JP2007212250A - 光学素子および検査装置および検査方法および光スポット位置変位方法 - Google Patents

光学素子および検査装置および検査方法および光スポット位置変位方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伝搬光による光スポットを微小化するとともに、その位置を変位させることができるようにする。
【解決手段】光軸対称で凸の錐体面を光射出面として有する透明な光学素子10の光射出面10Aから、光軸AXに直交する面内で光射出面の断面形状に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分L12を射出させて、光学素子外の光軸上に微小な光スポットSPを形成させ、光軸対称な光束部分L12の光軸AXからの内径:Rと幅:Δのうち、少なくとも光軸からの内径:Rを変化させることにより微小な光スポットSPの形成位置を変化させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、光学素子および検査装置および検査方法および光スポット位置変位方法に関する。
光ファイバにレーザ光を伝搬させ、凸の円錐面形状に形成された射出端から射出させることにより、光ファイバ光軸上に集光させてミクロンオーダあるいはそれ以下の微小な光スポットを形成し、この光スポットにより物体表面を走査して表面状態を検査し、あるいは、上記表面に対して光エネルギによる加工を行うことが意図されている。
また、光ファイバの射出端に「頂角の小さい円錐面」を形成し、この円錐面に近接場光滲出用の導電性薄膜を形成し、光ファイバ中を伝搬させた伝搬光を円錐面で全反射させて近接場光を発生させ、この近接場光により物体表面を走査して高分解能の検査を行うことも意図されている。
近接場光による検査に関しては、対物レンズによる観察系を含む通常の光学顕微鏡装置に、近接場光検出用光プローブを組み込んだものが特許文献1により知られている。
上述した「光ファイバの射出端に形成された凸の円錐面から射出させた伝搬光により形成される光スポット」は微小ではあるが、光ファイバの光軸方向(光ファイバの中心軸方向を射出端の外側へ延長した直線の方向)に長細い形状をしており、被検面における面直交方向の情報(例えば、表面の微小な凹凸状況)の取得には工夫を要する。
特開2000−055818公報
この発明は、上記の如き伝搬光による光スポットを微小化するとともに、その位置を変位させることができるようにすることを課題とする。
この発明の光スポット位置変位方法は「微小な光スポットを形成し、その位置を変位させる方法」であって、以下の特徴を有する(請求項1)。
即ち、「光軸対称で凸の錐体面を光射出面として有する透明な光学素子」の光射出面から「光軸に直交する面内で光射出面の断面形状に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分」を射出させて、光学素子外の光軸上に微小な光スポットを形成させる。そして「光軸対称な光束部分の光軸からの内径と幅のうち、少なくとも光軸からの内径を変化させる」ことにより微小な光スポットの形成位置を変化させる。
「光軸」は、射出端面から射出する射出光束の対称軸に合致する空間的な軸であり、凸の錐体面は、この光軸に対して回転対称である。
「光射出面」は光軸対称で凸の錐体面であるから、光軸を回転対称の軸とする各種の錐体面、例えば、n≧3とする「n角錐の錐体面」であることもできるし、「円錐面」であることもできる。光射出面は、光を射出させる面であるから、光学素子内部から光射出面に入射する伝搬光を全反射させてはならない。従って、上記錐体面が光軸に直交する面に対してなす角は「全反射角よりも小さい角」であることが必要である。
光射出面を「光軸に直交する面」で仮想的に切断すると、この断面上の形状は、正n角形(錐体面がn角錐の錐体面である場合)もしくは円形(錐体面が円錐面である場合)になる。
光射出面は「光軸対称な凸の錐体面」であるから、光射出面全体から光を射出させると、射出した光は錐体面により「光軸へ向かう方向へ屈折」され、錐体面が光軸対称であるので、略光軸上で集光して光スポットを形成するが、光射出面から射出した光には光軸方向には集束作用が実質的に作用しないため、光スポットは「光軸方向に細長い形状」となる。
しかるに、上記の如く「光軸に直交する面内で光射出面の断面形状(上記正n角形もしくは円形状)に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分」を射出させると、この光束部分はその幅が「錐体面の一部」に対応するので、形成される光スポットは上記「光射出面全体から射出した光の形成する、光軸方向に細長い形状」の一部分に集光した光スポットとなり、光スポットは「光軸方向へ微小化」される。
また、上記光束部分の「光軸からの距離」を変化させると、射出した光の集光位置は光軸方向に変化する。なお、射出させる「光軸対称な光束部分」の「光軸から所望の内径と幅」は「射出面から射出する位置における光学素子内での内径と幅」を言う。
従って、光学素子の光射出面から射出する伝搬光の形成する光スポットを「光軸方向に微小化」できるとともに、その形成位置を光軸上で変位させることができる。
請求項1に記載の光学素子から「光軸に直交する面内で光射出面の断面形状(上記正n角形もしくは円形状)に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分を射出させる」方法としては、請求項2記載の光スポット位置変位方法にように、「光学素子の光軸に直交する面内で光射出面の断面形状に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な形状に光束断面形状を調整された光束」を、光軸方向に平行に光射出面に入射させて、光射出面から射出させるようにすることができる。
上記の如く「光束断面形状を調整」するには、例えば、液晶フィルタや、MMD(マイクロミラーデバイス)を用いる方法等が可能である。
または、光学素子の光射出面に「特定の偏光成分を選択的に透過させる偏光選択手段」を「選択的に透過させる偏光成分が、光軸からの距離に応じて段階的もしくは連続的に変化する」ように設け、光学素子を伝搬して光射出面に向かう光の偏光状態を変化させることにより、偏光選択手段により「光軸に直交する面内で上記光射出面の断面形状に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分」を射出させることができる(請求項4)。
光射出面の形状は、上記の如く、正n角錐の錐体面形状であることができるが、光射出面の形成の容易さや、形成される微小な光スポットの「光軸の周りの対称性」等の面からすると、光射出面の形状は「凸の円錐面」であることが好ましい(請求項5)。この場合には、光射出面から「光軸から所望の内径と幅とを有するリング状の光束断面形状を持つ光束部分」を射出させることができる。
上に説明した光スポット位置変位方法に用いられる「光学素子」は、上記の如く、光軸対称で凸の錐体面を光射出面として有し、光射出面から「光軸に直交する面内で光射出面の断面形状に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分」を射出させて、光学素子外の光軸上に微小な光スポットを形成させることができるものであればよく、光射出面の形状も上記の如く正n角錐の錐体面形状であることができる。
請求項5記載の光学素子は「光軸対称で凸の円錐面」を光射出面として有し、光射出面に「特定の偏光成分を選択的に透過させる偏光選択手段」を、選択的に透過させる偏光成分が「光軸からの距離に応じて段階的もしくは連続的に変化する」ように設けたことを特徴とする。
この請求項5記載の光学素子における「偏光選択手段における、選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた段階的もしくは連続的な変化」は、基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分まで「光軸からの距離とともに単調に変化する」ものでもよいし(請求項6)、「偏光選択手段における、選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた変化」が、基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分まで「光軸からの距離とともにランダムに変化する」ものでもよい(請求項7)。
ここに言う「ランダムな変化」は、選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた変化が「光軸からの距離に対して順不同」になっていることを意味する。
