JP2007119900A - 金属−多孔質基材複合材料及びその製造方法 - Google Patents

金属−多孔質基材複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質基材上にその形状と表面積を損なうことなく金属を担持させ、当該金属を粒状もしくは針状にして表面積をさらに大きくした金属−多孔質基材複合材料を得る。
【解決手段】金属Mよりも酸化還元電位の低い金属Mのイオンを含む溶液に超音波をかけながら多孔質基材を浸漬して多孔質基材に金属イオンMを担持させる工程と、金属イオンMを担持した多孔質基材を純水あるいは希薄酸溶液に浸漬する工程と、金属Mのイオンを含む溶液に超音波をかけながら金属イオンMを担持した多孔質基材を浸漬して多孔質基材に金属Mのコロイドを担持させる工程と、金属イオンMのコロイドを担持した多孔質基材を純水あるいは希薄酸溶液に浸漬する工程と、金属Mのイオン及び還元剤を含み平滑化剤の濃度を50ppm以下とした溶液に金属Mのコロイドを担持した多孔質基材を浸漬する無電解めっき工程とを含むようにする。
【選択図】図8

Description

本発明は、金属−多孔質基材複合材料及びその製造方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、多孔質基材のミクロ構造と表面積を損なうことなく、その表面に微小な粒状もしくは針状金属を均一に被覆することにより、被覆金属の表面積を増大させた金属−多孔質基材複合材料及び当該材料を無電解めっき法を用いて製造する方法に関する。
触媒金属を担体に担持させる技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1では、パラジウム化合物を濃強酸に溶かしてpHを2以下とし、当該溶液をアルミナ担体に担持させ、焼成することで、酸素過剰で未燃炭化水素とSOを含む排ガス中の未燃炭化水素酸化用のパラジウム担持アルミナ触媒を製造している。
また、特許文献2では、無電解めっき法により、アルミナ担体に触媒金属を微粒子状に担持させて触媒活性、触媒能力の低下を防ぐようにしている。
特開2000−279808 特開2004−25151
しかしながら、特許文献1に係る技術によれば、熱処理の過程において、基材表面に微細な粒子状に分散したパラジウムが焼結し、複数個まとまって大きな粒子として成長してしまい、微細な粒子状態化によって向上した触媒活性が再び低下してしまうという問題があった。
また、特許文献2に係る技術によれば、触媒金属は多孔質基材であるアルミナの細孔底部から開口部にかけては担持されず、最表面に担持されるのみである。従って、基材表面のミクロ構造と表面積を損なうことなく金属を担持させることは不可能であった。
さらに、多孔質基材に金属をめっきする場合、めっき浴を撹拌等しても多孔質基材の微細孔内への金属イオンの輸送が遅いため、微細孔内への金属の被覆が不均一になったり、または被覆できないという問題があった。
そこで、本発明は、多孔質基材上にそのミクロ構造と表面積を損なうことなく金属を均一に担持させ、当該金属を粒状もしくは針状にして表面積をさらに大きくした金属−多孔質基材複合材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するための本発明の金属−多孔質基材複合材料の製造方法は、金属Mよりも酸化還元電位の低い金属Mのイオンを含む溶液に超音波をかけながら多孔質基材を浸漬して多孔質基材に金属イオンMを担持させる工程と、金属イオンMを担持した多孔質基材を純水あるいは希薄酸溶液に浸漬する工程と、金属Mのイオンを含む溶液に超音波をかけながら金属イオンMを担持した多孔質基材を浸漬して多孔質基材に金属Mのコロイドを担持させる工程と、金属イオンMのコロイドを担持した多孔質基材を純水あるいは希薄酸溶液に浸漬する工程と、金属Mのイオン及び還元剤を含み平滑化剤の濃度を50ppm以下とした溶液に金属Mのコロイドを担持した多孔質基材を浸漬する無電解めっき工程とを含むようにしている。
ここで、純水とは、蒸留水やイオン交換処理した水のことを言う。不純物の多い水道水は無電解めっき反応に影響を与える虞があるため使用しない方がよい。
したがって、多孔質基材の細孔底部から開口部を含む表面全体に開口部を閉塞することなく金属を均一に被覆することが可能となる。また、金属を粒状もしくは針状にして、その大きさも2μm以下とすることが可能となり、本発明の金属−多孔質基材複合材料が得られる。
また、本発明の金属−多孔質基材複合材料によれば、多孔質基材上に担持された金属により、多孔質基材のミクロ構造と表面積が損なわれるということがない。しかも、担持された金属は微小な粒状もしくは針状であることから、その表面積がさらに増加した金属−多孔質基材複合材料が提供される。
ここで、ミクロ構造とは、μmレベルのみならず、nmレベルの細孔も有するような構造を意味している。
また、多孔質基材上に担持される金属Mはパラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属、或いは2種以上を含む合金であることが好ましい。
上記金属は触媒活性の高い金属である。したがって、上記金属を本発明の金属−多孔質基材複合材料に適用することで、表面積の増加の効果と相俟って高触媒活性な材料となる。また、本発明の金属−多孔質基材複合材料を用いて、触媒や電極を提供することができ、本発明の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された電気化学セルを提供することも可能である。
さらに、金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された硫酸電解法による水素製造用電気化学セルや硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気化学セル提供することも可能である。
以上、請求項1に記載の発明によれば、多孔質基材の細孔底部から開口部を含む表面全体に開口部を閉塞することなく金属がむらなく均一に被覆されているので、多孔質基材上に担持された金属により多孔質基材のミクロ構造と表面積が損なわれるということがない。しかも、担持された金属は2μm以下の微小な粒状もしくは針状であることから、その表面積がさらに増加した金属−多孔質基材複合材料を提供することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属、或いは2種以上を含む合金は触媒活性が高い。したがって、本発明の金属−多孔質基材複合材料に適用することで、表面積の増加の効果と相俟って高触媒活性な材料となる。
請求項3に記載の発明によれば、本発明の金属−多孔質基材複合材料を触媒として用いることが可能である。
請求項4に記載の発明によれば、本発明の金属−多孔質基材複合材料は電極として用いることが可能である。
