JP2000323317A - フェライト磁石及びその粉末の製造方法 - Google Patents

フェライト磁石及びその粉末の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた磁気特性を有するSrフェライト磁石及
びその粉末の製造方法を提供する。 【課題手段】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
造を有し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも
1種で置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、
Co及びNiの少なくとも1種で置換されているSrフェライ
ト磁石の製造方法であって、SrO・nFe2O3(ただしnはモ
ル比である。)により表される配合比のSrの炭酸塩及び
酸化鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物と、
Mn、Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合し、仮
焼し、得られた仮焼物を粉砕し、得られた粉砕粉末を用
いて磁場中成形し、次いで焼結する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来に比べて高い
残留磁束密度又は高い残留磁束密度及び保磁力を有し、
実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有する高性
能フェライト磁石及びその粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト磁石はモーター、発電機等の
回転機を含む種々の用途に使用されている。最近は特に
自動車用回転機分野では小型・軽量化を目的とし、電気
機器用回転機分野では高効率化を目的として、より高い
磁気特性を有するフェライト磁石が求められている。
【0003】従来からSrフェライト又はBaフェライトの
高性能焼結磁石は以下のようにして製造されている。ま
ず酸化鉄とSr又はBaの炭酸塩を混合後、仮焼によりフェ
ライト化反応を行う。仮焼したクリンカーを粗粉砕し、
それに焼結挙動を制御する添加物(SiO2、SrCO3、CaCO3
等)、及び保磁力iHcを制御する添加物(Al2O3又はCr 2O
3等)を添加し、平均粒径が0.7〜1.0μmになるまで湿
式で微粉砕する。得られた微粉スラリーを用いて磁場中
で配向させながら湿式成形し、成形体とする。最後に成
形体を焼成した後、製品形状に加工する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような製造方法を
前提として、フェライト磁石の高性能化の方法は以下の
5つに大きく分類されると考えられる。
【0005】第1の方法は微粒化法である。焼成体にお
ける結晶粒の大きさがM(マグネトプランバイト)型Sr
フェライト磁石の臨界単磁区粒子径(約0.9μm)に近い
ほど保磁力iHcが大きくなるため、焼成時の結晶粒成長
を見込んで、微粉砕平均粒径を例えば0.7μm以下に微粒
化する。しかしながらこの方法では、微粒化するほど湿
式成形時の脱水特性が悪くなり、生産効率が落ちるとい
う問題がある。
【0006】第2の方法は焼成体の結晶粒の大きさをで
きるだけ均一にすることである。理想的には均一にして
その値を上記臨界単磁区粒子径(約0.9μm)とすればよ
い。この値より大きな結晶粒も小さな結晶粒も保磁力iH
cの低下につながるからである。この方式による具体的
な高性能化の手段は微粉砕粉の粒径分布を改善すること
であるが、工業的生産の場合にはボールミル又はアトラ
イター等の既存の粉砕機を用いざるを得ず、その改善程
度には自ずから限界がある。また近年、化学的沈殿法に
より均一な粒子径を有するフェライト微粒子を作製する
試みが公表されているが、工業的大量生産に適合する方
式とはいえない。
【0007】第3の方法は磁気異方性を左右する結晶配
向度を向上させることである。本方法における具体的手
段としては、界面活性剤を微粉砕スラリーに添加してス
ラリー中のフェライト粒子の分散性を向上したり、配向
時の磁場強度を強くすること等が挙げられる。
【0008】第4の方法は焼成体の密度を向上させるこ
とである。Srフェライト焼成体の理論密度は5.15g/ccで
ある。現在市販されているSrフェライト焼結磁石の密度
は概ね4.9〜5.0g/ccの範囲にあり、この値は対理論密度
比で95〜97%に相当する。高密度化すれば残留磁束密度
Brの向上が期待されるが、現状値以上に密度を向上する
にはHIP等の特殊な高密度化手段が必要である。しかし
