JP2007019101A - 積層型電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイグレーションによる絶縁劣化及びショートを防止し、キャパシタンス値の設計マージンを向上することができる積層型電子部品を提供する。
【解決手段】コンデンサ部Cは、9枚の誘電体グリーンシート10A〜10Iからなる第1誘電体素体10と、4個のグランド電極11と、4個のホット電極12とを備えている。各グランド電極11は、それぞれ誘電体グリーンシート10B、10D、10F、10H上に形成されている。各ホット電極12は、外形寸法がグランド電極11とほぼ等しい略長方形状をなし、それぞれ誘電体グリーンシート10C、10E、10G、10I上に形成されている。各ホット電極12は、それぞれ図示せぬ第1側面及び第2側面に対向する一対の第2縁部12Aを有している。各第2縁部12Aの図示せぬグランド端子に対向する部分は、それぞれ図示せぬグランド端子から離間するように凹部形状をなしている。
【選択図】図2
【解決手段】コンデンサ部Cは、9枚の誘電体グリーンシート10A〜10Iからなる第1誘電体素体10と、4個のグランド電極11と、4個のホット電極12とを備えている。各グランド電極11は、それぞれ誘電体グリーンシート10B、10D、10F、10H上に形成されている。各ホット電極12は、外形寸法がグランド電極11とほぼ等しい略長方形状をなし、それぞれ誘電体グリーンシート10C、10E、10G、10I上に形成されている。各ホット電極12は、それぞれ図示せぬ第1側面及び第2側面に対向する一対の第2縁部12Aを有している。各第2縁部12Aの図示せぬグランド端子に対向する部分は、それぞれ図示せぬグランド端子から離間するように凹部形状をなしている。
【選択図】図2
Description
本発明は、積層型電子部品に関し、特に電子機器等で用いられる小型で高いノイズ除去能力を持った積層型フィルタに関する。
従来から様々な形状の積層型電子部品が提案されている。例えば、T型フィルタである積層型LC複合部品として、略直方体形状の積層構造体と、2個の入出力端子と、2個のグランド端子とを備えているものがある。積層構造体は、その短手方向において互いに対向する一対の第1側面及び第2側面を有している。各入出力端子は、それぞれ積層構造体の長手方向の端部に設けられ、各グランド端子は、それぞれ第1側面及び第2側面に設けられている。
積層構造体は、コンデンサ部Cと、接続部Sと、コイル部Lとを備えている。コンデンサ部Cは、複数の誘電体グリーンシートと、複数のグランド電極と、複数のホット電極と、複数の引出し電極とを備えている。各引出し電極の一端は、グランド電極に接続され、他端はグランド端子に接続されている。そして、各ホット電極は、第1側面及び第2側面に対向する一対の第1縁部と、各入出力端子に対向する一対の第2縁部とを有している。各第1縁部は、それぞれ第1側面及び第2側面に対して一様に等距離で離間した直線状をなし、各第2縁部は、それぞれ各入出力端子に対して一様に等距離で離間した直線状をなす。
各グランド電極も、ホット電極と同様に、第1側面及び第2側面に対向する一対の第3縁部と、各入出力端子に対向する一対の第4縁部とを有している。各第3縁部は、それぞれ第1側面及び第2側面に対して一様に等距離で離間した直線状をなし、各第4縁部は、それぞれ各入出力端子に対して一様に等距離で離間した直線状をなす。そして、ホット電極の第1縁部は、グランド電極の第3縁部よりも第1側面及び第2側面から遠ざかり、グランド電極の第4縁部は、ホット電極の第2縁部よりも入出力端子から遠ざかっている(例えば、特許文献1参照)。
上記の積層型LC複合部品において、ホット電極の第1縁部と第1側面及び第2側面との間の距離を、グランド電極の第3縁部と第1側面及び第2側面との間の距離と等しくして、ホット電極とグランド端子との間のギャップが非常に小さい場合には、マイグレーションが発生し、絶縁劣化が起こることがあった。特に、誘電体グリーンシートの積層界面に微小なポア(気孔)が存在した場合は、ポアに水分が侵入することで、マイグレーションによる絶縁劣化が起こり、最悪ショートに至ることがあった。
