JP2007315963A - 光ファイバプローブおよび光ファイバプローブの製造方法、検査装置および検査方法 - Google Patents

光ファイバプローブおよび光ファイバプローブの製造方法、検査装置および検査方法 Download PDF

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Izumi Ito
泉 伊藤
Genichi Otsu
元一 大津
Hideji Monobe
秀二 物部
Hiroharu Yamamoto
弘治 山元
Sukeyoshi Koshikawa
祐美 越川
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Abstract

【課題】通常伝搬光スポットによる走査に対するワーキングディスタンスの大きい光ファイバプローブを実現する。
【解決手段】シングルモード光ファイバFVのコア部に、第1テーパ角:αを有する円錐形状の近接場光滲出面と、この近接場光滲出面を同軸的に囲繞して第2テーパ角:βを有する円錐形状の通常伝搬光射出面とを有し、少なくとも近接場光滲出面に近接場光滲出のための導電性薄膜120が形成されてなり、クラッド部103はエッチング液に対する溶解速度がコア部より大きく、コア部はエッチング液に対する溶解速度が互いに異なる第1コア101と第2コア102とを同軸的に有し、選択性(化学)エッチングにより、第1コア101に近接場光滲出面110が、第2コア102に通常伝搬光射出面112がそれぞれ形成され、第2テーパ角:β(度)が、50<β<90の範囲にある。
【選択図】図1

Description

この発明は光ファイバプローブおよび光ファイバプローブの製造方法、検査装置および検査方法に関する。
光プローブから滲出するエバネッセント光により近接場光スポットを形成し、物体表面を走査して表面状態を検査し、あるいは、上記表面に対して光エネルギによる加工を行うことが知られており、近接場光スポットを形成する光プローブとして、光ファイバの射出端面に「頂角の小さい円錐形状」を近接場光滲出用に形成したものが知られている(特許文献1〜3等)。
上記光プローブはまた、物体に「全反射する光」を照射して物体表面にエバネセント光を生じさせ、これを上記円錐形状部分で撹乱して検出するのにも用いることができる。
上記光プローブで形成される近接場光スポットは円錐面先端のごく近傍に形成され、また物体表面に生じるエバネセント光が存在するのも物体表面のごく近傍である。従って、近接場光スポットによる走査の場合にも、エバネセント光を撹乱して検出する場合にも光プローブの円錐形状部分は物体表面に極めて近接して移動されることになる。
走査される物体表面には微視的な凹凸・起伏が存在するので、走査の際に光プローブ先端部が表面形状に良好に追従しないと、光プローブ先端部の円錐形状部分が物体表面と接触して円錐状部分が破損しやすい。このため、上記走査は「ゆっくりとした走査速度」で行わざるを得ず、わずかな検査領域を走査するのにも長時間が必要となる。
特許文献4は、対物レンズによる観察系を含む通常の光学顕微鏡装置に、近接場光検出用光プローブを組み込んだものを開示している。
この装置では、まず対物レンズにより物体の広い表面領域を観察して「近接場光スポットにより観察すべき表面領域」を特定し、特定された表面領域に対して「近接場光スポットによる走査」を行うが、対物レンズにより観察される領域は高々数100μmオーダーの領域であり、近接場光スポットによる検査領域はせいぜい0.1μmオーダーの領域であり両者の倍率差が1000倍のオーダーであるところから、対物レンズによる観察を通じて特定された「近接場光スポットにより観察すべき表面領域」へ光プローブをアクセスするのは必ずしも容易ではなく短時間でのアクセスは難しい。
光ファイバによる光プローブ先端部の「頂角の小さい円錐状部分」の外周部に「頂角の大きい円錐状部分」を同軸的に形成し、「頂角の大きい円錐状部分」から通常伝搬光を射出させて光プローブ先端部から離れた位置に「通常伝搬光スポット」を形成して、物体表面に対し通常伝搬光スポットによる低解像度検査と、近接場光スポットによる高解像度検査とを選択的に行い得るようにし、近接場光スポットによる高解像度の検査に先立って通常伝搬光スポットによる低解像度走査を行い、その結果に基づき「近接場光スポットにより走査すべき領域」を特定して高解像度走査を行うことが意図されている。
この方法であると、近接場光スポットも通常伝搬光スポットも同一の光プローブで形成されるので、低解像度走査を通じて特定された「近接場光スポットにより走査すべき表面領域」へ光プローブをセットするのは容易である。
通常伝搬光スポットによる低解像度走査を効率よく行うには、低解像度走査を高速で行うことが必要であり、このような高速走査で「光プローブ先端と物体表面との非接触」が確保されるためには、通常伝搬光スポットによる低解像度走査の「ワーキングディスタンス」が大きいこと、即ち、通常伝搬光スポットが光プローブ先端から十分に離れて形成されることが重要である。
一方、近接場光スポットによる走査の場合においては、光プローブ先端のアスペクト比、即ち、近接場光を滲出する「頂角の小さい円錐形状」の先端部の光プローブ最外周からの突出量:hと、光プローブ半径:rとの比:h/rで与えられる正接角:ξ(tanξ=h/r)と、走査される物体表面の微小な凹凸・起伏の傾きの大小が問題となる。
即ち、近接場光スポットによる高解像度走査は光プローブ先端を「物体表面すれすれ」に変位させて行われるので、走査線上における光プローブ先端の軌跡は、走査線上における物体表面のプロファイルと略同一になるが、上記プロファイルの傾斜角:ηがアスペクト比:ξよりも大きい部分、即ち「プロファイルの傾斜がアスペクト比よりも強い部分」があると、光プローブの外周部が物体表面に接触し、近接場光スポットによる走査が制限される場合がある。
特開平10− 82791 特開平11− 23587 特開2001−66240 特開2000−55818
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、通常伝搬光スポットによる低解像度走査に対するワーキングディスタンスの大きい光ファイバプローブを実現することを課題とする。
この発明はまた、通常伝搬光スポットによる走査に対するワーキングディスタンスが大きく、なおかつプローブ先端部のアスペクト比の大きい光ファイバプローブの実現を別の課題とする。
さらに、上記光ファイバプローブを設計条件に従って精度よく製造する方法の実現、上記光ファイバプローブを用いる検査装置・検査方法の実現を他の課題とする。
この発明の光ファイバプローブは「通常伝搬光スポットによる低解像度検査と、近接場光スポットによる高解像度検査とを行う光検査」に用いられる光プローブである。
この明細書において「検査」は、被検面の状態を光学的に走査して「被検面の状態を光学的に観察する」場合や「被検面に対して光学的な測定を行う」場合、さらには「被検面に対して光エネルギによる加工を行う」場合をも含む。「被検面」は上記光学的な測定や加工の対象となる面であり、この被検面を有する物体を「被検体」という。
「光学的な検査」は、被検面の光学的情報(透過光、反射光や、被検面で発生するエバネセント光を撹乱した光の強度や、スペクトル、偏光状態等)を得ることである。光学的な検査を通じて、被検面の表面形状や被検体の光学物性等を知ることができる。
請求項1記載の光ファイバプローブは、光を伝搬させるコア部と、このコア部を囲繞するクラッド部を有するシングルモード光ファイバの一端面のコア部に、第1テーパ角:αを有する円錐形状の近接場光滲出面と、この近接場光滲出面を同軸的に囲繞して第2テーパ角:β(>α)を有する円錐形状の通常伝搬光射出面とを有し、少なくとも近接場光滲出面に近接場光滲出のための導電性薄膜が形成されてなる。
近接場光滲出面のテーパ角:αは、近接場光滲出面をなす円錐形状の頂角の1/2である。同様に、通常伝搬光射出面のテーパ角:βは、通常伝搬光射出面をなす円錐形状の頂角の1/2である。
クラッド部は「エッチング液に対する溶解速度」がコア部より大きく、コア部は「エッチング液に対する溶解速度」が互いに異なる第1コアと第2コアとを同軸的に有し、選択性(化学)エッチングにより、第1コアに近接場光滲出面が、第2コアに通常伝搬光射出面がそれぞれ形成される。
即ち、請求項1記載の光ファイバプローブは、シングルモード光ファイバの一端部のコア部の中心部の第1コアに「近接場光滲出面」が第1テーパ角:α、即ち、頂角:2・αの円錐形状に形成され、これを囲繞するように「通常伝搬光射出面」が、第2コアに第2テーパ角:β、即ち、頂角:2・βで円錐形状に形成されている。通常伝搬光射出面と近接場光滲出面とは同軸的であり円錐軸を共有している。換言すると、傾斜のゆるい円錐形状の通常伝搬光射出面の円錐軸に近い部分から、近接場光滲出面が「尖った円錐形状に突出」した形態となっている。
第2テーパ角:β(度)は、
50<β<90
の範囲にある。
少なくとも近接場光滲出面に形成される「近接場光滲出のための導電性薄膜」は、近接場光滲出面のみに形成されてもよいし、近接場光滲出面のほか通常伝搬光射出面の一部もしくは全面、さらにはクラッド部に形成されてもよい。
上記導電性薄膜は、近接場光滲出面のみに形成するのであれば、近接場光が滲出しやすいように遮光性に形成される。また、通常伝搬光射出面にも形成される場合には、通常伝搬光の射出を妨げないように、通常伝搬光に対する透過率が必要な大きさを持つようにする。
後述する場合のように、近接場光スポットを形成する光の波長と、通常伝搬光スポットを形成する光の波長を異ならせ、上記導電性薄膜の透過率を、近接場光スポット用の波長に対して小さく、通常伝搬光スポット用の波長に対して大きくすることができ、この場合には、導電性薄膜を近接場光滲出面のみならず通常伝搬光射出面にも形成しても、導電性薄膜の存在に拘わらず通常伝搬光を良好に射出させることができる。
「近接場光滲出のための導電性薄膜」は少なくとも近接場光滲出面に形成されるが、導電性薄膜形成の形態は、近接場光滲出面をなす円錐形状の先端部が覆われるように形成する場合と、上記先端部には導電性薄膜を形成せず「先端部を露呈させる」ように形成する場合とを含む。
