JP2007115865A - 配向熱電材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料を提供するために、熱電材料微粒子15で形成された配向熱電材料中に、高磁化率材料の結晶微粒子(金属,酸化物,強磁性あるいはフェリ磁性を有する材料)14を添加する、あるいは、磁性(常磁性,強磁性,フェリ磁性)を有する熱電材料成分を添加することにより、磁場中にて熱電材料あるいは熱電材料成形体を形成し、必要に応じてさらに磁場中にて熱処理による緻密化を行うようにしたものである。
【選択図】図3
【解決手段】結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料を提供するために、熱電材料微粒子15で形成された配向熱電材料中に、高磁化率材料の結晶微粒子(金属,酸化物,強磁性あるいはフェリ磁性を有する材料)14を添加する、あるいは、磁性(常磁性,強磁性,フェリ磁性)を有する熱電材料成分を添加することにより、磁場中にて熱電材料あるいは熱電材料成形体を形成し、必要に応じてさらに磁場中にて熱処理による緻密化を行うようにしたものである。
【選択図】図3
Description
本発明は、熱電材料およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、結晶配向性を有する熱電材料およびその製造方法に関するものである。
現在、世界のエネルギーは、その多くを化石燃料の燃焼エネルギーに依存しているが、熱サイクルを使用する発電システムの場合、そのエネルギーの多くを廃熱として未利用のまま廃棄しているのが現状である。一方、地球環境の保全が世界的規模で議論されるようになり、エネルギーの未利用分の有効利用技術開発が精力的に進められている。
この中で、熱電変換を用いた発電は、比較的低品質の熱においても直接電気に変換することが可能であるため、現状の未利用の廃熱を回収できる技術であり、最近のエネルギー問題や環境問題の深刻化に伴い、熱電変換に対する期待度はますます大きくなっている。
この熱電変換とは、異なる2種の金属やp型半導体とn型半導体等の熱電変換材料に温度差を与えると、両端に熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して、熱エネルギーを直接電力に変換する技術であり、モーターやタービン等の可動部がまったくなく、また、老廃物もないという優れた特徴を有している。
ここで、熱電特性の性能評価に用いられる性能指数Zは、下記の式で表される。
Z=α2/(κ・ρ)
α:ゼーベック係数
κ:熱伝導率
ρ:比抵抗
Z=α2/(κ・ρ)
α:ゼーベック係数
κ:熱伝導率
ρ:比抵抗
すなわち、ゼーベック係数が大きく、熱伝導率と比抵抗が小さいことが必要である。ここで、ゼーベック係数は物性値であるため、材料によって決まってしまうが、熱伝導率と比抵抗は、材料の微細組織や配向性によっても大きく変化させることが可能なため、熱伝導率や比抵抗を小さくするための結晶組織制御方法が検討されている。すなわち、結晶組織の配向性を向上させることにより、ある方向において、熱伝導率および比抵抗を小さくすることが可能で、その方向における熱電特性を向上することができるわけである。
例えば、特許第03493654号公報(特許文献1)には、AxB2Oy(A:Na必須,Ca,Sr,Ba,Bi,Y, B:Co必須、Mn,Fe,Cu、1≦x≦2、2≦y≦4)型構造を有する熱電素子材料、特にNaCo2O4系熱電素子材料は、水酸化コバルトまたは酸化コバルトの板状粒子とナトリウム金属塩とを混合し、これを前記水酸化コバルトまたは酸化コバルト粒子が一方向に配向するように成形し、この成形体を焼成して緻密化させることによりC軸方向が配向した焼結体が作製される、という内容の熱電素子材料およびその製造方法が提案されている。
また、特開2002−16297号公報(特許文献2)には、結晶配向材料のテンプレートとなる物質である形状異方性を有するZnOまたはその前駆体粉末材料と、このZnOまたはその前駆体粉末材料との反応によって結晶異方性のある導電性酸化物を生成する物質とを混合し、この混合材料を前記異方形状粉末が一方向に配向するように常温下で成形し、この成形物を熱処理することにより合成し、その後に焼結する、という内容の結晶配向バルクZnO系焼結体材料の製造方法およびそれにより製造された熱電変換デバイスが提案されている。
さらに、特許第03443640号公報(特許文献3)には、V族元素とVI族元素からそれぞれ選択した一種以上の元素の組み合わせを主成分とする熱電材料若しくは金属と半金属系材料の組み合わせを主成分とする熱電材料またはこれらに酸化物、炭化物、窒化物若しくはこれらの混合物を添加した熱電材料の直流通電加圧による焼結に際し、100〜15000Aの可変電流範囲で通電するとともに、磁束密度0.1T≦H≦2.0T(T:テスラ)の範囲で磁場をかけながら焼結し、焼結体組織の電気的配向性を得ることを特徴とする熱電材料の製造方法が提案されている。
また、本出願人が先に出願し公開されたものとしては、特開2004−119429号公報(特許文献4)および特開2004−119413号公報(特許文献5)がある。
前者の特開2004−119429号公報(特許文献4)には、熱電材料微粒子を磁場中で成形し、さらに、磁場中で焼結することにより配向熱電材料を形成したものが提案されている。また、後者の特開2004−119413号公報(特許文献5)には、熱電材料微粒子を溶媒中に分散し、その分散液を磁場中で成形し、さらに、磁場中で焼結することにより配向熱電材料を形成するものが提案されている。
しかしながら、上記特許文献1および上記特許文献2により提案された方法によると、確かにある程度配向された試料を提供することが可能であるが、いずれもその配向度には限界があり、さらに、配向した成形物を焼結あるいは焼成して緻密化する際に配向度が低下するため、その配向性がまだ十分ではないという不具合が生じている。
また、上記特許文献3により提案された方法によると、磁場中において焼結を行うことにより、電気的配向性を得ているのみであり、磁場強度が小さいため、結晶そのものを配向することができず、かえって電気抵抗や熱伝導率等の物理的特性の異方性を減少または消失させてしまって、結晶組織の配向度を大きくし、ある方向における熱伝導率や比抵抗を小さくするための結晶組織制御方法という目的では用いることができないのが現状である。