これを防止するため、上記の積層型LC複合部品のように、ホット電極の第1縁部をグランド電極の第3縁部よりも第1側面及び第2側面から遠ざけると、絶縁劣化に対しては有効であるものの、所望のキャパシタンス値が得られないという問題が発生する。特に、積層型LC複合部品を小型化にした場合には、ホット電極及びグランド電極は、非常に小さくなるので、更に所望のキャパシタンス値が得られなくなる。また、ホット電極の第2縁部をグランド電極の第4縁部よりも入出力端子に近づけると、クロストークが悪化し、高周波側で周波数特性が悪くなる。
そこで、本発明は、マイグレーションによる絶縁劣化及びショートを防止し、キャパシタンス値の設計において、十分なマージンが得られる積層型電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、第1絶縁体素体と、第1内部電極及び第2内部電極と、引出し電極と、外部電極とを備えた積層型電子部品を提供している。第1絶縁体素体は、複数の絶縁体層からなる積層体であって少なくとも一側面を有している。第1内部電極及び第2内部電極は、隣り合う絶縁体層の間に交互に配置され、各絶縁体層の縁部から離間して各絶縁体層の面積内に収まるように配置されている。引出し電極は、一端が第1内部電極の一側面側の縁部に接続され、他端が積層体の一側面まで引出されている。外部電極は、一側面において絶縁体層の積層方向に沿って延び、引出し電極と電気的に接続されている。そして、第2内部電極の一側面側の縁部であって少なくとも外部電極と対向する部分は、外部電極から離間するように凹部形状をなしている。
かかる構成によれば、第2内部電極と外部電極との間でのマイグレーションによる絶縁劣化及びショートを防止し、素子の電気的特性の悪化を防止することができる。更に、積層型電子部品が積層型LC複合部品である場合には、所望のキャパシタンス値を得ることができ、クロストークの悪化による、高周波側での周波数特性の悪化を防止することができる。
ここで、積層型電子部品は、複数の絶縁体層からなる積層体であって一側面と同一面をなす一側面を有し第1絶縁体素体に積層される第2絶縁体素体と、第2絶縁体素体の隣り合う絶縁体層の間に配置され、各絶縁体層の縁部から離間して各絶縁体層の面積内に収まるコイル導体とを更に備えていても良い。そして、外部電極は、第2絶縁体素体の一側面においても絶縁体層の積層方向に沿って延び、コイル導体の一側面側の縁部であって少なくとも外部電極と対向する部分は、外部電極から離間するように迂回形状をなしている。かかる構成によれば、コイル導体と外部電極との間でのマイグレーションによる絶縁劣化及びショートを防止し、キャパシタンス値の設計マージンを向上することができる。
更に、第1内部電極と第2内部電極と第1絶縁体素体の絶縁体層とによりコンデンサ又はバリスタをなし、コイル導体と第2絶縁体素体の絶縁体層とによりコイル部をなすことが好ましい。かかる構成によれば、積層型LC複合部品又は積層型LV複合部品を提供することができ、所望のキャパシタンス値が得やすくなる。
また、第1絶縁体素体の絶縁体層は、誘電体により構成され、第2絶縁体素体の絶縁体層は、磁性体により構成されることが好ましい。第1絶縁体素体の絶縁体層が非誘電体、第2絶縁体素体の絶縁体層が非磁性体である場合に、ノイズ除去の周波帯域が400(MHz)〜2.6(GHz)であった積層型電子部品を、第1絶縁体素体の絶縁体層を誘電体、第2絶縁体素体の絶縁体層を磁性体としたことにより、200(MHz)〜1.2(GHz)の低周波数帯域のノイズ除去に対応した積層型電子部品を提供することができる。
本発明の積層型電子部品によれば、マイグレーションによる絶縁劣化及びショートを防止し、キャパシタンス値の設計マージンを向上することができる。
本発明の積層型電子部品を積層型LC複合部品に適用した第1の実施の形態について図1から図4に基づき説明する。図1は、T型フィルタである積層型LC複合部品1の斜視図である。本実施の形態による積層型LC複合部品1は、略直方体状の積層構造体2と、2個の入出力端子3A、3Bと、2個のグランド端子4A、4Bとを備えている。積層構造体2の寸法は、1608(L=1.6mm×W=0.8mm×T=0.6mm)である。