請求項2記載の光ファイバプローブは、請求項1記載の光ファイバプローブにおいて、通常伝搬光射出面の外周側に「テーパ角:γ(<90度)を有する傾斜面」を有する。テーパ角:γを持つ傾斜面は円錐面であり、テーパ角:γはこの円錐面の頂角の1/2である。
請求項2記載の光ファイバプローブにおける「テーパ角:γを有する傾斜面」は、第2コアにおける通常伝搬光射出面の外周部に「テーパ角:βより大きいγ1」をテーパ角:γとして形成することができる(請求項3)。即ち、この場合には、第2コアの部分に、テーパ角:βの通常伝搬光射出面が形成されるとともに、その外周に通常伝搬光射出面よりも傾斜の強い傾斜面が円錐面状に形成されることになる。
請求項2または3記載の光ファイバプローブはまた「テーパ角:γを有する傾斜面」がクラッド部に「テーパ角:γ2をテーパ角:γとして形成される」ことができる(請求項4)。
即ち、この請求項4の場合には「コア部にテーパ角:αの円錐形状部分と、テーパ角:βの円錐形状部分と、テーパ角:γ1の円錐形状部分」が形成される態様と、さらにその外側のクラッド部にテーパ角:γ2の円錐形状部分が形成される態様とがある。勿論、何れの場合においても、テーパ角:α、β、γ1、γ2は90度より小さい。
従って、請求項2や請求項3や請求項4の光ファイバプローブでは、シングルモード光ファイバの外周部から近接場光滲出面の先端部までの高さが大きくなり、先端部のアスペクト比が大きくなる。
請求項1〜4の任意の1に記載の光ファイバプローブは、シングルモード光ファイバのコア部およびクラッド部が「石英ガラスを母材とするもの」であることができる(請求項5)。
請求項6記載の光ファイバプローブは、請求項5記載の石英ガラスを母材とするコア部およびクラッド部の、コア部が「コア部は2酸化ゲルマニウム(GeO)を添加した石英ガラス」であって、第1コアと第2コアとで2酸化ゲルマニウムの添加量が異なり、第1コアにおける添加量が第2コアにおける添加量に対して相対的に大きく、これら添加量が、第1コアと第2コアの「エッチング液に対する所望の溶解速度」を与えるように選択されていることを特徴とする。この場合において、クラッド部は2酸化ゲルマニウムが添加されない「純粋石英ガラス(無添加石英ガラス)」であることができ(請求項7)、第2コアにおける通常伝搬光射出面の外周部にテーパ角:γ1の傾斜面が形成されていることができる(請求項8)。
請求項6記載の光ファイバプローブはまた「クラッド部が無水化塩素処理を施した石英ガラス」を含むことができ(請求項9)、第2コアにおける通常伝搬光射出面の外周部にテーパ角:γ1の傾斜面が形成されていることができる(請求項10)。
請求項9または10記載の光ファイバプローブの「クラッド部」は、これを「内側クラッド部と外側クラッド部」で構成し、内側クラッド部を純粋石英ガラスにより形成し、外側クラッド部を「無水化塩素処理を施した石英ガラス」により構成し、内側クラッド部にテーパ角:γ2の傾斜面が形成された光ファイバプローブとすることができる(請求項11)。
請求項1〜11の任意の1に記載の光ファイバプローブにおける「通常伝搬光射出面のテーパ角:β(度)」は、
60≦β≦80
の範囲にあることがより好ましい(請求項12)。
上記請求項1〜12の任意の1に記載の光ファイバプローブは「被検体に全反射する光を照射し、被検面に生じるエバネセント光を近接場光滲出面による円錐形状部分で撹乱して検出する」場合にも勿論用いることができる。
上記の如き光ファイバプローブは、例えば、請求項13記載の製造方法で製造することができる。
即ち、シングルモード光ファイバとして「第1コアにおける添加量が第2コアにおける添加量に対して相対的に高くなるように2酸化ゲルマニウムの添加量を調整され、フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液に対する溶解速度が、クラッド部、第2コア、第1コアの順に小さくなるシングルモード光ファイバ」を用い、このシングルモード光ファイバの端面に対してエッチング工程と導電性薄膜形成工程を行うことによって製造できる。
「エッチング工程」は、上記シングルモード光ファイバの端面を「フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液」に浸漬して選択的(化学)エッチングを行い、第1コアに第1テーパ角:αを持つ近接場光滲出面、第2コアに第2テーパ角:βを持つ通常伝搬光射出面を形成する工程である。
第1コア、第2コア、クラッド部の溶解速度をR1、R2、R3とすると、テーパ角:αはsinα=R1/R3で与えられ、溶解速度:R1とR3とを調整することによりテーパ角:αを調整できる。また、テーパ角:βはsinβ=R2/R3で与えられ、溶解速度:R2とR3とを調整することによりテーパ角:βを調整できる。
「導電性薄膜形成工程」は、エッチング工程で形成された近接場光滲出面および通常伝搬光射出面のうち、少なくとも近接場光滲出面に「近接場光滲出のための導電性薄膜」を形成する工程である。
上記の如き光ファイバプローブはまた、例えば、請求項14記載の製造方法で製造することができる。
即ち、シングルモード光ファイバとして「コア部の第1コアと第2コアに、2酸化ゲルマニウムが、第1コアの添加量が第2コアの添加量に対して相対的に高くなるように添加され、フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液に対する溶解速度がクラッド部、第2コア、第1コアの順に小さくなるシングルモード光ファイバ」を用い、このシングルモード光ファイバの端面に対して第1、第2エッチング工程と導電性薄膜形成工程とを行う。
「第1エッチング工程」は、シングルモード光ファイバの端面を「フッ化アンモニウム水溶液の混合比が相対的に低い第1エッチング液」に浸漬してコア部に傾斜面を形成する工程である。
「第2エッチング工程」は、第1エッチング工程によりコア部に傾斜面を形成されたシングルモード光ファイバの端面を「フッ化アンモニウム水溶液の混合比が相対的に高い第2エッチング液」に浸漬して、第1テーパ角:αを持つ近接場光滲出面と第2テーパ角:βを持つ通常伝搬光射出面を形成し、かつ、第2コアの通常伝搬光射出面の外周部に傾斜角:γ1を持つ傾斜面を形成する工程である。
「導電性薄膜形成工程」は、第2エッチング工程で形成された近接場光滲出面および通常伝搬光射出面のうち、少なくとも近接場光滲出面に、近接場光滲出のための導電性薄膜を形成する工程である。
請求項13、14記載の製造方法における「導電性薄膜形成工程」は、蒸着やスパッタリング等、公知の適宜の成膜技術により実施できる。
前述の如く「近接場光滲出のための導電性薄膜」は、近接場光滲出面のみに形成されてもよいし、近接場光滲出面を含み通常伝搬光射出面の一部もしくは全面、さらにはクラッド部に形成されてもよく、近接場光滲出面をなす円錐状部分の先端部をも覆うように形成してもよいし、円錐状部分の先端部には導電性薄膜が形成されないようにしてもよい。
近接場光滲出面のみに導電性薄膜を形成する場合には、例えば、近接場光滲出面や通常伝搬光射出面の形成されたシングルモード光ファイバ端面に導電性薄膜を形成し、近接場光滲出面のみを覆うようなマスクを「フォトリソグラフィ等の手法」で形成し、マスクに覆われていない導電性薄膜をエッチングで除去すればよく、同様の方法で「近接場光滲出面先端部の導電性薄膜」を除去することもできる。
あるいはまた、近接場光滲出面以外にマスクを形成して蒸着やスパッタリング等の成膜手法で導電性薄膜を形成し、マスク上に形成された導電性薄膜をマスクともども除去すれば、近接場光滲出面のみに導電性薄膜を形成することができる。
上記請求項14記載の光ファイバプローブの製造方法においては、シングルモード光ファイバのクラッド部を「無水化塩素処理を施されていない純粋石英ガラス」による内側クラッド部と「無水化塩素処理を施された石英ガラス」による外側クラッド部」により構成し、第1、第2エッチング工程により、内側クラッド部にテーパ角:γ2の傾斜面を形成することができる(請求項15)。
請求項13〜15の任意の1に記載の光ファイバプローブの製造方法において、エッチング液、第1エッチング液、第2エッチング液は「濃度:40重量%のフッ化アンモニウム水溶液と濃度:50重量%のフッ酸と水からなる」ことができる(請求項16)。この場合、第2エッチング液は、第1エッチング液に比して「濃度:40重量%のフッ化アンモニウム水溶液の混合比」が相対的に高いのである。
この発明の検査装置は「被検体の被検面を光学的に走査して検査する検査装置」であって、光源と、光ファイバプローブと、走査手段および検出処理手段とを有する(請求項17)。
「光源」は、検査用の光を射出する。
「光ファイバプローブ」は、光源からの光を伝搬させ、射出部に近接場光滲出面と、通常伝搬光射出面とが形成されたシングルモード光ファイバと、少なくとも近接場光滲出面に形成されて近接場光を滲出させるための導電性薄膜とを有するものであり、請求項1〜12の任意の1に記載のものが用いられる。
「走査手段」は、光ファイバプローブの通常伝搬光射出面から射出する通常伝搬光により形成される通常伝搬光スポットによる低解像度検査用の低解像度走査と、近接場光滲出面から滲出する近接場光の近接場光スポットによる高解像度検査用の高解像度走査とを、被検面に対して選択的に行うための手段である。
「検出処理手段」は、被検面を介した検査光を検出し、データ処理する手段である。
請求項17記載の検査装置における「光源」は、低解像度検査と高解像度検査とに応じて、異なる波長の光を選択的に放射するものであることができる(請求項18)。
この発明の検査方法は「被検体の被検面を光学的に走査して検査する検査方法」であって、以下の如き特徴を有する。
即ち、光源から射出させた光を、請求項1〜12の任意の1に記載の光ファイバプローブにより導光し、光ファイバプローブの通常伝搬光射出面から射出する通常伝搬光により形成される通常伝搬光スポットによる低解像度検査用の低解像度走査と、近接場光滲出面から滲出する近接場光の近接場光スポットによる高解像度検査用の高解像度走査とを、走査手段により被検面に対して選択的に行い、検出処理手段により上記被検面を介した検査光を検出してデータ処理する。
