射出側端面に、近接場光滲出面と通常伝搬光射出面とを有しており、光源からのレーザ光は、コアをシングルモードの伝搬光(通常伝搬光)である「実質的な平行光束」として伝搬し、近接場光滲出面と通常伝搬光射出面とに入射する。
「近接場光滲出面」をなす円錐面の頂角は、近接場光滲出面に入射する通常伝搬光を全反射させるような角に設定される。近接場光滲出面に形成される「表面プラズモン伝搬のための被覆層」は後述するAuやAg等の金属薄膜が好適であり、近接場光滲出面から滲出したエバネセント光は金属薄膜中の自由電子と結合し、表面プラズモンとして被覆層を伝搬して、円錐面状の近接場光滲出面の尖った先端部(以下「尖端部」という。)に「近接場光」を形成する。
「通常伝搬光射出面」は、近接場光滲出面を囲繞するように「同心面状」即ち、近接場光滲出面と回転対称軸を共通にして形成されるが、通常伝搬光射出面は「円錐面状」に形成してもよいし、射出する通常伝搬光の集光を助長する「レンズ面機能をもつ曲面」、例えばトロイダル面等として形成してもよい。
通常伝搬光射出面は、その「少なくとも一部の領域」に移相手段を有するが、この場合、通常伝搬光射出面の一部の領域としては「通常伝搬光射出面の一部の軸対称な領域」であることができるが、通常伝搬光射出面が移相手段を「通常伝搬光射出面の略全域」に有する(請求項2)ことが好ましい。
「移相手段」は、複屈折性を有する有機材料の薄膜等として実現することもできるが、入射レーザ光(コアを伝搬するレーザ光)の波長以下の周期を持つ「サブ波長構造」であることができる。周知の如く「サブ波長構造」は構造複屈折作用を有し、構造のパラメータの調整により「特定の偏光成分の入射レーザ光に対し所望の位相差を付与して偏光状態を変化させる」ことができる。
移相手段により付与される位相差は、上記入射レーザ光の「1/4波長」相当(請求項4)もしくは「1/2波長」相当が好ましい。
移相手段により付与される位相差が「1/4波長相当」であれば、移相手段に入射する特定偏光成分のレーザ光の偏光状態を円偏光に変換できる。また、上記位相差が「1/2波長相当」であれば、移相手段に入射する特定偏光成分のレーザ光の偏光面を90度旋回させることができる。
この発明の検査方法は「請求項1〜5の任意の1に記載の光ファイバプローブ」を用いて被検査体の被検面を光学的に検査する方法であって、以下の如き特徴を有する。
即ち、光源から放射されるレーザ光を、移相手段に対して偏光状態を調整して光ファイバプローブに導光してコアを伝搬させ、被検面を、滲出近接場光による近接場光スポットもしくは集光した射出通常伝搬光による通常伝搬光スポットより選択的に走査しつつ、被検面を介した検査光を検出手段により検出し、移相手段の作用により「通常伝搬光スポットによる検査光と近接場光スポットによる検査光の偏光状態」を異ならせる。そして、近接場光スポットによる検査を行うとき、通常伝搬光スポットによる検査光を低減もしくは遮断する。
請求項6記載の検査方法は、光ファイバプローブとして請求項4記載のものを用い、被検査体の被検面により反射もしくは散乱され「光ファイバプローブを戻り光として伝搬する検査光」を検出手段により検出する構成とすることができる(請求項7)。
請求項6記載の検査方法は、光ファイバプローブとして請求項5記載のものを用い、被検査体の被検面により反射もしくは散乱され、または被検査体を透過した検査光を「光ファイバプローブを介することなく検出手段により検出する構成」とすることができる(請求項8)。
この発明の検査装置は「被検査体の被検面を光学的に検査する装置」であって、レーザ光源と、光ファイバプローブと、偏光調整手段と、走査手段と、検出手段と、減衰手段を有する(請求項9)。
「レーザ光源」は、検査用のレーザ光を放射する。
「光ファイバプローブ」は、レーザ光源からのレーザ光をコアによって伝搬させ、滲出近接場光として滲出させる近接場光滲出面と、通常伝搬光を射出させて、滲出近接場光よりも軸上で離れた位置に集光するように形成された通常伝搬光射出面とを有するものであり上記請求項1〜5の任意の1に記載の光ファイバプローブである。
「偏光調整手段」は、レーザ光源からのレーザ光の偏光を調整する手段である。
「走査手段」は、被検査体の被検面を、滲出近接場光による近接場光スポットもしくは集光した射出通常伝搬光による通常伝搬光スポットにより選択的に走査する手段であり、従来から広く知られた「3軸の移動ステージ」等を利用することができる。
「検出手段」は、被検面を介した検査光を検出する手段であり、検出した検出光に基づき「被検面の観察や測定に応じた処理」を行う処理部を含むことができる。
「減衰手段」は、検出手段の一部をなし、近接場光スポットによる検査の際、検査光における通常伝搬光成分を減衰させもしくは遮断する手段である。
請求項9記載の検査装置は、光ファイバプローブとして請求項4記載のものを用い、検出手段が「光ファイバプローブを戻り光として伝搬する検査光」を検出する構成とすることができる(請求項10)。