これより熱電材料の結晶配向度を大きくでき、その配向度を減少させることなく熱電材料を製造できる方法並びに十分な配向度を有した熱電材料が切望されていた。
そこで本発明の目的は、結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する配向熱電材料およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、次の如き構成を採用した。以下、請求項毎の構成を述べる。
a)請求項1記載の発明は、熱電材料微粒子の集合体より構成され、該熱電材料微粒子がそれぞれ一定の方向に配向し、かつ前記熱電材料微粒子の集合体中に高磁化率材料成分を含有する配向熱電材料であって、前記高磁化率材料成分が単結晶微粒子であることを特徴としている。
b)請求項2記載の発明は、請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくとも金属により構成されることを特徴としている。
c)請求項3記載の発明は、請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくとも酸化物により構成されることを特徴としている。
d)請求項4記載の発明は、請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくとも強磁性材料により構成されることを特徴としている。
e)請求項5記載の発明は、請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくともフェリ磁性材料により構成されることを特徴としている。
f)請求項6記載の発明は、請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率成分の単結晶微粒子は少なくとも配向熱電材料と同種の元素を含有することを特徴としている。
g)請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記配向熱電材料に含有する高磁化率材料の単結晶微粒子の短径をd、長径をaとした場合、a/d>1であることを特徴としている。
h)請求項8記載の発明は、請求項7記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料の単結晶微粒子における長径方向の磁化率が、該長径方向以外の方向の磁化率よりも大きいことを特徴としている。
i)請求項9記載の発明は、熱電材料微粒子の集合体より構成され、該熱電材料微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料であって、少なくとも該配向熱電材料中に磁性熱電材料成分を含有することを特徴としている。
j)請求項10記載の発明は、請求項9に記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくとも常磁性熱電材料成分を含有することを特徴としている。
k)請求項11記載の発明は、請求項9に記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくとも強磁性熱電材料成分を含有することを特徴としている。
l)請求項12記載の発明は、請求項9に記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくともフェリ磁性熱電材料成分を含有することを特徴としている。
m)請求項13記載の発明は、請求項9〜12のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくとも酸化物を含有することを特徴としている。
n)請求項14記載の発明は、請求項9〜12のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分および母材となる熱電材料成分が少なくとも酸化物を含有することを特徴としている。。
o)請求項15記載の発明は、請求項9〜12のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分の熱起電力が母材となる熱電材料成分の熱起電力と符号が同一であることを特徴としている。
p)請求項16記載の発明は、熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、高磁化率材料の単結晶微粒子を添加する工程を具備したことを特徴としている。
q)請求項17記載の発明は、請求項16に記載の配向熱電材料の製造方法において、前記熱電材料微粒子および高磁化率材料の単結晶微粒子を溶媒中に分散する工程と、該分散液あるいは分散液を乾燥した熱電材料微粒子および高磁化率材料の単結晶微粒子を、磁場中で加圧成形することにより配向成形体とする工程を具備したことを特徴としている。
r)請求項18記載の発明は、請求項16または17に記載の配向熱電材料の製造方法において、当該製造方法で得られた配向成形体を熱処理により緻密化する工程を具備したことを特徴としている。
s)請求項19記載の発明は、請求項18に記載の配向熱電材料の製造方法において、前記配向成形体を熱処理により緻密化する工程は磁場中で行われることを特徴としている。
t)請求項20記載の発明は、熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程と、前記成形体を作製する工程中あるいは前記成形体を焼結する工程中に磁場を印加する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、常磁性熱電材料成分を添加する工程を具備することを特徴としている。
u)請求項21記載の発明は、熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程と、前記成形体を作製する工程中あるいは前記成形体を焼結する工程中に磁場を印加する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、強磁性熱電材料成分を添加する工程を具備することを特徴としている。
v)請求項22記載の発明は、熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程と、前記成形体を作製する工程中あるいは前記成形体を焼結する工程中に磁場を印加する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、フェリ磁性熱電材料成分を添加する工程を具備することを特徴としている。
