JP2006257621A - 書籍本文用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱墨パルプ高配合であっても、嵩高でありながら平滑性に優れ、引裂強さや剛度の低下が少なく、かつ夾雑物が少なく白色度が高く、オフセット印刷適性に優れた高品質の書籍本文用紙の提供。また、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れた書籍本文用紙の提供。
【解決手段】キャビテーションによって気泡を発生させ、これを古紙パルプ懸濁液に接触させて処理したDIPを書籍本文用紙のパルプ原料として使用する。キャビテーションによって気泡を発生させ、これをパルプ懸濁液に接触させて処理することで、パルプの濾水度を調整したパルプを書籍本文用紙のパルプ原料として使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は書籍本文用紙に関する。より具体的には、キャビテーションによって発生した気泡を接触させて処理したパルプを用いて製造された書籍本文用紙に関する。
近年、省資源或いは地球規模での環境保護といった観点から、古紙の再生利用が強く求められており、利用範囲を拡大することが極めて重要な問題となっている。一方で、従来の再生パルプの用途は新聞・雑誌用の紙であることが多かったが、近年は様々な用途へ展開すべく、古紙をより高度に処理し、高白色度で残インキの少ない再生パルプ(以下、脱墨パルプと記す)を製造することが求められている。
古紙の再生方法は、一般的にパルプ繊維からインキを剥離する工程と、剥離されたインキを除去する工程からなる。より具体的には、パルパーにおいて、流体力学的せん断力またはパルプ繊維同士の摩擦力によって、パルプ繊維からのインキの剥離と微細化を促進し、続いてフローテーション及び/または洗浄によりインキの除去を行なう方法が主流である。この過程において、必要に応じて水酸化ナトリウム、珪酸ソーダ、酸化性漂白剤および/または還元性漂白剤、脱墨剤などの脱墨薬品を添加し、アルカリ性pH値で古紙の処理を行うことが一般的である。古紙をより高度に処理する場合、上記処理で除去できなかったパルプ繊維上に残存するインキを剥離するため、例えば、インキ剥離工程またはインキ除去工程後に、更に機械力によってインキの剥離・微細化を促進する方法、および、その後にインキ除去を行う方法(特許文献1参照)などが採用されている。
しかしながら、古紙の多様化に伴い、経時劣化し酸化重合の進んだオフセットインキやパルプ繊維に熱融着したトナーインキ、印刷時の処理により硬化したUV樹脂インキ等の混入が増加しており、上記の古紙再生方法では、剥離力が不十分であり、未剥離インキが残存し完成パルプ品質が著しく低下することが問題となっている。この対策として、より大きな機械的負荷やより高温での処理を行う方法、または、より多くのアルカリや脱墨剤などの薬品を添加する方法が採用されているが、機械的負荷の増大により、パルプ繊維の短小化や微細繊維の増加に起因する紙力低下(特に引裂強さ低下)、パルプ繊維のねじれなどによる寸法安定性の低下、紙のカール増大、高温による蒸気代や薬品費の増加による再生パルプのコストアップなどが問題となっていた。
また、機械力によるインキ剥離工程とフローテーション及び/または洗浄からなるインキ除去工程を、目的とするパルプ品質が得られるまで複数回数繰り返して行う方法もあるが、極めて大きな設備投資が必要であり、且つ、排水負荷の増大を招くことから、コスト面、エネルギー面および環境面からデメリットが大きく導入は進んでいない。このため、特にトナー印刷物やUV樹脂インキ印刷物などは、板紙や家庭紙にしか使用されておらず、書籍本文用紙などの印刷用紙や、情報用紙、新聞印刷用紙などの紙向けの古紙原料として積極的に用いられることがなかった。
更に古紙利用率の向上に伴い、パルプ繊維自体のリサイクル回数が増え、岡山らの報告(岡山隆之、第7回パルプ基礎講座 古紙パルプ(その2)、紙パルプ技術協会編、p101−111、2002)にあるようにパルプ繊維の損傷が激しくなっている。パルプ繊維は熱乾燥によって水素結合形成能が著しく低下することが知られており、一度乾燥された古紙を再生する際には、これを補うためにリファイナーなどで叩解しパルプ繊維を毛羽立たせることによって水素結合形成能を向上させる必要がある。しかしながら、この過程において、パルプ繊維の内部構造は著しく損傷し、層状又は環状にひび割れたような構造となる。このような状態になったパルプ繊維は、古紙の再生過程における機械力による繊維同士の擦れや攪拌羽根などとの接触により、容易に切断され、パルプ繊維の短小化などを促進するものと考えられている。このように従来の技術では、多様化する古紙から高品質のパルプを製造するためには、パルプ繊維の損傷の増大、またはエネルギー消費量増大、排水処理費増大等のコストアップが避けられなかった。
一方、上記のような古紙から脱墨パルプを製造する場合に限らず、紙表面の平滑性の向上や紙力の向上などを目的として、従来から、機械力を用いてパルプを叩解処理することでパルプ繊維の改質が行われてきた。この叩解処理によって、短小化したパルプ繊維や微細繊維が増加するために紙層が緻密となり紙の平滑性が向上するという効果が得られ、パルプ繊維表面のミクロフィブリルの毛羽立ちによって繊維間結合面積が増大し、紙力が向上するという効果が得られていた。しかしながら、この叩解処理では、パルプ繊維自体のカッティングによる損傷が発生するため、パルプ繊維長の低下による紙力の低下(特に引裂強さの低下)を生じていた。また、紙層が緻密になる反面、紙の嵩が低下する(密度が大きくなる)という問題もあった。
このように従来の脱墨パルプ製造技術やパルプ叩解技術では、パルプ繊維全体に機械的負荷がかかるため、パルプ品質を向上させるためにはパルプ繊維の損傷・短小化または添加薬品費のコストアップが避けられなかった。
下記のウクライナの非特許文献(非特許文献1、2、3参照)では、板紙古紙パルプの製造にキャビテーションを利用しているが、本発明のような脱墨処理や叩解処理を行うものではない。なお、特許文献2には、パルプ懸濁液を特定の形状を有する反応器に通することによってキャビテーションを利用したパルプの処理方法が開示されているが、この方法では十分にインキを剥離・除去することは困難であった。
書籍本文用紙などの紙製品の分野における近年の技術動向として、まず第1に、環境に対する意識の向上やコストダウンなどを背景とした、紙への古紙配合率の増加を挙げることができる。この古紙配合率は年々増加する傾向である。従来の技術で得られる脱墨パルプは、前述のように、パルプ繊維が短小化したり、微細繊維分が増加したり、パルプ繊維がねじれていたり、未剥離インキが増加し白色度が低下する等の品質上の問題があった。この従来の脱墨パルプを配合すると、得られる紙製品の紙力(特に引裂強さ)や剛度(紙腰)が低下する問題や、白色度が低下する等の問題を抱えていた。
第2に、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用する目的で、紙の厚さを維持したまま軽量化を図る、すなわち低密度化した紙製品がユーザーから求められており、特に書籍本文用紙では、書籍や本にボリューム感を付与するために嵩高化が強く求められている。用紙の嵩高化、すなわち低密度化を行うためには、種々の方法が行われている。例えば、(1)架橋処理したパルプを用いる方法(特許文献3、特許文献4参照)、(2)合成繊維を混抄する方法(特許文献5参照)、(3)パルプ繊維間に無機物を充填する方法(特許文献6参照)、(4)空隙をもたらす発泡性粒子を添加する方法(特許文献7参照)、(5)軽度に叩解したパルプ繊維を配合する方法(特許文献8参照)、(6)嵩高薬品を添加する方法(特許文献9参照)、(7)パルプをマーセル化処理する方法(特許文献10参照)、(8)パルプを酵素で処理する方法(特許文献11参照)などが提案されている。しかしながら、上記の方法では嵩高化が十分でないこと、あるいは嵩高になるが、紙の強度や平滑度が低下することなどの問題があった。そのため、このような方法で書籍本文用紙を嵩高化すると、紙の強度や平滑度が低下する問題が生じ、オフセット印刷走行性の悪化やブランケットパイリング洗浄の増加などの印刷作業性悪化やインキ着肉性が悪化するなどのオフセット印刷適性等が劣る問題があった。
