JP2004315559A - 金属担持ポリマー多孔体の製造方法 - Google Patents

金属担持ポリマー多孔体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属担持ポリマー多孔体、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】超臨界流体若しくは亜臨界流体と金属前駆体とからなる前駆体流体中にポリマーを配置して前駆体流体をポリマーに浸透させた後、発泡させて、気孔表面に金属が分散担持された金属担持ポリマー多孔体を製造する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属担持ポリマー多孔体を製造する方法に関し、より詳しくは、超臨界流体を金属前駆体の溶剤ならびに発泡剤として用い、気孔表面に金属が分散担持された金属担持ポリマー多孔体を製造する方法、および該方法により得られる微細孔内部まで金属が分散した金属担持ポリマー多孔体に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属担持多孔体は、触媒、電池用電極材料、メンブレンリアクター、導電性または帯電防止プラスチック、電磁気シールド材料等の各種の機能性材料として有用であり、その製造方法の確立が望まれている。触媒はこのような機能性材料の代表例であり、その反応性を上げるためには金属を高分散させて比表面積を増大させることが望ましい。また、高分散であれば、前処理または反応中に金属同士が凝集して粒成長するのを抑制でき、活性の耐久性も向上する。ここで高分散担持するためには担体が比表面積の大きい微多孔体であることが好ましく、従来シリカゲル、活性炭、アルミナ等の無機材料の使用が幅広く検討されてきた。しかし、これら無機材料は基本的にはそれ自身が粉体であるためその成形性・加工性に難がある。このため、フィルムや膜、不織布の形態として用いるためにも、これら無機材料ではなくポリマー微多孔体の担体が注目されてきている。
【0003】
金属担持ポリマー多孔体の製造工程は、一般的にポリマー多孔体の製造工程とポリマーへの金属担持工程との二段階工程から成る。即ち、別途用意した多孔質ポリマー支持体表面(空孔壁面)に金属微粒子を担持して製造される。
【0004】
ポリマー多孔体の製造方法としては発泡剤分解法・溶剤気散法等の発泡法、相分離法等があるが、発泡法は発泡剤としてクロロフルオロカーボン類、塩化メチレンなどの低沸点有機化合物を用いるため、コストが高いだけでなく、可燃性や毒性等の危険性を有しており、大気汚染の問題を生じる可能性を持っている。例えばジクロロジフロロメタンをはじめとするフロン系ガス等は、オゾン層破壊の環境問題から全廃の方向へ進んでいる。また微多孔体の製造に多く用いられる相分離法も、有機溶媒等を使用するため環境上好ましくないだけでなく、ポリマー成分を溶媒で溶出除去させて孔を形成するため、その孔を大きくすると「す」の状態となり、金属を高分散担持させるための微多孔体としての機能低下の原因となる。
【0005】
また、これらのポリマー多孔体に金属を担持する方法としては、金属を溶解した溶液を用いて担持する方法が一般的であり、金属のハロゲン化物、硝酸塩水溶液等の薬液が使用され、それを大気圧下で担体に吸着または含浸させて固定する。しかしながら、上記吸着または含浸法では、比表面積の高い多孔体の表面全体にわたって均一に金属薬液を固定することは極めて困難である。即ち、これらの薬液は微多孔体の細孔の内部まで容易に到達することはできず、細孔の入口近傍により多くの薬液が固定される傾向がある。他の金属超微粒子の担持方法としては、各種金属イオンの無電解メッキ(化学メッキ)により安定に担持する方法が報告されている(特許文献1参照)。しかしこの方法は工程が複雑である上に、含浸法と同様に細孔を覆う形での金属析出が起こりやすいため、メッキ液の濃度を薄くする、予め真空処理を施して細孔内の空気を抜く等の煩雑な条件コントロールが必要となっていた。
【0006】
上記のように従来の金属担持ポリマー多孔体製造方法は、多孔体製造工程、金属担持工程が各々問題点を有する上に、全体の工程が長く煩雑であり、多大なコストがかかっていた。金属担持多孔体を同時工程で製造する方法としては、金属微粒子とブロックコポリマーとによる金属・有機ポリマー複合体をミクロ相分離により多孔化し、一方の相にのみ金属超微粒子が含有されている金属・有機ポリマー複合体の製造方法が報告されている(特許文献2参照)。しかしこの方法も、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサン等の有機溶媒を多量に用いるため、環境に対しては好ましくない技術となっていた。以上のことより、第一に工程が簡便で低コストであり、かつ環境に負荷をかけない金属担持ポリマー多孔体の製法が強く要望されていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−330528号公報(第1−4頁)
【0008】
【特許文献2】
