JP2006249648A - パルプの叩解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 パルプの製造工程において、パルプ繊維の損傷と内部フィブリル化を抑えて濾水度を調製する方法を検討することによって、機械的処理と同等の濾水度のレベルにおいて、より剛度の高い嵩高なパルプを製造し、製品である紙の嵩高性を向上する方法を提供する。
【解決手段】 パルプの製造工程において、パルプ懸濁液中に、好ましくは液体噴流によってキャビテーションを生じさせ、それに伴って生じる微細気泡をパルプ懸濁液中に導入し、その微細気泡の崩壊時の衝撃力を利用して、該パルプを所望の濾水度に調製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、パルプを叩解する方法、及びその方法により製造されたパルプを用いて製造された紙及び塗被紙等の印刷用紙に関する。更に詳しくは、針葉樹、広葉樹、非木材繊維などを用いたクラフトパルプや機械パルプ、及び、新聞、チラシ、雑誌、情報記録用紙、コピー、コンピュータープリントアウトなどの印刷古紙、あるいは雑誌古紙やオフィス古紙などこれら印刷物の混合物からなる再生パルプ、及び、それらの混合物を用いてパルプを製造する工程において、パルプ懸濁液中にキャビテーションを発生させ、それに伴って生じる微細気泡をパルプ懸濁液中に積極的に導入し、その微細気泡の崩壊時の衝撃力を利用して、パルプ繊維の短小化などの損傷を抑えながら所望の濾水度に調整し、嵩高なパルプを製造する方法に関するものである。
近年、省資源や物流コスト減、及び高級感やボリューム感といった高付加価値化と言う観点から嵩高で軽量な紙への要求が高まっている。従来、嵩高化に対しては種々の嵩高向上方法が試みられてきた。例えば、(1)架橋処理したパルプを用いる方法(特許文献1、特許文献2)、(2)合成繊維を混抄する方法(特許文献3)、(3)パルプ繊維間に無機物を充填する方法(特許文献4)、(4)空隙をもたらす発泡性粒子を添加する方法(特許文献5)、(5)軽度に叩解したパルプ繊維を配合する方法(特許文献6)、(6)ソフトカレンダー処理をする方法(特許文献7)、(7)嵩高薬品を添加する方法(特許文献8)、(8)パルプをマーセル化処理する方法(特許文献9)、(9)パルプを酵素で処理する方法(特許文献10)などが提案されている。しかしながら、上記の方法ではパルプのリサイクルが不可能であったり、繊維間結合を阻害するため紙の強度、剛度が著しく低下したりすること、パルプに対して別種の薬品や填料等を添加するためコスト上昇が避けられないこと、抄紙工程での発泡増加やサイズ低下などの新たな問題を生じることが避けられないなどの問題があった。
特開平4-185791号公報 特開平4-202895号公報 特開平3-269199号公報 特開平3-124895号公報 特開平5-230798号公報 特開昭58-24000号公報 特開平4-370293号公報 特開平11-350380号公報 特開平7-189168号公報 特開平7-54293号公報
一般に、ダブルディスクリファイナー等の通常使用されている叩解機によってパルプの叩解を進めると濾水度の低下に伴って、繊維長の低下、微細繊維分の増加、カールの増大といった変化が生じ、さらに作成したシートは密度の上昇が認められる。
そこで本発明は、パルプの製造工程において、パルプ繊維の損傷と内部フィブリル化を抑えて濾水度を調製する方法を検討することによって、機械的処理と同等の濾水度のレベルにおいて、より剛度の高い嵩高なパルプを製造し、製品である紙の嵩高性を向上する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、パルプ繊維自体の持つ嵩が機械的叩解処理時に最も低下することに着目し、パルプ繊維表面に対して選択的に負荷を与えて繊維の損傷と内部フィブリル化の進行を抑えて、パルプ繊維の嵩を低下させずに濾水度を調整することによって嵩高なパルプを得る方法について、鋭意研究を重ねた結果、パルプ繊維懸濁液中にキャビテーションを積極的に発生させて処理することで、発生する微細気泡の崩壊衝撃力によって、パルプ繊維自体の嵩を損なわずに濾水度を調整できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パルプの濾水度を調製するために、キャビテーションによって発生する気泡を積極的にパルプ繊維懸濁液に導入することで、微細な気泡崩壊時の衝撃力によってパルプ繊維の外部フィブリル化を促進する一方、内部フィブリル化を抑制して濾水度を調整することで、従来の機械的な方法で叩解処理したパルプと同等の濾水度で比較すると、より嵩高でありながら、強度の高いパルプを得られることを特徴とするものである。
すなわち、本発明は、パルプ化工程とパルプの濾水度を調整し填料などの添加物を混合する調成工程からなるパルプの製造工程において、パルプ繊維を含む懸濁液中にキャビテーションを発生させることで、所望の濾水度を有するパルプを得ることを特徴とする嵩高パルプの製造方法である。