請求項9記載の検査装置は、光ファイバプローブとして請求項5記載のものを用い、検出手段が「被検査体の被検面により反射もしくは散乱され、または被検査体を透過した検査光」を「光ファイバプローブを介することなく検出」する構成とすることができる(請求項11)。
なお、この明細書において「検査」は、被検面の状態を光学的に走査して「被検面の状態を光学的に観察する」場合や「被検面に対して光学的な測定を行う」場合を総称する。
上記の如く、この発明の光ファイバプローブを用いることにより、被検査体の検査の際、通常伝搬光スポットによる検査光と近接場光スポットによる検査光の偏光状態を異ならせ、近接場光スポットによる検査を行うとき、通常伝搬光スポットによる検査光を低減もしくは遮断することにより、通常伝搬光によるノイズを有効に軽減もしくは防止して高いS/N比での高分解能検査を実現することができる。
以下、実施の形態を説明する。
図1に示す検査装置1は、例えば「被検査体である試料の微小領域における光学物性を測定する近接場光学顕微鏡」等として実施することができる。
検査装置1は、レーザ光を放射する光源11と、光源11を駆動する駆動電源11a、光源11から射出されたレーザ光の光路中に配置されたビームスプリッタ12と、ビームスプリッタ12を透過したレーザ光の光路中に配置された1/2波長板18a、1/4波長板18b、これら波長板の調整を行う調整手段18と、波長板18a、18bを透過した光を被検査体2における被検面2aに照射する光ファイバプローブ13と、被検面2aからの戻り光を検出する光検出器14、プローブ制御部15、画像処理部16、偏光フィルタ17、画像表示部17Aおよび制御手段100を有する。制御手段100はマイクロコンピュータ等により構成され装置全体を制御する。
光ファイバプローブ13は、コア31とこれを囲繞するクラッド32とを有し、レーザ光を伝搬させる伝搬部21と、伝搬部21の射出側端部に近接場光滲出部20bと通常伝搬光射出部20aとを有するプローブ部22とを有する。コア31、クラッド32は、それぞれ2酸化シリコン系ガラスから成り、ゲルマニウム、リン等を添加することにより、コア31よりもクラッド32の屈折率が低くなるように組成制御されている。
光源11は駆動電源11aにより駆動され、所定波長のレーザ光を放射する。放射されたレーザ光は直線偏光状態であり、一部がビームスプリッタ12を透過し、ついで1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過する。
1/2波長板18a、1/4波長板18bは、透過光の光軸の周りに回転調整可能であり調整手段18により態位調整されて、レーザ光の偏光調整を行う。このようにレーザ光の偏光調整を行うので、光源から放射されるレーザ光の偏光方向は任意でよい。
1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過したレーザ光は光ファイバプローブ13のコア31へ入射し、シングルモード波として伝搬部21のコア31内を伝搬する。光ファイバプローブ13の光伝搬部21は長く、光伝搬部21が曲がっていると「伝搬するレーザ光の偏光状態が光伝搬部21の曲がりにより乱れる(直線偏光が楕円化する)」ので、1/4波長板18bの態位調整により「この偏光状態の乱れを補正」し、プローブ部22に入射するレーザ光を直線偏光に調整する。
このように、1/4波長板18bは「光伝搬部21の曲がりによる伝搬レーザ光の偏光状態の乱れを補正」するものであるので、偏光状態に乱れを生じないような構成の光ファイバプローブである場合には不要であり省略することもできる。このような場合、光源11を回転させることによりレーザ光の偏光状態を調整することもできる。
図2(b)は光ファイバプローブ13のプローブ部22を、図1の下方から見た状態を示している。プローブ部22は、通常伝搬光射出部20aと近接場光滲出部20bとからなっており、通常伝搬光射出部20aに対応するコア端面が「通常伝搬光射出面」であり、近接場光滲出部20bに対応するコア端面が「近接場光滲出面」である。
近接場光滲出面は「尖った円錐面状」に形成され、その表面に「表面プラズモン伝搬のための被覆層」がAu、Ag等による導電性薄膜として形成されている。近接場光滲出面をなす円錐面の頂角を「α2」とすると頂角:α2は、コアを伝搬して上記円錐面に入射する通常伝搬光の入射角が「全反射角以上」となるような角に設定されている。通常伝搬光が光ファイバプローブ13のコア31の中心線に平行であるとして、上記入射角をθ2とすると入射角:θ2は「θ2=90度―α2/2」である。入射角:θ2は「コア31の中心線に直交する面」に対して「近接場光滲出面をなす円錐面」のなす角であるので、以下において「近接場光社滲出面のテーパ角:θ2」と呼ぶこともある。
通常伝搬光射出部20aは、近接場光滲出面を囲繞して、近接場光滲出面と同心面的に形成された円錐面に「特定の偏光成分の入射レーザ光に対し所定の位相差を付与して偏光状態を変化させる移相手段」を有する。この実施の形態においては、通常伝搬光射出面は移相手段を射出面略全域に有する(請求項2)。