この請求項19記載の検査方法において「低解像度検査と高解像度検査とに応じて、光源から異なる波長の光を選択的に放射させる」ことができる(請求項20)。
上記請求項17、19において「被検面を介した検出光」は、被検面の状態により影響された光、即ち、被検面の状態を光学的情報(反射光強度、透過光強度、エバネセント光が撹乱された伝搬光の強度、スペクトル、偏光状態等)として有する光である。
なお、後述する実施の形態に示すように、請求項1〜12の任意の1に記載の光ファイバプローブは、通常伝搬光射出面に導電性薄膜を形成する代わりに、通常伝搬光射出面に偏光膜を儲け、光源からの光の偏光状態を「偏光制御手段」により調整することにより、通常伝搬光射出面からの通常伝搬光の射出を「射出状態と非射出状態」とに切り替えることができる。
上記の如く、この発明の光ファイバプローブは、シングルモード光ファイバの一端面のコア部に、第1テーパ角:αを有する円錐形状の近接場光滲出面と、この近接場光滲出面を同軸的に囲繞して第2テーパ角:β(>α)を有する円錐形状の通常伝搬光射出面とを有し、少なくとも近接場光滲出面に近接場光滲出のための導電性薄膜が形成されてなるが、通常伝搬光射出面のテーパ角:βが「50度より大きく90度未満」好ましくは「60度以上、80度未満」となっているため、通常伝搬光スポットを光ファイバプローブ先端部から十分に離れた位置に形成でき、通常伝搬光スポットによる走査に対する「大きなワーキングディスタンス」を実現でき、通常伝搬光スポットによる低解像度走査の際に「光ファイバプローブ先端と物体表面との非接触」が確保されるので、低解像度走査を高速で効率よく行うことができる。
また、請求項2〜4の光ファイバプローブでは、光ファイバプローブをなすシングルモード光ファイバの外周部から近接場光滲出面の先端部までの高さが大きくなり、光ファイバプローブ先端のアスペクト比が大きくなるので、走査線上におけるプロファイルの傾斜角のより大きな被検面に対しても近接場光スポットによる良好な走査が可能になる。
また、このような光ファイバプローブは、この発明の製造方法により容易かつ確実に製造することができる。そして、この発明の光ファイバプローブを用いる検査方法や検査装置により、近接場光スポットによる高解像度の検査を迅速・容易に行うことができる。
以下、発明の実施の形態を説明する。
図1は、光ファイバプローブの実施の1形態を説明するための図である。
光ファイバプローブ100は、通常伝搬光スポットによる低解像度検査と、近接場光スポットによる高解像度検査とを行う光検査に用いられる光ファイバプローブであり、図1(b)に示すように、適宜の長さを有するシングルモード光ファイバFVの一端部にプローブ部PRを形成してなる。なお、プローブ部PRにつながる部分は選択性(化学)エッチングで侵刻されるので、図1(b)に示されているシングルモード光ファイバFVの直径は、基材としてのシングルモード光ファイバの直径よりも小さい。
図1(a)は、光ファイバプローブ100をなすシングルモード光ファイバの「長さ方向に直交する平面による断面状態」を示す。シングルモード光ファイバの断面構造は、第1コア101を中心にし、この第1コア101を囲繞して第2コア102が形成され、その外側に第2コア102を囲繞するようにしてクラッド部103が形成されている。第1コア101と第2コア102とは「コア部」を構成する。クラッド部103はエッチング液に対する溶解速度がコア部より大きく、同軸的に形成されてコア部をなす第1コア101と第2コア102は、エッチング液に対する溶解速度が互いに異なる。
図1(b)に示すように、シングルモード光ファイバFVの一端部に形成されたプローブ部PRは、第1テーパ角:αを有する円錐形状の近接場光滲出面110と、この近接場光滲出面110を同軸的に囲繞して第2テーパ角:β(>α)を有する円錐形状の通常伝搬光射出面112とを有する。
これら近接場光滲出面110、通常伝搬光射出面112は、選択性(化学)エッチングにより形成される。この選択性(化学)エッチングにおいて、第1コア101、第2コア102、クラッド部103の「エッチング液に対する溶解速度」の比により、近接場光滲出面110のテーパ角:α、通常伝搬光射出面112のテーパ角:βが定まる。
図1(b)において符号120は「近接場光滲出のための導電性薄膜」を示し、この例において導電性薄膜120は、プローブ部PRを含む「シングルビーム光ファイバ端部」に形成されている。
通常伝搬光射出面112は、第2テーパ角:βが50度より大きく90度より小さく、より好ましくは60度以上80度以下となるように設定されている。このような大きさの第2テーパ角を実現するように、上記「エッチング液に対する溶解速度」が設定されるのである。
即ち、図1に実施の形態を示す光ファイバプローブ100は、通常伝搬光スポットによる低解像度検査と、近接場光スポットによる高解像度検査とを行う光検査に用いられる光ファイバプローブであって、光を伝搬させるコア部101、102と、このコア部を囲繞するクラッド部103を有するシングルモード光ファイバの一端面のコア部に、第1テーパ角:αを有する円錐形状の近接場光滲出面110と、この近接場光滲出面110を同軸的に囲繞して第2テーパ角:β(>α)を有する円錐形状の通常伝搬光射出面112とを有し、少なくとも近接場光滲出面に近接場光滲出のための導電性薄膜120が形成されてなり、クラッド部103はエッチング液に対する溶解速度がコア部より大きく、コア部はエッチング液に対する溶解速度が互いに異なる第1コア101と第2コア102とを同軸的に有し、選択性(化学)エッチングにより、第1コア101に近接場光滲出面110が、第2コア102に通常伝搬光射出面112がそれぞれ形成され、第2テーパ角:β(度)が、
100<2β<180
の範囲にある(請求項1)。
ここで「近接場光滲出のための導電性薄膜」について説明すると、前述の如く、この導電性薄膜は光ファイバプローブにおける「少なくとも近接場光滲出面」に形成されるのであり、近接場光滲出面のみに形成されてもよいし、近接場光滲出面を含み通常伝搬光射出面の一部もしくは全面、さらにはクラッド部にまで形成されてもよく、近接場光滲出面をなす円錐状部分の先端部には、導電性薄膜が形成されてもよいし形成されなくてもよい。
図2に、図1の如き近接場光滲出面110と通常伝搬光射出面112が形成されたシングルモード光ファイバ端部に形成される「近接場光滲出用の導電性薄膜」の形成態様を3例示す。
図2(a)に示す導電性薄膜120Aは、図1の導電性薄膜120と同様、近接場光滲出面110、通常伝搬光射出面112とクラッド部103の端面を含む「シングルモード光ファイバ端部」に形成されているが、近接場光滲出面110の先端部の部分には形成されていず、この部分では「近接場光滲出面の先端部が露呈」している。即ち、導電性薄膜120Aは、図1に示す導電性薄膜120から「近接場光滲出面110の先端部にある薄膜部分を除去したもの」である。
図2(b)に示す導電性薄膜121は、近接場光滲出面110のみに形成されている。この場合も、近接場光滲出面110の先端部には薄膜を形成せず、上記先端部を露呈させてもよい。
図2(c)は、図2(b)に示す導電性薄膜121の他に、通常伝搬光射出面112に偏光膜125を設けた例である。偏光膜125を用いると光源からの光の偏光常態を「偏光制御手段」により調整することにより、通常伝搬光射出面112からの通常伝搬光の射出を「射出状態と非射出状態」とに切り替えることができる。導電性薄膜121は近接場光滲出面110の先端部には形成せず、上記先端部を露呈させてもよい。
なお、偏光膜125は、クラッド部103の端面あるいは周面にまで形成されていてもよい。
近接場光滲出面における「導電性薄膜の形成形態」は上記の如きものであるので、以下の説明に係る図面においては導電性薄膜や上記偏光膜の図示を省略する。
図3は、光ファイバプローブの実施の別形態を示す図である。繁雑をさけるため、混同の虞がないものについては、図1におけると同一の符号を付した。
基材となるシングルモード光ファイバは第1コア101、第2コア102により構成されるコア部を囲繞してクラッド部103が形成され、第1コア101には第1テーパ角:αを持つ円錐形状の近接場光滲出面110が形成され、第2コア102には第2テーパ角:βを持つ円錐形状の通常伝搬光射出面112と、テーパ角:γ1を持つ傾斜面が円錐面として形成されている。テーパ角:γ1はテーパ角:βより小さい。
即ち、図3に実施の形態を示す光ファイバプローブは、通常伝搬光射出面112の外周側に、テーパ角:γ1を有する傾斜面113を有する(請求項2)。また、テーパ角:γ1を有する傾斜面113が、第2コア102における通常伝搬光射出面112の外周部に形成されており、テーパ角:γ1がテーパ角:βより小さい(請求項3)。
図4は、光ファイバプローブの実施の他の形態を示す図である。繁雑を避けるため、混同の虞がないと思われるものについては図1におけると同一の符号を付した。
この実施の形態に係る光ファイバプローブの基材となるシングルモード光ファイバは、図4(a)に示すように、第1コア101を中心に、これを囲繞して第2コア102があり、その外周に内側クラッド部103Aと外側クラッド部103Bが設けられている。
シングルモード光ファイバ端部には、第1コア101に、第1テーパ角:αを有する円錐形状の近接場光滲出面110が形成され、第2コア102に、第2テーパ角:βを持ち、近接場光滲出面110を囲繞する通常伝搬光射出面112と、テーパ角:γ1を持つ円錐面状の傾斜面113が形成され、さらにその外側の内側クラッド部103Aの部分に、テーパ角:γ2の円錐面状の傾斜面114が形成されている。即ち、図4の実施の形態では、テーパ角:γ2を有する傾斜面114がクラッド部に形成されている(請求項4)。
図4(b)は、図4(a)の光プローブを下方から見た状態である。図のように、近接場光滲出面110、通常伝搬光射出面112、傾斜面113、114および外側クラッド103Bの端面は同軸的である。
勿論、図3、図4の実施の形態においても、少なくとも近接場光滲出面110には「近接場光滲出用の導電性薄膜」が前述の如き形態で形成され、所望により「偏光膜」が前述の如き形態で形成されているが、これらの薄膜は図示されていない。
図5は、図1に即して説明した光ファイバプローブ100を例にとって、通常伝搬光スポットと近接場光スポットの形成を説明するための図である。