本発明によれば、上記構成を採用することにより次の如き効果を相する。以下、請求項毎の効果を述べる。
a)請求項1〜6に記載の発明は、配向熱電材料に高磁化率材料の単結晶微粒子を含有することにより、磁場による配向が可能になり、それにより特定の方向において熱電特性が向上できる。
b)請求項7〜8記載の発明は、熱電材料微粒子がそれぞれ磁化率の異方性に沿って配向しているので、特定の方向において熱電特性が向上できる。
c)請求項9〜15記載の発明によれば、磁性熱電材料成分を含有することにより、磁場による配向が可能になり、それにより特定の方向において熱電特性が向上できる。
d)請求項16〜22記載の発明によれば、簡便な方法を用いて配向性の良好な配向熱電材料を製造することが可能になる。
(本発明の概要)
本発明は、結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料を提供するために、微粒子で形成された配向熱電材料中に、高磁化率材料の結晶微粒子(金属,酸化物,強磁性あるいはフェリ磁性を有する材料)を添加する、あるいは、磁性(常磁性,強磁性,フェリ磁性)を有する熱電材料成分を添加することにより、磁場中にて熱電材料あるいは熱電材料成形体を形成し、必要に応じてさらに磁場中にて熱処理による緻密化を行うようにしたものである。
本発明は、結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料を提供するために、微粒子で形成された配向熱電材料中に、高磁化率材料の結晶微粒子(金属,酸化物,強磁性あるいはフェリ磁性を有する材料)を添加する、あるいは、磁性(常磁性,強磁性,フェリ磁性)を有する熱電材料成分を添加することにより、磁場中にて熱電材料あるいは熱電材料成形体を形成し、必要に応じてさらに磁場中にて熱処理による緻密化を行うようにしたものである。
(本発明の実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の製造工程の一例を示したものである。
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の製造工程の一例を示したものである。
最初の工程は、熱電材料微粒子の合成工程である(図1のステップS101)。
この熱電材料微粒子は、磁化率の異方性を有していることが必要である。すなわち、任意の方向には磁化率χが小さく、他の任意の方向においては磁化率が大きく、その両方向の磁化率の差Δχはできるだけ大きい方が磁場を用いて配向熱電材料を製造するには好ましい。
この熱電材料微粒子は、磁化率の異方性を有していることが必要である。すなわち、任意の方向には磁化率χが小さく、他の任意の方向においては磁化率が大きく、その両方向の磁化率の差Δχはできるだけ大きい方が磁場を用いて配向熱電材料を製造するには好ましい。
また、もともと結晶構造に異方性がある場合は、それによって磁化率の異方性をも有することが可能である。この意味からも、例えば、酸化物の層状化合物は配向熱電材料を製造するための原料として好ましい。この化合物は層状になっているため、層の積層方向とそれに垂直方向で磁化率が大きく異なっており、磁場で配向することによって熱電特性を向上させることが可能になるわけである。
次の工程は、高磁化率材料の単結晶微粒子の添加工程である(図1のステップS102)。
磁場による配向熱電材料の形成を考慮した場合には、添加する高磁化率材料の単結晶微粒子としては、強磁性材料およびフェリ磁性材料を用いることが好ましく、また、焼結性等を考慮した場合は、熱電材料微粒子程度の微粒子を用いることが好ましい。
また、高磁化率材料の単結晶微粒子としては、種々の材料を用いることができるが、金属材料および酸化物材料を用いると、その磁化率が大きいため好適である。さらに、用いる熱電材料との適合性を考慮すると、少なくとも用いる熱電材料と同種の元素を含有することが望ましい。
また、添加した高磁化率材料の単結晶微粒子は、全体に均一に分布するように、必要に応じて均一分布化処理を施しても問題ない。添加する量に関しては、添加する高磁化率材料の単結晶微粒子の磁気特性およびその形状等によって異なるため、添加する高磁化率材料の単結晶微粒子によって最適な添加量を適宜選択すればよい。
ここで、この高磁化率材料の単結晶微粒子は、磁化率の異方性を有していることが必要である。すなわち、任意の方向には磁化率χが小さく、他の任意の方向においては磁化率が大きく、その両方向の磁化率の差Δχはできるだけ大きい方が配向熱電材料を製造するには好ましい。
また、この高磁化率材料の単結晶微粒子が形状異方性を有している方が、配向熱電材料を製造するには好ましい。ここで、高磁化率材料の単結晶微粒子の短径をdとし、長径をaとした場合に、aをdで割った値、すなわちa/dが1より大きいことが必要である。
また、上記のように高磁化率材料の単結晶微粒子の方向によるの磁化率の差Δχは大きい方が好ましいが、特に、微粒子の長径方向に磁化率が大きい高磁化率材料の単結晶微粒子を添加すると、磁場による配向がしやすいため、好ましい。この意味からも、高磁化率材料の多結晶微粒子ではなく、磁化率の異方性を大きくすることが可能な高磁化率材料の単結晶微粒子を用いることが好ましいわけである。
また、磁場による配向熱電材料の形成並びに配向熱電材料の熱電特性を考慮すると、熱電材料としては、少なくとも反磁性材料を含有することが好ましい。この場合、反磁性磁化率の異方性が大きいことがより好ましい。
次の工程は、上記のように高磁化率材料の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子を溶媒中に分散する分散液作製の工程である(図1のステップS103)。
分散液を特に用いない場合は、この工程を省略することができる。分散液としては、水、有機溶媒、無機溶媒、いずれを用いても特に問題ない。いずれの場合にも、微粒子が、凝集することなく溶媒中に分散していることが必要である。そのために、必要に応じて超音波分散を行ったり、あるいは、界面活性剤等を添加しても問題ない。
ここで、上記工程で添加した高磁化率材料の単結晶微粒子を、上記工程で添加せず(上記工程を経ず)この工程で添加しても問題ない。その場合は、高磁化率材料の単結晶微粒子をそのまま添加しても問題ないし、高磁化率材料の単結晶微粒子を分散液とした後に添加しても問題ない。適宜選択すればよい。