ながらこのような特殊なプロセスの導入は製造原価の増
加に結びつき、廉価磁石としてのフェライト磁石の特長
を失わしめる可能性がある。
【0009】第5の方法はフェライト磁石を構成する主
組成物であるフェライト化合物自体の飽和磁化σsを向
上させることである。これは、飽和磁化σsの向上は直
接的に残留磁束密度Brの向上へ結びつく可能性を有する
からである。なお従来のM(マグネトプランバイト)型
フェライト磁石より大きな飽和磁化を有するW型フェラ
イトの検討も行われているが、雰囲気制御の困難さのた
め量産化は実現していない。
【0010】このような状況の中で、上記第1〜第4の
方法によりフェライト磁石の高性能化が図られ、現在で
は代表的特性(Br=4100G、iHc=4000Oe)を有する高性
能フェライト磁石の製品化まで進んでいる。しかしなが
ら、SrO・n Fe2O3(ただしnはモル比である。)により
表される化合物を主組成物として、上記第1〜第4の方
法によりさらに高性能化を図ることは、(イ) これらの方
法が量産に不適であり、かつ (ロ) 磁気特性のうち特に
残留磁束密度Brは既に理論値に近いレベルに達している
ので、困難であることが分かった。
【0011】従って本発明の目的は、上記第5の方法を
採用して、格段に優れた磁気特性、特に従来のフェライ
ト磁石に比べて高い残留磁束密度(又は高い残留磁束密
度及び保磁力)を有するSrフェライト磁石及びその粉末
の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意研究の結果、本発明者らはSrO・nFe2O3(ただしn
はモル比である。)により表されることができる組成物
のSr及びFe元素の一部を異種元素で置換することによ
り、いっそう優れた磁気特性を有するSrフェライト磁石
が得られることを発見した。
【0013】マグネトプランバイト型Srフェライトの磁
気特性はFeイオンの磁気モーメントが担っており、Srフ
ェライトはこの磁気モーメントがFeイオンサイトにより
部分的に反平行方向に配列したフェリ磁性体の磁気構造
を有している。この磁気構造において飽和磁化を向上さ
せるには2つの方法がある。第1の方法は反平行方向に
向いた磁気モーメントに対応するサイトのFeイオンを、
Feイオンより小さな磁気モーメントを有するか非磁性の
別種の元素で置換することである。第2の方法は平行方
向に向いた磁気モーメントに対応するサイトのFeイオン
を、Feイオンより大きな磁気モーメントを有する別種の
元素で置換することである。
【0014】本発明者らは以上の知見を念頭におき、Fe
イオンを種々の元素で置換する検討を行った結果、Mn、
Co又はNiがSrフェライトの磁気特性(特に飽和磁化)を
向上させる元素であることを発見した。しかしながら単
に前記元素を添加しただけでは十分な磁気特性の向上効
果が得られないことが分かった。なぜならば、Feイオン
を別種の元素で置換すると、イオン価数のバランスがく
ずれ、Srフェライト内に磁気特性に有害な異相が発生し
てしまうためである。この現象を回避するには、電荷補
償を目的にSrサイトを別種の元素で置換する必要があ
り、そのためにはLa、Nd又はPrが有効であることを発見
し、本発明を完成した。
【0015】すなわち、Srフェライト磁石を製造する本
発明の第一の方法は、実質的にマグネトプランバイト型
結晶構造を有し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少な
くとも1種で置換されているとともに、Feサイトの一部
がMn、Co及びNiの少なくとも1種で置換されているSrフ
ェライト磁石を製造するもので、SrO・nFe2O3(ただしn
はモル比である。)により表される配合比のSrの炭酸塩
及び酸化鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物
と、Mn、Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合
し、仮焼し、得られた仮焼物を粉砕し、得られた粉砕粉
末を用いて磁場中成形し、次いで焼結することを特徴と
する。粉砕粉末の平均粒径を0.4〜0.7μmにすることに
より磁気特性を高められるので好ましい。
【0016】Srフェライト磁石を製造する本発明の第二
の方法は、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも
1種で置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、
Co及びNiの少なくとも1種で置換されているSrフェライ
ト磁石を製造するもので、SrO・nFe2O3(ただしnはモル
比である。)により表される配合比のSrの炭酸塩及び酸
化鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物と、M
n、Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合し、仮
焼し、得られた仮焼物を粉砕し、得られた粉砕粉末のス
ラリーを混練せずに磁場中成形し、次いで焼結すること
を特徴とする。スラリーを混練せずに磁場中成形するこ
とにより得られたSrフェライト磁石は従来のフェライト
磁石に比べて高い磁気特性を有する。粉砕粉末の平均粒
径を0.4〜0.7μmにすることにより磁気特性を高められ
るので好ましい。
【0017】Srフェライト磁石を製造する本発明の第三
の方法は、実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を
有し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも1種
で置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、Co及
びNiの少なくとも1種で置換されているSrフェライト磁
石を製造するもので、SrO・nFe2O3(ただしnはモル比で
ある。)により表される配合比のSrの炭酸塩及び酸化鉄
に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物と、Mn、Co
及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合し、仮焼し、
得られた仮焼物を粉砕するとともに粉砕段階で焼結助剤
を添加し、得られた粉砕粉末のスラリーを磁場中成形
し、次いで焼結することを特徴とする。焼結助剤として
SiO2を添加することにより焼結時における結晶粒の成長
が抑制され、保磁力を高められるので好ましい。また粉
砕粉末の平均粒径を0.4〜0.7μmにすることにより磁気
特性を高められるので好ましい。
【0018】Srフェライト磁石粉末を製造する本発明の
方法は、実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有
し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも1種で
置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、Co及び
Niの少なくとも1種で置換されているSrフェライト磁石
粉末を製造するもので、SrO・nFe2O3(ただしnはモル比
である。)により表される配合比のSrの炭酸塩及び酸化
鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物と、Mn、
Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合した後で仮
焼し、得られた仮焼物を粉砕することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の態様】本発明の製造方法により得られる
フェライト磁石又はその粉末は、好ましくは下記一般
式: (Sr1-xRx)O・n[(Fe1-yMy)2O3](原子比率) (ただし、RはLa、Nd及びPrの少なくとも1種であり、
MはMn、Co及びNiの少なくとも1種であり、n=5.7〜6.
0(モル比)である。)により表される基本組成を有す
る。xはSrサイトにおけるR元素の置換量(原子比率)
であり、yはFeサイトにおけるM元素の置換量(原子比
率)である。
【0020】SrサイトにおけるR元素の置換量(原子比
率)xは0.05〜0.5であるのが好ましい。xが0.05未満で
は磁気特性を向上させることが困難であり、また0.5を
超えると逆に磁気特性が低下する。また電荷補償を実現
し、磁気特性を向上するために、FeサイトにおけるM元
素の置換量(原子比率)yは[x/(2.2n)]≦y≦[x/(1.8n)]
であるのが好ましい。
【0021】本発明によりSrフェライト磁石を製造する
には、標準的な製造工程(混合→仮焼→粉砕→成形→焼
結)を経るのが好ましい。この場合、仮焼段階で実質的
にSrフェライト磁石の基本組成とし、基本組成のSrフェ
ライト仮焼粉を粉砕に供するのが望ましい。このために
はR元素及びM元素を混合段階で添加する。これによ
り、基本組成のSrフェライトは仮焼及び焼結の2回の高
温過程を経ることになり、R元素及びM元素の固体内拡
散が進行して、より均一な組成物が得られる。
【0022】高性能のフェライト焼成体を得るために、
焼結現象を制御する添加物としてSiO2及びCaO(又はCaC
O3)を粉砕段階で添加するのが望ましい。SiO2は焼結時
の結晶粒成長を抑制する添加物であり、その含有量は0.