なお、請求項5における「選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた段階的もしくは連続的な変化」は、光軸からの距離とともに単調に変化する場合も、ランダムに変化する場合も、「基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分」までの偏光変化領域を全てカバーする必要は無く、上記偏光変化領域の一部を用いるのみでもよい。このように偏光変化領域の一部を用いると、偏光変化領域以外の偏光成分は光射出面から射出することがない。
上記請求項5〜7の任意の1に記載の光学素子における「光射出面に設けられた偏光選択手段」は、「入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す構造」により構成されることが好ましく(請求項8)、その場合、入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す構造は「導電性材料」により形成されることができ(請求項9)、この導電性材料としては「Au(金)またはAl(アルミニウム)」が好適である(請求項10)。
請求項5〜10の任意の1に記載の光学素子における「光射出面」は、光学素子内を伝搬する光(「伝搬光」という。)を射出するための面であり、光学素子の光射出部の全域が単一の光射出面として形成されていることができることは勿論であるが、これに限らず、光学素子の「光軸を含む領域」に光射出面に囲繞されるようにして「光射出面よりも頂角の小さい円錐面」が近接場光滲出面として形成され、近接場光滲出面が「近接場光滲出用の導電性膜」で被覆された構成とすることができる(請求項11)。
このように、光学素子が「光射出面と、この射出面に囲繞される近接場光射出面とを有する」場合、光射出面から射出する伝搬光により形成される光スポットを「伝搬光スポット」と呼び、近接場光によるスポットと区別する。
この請求項11記載の光学素子においては、光射出面に設けられた偏光選択手段を「入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す導電性材料」により構成し(請求項9、10)、この導電性材料を「近接場光滲出用の導電性膜の材料」と同一とすることができる(請求項12)。
請求項5〜10の任意の1に記載の光学素子は「光ファイバの射出端面形状として光射出面が形成された光ファイバプローブ」であることができる(請求項13)、請求項11または12記載の光学素子も「光ファイバの射出端面形状として光射出面と近接場光滲出面が形成された光ファイバプローブ」であることができる(請求項14)。
上記「偏光選択手段」は、上に説明した「入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す構造」に限らず、有機複屈折膜や多層膜により構成することも可能である。
この発明の検査装置は「被検査体の被検面を光学的に検査する装置」であって、光源と、光学素子と、光スポット位置変位手段と、走査手段と、検出手段とを有する。
「光源」は、検査に供される光を放射する。光源としては、半導体レーザを初めとする各種レーザ光源やLED光源を好適に用いることができる。光源はまた「発光波長を複数波長に切り替えることができるもの」であることができる。
「光学素子」は、光源からの光を伝搬させ、この伝搬光を光軸対称な光射出面から射出させるものであり、請求項5〜14の任意の1に記載のものである。
「光スポット位置変位手段」は、光学素子から射出する伝搬光の形成する微小な光スポットの位置を光軸上で変位させる手段であり、光源から光学素子の光射出面に入射する光の偏光方向を変化させる手段である。
「検出手段」は、被検面からの戻り光を検査光として検出する手段である。
「被検面からの戻り光」は、被検面による散乱光もしくは反射光であるが「光学素子を介して検出手段に導光する」ようにすることができる。
請求項15記載の検査装置は、光学素子として、請求項13記載の光ファイバプローブを用いる(請求項16)ことも、請求項14記載の光ファイバプローブを用いることもできる(請求項17)。請求項14の光ファイバプローブを光学素子として用いる場合には、走査手段は「伝搬光スポットによる被検面走査」と「近接場光による被検面走査」とを切り替え可能とする。請求項17記載の検査手段の場合には「光源における発光波長を切り替える」ことができるようにするのが好ましい。
この発明の検査方法は、上記請求項15〜17の任意の1に記載の検査装置を用いて、被検査体の被検面を光学的に検査する検査方法である(請求項18)。
請求項19記載の検査方法は、請求項18記載の検査方法において、被検面のごく近傍に、伝搬光スポットの形成位置を設定し、伝搬光スポットにより被検面を走査しつつ、光スポット位置変位手段により光源から光学素子の光射出面に入射する光の偏光方向を変化させ、被検面のサンプリング位置ごとに「検出手段が検出する戻り光が最大強度となる光スポット位置」を被検面の高さ情報として取得する検査方法であることができる。
なお、この明細書において「検査」は、被検面の状態を光学的に走査して「被検面の状態を光学的に観察する」場合や「被検面に対して光学的な測定を行う」場合を含むのみならず「被検面に対して光エネルギによる加工を行う」場合をも含む。
例えば、請求項15〜17の任意の1に記載の検査装置では、被検面を介した検査光を検出手段で検出してモニタしつつ、伝搬光スポットや近接場光の光エネルギで、被検面に対する加工を行うこともできる。
なお、上記請求項15に記載された検査装置において、光学素子として、先に説明した「光軸対称で凸の錐体面」を光射出面として有し、光射出面から「光軸に直交する面内で光射出面の断面形状に相似な形状で、光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分」を射出させて、光学素子外の光軸上に微小な光スポットを形成させることができるもの、例えば「光射出面の形状が正n角錐の錐体面形状であるもの」を用いる検査装置を構成することも可能である。
以上に説明したように、この発明によれば、伝搬光スポットを光軸方向に微小化できるので、伝搬光スポットによる検査における光軸方向の分解能が向上する。また、光学素子を光軸方向に変位させることなく、伝搬光スポットの位置を光軸方向に変位させることができるため、例えば、被検面における表面の微小な凹凸状況等の「面直交方向の情報」の取得が容易になる。
以下、実施の形態を説明する。
図1は、請求項1、2、4記載の光スポット位置変位方法の実施の1形態を説明するための図である。図1(a)において、符号10は「光学素子」を示している。この光学素子10は、伝搬光スポットのみを形成する光学素子であり近接場光は発生させない。
光学素子10は「透明体」であり、図1(a)の上方から平行光束Lが入射するようになっており、入射面は光軸AXに直交する平面状となっている。入射面と逆側の面(図1(a)で下側の面)は「凸の円錐面」に形成されており、その頂部近傍は遮光膜10Bにより遮光され、その外側にある円錐面部分が光射出面10Aとなっている。光軸AXに直交する平面に対する光射出面10Aの傾き角:θを光射出面の「テーパ角」と呼ぶ。
図1(a)の如く、光学素子10の入射面側から平行光束Lを入射させると、入射した光束は伝搬光L1となって光学素子10中を伝搬し、光射出面10Aから射出して射出光L2となる。射出光L2は光射出面10Aから射出するときに、光射出面10Aのテーパ角の作用により屈折するが、光射出面10Aが円錐面であることから、射出光L2も円錐状の集光光束となり、光軸AX上に「細長く集光」する。
図1(a)において、符号SPLで示す部分が「射出光L2による集光領域」である。
この集光領域は、光学素子10を伝搬する伝搬光L1が射出光L2となって「光軸方向に長いスポット状」に集光したものであるので以下「伝搬光による集光スポットSPL」と呼ぶことにする。
図1(b)は、光学素子10による「伝搬光スポット」の形成を説明するための図である。光学素子10の入射面から「光軸を中心軸とするリング状の光束断面」をもった光束L10を入射させると、入射した光束は、光学素子10内を「中空シリンダ状」の光束L11となって伝搬し、光射出面10Aから光束L12として射出すると光軸AX上に集光して微小な光スポットSPを形成する。この微小な光スポットSPが「伝搬光スポット」である。
図1(b)において光学素子10への入射光束L10の、光軸AXからの距離を「内径:R」、リング状の光束断面の幅を「幅:Δ」とすると、これらをパラメータとして内径:Rを変化させると、伝搬光スポットSPの形成位置は、光軸AX上を、図1(b)において上下方向に変位する。また、幅:Δの変化は「伝搬光スポットSPの光軸AX方向のサイズ」を変化させる。伝搬光スポットSPの光軸AX方向における変位領域は、伝搬光による集光スポットSPLの光軸方向の長さに等しい。