次の工程は、上記の熱電材料微粒子の分散液(分散液を用いない場合は集合体)を磁場中に挿入し、成形体とする工程である(図1のステップS104)。
磁化率の異方性を有した微粒子は、磁場により配向させることが可能である。微粒子が置かれている状態にもよるが、磁場強度をHとすると、
H2≫2kT/Δχ
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
Δχ:磁化率の異方性
の関係を満たすような磁場強度の場合に、磁化率の大きい方向を磁場印加方向に配向させることが可能になる。
H2≫2kT/Δχ
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
Δχ:磁化率の異方性
の関係を満たすような磁場強度の場合に、磁化率の大きい方向を磁場印加方向に配向させることが可能になる。
しかしながら、熱電材料は一般的には強磁性体ではないので、その配向のためには、非常に大きい磁場強度を必要とする。この磁場強度としては、2Tより大きい場合が、熱電材料を配向するためには好ましく、より好ましくは5T以上の磁場であり、さらに好ましくは10T以上の磁場である。この工程により、磁化率の異方性を有した微粒子が磁化率の大きい方向を、印加した磁場の方向に配向した成形体が形成される。
ここで、本発明のように、熱電材料中に、高磁化率材料の単結晶微粒子が添加されている場合は、より配向性の良好な熱電材料を製造することが可能である。さらには、添加する高磁化率材料の単結晶微粒子の、磁気特性並びに形状によっては、より小さい磁場強度においても、配向熱電材料を製造することが可能になり、生産性の向上に貢献できるものである。
続いての工程は、この成形体を熱処理により緻密化を行い、強度の大きいバルク体を形成する磁場中熱処理の工程である(図1のステップS105)。
この熱処理による緻密化工程には、微粒子原料をバルク化する焼結の工程も含まれる。
この熱処理による緻密化工程には、微粒子原料をバルク化する焼結の工程も含まれる。
従来の配向熱電材料を製造する方法では、配向した成形体を形成した後、この熱処理による緻密化を行う工程で、その配向度を小さくしてしまっていた。これは、熱処理により、せっかく配向していた粒子等がその一部の領域がランダムな方向を向いてしまうためである。
これに対して、磁場中での熱処理(焼結も含む)を行うことにより緻密化を行う場合は、この工程においても配向度を維持することが可能になるため、極めて配向性の良い熱電材料のバルク体を形成することができるわけである。但し、この場合は、温度が高温になるため、磁化率が低下し、それによって磁化率の異方性が減少することが考えられ、その場合には、それに応じた磁場強度にすることが必要になる。
この工程に於いても、本発明のように、熱電材料中に、高磁化率材料の単結晶微粒子が添加されている場合は、より配向性の良好な熱電材料を製造することが可能である。さらには、添加する高磁化率材料の単結晶微粒子の、磁気特性並びに形状によっては、より小さい磁場強度においても、配向熱電材料を製造することが可能になり、生産性の向上に貢献できるものである。
以上は、熱電材料を配向成形体にした後、熱処理により緻密化する場合を説明したが、熱電材料の前駆体を同様な方法で配向成形体とし、熱処理により熱電材料を合成することも可能である。
結晶の配向性を有していない熱電材料(多結晶体)は、図2にその概念図を示したように、磁化率の異方性もばらばらの方向を向いている(図中の点線の方向が磁化率の大きい方向に相当する様子を示している)。
それに対し、本発明により製造した配向熱電材料(多結晶体)は、図3にその概念図を示したように、熱電材料微粒子15中に添加した高磁化率材料の単結晶微粒子14が印加した磁場方向に配向する性質を利用することにより、より簡易的に熱電材料微粒子15を含む全体が磁化率の異方性に沿って配向しており、すなわち、磁化率の大きい方向が試料全体で揃うことが可能になる。
例えば、この磁化率の異方性に対して比抵抗あるいは熱伝導率等の電気的特性の異方性が対応する酸化物の層状化合物から構成される熱電材料等では、特定の方向において、熱電特性を向上させることが可能になる。例えば、特定の方向において比抵抗を小さくすることができれば、その他の物理定数が一緒であってもその方向における性能指数Zは大きくなり、その方向で優れた熱電特性が得られることになる。
また、熱伝導率の小さい方向を利用して、一端を高温とし、多端を低温とすることにより、両端での温度差を大きく取ることが可能になり、それによって取り出せる電力を向上することが可能になるわけである。
このように本発明を用いると、熱電材料に、高磁化率材料の単結晶微粒子14を添加し、磁場中で配向成形体を形成することにより、磁化率の異方性に沿って配向した成形体を得ることができる。さらに磁場中で熱処理を行い、配向成形体の緻密化を行うことにより、磁化率の異方性に沿って配向したままの(配向性を低下させないで)強度の大きいバルク体を形成することが可能になる。
以上説明したように、非常に簡便な方法にて、従来その製造が困難であった非常に良好な配向性を有した熱電材料の製造が可能になり、本発明で製造した配向性熱電材料は、特定の方向において非常に高い熱電特性を有することができるものである。
(第2の実施形態)
図4は、本実施形態の製造工程の一例を示したものである。
図4は、本実施形態の製造工程の一例を示したものである。
最初の工程は、熱電材料微粒子の合成工程である(図4のステップS201)。この熱電材料微粒子の合成工程は、上述した第1の実施形態におけるステップS101と同様であるので説明を省略する。
次の工程は、磁性熱電材料成分の添加工程である(図4のステップS202)。
磁場による配向熱電材料の形成を考慮した場合には、添加する磁性熱電材料成分としては、常磁性材料、強磁性材料並びにフェリ磁性材料を用いることが好ましく、また、焼結性等を考慮した場合は、熱電材料微粒子程度の微粒子を用いることが好ましい。また、磁性熱電材料成分としては、種々の材料を用いることができるが、金属材料、および酸化物材料を用いると、その磁化率の大きさが大きいため好適である。
磁場による配向熱電材料の形成を考慮した場合には、添加する磁性熱電材料成分としては、常磁性材料、強磁性材料並びにフェリ磁性材料を用いることが好ましく、また、焼結性等を考慮した場合は、熱電材料微粒子程度の微粒子を用いることが好ましい。また、磁性熱電材料成分としては、種々の材料を用いることができるが、金属材料、および酸化物材料を用いると、その磁化率の大きさが大きいため好適である。