第3に、タワープレス型オフセット印刷機の登場により両面カラー印刷も可能になったことから、書籍本文の分野でもカラー面の増加が急激に進んでいることを挙げられ、鮮明なカラー印刷面が求められている。このような背景から、オフセット印刷物の品質に対する要求は年々高くなっている。中でも、インキ着肉性に対する要求は高い。インキ着肉性を向上するための最も一般的な方法として、紙のカレンダー処理が挙げられる。カレンダー処理を施すことで、紙表面の平滑性が向上し、オフセット印刷機のブランケットからの紙へのインキ転移を向上させることができるものの、従来から用いられている金属ロールから成るカレンダー装置により紙の平滑性を向上させた場合、紙層の潰れが大きく、紙厚は下がる。この紙厚の低下は紙腰を低下させるという問題があった。
特許第3191828号公報 特開昭49-51703号公報 R.A. SoloИitsyИ et al., Bum Prom-st', 1987(6), 22 R.A. SoloИitsyИ et al., Bum Prom-st', 1987(1), 25 R.A. SoloИitsyИ et al., Bum Prom-st', 1986(7), 24 特開平4-185791号公報 特開平4-202895号公報 特開平3-269199号公報 特開平3-124895号公報 特開平5-230798号公報 特開昭58-24000号公報 特開平11-350380号公報 特開平7-189168号公報 特開平7-54293号公報
以上のように、紙の強度と平滑度を維持したまま、低密度(嵩高)で、オフセット印刷走行性、作業性やインキ着肉性などのオフセット印刷適性等に優れた、書籍本文用紙が求められていた。
本発明が解決しようとする第1の課題は、脱墨パルプ(以下、DIPと記す)高配合であっても、嵩高でありながら平滑性に優れ、引裂強さや剛度の低下が少なく、かつ夾雑物が少なく白色度が高く、オフセット印刷適性に優れた高品質の書籍本文用紙の提供にある。第2の課題は、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れた書籍本文用紙の提供にある。
本発明者らは、DIPの製造において、大部分のインキがパルプ繊維及び/または塗工層表面に付着していることに着目し、従来のパルプ繊維全体に対して負荷を与えるインキ剥離方法ではなく、パルプ繊維表面に対して選択的に負荷を与えてインキを剥離する方法について、鋭意研究を重ねた結果、キャビテーションによって気泡を発生させ、これをパルプ懸濁液に接触させて処理したDIPは、パルプ繊維自体への損傷・短小化が抑えられ、パルプ繊維表面に付着しているインキの剥離・微細化が促進され、高白色度で残インキが少ない高品質のものが得られること、書籍本文用紙のパルプ原料として該DIPを使用することにより、嵩高でありながら平滑性に優れ、引裂強さや剛度の低下が少なく、かつ夾雑物が少なく白色度が高く、オフセット印刷適性(インキ着肉性が良好でブランケットパイリングが少ない)に優れた高品質の書籍本文用紙を製造できることを見出し、本発明の書籍本文用紙を完成し、第1の課題を解決するに至った。
また、本発明者らは、パルプ繊維自体の嵩が機械的叩解処理時に最も低下することに着目し、パルプ繊維表面に対して選択的に負荷を与えて繊維の損傷と内部フィブリル化の進行を抑えて、パルプ繊維の嵩を低下させずに濾水度を調整することによって嵩高なパルプを得る方法について、鋭意研究を重ねた結果、キャビテーションによって気泡を発生させ、これをパルプ懸濁液に接触させて処理することで、発生する微細気泡の崩壊衝撃力によって、パルプ繊維自体の嵩を損なわずに濾水度を調整できること、この濾水度を調整したパルプを書籍本文用紙のパルプ原料として使用することにより、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性(インキ着肉性が良好でブランケットパイリングが少ない)に優れた高品質の書籍本文用紙を製造できることを見出し、本発明の書籍本文用紙を完成し、第2の課題を解決するに至った。
すなわち、本発明はキャビテーションによって気泡を発生させ、これをパルプ懸濁液に接触させて処理したパルプを含有する書籍本文用紙である。
本発明の第1の効果は、キャビテーション処理によってパルプ繊維表面に付着している汚染物質を除去したパルプを書籍本文用紙の原料パルプとして使用することにより、DIP高配合にもかかわらず、嵩高でありながら平滑性に優れ、引裂強さや剛度の低下が少なく、かつ夾雑物が少なく白色度が高く、オフセット印刷適性に優れた高品質の書籍本文用紙を製造できる。本発明の第2の効果は、キャビテーション処理によってパルプ繊維の損傷を抑えて濾水度を調整したパルプを書籍本文用紙の原料パルプとして使用することにより、嵩高でありながら平滑性が優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れること、更に、配合するキャビテーション処理パルプの種類に応じて、様々な品質が向上した書籍本文用紙を製造できるという効果が得られる。
書籍本文用紙のパルプ原料の種類としては、従来から、原料パルプとして化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)等)、機械パルプ(グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等)、DIPを任意の割合で混合して使用されている。すなわち、原料パルプが化学パルプのみの場合は上質書籍本文用紙であり、化学パルプ以外に機械パルプを含有する場合は中質書籍本文用紙であり、これらにそれぞれDIPを含有させた場合は、それぞれ古紙入り上質書籍用紙(再生上質書籍用紙)、古紙入り中質書籍用紙(再生中質書籍用紙)となる。本発明の書籍本文用紙においては、キャビテーションによって発生した気泡で処理するパルプの種類には特に限定は無く、前記の各種原料パルプや古紙パルプ等をキャビテーション処理して使用できる。全ての種類のパルプをキャビテーション処理して配合して抄紙しても良いし、特定種類のパルプのみを全量、キャビテーション処理して配合し抄紙しても良いし、特定の種類のパルプの一部をキャビテーション処理して配合し抄紙しても良い。また、非木材繊維もキャビテーション処理して使用することもできる。
本発明の書籍本文用紙に使用されるキャビテーション処理パルプは、キャビテーションによって気泡を発生させ、これをパルプ懸濁液に接触させて処理することにより、パルプ繊維に付着しているインキ等の汚染物質を除去したパルプ、及び/または所望の濾水度に調製されたパルプである。