ここで、本発明は、流体噴流を用いてキャビテーションを発生させることができ、また、パルプ懸濁液自体を流体噴流として噴射させることによってパルプと気泡を接触させることができる。
噴流をなす流体は、流動状態であれば液体、気体、粉体やパルプなどの固体の何れでもよく、また、それらの混合物であってもよい。更に必要とあれば上記流体に、新たな流体として、別の流体を加えることができる。上記流体と新たな流体は、均一に混合して噴射しても良いが、別個に噴射しても良い。
液体噴流とは、液体または液体の中に固体粒子や気体が分散、あるいは混在する流体の噴流であり、パルプ繊維、繊維状物質、無機粒子のスラリー、気泡を含む液体噴流のことをいう。ここで言う気体は、キャビテーションによる気泡を含んでもよく、別途に加えるものでも良い。
処理対象となるパルプ原料は、針葉樹または広葉樹、非木材繊維などのクラフトパルプ、機械パルプ、または、古紙や繊維素からなるシート状の物質を用いた再生パルプ等である。また、パルプ以外に化学繊維など繊維状物質を混合して処理してもよい。
加藤の成書(加藤洋治編著、新版キャビテーション 基礎と最近の進歩、槇書店、1999年)に記載されているように、キャビテーション気泡の崩壊時に数μmオーダーの局所的な領域に数Gpaにおよぶ高衝撃圧を発生し、また、気泡崩壊時に断熱圧縮により数千℃に温度が上昇する。その結果、キャビテーションは流体機械に損傷、振動、性能低下などの害悪をもたらす面があり、解決すべき技術課題とされてきた。近年、キャビテーションについて研究が急速に進み、キャビテーション噴流の流体力学的パラメーターを操作因子としてキャビテーションの発生領域や衝撃力まで高精度に制御できるようになった。その結果、気泡の崩壊衝撃力を制御することにより、その強力なエネルギーを有効活用することが期待されている。従って、流体力学的パラメーターに基づく操作・調整を行うことでキャビテーションを高精度に制御することが可能となった。これはキャビテーションの作用効果の安定性を保持することが可能であることを示しており、従来のように流体機械で自然発生的に生じる制御不能の害悪をもたらすキャビテーションではなく、制御されたキャビテーションによって発生する気泡を積極的にパルプ懸濁液に導入し、そのエネルギーを有効利用することが本発明の特徴である。
尚、下記のウクライナの論文(非特許文献1〜3)には、板紙古紙などについて、パルプ噴流と回転構造を持つ障害物によってキャビテーションを利用した叩解を行っているが、その効果は内部フィブリル化を促進しており、繊維の引張り強度などを向上させている。従って、得られる効果はパルプ繊維の柔軟化による伸び率の向上に起因しており、結果としてこの方法では嵩高なパルプを得ることはできないことから、本発明とこれらの技術とは、利用する作用領域が異なり、効果も異なっているため本質的に相違する技術である。
R.A. SoloИitsyИ et al., Bum Prom-st', 1987(6), 22 R.A. SoloИitsyИ et al., Bum Prom-st', 1987(1), 25 R.A. SoloИitsyИ et al., Bum Prom-st', 1986(7), 24
本発明によるパルプの製造方法では、クラフトパルプ、機械パルプなどの木材を原料とするパルプ、及び古紙や繊維素からなるシートを原料とする再生パルプについて、パルプ繊維自体の損傷を抑えて濾水度を調整することが可能となるので、より剛度があり、嵩高なパルプを得ることができる。
本発明で対象とするパルプは、原料として、針葉樹または広葉樹、非木材繊維などを原料とする。より具体的には、クラフトパルプ等の化学パルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、あるいは古紙や繊維素からなるシート状の物質から製造された再生パルプ等が挙げられる。古紙としては、例えば、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙に適用できる。特に、後述するようにクラフトパルプ(クラフトパルプを主成分とする古紙から製造された再生パルプも含む)に対して適用した場合、従来の叩解処理で得られるパルプとは異なった特性を有する。また、パルプ以外の化学繊維などの長軸と短軸の比が大きい繊維状物質との混合物にも適用できる。
例えば、本発明による叩解処理をクラフトパルプに対して適用した場合、パルプの濾水度の低下に伴う保水度の低下は、通常の叩解処理を行ったパルプよりも緩やかである。この現象は、キャビテーション処理によってパルプ繊維の内部フィブリル化より外部フィブリル化が進行したことを示すものである。従って、従来の叩解処理で得られたパルプと同一の濾水度で比較すると、嵩高でありながら強度の高い紙シートが得られる。