従って、光射出面10Aに入射する「中空シリンダ状の光束」、即ち、光軸AXから所望の内径:Rと幅:Δとを有する光軸対称な光束部分L10を、光射出面10Aから光束L12として射出させることにより伝搬光スポットSPを「微小な光スポット」として形成でき、光束L10の内径:Rを変化させることにより、伝搬光スポットSPの位置を光軸AX方向に変位させることができ、幅:Δを変化させることにより、伝搬光スポットSPの「光軸方向のサイズ」を調整できる。
なお、光源としてレーザ光源を用いる場合には、入射光束は「光軸に対して対称的な光強度分布」を持つのが一般的である。この場合、光軸からの距離:Rの位置での光強度分布をP(R)とすると、上記内径:R、幅:Δの光束L10を伝搬光スポットSPとして集光させたときの光強度は概略:2πR・Δ・P(R)となるから、幅:Δを変化させることは、伝搬光スポットSPの光強度を変化させることに対応し、従って、幅:Δを変化させることにより伝搬光スポットSPの光強度を調整することができる。
中空シリンダ状の入射光束L10を得るには、例えば、以下のようにすればよい。
図1(c)に示す遮光部材Fは遮光性で、所望の内径(Rとする。)と幅(Δとする。)を持つ透過部F1をリング状に形成されている。具体的には、例えば、透明な硝子板の片面の「透過部F1を除く部分」に金属遮光膜を形成することにより遮光部材Fを実現できる。
このような遮光部材Fに、図1(d)のように光源からの平行光束Lを入射させ、リング状の透過部を透過した中空シリンダ状の光束を、レンズ13、15により構成されるアフォーカル系の「ビーム径縮小光学系」により、光束径を「光学素子10の入射面の大きさに適合させた大きさに調整して、光学素子10に入射させる。
遮光部材Fのような遮光部材を「リング状の透過部の内径や幅」を異ならせて複数種用意し、これらをターレットに組み込んでターレットの回転により、入射光Lの光路中に配置する遮光部材を切り替えることにより、光学素子10の光射出面10Aに入射する光束L10の内径・幅を切り替えることができる。
また、液晶シャッタデバイスや、マイクロミラーデバイス等を用い、中空シリンダ状の光束の内径と幅とを切り替えることにより、伝搬光スポットの形成位置を光軸方向に変位させることができる。
即ち、図1に即して上に説明した方法は、微小な光スポットSPを形成し、その位置を変位させる方法であって、光軸対称で凸の錐体面を光射出面10Aとして有する光学素子10の光射出面10Aから、光軸AXに直交する面内で光射出面の断面形状に相似な形状で、光軸AXから所望の内径:Rと幅:Δとを有する光軸対称な光束部分L12を射出させて、光学素子外の光軸上に微小な光スポットSPを形成させ、光軸対称な光束部分L12の光軸AXからの距離:Rと幅:Δのうち、少なくとも光軸からの距離:Rを変化させることにより微小な光スポットSPの形成位置を変化させる光スポット位置変位方法(請求項1)である。
また、光学素子10の光軸AXに直交する面内で「光射出面10Aの断面形状に相似な形状」で光軸AXから所望の内径:Rと幅:Δとを有する光軸対称な形状に光束断面形状を調整された光束L10を、光軸AX方向に平行に光射出面10Aに入射させて、光射出面10Aから射出させる(請求項2)。そして、光学素子10の光射出面10Aは円錐面であり、この光射出面10Aから、光軸から所望の内径:Rと幅:Δとを有するリング状の光束部分L12を射出させる(請求項4)。
上には、光学素子の光射出面形状が円錐形状である場合を説明したが、光射出面の形状が円錐面でなく、光軸対称なn角錐(n≧3)である場合も、上記と同様にして「伝搬光スポットの形成位置を光軸方向に変位させる」ことができることは容易に理解されよう。
若干付言すると、光射出面の光軸を含む光軸近傍部分に設けられた遮光膜10Bは、この部分での光束の射出を阻止するためのものであるが、遮光膜10Bは「伝搬光による集光スポットSPL」の位置を「錐体面の頂点位置」から離すためのものである。遮光膜10Bを形成しないと、伝搬光による集光スポットSPLは上記頂点位置に接して形成されることになる。
伝搬光による集光スポットSPLが「光射出面の頂点位置」に接していてもよいが、被検面を走査する際に、光学素子10が被検面と相対的に変位することを考えると、光学素子の先端部と被検面とが接触するのを防止するには、集光スポットSPLの形成位置(これは伝搬光スポットの変位領域幅である。)が光学素子10の先端部から「ある程度離れている」ほうがよく、このために遮光膜10Bを適宜の大きさに形成するのがよい。
上に説明した光射出面のテーパ角:θを小さくするほど、伝搬光による集光スポットSPLの形成位置は光軸上で光学素子10の先端部から離れる。なお、テーパ角:θは、光学素子内部での光束L10の光射出面10Aへの入射角に等しいので、テーパ角:θは大きくても全反射角以上にすることはできない。
図1の実施の形態において、光源側からの入射平行光束Lを遮光せず、全光束を光学素子10に入射させれば「伝搬光による集光スポットSPL」を形成できる。これを行うには、たとえば、液晶シャッタデバイスを全開状態にするとか、遮光部材を入射光束の光路上から退避させるなどすればよい。
図2は、請求項1、3、4記載の光スポット位置変位方法の実施の1形態を説明するための図である。図2(a)において、符号20は「光学素子」を示している。この光学素子20も「伝搬光スポットのみを形成する光学素子」であり近接場光は発生させない。
光学素子20は「透明体」であり、図2(a)の上方から平行光束(図示されず)が入射するようになっており、入射面は光軸AXに直交する平面状となっている。入射面と逆側の面(図2(a)で下側の面)は「凸の円錐面」に形成されており、その頂部近傍は遮光膜20Bにより遮光され、その外側の部分が光射出面20Aとなっている。光軸AXに直交する平面に対する光射出面20Aの傾き角:θを光射出面の「テーパ角」と呼ぶ。テーパ角:θが全反射角未満であることは、図1の光学素子10の場合と同様である。
光射出面20Aには偏光選択手段20Cが形成されている。
図2(c)は、光学素子20を、図2(a)の下方から見た状態を説明図的に示している。射出面側は光軸を含む光軸近傍の領域に遮光膜20Bが形成され、遮光膜20Bを囲繞するように偏光選択手段20Cが設けられている。
この例では、偏光選択手段20Cは同心円状の複数(N個)の輪帯領域20A1、20A2、20A3、20A4、・・20AN−1、20ANに別れている。これら輪帯領域は「特定の偏光成分を選択的に透過させる」ように偏光特性が設定されており、「選択的に透過させる偏光成分」の偏光方向(図2(c)に示す各長方形形状の中の「両側矢印」で示す。)が、最内部の輪帯領域20A1における「左右方向」から、最外部の輪帯領域20ANにおける「上下方向」まで、光軸からの距離に応じて単調的かつ段階的に変化している。
図2(b)に示すように、光学素子20に断面円形状の平行光束LFを入射させるが、このとき、入射光束LFは直線偏光に偏光させておく、図2(b)では、平行光束LFの中に描かれた両側矢印が入射光束LFの偏光方向であるとする。この偏光方向は、この例では、偏光選択手段20Cにおける輪帯領域20A4が選択的に透過させる偏光成分と合致している。
すると、光学素子20に入射した直線偏光の平行光束LFは、光学素子20を光軸AX方向に伝搬し、遮光膜20Bに入射する光束部分は遮断される。また、光射出面20Aに入射する光束部分においては、平行光束LFの直線偏光方向が「選択的に透過させる偏光成分」と合致する輪帯領域20A4の部分に入射する部分(平行光束LFのうち、上記輪帯領域を底面とする中空シリンダ状の光束部分)のみが光学素子外へ屈折して光束LA4となって射出し、伝搬光スポットSPを形成する。
従って、光学素子20に入射する平行光束LFにおける直線偏光の偏光方向を変化させれば「偏光光束を選択的に透過させる輪帯領域」が切り替わるので、それに応じて、光軸AX上に形成される伝搬光スポットSPの位置が光軸方向に変位することになる。
このようにして伝搬光スポットの位置を変位させることができる。
図2の光学素子20に入射させる平行光束を「円偏光状態」で入射させれば「伝搬光による集光スポットSPL」を形成できる。これを実行するには、直線偏光状態の平行光束の光路に1/4波長板を挿入して円偏光に変換すればよい。
図2に即して説明した方法は、微小な光スポットSPを形成し、その位置を変位させる方法であって、光軸対称で凸の錐体面を光射出面として有する光学素子20の光射出面20Aから、光軸AXに直交する面内で光射出面20Aの断面形状に相似な形状で、光軸から所望の内径(輪帯領域20A1〜20ANの光軸からの内径)と幅(輪帯領域20A1〜20ANの幅)とを有する光軸対称な光束部分LA4を射出させて、光学素子20外の光軸AX上に微小な光スポットSPを形成させ、光軸対称な光束部分LA4の光軸AXからの距離と幅のうち、少なくとも光軸AXからの距離を変化させることにより微小な光スポットSPの形成位置を変化させる光スポット位置変位方法(請求項1)である。