4〜0.5重量%とするのが好ましい。0.4重量%未満では
焼結時における結晶粒成長を抑制する効果が不十分であ
り、保磁力が低下する。また0.5重量%を超えると結晶
粒成長が過度に抑制され、結晶粒成長とともに進行する
配向度の改善が不十分になり、残留磁束密度が低下す
る。一方CaOは結晶粒成長を促進する添加物であり、含
有量は0.35〜0.55重量%とするのが好ましい。0.55重量
%を超えると焼結時における結晶粒成長が過度に進行
し、保磁力が低下する。また0.35重量%未満では結晶粒
成長が過度に抑制され、結晶粒成長とともに進行する配
向度の改善が不十分であり、残留磁束密度が低下する。
【0023】上記組成物から高性能のフェライト焼成体
を得るには、上記標準製造工程の粉砕以降を以下のよう
に行うのが望ましい。すなわち、粉砕工程として平均粒
径が0.4〜0.6μmの範囲になるまで組成物を湿式法によ
り微粉砕する。得られた微粉スラリーを用いて湿式成形
するが、必要に応じて湿式成形の前に濃縮又は乾燥工
程、解砕工程及び混練工程を行っても良い。いずれにし
ても、湿式成形後焼結する。平均粒径で0.4μm未満まで
微粉砕すると焼結時に異常結晶粒成長が生じて高い磁気
特性が得られないのみならず、湿式成形時の脱水特性が
悪化する。一方平均粒径が0.6μmを超えると焼結体組織
において粗大な結晶粒の存在比率が増加する。
【0024】Srフェライト磁石の磁気特性を高めるには
最適な組成及び平均粒径に調整した粉砕粉末を準備する
他に、粉砕粉末がスラリー中で凝集しないことが重要で
ある。そこで本発明者らは粉砕粉末がスラリー中で独立
して存在し得る状態を作り出すべく種々検討した。その
結果、粉砕粉末を含むスラリーを乾燥又は濃縮後、高濃
度のスラリー状態にし、続いて分散剤を添加して混練す
ることにより剪断力が加えられ、凝集が解かれ、配向性
が向上し、磁気特性が向上することを発見した。分散剤
の添加により、分散剤が粉砕粉末に吸着し、表面改質が
なされて良好な分散状態となり、磁気特性が向上すると
考えられる。
【0025】分散剤としては、界面活性剤、高級脂肪
酸、高級脂肪酸石鹸又は高級脂肪酸エステル等が知られ
ているが、アニオン系界面活性剤の一種であるポリカル
ボン酸系分散剤を使用することにより粉砕粉末の分散性
を顕著に向上できることが分かった。ポリカルボン酸系
分散剤にも種々あるが、ポリカルボン酸アンモニウム塩
が分散性向上に特に有効である。分散剤の添加量は固形
分比率で0.2%以上であれば有効であるが、2.0%を超え
ると逆に残留磁束密度が低下する。
【0026】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0027】実施例1〜3、参考例1〜9、比較例1 R元素(Srサイト置換元素)として、Srイオンと近似の
イオン半径を有することを基準としてLa、Pr、Nd、Sm、
Eu及びGdを選択し、またM元素(Feサイト置換元素)と
して、Feイオンと近似のイオン半径を有することを基準
としてTi、V、Mn、Co、Ni、Cu及びZnを選択した。SrCO
3、Fe2O3、R元素の酸化物及びM元素の酸化物をそれぞ
れ用い、下記の化学式: (Sr1-xRx)O・n[(Fe1-yMy)2O3] において、原子比率でn=5.85、x=2ny、及びx=0.117
になるように配合し、湿式混合した。得られた混合物を
1200℃で2時間大気中で仮焼した。また比較例1とし
て、上記化学式においてn=5.85、x=y=0となる組成
に配合し、混合した以外は前記と同様にして仮焼した。
【0028】得られた各仮焼粉をローラーミルで乾式粉
砕した。得られた粗粉砕粉の磁気特性は試料振動型磁力
計により測定した。この測定は最大磁場強度12kOeで行
い、1/H2プロット(Hは印加磁場強度)から飽和磁化
σs及び保磁力Hcを求めた。またX線回折により生成相
の同定を行った。結果を表1に示す。表1において、M
相とはマグネトプランバイト型の結晶構造を有する相で
ある。
【0029】表1から明らかなように、R元素+M元素
の組み合わせがLa+Mnの場合(実施例1)、La+Coの場
合(実施例2)、及びLa+Niの場合(実施例3)に、比
較例1に比べて飽和磁化σs及び保磁力Hcが高い。また
参考例1〜9に比べて、飽和磁化σs及び保磁力Hcのバ
ランスが良いことも分かった。特にLa+Coの場合(実施
例2)、飽和磁化σs及び保磁力Hcのいずれも優れてい