特開平10−330492号公報(第1−6頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解決し、簡便かつ効率的に、環境に負荷をかけることなく、金属担持ポリマー多孔体を製造する方法を提供することにある。また該方法により得られる微細孔表面に金属が分散した金属担持ポリマー多孔体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、金属担持多孔体を製造する方法について鋭意検討を重ねた結果、金属前駆体が溶解した超臨界流体をポリマー中に浸透、発泡させることで上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明において最も注目すべき点は、超臨界流体に金属前駆体の溶剤ならびに発泡剤という二つの働きを同時にもたせる点である。これにより、非常に簡便に、同時工程で金属担持ポリマー多孔体を得ることができる。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.金属が分散担持されたポリマー多孔体を製造する方法であって、超臨界流体若しくは亜臨界流体と金属前駆体とからなる前駆体流体中にポリマーを配置して前駆体流体をポリマーに浸透させた後、発泡させて、気孔表面に金属が分散担持されたポリマー多孔体を得る、金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
2.金属前駆体が有機金属化合物である、上記に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
3.有機金属化合物が金属のアセチルアセトナートまたはアルコキシドである、上記に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
4.ポリマーが熱可塑性ポリマーである、上記に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
5.発泡を、ポリマーのガラス転移温度の−100℃以上、+100℃未満の温度条件で行う、上記に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
6.超臨界流体として二酸化炭素の超臨界流体を用いる、上記に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
7.二酸化炭素の超臨界流体を圧力7.5〜20.0MPaの条件で用いる、上記に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
8.超臨界流体若しくは亜臨界流体に金属前駆体を溶解させた前駆体流体中にポリマーを配置して流体を浸透させた後、発泡させ、気孔表面に金属を分散担持して得られる、金属担持ポリマー多孔体。
9.空隙率が10%以上70%未満の範囲内にある上記に記載の金属担持ポリマー多孔体。
10.担持された金属の粒径が1nm以上100nm未満の範囲内にある上記に記載の金属担持ポリマー多孔体。
11.上記に記載の金属担持ポリマー多孔体から構成される機能性材料。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は上記のとおりの特徴をもつ全く新規な金属担持ポリマー多孔体の製造方法、および金属担持ポリマー多孔体に関するものである。以下にその実施の形態を説明する。
【0013】
超臨界流体若しくは亜臨界流体と金属前駆体からなる前駆体流体について説明する。該前駆体流体は超臨界流体若しくは亜臨界流体に金属前駆体が溶解したものである。超臨界流体とは臨界温度、臨界圧力を超えた状態の物質を示し液体と気体の両方の特性をもつが、金属溶解能力をもつ超臨界流体としては二酸化炭素、亜酸化窒素、エタン、エチレン、メタノール、エタノール等が挙げられる。超臨界流体の溶解能力は温度、圧力、エントレーナー等により調整でき、また、該溶解能力および金属前駆体の量を調整することにより、多孔体に担持される金属濃度、分散状態、粒径等の制御が可能である。なお、本発明でいう金属前駆体の溶解とは、金属前駆体を含んだ超臨界流体が一つの相として観察されることを意味し、これを前駆体流体と表現する。
【0014】
本発明において使用される金属前駆体としては、上記の超臨界流体に溶解させることができる任意のものが使用可能であるが、有機金属化合物が好ましく、特に金属のアセチルアセトナートまたはアルコキシドはその超臨界流体への溶解性が高いため、好ましい。例えば、下記式(1)
【0015】
【化1】
Figure 2004315559
(ここでMeは金属元素、pは金属元素の価数であり、好ましくはp=1〜4)で表されるアセチルアセトナート、あるいは下記式(2)
【0016】
【化2】
(C2m+1O)Me (2)
(ここでMeは金属元素、mは1〜10、nは1〜8である)
で表されるアルコキシド等が使用可能である。式(2)において好ましくはm=1〜4、n=1〜5である。Meとしては、s−ブロック金属元素、d−ブロック金属元素、p−ブロック金属元素、f−ブロック金属元素から広範囲に選択することができ、具体的には、Pt、Pd、Rh、Ti、Si、Au、Al、Zr、Ce、W、Ga、Mo、Nb、Sn、Hf、K、Na、Mg、Ca、Ba、Co、Ni等を挙げることができる。
【0017】
上記有機金属化合物として、具体的には、白金アセチルアセトナート、パラジウムアセチルアセトナート、ロジウムアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート、イリジウムアセチルアセトナートのようなアセチルアセトナート、チタン、イソプロポキシド、タングステンエトキシド、のようなアルコキシドが挙げられ、この他ビスアセテートトリフェニルフォスフェートパラジウム、パラジウムアセテート等も使用可能である。