また、光学素子20の光射出面20Aに、特定の偏光成分を選択的に透過させる偏光選択手段20Cを「選択的に透過させる偏光成分が、光軸AXからの距離に応じて段階的に変化する」ように設け、光学素子20を伝搬して光射出面20Aに向かう光の偏光状態を変化させることにより、偏光選択手段20Cにより、光軸AXに直交する面内で「光射出面の断面形状に相似な形状」で、光軸AXから所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分LA4を射出させ(請求項3)、光学素子20の光射出面20Aは円錐面で、光射出面20Aから、光軸から所望の内径と幅とを有するリング状の光束断面をもつ光束部分LA4を射出させる(請求項4)。
なお、輪帯領域20A1〜20ANの個々における領域幅は、例えば、入射光束LFにおける光強度分布を考慮して、伝搬光スポットSPの強度が「形成位置にかかわらず実質的に一定となる」ように設定することができる。
また、輪帯領域を同心円状に形成するのに替えて輪帯領域の幅を細くして「螺旋状」に形成し、螺旋の旋回と共に「選択的に透過させる偏光成分」の偏光方向を「微小角ずつ」ずらして設定することにより、選択的に透過させる偏光成分が「光軸からの距離に応じて連続的に変化する」ようにすることができる。
光学素子20の光射出面の形状が円錐面でなく、光軸対称なn角錐(n≧3)である場合にも、上記と同様にして「伝搬光スポットの形成位置を光軸方向に変位させる」ことができることは容易に理解されよう。
図2に示した光学素子20は、光軸対称で凸の円錐面を光射出面20Aとして有し、光射出面20Aに、特定の偏光成分を選択的に透過させる偏光選択手段20Cを「選択的に透過させる偏光成分が、光軸からの距離に応じて段階的に変化する」ように設けた光学素子(請求項5)である。
また、光学素子20の偏光選択手段20Cにおける、選択的に透過させる偏光成分の、光軸AXからの距離に応じた段階的な変化が、基準となる偏光成分(輪帯領域20A1における偏光成分)からこれに直交する偏光成分(輪帯領域20ANにおける偏光成分)まで、光軸からの距離とともに単調に変化するものである(請求項6)。このような例に限らず、偏光選択手段における「選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた変化」を、基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分まで、光軸からの距離とともにランダムに変化させるようにしてもよい(請求項7)。
偏光選択手段における「選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた段階的な変化が、基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分まで、光軸からの距離とともに単調に変化するもの」であると、隣接する輪帯領域では、選択的に透過させる偏光成分が互いに近い方向となりやすく、この場合、入射光束のうち、特定の輪帯領域からの光とともに、隣接する輪帯領域からも若干の光束が射出しやすく、伝搬光スポットの形状が光軸方向に若干ぼやけたものとなることが考えられるが、「選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた変化」を、基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分まで、光軸からの距離とともにランダムに変化するものとすると、このような問題を有効に回避することができる。
光射出面20Aに設けられた偏光選択手段20Cは「入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す構造」により構成でき(請求項8)、周期的形状変化を成す構造は、導電性材料、特にAuあるいはAlにより形成することが好ましい(請求項9、10)。
上に説明した光学素子10、20は「光ファイバの射出端面形状として光射出面が形成された光ファイバプローブ」として構成することもできる(請求項13)。
図3は「検査装置」の実施の1形態を説明するための図である。
図3の検査装置は、例えば「被検査体である試料の微小領域における光学物性を測定する近接場光学顕微鏡」等として実施することができる。
検査装置は、レーザ光を放射する光源31と、光源31を駆動する駆動電源31a、光源31から射出されたレーザ光の光路中に配置されたビームスプリッタ32と、ビームスプリッタ32を透過したレーザ光の光路中に配置された1/2波長板38a、1/4波長板38b、これら波長板の調整を行う調整手段38と、波長板38a、38bを透過した光を被検査体2における被検面2aに照射する光ファイバプローブ30と、被検面2aからの戻り光を検出する光検出器34、プローブ制御部35、画像処理部36、画像表示部37Aおよび制御手段100を有する。制御手段100はマイクロコンピュータ等により構成され装置全体を制御する。
光ファイバプローブ30は、コア301とこれを囲繞するクラッド302とを有する光ファイバであって、レーザ光を伝搬させる伝搬部303と、伝搬部303の射出側端部に形成されたプローブ部304とを有する。プローブ部304は、近接場光滲出部304bと通常伝搬光射出部304aとを有する。
コア301、クラッド302は、それぞれ2酸化シリコン系ガラスから成り、ゲルマニウム、リン等を添加することにより、コア301よりもクラッド302の屈折率が低くなるように組成制御されている。
通常伝搬光射出部304aは、光ファイバの射出端面形状として円錐面状に形成された「光射出面」に偏光選択手段を形成されてなり、近接場光滲出部304bは、光射出面に囲繞されるようにして「光射出面よりも頂角の小さい尖った円錐面状」に形成された近接場光滲出面の表面が「近接場光滲出用の導電性膜」で被覆されてなる(請求項11)。
即ち、光ファイバプローブ30は、光ファイバの射出端面形状として光射出面と近接場光滲出面が形成された「光学素子(請求項14)」である。
光源31は駆動電源31aにより駆動され、所定波長のレーザ光を放射する。放射されたレーザ光は直線偏光状態であり、一部がビームスプリッタ32を透過し、ついで1/2波長板38a、1/4波長板38bを透過する。
1/2波長板38a、1/4波長板38bは、透過光の光軸の周りに回転可能であり調整手段38による駆動で態位を制御されて、レーザ光の偏光制御(レーザ光の偏光面の向きを変化させる制御)を行う。このようにレーザ光の偏光制御を行うので、光源31から放射されるレーザ光の偏光方向は任意でよい。
1/2波長板38a、1/4波長板38bを透過したレーザ光は光ファイバプローブ30のコア301へ入射し、シングルモード波として伝搬部303のコア301内を伝搬する。光ファイバプローブ30の光伝搬部303は長く、光伝搬部303が曲がっていると「伝搬するレーザ光の偏光状態が光伝搬部303の曲がりにより乱れる(直線偏光が楕円化する)」ので、1/4波長板38bの態位調整により「この偏光状態の乱れを補正」し、プローブ部304に入射するレーザ光を直線偏光に調整する。
このように、1/4波長板38bは「光伝搬部21の曲がりによる伝搬レーザ光の偏光状態の乱れを補正」するものであるので、偏光状態に乱れを生じないような構成の光ファイバプローブである場合には不要であり省略することもできる。このような場合、光源31を回転させることによりレーザ光の偏光状態を調整することもできる。
なお、1/2波長板38aに替えて他の偏光制御手段、例えば「液晶偏光変調素子」を用い、駆動手段38に替えて液晶駆動手段により高速の偏光制御を実現できる。
ここで、図4を参照して、プローブ部の状態を説明する。
図4(a)は光ファイバプローブ30のプローブ部304を、図3の下方から見た状態を示している。プローブ部304は、通常伝搬光射出部304aと近接場光滲出部304bとからなっており、通常伝搬光射出部304aに対応するコア端面が、通常伝搬光が射出する「光射出面」であり、近接場光滲出部304bに対応するコア端面が「近接場光滲出面」である。
近接場光滲出面は「尖った円錐面状」に形成され、その表面に「近接場光滲出のための導電性膜」がAu、AgやAl等による導電性薄膜として形成されている。
先に、図1の光学素子10、図2の光学素子20の光射出面に対して「テーパ角:θ」を定義したが、図3の光ファイバプローブ30に対しても同様にテーパ角を、光射出面および近接場光射出面について定義するものとする。
光射出面のテーパ角は「光射出面をなす円錐面の頂角」をα1として「90度−α1/2」で与えられる。これを以下、光射出面のテーパ角:θ1とする。近接場光滲出面については「近接場光滲出面をなす円錐面」の頂角をα2として「θ2=90度―α2/2」をもって「近接場光滲出面のテーパ角:θ2」とする。
通常伝搬光が光ファイバプローブ30のコア301の中心線に平行であるして、テーパ角:θ1、θ2はそれぞれ、光射出面、近接場光滲出面へのレーザ光の入射角である。テーパ角:θ1は「0より大きく全反射角未満」であり、テーパ角:θ2は「全反射角以上で90度未満」である。