光源からの光Lが光ファイバプローブ100のシングルモード光ファイバ内を通常伝搬光として導光され、射出側端部に至ると、通常伝搬光射出面112に入射した通常伝搬光は、通常伝搬光射出面112から射出光LOとして射出する。通常伝搬光射出面112は第2テーパ角:βをなす円錐形状であるので、射出光LOは通常伝搬光射出面112の円錐軸の側へ向かって屈折し、円錐軸上に集光して通常伝搬光スポットSPOを形成する。このとき、通常伝搬光スポットSPOと光ファイバプローブ先端部との距離:WDが通常伝搬光スポットSPOによる低解像度検査を行うときのワーキングディスタンスとなる。
ワーキングディスタンス:WDは、通常伝搬光の波長、この波長に対するコア部の屈折率、通常伝搬光射出面112の第2テーパ角:βに依存し、また、近接場光滲出面110の円錐形状の直径:Bと通常伝搬光射出面112の円錐形状の直径:Aとの比:B/Aにも依存する。
1例として、通常伝搬光射出面をなすコア部分の通常伝搬光に対する屈折率を1.53とし、射出側が空気である場合に、通常伝搬光射出面の内周側端部と通常伝搬光スポットとの円錐軸方向の距離:Dが、通常伝搬光射出面の傾斜角:θとともに変化する様子を図7(a)に示す。
傾斜角:θは、通常伝搬光射出面の円錐軸に直交する平面に対して上記円錐面のなす角であり、通常伝搬光射出面の第2テーパ角:βを用いると「90度−β」である。従って、図7(a)の横軸における傾斜角:10度は第2テーパ角:β=80度に、傾斜角:50度はテーパ角:=40度にそれぞれ対応する。傾斜角:θは「通常伝搬光射出面に入射する通常伝搬光の入射角」に相当する。
図7に示すように、傾斜角:θが40度(テーパ角:β=50度)のとき距離:Dは200nm程度となり、傾斜角:θが10度(テーパ角:β=80度)のとき距離:Dは1.7μm程度となる。
即ち、請求項1における第2テーパ角:βの範囲「50度<β<90度」であれば、上記距離:Dは数百nm〜数μmとなり、特に請求項12におけるテーパ角:βの範囲「60度≦β≦80度」では、近接場光滲出面部分の高さを考慮しても、数百nm〜数μmのワーキングディスタンスを確保できるので、低解像度走査の際の「光ファイバプローブ先端と被検面との非接触」が確保され、低解像度走査を高速で行うことができ、高効率の検査が可能である。
図7(b)は、近接場光滲出面の円錐形状の直径:Bと通常伝搬光射出面の円錐形状の直径:Aとの比:B/Aの変化に応じて、上記距離:Dがどのように変化するかを示している。この例では、通常伝搬光射出面のテーパ角:β=65度、近接場光滲出面のテーパ角:40度、コア部分の通常伝搬光に対する屈折率:1.53、射出側は空気である。
図7(b)から、直径比:B/Aを0.3程度以下とすれば、上記数百nm〜数μmのワーキングディスタンスを確保できることが分る。
図5に戻ると、シングルモード光ファイバのコア部を伝搬する通常伝搬光が近接場光滲出面110に入射すると、近接場光滲出面110で反射され、光の一部はエバネセント光として近接場光滲出面110から、この面を被覆している導電性薄膜の側へ滲出する。滲出するエバネセント光は導電性薄膜に表面プラズモンを励起し、励起された表面プラズモンとカップリングし、近接場光滲出面110に沿って近接場光滲出面先端部へ向かって伝搬して上記先端部に「表面プラズモンとカップリング」した安定な近接場光スポットSPEを形成する。
因みに、図5における近接場光スポットSPEは説明図的に示すものである。近接場光スポットは「伝搬性の光」ではないので、発生していても単独では観察されない。
近接場光滲出面110に形成される「導電性薄膜」は、表面プラズモンによる近接場光の増強効果が得られることや、化学的安定性に優れることからAu薄膜とすることが望ましい。
近接場光スポットSPEの強度には、一般に図8(a)に示す如き波長依存性があり、図の波長:λ21〜λ22の範囲(最大値:Pの1/2の値:P以上となる波長領域)を選択することにより、良好な強度の近接場光スポットを形成できる。近接場光滲出のための導電性薄膜を上記「Au薄膜」とした場合、480nm〜700nm程度の波長帯に収まる波長の光を選択することにより、良好な強度の近接場光スポットを形成できる。
近接場光スポットSPEの光強度には「第1テーパ角:αに対する依存性」も有る。
図8(b)は近接場光滲出面をなす円錐形状の傾斜角:θ(=90度−α)に対する滲出近接場光強度の一般的な傾向を示し、傾斜角:θとして「θa〜θbの範囲(光強度の最大値:P0の1/2の値:P1以上となる範囲)」の角を選択することにより近接場光スポットSPEの光強度を向上させることができる。例えば、近接場光滲出用の導電性膜を上記「Au薄膜」とした場合、入射光波長:532nmの場合は傾斜角:θは30度〜50度程度(テーパ角:α=40〜50度)が好適である。
図6において、(a)に示す光ファイバプローブ100Aは図1のタイプ、(b)に示すの光ファイバプローブ100Bは図3のタイプ、(c)に示すの光ファイバプローブ100Cは図4のタイプである。
図6における角:ξ1、ξ2、ξ3は、光ファイバプローブの「プローブ部のアスペクト比」である。図6にから明らかなように、アスペクト比:ξ1、ξ2、ξ3は、その大小関係がξ1<ξ2<ξ3となっており、高解像度検査の際に、近接場光スポットにより被検面を走査する場合、走査線上における被検面のプロファイルの傾斜角に対する許容度は、光ファイバプローブ100A、100B、100Cの順に大きくなる。すなわち、近接場光滲出面の外周側に、前記テーパ角:γ1やγ2を持つ傾斜面が形成されることにより、より大きな傾斜角のプロファイルをもつ被検面に対しても近接場光スポットによる検査が可能になり検査対象の幅が広がる。
次に、上に説明した各種の光ファイバプローブの製造方法を説明する。
図9は、図1に即して説明したタイプの光ファイバプローブの製造方法を説明するための図である。図9(a)は、基材となるシングルモード光ファイバを示している。
シングルモード光ファイバFBは、軸の周りに第1コアC1、第2コアC2、クラッド部CLを有する構造となっている。このシングルモード光ファイバFBの、図9(a)で下方の「平坦な端部」をエッチング液に浸漬して選択性(化学)エッチングを行う。
このエッチング液に対する溶解速度を、第1コアC1においてR1、第2コアC2においてR2、クラッド部CLにおいてR3とすると、その大小関係は「R1<R2<R3」である。
図9(b)は、図9(a)に示すシングルモード光ファイバFBに対して、エッチング液による選択性(化学)エッチングを行って、第1コアC1の端面に「第1テーパ角:αを持つ円錐状の近接場光滲出面」が、第2コアの端面に「第2テーパ角:βを持つ円錐状の通常伝搬光射出面」がそれぞれ形成された状態である。
図9(c)は、図9(b)の左半分を拡大して示す図である。
選択性(化学)エッチングを開始してから、図9(b)に示す如き端面形状が形成されるまでの時間をTとする。前述の溶解速度:R1、R2、R3と、第1、第2テーパ角:α、βを用いると、これらの量の間に以下の関係がなりたつ。
即ち、図9(c)における各矢印の長さを、図の如くL1、L2、L3とする。選択性(化学)エッチングでは侵刻はエッチング面に直交する方向へ進行する。従って、
L3=T・R3
L2=L3・sinβ=T・R3・sinβ=T・R2
L1=L3・sinα=T・R3・sinα=T・R1
これらの関係から、
近接場光滲出面のテーパ角(第1テーパ角:α)は、
sinα=R1/R3、従って、
α=sin―1(R1/R3)
で与えられ、通常伝搬光射出面のテーパ角:βは、
sinβ=R2/R3、従って、
β=sin―1(R2/R3)
で与えられる。
即ち、第1コアC1の溶解速度:R1、第2コアの溶解速度:R2、クラッド部CLの溶解速度:R3が定まると、近接場光滲出面の第1テーパ角:α、通常伝搬光射出面の第2テーパ角:βが定まる。
また、第1コアC1の直径をr1、第2コアC2の直径をr2とすれば、図7(b)に即して説明した、近接場光滲出面の円錐形状の直径:Bと通常伝搬光射出面の円錐形状の直径:Aとの比:B/Aが、r1/r2として決定されることになる。
例えば、図7を参照すれば、通常伝搬光射出面の第2テーパ角:β=65度、B/A=0.2とすれば、900nm程度のワーキングディスタンスを実現できるが、このような光ファイバプローブを製造するのであれば、上記溶解速度:R1、R2、R3および第1、第2コアの直径:r1、r2を、
r1/r2=0.2
65度=sin−1R2/R3、
即ち、R2/R3=0.423
が満足されるように、基材となるシングルモード光ファイバを設計もしくは選択すればよい。
第1コア、第2コア、クラッド部の溶解速度を調整するには、これらの部分への添加物の種類や添加量を調整することにより実現できる。
1例を挙げると、住友電工製のシングルモード光ファイバで商品名「DS1」として市販されている「分散シフトファイバ」は、上に説明したシングルモード光ファイバFBに即して言うと、第1コアC1はコア径:4μmで「純粋石英ガラスにGeOを8モル%添加」した材料によりなり、第2コアC2はコア径:14μmで「純粋石英ガラスにGeOを2モル%添加」した材料によりなり、クラッド部CLは純粋石英ガラスによりなり外周部の直径は125μmである。
この分散シフトファイバを選択的(化学)エッチングする「フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液」を特定するため、40重量%フッ化アンモニウム水溶液と、50%フッ酸と、水との混合比(体積比)を、パラメータ:Xを用いて
40重量%フッ化アンモニウム水溶液:50%フッ酸:水=X:1:1
とする。
パラメータ:Xにより特定されるエッチング液中に、上記分散シフトファイバを8時間浸漬して選択性(化学エッチング)を行ったとき、第1コアに形成される円錐形状の第1テーパ角:α、第2コアに形成される円錐形状の第2テーパ角:βは、パラメータ:Xの変化に応じて図10(a)の如くに変化する。
図10(a)において、曲線10−1は第1テーパ角:αの変化、曲線10−2は第2テーパ角:βの変化を示している。