また、本発明による叩解処理を機械パルプに対して適用した場合、リファイナー等の機械的な処理と比較すると、同一の濾水度ではシャイブ(結束繊維)を減少させることができる。言い換えると、シャイブを減少させるために、機械的な処理よりもパルプの濾水度を高くすることができるので、抄紙性を改善することが可能になる
本発明はキャビテーション処理によりパルプを叩解し、所望の濾水度に調整する。キャビテーション処理後のパルプの濾水度は用途により多様であり限定されるものではないが、広葉樹クラフトパルプでカナダ標準濾水度200〜600ml、針葉樹クラフトパルプでカナダ標準濾水度200〜600ml、機械パルプでカナダ標準濾水度50〜300ml、再生パルプでカナダ標準濾水50〜400ml程度である。
本発明のキャビテーション処理は、パルプ化工程及び調成工程のいかなる場所にも適用することができるが、繊維状物質が解繊されてパルプ状となった段階で適用することが好適である。
通常パルプの叩解処理は機械的処理で行われる。具体的に機械的処理とは、リファイナー、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなど回転軸を中心として金属または刃物とパルプ繊維を作用させるもの、あるいはパルプ繊維同士の摩擦によるものである。特に、機械力による従来の叩解装置による叩解処理と本発明のキャビテーションによる叩解処理とを組合わせると、各々異なる機構によって叩解が行われるため、パルプ繊維の特性を制御し、より望ましい紙質を得ることができる。更に必要に応じて水酸化ナトリウム、珪酸ソーダ、その他のアルカリ薬品、脱墨薬品、酸化性漂白剤、還元性漂白剤を加えることができる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加しても何ら問題はない。用いる叩解装置あるいは処理条件については、特に制限はない。また、異物除去や高白色度化が必要ならば、上記工程に通常用いられている異物除去工程、あるいは漂白工程などを組み入れることも可能である。
本発明におけるキャビテーションの発生手段としては、液体噴流による方法、超音波振動子を用いる方法、超音波振動子とホーン状の増幅器を用いる方法、レーザー照射による方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、液体噴流を用いる方法が、キャビテーション気泡の発生効率が高く、より強力な崩壊衝撃力を持つキャビテーション気泡雲を形成するためパルプ繊維に対する作用効果が大きい。上記の方法によって発生するキャビテーションは、従来の流体機械に自然発生的に生じる制御不能の害悪をもたらすキャビテーションと明らかに異なる。
本発明において、液体噴流を用いてキャビテーションを発生させる際に、パルプ懸濁液を液体噴流として噴射させることによってパルプ懸濁液と気泡を接触させることができる。また、液体噴流が噴流をなす流体は、流動状態であれば液体、気体、粉体やパルプ等の固体の何れでもよく、またそれらの混合物であってもよい。更に必要であれば上記の流体に、新たな流体として、別の流体を加えることができる。上記流体と新たな流体は、均一に混合して噴射してもよいが、別個に噴射してもよい。
液体噴流とは、液体または液体の中に固体粒子や気体が分散あるいは混在する流体の噴流であり、パルプや無機物粒子のスラリーや気泡を含む液体噴流のことをいう。ここで云う気体は、キャビテーションによる気泡を含んでいてもよい。
キャビテーションは液体が加速され、局所的な圧力がその液体の蒸気圧より低くなったときに発生するため、流速及び圧力が特に重要となる。このことから、キャビテーション状態を表わす基本的な無次元数、キャビテーション数(Cavitation Number)σは次の数式1のように定義される(加藤洋治編著、新版キャビテーション基礎と最近の進歩、槇書店、1999)。
Figure 2006249648

(p:一般流の圧力、U:一般流の流速、pv:流体の蒸気圧、ρ:流体の密度)
ここで、キャビテーション数が大きいということは、その流れ場がキャビテーションを発生し難い状態にあるということを示す。特にキャビテーション噴流のようなノズルあるいはオリフィス管を通してキャビテーションを発生させる場合は、ノズル上流側圧力p1、ノズル下流側圧力p2、、試料水の飽和蒸気圧pvから、キャビテーション数σは下記式(2)のように書きかえることができ、キャビテーション噴流では、p1、p2、pv間の圧力差が大きく、p1≫p2≫pvとなることから、キャビテーション数σはさらに以下の数式2のように近似することができる(H. Soyama, J. Soc. Mat. Sci. Japan, 47(4), 381 1998)。
Figure 2006249648

本発明におけるキャビテーションの条件は、上述したキャビテーション数σが0.001以上0.5以下であることが望ましく、0.003以上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることが特に好ましい。キャビテーション数σが0.001未満である場合、キャビテーション気泡が崩壊する時の周囲との圧力差が低いため効果が小さくなり、0.5より大である場合は、流れの圧力差が低くキャビテーションが発生し難くなる。