通常伝搬光射出部304aは、光射出面に偏光選択手段が形成されてなる。
即ち、偏光選択手段は同心円状の複数(N個)の輪帯領域4a1、4a2、4a3、4a4、・・4aN−1、4aNに別れている。これら輪帯領域は「特定の偏光成分を選択的に透過させる」ように偏光特性が設定されており、「選択的に透過させる偏光成分」の偏光方向(図4(a)に示す各長方形形状の中の「両側矢印」で示す。)が、最内部の輪帯領域4a1における「左右方向」から、最外部の輪帯領域4aNにおける「上下方向」まで、光軸からの距離に応じて単調的かつ段階的に変化している。
図4(b)は、光ファイバプローブの光射出面に形成された偏光選択手段をなす個々の輪帯領域の構成を説明するための図である。図4(b)において符号3041は「光射出面」であり、この光射出面に「入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す構造」である微細なグリッド構造FDが導電性材料により形成されている。
グリッド構造FDは、幅:w、高さ:hの「矩形状の断面形状を持つ導電性材料」がピッチ:pで配列しており、ピッチ:pが入射光波長(光源から入射し、通常伝搬光として光ファイバを伝搬する光の波長)の1/2以下となっている。「矩形状の断面形状」は、図4(b)の図面に直交する方向へは一様である。
このような周期的形状変化に「2p以上の波長を持つ直線偏光」を入射させると、入射直線偏光の偏光面(電界の振動面)がグリッド構造FDの「ピッチ方向(図4(b)の左右方向)」に平行なときに透過率が最大となり、入射直線偏光の偏光面がグリッド構造のピッチ方向と直交するときに透過率が0となる。
具体的な例を挙げると、グリッド構造FDのパラメータを、例えば、テーパ角:θ1=11度で、グリッド構造FDをなす導電性材料をAu(金)とし、ピッチ:p=200nm、幅:w=100nm、高さ:h=150nmとすると、波長:633nmの直線偏光を入射させたとき、入射光の偏光面がピッチ方向に平行な場合と、ピッチ方向に直交する場合とで、射出光の消光比は100程度となる。
また、例えば、テーパ角:θ1=11度で、グリッド構造FDをなす導電性材料をAlとし、ピッチ:p=300nm、幅:w=200nm、高さ:h=200nmとすると、波長:633nmの直線偏光を入射させたとき、入射光の偏光面がピッチ方向に平行な場合と、ピッチ方向に直交する場合とで、射出光の消光比は10000程度となる。
即ち、グリッド構造FDにおけるピッチ方向を異ならせることにより「選択的に透過させる偏光成分」の偏光方向を変化させることができるので、図4(a)に示された輪帯領域4a1〜4aNにおける「グリッド構造のピッチ方向」を、図4(a)の各長方形形状の中の「両側矢印」の向きに設定すれば、「選択的に透過させる偏光成分」の偏光方向が、最内部の輪帯領域4a1における「左右方向」から、最外部の輪帯領域4aNにおける「上下方向」まで、光軸からの距離に応じて単調的かつ段階的に変化する状態を実現することができる。
図4(c)は、入射光LIの偏光面が「輪帯領域4a1が選択的に透過させる偏光成分に平行」な状態を示し、このときは、輪帯領域4a1から射出する光束により、伝搬光スポットSP(4a1)が形成される。伝搬光スポットSP(4a1)が形成される位置は相対的に光ファイバプローブの先端部に近い。
図4(d)は、入射光LIの偏光面が「輪帯領域4aNが選択的に透過させる偏光成分に平行」な状態を示し。このときは、輪帯領域4aNから射出する光束により、伝搬光スポットSP(4aN)が形成される。伝搬光スポットSP(4aN)が形成される位置は、相対的に光ファイバプローブの先端部から遠い。図中における「DL」が、伝搬光スポットSPの「光軸方向に変位可能な領域」の大きさをしめす。「DL」は、伝搬光スポットSPを光軸方向に変位させるときの「ワーキングディスタンスの可変範囲」である。
図4(a)に示すように、輪帯領域4a1〜4aNでは、最内部の輪帯領域4a1から最外部の輪帯領域4aNに向かって「選択的に透過させる偏光成分」が単調に回転している。この状態を図4(e)に示す。
図4(e)の横軸は光ファイバプローブの「光軸からの距離に応じた偏光状態」であり、これが大きいほど輪帯領域は外側に位置する。縦軸の「偏光成分」は、輪帯領域4a1の偏光成分を0、最外部の輪帯領域4aNの偏光成分を1として示している。図では、偏光成分が0から連続的に増大するように描いてあるが、偏光成分は輪帯領域ごとに一定であるので、実際には階段状の変化となる。
図4(f)は、輪帯領域が4a1から4aNまで変化する際に、形成される伝搬光スポットの位置(縦軸の集光位置)が、光ファイバプローブ先端部から次第に離れる側に変化する様子を示している。縦軸の変位領域の上限をD1(図4(d)の状態)、下限をD2(図4(c)の状態)とすると、上限:D1は輪帯領域4aNの偏光成分(図4(a)の上下方向、図中符号「P1」で表す)に対応し、下限:D2は輪帯領域4a1の偏光成分(図4(a)の左右方向、図中符号「P2」で表す。)に対応する。上限:D1と下限:D2の中間距離をD3とし、これに対応する偏光成分を符号「P3」で表す。
結局、伝搬光射出部304aに入射する直線偏光の偏光面の向きを調整することにより、伝搬光スポットの位置を光軸方向に変化させることができる。この作用は、図2に即して説明した光学素子20における偏光選択手段20Cの作用と同一であり、光学素子20における偏光選択手段20Cを、説明中の光ファイバプローブ30の偏光選択手段と同様「輪帯領域20A1〜20ANの個々を図4(b)の如き「グリッド構造」で構成し、そのピッチ方向を図2(c)の各長方形形状の中の「両側矢印」の向きに設定すれば「選択的に透過させる偏光成分」の偏光方向が、最内部の輪帯領域20A1における「左右方向」から、最外部の輪帯領域20ANにおける「上下方向」まで、光軸からの距離に応じて単調的かつ段階的に変化する状態を実現することができる。
上記グリッド構造FDの偏光制御機能は「入射光の波長」に対する依存性を持つ。一般に、グリッド構造をなす導電性材料として「反射率が高い(例えば80%以上)もの」を用いれば偏光制御機能を実現できる。可視波長帯域での具体例としては、グリッド構造を構成する導電性材料がAuの場合は、波長:600nm以上、Alの場合は、波長:700nm以下である。
なお、図4(b)におけるグリッド構造FDのグリッド間はグリッド構造の機械的強度向上のため「空気以外の誘電体」で充填してもよい。
通常伝搬光射出部304aから射出する伝搬光による集光スポットSPLと、近接場光滲出部304bの先端部との距離:Dは、光射出面のテーパ角:θ1を調整することにより制御できる。
図5(a)は、光射手面をなす円錐面のテーパ角:θ1と距離:Dとの関係を示している。図5(a)に示されているのは、コア301の屈折率が1.53で、射出側媒質が空気である場合で、テーパ角:θ1=50度は全反射角に相当し、テーパ角:θ1がそれより小さくなるにつれて距離:Dは増大し、θ1が20度より小さくなると、通常伝搬光スポットは、光ファイバプローブの先端部から数100nm〜数um程度離れた位置で集光する。これはテーパ角:θ1が小さくなるほど「光射出面での屈折角が小さくなる」ことによる。
また、上記距離:Dは、光ファイバプローブのプローブ部304における近接場光滲出部304bの直径:Bと、通常伝搬光射出部304aの直径:Aとの比:B/Aにも依存する。この依存関係を図5(b)に示す。この図からわかるように、直径比:B/Aを0.25以下とすることで通常伝搬光スポットを「光ファイバプローブの先端から十分に離れた位置」に形成できることがわかる。
直径比:B/Aが大きくなることは、近接場光滲出部304bの直径:Bが大きくなることを意味するが、近接場光滲出部の円錐形状のテーパ角:θ2は「全反射角以上」を要することから、直径:Bが大きくなることは、上記円錐形状の高さが高くなって、通常伝搬光スポットに近づくため、上記距離:Dが小さくなるのである。
次に、近接場光滲出部304bについて説明する。
前述の如く、近接場光滲出部304bは、光ファイバプローブ30の先端部にテーパ角:θ2を持つ円錐面状に形成された近接場光滲出面に「近接場光滲出用の導電性膜」を形成してなる。
近接場光滲出用の導電性膜の材料と、光射出面に形成されて「入射光波長の1/2以下の周期的形状変化」を構成する上記グリッド構造FDの導電性材料とは、異なる材料でも良いが、光ファイバプローブの生産性の向上を図るには同一材質とすることが好ましい。これらを同一材料とすることにより、光ファイバ先端部の近接場光滲出面と光射出面とに同時に成膜し、その後、光射出面部分を被覆する導電性膜にイオンビームエッチング等の微細加工でグリッド構造を形成することにより、近接場光滲出用の導電性膜と、偏光選択手段をなすグリッド構造とを連続する工程で形成できる。