積層構造体2は、第1側面2Aと、第1側面2Aの反対側に位置する第2側面2Bと、第1側面2A及び第2側面2Bを接続する一対の第1主面2C、第2主面2Dとを有している。入出力端子3A、3Bは、それぞれ積層構造体2の長手方向の端部に設けられている。グランド端子4A、4Bは、それぞれ積層構造体2の第1及び第2側面2A、2Bにおいて、後述する誘電体グリーンシート10A〜10Iの積層方向に沿って延び、グランド端子4A、4Bの両端は、それぞれ第1、第2主面2C、2D上に位置している。積層構造体2は、800〜900℃の温度により焼成されている。入出力端子3A、3B及びグランド端子4A、4Bは、焼成後の積層構造体2に対して、銀、銅又はニッケルを主成分とする導電ペーストの転写により形成された後、640〜740℃の温度により焼成され、更に、Cu、Ni及びSnを電気メッキすることにより製造される。
図2は、積層構造体2の分解斜視図である。図2に示すように、積層構造体2は、コンデンサ部Cと、接続部Sと、コイル部Lとを備えている。本実施の形態において実装面側からコンデンサ部C、接続部S、コイル部Lの順に積層されている。コンデンサ部Cは、9枚の誘電体グリーンシート10A〜10Iからなる第1誘電体素体10と、4個のグランド電極11と、4個のホット電極12と、8個の引出し電極13とを備えている。
誘電体グリーンシート10A〜10Iは、誘電体材料であるTiO2を主成分とするスラリーをドクターブレード法にてフィルム上に厚みが約40μmとなるように塗布したものを使用している。誘電体グリーンシート10D〜10Iの略中央には、スルーホール14がレーザーによって形成されている。そして、誘電体グリーンシート10D、10F、10Hに形成されたスルーホール14の内面及びその周囲部には、それぞれスルーホールパターン15が形成されている。スルーホールパターン15は、銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストをスクリーン印刷することにより形成されている。
各グランド電極11は、略ロの字状をなし、それぞれ誘電体グリーンシート10B、10D、10F、10H上において、各誘電体グリーンシートの縁部から離間して各誘電体グリーンシートの面積内に収まるように形成されている。各グランド電極11は、銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストのスクリーン印刷により形成され、厚みは約4μmである。各グランド電極11は、それぞれ第1側面2A及び第2側面2B(図1)に対向する一対の第1縁部11Aを有している。各引出し電極13の一端は、第1縁部11Aに接続され、他端は、グランド端子4A、4B(図1)に接続されている。各引出し電極13は、グランド電極11と同様に銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストのスクリーン印刷により形成され、厚みは約4μmである。
各ホット電極12は、外形寸法がグランド電極11とほぼ等しい略長方形状をなし、それぞれ誘電体グリーンシート10C、10E、10G、10I上において、各誘電体グリーンシートの縁部から離間して各誘電体グリーンシートの面積内に収まるように形成されている。各ホット電極12は、グランド電極11と同様に銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストのスクリーン印刷により形成され、厚みは約4μmである。各ホット電極12は、それぞれ第1側面2A及び第2側面2Bに対向する一対の第2縁部12Aを有している。
各第2縁部12Aのグランド端子4A、4Bに対向する部分は、それぞれグランド端子4A、4Bから離間するように凹部形状をなしている。図3に示すように、当該凹部形状の最深部とグランド端子4A及びグランド端子4BとのギャップG1は、約200μmである。また、図3に示すように、第2縁部12Aの凹部形状輪郭と、第1主面2C、2D上に位置するグランド端子4A、4Bの輪郭とは、平面視でほぼ等間隔をなすように構成されている。また、各ホット電極12は、各スルーホールパターン15を介して互いに電気的に接続されている。