た。以上の結果から、実施例1〜3のSrフェライト磁石
は比較例1のSrフェライト磁石に比べて優れた特性を有
することが分かる。
【0030】
【表1】
【0031】参考例10 R元素としてLa、及びM元素としてZnをそれぞれ選択
し、SrCO3、Fe2O3、La2O 3及びZnOを用い、下記に示す化
学式: (Sr1-xLax)O・n[(Fe1-yZny)2O3] において、原子比率でn=5.85、x=2ny、及びx=0〜0.
6になるように配合し、湿式混合した。その後1200℃で
2時間、大気中で仮焼した。得られた仮焼粉を実施例1
と同様にして粗粉砕した。
【0032】得られた粗粉砕粉の磁気特性を測定した。
結果を図1に示す。図1から明らかなように、La2O3
びZnOを同時に添加することにより、飽和磁化σsが向上
した。またLaの含有量xが0.05以上でσsの向上効果が認
められ、0.5を超えると逆にσsが減少することが分か
る。従ってxは0.05〜0.5が望ましく、0.07〜0.4がより
望ましい。
【0033】実施例4 R元素としてPr又はNdを選択し、M元素としてMn、Co及
びNiのいずれかを選択した以外は参考例10と同様にして
粗粉砕粉を作製し、磁気特性を評価した。その結果図1
とほぼ同様の結果が得られた。またnが5.7〜6.0の範囲
では有意に差異は認められず、同様な効果が得られるこ
とを確認した。
【0034】実施例5〜7、参考例11 R元素としてLaを選択するとともに、M元素としてMn
(実施例5)、Co(実施例6)、Ni(実施例7)、及び
Zn(参考例11)を選択した。SrCO3、Fe2O3、La2O 3及び
各M元素の酸化物を用いて、下記に示す化学式: (Sr1-xLax)O・n[(Fe1-yMy)2O3] において、原子比率でn=5.85、x=2ny、及びx=0.117
になるように配合し、湿式混合した。その後1200℃で2
時間大気中で仮焼した。得られた仮焼粉をローラーミル
で乾式粉砕し、粗粉砕粉とした。
【0035】その後アトライターにより湿式粉砕を行
い、平均粒径が0.7μmの微粉砕粉を含むスラリーを得
た。微粉砕の初期に、焼結助剤としてSiO2及びCaCO3
粗粉砕粉に対する重量比でそれぞれ0.45%、0.80%(Ca
O換算で0.45%)添加した。このスラリーを用いて10kOe
の磁場中で湿式成形を行い、成形体とした。次いで成形
体を1180〜1230℃の温度範囲で2時間焼結し、焼成体と
した。またx=y=0なる焼成体組成とした以外は前記と
同様にして従来材を作製した。これら焼成体をそれぞれ
約10 mm×10 mm×20mmの形状に加工後、B-Hトレーサー
により磁気特性を測定した。結果を図2に示す。
【0036】図2より、La+Mn(実施例5)、La+Co
(実施例6)、La+Ni(実施例7)及びLa+Zn(参考例
11)の置換材はいずれも従来材に比較して低iHc領域に
おける残留磁束密度Brの伸びが良好で、飽和磁化σsの
向上効果も出ていると判断される。従って、La+Mn、La
+Ni及びLa+Znの置換材は高Br材に適している。なかで
もLa+Co(実施例6)の置換材は、高いBrとともに高い
iHcを兼ね備えており、高性能材として非常に有用であ
る。
【0037】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明の方法
により製造されたSrフェライト磁石は高い飽和磁化(又
は高い飽和磁化及び保磁力)を有し、従来のフェライト
磁石より高性能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Srフェライト磁石において、R元素の置換量
(原子比率)xと飽和磁化σsとの相関例を示すグラフで
ある。
【図2】 本発明に用いるSrフェライト磁石の磁気特性
の一例を示すグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも
    1種で置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、
    Co及びNiの少なくとも1種で置換されているSrフェライ
    ト磁石の製造方法であって、SrO・nFe2O3(ただしnはモ
    ル比である。)により表される配合比のSrの炭酸塩及び
    酸化鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物と、