また、図1の実施の形態に用いられる光ファイバプローブ13においては、移相手段は「入射レーザ光の波長以下の周期を持つサブ波長構造」であり(請求項3)、入射レーザ光の「1/4波長相当の位相差」を与えるように構成されている(請求項4)。
図2(c)において、符号PDは「サブ波長構造による移相手段」を示す。移相手段PDは、図示の如く、通常伝搬光射出面20a1の表面に、誘電体による微細な凹凸構造として形成されている。この微細構造は、図面に直交する方向へは同一構造であり、図面に直交する方向へ凸条をなす誘電体と、誘電体凸条の間の溝部との周期的構造であり、誘電体の凸条の高さ:h、幅:w、ピッチ(周期):pにより特徴付けられる。図2(c)における左右方向をサブ波長構造の「ピッチ方向」と呼ぶ。
移相手段PDをなす誘電体は、コア31の材質と同一でもよい。換言すれば、移相手段をなす微細構造はコア31の通常伝搬光射出面の表面形状として形成することもできる。また、誘電体凸条の間の溝部は「凸条部をなす誘電体とは屈折率の異なる他の誘電体」で充填しても良く、このような充填処理を施すことにより、微細構造の機械的強度を増すことができる。
微細構造のピッチ:pを入射レーザ光の波長よりも小さくすると、微細構造に「構造複屈折」が生じることが知られている。この構造複屈折を利用して「通常伝搬光射出面からの射出伝搬光の偏光状態を変化させるのである。
図6は「構造複屈折」を説明するための図である。
図6(a)において、第1の媒質M1の上面にサブ周期構造SWSが形成されている。サブ周期構造SWSの形成された側の媒質を第2の媒質とし、第2の媒質の側から光を入射させるものとする。
上に説明したように、サブ周期構造SWSにおける微細構造の凸部(上記「凸条」に対応する。)の幅をw、高さをh、ピッチをpとする。このとき、f=w/pを「フィルファクタ」と呼ぶ。ピッチ:pが入射光の波長以下となると「構造複屈折」が発現する。
即ち、図示の如く、入射光における電界の振動方向がサブ波長構造SWSの空間周期方向に平行な偏光成分をTM偏光成分、これに直交する偏光成分(図面に直交する方向の偏光成分)をTE偏光成分とすると、サブ波長構造SWSは、TM偏光成分とTE偏光成分とに対して異なった屈折率領域として作用する。
光が入射する側の第2の媒質の屈折率をn2、第1の媒質の屈折率をn1とすると、TE偏光成分に対する有効屈折率:n(TE)は、上記フィルファクタ:fを用いて、
n(TE)=√{f・(n2)+(1−f)(n1)
で与えられ、TM偏光成分に対する有効屈折率:n(TM)は、
n(TM)=√{f・(n1)+(1−f)(n2)
で与えられる。
フィルファクタ:fが0から1まで変化すると、有効屈折率:n(TE)、n(TM)は図6(b)に示す如くに変化することになる。従って、フィルファクタ:fを調整することにより、TE偏光成分とTM偏光成分との間に所望の位相差を与えることができる。説明中の実施の形態では、この位相差が1/4波長相当である。
このようなサブ波長構造は、通常伝搬光射出面にレジスト層を塗布し、これに対して電子ビーム描画でサブ波長構造のパターンを書込み、パターンを書き込まれたレジストをマスクとしてエッチングを行う方法や、周知のナノインプリント法等により作製できる。
図1に戻ると、サブ波長構造による移相手段PDにより上記の如き1/4波長相当の位相差を与えるために、1/2波長板18a、1/4波長板18bによる偏光調整は、調整された直線偏光の偏光面(電界の振動面)が「位相構造PDをなすサブ波長構造におけるピッチ方向(図2(c)で左右方向)に対して45度となる」ように行われる。
通常伝搬光射出面をなす円錐面の頂角を「α1(>α2)」とすると角:α1は、この円錐面に入射する通常伝搬光の入射角が「0より大きく全反射未満」であるような角として設定されている。通常伝搬光が光ファイバプローブ13のコア31の中心線に平行であるとして、上記入射角をθ1とすると「θ1=90度―α1/2」である。入射角:θ1は上記中心線に直交する面に対して通常伝搬光射出面をなす円錐面のなす角でもあるので、以下において、通常伝搬光射出面のテーパ角:θ1と呼ぶこともある。
上記のようなテーパ角:θ2を持つ近接場光滲出面と、テーパ角:θ1を持つ通常伝搬光射出面と有するコア端面形状は、例えば、特開平7−260459号公報開示の「フッ酸等の水溶液を用いたウエットエッチングプロセス」により形成できる。
図2(a)を参照する。
コアを伝搬する通常伝搬光Lがプローブ部に到達すると、通常伝搬光Lは、その一部が近接場光滲出面に入射し、他は通常伝搬光射出面に入射する。近接場光滲出面に入射する通常伝搬光Lは「入射角が全反射角以上」であるので、その大部分が近接場光滲出面で全反射し、その際滲出するエバネセント光(近接場光)が被覆層20d中の自由電子と結合し、表面プラズモンとして被覆層20dを伝搬して近接場光滲出部20bの尖端部に近接場光スポットPLを形成する。近接場光スポットPLは上記尖端部から「数nm〜数10nmの位置」に形成される。