接続部Sは、4枚の中間材グリーンシート20A〜20Dを有している。中間材グリーンシート20A〜20Dは、誘電体グリーンシート10A〜10Iの熱収縮率と後述する磁性体グリーンシート30〜36の熱収縮率との中間程度の熱収縮率を有する材料により構成されている。中間材グリーンシート20A〜20Dの厚みは約40μmである。中間材グリーンシート20A〜20Dには、それぞれ2つのスルーホール21、22が、中間材グリーンシート20A〜20Dの積層方向においてそれぞれ重なる位置にレーザーによって形成されている。
そして、中間材グリーンシート20A〜20Dに形成されたスルーホール21、22の内面及びその周辺部には、それぞれスルーホールパターン23、24が、銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストのスクリーン印刷によって形成されている。よって、各スルーホールパターン23、24は、互いに電気的に接続され、かつ誘電体グリーンシート10I上のホット電極12とも電気的に接続されている。また、中間材グリーンシート20Cには、接続パターン25が形成され、スルーホールパターン23、24は、接続パターン25により接続されている。
コイル部Lは、7枚の磁性体グリーンシート30〜36からなる第2磁性体素体37と、第1〜第6コイル層40〜45とを有している。磁性体グリーンシート30〜36は、Ni−Cu−Zn系フェライトのスラリーをドクターブレード法によりフィルム上に厚みが約20μmとなるように塗布したものを使用している。磁性体グリーンシート30〜36には、それぞれスルーホール30a〜35a、30b〜35bがレーザーによって形成されている。第1コイル層40は、磁性体グリーンシート30上に形成され、互いに対称配置された第1コイルパターン40Aと、第2コイルパターン40Bとを有している。第1コイルパターン40Aは、図2に示すような略渦巻状をなしている。第1コイルパターン40A及び第2コイルパターン40Bは、それぞれスルーホール30a、30bを介して、スルーホールパターン23、24と電気的に接続されている。
第2コイル層41は、磁性体グリーンシート31上に形成され、略コの字状をなす第3コイルパターン41Aと、第3コイルパターン41Aに対して左右対称形状をなす第4コイルパターン41Bとを有している。第3コイル層42は、磁性体グリーンシート32上に形成され、略U字状をなす第5コイルパターン42Aと、第5コイルパターン42Aに対して左右対称形状をなす第6コイルパターン42Bとを有している。
第4コイル層43は、磁性体グリーンシート33上に形成され、略コの字状をなす第7コイルパターン43Aと、第7コイルパターン43Aに対して左右対称形状をなす第8コイルパターン43Bとを有している。第5コイル層44は、磁性体グリーンシート34上に形成され、略U字状をなす第9コイルパターン44Aと、第9コイルパターン44Aに対して左右対称形状をなす第10コイルパターン44Bとを有している。
第6コイル層45は、磁性体グリーンシート35上に形成され、略L字状をなす第11コイルパターン45Aと、第11コイルパターン45Aに対して左右対称形状をなす第12コイルパターン45Bとを有している。第11コイルパターン45Aは、入出力端子3A(図1)と電気的に接続され、第12コイルパターン45Bは、入出力端子3B(図1)と電気的に接続されている。また、各コイルパターン40A〜45A、40B〜45Bは、積層方向において隣り合うコイルパターンとスルーホール30a〜35a、30b〜35bを介して電気的に接続され、コイルを形成している。誘電体グリーンシート10Aと磁性体グリーンシート36は、積層型LC複合部品1の厚みを所定の寸法に調整するためのものであり、1層に限られるものでなく、複数層でも良い。
また、各コイルパターン40A〜45A、40B〜45Bは、銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストがスクリーン印刷により形成され、幅は約40μm、厚みは約10μmである。また、図4にT型フィルタである積層型LC複合部品1の等価回路を示している。
