JP6581772B2 - アモルファス化合物ゲル、アモルファス化合物ゲルの製造方法、酸化物結晶体の製造方法、金属結晶体の製造方法、酸化物結晶体、及び金属結晶体 - Google Patents
アモルファス化合物ゲル、アモルファス化合物ゲルの製造方法、酸化物結晶体の製造方法、金属結晶体の製造方法、酸化物結晶体、及び金属結晶体 Download PDFInfo
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非特許文献2には、ヘキサン酸銅水和物のアモルファス薄膜から光照射によって導体パターンを形成する方法が開示されている。
上記薄膜型半導体の電極を形成する場合などにおいて、インクジェット法を用いたソース、ドレイン、ゲート電極の形成では、厚さ精度やフラットネスが金属ナノ粒子の形状や分散性に依存しているため、微細なTFT形成に用いるには制約がある。特許文献2に開示の酸化物半導体の製造方法においては、酸化物ターゲット材の作製、スパッタによるパターニング、アニールなど多くの工程が必要になり、その中でも、アニール処理で温度をかける際に400℃程度の高温処理が必要になり、酸素欠陥が消失して移動度の低下などの懸念があるため、アニール雰囲気の細かい制御が必要になっていた。特許文献3には、粒子径が50〜200nm程度の、上記用途に適した水酸化物又は水和物の微粒子の製造方法が開示されているが、アモルファス化合物の製造方法は開示されていない。また、上記非特許文献1及び非特許文献2のいずれにも、酸化物結晶体、金属結晶体等の製造に使用可能なアモルファス化合物ゲルを電解還元により簡易に製造できる方法、及び酸化物結晶体、金属結晶体等の製造に適した溶媒の構成は開示されていない。
(2)前記金属元素が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(1)に記載のアモルファス化合物ゲル。
(3)前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が60℃以上であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のアモルファス化合物ゲル。
(4)前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が350℃以下であることを特徴とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
(5)前記有機溶媒(S)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有していて、該ヒドロキシル基の結合している炭素原子に1又は2の水素原子が結合している有機化合物(S1)を含むことを特徴とする、前記(1)から(4)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
(7)前記アモルファス化合物ゲル中に、ラクタム系化合物(L)が混合されていることを特徴とする、前記(1)から(6)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
(8)前記アモルファス化合物の分子構造が水和物であることを特徴とする、前記(1)から(7)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
(9)前記アモルファス化合物の分子構造がカルボキシル基を含むことを特徴とする、前記(1)から(8)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
(10)前記アモルファス化合物が100nm以上の長周期構造を有しないことを特徴とする、前記(1)から(9)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
(12)前記金属イオンが銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(11)に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(13)前記金属イオンは、前記配位子と錯体を形成していて、該錯体の全生成定数が1〜10であることを特徴とする、前記(11)又は(12)に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(14)前記配位子が酢酸イオン、シュウ酸イオン、プロピオン酸イオン、マロン酸イオン、酒石酸イオン、及びピロリン酸イオンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(11)から(13)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(16)前記アルカリ金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする前記(15)に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(17)前記アルカリ土類金属イオンが、カルシウムイオンであることを特徴とする、前記(15)に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(18)前記反応溶液に、ラクタム系化合物(L)が溶解していることを特徴とする、前記(11)から(17)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(19)前記ラクタム系化合物(L)が炭素原子数4〜12の五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(18)に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(21)前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンがN−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(19)に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
(23)前記光照射の光源がキセノンランプで、放電発光電圧が1000〜3000Vの範囲であり、酸化物結晶体が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上の酸化物の半導体または導電体であることを特徴とする、前記(22)に記載の酸化物結晶体の製造方法。
(24)前記(1)から(10)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点以下の温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする、金属結晶体の製造方法(以下、第4の実施形態ということがある)。
(25)前記光照射の光源がキセノンランプで、放電発光電圧が500〜5000Vの範囲であり、金属結晶体が銅の導電体であることを特徴とする、前記(24)に記載の金属結晶体の製造方法。
(26)前記(1)から(10)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルの2種以上を混合して、基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする、透明導電体の製造方法(以下、第5の実施形態ということがある)。
(27)前記(1)から(10)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルと金属元素又は半金属元素の化合物塩とを混合して、基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする、透明導電体の製造方法(以下、第6の実施形態ということがある)。
(29)前記酸化物結晶体がオープンセル型3次元網目構造であって、該網目構造の網目の平均径が20〜500nmであることを特徴とする、前記(28)に記載の酸化物結晶体。
(30)前記酸化物結晶体表面の十点平均粗さ(JISB−0601)が20〜200nmであることを特徴とする、前記(28)又は(29)に記載の酸化物結晶体。
(31)前記(1)から(10)のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行って形成された金属結晶体が、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下の範囲にあることを特徴とする金属結晶体(以下、第8の実施形態ということがある)。
(32)前記金属結晶体がオープンセル型3次元網目構造であって、該網目構造の網目の平均径が20〜500nmであることを特徴とする、前記(31)に記載の金属結晶体。
(33)前記金属結晶体表面の十点平均粗さ(JISB−0601)が20〜200nmであることを特徴とする、前記(31)又は(32)に記載の金属結晶体。
このようなアモルファス化合物ゲルは、低いエネルギーでの加熱や光照射により容易に金属結晶体や酸化物結晶体を形成することが可能で、形成条件によって導電体、半導体へ作り分けすることができる。更に、本発明のアモルファス化合物ゲルから形成される金属結晶体や酸化物結晶体は、ナノオーダーの平滑性や構造の制御が可能で、オープンセル型3次元網目構造のナノ多孔質膜も形成可能である。金属結晶体や酸化物結晶体の構造制御によって、透過率、熱伝導性、触媒活性などの新たな特性を実現する新規材料となり得る。
尚、本発明における「アモルファス」とは、上記のように結晶化度が5%以下のものを意味し、必ずしも完全な非晶質である必要はない。
本発明の第1の実施形態である「アモルファス化合物ゲル」は、金属元素に1又は2以上のヒドロキシル基が結合してなる、結晶化度が5%以下のアモルファス化合物と、常温で液体である有機溶媒(S)とから構成されていることを特徴とする。
本発明のアモルファス化合物ゲルは、ヒドロキシル基を有するアモルファス化合物から、加熱、光照射等により導体である金属結晶体、又は半導体である酸化物結晶体を形成させる際の選択性が高い。更に、アモルファス化合物ゲル中のアモルファス化合物を、後述の化学式で示すように水和物やカルボキシル基などの配位子と錯体形成させることで、活性ラジカル種の発生量や構造変化後の結晶性の制御、すなわち、切断されたヒドロキシル基等、及び錯体を形成していた配位子中の分子と、金属元素または半金属元素との間で多分子結合による立体構造化(オレーション)の制御が可能となる。
また、この前駆体ゲルはフィルター処理などで、金属微粒子と分離して単独回収することも可能であることが確認された。この前駆体ゲルを分析したところ、結晶性は著しく低く、アモルファス状態であることが判明した。該前駆体ゲルが金属微粒子へ変換されずにアモルファス状態で電極上に形成されるメカニズムは明らかではないが、電極近傍で形成される過電圧の大きなアルカリ反応場では、電解反応生成物の微細結晶化が強く促されて、前駆体の結晶性が金属微粒子よりも著しく低下した状態となり、特定の錯体が存在し、かつ特定のpH範囲の電解条件では、更に好ましくは有機添加剤などが介在した電解条件では前駆体がゲルとして安定化されるため、電極から回収できるようになると推定される。
前記金属元素は、銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。これらの金属は、後述する、酸化物結晶体からなる半導体、又は金属結晶体からなる導電体の製造方法に対応可能な金属元素である。尚、銅、亜鉛、スズ、ニッケルは電解法が適用可能な元素である。上記対応可能な金属元素が本願におけるアモルファス化合物の形成性が高いともいえる。
(イ)アモルファス化合物の官能基、結晶化度
本発明のアモルファス化合物ゲルを構成するアモルファス化合物は、ヒドロキシル基が結合してなる、結晶化度が5%以下のアモルファス化合物である。アモルファス化合物のゲルは、光照射や加熱することにより、導体パターンや触媒などの用途に適した構造とすることが可能になる。
本発明では、アモルファス化合物が必ずしも完全なアモルファスである必要はないが、ゲルの結晶化が進みすぎると低いエネルギーで所望の結晶構造体へ変化させることが難しくなることから、結晶化度の上限は5%である。
(ロ)アモルファス化合物の分子構造
アモルファス化合物の分子構造は水和物であることが好ましい。アモルファス化合物の分子構造が水和物であることにより、ゲルの安定性向上と、後述する水和物やカルボキシル基などの配位子と錯体形成させることで、活性ラジカル種の発生量や構造変化後の結晶性の制御が可能となる。
このような水和物とカルボキシル基を有する化合物として、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y、Zn2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y、Sn2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y、Ni2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(ここで、Xは1以上2以下の整数であり、Yは1以上6以下の整数である。)等を挙げることができる。