請求項5に記載の発明によれば、本発明の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された電気化学セルを提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、本発明の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された硫酸電解法による水素製造用電気化学セルを提供することができる。この硫酸電解法による水素製造用電気化学セルは、電極として硫酸中でも化学的安定性が高い本発明の金属−多孔質基材複合材料を用いていることから、長時間の使用にも十分に耐えうる。しかも、陰極として用いれば水素を高効率に製造でき、陽極として用いれば酸素を高効率に製造することが可能である。また、高コストな金属であっても少量を電子導電性セラミックスに担持して用いればよいので、低コスト化も可能となる。
請求項7に記載の発明によれば、本発明の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気化学セルを提供することができる。この硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気化学セルは、電極として本発明の金属−多孔質基材複合材料を用いていることから、硫黄サイクルハイブリッド法において反応ガスとして使用するSO及び電解液中に含まれるHOとの電極(陽極)の金属との接触面積の向上により反応場が増大し、電極(過電圧の減少)及び触媒特性が向上する。さらには、高コストな金属であっても少量を基材に担持して用いればよいので、低コスト化も可能となる。また、本発明の金属−多孔質基材複合材料は化学的安定性が高いので、硫黄サイクルハイブリッド法のような過酷な使用条件(硫酸中で使用する)においても長時間の使用に十分に耐えうる。しかも、陰極として用いれば、水素還元反応に対して触媒能を持つため、水素を高効率に製造でき、陽極として用いれば分極(陽極酸化)が起こりにくくなり、電極の長時間安定性を保つことができる。
また、多孔質基材に金属をめっきする場合、めっき浴を撹拌等しても微細孔内への金属イオンの輸送が遅いために通常微細孔内への金属の被覆が不均一になったり、または被覆できなかったりするが、請求項8に記載の発明によれば、多孔質基材の細孔底部から開口部を含む表面全体に開口部を閉塞することなく金属を均一に被覆することが可能となるとともに、金属を粒状もしくは針状にして、その大きさも2μm以下に自由に制御することが可能となり、本発明の金属−多孔質基材複合材料が得られうる。しかも、PVD法(物理的蒸着法)等を用いた基材への金属コーティング技術と比較して、簡易な設備で行える上に低コストであり、大型の基材にも簡易に金属をコーティングすることが可能である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の金属−多孔質基材複合材料は、多孔質基材と、多孔質基材に担持された金属とを備え、多孔質基材の細孔底部から開口部を含む表面全体に開口部を閉塞することなく金属を均一に被覆し、且つ金属が粒状もしくは針状であり、その大きさが2μm以下というものである。
尚、粒状もしくは針状金属の大きさの下限値に関しては、原子オーダー(オングストロームレベル)である。しかしながら、FE−SEMの限界分解能は2nmであり、2nm程度の粒状もしくは針状金属が観察されたものの、それ以下のサイズの粒状もしくは針状金属の観察は困難であった。
ここで、金属材料としては、無電解めっき法によりめっきすることが可能な金属であればよいが、触媒活性の高い金属であるパラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属、或いは2種以上を含む合金が特に好ましい。
次に、多孔質基材としては、例えば、カーボン材料、シリカ、ガラス、有機基板、表面が酸化しやすい金属(アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタル等)、各種セラミックス等を採用できるが、これらに限られるものではない。また、人為的に微細な表面凹凸形状を形成したような基材に対しても本発明を適用可能である。
ここで、多孔質基材としては、電気化学セルの電極として求められる充分な耐食性と電子導電性を併せ持つ基材であることが好ましい。電気化学セルでは、陽極、陰極および電解質で構成されるが、陽極として使用する一例を挙げれば、本願出願人が既に出願した特開2005−330133の発明に係る電子導電性セラミックス材料を使用することで、非常に優れた電極を提供でき、特に、過酷な電解条件(50重量%硫酸、80℃)で行う硫黄サイクルハイブリッド水素製造用の電気化学セルの陽極電極として求められる耐食性と導電性を兼ね備えた好適な電極を提供できる。
特開2005−330133の発明に係る電子導電性セラミックス材料は、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu、Yb、Tm、Er、Ho、Y、Sc、Dy、Tb、Gd、Eu、Sm、Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物 RE2−xTi7−δ であって、Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて、0<x<0.5の範囲内とされる電子導電性セラミックス粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成される立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体である。または、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu、Yb、Tm、Er、Ho、Y、Sc、Dy、Tb、Gd、Eu、Sm、Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物であって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて、0<x<0.5の範囲内とされ、尚かつBサイトの一部が遷移金属元素Mで置換された複合酸化物 RE2−xTi2−y7−δ (ただし MはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptのうちの一つまたは二つ以上)であって、当該Bサイトにおける前記遷移金属元素Mの置換量yが、0<y≦0.2の範囲内とされる電子導電性セラミックス粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成される立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体である。これらの電子導電性セラミックス材料は、Aサイトを不定比化した上で還元処理し、酸素を欠損(欠損量δ)させているものであるため、d軌道電子を有するチタンの価数が+4価から+3価に変わり、室温近傍においても電子導電性を発現させることができる。また、チタン酸化物は、電気分解環境である濃硫酸中でも長時間に亘り高耐食性を示す。