一方、通常伝搬光射出面に入射した通常伝搬光は、入射角が全反射角未満であるため通常伝搬光射出面から射出するが、その際、通常伝搬光射出面の円錐面の傾き(テーパ)により屈折し、図2(a)に示す如くに集光し、近接場光スポットPLよりも「軸上で離れた位置」に高強度の通常伝搬光スポットSPを形成する。上記尖端部と通常伝搬光スポットとの距離はテーパ角:θ1に依存し、テーパ角:θ1を調整することにより、近接場光滲出部の尖端部から数百nm〜数μm程度離れた位置となるようになっている。
このとき、通常伝搬光射出面に入射する通常伝搬光は前述の如く、1/2波長板18a、1/4波長板18bにより直線偏光状態となっており、通常伝搬光射出面から射出する通常伝搬光は「移相手段」による構造複屈折の作用を受け、1/4波長相当の位相差を与えられるので、射出通常伝搬光は「円偏光状態」となる。これに対し、滲出近接場光による近接場光スポットPLの偏光状態は入射レーザ光の直線偏光状態を保存している。
図1に戻ると、光ファイバプローブ13は上に説明した如く構成されており、光射出部近傍をプローブ制御部15に装着されている。プローブ制御部15は、例えば「3軸アクチュエータ」等により構成された公知のものであって、光ファイバプローブ13の射出側端部を被検面2aに対して「近接離間させる方向(図の上下方向)」及びこれに直交する2方向に変位させる機能を有する。
図1の検査装置により被検査体2の被検面2aに対し、まず通常伝搬光スポットSPにより低解像度の検査を行い、この低解像度検査により特定される高解像度検査を行うべき部位を近接場光スポットPLにより検査する場合を説明する。
低解像度検査の際には、光ファイバプローブ13の先端(尖端部)と被検面2aの間隔を「通常伝搬光スポットSPによる走査に適した距離(数100nm〜数μm)」に設定し、通常伝搬光スポットSPによる走査を行う。上記「通常伝搬光スポットSPによる走査に適した距離」は予め実験的に特定しておき、制御手段100のメモリに記憶させておく。
通常伝搬光スポットSPは前述の移相手段の作用により「円偏光状態」であり、被検面2aにより反射され、移相手段を介して通常伝搬光射出面からコア31に入射する際、再度1/4波長相当の位相差を与えられ直線偏光状態にもどり「戻り光」としてコア31を伝搬する。このときの偏光面は、光源側からプローブ部22に入射するときの偏光面と直交状態にある。
戻り光は、1/4波長板18b、1/2波長板18aを透過し、ビームスプリッタ12により反射され、偏光フィルタ17を介して光検出器14に受光される。このとき、戻り光は偏光状態にあるので、偏光フィルタ17は戻り光を最大限透過させるように態位調整される。
この状態で、制御手段100によりプローブ制御部15を制御して被検面2aの2次元的な走査を行う。光検出器14は受光した戻り光を光電変換して輝度信号を生成する。生成された輝度信号を基に走査画像が画像処理部16で作成され、画像表示部17Aに表示される。検査者は画像表示部に表示される画像に基づき被検面2aの詳細を測定、観察して低解像度検査を行うことができる。
このとき、プローブ部22の尖端部と被検面2aとは数100nm〜数μm離れており、近接場光スポットPLは被検面2aと作用しあわないので、通常伝搬光スポットによる検査に滲出近接場光が影響することはない。従って、通常伝搬光スポットSPによる検査は、滲出近接場光の影響を受けることなく高いS/N比で実行することができる。
なお、通常伝搬光スポットSPによる検査の際に「偏光フィルタ17は戻り光を最大限透過させるように態位調整」する代わりに、通常伝搬光スポットSPによる検査の際には、偏光フィルタ17を戻り光の光路から退避させ、戻り光が光検出器14に直接入射するようにしてもよい。
次いで、画像表示部17Aに表示される画像から得た「被検面2aの光学物性情報」に基づき「より詳細な物性検査を望む微小領域」が特定され、当該領域へ光ファイバプローブ13を水平方向に移動させて「位置あわせ」を行い、当該領域のみを対象として「近接場光スポットによる高分解能検査」を実施する。
即ち、制御手段100によりプローブ制御部15を制御して、光ファイバプローブ13の射出側端部(尖端部)と被検面2aとの距離を変化させ、被検面2aを「近接場光スポットPLもしくは通常伝搬光スポットSPの形成されている位置」に合致させ、この状態で被検面2aに平行な2方向に走査することにより被検面2aの走査を行う。上記切り替えに伴う「光ファイバプローブ13の射出側端部と被検面2aとの距離の変化量」は、予め実験的に決定してデータ化し制御手段100のメモリに記憶させておく。
近接場光スポットPLが形成されている状態で、プローブ制御部15によりプローブ部22を被検面2aに近接する方向に移動させ、近接場光滲出部20bの尖端部と被検面2aとの距離が、光源11から射出されるレーザ光の波長の1/4以下となると、近接場光スポットPLによる近接場光が被検面2aに照射され、被検面2a上には近接場光による「極めて微小な光スポット」が形成される。
光スポットを形成した近接場光は被検面2aにより反射され、検査光としてコア31を介して光検出器14に導かれ、上記と同様にして「被検面2aの高分解能測定」に供せられる。このとき、プローブ部22から射出した通常伝搬光も被検面2aにより反射され、ノイズ光となって低解像度検査の場合と同様に光検出器14へ入射しようとする。