(ハ)アモルファス化合物の長周期構造
アモルファス化合物ゲルを構成するアモルファス化合物は、100nm以上の長周期構造(long period structure)を有しない。このように、アモルファス化合物が100nm以上の長周期構造を有しないと、結晶化度が低くなり、結晶金属とは異なって長周期の規則構造は減少することになる。このことは、電子顕微鏡(SEM、TEM)から得られる画像等の観察から確認することが可能である。
本発明のアモルファス化合物ゲルは、アモルファス化合物が常温で液体である有機溶媒(S)と混合している状態で存在している。該有機溶媒(S)は、基板に塗布後、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、アモルファス化合物ゲルを加熱または光照射により、酸化物結晶体からなる半導体等、又は金属結晶体からなる導電体を形成するためには、前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が60℃以上であることが望ましく、350℃以下であることが望ましい。
アモルファス化合物ゲルが室温で安定した状態となるための有機溶媒の揮発性の点から、有機溶媒(S)の常圧における沸点が60℃以上であることが望ましい。該沸点が60℃未満であると、有機溶媒(S)が蒸発する結果、ゲルが不安定化するおそれがある。一方、アモルファス化合物ゲルから光照射や加熱する際に、酸化物結晶体、又は金属結晶体中の不純物として有機溶媒を残存させないようにするためには、有機溶媒(S)の常圧における沸点が350℃以下であることが望ましい。
上記から、有機化合物(S1)として、アルコールである、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、及び2−オクタノール;ジオールである、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、及びオクタンジオール;トリオールである、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、及び1,2,4−ブタントリオール;の中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
(ロ)他の有機溶媒(S)
アモルファス化合物と混合することによりアモルファス化合物ゲルを形成させる際に使用できる有機溶媒(S)として、上記有機化合物(S1)の他に、環状エステルであるラクトン系化合物として、γ―ブチルラクトン、δ−バレロラクトン等、また炭素原子数12〜17の脂肪族炭化水素であるn−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン等が挙げられる。
前記アモルファス化合物に、ラクタム系化合物(L)を混合させることが好ましい。
本発明のアモルファス化合物に、ラクタム系化合物(L)が混合していると、ゲルの安定性向上と、光照射や加熱により金属結晶体又は酸化物結晶体を形成させる際に、結晶化構造体への反応を促進させることが期待される。
尚、ラクタム系化合物(L)の好ましい化学構造等については、「第2の実形態」の項で説明する。
本発明の第2の実施形態である「アモルファス化合物ゲルの製造方法」は、金属イオンと、金属イオンへ配位結合を形成する配位子とを含む、pH4.0〜11.0の反応溶液において、陽極と陰極間を通電する電解反応により、金属イオンに由来するアモルファス化合物を析出させ、該アモルファス化合物を有機溶媒(S)と混合することを特徴とする。
上記電解反応の際に、析出物の微細結晶化を促すために、電極近傍で形成される過電圧の大きなアルカリ反応場の状態で、有機化合物が介在した析出反応を進行させるので、ナノ粒子前駆物質である金属水酸化物の結晶性はナノ粒子よりも著しく低下しアモルファスとなる。
本発明の電極反応によるアモルファス化合物ゲルの製造方法においては、電解法の採用により生成量を増大させることが容易なため、これまでの化学的な処理による製造方法に比べて簡便でかつ生成量をより増大させることが可能になる。更に、電極反応であるので、電気めっきと同様に所望の元素を生成物中に導入しやすいので、ドーパントによる半導体の特性(p型、n型)の制御も可能になる。
金属イオンは、銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。上記銅、亜鉛、スズ、及びニッケルは電解法で形成可能な元素であり、また本発明におけるアモルファス化合物の形成性にも優れている。その他の金属イオンとして、アモルファス化合物の形成性が多少劣るものの、パラジウム、コバルト、クロム、カドミウム、インジウム等を挙げることができる。
(2)金属イオンへ配位結合を形成する配位子
前記電解反応の際に電解反応溶液に添加する、好ましい配位子として、酢酸イオン、シュウ酸イオン、プロピオン酸イオン、マロン酸イオン、酒石酸イオン、及びピロリン酸イオンから選択される1種又は2種以上が挙げられる。これらの配位子は電解反応により生成した金属イオンに配位して、アモルファス化合物の形成と安定化に寄与する。
(3)電解反応
アモルファス化合物ゲルの製造において、金属イオンを含む下記反応溶液において、陽極と陰極間を通電する電解反応により、金属イオンに由来するアモルファス化合物ゲルを析出させる。
(イ)反応溶液
陽極と陰極間を通電する電解反応がおこなわれるので、反応溶液としては、導電性の親水性溶液が好ましく、水溶液にメタノール、エタノール等の親水性化合物を添加した混合溶液、および親水性溶液が使用可能であるが水溶液の使用が好ましい。
前記反応溶液のpHは4.0〜11.0の範囲とし、更に前記金属イオンと配位子で形成される錯体の全生成定数(Overall formation constant)が1〜10であることが好ましい。
電解法でアモルファス化合物を形成させるためには、過電圧が大きく、電極近傍のpH上昇に伴う適正なアルカリ反応場が必要となる。上記pH範囲の下限未満であるとpH上昇が不足しゲル生成効率が低下するだけでなく、電極から脱離したゲルが酸性バルク溶液中へ溶解してしまう可能性がある。一方、上記pH範囲の上限を超えると、金属塩を電解浴として安定化させるための強力な錯体を形成させる必要があるが、電極反応場で配位子が解離しづらくなるので前駆物質であるゲル形成が阻害され生成効率が著しく低下し、場合によってはめっき膜を形成してしまうおそれがある。
また、ゲル形成が阻害されない配位子の解離性の点から、金属イオンと配位子で形成される錯体の全生成定数が1〜10であることが望ましい。配位子の数が複数の場合、反応溶液中に存在する金属イオン全量に配位するのに充分な濃度の配位子の中から、最も強いものが全生成定数の対象とされる。
尚、錯体の全生成定数は、(i)化学便覧第四版、礎編II、(ii)J. Mass Spectrom. Soc. Jpn. Vol.60、No.2、P25、 2012、(iii)基礎教育、分析化学(東京教学社発行)等に示されている。
このような配位子を形成する金属イオンとして、酢酸イオン、シュウ酸イオン、プロピオン酸イオン、マロン酸イオン、酒石酸イオン、及びピロリン酸イオンから選択される1種又は2種以上を例示することができる。このような金属イオンはゲルの形成を阻害しない配位子であり、かつゲルの分子構造に組み込まれたときの安定性向上に寄与する。
電解還元の反応溶液には、添加剤として、以下に記載するアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン、及びラクタム系化合物(L)が含まれていることが望ましい。
(ハ−1)アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン
反応溶液に、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオンの中から選択される1種又は2種が溶解していることが好ましい。反応溶液にアルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンが溶解していると、アルカリ反応場の安定化、金属イオンの電解形成物がデンドライト状になるのを抑制する効果が期待できる。経済性、入手の容易性等の観点から、アルカリ金属イオンとしてはリチウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンを挙げることができ、アルカリ土類金属イオンとしてはカルシウムイオンを挙げることができる。
反応溶液にラクタム系化合物(L)を存在させることにより、アルカリ反応場に介在して、析出物の結晶性低下を促進する効果が期待できる。ラクタム系化合物は、一般的にカルボキシル基とアミノ基が脱水縮合して環を成している化合物の総称で、環の一部に−CO−NR−(Rは水素でもよい)結合を有しており、本発明で使用するラクタム系化合物(L)は、炭素原子数4〜12の五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
また、前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンがN−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
上記電解法によるアモルファス化合物ゲルの製造方法を以下に例示する。尚、本発明は下記の例示に限定されるものではない。反応溶液中のカソード(陰極)の材料としては、白金、カーボン、銅、ステンレス等の棒状、板状電極、ドット電極のようなナノ構造電極を挙げることができ、アノード(陽極)の材料としては、銅、カーボン、白金、チタン、ステンレス、亜鉛、スズ、ニッケル、イリジウム等の棒状・板状・網状の形状電極を挙げることができる。
電解槽内に、金属イオンを含む反応溶液を供給して、作用電極であるカソード及び補助電極であるアノード間に電圧を印加する電解反応により、金属イオンに由来するアモルファス化合物ゲルをカソード表面へ析出することができる。また、アノードの材質を目的の金属種とすることで、アノード付近からもアモルファス化合物ゲルを析出することが可能となる。反応溶液中のpHは4.0〜11.0の範囲とする必要がある。また、反応溶液中に半導体特性を制御するためのドーパントの元素を含む水溶性塩などを添加しておくことで、アモルファス化合物ゲル中にドーパント元素を導入することも可能である。
上記の方法によって得られたアモルファス化合物を、アルコール等の常温で液体である有機溶媒(S)と混合後、撹拌することで、本発明のアモルファス化合物ゲルを得ることができる。
本発明の第3の実施形態である「酸化物結晶体の製造方法」は、前記第1の実施形態に記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点以下の温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする。
基材上にアモルファス化合物ゲルを塗布する方法としては特に制限されず、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、バーコート、ナイフコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷などの方法を用いることができる。これらのうち、厚く均一な塗布膜を効率的に形成することができるという観点から、スクリーン印刷、及びスピンコートが好ましい。
本発明のアモルファス化合物ゲルを塗布し、結晶構造を形成させるための基材としては、加熱や光照射によってエネルギーが付加される各工程における温度範囲において形状を維持しうるものであれば、特に制限はない。例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)などのセラミックスや各種ガラス等の無機材料、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミドなどのプラスチック類)等の高分子材料などで形成された板状物、シート状物、フィルム状物等を用いることができる。
基材上のアモルファス化合物ゲルは塗布後、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で乾燥を行うことができる。例えば、熱処理炉やホットプレート等の通常の方法を用いて、0.5〜10分加熱して10質量%程度から40〜80質量%程度まで乾燥する。この際、有機溶媒(S)の沸点以上の温度で乾燥すると、急激に体積が減少し、ゲルの構造が不安定化して均一な膜形成が阻害されるおそれがあるので、沸点以下の温度で乾燥する必要がある。乾燥温度は有機溶媒(S)の沸点を30℃下回ることが好ましい。乾燥時のアモルファス化合物ゲル中のアモルファス化合物濃度については、濃度が低すぎると加熱又は光照射後に有機溶媒の分解物が残留してしまう可能性があり、一方、濃度が高すぎると次の加熱又は光照射中にゲルが劣化してしまうおそれがある。また、乾燥は大気雰囲気中、又は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気で行い、乾燥させた後は、直ちに試料を取り除いて室温まで冷すことが望ましい。