本実施の形態の積層型LC複合部品1は、入出力端子3A、3Bを基板の入出力側に接続し、グランド端子4A、4Bを基板の接地側に接続した状態で使用され、ノイズフィルタとして機能する。そして、第2縁部12Aのグランド端子4A又はグランド端子4Bに対向する部分は、それぞれグランド端子4A、4Bから離間するように凹部形状をなしているので、ギャップG1(図3)を大きくとることができる。よって、マイグレーションによる絶縁劣化及びショートを防止することができ、積層型LC複合部品1の信頼性を向上させることができる。
また、ホット電極12の第2縁部12Aに凹部を形成するのみであるので、ほぼ所望のキャパシタンス値を得ることができ、積層型LC複合部品1の設計の自由度に影響を与えない。よって、2012以下の積層型LC複合部品の小型化が可能となる。また、従来の積層型LC複合部品に若干の変更を加えるのみであるので、コストアップや設計負荷を招くことがなく、量産性に優れた積層型LC複合部品1を提供することができる。更に、クロストークが悪化することにより、高周波側において周波数特性が悪くなるのを防止することができる。
また、本実施の形態のコンデンサ部Cには、誘電体グリーンシート10A〜10Iを使用し、コイル部Lには、磁性体グリーンシート30〜36を使用しているため、ノイズ除去可能な周波帯域が200(MHz)〜1.2(GHz)であるが、磁性体グリーンシート30〜36に非磁性体材料を使用した場合には、ノイズ除去の周波帯域が400(MHz)〜2.6(GHz)と高周波帯域のノイズ除去に対応した積層型LC複合部品1を提供することができる。
次に、本発明の積層型電子部品を積層型LC複合部品に適用した第2の実施の形態について図1、図3、図5から図7に基づき説明する。第2の実施の形態において、図1及び図2に示される部材と同一の部材は同一の番号を付し説明を省略する。図1は、π型フィルタである積層型LC複合部品101の斜視図を示している。第2の実施の形態による積層型LC複合部品101は、積層構造体102が第1の実施の形態と異なる以外は、第1の実施の形態と同様の構造を有している。
図5は、積層構造体102の分解斜視図である。第1の実施の形態による積層構造体2と同様に、積層構造体102は、コンデンサ部Cと、コイル部Lとを備えている。コンデンサ部Cは、10枚の誘電体グリーンシート110A〜110Jからなる第1誘電体素体110と、5個のグランド電極111と、4個のホット電極112と、10個の第1引出し電極113と、4個の第2引出し電極114とを備えている。誘電体グリーンシート110A〜110Jは、第1の実施の形態による誘電体グリーンシート10Aと同様に形成され、同形状をなしている。
各グランド電極111は、略長方形状をなし、それぞれ誘電体グリーンシート110B、110D、110F、110H、110J上において、各誘電体グリーンシートの縁部から離間して各誘電体グリーンシートの面積内に収まるように形成されている。各グランド電極111は、第1の実施の形態によるグランド電極11と同様に形成されている。各引出し電極113の一端は、各グランド電極111に接続され、他端は、グランド端子4A、4Bに接続されている。
各ホット電極112は、第1の実施の形態によるホット電極12と同形状をなし、それぞれ誘電体グリーンシート110C、110E、110G、110I上において、各誘電体グリーンシートの縁部から離間して各誘電体グリーンシートの面積内に収まるように形成されている。よって、各第2縁部112Aのグランド端子4A又はグランド端子4Bに対向する部分は、それぞれグランド端子4A、4Bから離間するように凹部形状をなし、図3に示すように、当該凹部形状の最深部とグランド端子4A又はグランド端子4Bとの間のギャップG1は、約200μmである。