本発明の書籍本文用紙の原料パルプの処理に用いるキャビテーションについて説明する。キャビテーションは、加藤の成書(加藤洋治編著、新版キャビテーション 基礎と最近の進歩、槇書店、1999)にあるように、キャビテーション気泡は崩壊時に数μmオーダーの局所的な領域に数Gpaにおよぶ高衝撃力を発生し、また気泡崩壊時に断熱圧縮により微視的にみると数千℃に温度が上昇する。その結果、キャビテーションを発生した場合には温度上昇が伴う。これらのことから、キャビテーションは流体機械に損傷、振動、性能低下などの害をもたらす面があり、解決すべき技術課題とされてきた。近年、キャビテーションについて研究が急速に進み、キャビテーション噴流の流体力学的パラメーターを操作因子としてキャビテーションの発生領域や衝撃力まで高精度に制御できるようになった。その結果、気泡の崩壊衝撃力を制御することにより、その強力なエネルギーを有効活用することが期待されはじめている。従って、流体力学的パラメーターに基づく操作・調整を行うことでキャビテーションを高精度に制御することが可能となった。これは技術的作用効果の安定性を保持することが可能であることを示しており、従来のように流体機械で自然発生的に生じる制御不能の害をもたらすキャビテーションではなく、制御されたキャビテーションによって発生する気泡を積極的にパルプ懸濁液に導入し、そのエネルギーを有効利用することが本発明におけるキャビテーションの特徴である。
本発明におけるキャビテーションの発生手段としては、液体噴流による方法、超音波振動子を用いる方法、超音波振動子とホーン状の増幅器を用いる方法、レーザー照射による方法などが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、液体噴流を用いる方法が、キャビテーション気泡の発生効率が高く、より強力な崩壊衝撃力を持つキャビテーション気泡雲を形成するためインキ等の汚染物質に対する作用効果が大きい。上記の方法によって発生するキャビテーションは、従来の流体機械に自然発生的に生じる制御不能の害をもたらすキャビテーションと明らかに異なるものである。
液体噴流とは、液体または液体の中に固体粒子や気体が分散あるいは混在する流体の噴流であり、パルプや無機物粒子のスラリーや気泡を含む液体噴流をいう。ここでいう気体は、キャビテーションによる気泡を含んでいてもよい。
キャビテーションは液体が加速され、局所的な圧力がその液体の蒸気圧より低くなったときに発生するため、流速及び圧力が特に重要となる。このことから、キャビテーション状態を表わす基本的な無次元数、キャビテーション数(Cavitation Number)σは次のように定義される(加藤洋治編著、新版キャビテーション基礎と最近の進歩、槇書店、1999)。
Figure 2006257621
(p:一般流の圧力、U:一般流の流速、pv:流体の蒸気圧、ρ:密度)
ここで、キャビテーション数が大きいということは、その流れ場がキャビテーションを発生し難い状態にあるということを示す。特にキャビテーション噴流のようなノズルあるいはオリフィス管を通してキャビテーションを発生させる場合は、ノズル上流側圧力p1、ノズル下流側圧力p2、、試料水の飽和蒸気圧pvから、キャビテーション数σは下記式(2)のように書きかえることができ、キャビテーション噴流では、p1、p2、pv間の圧力差が大きく、p1≫p2≫pvとなることから、キャビテーション数σはさらに以下のように近似することができる(H. Soyama, J. Soc. Mat. Sci. Japan, 47(4), 381 1998)。
Figure 2006257621
本発明におけるキャビテーションの条件は、上述したキャビテーション数σが0.001以上0.5以下であることが望ましく、0.003以上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることが特に好ましい。キャビテーション数σが0.001未満である場合、キャビテーション気泡が崩壊する時の周囲との圧力差が低いため効果が小さくなり、0.5より大である場合は、流れの圧力差が低くキャビテーションが発生し難くなる。
また、ノズルまたはオフィリス管を通じて噴射液を噴射してキャビテーションを発生させる際には、噴射液の圧力(上流側圧力)は0.01MPa以上30MPa以下であることが望ましく、0.7MPa以上15MPa以下であることが好ましく、2MPa以上10MPa以下であることが特に好ましい。上流側圧力が0.01MPa未満では下流側圧力との間で圧力差を生じ難く作用効果は小さい。また、30MPaより高い場合、特殊なポンプ及び圧力容器を必要とし、消費エネルギーが大きくなることからコスト的に不利である。一方、容器内の圧力(下流側圧力)は静圧で0.05Mpa以上0.3Mpa以下が好ましい。また、容器内の圧力と噴射液の圧力との圧力比は0.001〜0.5の範囲が好ましい。
また、噴射液の噴流の速度は1m/秒以上200m/秒以下の範囲であることが望ましく、20m/秒以上100m/秒以下の範囲であることが好ましい。噴流の速度が1m/秒未満である場合、圧力低下が低く、キャビテーションが発生し難くいため、その効果は弱い。一方、200m/秒より大きい場合、高圧を要し特別な装置が必要であり、コスト的に不利である。
本発明におけるキャビテーション処理はタンクなど任意の容器内若しくは配管内を選ぶことができるが、これらに限定するものではない。また、ワンパスで処理することも可能であるが、必要回数だけ循環させることによって更に効果を増大できる。さらに複数の発生手段を用いて並列で、あるいは、順列で処理することができる。
キャビテーションを発生させるための噴流は、パルパーのような大気開放の容器の中でなされてもよいが、キャビテーションをコントロールするために圧力容器の中でなされるのが好ましい。
本発明における液体噴流によるキャビテーションの発生方法では、パルプ懸濁液に対して、噴射液体として、例えば、蒸留水、水道水、工業用水、製紙工程で回収される再用水、パルプ搾水、白水、パルプ懸濁液、アルコールなどを噴射することができるが、これらに限定するものではない。好ましくは、パルプ懸濁液自体を噴射することで、噴流周りに発生するキャビテーションによる作用効果に加え、高圧でオリフィスから噴射する際の流体力学的剪断力が得られるため、より大きな作用効果を発揮する。なお、噴射液体としてパルプ懸濁液を用いる場合、処理対象とする全量を循環させて処理することも可能である。
液体噴流によってキャビテーションを発生させて処理する場合、処理対象であるパルプ懸濁液の固形分濃度は5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲で処理することが気泡の発生効率の点から好ましい。
また、処理時のパルプ懸濁液のpHは、好ましくはpH1〜13、より好ましくはpH3〜12、更に好ましくはpH4〜11である。pHが1未満であると装置の腐食などが問題となり、材質及び保守等の観点から不利である。一方、pHが13を超えると、パルプ繊維のアルカリ焼けが生じ、白色度が低下するので好ましくない。アルカリ条件である方がパルプ繊維の膨潤性がよく、OH活性ラジカルの生成量が増加することから望ましい。
本発明では、液体の噴射圧力を高めることで、噴射液の流速が増大し、より強力なキャビテーションが発生する。更に被噴射液を収める容器を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡は激しく崩壊し衝撃力も大となる。ここで、噴射液とは、高圧でオリフィスから噴射する液体を指し、被噴射液とは容器内もしくは配管内で噴射される液体を指す。キャビテーションは液体中の気体の量に影響され、気体が多過ぎる場合は気泡同士の衝突と合一が起こるため崩壊衝撃力が他の気泡に吸収されるクッション効果を生じるため衝撃力が弱まる。従って、溶存気体と蒸気圧の影響を受けるため、その処理温度は融点以上沸点以下でなければならない。液体が水を媒質とする場合、好ましくは0〜80℃、更に好ましくは10℃〜60℃の範囲とすることで高い効果を得ることができる。一般には、融点と沸点の中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水溶液の場合、50℃前後が最適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。80℃よりも高い温度では、キャビテーションを発生するための圧力容器の耐圧性が著しく低下するため、容器の損壊を生じやすいため不適である。