さらに、用いる熱電材料との適合性を考慮すると、少なくとも用いる熱電材料と同種の元素を含有することが望ましい。例えば熱電材料が酸化物材料である場合は、磁性熱電材料成分も酸化物であることが望ましい。この時、配向熱電材料の熱電特性を考慮すると、添加する磁性熱電材料成分の熱起電力が、母材の熱電材料の熱起電力と符号が同一であることが好ましい。すなわち、n型の熱電材料には、n型の磁性熱電材料成分を添加し、p型の熱電材料には、p型の磁性熱電材料成分を添加することが好ましい。
また、添加した磁性熱電材料成分は、全体に均一に分布するように、必要に応じて均一分布化処理を施しても問題ない。添加する量に関しては、添加する磁性熱電材料成分の磁気特性およびその形状等によって異なるため、添加する磁性熱電材料成分によって最適な添加量を適宜選択すればよい。
ここで、この磁性熱電材料成分は、磁化率の異方性を有していることが必要である。すなわち、任意の方向には磁化率χが小さく、他の任意の方向においては磁化率が大きく、その両方向の磁化率の差Δχはできるだけ大きい方が配向熱電材料を製造するには好ましい。また、この磁性熱電材料成分が形状異方性を有している方が、配向熱電材料を製造するには好ましい。
次の工程は、上記のように磁性熱電材料成分を添加した熱電材料微粒子を溶媒中に分散する分散液作製の工程である(図4のステップS203)。分散液を特に用いない場合は、この工程を省略することができる。
分散液としては、水、有機溶媒、無機溶媒、いずれを用いても特に問題ない。いずれの場合にも、微粒子が、凝集することなく溶媒中に分散していることが必要である。そのために、必要に応じて超音波分散を行ったり、あるいは、界面活性剤等を添加しても問題ない。
ここで、上記工程で添加した磁性熱電材料成分を、上記ステップS202の工程で添加せず(ステップS202の工程を経ず)、本工程(ステップS203)で添加しても問題ない。その場合は、磁性熱電材料成分をそのまま添加しても問題ないし、磁性熱電材料成分を分散液とした後に添加しても問題ない。適宜選択することができる。
次の工程は、上記の熱電材料微粒子と磁性熱電材料成分の分散液(分散液を用いない場合は集合体)を磁場中に挿入し、成形体とする工程である(図4のステップS204)。
前述したように、磁化率の異方性を有した微粒子は磁場により配向させることが可能である。微粒子が置かれている状態にもよるが、磁場強度をHとすると、
H2≫2kT/Δχ
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
Δχ:磁化率の異方性
の関係を満たすような磁場強度の場合に、磁化率の大きい方向を磁場印加方向に配向させることが可能になる。
H2≫2kT/Δχ
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
Δχ:磁化率の異方性
の関係を満たすような磁場強度の場合に、磁化率の大きい方向を磁場印加方向に配向させることが可能になる。
しかしながら、熱電材料は一般的には強磁性体ではないので、その配向のためには、非常に大きい磁場強度を必要とする。この磁場強度としては、2Tより大きい場合が、熱電材料を配向するためには好ましく、より好ましくは5T以上の磁場であり、さらに好ましくは10T以上の磁場である。この工程により、磁化率の異方性を有した微粒子が磁化率の大きい方向を、印加した磁場の方向に配向した成形体が形成される。
ここで、本実施形態のように、熱電材料中に、磁性熱電材料成分が添加されている場合は、より配向性の良好な熱電材料を製造することが可能である。さらには、添加する磁性熱電材料成分の、磁気特性並びに形状によっては、より小さい磁場強度においても、配向熱電材料を製造することが可能になり、生産性の向上に貢献できるものである。
続いての工程は、この成形体を熱処理により緻密化を行い、強度の大きいバルク体を形成する磁場中熱処理の工程である(図4のステップS205)。
この熱処理による緻密化工程には、微粒子原料をバルク化する焼結の工程も含まれる。従来の配向熱電材料を製造する方法では、配向した成形体を形成した後、この熱処理による緻密化を行う工程で、その配向度を小さくしてしまっていた。これは、熱処理により、せっかく配向していた粒子等がその一部の領域がランダムな方向を向いてしまうためである。
これに対して、磁場中での熱処理(焼結も含む)を行うことにより緻密化を行う場合は、この工程においても配向度を維持することが可能になるため、極めて配向性の良い熱電材料のバルク体を形成することができるわけである。但し、この場合は、温度が高温になるため、磁化率が低下し、それによって磁化率の異方性が減少することが考えられ、その場合には、それに応じた磁場強度にすることが必要になる。
この工程に於いても、本発明のように、熱電材料中に、磁性熱電材料成分が添加されている場合は、より配向性の良好な熱電材料を製造することが可能である。さらには、添加する磁性熱電材料成分の、磁気特性並びに形状によっては、より小さい磁場強度においても、配向熱電材料を製造することが可能になり、生産性の向上に貢献できるものである。
以上は、熱電材料を配向成形体にした後、熱処理により緻密化する場合を説明したが、熱電材料の前駆体を同様な方法で配向成形体とし、熱処理により熱電材料を合成することも可能である。
結晶の配向性を有していない熱電材料(多結晶体)は、図2にその概念図を示したように、磁化率の異方性もばらばらの方向を向いている(図中の点線の方向が磁化率の大きい方向に相当する様子を示している)。
図2に対し、本発明によって製造した配向熱電材料(多結晶体)は、図5にその概念図を示したように、熱電材料微粒子25中に添加した磁性熱電材料成分すなわち磁性熱電材料微粒子24が印加した磁場方向に配向する性質を利用することにより、より簡易的に熱電材料微粒子25を含む全体が磁化率の異方性に沿って配向しており、すなわち、磁化率の大きい方向が試料全体で揃うことが可能になる。
例えば、この磁化率の異方性に対して比抵抗あるいは熱伝導率等の電気的特性の異方性が対応する酸化物の層状化合物から構成される熱電材料等では、特定の方向において、熱電特性を向上させることが可能になる。例えば、特定の方向において比抵抗を小さくすることができれば、その他の物理定数が一緒であってもその方向における性能指数Zは大きくなり、その方向で優れた熱電特性が得られることになる。