本発明においては、上記基材上に塗布されたアモルファス化合物ゲルを乾燥後に、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で、加熱、光照射、又は加熱下での光照射により、酸化物結晶体を形成する。
加熱の方法について、特に制限はなく、例えば熱処理炉やホットプレート等を用いることができる。加熱時の雰囲気と昇温速度を制御するために、雰囲気置換型の熱処理炉を使うことが望ましい。
光照射の方法について、光(電磁波)を発生させる手段に特に制限はなく、例えば、キセノンランプ、水銀灯、連続レーザー発振器、パルスレーザー発振器等の光源を用いることができる。これらのうち、形成される酸化物結晶体の特性を光照射条件によって制御するという観点から、紫外線から赤外線まで連続した広いスペクトル分布をもっており、放電発光電圧の変化に対して分光分布も一定で、本発明のアモルファス化合物ゲルの反応性が良好なキセノンランプを用いることが好ましい。
尚、加熱下に光照射する方法を採用することもでき、この場合に形成される酸化物結晶体の特性の制御性も大きくなることが期待できる。
また、光源としてキセノンランプを用いて光照射する場合、一般に放電発光電圧が低くなるほど、照射時間が短くなるほどとアモルファス化合物から酸化物結晶体への結晶構造化が遅くなるか又は不十分になる傾向があり、一方、放電発光電圧が高くなるほど、照射時間が長くなるほどアモルファス化合物から更に金属結晶体にまで結晶構造化が進む傾向がある。尚、加熱又は光照射を行った後に、アモルファス化合物が残存している場合もある。
上記アモルファス化合物ゲルを用いた酸化物結晶体の製造方法を以下に例示する。尚、本発明は下記の例示に限定されるものではない。
まず、アモルファス化合物ゲル中のアモルファス化合物の濃度を10質量%程度に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌する。次に、基材上にアモルファス化合物ゲルをスピンコータ等で塗布した後、ホットプレート等を用いて、アモルファス化合物ゲル中のアモルファス化合物の濃度が10質量%程度から40〜80質量%程度まで有機溶媒(S)の沸点以下の温度で乾燥する。その後、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下、加熱、光照射、又は加熱下で光照射を行う。
(イ)加熱
加熱処理する際の温度については、有機溶媒(S)の沸点近傍、具体的には沸点の約10℃前後以内が好ましい。加熱温度が低すぎると結晶構造化の反応速度が低下し、一方、加熱温度が高すぎると不均一な結晶構造を形成するおそれがある。また、昇温速度は5〜50℃/minの範囲とすることが好ましい。加熱温度に到達後は、5〜60分間保持することにより結晶構造化が進行して、目的とする酸化物結晶体を得ることが可能になる。
光照射する際の照射する光の波長は、100〜4000nmの波長、特に紫外域から近赤外域までの波長を使うことが好ましい。上記光源の中でもキセノンランプ(波長範囲300〜1300nm)を用いて光照射条件を調整することで、照射条件に特有の酸化物結晶体が得られる。キセノンランプを用いた照射条件は、放電発光電圧1000〜3000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsecとすることが好ましい。また、光照射時間は、一般に1回の照射あたり100μsec〜3msec程度が好ましく、150μsec〜700μsecの範囲が特に好ましい。
また、キセノンランプの光源と基材の距離は5〜100mm程度とすることが好ましい。
(ハ)加熱下での光照射
加熱下で光照射する方法においても、上記の加熱条件と光照射条件の範囲でアモルファス化合物ゲルを結晶構造化させて、目的とする酸化物結晶体を得ることができる。
本発明の第3の実施形態の1つである「酸化物の半導体または導電体の製造方法」は、前記光照射の光源がキセノンランプで、放電発光電圧が1000〜3000Vの範囲であり、酸化物結晶体が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上の酸化物の半導体または導電体であることを特徴とする。
前記アモルファス化合物ゲルを用いた酸化物の半導体または導電体の製造方法において、銅、亜鉛、スズ、及びニッケルのアモルファス化合物から亜酸化銅、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化スズの酸化物半導体を低コスト、低エネルギーで作製でき、更に酸化物の半導体または導電体膜を高い効率で形成することができる。尚、第3の実施形態における、酸化物の半導体または導電体は上記銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される酸化物半導体に限定されるものではない。
上記、亜酸化銅、酸化亜鉛、酸化ニッケル、及び酸化スズの酸化物の半導体または導電体を形成するため光源にキセノンランプを用いた光照射を用いることが特に好ましい。
まず、アモルファス化合物ゲル中の銅、亜鉛、スズ、ニッケル等のアモルファス化合物の濃度を10質量%程度に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌する。次に、基材上にアモルファス化合物ゲルをスピンコータ等で塗布した後、ホットプレート等を用いて、10質量%程度から40〜80質量%程度まで乾燥する。その後、以下に記載する通り、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下に、光照射、又は加熱下に光照射を行う。
キセノンランプの放電発光電圧1000〜3000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsec、光照射時間は、一般に1回の照射あたり100μsec〜3msec程度が好ましく、150μsec〜700μsecの範囲が特に好ましい。放電発光電圧が1000V未満であると酸化物半導体の膜形成に必要なエネルギーが不足し、3000Vを超えるとゲルの結晶化反応が不安定化し、均一な構造が得られないおそれがある。また、キセノンランプの光源と基材の距離は5〜100mmの距離とすることが好ましい。キセノンランプの光照射条件を調整することで、照射条件に特有の酸化物の半導体または導電体が得られる。
(ii)加熱下での光照射
加熱下で光照射する方法においても、上記の光照射条件を採用することができ、加熱条件については有機溶媒(S)の沸点の40〜50℃程度低い温度以下で、かつ50℃以上の温度範囲で加熱することが好ましい。
本発明の第4の実施形態である「金属結晶体の製造方法」は、前記第1の実施形態に記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点以下の温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする。
(1)アモルファス化合物ゲルの基材への塗布
アモルファス化合物ゲル中の金属元素としては、第1の実施形態に記載した銅、亜鉛、スズ、ニッケル等を使用できるが、これらの金属元素に限定されるものではない。
「アモルファス化合物ゲルを基材に塗布」する手段は、前記第3の実施形態の(1)項の記載内容と同様である。
(2)予備乾燥
前記第3の実施形態における(2)項の記載内容と同様である。
本発明においては、基材上に設けられたアモルファス化合物ゲルを、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下、加熱、光照射、又は加熱下で光照射して、金属結晶体を形成する。加熱処理の方法、及び光照射の方法については前記第3の実施形態における(3)項の記載内容と同様である。尚、加熱下で光照射する方法を採用すると形成される金属結晶体の特性の制御性も大きくなることが期待できる。
上記加熱、光照射、又は加熱下での光照射により金属結晶体を形成する具体的条件は、使用するアモルファス化合物ゲルの金属元素と有機溶媒(S)の種類により変動するので、一概にはいえないが、以下の(4)項における(イ)〜(ハ)に記載する条件を参考にして、加熱、光照射、又は加熱下での光照射により形成される金属結晶体をX線解析、顕微ラマン分光装置での解析により、好ましい条件を容易に見出すことができる。加熱する場合、一般に加熱温度が低くなるほど、また加熱時間が短くなるほどアモルファス化合物から金属結晶体への結晶構造化が遅くなるか又は不十分になる傾向がある。一方、加熱温度が高くなるほど、また加熱時間が長くなるほど金属結晶体にまで結晶構造化が進む傾向がある。また、光源としてキセノンランプを用いて光照射する場合、一般に放電発光電圧が低くなるほど、照射時間が短くなるほど金属結晶体への結晶構造化が遅くなるか又は不十分になる傾向がある。一方、放電発光電圧が高くなるほど、照射時間がながくなるほど金属結晶体にまで結晶構造化が進む傾向がある。尚、加熱又は光照射を行った後に、アモルファス化合物が残存している場合もある。
上記アモルファス化合物ゲルを用いた金属結晶体の製造方法を以下に例示する。尚、本発明は下記の例示に限定されるものではない。
まず、アモルファス化合物ゲル中のアモルファス化合物の濃度を10質量%程度に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌する。次に、基材上にアモルファス化合物ゲルをスピンコータ等で塗布した後、ホットプレート等を用いて、40〜80質量%程度まで乾燥する。その後、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下、加熱処理、光照射、又は加熱下で光照射を行う。
(イ)加熱処理
前記第3の実施形態の(4)項の記載内容と同様である。
光照射する際の照射する光の波長は、100〜4000nmの波長、特に紫外域から近赤外域までの波長を使うことが好ましい。本発明においては、キセノンランプ(波長範囲300〜1300nm)を用いることが特に好ましく、光照射条件を調整することで、照射条件に特有の金属結晶体が得られる。キセノンランプの放電発光電圧500〜5000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsec、光照射時間は、一般に1回の照射あたり800μsec〜10msec程度が好ましく、1msec〜5msecの範囲が特に好ましい。また、キセノンランプの光源と基材の距離は5〜100mmの距離とすることが好ましい。
(ハ)加熱下での光照射
加熱下で光照射する方法においても、上記の加熱条件と光照射条件の範囲を採用することができる。
本発明の第4の実施形態の一例であるである「導電体の製造方法」は、前記光照射の光源がキセノンランプで、放電発光電圧が500〜5000Vの範囲であり、金属結晶体が銅の導電体であることを特徴とする。
(イ)金属結晶体が銅である導電体
前記アモルファス化合物ゲルを用いた金属結晶体の製造方法において、銅のアモルファス化合物を使用すると、導電体膜を高い効率で、低コスト、低エネルギーで作製することができる。
(ロ)銅の導電体の製造方法
銅のアモルファス化合物ゲルのアモルファス化合物の濃度を10質量%程度に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌する。次に、基材上にアモルファス化合物ゲルをスピンコータ等で塗布した後、ホットプレート等を用いて、前記10質量%程度から40〜80質量%程度まで乾燥する。その後、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で、光照射、又は加熱下で光照射を行う。
前記導電体の製造においては、キセノンランプの光照射条件を調整することで、照射条件に特有の導電体が得られる。キセノンランプの放電発光電圧500〜5000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsec、光照射時間は、一般に1回の照射あたり800μsec〜10msec程度が好ましく、1msec〜5msecの範囲が特に好ましい。とすることが好ましい。放電発光電圧が500V未満では導電体の膜形成に必要なエネルギーが不足し、5000Vを超えるとゲルの結晶化反応が不安定化し、均一な構造が得られない恐れがある。また、キセノンランプの光源と基材の距離は5〜100mmの距離とすることが好ましい。
(ii)加熱下での光照射
加熱下での光照射する場合、上記の光照射条件の範囲において可能で、加熱条件については有機溶媒(S)の沸点の40〜50℃程度低い温度以下で、かつ50℃以上の温度範囲で加熱することが好ましい。
本発明の第5の実施形態である「透明導電体の製造方法」は、前記第1の実施形態に記載のアモルファス化合物ゲルの2種以上を混合して、基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする。