コア301内を伝搬するレーザ光のうち、光ファイバ光軸近傍の光束部分は、近接場光滲出面に入射する。近接場光滲出面はテーパ角:θ2の円錐面形状であり、テーパ角:θ2が「全反射角以上かつ90度未満」となっているので、この部分に入射するレーザ光は近接場光滲出面で全反射し、一部がエバネセント光として「近接場光滲出のための導電性膜」に滲出し、同導電性膜の表面プラズモンとカップリングし、近接場光滲出部304bの先端部へ向かって伝搬し、上記先端部に局在する表面プラズモンとカップリングした近接場光のスポット(以下「近接場光スポット」と言う。)を形成する。
因みに、図4(d)における符号NFSが「近接場光スポット」を説明図的に示している。近接場光スポットは「伝搬性の光」ではないので、発生していても単独では観察されることはない。
「近接場光滲出のための導電性膜」の材質は導電性であれば如何なる材質であってもよいが、表面プラズモンによる近接場光の増強効果が得られること、化学的安定性に優れることから「Au薄膜」とすることが好ましい。
発生する近接場光スポットの強度には、一般に、図6(a)に示す如き波長依存性があり、図6(a)の波長:λ21〜λ22の範囲(最大値:Pの1/2の値(P)以上となる波長領域)を選択することにより、良好な強度の近接場光スポットを形成できる。
近接場光滲出のための導電性膜を「Au薄膜」とした場合、480nm〜700nm程度の波長帯に収まる波長の光を選択することが好ましい。
近接場光スポットの光強度にはまた「テーパ角:θ2に対する依存性」が有る。
図6(b)は近接場光滲出面をなす円錐面のテーパ角:θ2に対する滲出近接場光強度の一般的な傾向を示し、テーパ角:θ2として「θa〜θbの範囲(光強度の最大値:P0の1/2の値:P1以上となる範囲)」の角を選択することにより近接場光スポットの光強度を向上させることができる。例えば、近接場光滲出用の導電性膜を「Au薄膜」とした場合、入射光波長:532nmの場合はテーパ角:θ2は45度〜55度程度が好適である。
図3に示す光ファイバプローブ30の通常伝搬光射出部304aの偏光選択手段はAuのグリッド構造で構成され、近接場光滲出部304bの導電性膜はAu薄膜である。
このように、偏光選択手段をなすグリッド構造FDと近接場光滲出用の導電性膜を共にAuで構成した場合、選択的に透過させる偏光成分による伝搬光スポットを形成するには波長:600nm以上を選択するのがよく、良好な強度の近接場光スポットを形成するには、波長:500nm近傍の光がよい。即ち、伝搬光スポットSPによる検査を行う場合と、近接場光による検査を行う場合とでは、光源から放射される光の波長を異ならせるのがよい。
このために、図3の実施の形態における光源31は、検査を「伝搬光スポット」により行うか「近接場光」により行うかに応じて、発光波長を、例えば、633nmと532nmとに切り替え得るようになっている(波長の異なる半導体レーザを切り替えて選択するようになっている)。
即ち、図3〜図6に即して説明した光ファイバプローブ30は、光軸を含む領域に、光射出面に囲繞されるようにして、光射出面よりも頂角の小さい円錐面が近接場光滲出面として形成され、近接場光滲出面が、近接場光滲出用の導電性膜で被覆された光学素子であり(請求項11)、光射出面に設けられた偏光選択手段FDが、入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す導電性材料により構成されており、導電性材料が、近接場光滲出用の導電性膜の材料(Au)と同一である(請求項12)。
また、光ファイバの射出端面形状として光射出面と近接場光滲出面が形成された光ファイバプローブである(請求項14)。
図3に戻ると、伝搬光スポットによる検査が行われるか、近接場光による検査が行われるかに応じて、検査に適した波長のレーザ光が放射され、放射されたレーザ光は前述の如くして光ファイバプローブ30のプローブ部304に入射する。
伝搬光スポットによる検査が行われる場合には「伝搬光スポット」が形成され、この伝搬光スポットにより被検査体2の被検面2aに対する走査が行われる。また、近接場光による検査が行われるときには「近接場光スポット」が形成され、被検面2aの走査が行われる。
これらの走査は、制御手段100によりプローブ制御部35を制御して行われる。
走査される被検面2aで反射された光(近接場光スポットを構成する近接場光の場合でも、被検面2aで反射されると伝搬光となる。)は「戻り光」となって光ファイバプローブ30のコア部301に入射し、1/4波長板38b、1/2波長板38aを透過し、ビームスプリッタ32により反射され光検出器34に入射して検出される。
光検出器34は受光した戻り光を光電変換して輝度信号を生成する。生成された輝度信号を基に走査画像が画像処理部36で作成され、画像表示部37Aに表示される。
一般には、被検面2aの検査は、まず、伝搬光スポットによる走査で「低解像度検査」を行い、その検査結果に基づき「高解像度検査」を行う検査領域を特定し、この高解像度検査領域を近接場光による光スポットで検査することが行われる。
また、図3に実施の形態を示す検査装置では、伝搬光スポットの位置を光軸方向に変位させることにより被検面2aの「表面形状の検査」を行うことができる。
まず「伝搬光スポットによる低解像度検査」を説明する。
図3に戻ると、光ファイバプローブ30は上に説明した如く構成されており、プローブ部304近傍をプローブ制御部35に装着されている。プローブ制御部35は例えば「3軸アクチュエータ」等により構成された公知のものであって、光ファイバプローブ30のプローブ部304を被検面2aに対して「近接離間させる方向(図の上下方向)」及びこれに直交する2方向に変位させる機能を有する。
低解像度検査の際には、光ファイバプローブ30の近接場光滲出部304bの先端(尖端部)と被検面2aの間隔を「伝搬光スポットによる走査に適した距離(数100nm〜数μm)」に設定し、伝搬光スポットによる走査を行う。上記「通常伝搬光スポットによる走査に適した距離」は予め実験的に特定しておき、制御手段100のメモリに記憶させておく。
光源31から射出された直線偏光成分を有するレーザ光は、ビームスプリッタ32を透過し、調整手段38により駆動される1/2波長板38a、1/4波長板38bにより偏光が調整され、光ファイバプローブ30へ入射する、このとき、光ファイバプローブ30への入射レーザ光の偏光状態は、通常伝搬光射出部304aから射出して光軸上に形成する伝搬光スポットの位置が、上記「伝搬光スポットによる走査に適した距離の位置(この距離は、予め実験的に定めて制御手段100のメモリ内に記憶しておき、制御パラメータとして使用する。)」となるように調整される。
この状態で、制御手段100によりプローブ制御部35を制御して被検面2aの2次元的な走査を行う。まず、プローブ制御部35により、プローブ部304と被検面2aとの間隔を調整し、この間隔が上記「伝搬光スポットSPによる走査に適した距離」となるようにする。すると、プローブ部304の先端部から上記距離の位置に形成されている伝搬光スポットが被検面2a上に走査スポットを形成する。
この状態で、プローブ制御部35によりプローブ部304を2次元的に走査すると、被検面2aは伝搬光スポットにより2次元的に走査される。すると、上記の如く、被検面により反射された光が戻り光となって光検出器34に検出され、走査画像が画像表示部37Aに表示される。検査者は画像表示部37Aに表示される画像に基づき、被検面2aの詳細を測定、観察して低解像度検査を実行できる。
このとき、近接場光滲出部304bの尖端部には近接場光スポットが形成されているが、上記尖端部と被検面2aとは数100nm〜数μm離れており、近接場光スポットは被検面2aと作用し合わないので、伝搬光スポットによる検査に滲出近接場光が影響することはない。従って、伝搬光スポットによる検査は、滲出近接場光の影響を受けることなく高いS/N比で実行することができる。
プローブ部304を被検面2aに対して面に平行な方向に走査する際、プローブ部304の被検面2aに対する高さを一定とすることで、検査中において光軸方向への制御が不要となり、プローブ部先端と伝搬光スポットとの距離:数百nm〜数um程度と相俟って、高速な走査が可能となり測定時間の大幅な短縮につながる。
更に、従来の近接場光測定時と比較した場合、測定点一点あたりの測定範囲が広いことから、同一の測定点数・測定ライン(走査ライン)数で広範囲の測定を実現できる。
更に、光ファイバプローブ30からの射出光が集光していない場合と比較して、より多くの被測定面2aからの戻り光を得られ、その結果、高コントラストな測定結果をユーザに提供できる。
次いで、画像表示部37Aに表示される画像から得た「被検面2aの光学物性情報」に基づき「より詳細な検査を行う高解像度検査領域」が特定され、当該領域へ光ファイバプローブ30を水平移動させて「位置あわせ」を行い、当該領域のみを対象として「近接場光スポットによる高分解能検査」を実施する。