本発明においては、界面活性剤などの液体の表面張力を低下させる物質を添加することで、キャビテーションを発生させるために必要なエネルギーを低減することができる。添加する物質としては、公知または新規の界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、あるいは、有機溶剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの単一成分からなるものでも2種以上の成分の混合物でも良い。添加量は噴射液及び/または被噴射液の表面張力を低下させるために必要な量であればよい。また、添加場所としてはキャビテーションを発生させる場所よりも前の工程のいかなる場所でもよく、液体を循環させる場合は、キャビテーションを発生させる場所以降であっても構わない。
請求項1記載の書籍本文用紙の発明について、以下説明する。本発明の書籍本文用紙は、キャビテーションによって発生させた気泡を古紙パルプ懸濁液に接触させて、パルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離したDIPを含有する。該古紙は、新聞、チラシ、更紙系雑誌、コート紙系雑誌、感熱・感圧紙、模造・色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙である。また、夏場などに経時劣化した新聞古紙や更紙系雑誌、トナー印刷物などを含むオフィス古紙なども古紙として使用できる。さらに、前記の古紙中にラミネート加工された紙やUV樹脂インキなどで印刷された紙などの禁忌品が混入しているものも使用できる。禁忌品とは、古紙再生促進センターが定義(財団法人古紙再生促進センター編、古紙ハンドブック1999、p.4)するA類、B類全般を指す。オフィス古紙としては、古紙再生促進センターが定義(古紙ハンドブック1999、p.3)する上質系オフィス古紙全般を指すが、事業所および家庭から古紙または紙ゴミとして回収される古紙であれば、これらに限定するものではない。古紙に含まれるトナー以外のインキとしては公知の印刷インキ(日本印刷学会編、“印刷工学便覧”、技報堂、p.606、1983)、ノンインパクトプリンティングインキ(“最新・特殊機能インキ”、シーエムシー、p.1、1990)等が挙げられる。新聞や更系雑誌に用いられる非加熱の浸透乾燥方式のオフセットインキとしては公知の新聞・更紙用オフセットインキ(後藤朋之、日本印刷学会誌、38(5)、7、(2001)など)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
前記の各種の古紙に含有されているパルプであれば、キャビテーション処理により汚染物質を除去後、本発明の書籍本文用紙のDIPとして使用することができる。また、該DIPにおけるパルプ繊維と灰分の比率については特に制限はない。灰分とは無機粒子全般を指し、紙の製造時に内添された填料、もしくは塗工された顔料等、紙を灰化した際に残存する物質であり、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、非晶質シリカ、二酸化チタン、硫酸カルシウム等が挙げられる。
古紙を再生する工程でキャビテーション気泡を発生させ、これを古紙パルプ懸濁液に接触させてパルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離し、剥離した汚染物質を除去することにより、高品質のDIPが得られるが、この汚染物質とは、パルプ繊維および灰分に付着している異物を指し、例えば、前記のインキに加えて、蛍光染料や一般の染料、塗料や天然または合成の高分子物質等の塗工層残渣、ラミネート等の加工層残渣、接着剤および粘着剤、サイズ剤等が挙げられる。更に紙を抄造する際に内添する歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、内添サイズ剤、染料等の抄紙用内添薬剤等が挙げられる。この中でも、インキが主要な汚染物質である。
高濃度パルパー、ニーダー等の機械力を伴うインキ剥離工程と、フローテーション及び/または洗浄法によるインキ除去工程からなる、古紙を再生するために用いられる脱墨工程のいかなる場所にもキャビテーション処理を適用できる。また、高濃度パルパー、ニーダー等の機械力を伴う従来のインキ剥離工程に代えて、キャビテーション処理を行っても良い。具体的には、以下の2通りの方法が挙げられる。
(1)従来の機械力を伴うインキ剥離工程に代えて、キャビテーション処理を行う場合。この場合の脱墨工程は、次の構成となる。:キャビテーション処理+(フローテーション及び/または洗浄法)
(2)インキ剥離を従来の機械力とキャビテーションの組み合わせで行う場合。この場合の脱墨工程は、次の構成となる。:(機械力+キャビテーション処理)+(フローテーション及び/または洗浄法)
機械力によってインキを剥離する装置としては、タブ式またはドラム式パルパーやニーダー、マイカプロセッサー、ディスパーザーなどやCarreらの文献(B. Carre, Y. Vernacand G. Galland, Pulp and Paper Canada, 99(9), 46 (1998))に示される各種離解、混錬、分散技術に基づく装置が挙げられる。特に、前記(2)のように、機械力によるインキ剥離装置とキャビテーション処理を組合わせることで、2種の異なる機構によってインキ剥離を行うため、より作用効果が大きくなる。更に必要に応じて水酸化ナトリウム、珪酸ソーダ、その他のアルカリ薬品、脱墨剤、酸化性漂白剤、還元性漂白剤を加えることができる。用いるインキ剥離装置及びインキ除去装置、或いは処理条件については、特に制限はない。また、異物除去や高白色度化が必要ならば、上記脱墨工程に通常用いられている異物除去工程又は漂白工程などを組み入れることができる。
既存の古紙を再生する工程にキャビテーション処理を適用することにより、従来の脱墨技術では困難な、比較的低濃度、低温でのダートの剥離・微細化に効果を発揮する。従って、キャビテーション処理を用いることで、パルプを過度に脱水し高濃度化することなく高品質のパルプを製造できる。
また、キャビテーション処理ではパルプ繊維からインキを剥離するに際して、特に脱墨薬品を使用しなくともインキを剥離することができる。従来の脱墨工程で使用されるニーダーのような機械的インキ剥離方法では、パルプ繊維を高濃度で擦り合わせるため、インキの剥離と同時にパルプ繊維内部へのインキの擦り込みが生じるため、残存インキ量が減少しても白色度が向上しないという現象を生じるが、本発明による方法では、低濃度でインキの剥離・分散を促進するため、パルプ繊維内部への擦り込みが発生し難く、白色度の高いパルプが得られる。このキャビテーション処理では、汚染物質が除去されると同時に後述するパルプ繊維の損傷・短小化が少ない叩解作用も同時に起こるため、得られるパルプは、夾雑物が少なく白色度が高いと同時に嵩高性、平滑性と引裂強さ、剛度に優れた特性を有する。また、平滑性が高いためオフセット印刷のインキ着肉性に優れる。
本発明では、キャビテーションを発生する工程と、それ以降に続くフローテーション及び/または洗浄からなるインキ除去工程を適宜組合わせることで、剥離したインキ等が効果的に除去されることから、より高白色度の高品質のDIPを得ることができる。更に、複数のインキ剥離工程とインキ除去工程と本発明を組合わせることでより良い効果を得ることができる。フローテーション、洗浄装置としては、公知または新規の繊維から汚染物質の分離を目的としたいかなる装置を用いてもよい。