上記市販の分散シフトファイバを基材として「近接場光滲出面の第1テーパ角:αが略43度で、通常伝搬光射出面の第2テーパ角:βが略60度のもの」を形成しようとする場合には、図10(a)から、パラメータ:X=4を持つエッチング液中に8時間浸漬すればよい。このとき、クラッド部外周もエッチングされ、プローブ部として機能する部分でのクラッド部の直径は30〜40μmになる。
図10(b)は、純粋石英ガラスと「GeOを添加した石英ガラス」の上記エッチング液に対する溶解速度(nm/h)が、エッチング液のパラメータ:Xに対してどのように変化するかを示す図である。破線の直線10−3は「純粋石英ガラス」に関するものであり、曲線10−4は「純粋石英ガラスにGeOを25モル%添加したもの」に関するものである。この図から分るように「GeOの添加量が同一」でも、パラメータ:Xが大きくなると溶解速度は小さくなる傾向があり、GeOの添加量が大きくなる(添加濃度が高くなる)ほど溶解速度が小さくなる傾向がある。
従って、第1コア、第2コアやクラッド部の溶解速度は、GeOの添加量やエッチング液のパラメータ:Xにより調整できる。
上記の如くして近接場光滲出面、通常伝搬光射出面を形成されたシングルモード光ファイバの端部のうち、少なくとも近接場光滲出面に「近接場光滲出のための導電性薄膜」を適宜の成膜プロセスで形成すれば、図1に実施の形態を説明したタイプの光ファイバプローブを実現することができる。
若干説明を補足すると、第1コア、第2コアは2酸化ゲルマニウムを添加された石英ガラス、クラッド部は無添加石英ガラスであり、これらは「等方的なガラス」で、エッチング液による溶解は等方的に行われるが、不純物である2酸化ゲルマニウムの添加の有無、添加量の差により溶解速度が異なるので、第1コア、第2コア、クラッド部の境界部では溶解速度が不連続に変化するため、溶解速度の小さい側に傾斜が形成されるのである。
即ち、上に説明した製造方法は、コア部の第1コアと第2コアに、2酸化ゲルマニウムが、第1コアの添加量が第2コアの添加量に対して相対的に高くなるように添加され、フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液に対する溶解速度が、クラッド部、第2コア、第1コアの順に小さくなるシングルモード光ファイバの端面をエッチング液に浸漬してエッチングを行い、第1コアに第1テーパ角:αを持った近接場光滲出面、第2コアに第2テーパ角:βを持った通常伝搬光射出面を形成するエッチング工程と、少なくとも近接場光滲出面に、近接場光滲出のための導電性薄膜を形成する導電性薄膜形成工程とを有する製造方法(請求項13)である。
そして、このようにして製造される光ファイバプローブは、コア部およびクラッド部が石英ガラスを母材とし(請求項5)、コア部は2酸化ゲルマニウムを添加した石英ガラスで、2酸化ゲルマニウムの添加量は、第1コアにおける添加量が第2コアにおける添加量に対して相対的に大きく、各添加量が、第1コアと第2コアのエッチング液に対する所望の溶解速度を与えるように選択され(請求項6)、クラッド部は純粋石英ガラスである(請求項7)。
なお、基材となるシングルモード光ファイバとして上記市販の「分散シフトファイバ」を用いたものでは、形成された通常伝搬光射出面の第2テーパ角:βに「設計値に対して±7度程度のばらつき」を生じる。これは、第2コアへの「GeO添加量のばらつき」によるものである。
発明者らは、基材となるシングルモード光ファイバを、以下のごとき方法で試作した。
即ち、クラッド部となる純粋石英ガラスの管の内壁に、第2コアとなるGeO添加石英ガラス(添加量:2モル%)をMCVD法で堆積し、その内側の空間に、VADで製造した「第1コアC1となるGeOを添加(添加量:8モル%)した石英ガラス棒」を挿入して中実化し、線引きにより、直径:0.8μmの第1コアC1、直径:4μmの第2コアC2、直径:125μmのクラッド部CLよりなるシングルモード光ファイバを試作した。この試作光ファイバでは、通常伝搬光射出面のテーパ角:βに対するばらつきを有効に軽減でき、光ファイバプローブ製造の歩留まりを向上させることができた。
次に、図3に示すタイプの光ファイバプローブの製造方法を具体的に説明する。
図11(a)に示す基材となるシングルモード光ファイバFBは、先に説明した試作光ファイバと同様のプロセスで試作したものであり、直径:0.8μmの第1コアC1、直径:4μmの第2コアC2、直径:125μmのクラッド部CLよりなる。
このシングルオード光ファイバFBの平坦な端面(図の下側の面)側を「パラメータ:Xを1.7に調整した液を10日間ほど放置し、自然劣化によりフッ化アンモニウム濃度がやや増加したもの(GeO添加石英ガラスの溶解速度が純粋石英ガラスの溶解速度より若干大きくなる)」を第1エッチング液として使用して第1エッチング工程を行う。
図11(b)は、第1エッチング工程を110分行った後の状態を示している。この第1エッチング工程後、クラッド部CLの直径は、工程前の125μmから20μm程度になった。第1コアC1に形成された円錐形状の頂角(テーパ角の2倍):α1は略143度、第2コアC2に形成された円錐形状のテーパ角:β1は略75度で、α1とβ1との差は数度しかない。
第1エッチング工程後、パラメータ:X=10に調整した第2エッチング液により第2エッチング工程を2分程度行う。図11(c)は、第2エッチング工程後の状態を示す。この状態では、第1コアC1に第1テーパ角:α=44.5度をもった円錐形状の近接場光滲出面が形成され、第2コアC2には第2テーパ角:β=72.5度をもった通常伝搬光射出面と、その外周部にテーパ角:γ1(>β)をもった傾斜面が円錐面状に形成された。このように近接場光滲出面と通常伝搬光射出面を形成された光ファイバ端部の、少なくとも近接場光滲出面に導電性薄膜を形成することにより、光ファイバプローブを得ることができる。
即ち、直上に説明した製造方法は、コア部の第1コアC1と第2コアC2に、2酸化ゲルマニウムが「第1コアC1の添加量が第2コアC2の添加量に対して相対的に高く」なるように添加され、フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液に対する溶解速度が、クラッド部CL、第2コアC2、第1コアC1の順に小さくなるシングルモード光ファイバFBの端面を、フッ化アンモニウム水溶液の混合比が相対的に低い第1エッチング液(X=1に調整した液を放置し、自然劣化させたもの)に浸漬してコア部に傾斜面を形成する第1エッチング工程と、第1エッチング工程によりコア部に傾斜面を形成されたシングルモード光ファイバFBの端面を、フッ化アンモニウム水溶液の混合比が相対的に高い第2エッチング液(X=10に調整されたエッチング液)に浸漬して、第1テーパ角:αを持つ近接場光滲出面と第2テーパ角:βを持つ通常伝搬光射出面を形成し、かつ、第2コアC2の通常伝搬光射出面の外周部に傾斜角:γ1を持つ傾斜面を形成する第2エッチング工程と、少なくとも近接場光滲出面に、近接場光滲出のための導電性薄膜を形成する導電性薄膜形成工程とを有する製造方法(請求項14)である。
また、このようにして製造された光ファイバプローブは、通常伝搬光射出面の外周側に、テーパ角:γ1(<β)を有する傾斜面を有し(請求項2、3)、コア部C1、C2およびクラッド部CLが石英ガラスを母材とするものであり(請求項5)、コア部C1、C2は2酸化ゲルマニウムを添加した石英ガラスで、2酸化ゲルマニウムの添加量は、第1コアC1における添加量が第2コアC2における添加量に対して相対的に大きく、各添加量が、第1コアC1と第2コアC2のエッチング液に対する所望の溶解速度を与えるように選択され(請求項6)、クラッド部CLは純粋石英ガラスである(請求項7)。
次に、図4に示すタイプの光ファイバプローブの製造方法を、図12を参照して具体的に説明する。
図12(a)において基材となるシングルモード光ファイバFB1は、前述のものと同様に、直径:0.8μmの第1コアC1、直径:4μmの第2コアC2、直径:125μmのクラッド部よりなる。クラッド部は内側クラッド部CL1と外側クラッド部CL2とにより構成されている。内側クラッド部CL1の直径は32μm、外側クラッド部CL2の直径は125μmである。第1コアC1はVADにより作製され、第2コアCL2はMCVDによる堆積で形成される。
内側クラッド部CL1と外側クラッド部CL2とは無水化塩素処理の有無が異なっている。即ち、内側クラッド部CL1は「無水化塩素処理を施されていない純粋石英ガラス」であり、外側クラッド部CL2は「無水化塩素処理を施された石英ガラス」である。
「無水化塩素処理を施された石英ガラス」では、無水化塩素処理によりOHが激減し、微量な塩素が添加されているものと考えられ、OHの減少と塩素の添加により「フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液」に対する溶解速度が純粋石英ガラスよりも若干大きい。
そこで、パラメータ:X=1.7を有する第1エッチング液により第1エッチング工程を行う。第1エッチング工程を60分行った結果を図12(b)に示す。第1コアC1の部分にはテーパ角:α1の円錐状部分が形成され、第2コアC2の部分にはテーパ角:β1の円錐状部分が形成され、その外側の内側クラッド部CL1にテーパ角:γ0の円錐状部分が形成された。
続いて、X=3に調整した第2エッチング液により第2エッチング工程を2分間行ったところ、図12(c)に示すように、第1コアC1に第1テーパ角:αを持つ円錐形状の近接場光滲出面が形成され、第2コアC2に第2テーパ角:βを持つ通常伝搬光射出面と、その外側にテーパ角:γ1を持つ円錐状の傾斜面が形成され、内側クラッド部CL1にテーパ角:γ2の円錐状の傾斜面が形成された。
上記第1テーパ角:α=44.5度、第2テーパ角:β=72.5度である。テーパ角:γ0は90度に近い角度、テーパ角:γ2は65度程度である。このようにエッチングされた端面の「少なくとも近接場光滲出面」に導電性薄膜を成膜することにより光ファイバプローブを得ることができる。
因みに、上述の光ファイバのエッチングにおいて、第1エッチングと第2エッチングに同じ組成(即ち、同じXの値)を持つエッチング液を用いた場合の第1テーパ角:α、第2テーパ角:βは以下の如くになる。
X α β
1.7 65 72.5
2 55.5 71.5