(1)アモルファス化合物ゲルの2種以上の混合
本発明のアモルファス化合物ゲルの2種以上を混合することで、透明導電体膜を高い効率で、低コスト、低エネルギーで作製することができる。例えば、銅、亜鉛、スズ、及びニッケル等のアモルファス化合物ゲルの2種以上から、銅−アルミニウム−酸素(CuAlO2)、亜鉛−スズ−酸素(ZnSnO3、Zn2SnO4)、亜鉛−アルミニウム−酸素(ZnO−Al)等に由来する透明導電体が形成される。尚、透明導電体を形成するアモルファス化合物ゲルの種類は上記例示に限定されるものではなく、透明導電体を形成可能な金属元素の組み合わせは、公知の透明導電体を参考にして選択することが可能である。
アモルファス化合物ゲルの基材への塗布は前記第3の実施形態における(1)項の記載内容と同様であり、予備乾燥については前記第3の実施形態における(2)項の記載と同様である。
尚、本発明のアモルファス化合物ゲルの混合物を塗布する、透明導電膜を形成させるための透明基材としては、加熱や光照射によってエネルギーが付加される各工程における温度範囲において形状を維持しうるものであれば、特に制限はない。例えば、各種ガラス等の無機材料、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミドなどのプラスチック類)等の高分子材料などで形成された板状物、シート状物、フィルム状物等を用いることができる。透明基材の可視光透過率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上であることがよい。本発明の透明導電体の製造において、光源にキセノンランプを用いた光照射を用いることが特に好ましく、透明導電体を形成するための光照射条件としてキセノンランプの放電発光電圧を1000〜3000Vの範囲とすることが好ましい。
前記アモルファス化合物ゲルの混合物を用いた透明導電体の製造方法を以下に例示する。尚、本発明は下記の例示に限定されるものではない。
まず、金属元素が銅、亜鉛、スズ、ニッケル等であるアモルファス化合物ゲルの混合物の濃度を30質量%程度に調整した後、よく撹拌する。アモルファス化合物ゲル等を有機溶媒に混合して分散させる際の方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の分散手法を適宜採用すればよい。例えば、機械的粉砕あるいは超音波を使用した粉砕を行いながら、有機溶媒中に分散させればよい。この場合、必要により、金属濃度比の調整、あるいは導電率を高めるためのドーパント元素を有機溶媒中に溶かし込む操作をしてもよい。
次に、基材上にアモルファス化合物ゲルの混合物をスピンコータ等で塗布した後、ホットプレート等を用いて、30質量%程度から40〜80質量%程度まで乾燥する。その後、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で、以下に記載する加熱、光照射、又は加熱下での光照射等を行う。
加熱処理する際の温度については、有機溶媒(S)の沸点近傍、具体的には沸点の約10℃前後以内が好ましい。加熱温度が低すぎると結晶構造化の効率が低下し、一方、加熱温度が高すぎると不均一な結晶構造を形成するおそれがある。また、昇温速度は5〜50℃/minの範囲とすることが好ましい。加熱温度に到達後は、2〜60分間保持することにより結晶構造化が進行して、目的とする透明導電体を得ることが可能になる。
(ロ)光照射
本発明においては、キセノンランプの光照射条件を調整することで、照射条件に特有の透明導電体を得ることができる。キセノンランプの放電発光電圧は1000〜3000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsec、一般に1回の照射あたり500μsec〜5msec程度が好ましく、1msec〜3msecの範囲が特に好ましい。放電発光電圧が1000V未満であると透明導電体の膜形成に必要なエネルギーが不足し、3000Vを超えるとゲルの結晶化反応が不安定化し、均一な構造が得られないおそれがある。また、キセノンランプの光源と基材の距離は5〜100mmの距離とすることが好ましい。
加熱下での光照射を行う場合において、上記の光照射条件の範囲を採用することが可能であり、加熱条件については有機溶媒(S)の沸点の40〜50℃程度低い温度以下で、かつ50℃以上の温度範囲が好ましい。
以上のような方法によって、金属−金属酸化物等からなる透明導電膜が透明基材上に形成される。この透明導電膜は、2種以上の金属からなる薄膜であり、透明性を備えると同時に、導電性を発現するものである。なお、これらの透過率、及び抵抗率は、例えば実施例で後述する方法によって測定することができる。
上記製造方法により得られた透明導電体は、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、LED(発光素子)、有機ELディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ電極、太陽電池の電極、窓ガラスの熱線反射膜、帯電防止膜等の用途に好適に用いられる。
なお、前記製造方法では、アモルファス化合物ゲルの混合物は透明基材上に直接塗布しているが、例えば液晶ディスプレイのようなデバイス等の透明電極用途においては、透明基材の上に着色膜(カラーフィルター)等の中間膜を介在させ、それらの上に直接アモルファス化合物ゲルの混合物を塗布するようにすることもできる。
本発明の第7の実施形態である「透明導電体の製造方法」は、前記第1の実施形態に記載のアモルファス化合物ゲルと金属元素又は半金属元素の化合物塩とを混合して、基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする。
(1)アモルファス化合物ゲルと、金属元素又は半金属元素の化合物塩との混合
アモルファス化合物ゲルと、金属元素又は半金属元素の化合物塩とを混合して用いることで、透明導電体膜を高い効率で、低コスト、低エネルギーで作製することができる。例えば、銅、亜鉛、スズ、及びニッケル等のアモルファス化合物ゲルの1種以上と、アルミニウム、及びゲルマニウム等の金属塩とから、銅−アルミニウム−酸素(CuAlO2)、亜鉛−スズ−酸素(ZnSnO3、Zn2SnO4)、亜鉛−アルミニウム−酸素(ZnO−Al)等に由来する透明導電体が形成される。尚、アモルファス化合物ゲルと、金属元素又は半金属元素の化合物塩との組み合わせは上記例示に限定されるものではなく、透明導電体を形成可能な金属元素の組み合わせは、公知の透明導電体を参考にして選択することが可能である。
アモルファス化合物ゲルの基材への塗布は前記第3の実施形態における(1)項の記載内容と同様であり、予備乾燥については前記第3の実施形態における(2)項の記載内容と同様である。
尚、本発明のアモルファス化合物ゲルの混合物を塗布し、透明導電膜を形成させるための透明基材については、第5の実施形態における(2)項の記載内容と同様である。
本発明の透明導電体の製造において、光源にキセノンランプを用いた光照射を用いることが特に好ましく、透明導電体を形成するための光照射条件としてキセノンランプの放電発光電圧1000〜3000V、一般に1回の照射あたり500μsec〜5msec程度が好ましく、1msec〜3msecの範囲が特に好ましい。
前記アモルファス化合物ゲルと、金属元素又は半金属元素の化合物塩の混合物を用いた透明導電体の製造方法を以下に例示する。尚、本発明は下記の例示に限定されるものではない。
銅、亜鉛、スズ、ニッケル等のアモルファス化合物ゲルに、アルミニウム、及びゲルマニウム等の金属元素又は半金属元素の化合物塩を均一混合するためにアモルファス化合物ゲル濃度の2倍程度になるまで添加して、よく撹拌する。
アモルファス化合物ゲル等を有機溶媒に混合して分散させる際の方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の分散手法を採用することができる。例えば、機械的粉砕あるいは超音波を使用した粉砕を行いながら、有機溶媒中に分散させることができる。この場合、必要により、金属濃度比の調整、あるいは導電率を高めるためのドーパント元素を有機溶媒中に溶かし込む操作を行うこともできる。
次に、基材上にアモルファス化合物ゲル等の混合物をスピンコータ等で塗布した後、ホットプレート等を用いて、30質量%程度から40〜80質量%程度まで乾燥する。その後、大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行う。
加熱処理する際の温度については、有機溶媒(S)の沸点近傍、具体的には沸点の約10℃前後以内が好ましい。加熱温度が低すぎると結晶構造化の効率が低下し、一方、加熱温度が高すぎると不均一な結晶構造を形成するおそれがある。また、昇温速度は5〜50℃/minの範囲とすることが好ましい。加熱温度に到達後は、2〜60分間保持することにより結晶構造化が進行して、目的とする透明導電体を得ることが可能になる。
(ロ)光照射
本発明においては、キセノンランプの光照射条件を調整することで、照射条件に特有の透明導電体が得られる。キセノンランプの放電発光電圧1000〜3000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsec、一般に1回の照射あたり500μsec〜5msec程度が好ましく、1msec〜3msecの範囲が特に好ましい。放電発光電圧が1000V未満であると透明導電体の膜形成に必要なエネルギーが不足し、3000Vを超えるとゲルの結晶化反応が不安定化し、均一な構造が得られないおそれがある。また、キセノンランプの光源と基材の距離は5〜100mmの距離とすることが好ましい。
加熱下で光照射する方法においても、上記の光照射条件の範囲において結晶化可能で、加熱条件については有機溶媒(S)の沸点の40〜50℃程度低い温度以下で、50℃以上の温度範囲で加熱することが好ましい。
以上のような方法によって、金属−金属酸化物等からなる透明導電膜が透明基材上に形成される。この透明導電膜は、2種以上の金属又は半金属を含む多結晶体からなる薄膜であり、透明性を備えると同時に、導電性を発現するものである。なお、これらの透過率、及び抵抗率は、例えば実施例で後述する方法によって測定することができる。
第6の実施形態の製造方法により得られた透明導電体は、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、LED(発光素子)、有機ELディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ電極、太陽電池の電極、窓ガラスの熱線反射膜、帯電防止膜等の用途に好適に用いられる。尚、上述した第6の実施形態の製造方法では、アモルファス化合物ゲルの混合物は透明基材上に直接塗布しているが、例えば液晶ディスプレイのようなデバイス等の透明電極用途においては、透明基材の上に着色膜(カラーフィルター)等の中間膜を介在させ、それらの上に直接アモルファス化合物ゲルの混合物を塗布するようにしてもよい。
本発明の第7の実施形態である「酸化物結晶体」は、前記第1の実施形態に記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行って形成された酸化物結晶体が、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下の範囲にあることを特徴とする。
(1)アモルファス化合物ゲルの基材への塗布、予備乾燥、その後の加熱、光照射等
本発明の第7の実施形態における、「アモルファス化合物ゲルの基材への塗布、予備乾燥、その後の加熱、光照射、又は加熱下での光照射」は、前記第3の実施形態における、(1)から(3)項の記載内容と同様である。
(2)酸化物結晶体
第7の実施形態における、「酸化物結晶体」の特性を以下の(イ)項に、好ましい特性を以下の(ロ)項から(ハ)項に記載する。
本発明の第7の実施形態の「酸化物結晶体」は、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下の範囲にある。
一般的に結晶化が進み、結晶子サイズが増大すると、X線回折におけるピーク半値幅が減少する。本発明の第1の実施形態のアモルファス化合物ゲルから形成される酸化物結晶体では、特にX線源としてCuKαを用いたX線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下程度となるまで結晶化させることで、結晶子サイズ分布、表面粗さ、空孔率、触媒活性、熱伝導率、抵抗率、反射率などの酸化物結晶構造に特有の性質を安定的に制御できるようになる。電気的な特性においては、粒界密度が多いと特性が悪くなるため、結晶子サイズが大きい方がよい。従って、第7の実施形態の酸化物結晶体は、X線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下となるまで加熱、光照射等で処理されたものが特に好ましい。
本発明の第7の実施形態の「酸化物結晶体」は、オープンセル型3次元網目構造であって、該網目構造の網目の平均径が20〜500nmであることが好ましい。