この状態において、光検出器14へ入射する「近接場光による検査光」と「通常伝搬光によるノイズ光」とは互いに偏光面が直交している。従って、偏光フィルタ17の態位を調整し、通常伝搬光によるノイズ光を選択的に遮断し、近接場光による検査光のみを光検出器14に入射させることができる。
光検出器14は受光した近接場光による検査光を光電変換して輝度信号を生成する。生成された輝度信号を基に「走査画像」が画像処理部16で作成され、画像表示部17Aに表示される。検査者は画像表示部に表示される画像に基づき被検面2aの詳細を測定、観察して高解像度検査を行うことができる。この高解像度検査の際、通常伝搬光によるノイズ光は遮断されるので、高解像度検査も高いS/N比で実行することができる。
以上のように、光ファイバプローブ13の先端のプローブ部22を被検面2aに対して近接・離間する方向に移動させ、被検面2aとプローブ部22の尖端部との間の距離を切り替えることにより、近接場光による高分解能検査と通常伝搬光スポットによる低分解能検査を選択的に行うことができ、高分解能測定時における通常伝搬光によるノイズ光の抑制により高S/Nでの測定が可能になる。
従って、通常伝搬光による広範囲の検査から近接場光を利用した高分解能検査へ切り替えて同一被検査体の検査を継続して行う場合、用いる光ファイバプローブを「低分解能用と高分解能用に交換」する必要が無く、広範囲検査と同軸で高分解能検査が可能となるため、煩雑な作業を強いられることなく両分解能検査を行うことができる。
なお、光ファイバプローブ13のプローブ部22を被検面2aに平行な方向に走査する際、プローブ部22の尖端部の「被検面2aに対する高さ」を一定とすると、検査中に近接・離間方向への変位制御が不要となり、先に説明した通常伝搬光スポットとプローブ部の尖端部との間の距離(数百nm〜数μm程度)と相俟ってより高速な走査が可能となり、測定時間の大幅な短縮につながる。
図2(d)は、上に説明した検査の要点を説明図的に示している。
光源側から偏光状態を調整されてプローブ部22へ入射する入射レーザ光Lは、電界の振動面が図面に直交する方向の直線偏光状態になっている。この偏光状態は、上述したように、通常伝搬光射出面における移相手段をなすサブ波長構造のピッチ方向に対して45度傾いた方向である。
被検査体2の被検面2aで反射されてコア31を伝搬するレーザ光は、近接場光による戻り光FNは入射レーザ光Lと同じ偏光状態であるが、通常伝搬光による戻り光(高解像度検査の際にはノイズ光)FFは、入射レーザ光Lに対して偏光面が直交して図面内の偏光方向となっている。
このように、近接場光による戻り光FNと通常伝搬光による戻り光FFとで偏光方向が互いに直交するので、偏光フィルタ17の態位を調整することにより、低解像度検査の際には戻り光FFが、高解像度検査の場合には戻り光FNが光検出器14に入射するようにするのである。
光検出器14に入射する戻り光を、戻り光FNとFFとに切り替えるには、偏光フィルタ17を態位調整(透過偏光面を回転させる)するほかに、偏光フィルタ17を戻り光の光路に対して出入させるようにし、低解像度検査の際には上記光路から退避させ、高解像度検査の際には上記光路に挿入して「通常伝搬光によるノイズ光」を光検出器14に対して遮断するようにしてもよい。
上に説明した実施の形態における光ファイバプローブ13は、光源11から放射されたレーザ光を伝搬させるコア31を有するシングルモードの光ファイバの射出側端面に、近接場光を滲出させる近接場光滲出面と、通常伝搬光を射出する通常伝搬光射出面とを、近接場光滲出面を軸側にして通常伝搬光射出面が近接場光滲出面を囲繞するように同心面状に有し、近接場光滲出面に表面プラズモン伝搬のための被覆層20dが形成され、近接場光滲出面は頂角(α2)の小さい円錐面状に形成され、通常伝搬光射出面は射出通常伝搬光が滲出近接場光よりも軸上で離れた位置に集光するように形成された光ファイバプローブであって、通常伝搬光射出面の少なくとも一部の領域に、特定の偏光成分の入射レーザ光に対し所定の位相差を付与して偏光状態を変化させる移相手段PDを有するもの(請求項1)である。
また、移相手段PDを通常伝搬光射出面の略全域に有し(請求項2)、移相手段PDが、入射レーザ光Lの波長以下の周期を持つサブ波長構造であり(請求項3)、移相手段PDにより付与される位相差が「入射レーザ光Lの1/4波長相当」である(請求項4)。