また、ノズルまたはオリフィス管を通じて噴射液を噴射してキャビテーションを発生させる際には、噴射液の圧力(上流側圧力)は0.01MPa以上30MPa以下であることが望ましく、0.7MPa以上15MPa以下であることが好ましく、2MPa以上10MPa以下であることが特に好ましい。上流側圧力が0.01MPa未満では下流側圧力との間で圧力差を生じ難く作用効果は小さい。また、30MPaより高い場合、特殊なポンプ及び圧力容器を必要とし、消費エネルギーが大きくなることからコスト的に不利である。一方、容器内の圧力(下流側圧力)は静圧で0.05MPa以上0.3MPa以下が好ましい。また、容器内の圧力と噴射液の圧力との圧力比は0.001〜0.5の範囲が好ましい。
また、噴射液の噴流の速度は1m/秒以上200m/秒以下の範囲であることが望ましく、20m/秒以上100m/秒以下の範囲であることが好ましい。噴流の速度が1m/秒未満である場合、圧力低下が低く、キャビテーションが発生し難いため、その効果は弱い。一方、200m/秒より大きい場合、高圧を要し特別な装置が必要であり、コスト的に不利である。
本発明におけるキャビテーション発生場所としてはタンクなど任意の容器内もしくは配管内を選ぶことができるが、これらに限定するものではない。また、ワンパスで処理することも可能であるが、必要回数だけ循環することによって更に効果を増大できる。さらに複数の発生手段を用いて並列で、あるいは順列で処理することができる。
キャビテーションを発生させるための液体の噴射は、パルパーの様な大気開放の容器の中でなされても良いが、キャビテーションをコントロールするために圧力容器の中でなされるのが好ましい。
本発明における液体噴流によるキャビテーションの発生方法では、パルプ懸濁液に対して、噴射液体として、水道水、製紙工程で回収される再用水、パルプ搾水、白水、および、パルプ懸濁液自体を噴射することができるが、これらに限定するものではない。好ましくは、パルプ懸濁液自体を噴射することで、噴流周りに発生するキャビテーションによる作用効果に加え、高圧でノズルまたはオリフィス管から噴射する際の流体力学的せん断力が得られるため、より大きな作用効果を発揮する。
液体噴射によってキャビテーションを発生させる際の処理対象のパルプ懸濁液の固形分濃度は5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは0.1〜3重量%の範囲で処理することが気泡の発生効率の点から好ましい。被噴射液の固形分濃度が5重量%以上20重量%以下である場合は、噴射液濃度を4重量%以下にすることによって作用効果を得ることができる。
また、パルプ懸濁液のpHは、好ましくはpH1〜13、より好ましくはpH3〜12、更に好ましくはpH4〜11である。pHが1未満であると装置の腐食などが問題となり、材質及び保守等の観点から不利である。一方、pHは13を超えると、パルプ繊維のアルカリ焼けが生じ、白色度が低下するので好ましくない。pHはアルカリ性条件である方がパルプ繊維の膨潤性がよく、OH活性ラジカルの生成量が増加することから望ましい。
本発明では、液体の噴射圧力を高めることで、噴射液の流速が増大し、これに伴って圧力が低下し、より強力なキャビテーションが発生する。更に被噴射液を収める容器を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡は激しく崩壊し衝撃力も大となる。キャビテーションは液体中の気体の量に影響され、気体が多過ぎる場合は気泡同士の衝突と合一が起こるため崩壊衝撃力が他の気泡に吸収されるクッション効果を生じるため衝撃力が弱まる。従って、溶存気体と蒸気圧の影響を受けるため、その処理温度は0℃以上70℃以下であることが好ましく、特に10℃以上60℃以下であることが好ましい。一般には、融点と沸点の中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水溶液の場合、50℃前後が好適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。
本発明においては、界面活性剤を添加することでキャビテーションを発生させるために必要なエネルギーを低減することができる。使用する界面活性剤としては、公知または新規の界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらの単一成分からなるものでも、2種以上の成分の混合物でも良い。添加量は噴射液及び/または被噴射液の表面張力を低下させるために必要な量であればよい。
上記工程を経て製造されたパルプは繊維損傷が少なく繊維が剛直で嵩高になるため、このパルプを用いて嵩高な紙を製造することができる。
[作用]