他の電子導電性セラミックス材料としては、主成分の組成式がSr1−xTi1−y3+δで表され、MはNb、Taのうち一つもしくは両方を含むBサイトを部分置換可能な元素であり、0<x<0.15、0<y<0.3、0≦δ≦0.45であるAサイト欠損形ストロンチウムチタネートが還元処理されてなるセラミックス粉体、あるいは主成分の組成式が(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δで表され、REはSc、Yおよびランタノイド系列元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のうち一つもしくは2つ以上を含むAサイトを部分置換可能な元素であり、MはNb、Taのうち一つもしくは両方を含むBサイトを部分置換可能な元素であり、0<x<0.15、0<y<0.3、0<z<0.3、0≦δ≦0.45であるAサイト欠損形ストロンチウムチタネートが還元処理されてなるセラミックス粉体を焼結してなるセラミックス焼結体が挙げられる。このセラミックス焼結体は、Aサイトを欠損させて不定比化し、電荷補償のためにBサイトを部分置換した上で還元処理しているので、チタンの価数が+4価から+3価に変化してd軌道に電子を1個有するようになり、電子導電性を有し、電気分解環境である濃硫酸中でも長時間に亘り高耐食性を示す。
ここで、硫黄サイクルハイブリッド法の温度と各反応工程を図16に示す。硫黄サイクルハイブリッド法は、熱分解工程(熱化学法)と電気分解工程(電気分解法)で構成されている。熱分解工程では、電気分解により得られた硫酸(HSO)が80℃を越える温度で蒸発し始める。
SO (液相) → HSO (気相) (熱分解工程1)
次に、500℃付近で、硫酸は三酸化硫黄(SO)と水(HO)に分解する。
SO(気相) → SO(気相)+HO(気相) (熱分解工程2)
さらに、三酸化硫黄は850℃付近で、二酸化硫黄(SO)と酸素(O)に分解する。
SO(気相) → SO(気相) + 1/2 O(気相) (熱分解工程3)
次に、このSOとOの混合ガスからSOを分離し、もう一度電気分解槽に送り込むと水との平衡反応により亜硫酸(HSO)が生成する。
SO(気相) + HO(液相) → HSO(液相) (亜硫酸再生工程)
電気分解では、カソード(陰極)側で水素イオンが還元され、水素ガスを生成する。
アノード(陽極)側で亜硫酸(SOガス)が酸化され、副生成物として硫酸ができる。
電気分解工程:カソード(陰極)反応:2H +2e → H(気相)
アノード(陽極)反応:SO + 2HO → 2H+ HSO+2e
Total反応: SO + 2HO → H + HSO
硫酸は熱分解工程により再び分解され、上記サイクルの中で繰り返し使用される。電極は、電気分解で副生成物として得られた硫酸に曝されることになるため、高い耐硫酸特性が不可欠となる。また、電流の増加とともに得られる水素量も増加するので、ジュール熱による効率低下を防ぐため、高い電子導電性を有することが重要である。
本発明の金属−多孔質基材複合材料は、多孔質基材と、多孔質基材に担持された金属とを備え、多孔質基材の細孔底部から開口部を含む表面全体に開口部を閉塞することなく金属が均一に被覆されており、且つ金属が粒状もしくは針状であり、その大きさが2μm以下であるから、反応ガスと金属の接触面積の向上、金属と電子導電性セラミックスの接触面積の向上により、反応場が増大し、電極及び触媒特性が向上する。さらには、高コストな金属であっても少量を電子導電性セラミックスに担持して用いればよいので、低コスト化も可能となる。この点からも、非常に優れた電極を提供でき、特に、硫黄サイクルハイブリッド水素製造用の電気化学セルの陽極電極として非常に好適な電極を提供できる。また、多孔質基材に担持された前記した金属は水素に対しても高い触媒能を持ち、且つ高い表面積であるため、水素析出に対する陰極過電位も低くなり、水素製造用の電気化学セルの陰極電極としても非常に好適な電極を提供できる。
上記金属−多孔質基材複合材料は無電解めっき法を用いて製造される。以下、図8に示す本発明の無電解めっき法を用いた金属−多孔質基材複合材料の製造方法について詳細に説明する。
無電解めっき法は、4つの前処理工程、即ち、脱脂処理工程、酸性化処理工程、感受性化処理工程および活性化処理工程と、目的の金属をコーティングする無電解めっき処理工程よりなる。これらの工程の概略を詳細に説明すると以下のようになる。脱脂処理及び酸性化処理(1)により多孔質基材1を脱脂及び酸性化する。感受性化処理(2)により多孔質基材1を感受性化して金属イオンM2を多孔質基材1の表面に吸着させる。純水浸漬処理(3)により細孔底部に近づくに従って、金属イオンM2の吸着量が多い状態を形成する。活性化処理(4)により金属Mのコロイド3を生成させる。最後に、無電解めっき(5)により、金属M4を形成して、多孔質基材1の表面を被覆する。
脱脂処理工程では、金属膜を成膜する際の障害となる虞がある無機物あるいは有機物(特に、人体から出る油脂等)を多孔質基材から洗浄・除去する。具体的には、無機物あるいは有機物を除去できるような洗浄剤、例えばアセトンや水酸化ナトリウム溶液を用いて多孔質基材を超音波洗浄し、無機物および有機物を洗浄・除去する。ここで、超音波洗浄を長時間行うと、多孔質基材のミクロ構造が破壊される虞がある。したがって、この工程においては、超音波洗浄時間は10分以内とすることが必要である。また、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ溶液を用いた場合には、アルカリ溶液を多孔質基材から可能な限り除去しておくために水洗を行う必要があり、特に超音波をかけながら水洗することが好ましい。これにより、次工程の酸性化処理をより確実に行うことが可能となる。ここで、超音波の周波数は、中強度(40〜45kHz)程度以下の強度領域で行う必要があるが、基材の強度が充分でない場合には、あるいは表面粗さが大きい、つまりミクロ構造が緻密な場合には、小強度(100kHz以上)程度より大きい低パワーで行った方が良い。また、以降の工程においては、超音波の周波数を100kHz程度とするのが好適であるが、基材の表面粗さ、つまり細孔径や細孔深さ、強度により最適な周波数を適宜選択しても良い。尚、多孔質基材が無機物および有機物により汚染されていない場合には、脱脂処理工程を省略することができる。
酸性化処理工程では、次工程の感受性化処理工程の前処理として多孔質基材表面を酸性化する。具体的には、例えば濃度を5〜20重量%とした塩酸水溶液を用いて、8分間以上浸漬する。浸漬処理の際には、浸漬後に2分程度超音波処理を行った後に8分間放置するのがより好ましい。超音波をかけながら浸漬処理することで、多孔質基材の細孔内に残存したアルカリ溶液等が除去されやすくなり、表面が効率的に酸性化される。尚、塩酸水溶液の濃度を5重量%未満として、処理時間を8分より短くした場合、以下のような問題が生じる虞があるので好ましくない。
まず、脱脂処理で用いた水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ溶液が多孔質基材内に残存している場合、アルカリ溶液が十分に中和されないため、感受性化処理工程時に酸性である主塩と中和反応を起こしたり、沈殿を起こしたりしてしまう。ここでは、主塩として塩化スズを用いた場合について説明するが、これ以外の主塩を用いた場合にも同様の問題が生じる虞がある。
[脱脂処理]
[化学式1]
C(CHn+2COOH + NaOH =HC(CHn+2COONa + H
[酸性化処理]
[化学式2]
OH + H = H
[感受性化処理]
[化学式3]
Sn2+ + 2OH =Sn(OH)
したがって、多孔質基材の感受性化処理に必要なSn2+が得られないため、感受性化処理液が無効になり、次工程の活性化処理ができなくなるという虞がある。