【0018】
また、金属前駆体の超臨界流体への溶解度ならびに金属の分散担持状態を制御するためのエントレーナーとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を用いることができる。
【0019】
本発明で用いられるポリマーには特に制限がないが、熱可塑性ポリマーが好ましい。本発明では、目的に応じて複数の熱可塑性ポリマーのアロイでもよい。例えば、ポリマーとして、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、各種熱可塑性エラストマー、液晶ポリマー、生分解性ポリマー等を例示できる。なお、本発明に供するポリマーとしては、シートやフィルム、繊維に限らず、柱状、球状等、他の形状の成形品であってもよい。
【0020】
次に、多孔体製造過程について説明する。超臨界流体を用いたポリマー多孔体の製造は、二酸化炭素や窒素、アルゴン等の不活性ガスを加圧下にてポリマーに含浸させるガス含浸過程、圧力を減少させる圧力減少過程(圧力解放過程)、気泡核を成長させる発泡過程、より構成される。具体的には、ガラス転移温度の−100℃以上、+100℃未満の温度で前駆体流体を浸透させた後、温度を保持したまま急速減圧することで気泡を形成させ、金属担持ポリマー多孔体を得ればよい。超臨界流体はポリマーの可塑化効果をもつため、超臨界流体が浸透したポリマーは通常よりも遥かに温和な条件で可塑化し、粘度が低下する。このため、通常のガラス転移温度以下の温度においても発泡が可能となる。また、加熱温度は低い方がエネルギーコスト面で有利であるため、ガラス転移温度+50℃未満の温度がより好ましい。さらに若しくは、加圧下でポリマーに前駆体流体を浸透させた後、降圧し、次いでポリマーのガラス転移温度の−100℃以上、+100℃未満の温度まで加熱することにより気泡を成長させてもよく、これも本発明において好ましい一様態である。該超臨界発泡法は、熱力学的不安定な状態から核を形成し、この核を膨張成長させることで気泡を形成するものであり、ガスの熱力学的不安定性が相分離を誘起することにより今までにない微孔質の多孔体が得られるという利点がある。また、有機溶剤を用いる発泡法や相分離法と異なり環境に優しく、かつ、腐食性ガスや不純物による多孔体の汚染が起こらない。
【0021】
本発明で使用する超臨界流体としては、上記のように金属前駆体の溶解能力をもち、かつ超臨界状態においてポリマーに浸透するものであれば特に限定する必要はないが、これらの要求を満たすものとしては二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素は、臨界温度、圧力ともに低いため超臨界状態を得やすく、水に次いで安価であり、無毒、難燃性、無腐食性であるため取り扱い易く、かつ環境に対する負荷が少ない。また、二酸化炭素はポリマーへの含浸量が多く、含浸速度も速い。
【0022】
二酸化炭素は臨界圧力が7.48MPa、臨界温度が31.1℃であり、圧力7.48MPa、温度31.1℃以上の超臨界状態にすると、二酸化炭素への金属前駆体の溶解度およびポリマーへの二酸化炭素の浸透度が著しく増大し、高濃度の金属担持が可能となる上、ポリマー中への含浸速度が速まる。また、ポリマーへの二酸化炭素の浸透度の増大によって気泡核が多量に発生し、その気泡核が成長してできる気泡の密度が空隙率が同じであっても大きくなり、非常に微細な気泡を得ることができる。従って本発明において、圧力は臨界圧力である7.48MPa以上が好ましく、7.5〜20.0MPaが特に好ましい。過度の加圧は工業的に多量なエネルギーコストを要し、安全面、経済面においても多大な負荷がかかるため、好ましくない。また、亜臨界条件すなわち臨界点付近の条件下の二酸化炭素流体である亜臨界二酸化炭素流体を用いることも本発明において可能な一態様である。本発明において亜臨界二酸化炭素流体とは圧力7.0MPa以上、かつ温度25℃以上であって、超臨界状態ではない二酸化炭素流体を示す。
【0023】
超臨界流体への金属前駆体の溶解および前駆体流体のポリマーへの浸透の実施形態としては、例えば金属前駆体とポリマーを耐圧容器に入れ、容器内を超臨界流体で満たすことで行うことができる。ここで併せて機械的撹拌手段を利用して超臨界流体を撹拌することで、金属前駆体の溶解および前駆体流体の浸透を促進することができる。また、金属前駆体を超臨界流体に溶解させるのに、金属前駆体と超臨界流体の組み合わせによっては非常に長い時間を要することがある。この場合、別な圧力容器内で予め金属前駆体を超臨界流体に溶解させ、その耐圧容器から、ポリマー基材を入れた耐圧容器に前駆体流体を導入することで、工程に要する時間を短縮することができる。さらに、前駆体流体を、ポリマーを入れた耐圧容器に連続的に流通させて接触させることも、工程を簡略化する上で有効である。また、押出成形機を用いた連続成形プロセスを用いてもよい。この場合、ポリマーを押出機中に供給し溶融させ、溶融したポリマー中へ前駆体流体を送液、合流させた後、急激な圧力低下により発泡させればよい。さらに同様にして、射出成形機やブロー成形機等を用いた連続発泡成形プロセスも可能である。
【0024】