本発明において、パルプ繊維に対して内部フィブリル化が抑制され、外部フィブリル化が促進される理由としては、次のような理由が考えられる。キャビテーションにより生じる微細な気泡の崩壊時には、前述したように数μmオーダーの局所的な領域に強力なエネルギーが発生する。従って、微細な気泡または気泡雲が繊維表面あるいは近傍で崩壊する場合、その衝撃力は直接あるいは液体を介してパルプ繊維表面に到達し、パルプ繊維を構成するセルロースの非晶領域に吸収されることにより、外部フィブリル化とパルプ繊維を膨潤させるものと考えられる。気泡はパルプ繊維に対して非常に小さく、その衝撃力はパルプ繊維全体を損傷させる程大きくない。更に、パルプ繊維は液体中に分散しており固定されていないため、気泡雲の連続崩壊のような極めて大きな衝撃力であっても、過剰のエネルギーをパルプ繊維自体の運動エネルギーとして吸収する。従って、本発明による方法は、機械的作用による叩解方法に比べてパルプ繊維の短小化などの損傷を抑えることができ、内部フィブリル化を抑えることができると考えられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜4]
市販広葉樹漂白クラフトパルプシートを低濃度パルパーで離解し、原料A(濾水度CSF666ml)とした。原料Aを任意の濃度に調整後、図1に示されるキャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.3MPaとして、処理時間を変化させて処理し、濾水度を調整した。なお、噴射液として濃度1.1重量%のパルプ懸濁液を使用し、容器内のパルプ懸濁液(濃度1.1重量%)をキャビテーション処理した。処理後のパルプについて、保水度、篩分試験、及びカナダ標準濾水度(CSF)を測定し、結果を表1に示した。
・保水度:J.TAPPI No.26に従った。
・篩分試験:JIS P 8207:1976に従った。
・カナダ標準濾水度(CSF):JIS P 8121:1995に従った。
更に処理後のパルプについてJIS P 8209に基づいて手抄きシート5枚を作製した。手抄きシートの厚さ、坪量を下記の方法で測定し、これを元に密度及び嵩を算出した。さらに、裂断長及び引張破断伸び、比引裂強さ、比破裂強さ、白色度及び色相、不透明度、比散乱係数、比吸収係数を下記の方法で測定した。結果を表2〜3に示す。
・厚さ:JIS P 8118:1998に従った。
・坪量:JIS P 8124:1998(ISO 536:1995)に従った。
・密度及び嵩:手抄きシートの厚さ、坪量の測定値より算出した。
・裂断長及び引張破断伸び:JIS P 8113:1998に従った。
・比引裂強さ:JIS P 8116:2000に従った。
・比破裂強さ:JIS P 8112:1994に従った。
・白色度及び色相:JIS P 8148に準じて、色差計(村上色彩製)で測定した。
・不透明度:JIS P 8149:2000に従った。
・比散乱係数、比吸収係数:TAPPI T425om-91に準拠して色差計(村上色彩製)で測定した。
[比較例1〜5]
原料Aについて、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、カウント数を変化させて叩解し、濾水度を調整した。叩解後のパルプについて保水度、篩分試験、カナダ標準濾水度を測定し、結果を表1に示した。さらに、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、同様の項目について測定を行い、結果を表2〜3に示した。
Figure 2006249648
Figure 2006249648
Figure 2006249648
表1に示されるように、ほぼ同一濾水度で比較すると実施例は比較例に比べて保水度が低くなっていることが分る。保水度は内部フィブリル化の指標として使うことが可能であり、同一濾水度で保水度が低いということは外部フィブリル化が進んでいることを示唆している。広葉樹クラフトパルプであるため繊維長が短く篩分繊維組成には差は認められなかった。
表2に示されるように、実施例は未処理(比較例1)に対して、密度の上昇が小さく裂断長、比引裂強さ、比破裂強さを向上することができた。機械的な叩解処理である比較例2〜5では、紙力を向上できるものの著しく密度が上昇していた。
表3に示されるように、ほぼ同一濾水度の実施例4と比較例2では、実施例の方が白色度、不透明度が高めとなった。
従って、本発明は外部フィブリル化を促進することでパルプ濾水度を低下させる嵩の低下の少ないパルプの叩解方法といえる。
[実施例5〜8]
工場実機2次リファイニング後のラジアータパインのサーモメカニカルパルプ(濾水度CSF288ml)を原料Bとして、実施例1と同様にキャビテーション噴流式洗浄装置を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.3MPaとして、処理時間を変化させて処理し、濾水度を調整した。得られたパルプの保水度、篩分試験、カナダ標準濾水度を測定し、結果を表4に示した。さらに、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、同様の項目について測定を行い、結果を表5、6に示した。