本発明の書籍本文用紙において、キャビテーション処理によりパルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離したDIPの配合率は、特に限定はない。従来の古紙入り書籍本文用紙におけるDIPの配合率は5〜100固形分重量%であり、この配合率の範囲内で使用することが好ましい。嵩高でありながら平滑性に優れ、引裂強さや剛度の低下が少なく、夾雑物が少なく白色度が高く、オフセット印刷適性に優れるという紙質の特徴は、キャビテーションで発生させた気泡により汚染物質を除去したDIPの配合率に応じて変化し、配合率が高いほど顕著に現れる。この観点から、前記の配合率の範囲内でなるべく高配合が望ましい。他の原料パルプとしては、化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、RGP、TMP、CTMP等)、非木材繊維を書籍本文用紙の要求される品質に応じて、適宜配合することができる。機械パルプは広葉樹であっても針葉樹であってもかまわない。
本発明の書籍本文用紙は、抄紙pHが酸性領域で抄紙される酸性紙、抄紙pHが疑似中性領域で抄紙される疑似中性紙、抄紙pHが中性領域で抄紙される中性紙、抄紙pHがアルカリ性領域で抄紙されるアルカリ性紙のいずれでもよい。また、酸性領域で抄紙された酸性原紙の表面にアルカリ性薬剤を塗布した中性紙も可能である。
本発明の書籍本文用紙は填料無配合でも、配合しても良いが、不透明度、印刷後不透明度を高める観点や、裏抜けを低減する観点から、填料を配合することが好ましい。填料を配合する場合、填料としては酸性抄紙、中性抄紙あるいはアルカリ性抄紙において一般に使用されている填料が使用でき、特に限定されるものではない。例えば、疑似中性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙では、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ(ホワイトカーボン等)、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料が単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用される。また酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の書籍本文用紙の製造において、各種の内添サイズ剤を配合しても良い。また、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。
また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が内添されてもよい。
その他製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。
更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公用の抄紙機で抄紙することができる。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。表面処理剤は塗布しても良いし、しなくても良い。表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の成分には特に限定は無く、またサイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレスや、ゲートロールサイズプレス、シムサイザーのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。キャレンダーは通常の操業範囲内の線圧で用いられるが、書籍本文用紙を嵩高にする観点から、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧またはバイパスが好ましく、また、通常のキャレンダーよりもソフトキャレンダーが好ましい。
表面処理剤は、特に限定は無く、例えば、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、エーテル化澱粉(湿式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉、乾式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉等)などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用できる。その中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉の塗布が最も好ましい。また、表面処理剤には前記の薬剤の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を併用塗布することができる。
請求項1記載の発明では、古紙を再生する工程において、キャビテーションによって発生させた気泡を、古紙パルプ懸濁液に接触させて、パルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離したDIPを含有させることにより、酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法の別なく、従来技術で得られるDIPを含有させた書籍本文用紙に比較して、DIP高配合であっても、高白色度で残インキが少なく、かつ嵩高でありながら平滑性に優れ、引裂強さや剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れた高品質の書籍本文用紙が得られるという効果がある。
請求項2記載の発明について、以下説明する。本発明は請求項1記載の発明である書籍本文用紙において、紙料へ添加する填料を、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物から選ばれる1種類以上を少なくとも含むものとし、かつ抄造法を中性抄紙法にしたものである。
これらの炭酸カルシウム系填料の紙中填料率は、3〜40固形分重量%であり、7.5〜40固形分重量%が好ましく、10〜40固形分重量%が更に好ましい。3固形分重量%未満では白色度、不透明度、印刷後不透明度等の光学的品質の向上幅が小さく、40固形分重量%を超えると紙の抄造が困難となる。
その他の紙料へ添加する填料としては、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、再生填料などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等を適宜使用することができる。尚、再生填料とは、脱墨パルプ製造工程から発生するフローテーターのフロス及び/または他の排水等からなる製紙スラッジを脱水、焼成、粉砕して得られる填料のことを指す。
請求項2記載の発明は中性書籍本文用紙であるから、必要に応じて添加される内添サイズ剤は中性pH領域でサイズ度を発現するものである必要があり、例えば、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、中性ロジンサイス剤、アルケニルケテンダイマー等が挙げられる。
表面サイズ剤は、中性書籍本文用紙原紙に塗布してサイズ度発現が大きいものを使用することが好ましく、カチオン性表面サイズ剤が好適である。