また、多孔質基材表面の酸性度が十分に高まらないため、感受性化処理の際、Sn2+が水と反応し、水酸化スズ沈殿物が生成される。
[化学式4]
Sn2++2HO = Sn(OH)↓+2H
この結果、塩化スズ溶液が白濁し、感受性化処理能力を失ってしまう虞がある。
次に、塩酸水溶液の濃度が20%を超える場合には、前処理の器具の耐食性の要求が高まるだけでなく、塩酸ガスなどで作業環境が悪化する虞があり好ましくない。以上より、塩酸水溶液の濃度は5〜20%とするのが好適である。
尚、塩酸によりエッチングされるような多孔質基材の場合には、酸性化処理と同時に表面を粗くする処理、即ち、感受性化処理も同時に行われる。
また、酸性化処理工程に用いる溶液は塩酸水溶液に限られず、例えば、硫酸や硝酸、クロム酸又はクロム酸を含む混酸液を、多孔質基材表面の酸性度が十分に高まる程度、脱脂処理工程時にアルカリ溶液を用いた場合にはそのアルカリ溶液が十分に中和される程度の濃度にして使用することで、塩酸水溶液を用いた場合と同様の効果を発揮する。
感受性化処理工程は、感受性化工程は次工程の活性化処理に対する感受性を付与する工程であり、ここでは多孔質基材に直接成膜することが極めて困難なパラジウム等の貴な金属を成膜可能なものとするための工程である。ここでは、主塩として塩化スズを用いた場合について説明する。反応浴、即ち、感受性化処理液には、パラジウム等の貴金属よりも酸化還元電位の小さいスズを含む塩化スズと塩酸を混合して用い、その溶液のpHが1以下になるようにする。溶液のpHが1を超える場合には、溶液中の+2価のスズイオンを安定化させることができないので好ましくない。また、塩化スズと塩酸の混合比については、例えば、塩化スズ溶液濃度を10〜60g/L、塩酸(36重量%)と純水により塩酸溶液濃度を10〜100mL/Lとして、塩化スズ1gに対して塩酸(36重量%)を1〜4mlの割合とすればよいが、これに限られるものではなく、溶液のpHを1以下にして、+2価のスズイオンを安定化させることが重要である。尚、感受性化処理温度は、10℃〜40℃とすればよいが、20℃〜30℃とすることが好ましい。10℃未満では基材表面との濡れ性が低く、スズイオンの均一吸着が難しくなってしまい、また、40℃を超えると感受性化処理液と酸素との反応速度が極めて速くなってしまい、液の使用寿命が短くなるので好ましくない。
上記の感受性化処理液に超音波をかけながら、酸性化処理を施した多孔質基材を浸漬して感受性化処理を行う。これにより、多孔質基材の最表面(凸部)だけでなく、開口部から細孔底部までの領域にも、開口部が閉塞することなく、Sn2+が均一に吸着される。尚、浸漬処理の際には、超音波をかけ続ける必要はなく、少なくとも細孔内部まで感受性化処理液が行き渡れば、その後は超音波をかける必要はない。超音波をかける時間が長すぎる場合には、Sn2+の吸着に悪影響を及ぼし、Sn2+が均一に吸着されなくなるので好ましくない。つまり、超音波をかける時間は、Sn2+の吸着に悪影響を及ぼさない範囲で、少なくとも細孔内部まで感受性化処理液が行き渡る程度に行えばよい。例えば、浸漬後に1分程度超音波処理を行った後に3-5分間放置することで、十分に感受性化する。また、超音波は浸漬初期のみかけ続けるようにしてもよいし、間欠的に超音波をかけて細孔内部まで感受性化処理液を行き渡るようにしてもよい。また、Sn2+の吸着に悪影響を及ぼさなければ、浸漬中に超音波をかけ続けても良い。
次に、Sn2+が吸着された多孔質基材を純水中に数秒〜30秒浸漬する(以後、これを純水浸漬処理と呼ぶ)。この処理により、多孔質基材に吸着されたSn2+の吸着量に勾配を与える。より詳細に説明すると以下のようになる。多孔質基材を純水中に浸漬した場合、Sn2+の吸着量は最表面(凸部)、開口部、細孔底部の順、即ち、最表面(凸部)に近づくに従って減少し易くなる。したがって、多孔質基材を純水中に浸漬することにより、細孔底部、開口部、最表面(凸部)の順、即ち、細孔底部に近づくに従って感受性が高い状態となる。次工程の活性化処理においては、パラジウムイオンは感受性の高い領域で反応し易いので、イオン輸送しやすい最表面(凸部)よりも多くの触媒核を細孔底部に形成できるようになる。つまり、純水浸漬処理をおこなうことで、次工程の活性化処理において、細孔底部、開口部、最表面(凸部)の順、即ち、細孔底部に近づくに従って、触媒活性が高い状態となる。最終的に多孔質基材にパラジウムなどの金属がコーティングされる際、パラジウムめっき反応は触媒活性の高い領域で反応し易くなり、細孔底部に近づくに従ってイオン輸送が遅くなるにも関わらず、多孔質基材の全面に均一にコーティングされることになる。
尚、純水中への浸漬時間については数秒〜30秒としているが、この範囲に限られるものではなく、最適な浸漬時間は多孔質基材の表面粗さ、つまり細孔径や細孔の深さにより適宜変動する。即ち、多孔質基材の表面粗さが小さい、つまり細孔径が大きく、細孔深さが浅い場合には、細孔底部に存在するSn2+の吸着量が減少しやすいので浸漬時間を短くする必要があるし、表面粗さが大きい、つまり細孔径が小さく、細孔深さが深い場合には、細孔底部に存在するSn2+の吸着量が減少しにくいので浸漬時間をある程度長くしても問題はない。尚、細孔がナノオーダーの大きさの場合、純水により処理することで細孔中でpHが大きく変化し、吸着されたスズイオンが沈殿してしまう虞がある。このような場合には1%程度の希薄酸溶液、例えば1重量%希塩酸溶液により処理することが好ましい。
また、上記の感受性化処理工程では、主塩として塩化スズを用いた場合について説明したが、スズ以外にもめっきに対する活性化核としての金属より酸化還元電位が小さく、多孔質基材に担持され得る金属を含むものであれば適用可能であり、例えば亜鉛(Zn)等を採用できるが、これらに限られるものではない。さらに、塩化物ではなく、硫酸化物や硝酸化物等であっても適用可能である。
活性化処理工程では、めっきしようとする金属に対するめっき反応を引き起こす触媒性を有する金属核を形成する。ここでは、パラジウムを触媒核として形成する場合の活性化処理工程について説明する。反応浴、即ち、活性化処理液として、0.5〜2.0g/Lの濃度の塩化パラジウム水溶液と濃塩酸(36%重量)を10〜50mL/Lとした塩酸溶液を混合して用いる。ここで、塩化パラジウムと濃塩酸の混合比は1g:2〜100mLとする。塩化パラジウム溶液の濃度が0.5g/Lより小さい場合、形成されるパラジウム触媒核が少ないため、次工程において、無電解めっき反応が起きない又は不均一になる。また、塩酸溶液の濃度に関しては、10mL/Lより小さい場合は塩化パラジウムが溶けにくく、50mL/Lより大きくなると設備の耐食性などに問題があるため好ましくない。また、塩化パラジウム溶液の濃度が2.0g/Lより大きい場合、パラジウム触媒核が過剰に形成されてしまい、連続めっき膜になってしまうかもしくはめっき液を安定化させることができないので好ましくない。上記活性化処理液に前工程の感受性化処理により細孔底部に近づくに従って感受性が高い状態とした多孔質基材を超音波をかけながら浸漬する。温度に関しては、10℃〜40℃とすればよいが、20℃〜30℃とすることが好ましい。