[比較例6〜10]
原料BをPFIミルで比較例1と同様にしてカウント数を変化させて叩解し、濾水度を調整した。叩解後のパルプ、それより作成した手抄きシートについて、実施例5と同様の項目について測定を行い、結果を表4、5、6に示した。
Figure 2006249648
Figure 2006249648
Figure 2006249648
表4に示されるように、実施例では、キャビテーション処理によって未処理パルプ(比較例6)の濾水度を低下させた場合に篩分繊維組成の変化は僅かであった。一方、比較例7〜10では、PFIミル処理によって24メッシュ残分の長繊維の割合が著しく低下し、より短い繊維の割合が増加していた。一般にPFIミルは実機の叩解機に比べて繊維のカッティングが少ないといわれており、実施例では繊維の短小化を抑えて濾水度を調整できると考えられた。尚、メカニカルパルプはリグニンが残存していることから、保水度に対する影響は小さかった。
表5に示されるように、実施例では、濾水度の低下による密度の上昇はほとんど認められず嵩が保持されていた。一方、比較例では濾水度の低下に伴い密度が上昇し嵩が低下していた。更に、比較例は濾水度の低下に伴って比引裂強さが低下しており、繊維の短小化の影響を受けているものと考えられた。
表6に示されるように、実施例では、比較例とほぼ同一の白色度でありながら不透明度が高く、比散乱係数及び比吸収係数もが高くなっていた。比較例では濾水度の低下に伴い不透明度、比散乱係数が低くなっており、紙の密度上昇の影響を受けているものと考えられた。
従って、本発明は繊維の短小化などの損傷を抑えながら濾水度を調整する嵩の低下の少ないパルプの叩解方法であるといえる。
[実施例9〜11]
新聞古紙、チラシ古紙、コート系雑誌古紙、及び更系雑誌古紙を40/30/15/15の重量比で配合された古紙に対して、水酸化ナトリウムを対パルプ1.0重量%となりように加え、水でパルプ濃度15重量%に調整した後、パルパーを用いて40℃で、6分間離解し原料Cとした。原料Cを任意の濃度に調整後、実施例1と同様にキャビテーション噴流式洗浄装置を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.3MPaとして、処理時間を変化させて処理し、濾水度を調整した。得られた画分について、カナダ標準濾水度を測定し、処理後のパルプを150メッシュワイヤー上で十分に洗浄した。洗浄後のパルプについて、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、同様の項目について測定を行い、結果を表7、8に示した。さらに、クラークこわさを下記の方法で測定し、結果を表7に示した。
・クラークこわさ:JIS P 8143:1996に従った。
[比較例11〜16]
原料CをPFIミルで比較例1と同様にしてカウント数を変化させて叩解し、濾水度を調整した。叩解後のパルプ、それより作成した手抄きシートについて、実施例5と同様の項目について測定を行い、結果を表7、8に示した。更に原料Cについて、ラボ2軸ニーダーを用いて、処理回数を変化させて混練処理し濾水度を調整した。処理後のパルプ、それにより作成した手抄きシートについて、実施例5と同様の項目について測定を行い、結果を表7、8に示した。
Figure 2006249648
Figure 2006249648
表7に示されるように、ほぼ同一の濾水度で比較すると実施例は比較例に比べて、極めて低密度で嵩高であった。未処理(比較例11)に比べて紙力が向上しており、比較例12〜16に比べて比引裂強さが向上していた。更にクラークこわさが大きくなっており、剛度の高いシートとなっていた。
表8に示されるように、実施例では未処理(比較例11)、及び、機械的処理(比較例12〜16)に比べて白色度が高くなっていた。一般に再生パルプの製造において、インキの存在下で機械的な叩解・混練作用を行うと、インキの微粒子が繊維のルーメンや細孔に擦り込まれ白色度が低下する、いわゆるインキの擦り込み現象が知られている。実施例は白色度が高くなっていることからインキの擦り込みを生じさせずに濾水度を低下させていた。従って、本発明は、インキの擦り込みを生じない嵩の低下の少ないパルプの叩解方法であることが分る。
[実施例12〜15]