3 41 64
4 33 58
10 25 50 。
外側クラッド部CL2の第1、第2エッチング液に対する溶解速度は、無水化塩素処理により外側クラッド部CL2に添加された塩素の量や減少したOH量に依存するが、塩素添加量やOH減少量を精度よく制御することは困難であるため、第1、第2エッチング工程後におけるテーパ角:γ0、γ2の再現性は基材光ファイバごとにばらついた。
テーパ角:γ2は大きな角度ではないが、第1コアC1の直径:0.8μm、第2コアC2の直径:4μmに対し、内側クラッド部CL1の直径は32μmと大きいので、内側クラッド部CL1に形成されるテーパによる内側クラッド部CL1の内周・外周の高低差は大きく、光ファイバプローブのプローブ部のアスペクト比を増大させる効果が大きい。
なお、塩素添加量を精度よく制御することの困難性によるテーパ角:γ2の再現性のばらつきを考慮すると、内側クラッドCL1の直径は上記の32μmよりも20μm程度がよい。
即ち、図12に即して説明した製造方法は、前述した請求項14記載の光ファイバプローブの製造方法において、シングルモード光ファイバFB1のクラッド部を、純粋石英ガラスによる内側クラッド部CL1と、無水化塩素処理された石英ガラスによる外側クラッド部CL2により構成し、第1、第2エッチング工程により、内側クラッド部にテーパ角:γ2の傾斜面を形成するもの(請求項15)である。
そして、このようにして製造される光ファイバプローブは、通常伝搬光射出面の外周側に、テーパ角:γ1(<β)を有する傾斜面を有し(請求項2、3)、テーパ角:γ2を有する傾斜面がクラッド部に形成され(請求項4)、コア部C1、C2およびクラッド部CL1、CL2が石英ガラスを母材とするものである(請求項5)。
また、コア部C1、C2は2酸化ゲルマニウムを添加した石英ガラスであり、2酸化ゲルマニウムの添加量は、第1コアC1における添加量が第2コアC2における添加量に対して相対的に大きく、各添加量が、第1コアC1と第2コアC2のエッチング液に対する所望の溶解速度を与えるように選択されており(請求項6)、第2コアC2における通常伝搬光射出面の外周部にテーパ角:γ1の傾斜面が形成され(請求項8)、クラッド部が無水化塩素処理を施した石英ガラスを含み(請求項9)、第2コアC2における通常伝搬光射出面の外周部にテーパ角:γ1の傾斜面が形成され(請求項10)、クラッド部が内側クラッド部CL1と外側クラッド部CL2からなり、内側クラッド部CL1は純粋石英ガラスであり、外側クラッド部CL2が無水化塩素処理を施された石英ガラスであり、内側クラッド部にテーパ角:γ2の傾斜面が形成されている(請求項11)。
上に図9、11、12を参照して説明した製造方法は、エッチング液、第1エッチング液、第2エッチング液が「濃度:40重量%のフッ化アンモニウム水溶液と濃度:50重量%のフッ酸と水からなる」ものである(請求項16)。
なお、上に説明した石英ガラスを母材として用いる光ファイバプローブでは、第1コアと第2コアとでGeOの添加量が異なるため、第1コアと第2コアとで屈折率が異なるが、この屈折率の差異は微差(0.1〜0.2%程度)であり、コア部の光学特性に実質的に影響しない。また、第2コアとクラッド部(または内側クラッド部)との比屈折率差も0.2%以下である。
説明を補足すると、この発明の光ファイバプローブで基材として「シングルモード光ファイバ」が用いられる。光ファイバにおける導波モードが「ある波長以下の光に対してシングルモードとなる条件」は、コア部のサイズと「コア部とクラッドとの間の屈折率差」とにより決定される。この発明の光ファイバプローブでは、コア部が第1コア、第2コアで構成されるので、上記シングルモードとなる条件は第2コアのサイズと「第2コアとクラッド部との比屈折率差」により定まる。
一般に、光ファイバが光をシングルモードで伝搬させることのできる波長の上限を「カットオフ波長」と呼ぶが、カットオフ波長:λcは、規格化周波数:ν、コア部の屈折率:n、クラッド部の屈折率:n、コア部の半径:a、コア部とクラッド部の比屈折率差:Δ(=n−n)/n)により、
λc=(2π/ν)a・n√(2・Δ)
で与えられる。
これから、カットオフ周波数:λcは、コア部の径:2・aが大きくなるほど、また、比屈折率差:Δが大きくなるほど長波長側へずれることになる。
光ファイバプローブの上記具体例では、シングルモードのカットオフ波長を可視領域あるいはそれより短波長とするために、コア部の径を4μmとし、コア部とクラッド部の比屈折率差を0.2%以下に抑えている。
このような条件において、第1コアの直径:0.8μm、第2コアの直径:4μmのものでは、図1に示すタイプの光ファイバプローブを作成した場合のアスペクト比は極めて小さいが、図3や図4のタイプ、特に図4のタイプのものではアスペクト比が有効に大きくなり、先に図6に即して説明したように、傾斜角の大きなプロファイルをもつ被検面に対しても近接場光スポットによる検査が可能になり検査対象の幅が広がるのである。
以下には、検査装置および検査方法に関する実施の形態を説明する。
図13は、検査装置の実施の1形態を示している。
この検査装置は、例えば「被検体である試料の微小領域における光学物性を測定する近接場光学顕微鏡」等として実施することができる。
検査装置は、レーザ光を放射する光源11と、光源11を駆動する駆動電源11a、光源11から放射されるレーザ光の波長を切り替える光波長切換部11b、光源11から射出されたレーザ光の光路中に配置されたビームスプリッタ12と、ビームスプリッタ12を透過したレーザ光の光路中に配置された1/2波長板18a、1/4波長板18b、これら波長板の調整を行う調整手段18と、波長板18a、18bを透過した光を被検体2における被検面2aに照射する光ファイバプローブ13と、被検面2aからの戻り光を検出する光検出器14、プローブ制御部15、画像処理部16、画像表示部17および制御手段40を有する。制御手段40はマイクロコンピュータ等により構成され装置全体を制御する。
光ファイバプローブ13はシングルモード光ファイバの伝搬部21の先端にプローブ部22を形成したものであり、図1、図3、図4に即して説明した各タイプのものを使用できる。例えば、図4に示すタイプのものを光ファイバプローブ13として使用すれば、図1や図3に示すタイプのものに比して「より大きなプロファイル角をもつ被検面」に対しても近接場光スポットによる検査が可能になり検査対象の幅が広がる。
以下では説明の具体性のため、光ファイバプローブ13は、図1に示すタイプのものであるとする。即ち、プローブ部22における光ファイバ端面には、近接場光滲出面20aと通常伝搬光射出面20bが形成されている。
また、光ファイバ端面に形成される導電性薄膜は、図2(c)に示すタイプのもので、近接場光滲出面20aには「Auによる近接場光滲出用の薄膜」が形成され、通常伝搬光射出面20bには偏光膜が形成されている。この「偏光膜」はAu薄膜に「偏光機能を持つサブ波長構造のワイヤグリッド」を形成したものである。
サブ波長構造のワイヤグリッドは、周知の「断面形状が矩形形状で幅:w、厚さ:t、ワイヤがピッチ:pをなしてグリッドとして形成されたもの」であり、ピッチ:pがレーザ光の波長よりも小さい。周知の如く上記w、p、tを調整することにより、光源波長に対して偏光機能(特定の偏光成分光のみを透過させる機能)を付与できる。このようなワイヤグリッドは「通常伝搬光射出面への成膜及びイオンビームエッチング等の微細加工」により形成することができる。ワイヤグリッドのワイヤ間空隙部は、微細構造の機械的強度向上を考慮して「空気以外の誘電体」で充填してもよい。
光源11は駆動電源11aにより駆動され、光波長切換部11bにより設定された波長のレーザ光を放射する。放射されたレーザ光は一部がビームスプリッタ12を透過し、ついで1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過する。
1/2波長板18a、1/4波長板18bは、透過光の光軸の周りに回転調整可能であり調整手段18により態位調整されてレーザ光の偏光を制御する。即ち、1/2波長板18a、1/4波長板18bは調整手段18とともに「偏光調整手段」を構成する。
1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過したレーザ光は光ファイバプローブ13のコア部へ入射し、シングルモード波として伝搬部21のコア部内を伝搬する。光ファイバプローブ13の光伝搬部21は長く、光伝搬部21が曲がっていると「伝搬するレーザ光の偏光状態が光伝搬部21の曲がりにより乱れる(直線偏光が楕円化する)」ので、1/4波長板18bの態位調整により「この偏光状態の乱れを補正」し、プローブ部22に入射するレーザ光を直線偏光にする。
このように、1/4波長板18bは「光伝搬部21の曲がりによる伝搬レーザ光の偏光状態の乱れを補正」するものであるので、偏光状態に乱れを生じないような構成の光ファイバプローブである場合には不要であり省略することもできる。
コア部を伝搬する通常伝搬光がプローブ部22に達すると、通常伝搬光は、その一部が近接場光滲出面20aに入射し、他は通常伝搬光射出面20bに入射する。近接場光滲出面20aに入射する通常伝搬光は、その大部分が近接場光滲出面で全反射し、その際滲出するエバネセント光(近接場光)が導電性薄膜に表面プラズモンを励起させてこれとカップリングし、導電性薄膜を伝搬して近接場光滲出面20aの尖端部に「近接場光スポット(図5参照)」を形成する。近接場光スポットは近接場光滲出面先端部から数nm〜数10nmの位置に形成される。
一方、通常伝搬光射出面20bに入射する通常伝搬光は、通常伝搬光射出面20bから射出し、近接場光スポットよりも「光ファイバ軸上で離れた位置(近接場光滲出部の尖端部から数百nm〜数μm程度離れた位置)」に通常伝搬光スポットを形成する。
通常伝搬光射出面20bに入射する通常伝搬光は前述の如く、1/2波長板18a、1/4波長板18bにより直線偏光状態となっており、通常伝搬光射出面20bから射出する通常伝搬光は前記偏光膜であるワイヤグリッドの作用を受ける。即ち、コア部内における通常伝搬光の偏光面の向きが「ワイヤグリッドが透過させるべき方向(ワイヤの配列方向)」と合致していれば、実質的に100%の通常伝搬光がワイヤグリッドを透過するので、通常伝搬光スポットSPの強度を最大にできる。