10℃未満では反応速度が非常に遅くなってしまい、また、40℃を超えると反応速度が速くなってしまい、特に最表面(凸部)や開口部付近の反応速度(イオン輸送速度)が極めて速くなってしまい、感受性化処理により形成した感受性勾配の効果が減少してしまう虞があるので好ましくない。また、この場合にも、浸漬処理の際には、超音波をかけ続ける必要はなく、少なくとも細孔内部まで活性化処理液が行き渡れば、その後は超音波をかける必要はない。超音波をかける時間が長すぎる場合には、パラジウム触媒核の吸着に悪影響を及ぼし、パラジウム触媒核が均一に吸着されなくなるので好ましくない。つまり、超音波をかける時間は、パラジウム触媒核の吸着に悪影響を及ぼさない範囲で、少なくとも細孔内部まで活性化処理液が行き渡る程度に行えばよい。例えば、浸漬後に1分程度超音波処理を行った後に残りの時間放置することで、十分に感受性化する。また、超音波は浸漬初期のみかけ続けるようにしてもよいし、間欠的に超音波をかけて細孔内部まで活性化処理液を行き渡るようにしてもよい。また、パラジウム触媒核の吸着に悪影響を及ぼさなければ、浸漬中に超音波をかけ続けても良い。この活性化処理により、吸着している+2価のスズイオンを+4価に酸化させ、このとき、パラジウムイオンが金属コロイドに変化し、多孔質基材表面の+4価のスズイオンが、コロイド状のパラジウム金属の回りを囲むように移動する。ここで、金属核を露出するために、純水で30秒〜5分間洗浄して、コロイド状のパラジウム金属の回りの塩化スズを洗い流すようにする。ここで、細孔がナノオーダーの大きさで、金属核を露出を十分に行えない場合には1重量%程度の希薄酸、例えば1重量%希塩酸溶液により処理することが好ましい。希薄酸溶液で処理してコロイド状のパラジウム金属の回りの塩化スズを洗い流すことにより、次工程の無電解めっき時に用いるめっき浴の劣化がより確実に防止される。尚、スズ吸着量の濃度勾配は、Pdコロイドの濃度勾配に反映される。即ち、多孔質基材の細孔底部に近づくに従って触媒活性が高い状態となる。さらに、当該純水浸漬処理あるいは希薄酸浸漬処理により、最表面(凸部)や開口部付近のPdコロイドが減少して、多孔質基材の細孔底部に近づくに従って触媒活性が高い状態がより顕著となる。
ここで、感受性化処理、純水浸漬処理および活性化処理工程は、通常1サイクル行えば、細孔底部から開口部までの領域にPdコロイドの触媒核が形成され、且つ細孔底部に近づくに従って触媒活性が高い状態となる。しかし、細孔径が小さく、細孔深さが深い場合には、細孔底部から開口部までの領域にPdコロイドの触媒核が形成されない虞があるので、このような場合、あるいは細孔底部側の触媒活性をより高めたい場合には、2サイクル以上行うことでより確実に細孔底部から開口部までの領域にPdコロイドの触媒核が形成され、且つ細孔底部に近づくに従って触媒活性が高い状態とすることが可能である。
尚、活性化処理工程で用いられる金属は、パラジウムには限られず、感受性化処理時に用いた金属よりも酸化還元電位が高い金属であれば適用可能であり、例えば銀、銅、ニッケルなども採用することができるが、これらに限られるものではない。また、塩化物以外にも、硫酸化物や硝酸化物等を適用することが可能である。
無電解めっき処理工程では、前処理工程により触媒性表面を有するようになった多孔質基材に無電解めっき反応により目的の金属をコーティングする。ここではパラジウムをコーティングする場合について説明する。めっき浴として安定な金属塩素錯化イオンを得るために、主塩として塩化パラジウム溶液を用い、その濃度を3〜15g/Lとすればよく、10g/Lとすることがより好ましい。主還元剤としては、環境に優しく且つ安価な次亜リン酸ナトリウム溶液を3〜20g/Lの濃度で用いればよく、10g/Lとすることがより好ましい。塩化パラジウム溶液と次亜リン酸ナトリウム溶液の濃度がそれぞれ上記範囲より大きくなると、反応速度が速くなる、即ち、パラジウムの析出速度が速くなりすぎて多孔質基材の最表面のみにパラジウムイオンがコーティングされ、ミクロ構造全体にパラジウムがコーティングされなくなる虞がある。また、濃度がそれぞれ上記範囲より小さくなると反応速度が遅くなり、パラジウムの析出速度が遅くなりすぎて、コーティングに時間がかかりすぎてしまう。次に、次亜リン酸ナトリウムと塩化パラジウムと濃度比については、1.2〜1.8のモル比が好適で、それより小さい場合には、還元力が不十分で、パラジウムを全部析出できない虞がある。一方、それより大きい場合、めっき液が不安定になり、自発反応が起きやすく、基材にめっきすることができなくなる虞がある。
上記めっき浴を適当に攪拌しながら前処理工程により触媒性表面を有するようになった多孔質基材を浸漬する。液温は25〜60℃で行えばよく、40℃程度とすることがより好ましい。25℃未満では反応速度が非常に遅くなってしまい、また、60℃を超えるとめっき溶液の自発反応が生じ、基材へのめっきができなくなる虞がある。
ここで、めっきされた金属の粒径は、前処理工程、めっき液濃度、温度、基材種類などの影響も大きいが、反応時間により簡易に制御することができる。即ち、反応時間を長くすれば金属粒径は大きくなり、反応時間を短くすれば金属の粒径は小さくなる。例えば、上記パラジウムめっき条件であれば2分間で80nm程度、15分間で2μm程度になる。勿論、反応時間以外の条件を変えることにより粒径の大きさを制御することも可能である。
また、めっき浴のpHは6〜11とすればよいが、9程度とすることがより好ましい。その範囲を超えると、錯化イオンの安定性とめっき酸化還元反応バランスを崩れる恐れがあるため好ましくない。
尚、ここでは主塩として塩化パラジウムを用いた場合について説明したが、無電解めっきできる金属であればパラジウム以外にも適用することが可能である。また、塩化物ではなく、硫酸化物や硝酸化物等であっても適用可能である。
また、還元剤には、次亜リン酸ナトリウム溶液を用いたが、例えば、これ以外にも水酸化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等を主還元剤として、もしくは副還元剤として採用することができるが、これらに限られるものではない。尚、ヒドラジンを用いる場合には20mL/L以下、特に、15mL/L程度とすることが好適である。
さらに、めっきする金属イオンを安定にして、析出を穏やかに進行させ、均一なめっき層を得るために、錯化剤を添加してもよい。錯化剤としては、例えばエチレンジアミン、有機酸(酢酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸等)のアルカリ塩、チオグリコール酸、アンモニア、ヒドラジン、トリエタノールアミン、グリシン、o−アミノフェノール、ピリジン等を採用できるが、これに限られるものではない。尚、エチレンジアミンを用いる場合には錯化剤としての効果を効率よく得るために5〜20mL/L程度とすればよいが、10mL/L程度とすることがより好ましい。
また、金属膜の表面は平滑ではなく、粒状もしくは針状として粗にすることが重要である。したがって、表面活性剤と平滑化剤は、微量(50ppm)以下にするのが好ましい。これを超える量を添加すると、めっき層と基材との間の密着性は改善されるものの、平滑なめっき膜になってしまい、目的の金属粒子や針状金属膜が得られない。しかしながら、平滑なめっき膜を得たい場合には、平滑化剤を50ppmよりも多く添加することを否定するものではない。尚、平滑化剤としては、例えばチオ二酢酸等を用いることができる。