上記本発明の方法により、金属が高分散担持された金属担持ポリマー多孔体を、非常に簡便に、かつ環境に負荷をかけずに得ることができる。すなわち、従来は2段階工程で行われていたポリマー多孔体製造と多孔体への金属担持とを、超臨界二酸化炭素に金属前駆体の溶剤ならびに発泡剤としての二つの働きをもたせることにより同時工程で行うことができる。このことにより、金属担持ポリマー多孔体の製造工程は大幅に簡略化され、それに伴って製造コストも大幅に削減される。また、上記連続成形プロセスを用いれば、大量に製造することも可能である。
【0025】
上記発明の方法より得られた多孔体の空隙率は10%以上70%未満の範囲内であることが好ましく、ポリマーへの超臨界流体の含浸量・速度、または降圧速度、または気泡を成長させる際の加熱温度・時間等により、用途に応じて容易に制御することができる。空隙率が10%未満であると担持金属が外界と接触し難くなり有効な比表面積を最大限に活用できないことがある。また70%以上であると「す」の状態となり、金属を高分散担持させるための微多孔体としての機能低下の原因となる上、構造材料としての機械物性も低下することがある。本発明の方法では、ガスの熱力学的不安定性による相分離を利用して多孔体を製造するため、従来の有機溶剤を用いた発泡法では得られない微孔質の多孔体が得られる。さらに発泡剤の残存による多孔体の汚染可能性がないため、低汚染性の要求が高い電子部品用途などにも適用可能である。
【0026】
金属粒径は1nm以上100nm未満の大きさが好ましく、先に示したように温度、圧力、エントレーナー、金属前駆体量により制御が可能である。粒径が100nm以上であると、金属の機能性が発現しにくくなることがある。本発明の金属担持方法は従来の方法とは全く異なり予めポリマー中へ金属を浸透させるため、細孔の入口近傍により多くの金属が担持されるようなことは起こらず、多孔体内部も含め全体にわたって均一に担持することが可能である。また、金属微粒子の担体への保持性の観点からは金属が担体内部に保持されていることが好ましいが、本発明では一度金属が担体内部に浸透するため、その後の発泡条件によって金属の担持深さをコントロールすることも可能である。
【0027】
このようにして得られた金属担持ポリマー多孔体は、触媒、電池用電極材料、メンブレンリアクター、導電性または帯電防止プラスチック、電磁気シールド材料等の各種の機能性材料として非常に有用である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。
【0029】
[実施例1]
幅10mm、長さ60mm、厚さ5mmのポリカーボネート成形品(帝人化成製、AD5503、Tg=147℃)と白金アセチルアセトナート20mgを容積100mLの耐圧容器に入れ、150℃、25MPaの二酸化炭素雰囲気中に5時間保持することにより、白金が溶存した超臨界二酸化炭素流体をポリカーボネートに含浸させた。その後減圧することで気泡を成長させ、白金担持ポリカーボネート多孔体を得た。走査型電子顕微鏡(SEM)画像より、得られた多孔体の孔径は0.5〜2μmであり、空隙率は40%であった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)により、白金がポリカーボネート多孔体表面に、多孔内部も含め均一に分散して存在していることが確認され、その粒径は20〜50nmであった。

Claims (11)

  1. 金属が分散担持されたポリマー多孔体を製造する方法であって、超臨界流体若しくは亜臨界流体と金属前駆体とからなる前駆体流体中にポリマーを配置して前駆体流体をポリマーに浸透させた後、発泡させて、気孔表面に金属が分散担持されたポリマー多孔体を得る、金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
  2. 金属前駆体が有機金属化合物である、請求項1に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
  3. 有機金属化合物が金属のアセチルアセトナートまたはアルコキシドである、請求項2に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
  4. ポリマーが熱可塑性ポリマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
  5. 発泡を、ポリマーのガラス転移温度の−100℃以上、+100℃未満の温度条件で行う、請求項1〜4のいずれかに記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
  6. 超臨界流体として二酸化炭素の超臨界流体を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
  7. 二酸化炭素の超臨界流体を圧力7.5〜20.0MPaの条件で用いる、請求項6に記載の金属担持ポリマー多孔体の製造方法。
  8. 超臨界流体若しくは亜臨界流体に金属前駆体を溶解させた前駆体流体中にポリマーを配置して流体を浸透させた後、発泡させ、気孔表面に金属を分散担持して得られる、金属担持ポリマー多孔体。
  9. 空隙率が10%以上70%未満の範囲内にある請求項8に記載の金属担持ポリマー多孔体。
  10. 担持された金属の粒径が1nm以上100nm未満の範囲内にある請求項8〜9のいずれかに記載の金属担持ポリマー多孔体。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の金属担持ポリマー多孔体から構成される機能性材料。
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