通常伝搬光スポットにより被検体2の低解像度検査を行うときには、この状態で被検面2aを走査する。近接場光スポットは近接場光滲出面の先端部に留まり、被検面2aには達しないため「通常伝搬光スポットによる走査」には影響しない。また、十分なワーキングディスタンスが保障されているので、低解像度走査は高速で行うことができる。
一方、近接場光スポットによる検査を行うときには、被検面2aを近接場光滲出面20aの先端部にごく近接させ、近接場光スポットにより被検面の走査を行うが、このとき通常伝搬光射出面20aから通常伝搬光が射出していると、射出した通常伝搬光が被検面2aを照射し「近接場光スポットによる走査に対してノイズとして作用」する恐れがある。
そこで、この場合には調整手段18により1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過光軸周りに回転調整する操作により、プローブ部22に入射する通常伝搬光の偏光面を「ワイヤグリッドの配列方向に直交」させれば、通常伝搬光射出面20bから射出する通常伝搬光の強度を実質的に0とすることができ、通常伝搬光のノイズ作用を完全に防止できる。
光ファイバプローブ13は光射出部近傍をプローブ制御部15に装着されている。プローブ制御部15は、例えば「3軸アクチュエータ」等により構成された公知のもので、光ファイバプローブ13の射出側端部を被検面2aに対して「近接離間させる方向(図の上下方向)」及びこれに直交する2方向に変位させる機能を有する。詳述はしないが、近接場光スポットによる被検面走査では、プローブ部の先端が「数nm〜数十nmオーダ」で被検面に近接し「シアフォース顕微鏡により公知のシアフォースを利用した追従制御」により、被検面2aの表面形状に追従して走査が行われる。
通常伝搬光スポットによる低解像度検査から近接場光スポットによる高解像度検査へ切り替えるときには、制御手段40によりプローブ制御部15を制御して、光ファイバプローブ13のプローブ部先端部を「低解像度走査により特定された高解像度走査を行うべき領域」へアクセスさせる。この切り替えに応じて「偏光制御手段の操作によりレーザ光の偏光を制御する」ことは言うまでもない。上記切り替えに伴う「光ファイバプローブ13のプローブ部先端と被検面2aとの距離の変化量」は予め実験的に決定してデータ化し制御手段40に記憶させておく。
なお、被検面の走査は、光ファイバプローブ13のプローブ部を固定し、被検体2を変位させることにより行うようにしてもよいし、光ファイバプローブ13のプローブ部と被検面2との距離の切り替えを「被検体の変位(図1の上下方向の変位)」により行い、近接場光スポットもしくは通常伝搬光スポットによる走査を、光ファイバプローブの変位により行うようにしてもよい。即ち、被検面と光ファイバプローブとの3次元的な相対変位により走査を実行することができる。
図13に示すように、被検面2aにより反射された光は「戻り光」として光ファイバプローブ13内を戻り、1/4波長板18b、1/2波長板18aを透過し、ビームスプリッタ12により反射されて光検出器14により受光される。光検出器14は受光した戻り光を光電変換して輝度信号を生成する。生成された輝度信号を基に走査画像が画像処理部16で作成され、画像表示部17に表示される。検査者は画像表示部に表示される画像に基づき被検面2aの詳細を測定、観察して検査を行うことができる。
具体的には、まず、光ファイバプローブ13のプローブ部22の先端と被検面2aの間隔を「通常伝搬光スポットによる走査に適した距離(数100nm〜数μm)」に設定して通常伝搬光スポットによる低解像度走査を行う。このとき、光源11側からのレーザ光の偏光面が「上記偏光膜をなすワイヤグリッドを実質的に100%透過する方向」に偏光制御されている。低解像度走査の際、光ファイバプローブ13の先端部は、上記輝度信号が最大となるように、図13の上下方向へプローブ制御部15により変位され、この走査により、被検面2aにおける「大まかな凹凸・起伏の状態」が知られる。
画像表示部17に表示される画像から得た「被検面2aの光学物性情報」に基づき、より詳細な光学物性検査を望む微小領域が特定され、当該領域へ光ファイバプローブ13を水平方向に移動させて「位置あわせ」を行い、当該領域のみを対象として「近接場光スポットによる高解像度走査による高解像度検査」を実施する。
即ち、上記「位置合せ」の後、近接場光スポットが形成されている状態で、プローブ制御部15によりプローブ部22を被検面2aに近接する方向に移動させる。近接場光滲出面20aの先端部と被検面2aとの距離が、光源11から射出されるレーザ光の波長の1/4以下となると、近接場光スポットによる近接場光が被検面2aに照射される。前述の如く、このときの「光ファイバプローブ13のプローブ部先端の、被検面2a側への変位量」は予め実験的に決定してデータ化し制御手段40に記憶されている。
被検面2aに照射された近接場光は被検面2aにより反射されて伝搬光となり、検査光としてコア31を介して光検出器14に導かれ、上記と同様にして「被検面2aの高解像度走査による検査」に供せられる。このとき、光源11側からのレーザ光の偏光面が「ワイヤグリッドにより実質的に100%遮断される方向」に偏光制御される。プローブ制御部15により、プローブ部22を低速で被検面の起伏・凹凸に追従させて走査を行う。
被検面における大まかな起伏・凹凸は、低解像度検査で分っているので、この大まかな起伏・凹凸の情報を利用することにより、高解像度検査の際、凹凸や起伏がない部分では、高解像度検査用の走査を高速で行うことができ、高解像度検査の効率を有効に高めることができる。
以上のように、光ファイバプローブ13の先端のプローブ部22を被検面2aに対して近接離間する方向に移動させることにより、近接場光による高解像度検査と通常伝搬光スポットによる低解像度検査を選択的に行うことができる。高解像度検査時における通常伝搬光の射出の抑制により高S/Nでの測定が可能になる。
なお、低解像度走査から高解像度走査への切り替えに際し、プローブ部22を高解像度走査領域へ「位置合せ」するのに、プローブ部22の先端部の被検面2aに対する高さを一定とすることで位置合せ中に近接離間方向への変位制御が不要となり、先に説明した通常伝搬光スポットとプローブ部先端部との間の距離(数百nm〜数um程度)である大きなワーキングディスタンスと相俟ってより高速なアクセス(位置合せ)が可能となり、測定時間の大幅な短縮につながる。
図14に検査装置の実施の別形態を示す。煩雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものには図13におけると同一の符号を付し、これらについての説明は、図1に関連した説明を援用する。
図13に示す実施の形態では、検出手段が「被検面2aによる散乱光もしくは反射光を、戻り光として光ファイバプローブ13を介して検出する」ように構成されているが、図14の実施の形態においては、被検面2a1を介した検査光を、光ファイバプローブを介することなく検出手段14、16、17により検出して検査を行う。即ち、図3に示す実施の形態では、被検体2Aは検査レーザ光に対して透明であり、被検面2a1を介した検査光は、被検体2Aを透過して光検出器14により受光される。
光検出器14により輝度信号が生成され、生成された輝度信号を基に走査画像が画像処理部16で作成され、画像表示部17に表示される。検査の工程は図13の検査装置の場合と同様である。
なお「近接場光による検査における高い強度の光スポット」と、「通常伝搬光による検査における高い偏光制御性」とを共に実現するには、それぞれの検査に適した波長を選択するのがよい。
1例として、近接場光滲出面に導電性薄膜として「Au薄膜」が形成され、通常伝搬光射出面に偏光膜として「Auによるワイヤグリッド」が形成されている場合、近接場光スポットによる検査を実施する際には、表面プラズモンによる近接場光増強効果により近接場光スポットの強度が高くなる波長領域:500〜550nmにおける例えば「波長:532nmのレーザ光」を光源11から放射させ、通常伝搬光スポットによる検査を行う場合には、ワイヤグリッドによる偏光制御を良好に行いうる波長、例えば波長:633nmのレーザ光を光源11から放射させるようにするのがよい。
図13、図14に実施の形態を示す検査装置では、これを実施するために「光源11から放射されるレーザ光の波長を切り替える光波長切換部11b」を有し、低解像度検査を行う場合と高解像度検査を行う場合とで、光源11から放射されるレーザ光の波長を、各検査に適した波長に切り替えるようにしている。具体的には、光源11として発光波長の異なる複数のレーザ光源が用意され、光波長切換部11bにより、これらのレーザ光源のうちから検査解像度に適したものを選択して発光させるのである。
図13、14に即して実施の形態を説明した各検査装置は、被検体2、2Aの被検面2a、2a1を光学的に走査して検査する検査装置であって、光を射出する光源11と、光源11からの光を伝搬させ、射出部に近接場光滲出面20aと、通常伝搬光射出面20bとが形成されたシングルモード光ファイバと、少なくとも近接場光滲出面に形成されて近接場光を滲出させるための導電性薄膜とを有する光ファイバプローブ13と、この光ファイバプローブの通常伝搬光射出面20bから射出する通常伝搬光により形成される通常伝搬光スポットによる低解像度検査用の低解像度走査と、近接場光滲出面20aから滲出する近接場光の近接場光スポットによる高解像度検査用の高解像度走査とを、被検面2a、2a1に対して選択的に行うための走査手段15、被検面2a、2a1を介した検査光を検出し、データ処理する検出処理手段14、16、17とを有し、光ファイバプローブ13は請求項1に記載のものである(請求項17)。勿論、請求項2〜12の任意の1に記載の光ファイバプローブを用いることもできる。
また、光源11は、低解像度検査と高解像度検査とに応じて、異なる波長の光を選択的に放射するものである(請求項18)。