pHが安定化するように、緩衝剤を用いてもよい。緩衝剤としては、例えば、酢酸ナトリウムやクエン酸ナトリウム等のオキシカルボン酸系化合物、ホウ酸や炭酸等の無機酸でいずれも解離定数の小さい化合物、有機酸や無機酸のアルカリ塩等を採用することができるがこれらに限られるものではない。尚、酢酸ナトリウムを用いる際には緩衝剤としての効果を効率よく発揮するため、8〜32g/L程度とすればよく、16g/L程度とすることがより好ましい。また、副還元剤及び緩衝剤としてヒドラジンを用いることもできるが、ヒドラジンは、環境に悪影響を与えるので、近年用いなくなってきている。
また、pHを所望の値に調整するためにpH調整剤を用いてもよい。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化アンモニウム等の塩基性化合物、無機酸、有機酸等を採用することができるがこれらに限られるものではない。
ここで、無電解めっき法の工程における攪拌の効果について説明する。無電解めっき工程では、めっき金属の結晶を数多くめっき対象物にめっきする核形成と核の結晶成長を促す結晶成長の反応が起こっている。そのため、めっき浴を撹拌することにより、金属や還元剤などのイオン輸送率が高くなり、通常めっき金属の結晶の核形成と結晶成長の両方を促進することになる。一方、撹拌しない場合、あるいは攪拌が弱い場合、イオン輸送率が低いため、核形成と結晶成長のうち必要なエネルギーの小さい反応が優先的に(支配的に)起こりやすくなる。例えば、Niをめっき金属として用いた場合に、撹拌しなければ、結晶成長のエネルギーが小さいため核生成より結晶成長が優先的(支配的)になり、さらに、Niの結晶成長に異方性があるため、粒子ではなくNi針状結晶になる。
撹拌強度については、撹拌装置による撹拌子の回転数の制御、撹拌子の大きさ、溶液量により調整することができる。例えば、撹拌子の回転数を高く、撹拌子を大きく、溶液量を少なくすれば、撹拌強度を強くすることができる。逆に、撹拌子の回転数を低く、撹拌子を小さく、溶液量を多くすることで、撹拌強度は小さくなる。例えば、本発明においては、溶液が泡立つ程度の撹拌強さを強い撹拌とした。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、耐食性が低い鉄鋼材料を触媒活性と耐食性の高い金属であるパラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)等により全面的にコーティングすることで、耐食性を備えた電極が提供可能になる。
また、バイオ分野や有機合成分野における電気化学反応等にも本発明の金属−多孔質基材複合材料を応用可能である。
さらに、本発明の金属―多孔質基材複合材料は、全体に導電性が低いまたはなくてもよい。例えば、絶縁体であるアルミナや有機基板などの上に、分散している金属触媒粒子をコーティングした場合、電気化学反応の電極としてはなく、化学触媒としてCVDやPVDなどの化学反応や物理反応に応用しても良い。
以下に、上記実施形態に基づく実施例を示すが、本発明はこの内容に限られるものではない。
[実施例1]
<1.材料合成>
多孔質セラミックスであるSrTiOを固相反応法により以下のようにして合成した。出発原料をSrCO(高純度化学製、99.9%)、TiO(高純度化学製、99.9%)として、SrCOを12.9777g、TiOを7.0223gアルミナ乳鉢により混合し、1200℃、10時間仮焼した。その後、ジルコニア製遊星形ボールミルを用い、エタノール(ナカライテスク製98%)で湿式混合した後、この粉体を直径30mm、厚さ約5mmのペレットに100MPaで加圧形成後、1500℃、10時間焼成した。この混合・焼成工程を2〜3回繰り返した。焼成したセラミックスの結晶構造は、粉末X線回折法(X−ray Diffractmetry、Mac Science、M18XHF22)によりスキャンスピード0.02°/秒で測定し、SrTiOが得られていることを確認した。
<2.前処理工程>
上記により合成したSrTiOを基材として、以下のようにして前処理を行った。まず、アセトン中にSrTiOを浸漬し超音波洗浄を10分間行って脱脂処理した後、10%塩酸水溶液中に室温25℃で100kHzの超音波を2分間かけ、その後8分間浸漬して表面を酸性化処理した。次に、25g/Lの塩化スズ溶液と50mL/Lの濃塩酸(36%)溶液を塩化スズと濃塩酸の比が1g:2mLとなるように混合して感受性化処理液を作製し、酸性化処理したSrTiOを室温25℃で100kHzの超音波を1分間かけ、その後5分間浸漬して感受性化処理を行った後、イオン交換処理した超純水に5秒間浸漬して純水浸漬処理を行った。次に、1.0g/Lの塩化パラジウム溶液と20mL/Lの濃塩酸(36%)溶液を塩化スズと濃塩酸の比が1g:20mLとなるように混合して活性化処理液を作製し、超音波感受性化処理と純水浸漬処理を行ったSrTiOを室温25℃で100kHzの超音波を10秒間かけ、その後10分間浸漬した後、イオン交換処理した超純水に2分間浸漬して活性化処理をおこなった。
<3.無電解めっき工程>
めっき浴には、主塩として塩化パラジウム10g/L、還元剤として次亜リン酸ナトリウム10g/L、pH緩衝剤として酢酸ナトリウム16g/L、錯化剤としてエチレンジアミン10mL/L、添加剤(平滑化剤、密着性改善剤)としてチオ二酢酸30ppm、pH調整剤および副還元剤としてヒドラジン15mL/L用いた。これらを混合してpH9、温度47℃で撹拌しながら15分間無電解めっきを行った。
<4.試料観察>
上記により得られた試料を、FE−SEM(日本電子、JSM−6340F)により観察した。結果を図1に示す。1〜2μm程度の粒径をもつパラジウム粒子が均一に分布していることが確認された。
[実施例2]
基材として、多孔質電子導電セラミックスであるSr0.9TiNbを合成して用いた。合成方法は実施例1と同様であるが、出発原料をSrCO(高純度化学製、99.9%)、Nb(高純度化学製、99.5%)、TiO(高純度化学製、99.9%)として、SrCOを3.0460g、Nbを0.3059g、TiOを1.6481g用いて合成した。前処理工程は実施例1と同様とした。無電解めっき工程については、pH8、45℃とし、その他の条件は実施例1と同様とした。次に、得られた試料のSrTiNbとPdとの界面の状態をEPMA(日本電子、JSM−6340F)により観察した。観察結果を図2に示す。Sr0.9TiNbの微細孔内から開口部に至る領域まで粒子状パラジウム層が存在していることが確認された。したがって、本発明の金属−多孔質基材複合材料の製造方法により、多孔質基材の細孔底部から開口部を含む表面全体が金属により均一に被覆されることが確認された。
[実施例3]
基材として、市販のアルミナセラミックス板((株)鍋林、セラミックス角板(Al、99.5%)、SSA−T)を用いた。前処理工程は実施例1と同様とした。無電解めっき工程については、めっき処理時間を2分間として、その他の条件は実施例1と同様とした。次に、得られた試料を、FE−SEMにより観察した。結果を図3に示す。80〜120nmの粒径をもつパラジウム粒子が均一に分布していることが確認された。
[実施例4]