トナー印刷物、コート系雑誌古紙、ノーカーボン紙、感熱紙を40/40/10/10の重量比に配合した古紙に対して、水酸化ナトリウムを対パルプ1.0重量%となるように加え、水でパルプ濃度15重量%に調整した後、パルパーを用いて、40℃で、6分間離解し原料Dとした。原料Dに水を加えて任意の濃度に調整後、実施例1と同様にキャビテーション噴流式洗浄装置を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.3MPaとして、処理時間を変化させて処理し、濾水度を調整した。得られたパルプの一部について150メッシュワイヤー上で十分に洗浄し、洗浄後のパルプについて、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、同様の項目について測定を行い、結果を表9、10に示した。
[比較例17〜21]
原料DをPFIミルで比較例1と同様にしてカウント数を変化させて叩解し、濾水度を調整した。叩解後のパルプ、それより作成した手抄きシートについて、実施例12と同様の項目について測定を行い、結果を表7、8に示した。
Figure 2006249648
Figure 2006249648
表9に示されるように、ほぼ同一濾水度で実施例は比較例に比べて密度が低く嵩高になっていた。紙力については同一濾水度で実施例と比較例はほぼ同等であり、同一密度で比較すると、実施例は比較例に比べて裂断長、比引裂強さのいずれもが向上していた。
表10に示されるように、実施例ではキャビテーション処理により白色度が著しく上昇し濾水度の低下に伴って更に上昇していた。これは繊維からのインキ剥離が促進されたためと考えられた。一方、比較例ではPFIミル処理により濾水度が低下するにつれて白色度は低下しており、インキの擦り込みが進んだものと考えられた。
従って、本発明はインキの擦り込みを生じずに紙力を向上させる、嵩の低下の少ないパルプの叩解方法といえる。
[実施例16〜18]
新聞系の完成再生パルプを原料Eとして、パルプ濃度3.6重量%に調整した後、実施例1と同様にキャビテーション噴流式洗浄装置を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速60m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.1MPaとして、処理時間を変化させて処理し、濾水度を調整した。得られたパルプについて、カナダ標準濾水度、さらにファイバーラボ(メッツォ オートメーション社製)にて繊維長及び繊維のカールを測定し、結果を表11に示した。また、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、同様の項目について測定を行い、結果を表12に示した。さらに、平滑度、透気抵抗度、純曲げこわさを下記に従って測定し、結果を表12に示した。また、手抄きシート上の夾雑物を画像解析装置(商品名:スペックスキャン2000、アポジーテクノロジー社製)を用いて測定し、φ100μmを超えるダート、及びφ250μmを超えるダートの各々の画分の総面積で求め、結果を表11に示した。
・平滑度、透気抵抗度:Japan TAAPI 紙パルプ試験方法 No.5-2:2000に従い、王研式平滑度透気度試験器により測定した。
・純曲げこわさ:純曲げ特性試験器(商品名:JTC−911BT、エスエムテー社製)により、10cm×10cmに裁断した試験片について測定した。
[比較例22]
原料Eについて実施例16と同様の項目について測定を行い、結果を表11に示した。また、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、実施例16と同様の項目について測定を行い、結果を表12に示した。
Figure 2006249648
Figure 2006249648
表11に示されるように、実施例は未処理(比較例22)に比べて、ダート面積が減少したが、繊維の短小化が少なく、カールも増加せず、パルプ繊維の損傷が少なかった。また、表12に示されるように、実施例は未処理(比較例22)に比べて、強度が向上し、同時に純曲げこわさ、平滑度、透気抵抗度も向上した。
[実施例19〜21]
上質系の完成再生パルプを原料Fとして、パルプ濃度2.1重量%に調整した後、実施例1と同様にキャビテーション噴流式洗浄装置を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速60m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.1MPaとして、処理時間を変化させて処理し、濾水度を調整した。得られたパルプについて、カナダ標準濾水度、さらにファイバーラボ(メッツォ オートメーション社製)にて繊維長及び繊維のカールを測定し、結果を表13に示した。また、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、同様の項目について測定を行い、結果を表14に示した。さらに、平滑度、透気抵抗度をJapan TAAPI 紙パルプ試験方法 No.5-2:2000に従い王研式平滑度透気度試験器により測定し、結果を表14に示した。また、手抄きシート上の夾雑物を画像解析装置(商品名:スペックスキャン2000、アポジーテクノロジー社製)を用いて測定し、φ100μmを超えるダート、及びφ250μmを超えるダートの各々の画分の総面積を求め、結果を表13に示した。