また、熱伝導率の小さい方向を利用して、一端を高温とし、多端を低温とすることにより、両端での温度差を大きく取ることが可能になり、それによって取り出せる電力を向上することが可能になるわけである。
このように本発明を用いると、熱電材料に、磁性熱電材料成分を添加し、磁場中で配向成形体を形成することにより、磁化率の異方性に沿って配向した成形体を得ることができる。さらに磁場中で熱処理を行い、配向成形体の緻密化を行うことにより、磁化率の異方性に沿って配向したままの(配向性を低下させないで)強度の大きいバルク体を形成することが可能になる。
以上説明したように、非常に簡便な方法にて、従来その製造が困難であった非常に良好な配向性を有した熱電材料の製造が可能になり、本発明で製造した配向性熱電材料は、特定の方向において非常に高い熱電特性を有することができるものである。
次に、具体的に、材料、焼成温度、焼成時間を特定した実施例を説明する。
<実施例1>
Co3O4粉末とNa2CO3粉末を、十分に混合した後、電気マッフル炉にて、880℃にて20時間焼成を行った。
<実施例1>
Co3O4粉末とNa2CO3粉末を、十分に混合した後、電気マッフル炉にて、880℃にて20時間焼成を行った。
焼成後、この試料を粉砕することにより、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子を合成した。
この微粒子を、超伝導マグネットを用いて10T(テスラ)の磁場を印加しながら成形した結果、1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料1とする。
これに対し、粉砕したNaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に、高磁化率材料の単結晶微粒子として、強磁性体のFe2Co単結晶微粒子を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10T(テスラ)の磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料2とする。
走査型電子顕微鏡を用いて、両試料の配向性を評価した結果、試料1に比較して試料2の配向性の方が良好であった。
<実施例2>
実施例1において、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に添加する高磁化率材料の単結晶微粒子として、フェリ磁性体のMnZnフェライト単結晶微粒子(38mol%MnO−6.4mol%ZnO−Fe2O3)を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10Tの磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料3とする。
実施例1において、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に添加する高磁化率材料の単結晶微粒子として、フェリ磁性体のMnZnフェライト単結晶微粒子(38mol%MnO−6.4mol%ZnO−Fe2O3)を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10Tの磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料3とする。
走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した結果、試料1と比較して試料3の配向性の方が良好であった。
<実施例3>
実施例2と同様の方法を用いて成形体を形成する際、超伝導マグネットの磁場強度を変化させ、同様に走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した。
実施例2と同様の方法を用いて成形体を形成する際、超伝導マグネットの磁場強度を変化させ、同様に走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した。
NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子のみを用いた場合は、5T以上の磁場強度において、良好な配向性が確認できたのに対し、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中にMnZnフェライト単結晶微粒子(38mol%MnO−6.4mol%ZnO−Fe2O3)を5wt%添加した複合微粒子を用いた場合には、2T以上の磁場強度において良好な配向性が確認できた。
このように、高磁化率材料の単結晶微粒子を添加した場合には、より小さい磁場強度においても、良好な配向成形体が形成できた。
<実施例4>
実施例1において形成した成形体(試料1)と、実施例2において形成した成形体(試料3)を、920℃で12時間空気中にて焼結を行った。焼結は、高温強磁場熱処理装置を用いて、15Tの磁場を印加しながら焼結を行った。尚、磁場の印加方向は、配向成形体の磁化率の大きい方向と一致させた。
実施例1において形成した成形体(試料1)と、実施例2において形成した成形体(試料3)を、920℃で12時間空気中にて焼結を行った。焼結は、高温強磁場熱処理装置を用いて、15Tの磁場を印加しながら焼結を行った。尚、磁場の印加方向は、配向成形体の磁化率の大きい方向と一致させた。
焼結後の両試料の微細組織を走査電子顕微鏡にて観察したところ、フェリ磁性体の高磁化率材料の単結晶微粒子を添加した試料(試料3)の方が、配向性が良好であった。
このように、高磁化率材料の単結晶微粒子を添加した場合には、焼結体においても、配向性が良好であった。
<実施例5>
Co3O4粉末とNa2CO3粉末を、十分に混合した後、電気マッフル炉にて、880℃にて20時間焼成を行った。
Co3O4粉末とNa2CO3粉末を、十分に混合した後、電気マッフル炉にて、880℃にて20時間焼成を行った。
焼成後、この試料を粉砕することにより、p型の熱電材料である、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子を合成した。
この微粒子を、超伝導マグネットを用いて10T(テスラ)の磁場を印加しながら成形した結果、1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料4とする。