基材として、多孔質電子導電セラミックスGdTiを合成して用いた。合成方法は実施例1と同様であるが、出発原料をGd(高純度化学製、99.9%)、TiO(高純度化学製、99.9%)として、Gdを13.8821g、TiOを6.1179g用いて合成した。前処理工程は実施例1と同様とした。ただし、超音波感受性化処理工程〜活性化処理工程は2サイクルで、そのうち活性化処理工程は室温25℃で100kHzの超音波を10秒間かけ、その後1分間浸漬をおこなった。無電解めっき工程については、pH7、30℃、撹拌なし、めっき処理時間を1分間として、その他の条件は実施例1と同様とした。次に、得られた試料を、FE−SEMにより観察した。結果を図4に示す。80〜300nmの粒径を持つパラジウム粒子が均一に分布していることが確認された。
[実施例5]
基材として、多孔質電子導電セラミックスSr0.8La0.2TiOを合成して用いた。合成方法は実施例1と同様であるが、出発原料をSrCO(高純度化学製、99.9%)、La(ナカライテスク製、99.9%)、TiO(高純度化学製、99.9%)として、SrCOを10.2450g、Laを2.8260g、TiOを6.9290g用いて合成した。Laに関しては、1500℃、1時間焼成した後、秤量している。前処理工程は実施例1と同様とした。無電解めっき工程については、主塩として塩化白金酸カリウム2g/L、還元剤としてヒドラジン50ml/L、次亜リン酸ナトリウム2g/L,錯化剤として塩酸ヒドロキシルアミン50ml/L、pH緩衝剤としてアンモニア水100ml/Lを混合して得られた白金めっき浴を用いて、pH13、55℃で、強く撹拌しながら、めっき処理時間を10分間として行った。次に、得られた試料を、FE−SEMにより観察した。結果を図5に示す。6〜10nmの粒径をもつ白金粒子が均一に分布していることが確認された。
[実施例6]
基材として、市販のアルミナセラミックス板((株)鍋林、セラミックス角板(Al、99.5%)、SSA−T)を用いた。前処理工程は実施例1と同様とした。無電解めっき工程については、主塩として塩化ニッケル35g/L、還元剤として次亜リン酸ナトリウム20g/L、pH緩衝剤として酢酸ナトリウム22g/Lを混合して得られためっき浴中にpH4.5、40℃、撹拌なしでめっき処理時間を2分間として行った。次に、得られた試料を、FE−SEMにより観察した。結果を図6に示す。80〜100nmの粒径をもつ粒子状のニッケル粒子上に針状のニッケルが析出していることが確認された。Niは結晶成長のエネルギーが小さいため核生成より結晶成長が支配的になっていることが考えられ、さらに、Niの結晶成長に異方性があるため、粒子ではなくNi針状結晶になることが示唆された。
[実施例7]
実施例1および実施例3で作製した試料と、ガラス上に析出させたパラジウム層をXRD(日本電子、JDX8030)により分析して、パラジウムの結晶性を評価した。結果を図7に示す。ガラス上に析出させたパラジウム層のXRDパターンと比較して、実施例1および実施例3で得られた試料のXRDパターンの方がブロードであることが確認された。即ち、実施例1および実施例3におけるパラジウム膜は、微結晶状態で存在していることが明らかとなった。
[実施例8]
(a)アルミナ基材上にめっきしたパラジウム層(実施例3)、(b)SrTiNb上にめっきしたパラジウム層(実施例2)、(c)SrTiO上にめっきしたパラジウム層(実施例1)をEDS(日本電子、JXA−8900R)測定して、基材にめっきしたパラジウム層に含まれる元素を観察した。結果を図9に示す。パラジウムのLaのピーク以外にも、りんのKaのピークが見られたことから、パラジウム層にりん元素が含まれていることが確認された。即ち、次亜りん酸塩を還元剤とした場合、Pdの還元と同時に、次亜りん酸イオンと水素との副反応によりりんも析出し、Pd−P合金が形成されることがわかった。また、Pd−P合金の中のりんの取り込み量を調査するため、EPMA(日本電子、JXA−8900R)により、めっきしたパラジウム層の元素定量分析した結果、次亜りん酸イオンとパラジウムイオンの濃度比及びめっき温度等により、めっきしたパラジウム膜中のりんの量が6〜16atomic(原子)%の範囲で変動することが確認された。
[実施例9]
実施例1で作製した試料を、25℃の50重量%硫酸中で浸漬し、この試料を陰極として0.5〜4Vで電解(陽極は白金)したところ、陰極表面に大量のガスが発生した。ガスクロマトグラフィー(Agilent Technologies Micro GC-3000A)分析により、発生したガスは水素であることが判明した。したがって、パラジウム/多孔質基材複合材料は、硫酸電解法により水素製造に触媒電極として利用できることが確認されたことから、パラジウム以外の高触媒活性金属である白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)等を用いた金属/多孔質基材複合材料についても、硫酸電解法による水素製造用の触媒電極として利用可能である。
[実施例10]
実施例1で作製した試料を、25℃の50重量%硫酸中で浸漬し、この試料を陽極として0.5〜4Vで電解(陰極は白金)したところ、陽極表面に大量のガスが発生した。ガスクロマトグラフィー(Agilent Technologies Micro GC-3000A)分析により、発生したガスは酸素であることが判明した。したがって、本発明のパラジウム/多孔質基材複合材料は、硫酸電解法により酸素製造に触媒電極としても利用できることが確認されたことから、パラジウム以外の高触媒活性金属である白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)等を用いた金属/多孔質基材複合材料についても、硫酸電解法による水素製造用の触媒電極として利用可能である。
[実施例11]
アルミナ基材(実施例3と同様のアルミナ基材)上、SrTiO(実施例1で合成した多孔質セラミックス基材)上、GdTi(実施例4で合成した多孔質電子導電セラミックス基材)上、Sr0.8La0.2TiO(実施例5で合成した多孔質電子導電セラミックス基材)上に、実施例2と同様の方法によりパラジウム層をめっきし、25℃の50重量%硫酸中で電解してサイクリックボルタンメトリー測定(北斗電工株式会社、電気化学測定システムHZ−3000、Scan speed:20mV/s。作用電極:パラジウムをめっきした電極、対電極:白金。参照電極:Hg/HgSO)をおこない、対極に対して作用電極の電位を変化させることによる作用電極の電極反応のメカニズムについて調査した。得られたサイクリックボルタンメトリー曲線を図10〜13にそれぞれ示す。また、参考のため、実施例2にて合成した多孔質電子導電セラミックスであるSr0.9TiNbをめっきせずに同じ条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行い(図14)、また、市販の純パラジウム板(99.9%、三津和化学)(図15)も同じ条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行った。