請求項2記載の発明において、上記の填料、内添サイズ剤、表面サイズ剤以外は、請求項1記載の発明と同様にして書籍本文用紙を得る。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の書籍本文用紙よりも更に白色度が高い高品質の書籍本文用紙が得られるという効果を有する。
請求項3記載の発明について、以下説明する。パルプの製造工程において、パルプ懸濁液中にキャビテーションを発生させることにより、該パルプを所望の濾水度に調製するパルプの叩解方法については、本出願人は既に出願している(特願2005-33668)。本発明は、この叩解方法で調整したパルプを配合した書籍本文用紙である。所望の濾水度とは、書籍本文用紙用の原料パルプの場合、従来の機械力を用いた叩解方法で得られる原料パルプの濾水度の範囲であれば良く、特に限定はない。原料パルプの種類ごとの具体的な濾水度の範囲は、原料樹種やパルプ製造方法に違いがあるため、一概には言えないが、一般的には、DIPで50〜400ml、針葉樹機械パルプで100〜600ml程度、広葉樹機械パルプで100〜600ml程度、針葉樹クラフトパルプで400〜700ml程度、広葉樹クラフトパルプで200〜600ml程度である。キャビテーションによって気泡を発生させ、これをパルプ懸濁液に接触させて処理することで、発生する微細気泡の崩壊衝撃力によって、パルプ繊維自体の嵩を損なわずに濾水度を調整でき、このパルプを用いて抄造した本発明の書籍本文用紙は、従来の機械力を用いた叩解により濾水度を調整したパルプを使用して抄造した書籍本文用紙に比較して、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れるという効果を有する。
書籍本文用紙に限らず、紙の抄紙に際しては、例えば紙力や表面平滑性などの紙の目標品質を得るために、抄紙前にパルプを機械力で叩解しパルプ濾水度を調整している。本発明においては、キャビテーションによって発生させた気泡を接触させる対象パルプは、書籍本文用紙の原料パルプとして従来から使用されているパルプであれば、対象パルプとすることができる。具体的には、化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、RGP、TMP、CTMP等)、DIPなどのパルプを対象とする。機械パルプは針葉樹であっても広葉樹であってもかまわない。また、先に説明した請求項1記載の、キャビテーションによって発生させた気泡を古紙パルプ懸濁液に接触させてパルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離したDIPも請求項3記載の本発明の対象パルプとすることができる。
化学パルプと機械パルプの場合、キャビテーションで発生させた気泡によりパルプを叩解する場所は、パルプ化工程及び調成工程のいかなる場所でも良いが、繊維状物質が解繊されてパルプとなった時点で適用することが好ましい。DIPの場合、キャビテーションで発生させた気泡によりDIPを叩解する場所は、脱墨工程後から調成工程の間である。
また、機械力による従来の叩解とキャビテーションによる叩解を組み合わせることで、2種の異なる機構によって叩解を行うため、パルプ繊維の叩解特性を制御し、より望ましい紙質を得ることができる。この場合、機械力による叩解とキャビテーションによる叩解の順序は問わない。
本発明の書籍本文用紙は、これらの原料パルプを、キャビテーションによって発生させた気泡を、これらの原料パルプ懸濁液の少なくとも1種類に接触させて、所望の濾水度に調製したパルプを含有させた書籍本文用紙である。全ての種類のパルプを処理して抄紙することも可能である。
キャビテーションによって発生させた気泡により所望の濾水度に調製したパルプの全パルプに対する配合率は特に限定は無いが、配合率が高いほど、嵩高であり、平滑性が優れ、剛度の低下が少なく、かつオフセット印刷適性が優れる書籍本文用紙が得られる。その観点から、5〜100固形分重量%が好ましく、10〜100固形分重量%がより好ましい。
本発明の書籍本文用紙は、抄紙pHが酸性領域で抄紙される酸性紙、抄紙pHが疑似中性領域で抄紙される疑似中性紙、抄紙pHが中性領域で抄紙される中性紙、抄紙pHがアルカリ性領域で抄紙されるアルカリ性紙のいずれでもよい。また、酸性領域で抄紙された酸性原紙の表面にアルカリ性薬剤を塗布した中性紙も可能である。
本発明の書籍本文用紙は填料無配合でも、配合しても良いが、不透明度、印刷後不透明度を高める観点、裏抜けを低減する観点から、填料を配合することが好ましい。填料を配合する場合、填料としては酸性抄紙、中性抄紙あるいはアルカリ性抄紙において一般に使用されている填料が使用でき、特に限定されるものではない。例えば、疑似中性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙では、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料が単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用される。また酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の書籍本文用紙の製造において、各種の内添サイズ剤を配合しても良い。また、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。
また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が内添されてもよい。
その他製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。
更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公用の抄紙機で抄紙することができる。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。表面処理剤は塗布しても良いし、しなくても良い。表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の成分には特に限定は無く、またサイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレスや、ゲートロールサイズプレス、シムサイザーのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。キャレンダーは通常の操業範囲内の線圧で用いられるが、書籍本文用紙を嵩高にする観点から、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧またはバイパスが好ましく、また、通常のキャレンダーよりもソフトキャレンダーが好ましい。
表面処理剤は、特に限定は無く、例えば、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、エーテル化澱粉(湿式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉、乾式低分子化ヒドロキシエチル化澱粉等)などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用できる。その中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉の塗布が最も好ましい。また、表面処理剤には前記の薬剤の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を併用塗布することができる。