これに対し、粉砕したNaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に、p型の磁性熱電材料成分として、Sr-Y-Co系酸化物微粒子を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10T(テスラ)の磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料5とする。
走査型電子顕微鏡を用いて、両試料の配向性を評価した結果、試料4と比較して試料5の配向性の方が良好であった。
<実施例6>
実施例5において、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に添加するp型の磁性熱電材料成分として、Sr-Ca-Y-Co系酸化物微粒子を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10Tの磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料6とする。
実施例5において、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に添加するp型の磁性熱電材料成分として、Sr-Ca-Y-Co系酸化物微粒子を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10Tの磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。この成形体を試料6とする。
走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した結果、試料4と比較して試料6の配向性の方が良好であった。
<実施例7>
実施例6と同様の方法を用いて成形体を形成する際、超伝導マグネットの磁場強度を変化させ、同様に走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した。
実施例6と同様の方法を用いて成形体を形成する際、超伝導マグネットの磁場強度を変化させ、同様に走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した。
NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子のみを用いた場合は、5T以上の磁場強度において、良好な配向性が確認できたのに対し、NaxCo2Oy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中にSr-Ca-Y-Co系酸化物微粒子を5wt%添加した複合微粒子を用いた場合には、2T以上の磁場強度において良好な配向性が確認できた。
このように、磁性熱電材料成分を添加した場合には、より小さい磁場強度においても、良好な配向成形体が形成できた。
<実施例8>
実施例5において形成した成形体(試料4)と、実施例6において形成した成形体(試料6)を、920℃で12時間空気中にて焼結を行った。焼結は、高温強磁場熱処理装置を用いて、15Tの磁場を印加しながら焼結を行った。尚、磁場の印加方向は、配向成形体の磁化率の大きい方向と一致させた。
実施例5において形成した成形体(試料4)と、実施例6において形成した成形体(試料6)を、920℃で12時間空気中にて焼結を行った。焼結は、高温強磁場熱処理装置を用いて、15Tの磁場を印加しながら焼結を行った。尚、磁場の印加方向は、配向成形体の磁化率の大きい方向と一致させた。
焼結後の両試料の微細組織を走査電子顕微鏡にて観察したところ、磁性熱電材料成分のSr-Ca-Y-Co系酸化物微粒子を添加した試料(試料6)の方が、配向性が良好であった。このように、磁性熱電材料成分を添加した場合には、焼結体においても、配向性が良好であった。
11:熱電材料の結晶粒
12:点線の方向が磁化率の大きい方向
13:結晶粒の磁化率の異方性はランダム
14:高磁化率材料の単結晶微粒子
15:熱電材料微粒子
24:磁性熱電材料微粒子
25:熱電材料微粒子
12:点線の方向が磁化率の大きい方向
13:結晶粒の磁化率の異方性はランダム
14:高磁化率材料の単結晶微粒子
15:熱電材料微粒子
24:磁性熱電材料微粒子
25:熱電材料微粒子
Claims (22)
- 熱電材料微粒子の集合体より構成され、該熱電材料微粒子がそれぞれ一定の方向に配向し、かつ前記集合体中に高磁化率材料成分を含有する配向熱電材料であって、前記高磁化率材料成分が単結晶微粒子であることを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくとも金属により構成されることを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくとも酸化物により構成されることを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくとも強磁性材料により構成されることを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料成分の単結晶微粒子は少なくともフェリ磁性材料により構成されることを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項1に記載の配向熱電材料において、前記高磁化率成分の単結晶微粒子は少なくとも配向熱電材料と同種の元素を含有することを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記配向熱電材料に含有する高磁化率材料の単結晶微粒子の短径をd、長径をaとした場合、a/d>1であることを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項7記載の配向熱電材料において、前記高磁化率材料の単結晶微粒子における長径方向の磁化率が、該長径方向以外の方向の磁化率よりも大きいことを特徴とする配向熱電材料。