また、上記実施の形態の検査装置は、被検査体2の被検面2aを光学的に検査する装置であって、レーザ光源11と、このレーザ光源からのレーザ光を伝搬させ、滲出近接場光として滲出させる近接場光滲出面と、通常伝搬光を射出させて、滲出近接場光よりも軸上で離れた位置に集光するように形成された通常伝搬光射出面とを有する光ファイバプローブ13と、レーザ光源11からのレーザ光の偏光を調整する偏光調整手段18、18a、18bと、被検査体2の被検面2aを、滲出近接場光による近接場光スポットPLもしくは集光した射出通常伝搬光SPによる通常伝搬光スポットにより選択的に走査する走査手段15と、被検面2aを介した検査光FN、FFを検出する検出手段12、14、16、17、17Aと、検出手段の一部をなし、近接場光スポットによる検査の際、検査光における通常伝搬光成分を減衰させもしくは遮断する減衰手段17を有し、光ファイバプローブ13として請求項1〜4に記載のものを用いたものであり(請求項9)、検出手段が、光ファイバプローブ13を「戻り光として伝搬する検査光」を検出するものである(請求項10)。
そして、この実施の形態の検査装置によれば、光源11から放射されるレーザ光を、移相手段PDに対して偏光状態を調整して光ファイバプローブ13に導光してコア31を伝搬させ、被検面2aを、滲出近接場光による近接場光スポットPLもしくは集光した射出通常伝搬光による通常伝搬光スポットSPにより選択的に走査しつつ、被検面2aを介した検査光FF、FNを検出手段12、14、16、17、17Aにより検出し、移相手段PDの作用により、通常伝搬光スポットSPによる検査光FFと近接場光スポットPLによる検査光FNの偏光状態を異ならせ、近接場光スポットPLによる検査を行うとき、通常伝搬光スポットSPによる検査光FFを遮断する検査方法(請求項6)が実施される。また、光ファイバプローブ13は請求項4記載のものであり、被検査体2の被検面2aにより反射もしくは散乱されて光ファイバプローブ13を戻り光として伝搬する検査光FN、FFを検出手段12、14、16、17、17Aにより検出する検査方法(請求項7)が実施される。
図3に検査装置の実施の別形態を示す。煩雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものには図1におけると同一の符号を付し、これらについての説明は、図1に関連した説明を援用する。
図1に示す実施の形態では、検出手段が「被検面2aによる散乱光もしくは反射光を、戻り光として光ファイバプローブ13を介して検出する」ように構成されているが、図3に実施の形態を示す検査装置1Aにおいては、被検面2a1を介した検査光を、光ファイバプローブ13Aを介することなく、検出手段14、16、17、17Aにより検出して(請求項10、13)検査を行う。即ち、図3に示す実施の形態では、被検査体2Aは検査レーザ光に対して透明であり、被検面2a1を介した検査光は、被検査体2Aを透過して光検出器14により受光される(請求項11)。
光ファイバプローブ13Aは、以下の点において、図1の実施の形態に用いられた光ファイバプローブ13と異なっている。
即ち、光ファイバプローブ13Aにおいては、プローブ部22Aの通常伝搬光射出部20aAにおいて、通常伝搬光射出面に形成された移相手段は「入射レーザ光の波長以下の周期を持つサブ波長構造」であり(請求項3)、通常伝搬光射出面の略全域に形成されているが、入射レーザ光の波長の1/2波長相当の位相差を与える(請求項5)ようになっている点である。
このため、光ファイバプローブ13Aにより被検査体2Aの検査を行うときには、図2(e)に示すように、被検査体2Aを透過した検査光は、近接場光による検査光FNAでは入射レーザ光Lと同じ偏光状態であるが、通常近接場光に寄る検査光FFAは「移相手段により入射レーザ光Lに与えられる1/2波長相当の位相差」により、入射レーザ光Lに対して偏光方向が90度異なる方向(図面に平行な方向)となる。
従って、偏光フィルタ17の態位調整あるいは検査光光路への出入により、通常伝搬光スポットによる検査を行うときには通常伝搬光による検査光FFAを、また、近接場光スポットによる検査を行うときには近接場光による検査光FNAを、効率よく光検出器14に入射させることができ、近接場光スポットによる検査の際、通常伝搬光によるノイズを有効に防止してS/N比の高い検査を行うことができる。
光ファイバプローブ13Aによる被検査体2Aの被検面2a1の走査や、光検出器14の出力の処理に関しては図1に示す実施の形態の場合と同じである。
即ち、図3に実施の形態を示す検査装置は、請求項5記載の光プローブ13Aを用い、検出手段14、16、17、17Aが、被検査体2Aを透過した検査光FFA、FFNを、光ファイバプローブ13Aを介することなく検出するもの(請求項11)であり、この検査装置により、被検査体2Aを透過した検査光を、光ファイバプローブ13Aを介することなく検出手段14、16、17、17Aにより検出する検査方法(請求項8)が実施される。
なお、上に図1〜図3を参照して説明した実施の形態における被検面の走査は、光ファイバプローブ13、13Aの射出側端部を固定し、被検査体2を変位させることにより行うようにしてもよいし、光ファイバプローブ13、13Aの射出側端部と被検面2との距離の切り替えを「被検査体の変位(図1の上下方向の変位)」により行い、近接場光スポットもしくは通常伝搬光スポットによる2次元の走査を、光ファイバプローブ射出側端部の変位により行うようにしてもよい。即ち、被検面と光ファイバプローブとの3次元的な相対変位により走査を実行することができる。