請求項4記載の発明について、以下説明する。本発明の書籍本文用紙は、キャビテーションで発生させた気泡により叩解するパルプの種類を脱墨後のパルプ(DIP)のみに限定し、これを含有する書籍本文用紙である。該DIPとしては、機械力を伴うインキ剥離工程と、インキ除去工程からなる、従来のDIPの製造方法で製造されるDIPを対象とする。該脱墨パルプの原料古紙は、請求項1の発明で使用する古紙と同様である。
また、本願発明請求項1記載の、キャビテーションによって発生させた気泡を古紙パルプ懸濁液に接触させて、パルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離したDIPも対象とすることができる。
キャビテーションで発生させた気泡により叩解したDIPの全パルプに対する配合率は特に限定はない。従来の書籍本文用紙におけるDIPの配合率は5〜100固形分重量%であり、この配合率の範囲内で使用することが好ましい。嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れるという紙質の特徴は、キャビテーションで発生させた気泡により叩解したDIPの配合率に応じて変化し、配合率が高いほど顕著に現れる。この観点から、前記の配合率の範囲内でなるべく高配合が望ましい。
本願発明請求項1記載のDIPを、キャビテーションで発生させた気泡により叩解する対象パルプとし、この叩解パルプを原料パルプとして使用する場合の効果としては、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れることに加えて、夾雑物が少なく白色度が高いという効果も得られる。
他の原料パルプとしては、化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、RGP、TMP、CTMP等)、非木材繊維を書籍本文用紙の要求される品質に応じて、適宜配合することができる。機械パルプは広葉樹であっても針葉樹であってもかまわない。
前記のパルプ原料配合以外は、請求項3記載の発明と同様にして書籍本文用紙を得る。
請求項5記載の発明について、以下説明する。本発明の書籍本文用紙は、キャビテーションで発生させた気泡により叩解するパルプの種類をクラフトパルプに限定し、これを含有する書籍本文用紙である。該クラフトパルプは針葉樹であっても広葉樹であってもかまわず、更に漂白の程度も問わない。すなわち、未晒クラフトパルプ、半晒クラフトパルプ、晒クラフトパルプのいずれでも良い。
キャビテーションで発生させた気泡により叩解したクラフトパルプの全パルプに対する配合率は特に限定はないが、従来の書籍本文用紙におけるクラフトパルプの配合率は5〜100固形分重量%であり、この配合率の範囲内で使用することが好ましい。
本発明の書籍本文用紙における、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れるという紙質の特徴は、キャビテーションで発生させた気泡により叩解したクラフトパルプの配合率に応じて変化し、配合率が高いほど顕著に現れる。
他の原料パルプとしては、機械パルプ(GP、RGP、TMP、CTMP等)、DIP、非木材繊維を新聞印刷用紙の要求される品質に応じて、適宜配合することができる。機械パルプは広葉樹であっても針葉樹であってもかまわない。
前記のパルプ原料配合以外は、請求項3記載の発明と同様にして書籍本文用紙を得る。
請求項6記載の発明について、以下説明する。本発明の書籍本文用紙は、キャビテーションで発生させた気泡により叩解するパルプの種類を機械パルプに限定し、これを含有する書籍本文用紙である。機械パルプの種類には限定はなく、GP、RGP、TMP、CTMP等を用いることができる。機械パルプは針葉樹であっても広葉樹であってもかまわない。
機械パルプは木材丸太または木材チップを機械的に磨り潰して製造されるため、製造されたパルプ中にはシャイブと呼ばれる結束繊維が多く含まれている。このため機械パルプは精選工程で、例えばスリットスクリーンのような形状分離型の除塵装置を用いて処理し、大きな形状の結束繊維を除去した後、抄紙工程へ送られ、他の原料パルプや填料、内添薬品等と混合された後、抄紙機で抄造されて中質書籍本文用紙が製造されている。しかし、精選にも限界があるため、小さな形状のシャイブは除塵装置を通過し、完成した機械パルプ中に混入してしまう。このような機械パルプを配合した抄紙原料から書籍本文用紙を抄造すると、書籍本文用紙の紙層中にシャイブが抄き込まれ、これが原因となって、抄紙工程で断紙を引き起こし、また、紙面欠陥となる問題がある。また、書籍本文用紙を印刷する際に、印刷機での断紙の原因ともなるし、シャイブの部分が印刷抜けとなり印刷品質を低下させてしまうこともある。また、シャイブという夾雑物の存在により、書籍や本の外観品質が低下するという問題もある。
キャビテーションによって発生させた気泡を機械パルプの懸濁液に接触させることにより、既に解繊しているパルプを所望の濾水度に調製することができるが、これと同時に機械パルプに含まれているシャイブが効率よく解繊されることを本発明者らは見出した。従って、請求項6記載の書籍本文用紙は、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性が優れることに加えて、シャイブ数も少ないという効果を有する。
キャビテーションで発生させた気泡により叩解した機械パルプの全パルプに対する配合率は特に限定はないが、従来の書籍本文用紙における機械パルプの配合率は5〜50固形分重量%であり、この配合率の範囲内で使用することが好ましい。
本発明の書籍本文用紙における、嵩高でありながら平滑性に優れ、剛度の低下が少なく、オフセット印刷適性に優れ、シャイブ数も少ないという紙質の特徴は、キャビテーションで発生させた気泡により叩解した機械パルプの配合率に応じて変化し、配合率が高いほど顕著に現れる。
他の原料パルプとしては、化学パルプ(NBKP、LBKP等)、DIP、非木材繊維を書籍本文用紙の要求される品質に応じて、適宜配合することができる。
前記のパルプ原料配合以外は、請求項3記載の発明と同様にして書籍本文用紙を得る。
請求項7記載の発明について、以下説明する。本発明は請求項3〜6記載の発明である書籍本文用紙における、紙料へ添加する填料を、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物から選ばれる1種類以上を少なくとも含むものとし、かつ抄造法を中性抄紙法にしたものである。
これらの炭酸カルシウム系填料の紙中填料率は、3〜40固形分重量%であり、7.5〜40固形分重量%が好ましく、10〜40固形分重量%が更に好ましい。3固形分重量%未満では白色度、不透明度、印刷後不透明度等の光学的品質の向上幅が小さく、40固形分重量%を超えると紙の抄造が困難となる。
その他の紙料へ添加する填料としては、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、再生填料などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等を適宜使用することができる。尚、再生填料とは、脱墨パルプ製造工程から発生するフローテーターのフロス及び/または他の排水等からなる製紙スラッジを脱水、焼成、粉砕して得られる填料のことを指す。
請求項7記載の発明は中性書籍本文用紙であるから、必要に応じて添加される内添サイズ剤は中性pH領域でサイズ度を発現するものである必要があり、例えば、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、中性ロジンサイス剤、アルケニルケテンダイマー等が挙げられる。