また、誘電体グリーンシート110C、110G上の引出し電極114の一端は、各ホット電極112に接続され、他端は入出力端子3A(図1)に接続されている。同様に誘電体グリーンシート110E、110I上の引出し電極114の一端は、各ホット電極112に接続され、他端は入出力端子3B(図1)に接続されている。グランド電極111、およびホット電極112は、銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストがスクリーン印刷により形成され、厚みは約4μmである。
コイル部Lは、6枚の磁性体グリーンシート130〜135からなる第2絶縁体素体136と、第1〜第5コイルパターン140〜144とを有している。磁性体グリーンシート130〜135は、第1の実施の形態による磁性体グリーンシート30と同様に形成され、同形状をなしている。磁性体グリーンシート131〜134には、それぞれスルーホール131a〜134aがレーザーにより形成されている。スルーホール131a、133aは、磁性体グリーンシート131、133の略中央に形成され、スルーホール132a、134aは、磁性体グリーンシート132、134の第2側面2B(図1)及び入出力端子3B(図1)の近傍に形成されている。
第1コイルパターン140は、磁性体グリーンシート130上に形成され、磁性体グリーンシート130の略中央に位置する第1コイル端部140Aと、第2側面2B(図1)に沿って延びる第1コイル縁部140Cと、入出力端子3Aと電気的に接続されるコイル引出し電極140Dとを備えている。そして、第1コイル縁部140Cのグランド端子4B(図1)に対向する部分は、グランド端子4Bから離間するように迂回形状をなしている。
第2コイルパターン141は、磁性体グリーンシート131上に形成され、第2−1コイル端部141Aと、第2−2コイル端部141Bとを備えている。第2−1コイル端部141Aは、スルーホール131a上に位置し、第2−2コイル端部141Bは、磁性体グリーンシート132のスルーホール132aに対向配置されている。第2コイルパターン141は、第2−1コイル端部141Aと、第2−2コイル端部141Bとの間で略渦巻状をなしている。
更に、第2コイルパターン141は、第1側面2A(図1)に沿って延びる第2−1コイル縁部141C、第2−2コイル縁部141Dと、第2側面2B(図1)に沿って延びる第2−3コイル縁部141E、第2−4コイル縁部141Fとを備えている。そして、第2−1コイル縁部141C及び第2−2コイル縁部141Dのグランド端子4A(図1)に対向する部分は、グランド端子4Aから離間するように迂回形状をなし、第2−3コイル縁部141E及び第2−4コイル縁部141Fのグランド端子4B(図1)に対向する部分は、グランド端子4Bから離間するように迂回形状をなしている。
そして、図6に示すように第2−1コイル縁部141C及び第2−3コイル縁部141Eの迂回形状輪郭の最深部と、グランド端子4A及びグランド端子4BとのギャップG2は、約200μmである。また、図6に示すように、第2−1コイル縁部141C及び第2−3コイル縁部141Eの迂回形状輪郭と、第1主面2C、2D上に位置するグランド端子4A、4Bの縁部とは、平面視でほぼ等間隔をなすように構成されている。
図5に示すように、第3コイルパターン142は、磁性体グリーンシート132上に形成され、第3−1コイル端部142Aと、第3−2コイル端部142Bとを備えている。第3−1コイル端部142Aは、第2−1コイル端部141Aに対向配置され、第2−2コイル端部142Bは、スルーホール132a上に位置している。第3コイルパターン142は、第3−1コイル端部142Aと、第3−2コイル端部142Bとの間で略渦巻状をなしている。
更に、第3コイルパターン142は、第1側面2A(図1)に沿って延びる第3−1コイル縁部142C、第3−2コイル縁部142Dと、第2側面2B(図1)に沿って延びる第3−3コイル縁部142E、第3−4コイル縁部142Fとを備えている。そして、第3−1コイル縁部142C及び第3−2コイル縁部142Dのグランド端子4A(図1)に対向する部分は、グランド端子4Aから離間するように迂回形状をなし、第3−3コイル縁部142E及び第3−4コイル縁部142Fのグランド端子4B(図1)に対向する部分は、グランド端子4Bから離間するように迂回形状をなしている。また、第3−1コイル縁部142C及び第3−3コイル縁部142Eの迂回形状の最深部は、第2−1コイル縁部141C及び第2−3コイル縁部141Eの迂回形状と同様に、グランド端子4A及びグランド端子4Bとの間に約200μmのギャップを有している。