    Mn、Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合し、仮
    焼し、得られた仮焼物を粉砕し、得られた粉砕粉末を用
    いて磁場中成形し、次いで焼結することを特徴とするSr
    フェライト磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のSrフェライト磁石の製
    造方法において、前記粉砕粉末の平均粒径を0.4〜0.7μ
    mとすることを特徴とするSrフェライト磁石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも
    1種で置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、
    Co及びNiの少なくとも1種で置換されているSrフェライ
    ト磁石の製造方法であって、SrO・nFe2O3(ただしnはモ
    ル比である。)により表される配合比のSrの炭酸塩及び
    酸化鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物と、
    Mn、Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合し、仮
    焼し、得られた仮焼物を粉砕し、得られた粉砕粉末のス
    ラリーを混練せずに磁場中成形し、次いで焼結すること
    を特徴とするSrフェライト磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のSrフェライト磁石の製
    造方法において、前記スラリー中の粉砕粉末の平均粒径
    を0.4〜0.7μmとすることを特徴とするSrフェライト磁
    石の製造方法。
  5. 【請求項5】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも
    1種で置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、
    Co及びNiの少なくとも1種で置換されているSrフェライ
    ト磁石の製造方法であって、SrO・nFe2O3(ただしnはモ
    ル比である。)により表される配合比のSrの炭酸塩及び
    酸化鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物と、
    Mn、Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合し、仮
    焼し、得られた仮焼物を粉砕するとともに粉砕段階で焼
    結助剤を添加し、得られた粉砕粉末のスラリーを磁場中
    成形し、次いで焼結することを特徴とするSrフェライト
    磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のSrフェライト磁石の製
    造方法において、前記焼結助剤としてSiO2を添加するこ
    とを特徴とするSrフェライト磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載のSrフェライト磁
    石の製造方法において、前記スラリー中の粉砕粉末の平
    均粒径を0.4〜0.7μmとすることを特徴とするSrフェラ
    イト磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 実質的にマグネトプランバイト型結晶構
    造を有し、Srサイトの一部がLa、Nd及びPrの少なくとも
    1種で置換されているとともに、Feサイトの一部がMn、
    Co及びNiの少なくとも1種で置換されているSrフェライ
    ト磁石粉末の製造方法であって、SrO・nFe2O3(ただしn
    はモル比である。)により表される配合比のSrの炭酸塩
    及び酸化鉄に、La、Nd及びPrの少なくとも1種の化合物
    と、Mn、Co及びNiの少なくとも1種の化合物とを混合し
    た後で仮焼し、得られた仮焼物を粉砕することを特徴と
    するSrフェライト磁石粉末の製造方法。
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