[比較例23]
原料Fについて実施例19と同様の項目について測定を行い、結果を表13に示した。また、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、実施例19と同様の項目について測定を行い、結果を表14に示した。
Figure 2006249648
Figure 2006249648
表13に示されるように、実施例は未処理(比較例23)に比べて、ダート面積が減少したが、繊維の短小化が少なく、カールも増加せず、パルプ繊維の損傷が少なかった。また、表12に示されるように、実施例は未処理(比較例23)に比べて、強度が向上し、同時に純曲げこわさ、平滑度、透気抵抗度も向上した。
[実施例23〜25]
工場実機2次リファイニング後のサーモメカニカルパルプ(エゾマツ、トドマツ、ラジアータパイン混合)をスクリーン、クリーナにて除塵したものを原料G(濾水度CSF132ml)として、パルプ濃度2.6重量%に調整した後、実施例1と同様にキャビテーション噴流式洗浄装置を用いて、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.1MPaとして、循環回数を変化させて処理し、濾水度を調整した。得られたパルプのカナダ標準濾水度、さらにファイバーラボ(メッツォ オートメーション社製)にて繊維長及び繊維のカールを測定し、結果を表15に示した。また、シャイブをPQM1000(メッツォ オートメーション社製)を用いて、全シャイブ(幅75μm以上、長さ0.3mm以上)、幅広シャイブ(幅150μm以上、長さ0.3mm以上)、長シャイブ(幅75μm以上、長さ1.5mm以上)の各々について測定し、パルプ1g当たり個数として表15に示した。さらに、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、同様の項目について測定を行い、結果を表16、17に示した。
[比較例24]
原料Gについて実施例23と同様の項目について測定を行い、結果を表15に示した。また、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、実施例23と同様の項目について測定を行い、結果を表16、17に示した。
[比較例25]
原料Gをパルプ濃度3.5重量%に調整した後、ダブルディスクリファイナー(DDR)で処理したものについて実施例23と同様の項目について測定を行い、結果を表15に示した。また、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、実施例23と同様の項目について測定を行い、結果を表16、17に示した。
Figure 2006249648
Figure 2006249648
Figure 2006249648
表15に示されるように、実施例は未処理(比較例24)に比べてシャイブ数が減少した。また、DDR処理(比較例25)と比較しても、シャイブ数が減少しており、さらに繊維の短小化が少なく、カールも増加せず、パルプ繊維の損傷が少なかった。また、表16に示されるように、実施例は未処理(比較例24)やDDR処理(比較例25)に比べて、強度、純曲げこわさが向上した。表17に示されるように、平滑度、透気抵抗度も向上した。
実施例で使用したキャビテーション噴流式洗浄装置の概略図である。
符号の説明
1:試料タンク
2:ノズル
3:キャビテーション噴流セル
4:プランジャポンプ
5:上流側圧力制御弁
6:下流側圧力制御弁
7:上流側圧力計
8:下流側圧力計
9:給水弁
10:循環弁
11:排水弁
12:温度センサー
13:ミキサー

Claims (7)

  1. パルプの製造工程において、パルプ懸濁液中にキャビテーションを発生させることにより、該パルプを所望の濾水度に調製するパルプの叩解方法。
  2. 少なくともパルプ化工程と調成工程からなるパルプの製造工程において、工程中のパルプ懸濁液中にキャビテーションを発生させることにより、該パルプを所望の濾水度に調製することを特徴とする請求項1記載のパルプの叩解方法。
  3. キャビテーションの発生方法として、流体噴流を用いることを特徴とする請求項1ないし2記載のパルプの叩解方法
  4. パルプ懸濁液を液体噴流として噴射することを特徴とする請求項3記載のパルプの叩解方法。
  5. 対象とするパルプが針葉樹または広葉樹のクラフトパルプである請求項1〜4のいずれかに記載のパルプの叩解方法。
  6. 対象とするパルプが針葉樹または広葉樹の機械パルプである請求項1〜4のいずれかに記載のパルプの叩解方法。
  7. 対象とするパルプが古紙由来の再生パルプである請求項1〜4のいずれかに記載のパルプの叩解方法。
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