第7の実施形態において、オープンセル型3次元網目構造とは、セルを構成する緻密固体の支柱又は平板の相互につなぎ合わさったネットワークからなる固体が3次元的に連なった空間をもつ網目状の多孔質構造体のことである。セル構造体には、オープンセル型のほかにクローズドセル型、及びオープンセル型とクローズドセル型の両方が共存する中間的なセル構造体も知られているが、本発明における「オープンセル型」は、単なるオープンセル型ばかりではなく、上記中間的なセル構造体をも包含する。本発明の第7の実施形態において、オープンセル型3次元網目構造をもつ酸化物結晶体における、該網目の平均径は特に限定するものではないが、好ましくは20〜500nmである。このような、微細な穴が存在することで、焼結時に残留する溶媒が抜けるため、密着性を損ねない構造形成が可能となる。本発明の第3の実施形態に記載の「酸化物結晶体の製造方法」によって、このような網目状の多孔質構造の制御が可能であるので、結晶子サイズ分布、表面粗さ、空孔率、触媒活性、熱伝導率、抵抗率、反射率等といった特性の制御性が大きい特徴がある。
(ハ)酸化物結晶体表面の十点平均粗さ
本発明の第7の実施形態の「酸化物結晶体」の表面の十点平均粗さ(JISB−0601)は、20〜200nmであることが好ましい。本発明の第1の実施形態の「アモルファス化合物ゲル」から形成される、第7の実施形態の「酸化物結晶体」は、膜表面の平滑性をナノオーダーで制御が可能であるので、上記表面粗さ、その他使用目的に応じて触媒活性、熱伝導率、抵抗率、反射率等の特性の細かい調整が可能となる。
本発明の第8の実施形態である「金属結晶体」は、前記第1の実施形態に記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行って形成された金属結晶体が、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下の範囲にあることを特徴とする。
(1)アモルファス化合物ゲルの基材への塗布、予備乾燥、その後の加熱、光照射等
本発明の第8の実施形態における、「アモルファス化合物ゲルの基材への塗布、予備乾燥、その後の加熱、光照射、又は加熱下での光照射」は、前記第4の実施形態における、(1)から(4)項の記載内容と同様である。
(2)金属結晶体
第8の実施形態における、「金属結晶体」の特性を以下の(イ)項に、好ましい特性を以下の(ロ)項から(ハ)項に記載する。
本発明の第8の実施形態である「金属結晶体」は、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下の範囲にある。
一般的に結晶化が進み、結晶子サイズが増大すると、X線回折におけるピーク半値幅が減少する。第8の実施形態のアモルファス化合物ゲルから形成される金属結晶体では、特にX線源としてCuKαを用いたX線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下程度となるまで結晶化させることで、結晶子サイズ分布、表面粗さ、空孔率、触媒活性、熱伝導率、抵抗率、反射率などの金属結晶構造に特有の性質を安定的に制御できるようになる。電気的な特性においては、粒界密度が多いと特性が悪くなるため、結晶子サイズが大きい方がよい。従って、第9の実施形態の金属結晶体は、X線回折において、最大強度であるメインピークの2θでの半価幅が0.2°以下となるまで加熱又は光照射されたものが特に好ましい。
本発明の第8の実施形態である「金属結晶体」は、オープンセル型3次元網目構造であって、該網目構造の網目の平均径が20〜500nmであることが好ましい。
オープンセル型3次元網目構造については前記第7の実施形態(2)と同様である。第8の実施形態のオープンセル型3次元網目構造をもつ金属結晶体において、該網目の平均径は特に限定するものではないが、好ましくは20〜500nmである。このような、微細な穴が存在することで、焼結時に残留する溶媒が抜けるため、密着性を損ねない構造形成が可能となる。本発明の金属結晶体の製造方法によって、このような網目状の多孔質構造の制御が可能であるので、結晶子サイズ分布、表面粗さ、空孔率、触媒活性、熱伝導率、抵抗率、反射率等といった特性の制御性が大きい特徴がある。
(ハ)金属結晶体表面の十点平均粗さ
本発明の第8の実施形態である「金属結晶体」の十点平均粗さ(JISB−0601)は20〜200nmであることが好ましい。
本発明の第1の実施形態の「アモルファス化合物ゲル」から形成される、第8の実施形態の「金属結晶体」は、その膜表面の平滑性をナノオーダーで制御が可能であるので、上記表面粗さ、その他使用目的に応じて触媒活性、熱伝導率、抵抗率、反射率等の特性の細かい調整が可能となる。
以下に本実施例、比較例における評価方法を記載する。これらの評価結果は表1〜7に示す。
(1)生成物の観察方法
走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した観察により、生成したアモルファス化合物ゲル、及び該生成したアモルファス化合物を加熱、光照射等して得られたアモルファス化合物ゲルの構造変化を確認した。
(2)針状凝集物の有無
走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して1000倍の倍率で観察した際に、観察像中にミクロンサイズの針状析出物が1%以下(該百分率は、「[針状に凝縮した構造物が占める面積/全構造物の面積]×100(%)」から求められる割合である。)の場合には針状の凝集は「無し」とし、1%を超える場合には針状の凝集は「有り」とした。
X線回折測定装置((株)リガク製、型式:Geigerflex RAD−A)を用い、X線源をCuKαとして、生成物の結晶性の分析を行った。下記計算式(1)で示される結晶化度が5%以下のものを、実質的にアモルファス化合物とした。
結晶化度(%)=〔Ic/(Ic+Ia)〕×100 ・・・(1)
(上記Icは結晶性散乱積分強度、Iaは非晶性散乱積分強度を示す。)
(4)生成物の分子構造の同定方法
顕微ラマン分光装置((株)東京インスツルメンツ製、型式:Nanofinder@30)とフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製、型式:FT/IR−4100)を用いて、生成物中の金属元素または半金属元素の化合物種を同定した。なお、顕微ラマン分光装置では必要に応じて、局在表面プラズモン共鳴によってラマン散乱強度を高めることが可能なナノサイズの凹凸構造体(AgまたはCu)に試料を塗布して解析した。
(5)体積固有抵抗率、キャリア濃度、キャリア移動速度の測定方法
各金属結晶体と酸化物結晶体の体積抵抗率、キャリア濃度、キャリア移動度を直流四端子法による低抵抗測定と、Van der Paw法によるホール効果測定を併用することによって求めた。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH3COO)2Cu・1H2O)200g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)600g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH3COONa・3H2O)27.5gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約5.8であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温15℃で、電流密度30A/dm2で30分間通電して、カソード外表面付近にゲル状物質を含む銅系化合物を析出した。
電解反応終了後の水溶液を、ステンレス製のメッシュフィルター(網目:10〜100μm)を通過させて、銅微粒子スラリーとゲル状物質を分離した。その後、ゲル状物質を水洗して、ゲル状物質を回収した。上記の方法によって得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてエチレングリコール15gと混合して、1時間以上、撹拌することで銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y[(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−ビニル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在している(表中に混在物と記載する。以下、同じ)ものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
ゲル状生成物と混合する溶媒をグリセロールとした以外は実施例1と同様にして、銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−ビニル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
ゲル状生成物と混合する溶媒をエタノールとした以外は実施例1と同様にして、銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が2%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X,Yはそれぞれ整数である)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−ビニル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH3COO)2Cu・1H2O)200g、有機添加剤として1−n−オクチル−2−ピロリドン(炭素原子数:12)20g、及びアルカリ土類金属イオンとして酢酸カルシウムの1水和物((CH3COO)2Ca・H2O)90gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約5.7であった。
次に該反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により、得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてγ−ブチロラクトン15gと混合して、1時間以上、撹拌することで銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
(ハ)生成物の分子構造の同定
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、1−n−オクチル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、1−n−オクチル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のカルシウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH3COO)2Cu・1H2O)200g、有機添加剤としてN−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン(炭素原子数:6)50g、及びアルカリ土類金属イオンとして酢酸カルシウムの1水和物((CH3COO)2Ca・H2O)90gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約5.7であった。
次に該反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により、得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてn−ヘキサデカン15gと混合して、1時間以上、撹拌することで銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
(ハ)生成物の分子構造の同定
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y[(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のカルシウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH3COO)2Cu・1H2O)200g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)800g、アルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH3COONa・3H2O)137g、及びアルカリ土類金属イオンとして酢酸カルシウムの1水和物((CH3COO)2Ca・H2O)90gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約6.4であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温5℃で、電流密度30A/dm2で30分間通電して、カソード外表面付近にゲル状物質を含む銅系化合物を析出した。