第4コイルパターン143は、磁性体グリーンシート133上に形成され、第2コイルパターン141と同様の形状をなしている。よって、第4−1コイル縁部143C及び第4−2コイル縁部143Dのグランド端子4A(図1)に対向する部分は、グランド端子4Aから離間するように迂回形状をなし、第4−3コイル縁部143E及び第4−4コイル縁部143Fのグランド端子4B(図1)に対向する部分は、グランド端子4Bから離間するように迂回形状をなしている。
第5コイルパターン144は、磁性体グリーンシート134上に形成され、スルーホール134a上に位置する第4コイル端部144Aと、入出力端子3Bと電気的に接続されるコイル引出し電極144Bとを備えている。また、各コイルパターン140〜144は、積層方向において隣り合うコイルパターンとスルーホール131a〜134aを介して電気的に接続され、コイルを形成している。誘電体グリーンシート110Aと磁性体グリーンシート135は、積層型LC複合部品101の厚みを所定の寸法に調整するためのものであり、1層に限られるものでなく、複数層でも良い。また、各コイルパターン140〜144は、銀又はニッケルを主成分とする導電ペーストがスクリーン印刷により形成され、幅は約40μm、厚みは約10μmである。また、図7にπ型フィルタである積層型LC複合部品101の等価回路を示している。
本実施の形態の積層型LC複合部品101は、入出力端子3A、3Bを基板の入出力側に接続し、グランド端子4A、4Bを基板の接地側に接続した状態で使用され、ノイズフィルタとして機能する。そして、第2縁部112Aのグランド端子4A、4Bに対向する部分は、凹部形状をなしているので、第1の実施の形態による積層型LC複合部品1と同様の効果を得ることができる。更に、各コイル縁部140C〜143C、141E〜143Eのグランド端子4A、グランド端子4Bに対向する部分は、それぞれグランド端子4A、4Bから離間するように迂回形状をなしているので、ギャップG2を大きくとることができ、マイグレーションによる絶縁劣化を防止することができ、積層型LC複合部品101の信頼性を向上させることができる。
次に、第1及び第2の実施の形態による積層型LC複合部品1、101と図9に示した比較品とについて、絶縁劣化に対する有効性の実験(耐湿負荷寿命試験)の結果について説明する。図9に示す比較品は上記の特開平11−54369号公報に開示された積層型LC複合部品に類する形状をなし、各ホット電極212の縁部212Aと、各誘電体グリーンシート210の縁部と間のギャップは、100μmに設定されている。また、縁部212Aは直線状であって、凹部は形成されていない。
耐湿負荷寿命試験の加速試験条件は、室温:85℃、湿度:85%の恒温槽中で、積層型LC複合部品1、101及び従来の積層型LC複合部品の一方の入出力端子と、グランド端子との間にDC10Vを印加し、所定時間ごとに取りはずし、絶縁抵抗を測定し、その劣化を観察し、絶縁抵抗が106Ω以下となったものをNGとする方法で確認した。各サンプルの対象個数をそれぞれ30個として試験を行なった。試験結果を表1に示している。
比較品では1500時間後からNGが発生したが、本実施の形態の積層型LC複合部品1、101では2000時間経過してもNGが発生しなかった。また、積層型LC複合部品の耐湿負荷寿命への一般的な要求は、1000時間の保証であり、従来の積層型LC複合部品でも要求を満足していると言えるが、本実施の形態の積層型LC複合部品の方が、より絶縁劣化に優れていると言える。よって、従来の積層型LC複合部品に若干の変更を加えることで、コストアップや設計負荷を招くことがなく、量産性に優れた積層型LC複合部品1、101を提供することができる。
表1
NG数/投入数(個)
表1
NG数/投入数(個)