図10〜図13に示される結果から、陽極側に電位を変化させた場合と陰極側に電位を変化させた場合の両方とも大電流が流れることが確認されたことから、めっきされた試料は優れた導電性が持つことが判明した。また、めっき層は、6Vまで電解しても溶解が起こらず、高い化学的安定性を有することが判明した。これらの結果から、めっきされた試料は、硫酸電解において陽極に限らず陰極としても利用できることがわかった。特に、サイクリックボルタンメトリーにより電位を変化させた場合、パラジウム金属の水素に対する高触媒性により水素の還元反応が促進されることに起因して、陰極は過電圧が低くなり、陽極より高電流が流れることが判明した。したがって、本発明の金属/多孔質基材複合材料を陰極として利用すればより高い水素製造効率を得られることが判明した。
次に、導電性のある基材を用いた場合(図12)と導電性のない基材を用いた場合(図11)を比較すると、導電性のある基材を用いた場合(図12)の方が同じ電位で大きい電流が流れることが確認されたことから、基材の導電性が電流値に大きく影響することが確認された。また、同じ電流密度(200mA/cm―電解法により工業的に水素製造を行う場合の電流密度)で比較すると、必要な電圧は基材の導電性の増加とともに減少していく傾向が見られた。また、めっきなしの多孔質電子導電セラミックス(図14)と比較すると、めっきした多孔質電子導電セラミックスを用いたサイクリックボルタンメトリー測定の電流値がかなり大きくなることが確認された。したがって、パラジウムめっきにより導電性と触媒性が改善されることが判明した。
また、多孔質電子導電セラミックス上にめっきしたパラジウムのサイクリックボルタンメトリー曲線(図12、図13)と市販の純パラジウム板のサイクリックボルタンメトリー曲線(図15)とを比較すると、同じ電流密度(200mA/cm2)で電気分解を行った場合、純パラジウム板の様なパラジウムバルク材料に比べて、パラジウムめっき層の膜厚は格段に薄いにも関わらず、基材の細孔内に均一にしかも粒子状にめっきされることによる表面積の増加の効果により、パラジウムめっき層の電位(過電圧)は純パラジウム板の電位(過電圧)に比べて若干大きい程度に過ぎず、しかも、陽極分極に関しては、純パラジウムよりめっきしたパラジウム膜の方が酸素の酸化還元反応に対する可逆特性が良いことが確認された。つまり、本発明により作製した金属/多孔質基材複合材料は、多孔質基材として電子導電セラミックスを用いた場合、パラジウムの様な貴金属を少量用いるだけでもバルク材料とそれほど遜色のない過電圧を得ることができるため低コスト化を図ることが可能であり、しかも硫酸中に陽極として電解する場合には、本発明のパラジウムめっき層は、パラジウムバルク材料より有利であることが判明した。
本発明のPd−SrTiO複合材料のFE−SEM観察結果を示す図である。 本発明のPd−Sr0.9TiNb複合材料のEPMAによるPd分析結果示す図である。 本発明のPd−アルミナセラミックス複合材料のFE−SEM観察結果を示す図である。 本発明のPd−GdTi複合材料のFE−SEM観察結果を示す図である。 本発明のPt−Sr0.8La0.2TiO複合材料のFE−SEM観察結果を示す図である。 本発明のNi−SrTiO複合材料のFE−SEM観察結果を示す図である。 XRD測定結果を示す図である。(a)はPd−アルミナセラミックス複合材料、(b)はPd−SrTiO複合材料、(c)はガラス上に析出したパラジウム層、である。 本発明の金属―多孔質基材複合材料の製造工程の模式図である。 本発明の複合プロセスにより(a)アルミナ基板上にめっきしたパラジウム層(実施例3)、(b)SrTiNb上にめっきしたパラジウム層(実施例2)、(c)SrTiO上にめっきしたパラジウム層(実施例1)のEDSスペクトルである。 本発明の複合プロセスによりアルミナ(実施例3と同様のアルミナ基板)上にめっきしたパラジウム層を25℃の50重量%硫酸中で電解して得られたサイクリックボルタンメトリー曲線である。 本発明の複合プロセスによりSrTiO(実施例1で合成した多孔質電子導電セラミックス基板)上にめっきしたパラジウム層(実施例1)を25℃の50重量%硫酸中で電解して得られたサイクリックボルタンメトリー曲線である。 本発明の複合プロセスによりGdTi(実施例4で合成した多孔質電子導電セラミックス基板)上にめっきしたパラジウム層を25℃の50重量%硫酸中で電解して得られたサイクリックボルタンメトリー曲線である。 本発明の複合プロセスによりSr0.8La0.2TiO(実施例5で合成した多孔質電子導電セラミックス基板)上にめっきしたパラジウム層を25℃の50重量%硫酸中で電解して得られたサイクリックボルタンメトリー曲線である。 めっきなしの電子セラミックスSr0.9TiNb(実施例2で合成した多孔質電子導電セラミックス基板)を25℃の50重量%硫酸中で電解して得られたサイクリックボルタンメトリー曲線である。 市販の高純度パラジウム板を25℃の50重量%硫酸中で電解して得られたサイクリックボルタンメトリー曲線である。 硫黄サイクルハイブリッド法の概念図を示す図である。
符号の説明
1 多孔質基材
2 金属イオンM
3 金属Mのコロイド
4 金属M

Claims (8)

  1. 多孔質基材と、前記多孔質基材に担持された金属とを備え、前記多孔質基材の細孔底部から開口部を含む表面全体が前記開口部を閉塞することなく前記金属により均一に被覆され、且つ前記金属が粒状もしくは針状であり、その大きさが2μm以下であることを特徴とする金属−多孔質基材複合材料。
  2. 前記金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属、或いは2種以上を含む合金であることを特徴とする請求項1に記載の金属−多孔質基材複合材料。
  3. 請求項2に記載の金属−多孔質基材複合材料を用いた触媒。
  4. 請求項2に記載の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極。
  5. 請求項2に記載の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された電気化学セル。
  6. 請求項2に記載の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された硫酸電解法による水素製造用電気化学セル。
  7. 請求項2に記載の金属−多孔質基材複合材料を用いた電極により構成された硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気化学セル。
  8. 金属Mよりも酸化還元電位の低い金属Mのイオンを含む溶液に超音波をかけながら前記多孔質基材を浸漬して前記多孔質基材に金属イオンMを担持させる工程と、前記金属イオンMを担持した前記多孔質基材を純水あるいは希薄酸溶液に浸漬する工程と、前記金属Mのイオンを含む溶液に超音波をかけながら前記金属イオンMを担持した前記多孔質基材を浸漬して前記多孔質基材に金属Mのコロイドを担持させる工程と、前記金属イオンMのコロイドを担持した前記多孔質基材を純水あるいは希薄酸溶液に浸漬する工程と、金属Mのイオン及び還元剤を含み平滑化剤の濃度を50ppm以下とした溶液に前記金属Mのコロイドを担持した前記多孔質基材を浸漬する無電解めっき工程とを含むことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の金属−多孔質基材複合材料の製造方法。
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