電解反応終了後の反応水溶液を、メッシュフィルター(網目:10〜100μm)を通過させて、銅微粒子スラリーとゲル状物質を分離した。その後、ゲル状物質を水洗して反応水溶液を除去した。
上記の方法によって得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてエチレングリコール15gと混合して、1時間以上、撹拌することで銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))に帰属するピークが検出された。また、水酸化銅(Cu(OH)2)と、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、本実施例の生成物はCu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。副生成物として水酸化銅(Cu(OH)2)が形成されており、N−ビニル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中にナトリウムとカルシウムが含有されていることも確認された。
実施例1〜6の結果を表1にまとめて示す。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)200g、2−ピロリドン(炭素原子数:5)100g、アルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH3COONa・3H2O)70g、ピロリン酸ナトリウムの10水和物(Na4P2O7・10H2O)56gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約8.5であった。
次にこの水溶液中で銅陰極(カソード電極)と銅陽極(アノード電極)との間を浴温10℃で、電解電圧20Vで15分間通電して、アノードから銅イオンを反応水溶液へ供給することで、アノード外表面付近とカソード外表面付近にゲル状物質を含む銅系化合物を析出した。
電解反応終了後の反応水溶液を、ステンレス製のメッシュフィルター(網目:10〜100μm)を通過させて、銅微粒子スラリーとゲル状物質を分離した。その後、ゲル状物質を水洗して反応水溶液を除去した。
上記の方法によって得られたゲル状生成物10gを、溶媒としてグリセロール10gと混合して、1時間以上、撹拌することで銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、N−メチル−2−ピロリドンと2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークとピロリン酸に由来するP−O−P結合の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y、及びCu2(OH)2(P2O7)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−メチル−2−ピロリドンと2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中にナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH3COO)2Cu・1H2O)200g、有機添加剤としてポリビニルピロリドン(分子量:3500)500g、及びアルカリ土類金属イオンとして酢酸カルシウムの1水和物((CH3COO)2Ca・H2O)90gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約5.7であった。
次に該反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により、得られたゲル状生成物5gを、溶媒としてエチレングリコール5gと混合して、1時間以上、撹拌することで銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が3%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、ポリビニルピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、ポリビニルピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のカルシウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系アモルファス化合物ゲルの調製
銅イオンとしてピロリン酸銅(II)の3水和物(Cu2P2O7・1H2O)196g、アルカリ金属イオンとしてピロリン酸ナトリウムの10水和物(Na4P2O7・10H2O)1130g、及びアルカリ土類金属イオンとして酢酸カルシウムの1水和物((CH3COO)2Ca・H2O)90gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約10であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温5℃で、電流密度20A/dm2で30分間通電して、カソード外表面付近にゲル状物質を含む銅系化合物を析出した。
電解反応終了後の反応水溶液を、ステンレス製のメッシュフィルター(網目:10〜100μm)を通過させて、銅微粒子スラリーとゲル状物質を分離した。その後、ゲル状物質を水洗して反応水溶液を除去した。
上記の方法によって得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてエチレングリコール15gと混合して、1時間以上、撹拌することで銅系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されている他に、針状の凝集物が混在していることが確認された。
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が4%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
(ハ)生成物の分子構造の同定
得られた銅系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化銅を主成分とする銅系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークとピロリン酸に由来するP−O−P結合の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y、及びCu2(OH)2(P2O7)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中にナトリウムとカルシウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による亜鉛系アモルファス化合物ゲルの調製
亜鉛イオンとして酢酸亜鉛の2水和物((CH3COO)2Zn・2H2O)220g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)600g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH3COONa・3H2O)68.7gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約5.8であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温15℃で、電流密度30A/dm2で30分間通電して、カソード外表面付近にゲル状物質を含む亜鉛系化合物を析出した。
電解反応終了後の反応水溶液を、ステンレス製のメッシュフィルター(網目:10〜100μm)を通過させて、亜鉛微粒子スラリーとゲル状物質を分離した。その後、ゲル状物質を水洗して反応水溶液を除去した。上記の方法によって得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてエチレングリコール15gと混合して、1時間以上、撹拌することで亜鉛系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製した亜鉛系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.1〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた亜鉛系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られた亜鉛系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化亜鉛(Zn(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化亜鉛を主成分とする亜鉛系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着した亜鉛の水和物(Zn‐(OH)‐(H2O))と、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Zn2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X,Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−ビニル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法によるスズ系アモルファス化合物ゲルの調製
スズイオンとして酢酸スズ((CH3COO)2Sn)250g、有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)800g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH3COONa・3H2O)68.7gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約5.8であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温15℃で、電流密度30A/dm2で30分間通電して、カソード外表面付近にゲル状物質を含むスズ系化合物を析出した。
電解反応終了後の反応水溶液を、ステンレス製のメッシュフィルター(網目:10〜100μm)を通過させて、スズ微粒子スラリーとゲル状物質を分離した。その後、ゲル状物質を水洗して反応水溶液を除去した。
上記の方法によって得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてエチレングリコール15gと混合して、1時間以上、撹拌することでスズ系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製したスズ系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品系:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.2〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られたスズ系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
得られたスズ系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化スズ(Sn(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化スズを主成分とするスズ系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着したスズの水和物(Sn‐(OH)‐(H2O))と、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Sn2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−メチル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法によるニッケル系アモルファス化合物ゲルの調製
ニッケルイオンとして酢酸ニッケルの4水和物((CH3COO)2Ni・4H2O)260g、有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)800g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH3COONa・3H2O)27.5gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約5.0であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温15℃で、電流密度30A/dm2で30分間通電して、カソード外表面付近にゲル状物質を含むニッケル系化合物を析出した。