尚、本発明の積層型電子部品は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、誘電体グリーンシート30〜36は、Ni−Cu−Zn系フェライトにより構成されていたが、これに限られずNi−Cu−Zn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト又はNi−Cu系フェライトであっても良い。また、ホット電極12、112の外形寸法を凹部を除きグランド電極11、111と同じ寸法にしたが、設計上キャパシタンス値に余裕がある場合は、ホット電極12、112の外形寸法はグランド電極11、111に対し、若干小さくしても良い。また、第2縁部12A、112Aの凹部形状及び各コイル縁部140C〜143C、141E〜143Eの迂回形状を第1の実施の形態ではT型フィルタに、第2の実施の形態ではπフィルタに適用したが、図8の等価回路に示すようなL型フィルタに適用しても良い。また、第1及び第2の実施の形態のコンデンサ部Cをバリスタで構成しても良い。
1、101 積層型LC複合部品
2、102 積層構造体
2A 第1側面
2B 第2側面
4A、4B グランド端子
10 第1誘電体素体
10A〜10I、110A〜110J 誘電体グリーンシート
11、111 グランド電極
11A 第1縁部
12、112 ホット電極
12A、112A 第2縁部
13、113 引出し電極
30〜36 磁性体グリーンシート
37 第2絶縁体素体
140〜144 第1〜第5コイルパターン
140C〜143C、141E〜143E コイル縁部
C コンデンサ部
L コイル部
2、102 積層構造体
2A 第1側面
2B 第2側面
4A、4B グランド端子
10 第1誘電体素体
10A〜10I、110A〜110J 誘電体グリーンシート
11、111 グランド電極
11A 第1縁部
12、112 ホット電極
12A、112A 第2縁部
13、113 引出し電極
30〜36 磁性体グリーンシート
37 第2絶縁体素体
140〜144 第1〜第5コイルパターン
140C〜143C、141E〜143E コイル縁部
C コンデンサ部
L コイル部
Claims (4)
- 複数の絶縁体層からなる積層体であって少なくとも一側面を有する第1絶縁体素体と、
隣り合う該絶縁体層の間に交互に配置され、各絶縁体層の縁部から離間して各絶縁体層の面積内に収まる第1内部電極及び第2内部電極と、
一端が該第1内部電極の該一側面側の縁部に接続され、他端が該積層体の該一側面まで引出された引出し電極と、
該一側面において該絶縁体層の積層方向に沿って延び、該引出し電極と電気的に接続された外部電極と、を備え、
該第2内部電極の該一側面側の縁部であって少なくとも該外部電極と対向する部分は、該外部電極から離間するように凹部形状をなすことを特徴とする積層型電子部品。 - 複数の絶縁体層からなる積層体であって該一側面と同一面をなす一側面を有し、該第1絶縁体素体に積層される第2絶縁体素体と、
該第2絶縁体素体の隣り合う該絶縁体層の間に配置され、各絶縁体層の縁部から離間して各絶縁体層の面積内に収まるコイル導体と、を更に備え、
該外部電極は、該第2絶縁体素体の該一側面においても該絶縁体層の積層方向に沿って延び、
該コイル導体の該一側面側の縁部であって少なくとも該外部電極と対向する部分は、該外部電極から離間するように迂回形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。 - 該第1内部電極と該第2内部電極と該第1絶縁体素体の該絶縁体層とによりコンデンサ又はバリスタをなし、該コイル導体と該第2絶縁体素体の該絶縁体層とによりコイル部をなすことを特徴とする請求項2に記載の積層型電子部品。
- 該第1絶縁体素体の該絶縁体層は、誘電体により構成され、該第2絶縁体素体の該絶縁体層は、磁性体により構成されることを特徴とする請求項3に記載の積層型電子部品。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-07-05 JP JP2005196606A patent/JP2007019101A/ja active Pending
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