以下に、説明を若干補足する。
先に、プローブ部の尖端部と通常伝搬光スポットSPとの距離が、通常伝搬光射出面のテーパ角:θ1に依存することを説明した。即ち、光ファイバプローブ13、13Aの近接場光滲出部20bの尖端から、通常伝搬光スポットSPまでの距離(「D」とする。)は、通常伝搬光射出面のテーパ角:θ1を調整することにより制御できる。
図4(a)は、テーパ角:θ1と距離:Dとの関係を示している。
図4(a)に示されているのは、コア31の屈折率が1.53、射出側媒質が空気である場合で、テーパ角:θ1=50度は全反射角に相当し、テーパ角:θ1がそれより小さくなるにつれて距離:Dは増大し、θ1が20度より小さくなると、通常伝搬光スポットは、光ファイバプローブの尖端部から数100nm〜数um程度離れた位置で集光する。これはテーパ角:θ1が小さくなるほど、通常伝搬光射出面での屈折角が小さくなることによる。
また、上記距離:Dは、光ファイバプローブのプローブ部22、22Aにおける近接場光滲出部22bの直径:Bと、通常伝搬光射出部20aの直径:Aとの比:B/Aにも依存する。この依存関係を図4(b)に示す。この図からわかるように、直径比:B/Aを0.25以下とすることで通常伝搬光スポットを「光ファイバプローブの先端から十分に離れた位置」に形成できることがわかる。
直径比:B/Aが大きくなることは、近接場光滲出部の直径:Bが大きくなることを意味するが、近接場光滲出部の円錐形状のテーパ角:θ2は「全反射角以上」を要することから、直径:Bが大きくなることは、上記円錐形状の高さが高くなって、通常伝搬光スポットに近づくため、上記距離:Dが小さくなるのである。
直径比:B/Aが0.25以下ということは、近接場光滲出部20bと通常伝搬光射出面20aとの面積比では0.08程度以下となり、通常伝搬光をそのまま射出させてしまうと、被検面で反射あるいは散乱された通常伝搬光が、近接場光による検査にノイズとして作用して、近接場光による検査のS/N比を大幅に低下させるが、この発明の検査方法・検査装置では、近接場光スポットによる被検面の走査に際しては、通常伝搬光射出部からの通常伝搬光による戻り光FF、FFAを減衰手段(上記実施の形態では偏光フィルタ17)により「遮断したり減少させたりする」ので、上記の如きS/N比の大幅な低下を有効に軽減もしくは防止することができる。
光ファイバプローブ13、13Aの通常伝搬光射出部20a、20aAにおいて、通常伝搬光射出面のテーパ角:θ1を11度、移相手段PDを構成する誘電体をSiOとし、サブ波長構造におけるp=300nm、w=150nm、h=880nmとすると、波長:633nmのレーザ光を通常伝搬光として入射させた場合、射出した通常伝搬光に1/4波長相当の位相差を与えることができる。また、p=300nm、w=150nm、h=1740nmとすると、上記波長の通常伝搬光に対し1/2波長相当の位相差を与えることができる。前者の場合は光ファイバプローブ13として、後者の場合は光ファイバプローブ13Aとして使用できる。
プローブ部22、22Aにおける近接場光滲出部22bにつき補足すると、前述の如く、近接場光滲出面は「尖った円錐面状」に形成され、その表面に「表面プラズモン伝搬のための被覆層」がAu、Ag等による導電性薄膜として形成されている。被覆層(図2の符号20d)の材質は、導電性であれば得に制限無く使用することができるが、表面プラズモンによる近接場光の増強効果が得られること、化学的安定性に優れる等の理由から、被覆層を「Au薄膜」とすることが好ましい。
滲出する近接場光の強度に波長依存性があり、この波長依存性は一般に、図5(a)に示す如き「山形」になる。このとき、滲出近接場光強度率が最大値:P0の1/2の値:P1となる「波長:λ21とλ22の間の波長帯」にある波長を選択することにより、良好な明るさを持った近接場光スポットを実現できる。
被覆層をAu薄膜とした場合、上記波長帯は480〜700nm程度である。
近接場光強度はまた、近接場光滲出面のテーパ角:θ2にも依存する。このテーパ角依存性は、一般に図5(b)に示す如き「山形」になる。このとき、近接場光強度率が最大値:P0の1/2の値:P1となる、テーパ角:θa、θbの間のテーパ角を選択することにより、良好な明るさを持った近接場光スポットを実現できる。
被覆層をAu薄膜とし、光源からのレーザ光の波長を532nmとした場合、上記テーパ角:θ2の好適な範囲は45度〜55度の範囲である。
図7は、光ファイバプローブの変形例を示している。
この例では、光ファイバプローブの射出側端部のプローブ部における近接場光滲出部20b1において、近接場光滲出面の全体が被覆層20d1により被覆されているのではなく、近接場光滲出面をなす円錐面の頂部は、被覆層20d1により被覆されていない。
このような光ファイバプローブを用いても滲出近接場光による近接場光スポットを実現できる。