従って、上記検査装置を用いることにより、被検体2、2Aの被検面2a、2a1を光学的に走査して検査する検査方法であって、光源11から射出させた光を、光ファイバプローブ13により導光し、光ファイバプローブの通常伝搬光射出面20bから射出する通常伝搬光により形成される通常伝搬光スポットによる低解像度検査用の低解像度走査と、近接場光滲出面20aから滲出する近接場光の近接場光スポットによる高解像度検査用の高解像度走査とを、走査手段15により被検面2a、2a1に対して選択的に行い、検出処理手段14、16、17により、被検面2a、2a1を介した検査光を検出してデータ処理する検査方法(請求項19)が実施され、低解像度検査と高解像度検査とに応じて、光源11から異なる波長の光が選択的に放射される(請求項20)。
光ファイバプローブの実施の1形態を説明するための図である。 光ファイバプローブに設けられる導電性薄膜の形態を説明するための図である。 光ファイバプローブの実施の別形態を説明するための図である。 光ファイバプローブの実施の他の形態を説明するための図である。 近接場光スポットと通常伝搬光スポットを説明するための図である。 光ファイバプローブのアスペクト比の大小を説明するための図である。 通常伝搬光スポットの形成位置を説明するための図である。 近接場光滲出面から滲出する滲出近接場光の強度の、波長および滲出近接場光の傾斜角に対する依存性を説明するための図である。 光ファイバープローブ製造方法の実施の1形態を説明するための図である。 上記製造方法によるエッチングの作用を説明するための図である。 光ファイバープローブ製造方法の実施の別形態を説明するための図である。 光ファイバープローブ製造方法の実施の他の形態を説明するための図である。 検査装置の実施の1形態を説明するための図である。 検査装置の実施の別形態を説明するための図である。
符号の説明
100 光ファイバプローブ
101 第1コア
102 第2コア
103 クラッド部
110 近接場光滲出面
112 通常伝搬光射出面
FV シングルモード光ファイバ
PR プローブ部
α 第1テーパ角
β 第2テーパ角

Claims (20)

  1. 通常伝搬光スポットによる低解像度検査と、近接場光スポットによる高解像度検査とを行う光検査に用いられる光ファイバプローブであって、
    光を伝搬させるコア部と、このコア部を囲繞するクラッド部とを有するシングルモード光ファイバの一端面の上記コア部に、第1テーパ角:αを有する円錐形状の近接場光滲出面と、この近接場光滲出面を同軸的に囲繞して第2テーパ角:β(>α)を有する円錐形状の通常伝搬光射出面とを有し、少なくとも上記近接場光滲出面に近接場光滲出のための導電性薄膜が形成されてなり、
    上記クラッド部はエッチング液に対する溶解速度が上記コア部より大きく、上記コア部は、エッチング液に対する溶解速度が互いに異なる第1コアと第2コアとを同軸的に有し、選択性(化学)エッチングにより、上記第1コアに近接場光滲出面が、第2コアに通常伝搬光射出面がそれぞれ形成され、上記第2テーパ角:β(度)が、
    50<β<90
    の範囲にあることを特徴とする光ファイバプローブ。
  2. 請求項1記載の光ファイバプローブにおいて、
    通常伝搬光射出面の外周側に、テーパ角:γを有する傾斜面を有することを特徴とする光ファイバプローブ。
  3. 請求項2記載の光ファイバプローブにおいて、
    テーパ角:γ(<90度)を有する傾斜面が、第2コアにおける通常伝搬光射出面の外周部に形成され、上記テーパ角:γが、テーパ角:βより小さいγ1であることを特徴とする光ファイバプローブ。
  4. 請求項2または3記載の光ファイバプローブにおいて、
    テーパ角:γを有する傾斜面がクラッド部に形成されており、テーパ角:γがγ2であることを特徴とする光ファイバプローブ。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の光ファイバプローブにおいて、
    コア部およびクラッド部が石英ガラスを母材とするものであることを特徴とする光ファイバプローブ。
  6. 請求項5記載の光ファイバプローブにおいて、
    コア部は2酸化ゲルマニウムを添加した石英ガラスであり、2酸化ゲルマニウムの添加量は、第1コアにおける添加量が第2コアにおける添加量に対して相対的に大きく、上記各添加量が、第1コアと第2コアのエッチング液に対する所望の溶解速度を与えるように選択されていることを特徴とする光ファイバプローブ。
  7. 請求項6記載の光ファイバプローブにおいて、
    クラッド部が純粋石英ガラスであることを特徴とする光ファイバプローブ。
  8. 請求項7記載の光ファイバプローブにおいて、
    第2コアにおける通常伝搬光射出面の外周部にテーパ角:γ1の傾斜面が形成されていることを特徴とする光ファイバプローブ。
  9. 請求項6記載の光ファイバプローブにおいて、
    クラッド部が無水化塩素処理を施した石英ガラスを含むことを特徴とする光ファイバプローブ。
  10. 請求項9記載の光ファイバプローブにおいて、
    第2コアにおける通常伝搬光射出面の外周部にテーパ角:γ1の傾斜面が形成されていることを特徴とする光ファイバプローブ。
  11. 請求項9または10記載の光ファイバプローブにおいて、
    クラッド部が内側クラッド部と外側クラッド部からなり、内側クラッド部は純粋石英ガラスであり、外側クラッド部は無水化塩素処理を施された石英ガラスであり、内側クラッド部にテーパ角:γ2の傾斜面が形成されていることを特徴とする光ファイバプローブ。
  12. 請求項1〜11の任意の1に記載の光ファイバプローブにおいて、
    通常伝搬光射出面のテーパ角:β(度)が
    60≦β≦80
    の範囲にあることを特徴とする光ファイバプローブ。
  13. コア部の第1コアと第2コアに、2酸化ゲルマニウムが、第1コアの添加量が第2コアの添加量に対して相対的に高くなるように添加され、フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液に対する溶解速度が、クラッド部、第2コア、第1コアの順に小さくなるシングルモード光ファイバの端面を上記エッチング液に浸漬してエッチングを行い、上記第1コアに第1テーパ角:αを持つ近接場光滲出面、第2コアに第2テーパ角:βを持つ通常伝搬光射出面を形成するエッチング工程と、
    少なくとも上記近接場光滲出面に、近接場光滲出のための導電性薄膜を形成する導電性薄膜形成工程とを有することを特徴とする光ファイバプローブの製造方法。
  14. コア部の第1コアと第2コアに、2酸化ゲルマニウムが、第1コアの添加量が第2コアの添加量に対して相対的に高くなるように添加され、フッ化アンモニウム水溶液およびフッ酸および水からなるエッチング液に対する溶解速度が、クラッド部、第2コア、第1コアの順に小さくなるシングルモード光ファイバの端面を、上記フッ化アンモニウム水溶液の混合比が相対的に低い第1エッチング液に浸漬してコア部に傾斜面を形成する第1エッチング工程と、
    第1エッチング工程によりコア部に傾斜面を形成されたシングルモード光ファイバの端面を、上記フッ化アンモニウム水溶液の混合比が相対的に高い第2エッチング液に浸漬して、第1テーパ角:αを持つ近接場光滲出面と第2テーパ角:βを持つ通常伝搬光射出面を形成し、かつ、上記第2コアの通常伝搬光射出面の外周部に傾斜角:γ1を持つ傾斜面を形成する第2エッチング工程と、
    少なくとも上記近接場光滲出面に、近接場光滲出のための導電性薄膜を形成する導電性薄膜形成工程とを有することを特徴とする光ファイバプローブの製造方法。
  15. 請求項14記載の光ファイバプローブの製造方法において、
    シングルモード光ファイバのクラッド部を、無水化塩素処理の施されていない純粋石英ガラスによる内側クラッド部と、無水化塩素処理を施された石英ガラスによる外側クラッド部とにより構成し、
    第1、第2エッチング工程により、内側クラッド部にテーパ角:γ2の傾斜面を形成することを特徴とする光ファイバプローブの製造方法。
  16. 請求項13〜15の任意の1に記載の光ファイバプローブの製造方法において、
    エッチング液、第1エッチング液、第2エッチング液が、濃度:40重量%のフッ化アンモニウム水溶液と濃度:50重量%のフッ酸と水からなることを特徴とする光ファイバプローブの製造方法。
  17. 被検体の被検面を光学的に走査して検査する検査装置であって、
    光を射出する光源と、
    光源からの光を伝搬させ、射出部に近接場光滲出面と、通常伝搬光射出面とが形成されたシングルモード光ファイバと、少なくとも上記近接場光滲出面に形成されて近接場光を滲出させるための導電性薄膜とを有する光ファイバプローブと、
    この光ファイバプローブの通常伝搬光射出面から射出する通常伝搬光により形成される通常伝搬光スポットによる低解像度検査用の低解像度走査と、上記近接場光滲出面から滲出する近接場光の近接場光スポットによる高解像度検査用の高解像度走査とを、上記被検面に対して選択的に行うための走査手段と、
    上記被検面を介した検査光を検出してデータ処理する検出処理手段とを有し、
    上記光ファイバプローブが、請求項1〜12の任意の1に記載のものであることを特徴とする検査装置。
  18. 請求項17記載の検査装置において、
    光源が、低解像度検査と高解像度検査とに応じて、異なる波長の光を選択的に放射するものであることを特徴とする検査装置。
  19. 被検体の被検面を光学的に走査して検査する検査方法であって、
    光源から射出させた光を、請求項1〜12の任意の1に記載の光ファイバプローブにより導光し、上記光ファイバプローブの通常伝搬光射出面から射出する通常伝搬光により形成される通常伝搬光スポットによる低解像度検査用の低解像度走査と、上記近接場光滲出面から滲出する近接場光の近接場光スポットによる高解像度検査用の高解像度走査とを、走査手段により上記被検面に対して選択的に行い、検出処理手段により上記被検面を介した検査光を検出してデータ処理することを特徴とする検査方法。
  20. 請求項19記載の検査方法において、
    低解像度検査と高解像度検査とに応じて、光源から異なる波長の光を選択的に放射させることを特徴とする検査方法。
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