電解反応終了後の反応水溶液を、ステンレス製のメッシュフィルター(網目:10〜100μm)を通過させて、ニッケル微粒子スラリーとゲル状物質を分離した。その後、ゲル状物質を水洗して反応水溶液を除去した。
上記の方法によって得られたゲル状生成物15gを、溶媒としてエチレングリコール15gと混合して、1時間以上、撹拌することでニッケル系アモルファス化合物ゲルを得た。
(イ)生成物の構造観察
上記調製したニッケル系アモルファス化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.2〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られたニッケル系アモルファス化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが明確に見られず、結晶化度が0%であったのでアモルファス状態にあると判断された。
(ハ)生成物の分子構造の同定
得られたニッケル系アモルファス化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化ニッケル(Ni(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、本実施例の生成物は水酸化ニッケルを主成分とするニッケル系アモルファス化合物ゲルであると判断された。また、水酸化物イオンが吸着したニッケルの水和物(Ni‐(OH)‐(H2O))と、N−メチル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、Ni2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−メチル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
実施例7〜12の結果を表2にまとめて示す。
(1)電解法による銅系化合物ゲルの調製
ゲル状生成物と混合する溶媒を水とした以外は実施例1と同様にして、銅系化合物ゲルを得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系化合物ゲルを、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、0.05〜500μmの範囲の不定形の構造物が形成されているのを確認した。また、針状の凝集物は観察されなかった。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系化合物ゲルをガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、結晶性の回折ピークが検出され、結晶化度が6%であったので結晶化が進行していると判断された。
得られた銅系化合物ゲルをナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークが検出されたので、水酸化銅を主成分とする銅系化合物ゲルであると判断された。また、酸化銅(CuO)と、水酸化物イオンが吸着した銅の水和物(Cu‐(OH)‐(H2O))と、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(C4H6NO)に帰属するピークも副成分として検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、酢酸に由来するカルボキシル基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、酸化銅(CuO)、Cu2(OH)2(CH3COO)X(H2O)Y(X、Yはそれぞれ整数である。)に近い分子構造の水和物も副生成物として形成されており、N−ビニル−2−ピロリドンは、ゲル中に分散した形で存在しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、ゲル中に微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系化合物の調製
有機添加剤として2−アミノエタノール1000gとした以外は実施例1と同様にして、銅系化合物を得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系化合物を、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、1次粒子径が100〜800nmの範囲で、2次粒子径が1〜100μmの範囲の粒子状構造物が形成されているのを確認した。また、結晶形状がデンドライト状に凝集した、1〜50μmの針状の凝集物が観察された。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系化合物をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、銅に帰属する結晶性の回折ピークが明確に検出され、結晶化度が60%であったので結晶性の銅粒子であると判断された。
得られた銅系化合物をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として銅(Cu)に帰属するピークと、副成分として亜酸化銅(Cu2O)と水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークも検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、2−アミノエタノールに由来するアミノ基の帰属ピークが得られた。
これらの解析結果から、亜酸化銅(Cu2O)と水酸化銅(Cu(OH)2)が副生成物として形成されており、2−アミノエタノールは、粒子表面に付着しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系化合物の調製
有機添加剤としてN,N−ジメチルホルムアミド1000gとした以外は実施例1と同様にして、銅系化合物を得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系化合物を、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、1次粒子径が100〜600nmの範囲で、2次粒子径が1〜100μmの範囲の粒子状構造物が形成されているのを確認した。また、結晶形状がデンドライト状に凝集した、1〜50μmの針状の凝集物が観察された。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系化合物をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、銅に帰属する結晶性の回折ピークが明確に検出され、結晶化度が65%であったので結晶性の銅粒子であると判断された。
得られた銅系化合物をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として銅(Cu)に帰属するピークと、副成分として亜酸化銅(Cu2O)と水酸化銅(Cu(OH)2)に帰属するピークも検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、N,N−ジメチルホルムアミドに由来するアミド基の帰属ピークが観察された。
これらの解析結果から、亜酸化銅(Cu2O)と水酸化銅(Cu(OH)2)が副生成物として形成されており、N,N−ジメチルホルムアミドは、粒子表面に付着しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、微量のナトリウムが含有されていることも確認された。
(1)電解法による銅系化合物の調製
有機添加剤としてポリビニルアルコール(分子量:500)500gとした以外は実施例1と同様にして、銅系化合物を得た。
(2)生成物の評価
(イ)生成物の構造観察
上記調製した銅系化合物を、フィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら水洗して溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。その結果、1次粒子径が200〜900nmの範囲で、2次粒子径が1〜100μmの範囲の粒子状構造物が形成されているのを確認した。また、結晶形状がデンドライト状に凝集した、1〜50μmの針状の凝集物が観察された。
(ロ)生成物の結晶構造分析
得られた銅系化合物をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、銅に帰属する結晶性の回折ピークが明確に検出され、結晶化度が65%であったので結晶性の銅粒子であると判断された。
得られた銅系化合物をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置で解析したところ、主成分として銅(Cu)に帰属するピークと、副成分として亜酸化銅(Cu2O)に帰属するピークも検出された。さらに、フーリエ変換赤外分光光度計による解析も行ったところ、ポリビニルアルコールの帰属ピークが得られた。
これらの解析結果から、亜酸化銅(Cu2O)も副生成物として形成されており、ポリビニルアルコールは、粒子表面に付着しているものと判断された。また、ICP発光分光分析から、微量のナトリウムが含有されていることも確認した。
(1)電解法による銅系化合物の調製
銅イオンとして塩化銅(II)(CuCl2)134g、有機添加剤として2−ピロリドン(炭素原子数:4)100g、及びアルカリ金属イオンとして塩化ナトリウム(NaCl)11.7gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約3.8であった。
次に該反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法で電解反応を行ったところ、電極表面にめっき膜が主に形成された。
(2)生成物の結晶構造分析
得られためっき膜をX線回折による分析を行ったところ、銅に帰属する結晶性の回折ピークが明確に検出され、結晶化度が75%であったので結晶性の銅膜であると判断された。
(1)電解法による銅系化合物の調製
銅イオンとして硫酸テトラアンミン銅(II)塩([Cu(NH3)4]SO4、硫酸銅(II)の5水和物(CuSO4・5H2O)250gとアンモニア水(NH3、30%水溶液)3500gから調製)、有機添加剤として2−ピロリドン(炭素原子数:4)100g、及びアルカリ金属イオンとして硫酸ナトリウム(NaSO4)14.4gを使用して、反応水溶液10L(リットル)を調製した。該反応水溶液のpHは約11.5であった。
次に該反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法で電解反応を行ったところ、電極表面にめっき膜が主に形成された。
(2)生成物の結晶構造分析
得られためっき膜をX線回折による分析を行ったところ、銅に帰属する結晶性の回折ピークが明確に検出され、結晶化度が80%であったので結晶性の銅膜であると判断された。
比較例1〜6の結果を表3にまとめて示す。
(1)評価用試料の調製
上記実施例1〜3、9〜12で得られたアモルファス化合物ゲルを試験管に入れ、それぞれの分散溶媒で濃度を10質量%に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌し、のアモルファス化合物ゲルを得た。
(2)光照射
得られたアモルファス化合物ゲルをスピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)に塗布して、窒素ガス雰囲気中、ホットプレートを用いて50〜180℃の温度範囲でそれぞれ1〜5分間加熱して塗膜を70質量%となるまで乾燥させた後、直ちに試料を取り除いて室温まで冷した。その後、キセノンランプの光(波長範囲300〜1300nm)を25mmの距離から、放電発光電圧300〜5000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsecとして1〜3回(1回当たりの照射時間2msec)の範囲で照射した。
(3)加熱
得られたアモルファス化合物ゲルをスピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)に塗布して、窒素ガス雰囲気中、ホットプレートを用いて50〜180℃の温度範囲でそれぞれ1〜5分間加熱して塗膜を40質量%となるまで乾燥させた後、直ちに試料を取り除いて室温まで冷した。その後、試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中、30℃/minの昇温速度にて加熱した。200℃に到達後、30分間保持した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷した。