検査装置の実施の1形態を説明するための図である。 光ファイバプローブを説明するための図である。 検査装置の実施の別形態を説明するための図である。 通常伝搬光射出面の性質を説明するための図である。 近接場光滲出部の性質を説明するための図である。 サブ波長構造による構造複屈折を説明するための図である。 光ファイバプローブの変形例を説明するための図である。
符号の説明
1 検査装置
2 被検査体
2a 被検面
11 光源
12 ビームスプリッタ
13 光ファイバプローブ
14 光検出器
17 偏光フィルタ
18a 1/2波長板
18b 1/4波長板

Claims (11)

  1. 光源から放射されたレーザ光を伝搬させるコアを有するシングルモードの光ファイバの射出側端面に、近接場光を滲出させる近接場光滲出面と、通常伝搬光を射出する通常伝搬光射出面とを、上記近接場光滲出面を軸側にして上記通常伝搬光射出面が上記近接場光滲出面を囲繞するように同心面状に有し、上記近接場光滲出面に表面プラズモン伝搬のための被覆層が形成され、上記近接場光滲出面は頂角の小さい円錐面状に形成され、上記通常伝搬光射出面は射出通常伝搬光が滲出近接場光よりも軸上で離れた位置に集光するように形成された光ファイバプローブにおいて、
    通常伝搬光射出面の少なくとも一部の領域に、特定の偏光成分の入射レーザ光に対し所定の位相差を付与して偏光状態を変化させる移相手段を有することを特徴とする光ファイバプローブ。
  2. 請求項1記載の光ファイバプローブにおいて、
    移相手段を通常伝搬光射出面の略全域に有することを特徴とする光ファイバプローブ。
  3. 請求項1または2記載の光ファイバプローブにおいて、
    移相手段が、入射レーザ光の波長以下の周期を持つサブ波長構造であることを特徴とする光ファイバプローブ。
  4. 請求項1または2または3記載の光ファイバプローブにおいて、
    移相手段により付与される位相差が、入射レーザ光の1/4波長相当であることを特徴とする光ファイバプローブ。
  5. 請求項1または2または3記載の光ファイバプローブにおいて、
    移相手段により付与される位相差が、入射レーザ光の1/2波長相当であることを特徴とする光ファイバプローブ。
  6. 請求項1〜5の任意の1に記載の光ファイバプローブを用いて被検査体の被検面を光学的に検査する方法であって、
    光源から放射されるレーザ光を、移相手段に対して偏光状態を調整して光ファイバプローブに導光してコアを伝搬させ、
    上記被検面を、滲出近接場光による近接場光スポットもしくは集光した射出通常伝搬光による通常伝搬光スポットにより選択的に走査しつつ、被検面を介した検査光を検出手段により検出し、
    上記移相手段の作用により、上記通常伝搬光スポットによる検査光と上記近接場光スポットによる検査光の偏光状態を異ならせ、近接場光スポットによる検査を行うとき、通常伝搬光スポットによる検査光を低減もしくは遮断することを特徴とする検査方法。
  7. 請求項6記載の検査方法において、
    光ファイバプローブとして請求項4記載のものを用い、
    被検査体の被検面により反射もしくは散乱されて上記光ファイバプローブを戻り光として伝搬する検査光を検出手段により検出することを特徴とする検査方法。
  8. 請求項6記載の検査方法において、
    光ファイバプローブとして請求項5記載のものを用い、
    被検査体の被検面により反射もしくは散乱され、または被検査体を透過した検査光を、
    上記光ファイバプローブを介することなく検出手段により検出することを特徴とする検査方法。
  9. 被検査体の被検面を光学的に検査する装置であって、
    レーザ光源と、
    このレーザ光源からのレーザ光を伝搬させ、滲出近接場光として滲出させる近接場光滲出面と、通常伝搬光を射出させて、上記滲出近接場光よりも軸上で離れた位置に集光するように形成された通常伝搬光射出面とを有する光ファイバプローブと、
    上記レーザ光源からのレーザ光の偏光を調整する偏光調整手段と、
    上記被検査体の被検面を、上記滲出近接場光による近接場光スポットもしくは集光した射出通常伝搬光による通常伝搬光スポットにより選択的に走査する走査手段と、
    上記被検面を介した検査光を検出する検出手段と、
    この検出手段の一部をなし、近接場光スポットによる検査の際、検査光における通常伝搬光成分を減衰させもしくは遮断する減衰手段を有し、
    上記光ファイバプローブとして、請求項1〜5の任意の1に記載のものを用いることを特徴とする検査装置。
  10. 請求項9記載の検査装置において、
    光ファイバプローブが請求項4記載のものであり、
    検出手段が、上記光ファイバプローブを戻り光として伝搬する検査光を検出することを特徴とする検査装置。
  11. 請求項9記載の検査装置において、
    光ファイバプローブが請求項5記載のものであり、
    検出手段が、被検査体の被検面により反射もしくは散乱され、または被検査体を透過した検査光を、上記光ファイバプローブを介することなく検出することを特徴とする検査装置。
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