- 熱電材料微粒子の集合体より構成され、該熱電材料微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料であって、少なくとも該配向熱電材料中に磁性熱電材料成分を含有することを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項9に記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくとも常磁性熱電材料成分を含有することを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項9に記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくとも強磁性熱電材料成分を含有することを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項9に記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくともフェリ磁性熱電材料成分を含有することを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項9〜12のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分は少なくとも酸化物を含有することを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項9〜12のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分および母材となる熱電材料成分が少なくとも酸化物を含有することを特徴とする配向熱電材料。
- 請求項9〜12のいずれかに記載の配向熱電材料において、前記磁性熱電材料成分の熱起電力が母材となる熱電材料成分の熱起電力と符号が同一であることを特徴とする配向熱電材料。
- 熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、高磁化率材料の単結晶微粒子を添加する工程を具備したことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
- 請求項16に記載の配向熱電材料の製造方法において、前記熱電材料微粒子および高磁化率材料の単結晶微粒子を溶媒中に分散する工程と、該分散液あるいは分散液を乾燥した熱電材料微粒子および高磁化率材料の単結晶微粒子を、磁場中で加圧成形することにより配向成形体とする工程を具備したことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
- 請求項16または17に記載の配向熱電材料の製造方法において、当該製造方法で得られた配向成形体を熱処理により緻密化する工程を具備したことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
- 請求項18に記載の配向熱電材料の製造方法において、前記配向成形体を熱処理により緻密化する工程は磁場中で行われることを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
- 熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程と、前記成形体を作製する工程中あるいは前記成形体を焼結する工程中に磁場を印加する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、常磁性熱電材料成分を添加する工程を具備することを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
- 熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程と、前記成形体を作製する工程中あるいは前記成形体を焼結する工程中に磁場を印加する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、強磁性熱電材料成分を添加する工程を具備することを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
- 熱電材料微粒子の集合体を成形して成形体を作製する工程と、該作製した成形体を焼結する工程と、前記成形体を作製する工程中あるいは前記成形体を焼結する工程中に磁場を印加する工程を含む配向熱電材料の製造方法であって、前記熱電材料微粒子中に、フェリ磁性熱電材料成分を添加する工程を具備することを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
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WO2012063110A2 (en) * | 2010-11-08 | 2012-05-18 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Nanocomposite thermoelectric conversion material, method of producing same, and thermoelectric conversion element |
-
2005
- 2005-10-20 JP JP2005305191A patent/JP2007115865A/ja active Pending
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WO2012063110A2 (en) * | 2010-11-08 | 2012-05-18 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Nanocomposite thermoelectric conversion material, method of producing same, and thermoelectric conversion element |
WO2012063110A3 (en) * | 2010-11-08 | 2013-01-03 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Nanocomposite thermoelectric conversion material, method of producing same, and thermoelectric conversion element |
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