即ち、制御手段100によりプローブ制御部35を制御して、光ファイバプローブ30のプローブ部304の尖端部と被検面2aとの距離を変化させ、被検面2aを「近接場光スポットの形成されている位置」に合致させ、この状態で被検面2aに平行な2方向に走査することにより、近接場光スポットによる被検面2aの走査を行う。低解像度検査から高解像度検査への切り替えに伴う「光ファイバプローブ30尖端部と被検面2aとの距離の変化量」は、予め実験的に決定してデータ化し制御手段100のメモリに記憶させておき、上記切換制御のパラメータとして用いる。
近接場光スポットが形成されている状態で、プローブ制御部35によりプローブ部304を被検面2aに近接する方向に移動させる。近接場光滲出部304bの尖端部と被検面2aとの距離が、光源31から射出されるレーザ光の波長の1/4以下となると、近接場光スポットによる近接場光が被検面2aに照射され、被検面2a上に近接場光の「極めて微小な光スポット」が形成される。
光スポットを形成した近接場光は被検面2aにより反射され、検査光としてコア301を介して光検出器34に導かれ、上記と同様にして「被検面2aの高分解能検査」に供せられる。
光検出器14は受光した近接場光による検査光を光電変換して輝度信号を生成する。生成された輝度信号を基に「走査画像」が画像処理部16で作成され、画像表示部17Aに表示される。検査者は画像表示部に表示される画像に基づき被検面2aの詳細を測定、観察して高解像度検査を行うことができる。
なお、高解像度検査領域へ向けてプローブ部304を被検面2aに平行な方向に移動する際、プローブ部22の尖端部の「被検面2aに対する高さ」を一定とすると、検査中に近接・離間方向への変位制御が不要となり、先に説明した伝搬光スポットとプローブ部の尖端部との間の距離(数百nm〜数μm程度)と相俟ってより高速な走査が可能となり、測定時間の大幅な短縮につながる。
上に説明したように、図3に実施の形態を示す検査装置は、被検査体2の被検面2aを光学的に検査する装置であって、光源31と、この光源からの光を伝搬させ、この伝搬光を光軸対称な光射出面から射出させる光学素子30と、の光学素子30から射出する伝搬光の形成する微小な光スポット(「伝搬光スポット」)の位置を光軸上で変位させるための光スポット位置変位手段と、被検査体の被検面2aを微小な光スポットにより走査する走査手段35と、被検面2aからの戻り光を検査光として検出する検出手段34、36、37Aとを有し、光学素子30は請求項14に記載された光学素子(光ファイバプローブ)であり、光スポット位置変位手段は、光源31から光学素子30の光射出面に入射する光の偏光方向を変化させる手段38、38a、38bである(請求項15)。
また、光ファイバプローブ30は請求項14記載のもので、走査手段35は、伝搬光スポットによる被検面走査と近接場光による被検面走査とを切り替え可能である(請求項17)。従って、上に説明した検査は請求項18記載の検査方法である。
以下に、被検面2aの表面形状検査を説明する。
まず、1/2波長板38aと1/4波長板38bを調整手段38により駆動して、光ファイバプローブ30への入射レーザ光の偏光状態を図4(f)の偏光状態P3とし、伝搬光スポットの集光位置が、図4(f)の集光位置:D3(集光位置:D1〜D2の中間位置)になるように設定し、この位置を「伝搬光スポットの基準位置」とする。
この状態で、プローブ制御部35によりプローブ部304と被検面2aとの間隔を調整し、上記の如く伝搬光スポットの形成された集光位置:D3を被検面2aと一致させる。
続いて、入射光の偏光状態を図4(f)の偏光状態P1とし、伝搬光スポットの集光位置をその領域:D1〜D2の端部:D1に設定する。この状態で準備過程が終了する。
次に、プローブ制御部35により「検査領域の走査」を行うが、この走査に際しては、検査条件に応じて「複数のサンプリング位置:SP1、SP2,・・・SPi,・・・」を適宜に設定し、設定されたサンプリング位置に伝搬光スポットを順次に移動させる。サンプリング位置:SPiは検査領域の2次元座標(X,Y)により特定される。
そして、新たなサンプリング位置:SPiが走査位置に来るたびに、入射光の偏光状態を、図4(f)のP1からP2へ順次に切り替えることにより、伝搬光スポットの集光位置を領域:D1〜D2の範囲で変化させる。この集光位置の変化に伴う戻り光の強度:PWを、領域:D1〜D2内の集光位置:Dxに関連して受光データ:PW(Dx)としてメモリに記憶する。
全サンプリング位置について受光データ:PW(Dx)が求まったら、制御手段100により、サンプリング位置:SPiごとの受光データについて「戻り光強度が最も高い伝搬光スポット集光位置:D(SPi)」を抽出する。伝搬光スポットの集光位置を変化する際「戻り光が最大となる」のは、伝搬光スポットが被検面2aの表面に集光するときであるので、上記D(SPi)をもって、サンプリング位置:SPiにおける被検面2aの凹凸のデータ(形状情報)として再度記録する。
被検面2aの表面には一般に「微小な凹凸」が存在するが、上記の如くして各サンプリング位置:SPiについて形状情報:D(SPi)が求まると、サンプリング位置:SPiは、検査領域の2次元座標(X,Y)により特定されるので、検査領域における検査面の凹凸形状がサンプリング位置ごとに知られることになり、このようにして、被検面2aの表面形状検査を実行することができる。メモリに記憶した形状情報:D(SPi)の集合を画像処理して画像表示部37Aに被検面2aの3次元形状を表示することができる。
なお、プローブ部304を被検面2aに対して面に平行な方向に走査する際、プローブ部304の被検面2aに対する高さを一定とすることで、検査中において光軸方向への制御が不要となり、プローブ部先端と伝搬光スポットとの距離:数百nm〜数um程度と相俟って、高速な走査が可能となり測定時間の大幅な短縮につながる。
即ち、上に説明した「表面形状検査方法」は、被検面2aのごく近傍に、伝搬光スポットの形成位置を設定し、伝搬光スポットにより被検面2aを走査しつつ、光スポット位置変位手段により光源から光学素子の光射出面に入射する光の偏光方向を変化させ、被検面2aのサンプリング位置:SPiごとに、検出手段が検出する戻り光が最大強度となる光スポット位置:D(SPi)を被検面の高さ情報として取得する検査方法(請求項19)である。
なお、被検面2aの走査は、光ファイバプローブ30のプローブ部304を固定し、被検査体2を変位させることにより行うようにしてもよいし、プローブ部304の尖端部と被検面2aとの距離の切り替えを「被検査体2の変位(図1の上下方向の変位)」により行い、近接場光スポットもしくは伝搬光スポットによる2次元の走査を、プローブ部304の変位により行うようにしてもよい。即ち、被検面とプローブ部(光学素子)との3次元的な相対変位により走査を実行することができる。
なお、1/2波長板38aに替えて「偏光状態の電気的な変調が可能な素子」、例えば液晶偏光素子を用い、その偏光状態を電気的に変化させるようにすると、偏光状態の調整を機械的な可動部を用いずに「電気的な液晶駆動手段」により変調を行う構成とすることにより、機械的可動部のない高速な変調が可能となり、伝搬光スポットの集光位置変位を高速化できるので、上記の表面形状検査を高速で実現できる。
なお、図2に示す光学素子20を光ファイバプローブとして構成し、この光ファイバプローブを図3における光ファイバプローブ30の代わりに用いることもできる。その場合には、近接場光スポットによる高解像度検査は行うことができないが、上記低解像度検査および表面形状検査を行うことができる。また、図1に示す光学素子10を光ファイバプローブとして構成しこのような光ファイバプローブと、前述の遮光部材Fのターレットや、液晶シャッタデバイス、マイクロミラーデバイス等を用いて、中空シリンダ状の光束の内径と幅とを切り替えるようにすることによっても、上記低解像度検査および表面形状検査を行うことができる検査装置を構成できる。
なお、前述したように、偏光選択手段が「選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた段階的もしくは連続的な変化」は、光軸からの距離とともに単調に変化する場合も、ランダムに変化する場合も「基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分」までの偏光変化領域を全てカバーする必要は無く、上記偏光変化領域の一部を用いるのみでもよい。
例えば、図3に示す実施の形態において、通常伝搬光射出部304aには、図4(a)に示すように光射出面に偏光選択手段が形成されており、偏光選択手段は、同心円状のN個の輪帯領域4a1、4a2、4a3、4a4、・・4aN−1、4aNに別れ、「選択的に透過させる偏光成分」の偏光方向が、最内部の輪帯領域4a1における「左右方向」から、最外部の輪帯領域4aNにおける「上下方向」まで、光軸からの距離に応じて単調的かつ段階的に変化している。
この場合、例えば、輪帯領域4aNを省略し、輪帯領域4a1〜4aN−1により偏光選択手段を構成したとすると、図4(a)に示された輪帯領域4aNが「選択的に透過させる偏光成分(図の上下方向の直線偏光)」は、光射出面(通常伝搬光射出部)から射出することがない。