得られたアモルファス化合物ゲルをスピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)に塗布して、窒素ガス雰囲気中、ホットプレートを用いて、80〜150℃の温度範囲でそれぞれ1〜5分間加熱して塗膜を50質量%となるまで乾燥させた後、直ちに試料を取り除いて室温まで冷した。その後、100〜200℃の温度範囲で加熱しながら、キセノンランプの光(波長範囲300〜1300nm)を25mmの距離から、放電発光電圧500〜3000Vの範囲で、パルス幅500〜5000μsecとして3〜5回(1回当たりの照射時間2msec)の範囲で照射した。評価結果を表4,5にまとめて示す。
実施例13のアモルファス化合物ゲルを比較例2〜5で得られた生成物とした以外は実施例13と同様の方法で、評価用試料を調製した後、光照射、及び加熱を行って、形成された結晶化膜の評価を行った。これらの評価結果をまとめて表6に示す。
金属結晶化したものについて、比較例2〜5で得たサンプルから調製した結晶化膜の抵抗率は、4.5×10−4〜9.0×10−3μΩcmであったのに対し、実施例1〜3、9〜12で得たサンプルから調製した結晶化膜の抵抗率は、10−5μΩcm以下の小さい抵抗率を示した。焼結組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アモルファス化合物ゲル(図1(実施例1))から形成された試料は緻密で連続的なナノ多孔質構造(図2(実施例13−1))となっていたが、本発明の範囲外である比較例では、疎で不連続な構造(図3(比較例8−2))となっていた。さらに、図1のアモルファス化合物ゲルのX線回折(図4)では結晶性の回折ピークが明確に見られなかったが、図2の結晶化後の連続的なナノ多孔質膜のX線回折(図5)では結晶性の回折ピークが明確に見られた。このことから、本発明のアモルファス化合物ゲルは容易に結晶化が可能で、構造制御も可能であることが判った。また、本発明の形態では、光照射条件と加熱条件を調整することで、半導体的なキャリア濃度とキャリア移動度の特性を示す構造物なども得られたが、本発明の範囲外である比較例では得られなかった。
さらに、実施例13における加熱、及び光照射の条件下においては、得られる酸化物結晶体と金属結晶体のナノ多孔質構造は、主にオープンセル型の3次元網目構造を形成し、それらの網目構造の網目の平均径が20〜500nm、表面の十点平均粗さ(JISB−0601)が20〜200nmの範囲で調整可能であることも判った。
このように、本発明のアモルファス化合物ゲルは、光照射または加熱処理によって、導電体、半導体を作りわけることが可能であることが確認された。
上記実施例10、11で得られたアモルファス化合物ゲルを、重量比2:1となるように試験管に入れ、エチレングリコール溶媒で濃度を30質量%に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した。調整したアモルファス化合物ゲルをスピンコータで透明基材(無アルカリガラス(コーニング社製、商品名:)1737))に乾燥膜厚100nmとなるように塗布して、窒素ガス雰囲気中、ホットプレートを用いて120℃の温度で3分間加熱して塗膜を乾燥させた後、直ちに試料を取り除いて室温まで冷した。その後、キセノンランプの光(波長範囲300〜1300nm)を25mmの距離から、放電発光電圧1500Vで、パルス幅2000μsecとして3回照射(1回当たりの照射時間1msec)して透明導電性基板を得た。得られた透明導電性基板は、抵抗率が1.5×10−1Ω・cmであり、透過率が可視領域で約80%、赤外領域で約85%であった。この透明導電性基板における導電性膜の結晶相をX線回折と透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)により分析したところ、Zn2SnO4型の多結晶体であった。
上記実施例1で得られたアモルファス化合物ゲルと、化合物塩として乳酸アルミニウム(〔CH3CH(OH)COO〕3Al)とを、重量比6:4となるように試験管に入れ、エチレングリコール溶媒で濃度を30質量%に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した。調整したアモルファス化合物ゲルをスピンコータで透明基材(無アルカリガラス(コーニング社製、商品名:)1737))に乾燥膜厚100nmとなるように塗布して、窒素ガス雰囲気中、ホットプレートを用いて120℃の温度で3分間加熱して塗膜を乾燥させた後、直ちに試料を取り除いて室温まで冷した。その後、キセノンランプの光(波長範囲300〜1300nm)を25mmの距離から、放電発光電圧1500Vで、パルス幅2000μsecとして3回照射(1回当たりの照射時間1msec)して透明導電性基板を得た。得られた透明導電性基板は、抵抗率が5.5×102Ω・cmであり、透過率が可視領域で約60%、赤外領域で約70%であった。この透明導電性基板における導電性膜の結晶相をX線回折と透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)により分析したところ、CuAlO2型の多結晶体であった。
Claims (25)
- 金属元素に1又は2以上のヒドロキシル基が結合してなる、結晶化度が5%以下のアモルファス化合物と、常温で液体である有機溶媒(S)とから構成され、ラクタム系化合物(L)が混合されていることを特徴とする、アモルファス化合物ゲル。
- 前記金属元素が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファス化合物ゲル。
- 前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が60℃以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアモルファス化合物ゲル。
- 前記有機溶媒(S)の常圧における沸点が350℃以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
- 前記有機溶媒(S)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有していて、該ヒドロキシル基の結合している炭素原子に1又は2の水素原子が結合している有機化合物(S1)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
- 前記有機化合物(S1)がメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、及び1,2,4−ブタントリオールの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項5に記載のアモルファス化合物ゲル。
- 前記アモルファス化合物の分子構造が水和物であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
- 前記アモルファス化合物の分子構造がカルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
- 前記アモルファス化合物が100nm以上の長周期構造を有しないことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲル。
- 金属イオンと、金属イオンへ配位結合を形成する配位子と、ラクタム系化合物(L)とを含む、pH4.0〜11.0の反応溶液において、陽極と陰極間を通電する電解反応により、金属イオンに由来するアモルファス化合物を析出させ、該アモルファス化合物を有機溶媒(S)と混合することを特徴とする、アモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記金属イオンが銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項10に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記金属イオンは、前記配位子と錯体を形成していて、該錯体の全生成定数が1〜10であることを特徴とする、請求項10又は11に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記配位子が酢酸イオン、シュウ酸イオン、プロピオン酸イオン、マロン酸イオン、酒石酸イオン、及びピロリン酸イオンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項10から12のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記反応溶液に、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオンの中から選択される1種又は2種が溶解していることを特徴とする、請求項10から13のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記アルカリ金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項14に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記アルカリ土類金属イオンが、カルシウムイオンであることを特徴とする、請求項14に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記ラクタム系化合物(L)が炭素原子数4〜12の五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項10から16のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記アルキル−2−ピロリドンがN−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−n−ブチル−2−ピロリドン、N−iso−ブチル−2−ピロリドン、N−n−オクチル−2−ピロリドン、3−メチル−2−ピロリドン、4−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン、及びN−メチル−4−メチル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項17に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンがN−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項17に記載のアモルファス化合物ゲルの製造方法。
- 前記請求項1から9のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、
大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点以下の温度で予備乾燥を行った後、
加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする、酸化物結晶体の製造方法。 - 前記光照射の光源がキセノンランプで、放電発光電圧が1000〜3000Vの範囲であり、
酸化物結晶体が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上の酸化物の半導体または導電体であることを特徴とする、請求項20に記載の酸化物結晶体の製造方法。 - 前記請求項1から9のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルを基材に塗布し、
大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点以下の温度で予備乾燥を行った後、
加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする、
金属結晶体の製造方法。 - 前記光照射の光源がキセノンランプで、放電発光電圧が500〜5000Vの範囲であり、
金属結晶体が銅の導電体であることを特徴とする、請求項22に記載の金属結晶体の製造方法。 - 前記請求項1から9のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルの2種以上を混合して、基材に塗布し、
大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする、
透明導電体の製造方法。 - 前記請求項1から9のいずれかに記載のアモルファス化合物ゲルと金属元素又は半金属元素の化合物塩とを混合して、基材に塗布し、
大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、有機溶媒(S)の沸点より低い温度で予備乾燥を行った後、加熱、光照射、又は加熱下での光照射を行うことを特徴とする、
透明導電体の製造方法。
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