従って、近接場光による検査を行う際に、このように「通常伝搬光射出部から射出することのない偏光成分の光」により近接場光を発生させれば、検査光には伝搬光のノイズが含まれないので、近接場光による検査のS/N比を極めて良好にすることができる。
図7は、光ファイバプローブの変形例を示している。
この例では、光ファイバプローブのプローブ部における近接場光滲出部304b1において、近接場光滲出面の全体が「近接場光滲出用の導電性膜」により被覆されているのではなく、近接場光滲出面をなす円錐面の頂部はむき出しになっている。このような光ファイバプローブを用いても滲出近接場光による高強度な近接場光スポットが得られる。図7において、符号340aは通常伝搬光射出部、符号3401は光射出面をそれぞれ示す。
なお、図1の光学素子10や図2の光学素子20のテーパ角:θの円錐面形状の光射出面10A、20Aや、図3の光ファイバプローブ先端のプローブ部304をなす光射出面・近接場光滲出面のテーパ角:θ1、θ2の円錐面形状は、例えば、特開平7−260459号公報開示の「フッ酸等の水溶液を用いたウエットエッチングプロセス」により形成できる。
光学素子10や20、光ファイバプローブ30のサイズは適宜に設定できるが、例えば、光ファイバプローブ30の場合、コア径:数μm、例えば4μmのものを使用することが可能であり、光学素子10や20の径も同程度のものを適宜選択することができる。また、輪帯領域の数:Nは2以上の値を適宜に選択することができる。勿論、これらの数値は発明を限定するものではない。
伝搬光スポットの集光位置の変位を説明するための図である。 伝搬光スポットの集光位置の変位を説明するための図である。 検査装置の実施の1形態を説明するための図である。 図3の実施の形態における特徴部分を説明するための図である。 光ファイバプローブの通常伝搬光射出部の特性を説明するための図である。 近接場光滲出部の特性を説明するための図である。 光ファイバプローブの変形例を説明するための図である。
符号の説明
2 被検査体
2a 被検面
31 光源
32 ビームスプリッタ
30 光ファイバプローブ
34 光検出器
38a 1/2波長板
38b 1/4波長板

Claims (19)

  1. 微小な光スポットを形成し、その位置を変位させる方法であって、
    光軸対称で凸の錐体面を光射出面として有する透明な光学素子の上記光射出面から、上記光軸に直交する面内で上記光射出面の断面形状に相似な形状で、上記光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分を射出させて、上記光学素子外の光軸上に微小な光スポットを形成させ、
    上記光軸対称な光束部分の上記光軸からの内径と幅のうち、少なくとも光軸からの内径を変化させることにより上記微小な光スポットの形成位置を変化させることを特徴とする光スポット位置変位方法。
  2. 請求項1記載の光スポット位置変位方法において、
    光学素子の光軸に直交する面内で光射出面の断面形状に相似な形状で、上記光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な形状に光束断面形状を調整された光束を、上記光軸方向に平行に上記光射出面に入射させて、光射出面から射出させることを特徴とする光スポット位置変位方法。
  3. 請求項1記載の光スポット位置変位方法において、
    光学素子の光射出面に、特定の偏光成分を選択的に透過させる偏光選択手段を、選択的に透過させる偏光成分が、光軸からの距離に応じて段階的もしくは連続的に変化するように設け、
    光学素子を伝搬して上記光射出面に向かう光の偏光状態を変化させることにより、上記偏光選択手段により、上記光軸に直交する面内で上記光射出面の断面形状に相似な形状で、上記光軸から所望の内径と幅とを有する光軸対称な光束部分を射出させることを特徴とする光スポット位置変位方法。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の光スポット位置変位方法において、
    光学素子の光射出面が円錐面であり、この光射出面から、光軸から所望の内径と幅とを有するリング状の光束断面形状を持つ光束部分を射出させることを特徴とする光スポット位置変位方法。
  5. 光軸対称で凸の円錐面を光射出面として有し、
    上記光射出面に、特定の偏光成分を選択的に透過させる偏光選択手段を、選択的に透過させる偏光成分が、光軸からの距離に応じて段階的もしくは連続的に変化するように設けたことを特徴とする光学素子。
  6. 請求項5記載の光学素子において、
    偏光選択手段における、選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた段階的もしくは連続的な変化が、基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分まで、光軸からの距離とともに単調に変化するものであることを特徴とする光学素子。
  7. 請求項5記載の光学素子において、
    偏光選択手段における、選択的に透過させる偏光成分の、光軸からの距離に応じた変化が、基準となる偏光成分からこれに直交する偏光成分まで、光軸からの距離とともにランダムに変化するものであることを特徴とする光学素子。
  8. 請求項5〜7の任意の1に記載の光学素子において、
    光射出面に設けられた偏光選択手段が、入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す構造により構成されていることを特徴とする光学素子。
  9. 請求項8記載の光学素子において、
    入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す構造が、導電性材料により形成されていることを特徴とする光学素子。
  10. 請求項9記載の光学素子において、
    導電性材料がAu(金)又はAl(アルミニウム)であることを特徴とする光学素子。
  11. 請求項5〜10の任意の1に記載の光学素子において、
    光軸を含む領域に、光射出面に囲繞されるようにして、光射出面よりも頂角の小さい円錐面が近接場光滲出面として形成され、上記近接場光滲出面が、近接場光滲出用の導電性膜で被覆されたことを特徴とする光学素子。
  12. 請求項11記載の光学素子において、
    光射出面に設けられた偏光選択手段が、入射光波長の1/2以下の周期的形状変化を成す導電性材料により構成されており、上記導電性材料が、近接場光滲出用の導電性膜の材料と同一であることを特徴とする光学素子。
  13. 請求項5〜10の任意の1に記載の光学素子において、
    光ファイバの射出端面形状として光射出面が形成された光ファイバプローブであることを特徴とする光学素子。
  14. 請求項11または12記載の光学素子において、
    光ファイバの射出端面形状として光射出面と近接場光滲出面が形成された光ファイバプローブであることを特徴とする光学素子。
  15. 被検査体の被検面を光学的に検査する装置であって、
    光源と、
    この光源からの光を伝搬させ、この伝搬光を光軸対称な光射出面から射出させる光学素子と、
    この光学素子から射出する伝搬光の形成する微小な光スポットの位置を光軸上で変位させるための光スポット位置変位手段と、
    上記被検査体の被検面を上記微小な光スポットにより走査する走査手段と、
    上記被検面からの戻り光を検査光として検出する検出手段とを有し、
    上記光学素子が、請求項5〜14の任意の1に記載の光学素子であり、
    光スポット位置変位手段が、上記光源から上記光学素子の光射出面に入射する光の偏光方向を変化させる手段であることを特徴とする検査装置。
  16. 請求項15記載の検査装置において、
    光学素子が、請求項13記載のものであることを特徴とする検査装置。
  17. 請求項15記載の検査装置において、
    光学素子が、請求項14記載のものであり、
    走査手段が、伝搬光スポットによる被検面走査と近接場光による被検面走査とを切り替え可能であることを特徴とする検査装置。
  18. 請求項15〜17の任意の1に記載の検査装置を用いて、被検査体の被検面を光学的に検査する検査方法。
  19. 請求項18記載の検査方法において、
    被検面のごく近傍に、伝搬光スポットの形成位置を設定し、
    伝搬光スポットにより上記被検面を走査しつつ、光スポット位置変位手段により光源から光学素子の光射出面に入射する光の偏光方向を変化させ、
    被検面のサンプリング位置ごとに、検出手段が検出する戻り光が最大強度となる光スポット位置を上記被検面の高さ情報として取得することを特徴とする検査方法。
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