表面サイズ剤は、中性書籍本文用紙原紙に塗布してサイズ度発現が大きいものを使用することが好ましく、カチオン性表面サイズ剤が好適である。
請求項7記載の発明において、上記の填料、内添サイズ剤、表面サイズ剤以外は、請求項3〜6記載の発明と同様にして新聞印刷用紙を得る。
請求項7記載の発明では、請求項3〜6記載の書籍本文用紙よりも更に白色度が高い高品質の書籍本文用紙が得られるという効果を有する。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、例中の%は全て固形分重量%を示す。
実施例、比較例で使用した、DIP、クラフトパルプ(KP)、機械パルプ(MP)の調整方法とパルプ品質を以下に示す。各試験方法、測定方法は次のとおりである。
・保水度:J.TAPPI No.26に従った。
・篩別試験:JIS P 8207:1967に従った。
・カナダ標準濾水度(以下、CSFと記す):JIS P 8121:1955に従った。
・厚さ:JIS P 8118:1998に従った。
・坪量:JIS P 8124:1988(ISO536:1995)に従った。
・密度及び嵩:手抄きシートの厚さ、坪量の測定値より算出した。
・裂断長及び伸び:JIS P 8113:1998に従った。
・引裂強さ、比引裂強さ:JIS P 8116:2000に従った。
・比破裂強さ:JIS P 8112:1994に従った。
・白色度:JIS P 8148に準じて、色差計(村上色彩株式会社製)で測定した。
・不透明度:JIS P 8149:2000に従った。
・比散乱係数、比吸収係数:TAPPI T425om-91に準拠して、色差計(村上色彩株式会社製)で測定した。
<キャビテーション処理パルプの調整>
図1において、試料タンク1内に図示しないパルプ懸濁液(濃度1.1%)が収容され、試料タンク1には温度センサー12とミキサー13が挿入されている。試料タンク1のパルプ懸濁液はプランジャポンプ4を介した所定の配管によりキャビテーション噴流セル3に噴射液として導入される。キャビテーション噴流セル3の下部にはノズル2が設けられ、より詳細には試料タンク1のパルプ懸濁液はノズル2から噴流セル3内に噴射される。さらに、試料タンク1の側部から噴流セル3に向かう配管に給水弁9、循環弁10が設けられ、試料タンク1内のパルプ懸濁液を噴流セル3内に被噴射液として供給される。試料タンク1の側部からノズル2に向かう別の配管には上流側圧力制御弁5が介装されている。一方、噴流セル3の上部から試料タンク1に向かう別の配管には下流側圧力制御弁6が介装され、各弁5,6を調整することで、ノズル2へのパルプ懸濁液の噴射圧を調整可能になっている。又、ノズル2の入側には上流側圧力計7が設けられ、噴流セル3の上部には下流側圧力計8が設けられている。なお、噴流セル3の下部には排水弁が11が設けられている。
[実施例用DIP1]
脱墨用の試料として、印刷後1年半以上経過した劣化新聞古紙を2cm×2cmに細断した。古紙絶乾660gに対して水酸化ナトリウム1.0重量%を加え、水でパルプ濃度15重量%に調整した後、パルパーを用いて、40℃で、6分間離解し離解原料Aとした。離解した試料に水を加えて古紙濃度が1.1重量%になるように希釈し、この希釈パルプ懸濁液に、キャビテーション噴流式清浄装置を用いて、1.1重量%のパルプ懸濁液を噴射した。キャビテーション噴流式洗浄装置にて、被噴射容器の圧力(下流圧)を0.1Mpa、噴射液の圧力(上流圧)を3Mpaとし、5分間処理した。得られた画分について、CSFを測定し、処理後のパルプを150メシュワイヤー上で十分に洗浄した。洗浄後のパルプについてTappi標準法に基づいて60g/m2の手抄きシート5枚を作成した。手抄きシートの白色度および色相を測定した。さらに残インキを測定するため、微細インキについて残インキ測定装置(カラータッチ:テクニダイン社製)を用いてERIC(有効残インキ濃度)値として測定した。粗大インキについては夾雑物測定装置(スペックスキャン2000:アポロジーテクノロジー社製)を用いて、異なる5枚の手抄きシート上の0.05mm2以上のダートを画像処理にて測定し、その平均値から未剥離インキ面積を測定した。パルプ品質を表1に示す。
[実施例用DIP2]
キャビテーション噴流式洗浄装置にて、被噴射容器の圧力(下流圧)を0.1Mpa、噴射液の圧力(上流圧)を5Mpaとし、5分間処理した。これ以外は実施例用DIP1の調製と同様に行った。パルプ品質を表1に示す。
[実施例用DIP3]
キャビテーション噴流式洗浄装置にて、被噴射容器の圧力(下流圧)を0.1Mpa、噴射液の圧力(上流圧)を7Mpaとし、5分間処理した。これ以外は実施例用DIP1の調製と同様に行った。パルプ品質を表1に示す。
[実施例用DIP4]
キャビテーション噴流式洗浄装置にて、被噴射容器の圧力(下流圧)を0.1Mpa、噴射液の圧力(上流圧)を9Mpaとし、5分間処理した。これ以外は実施例用DIP1の調製と同様に行った。パルプ品質を表1に示す。
[比較例用DIP1]
離解原料Aについて、150メッシュワイヤーで十分に洗浄した。洗浄後のパルプについて、実施例用DIPと同様の操作で手抄きシートを作成した。手抄きシートについて実施例用DIPと同じ項目を測定した。パルプ品質を表1に示す。
[比較例用DIP2]
離解原料Aについて、水で希釈し、PFIミルを用いてクリアランス0.2mmで3,000カウント叩解した。得られた叩解パルプを150メッシュワイヤーで十分に洗浄した。洗浄後のパルプについて、実施例用DIPと同様の操作で手抄きシートを作成した。手抄きシートについて実施例用DIPと同じ項目を測定した。パルプ品質を表1に示す。
[比較例用DIP3]
PFIミルを用いてクリアランス0.2mmで5,000カウント叩解した。これ以外は比較例用DIP2と同様に行った。パルプ品質を表1に示す。
[比較例用DIP4]
PFIミルを用いてクリアランス0.2mmで7,000カウント叩解した。これ以外は比較例用DIP2と同様に行った。パルプ品質を表1に示す。
Figure 2006257621
[実施例用DIP5]
工場で製造された新聞系DIP(原料古紙が新聞古紙であるDIP)を原料B−1とした。原料B−1を濃度1.1重量%に調整後、キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)を用いて、噴射液の圧力(上流圧)を7Mpa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流圧)を0.3Mpaとして、2分間処理した。なお、噴射液として濃度1.1重量%のパルプ懸濁液を使用し、容器内のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した。処理後、CSF、カールを測定した。処理後のパルプを使用してTappi標準法に基づいて60g/m2の手抄きシート5枚を作成した。この手抄きシートの密度、裂断長、比破裂強さ、王研式平滑度、透気抵抗度を測定した。残存する100μm以上(目視できる)と、250μm以上の粗大インキについて、夾雑物測定装置(スペックスキャン2000:アポロジーテクノロジー社製)を用いて、異なる5枚の手抄きシート上のダートを画像処理にて測定し、その平均値から単位面積当たりの未剥離インキ面積を測定した。パルプ品質を表3に示した。
[実施例用DIP6]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を6分間とした以外は、実施例用DIP5と同様に行った。パルプ品質を表3に示した。
[実施例用DIP7]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を12分間とした以外は、実施例用DIP5と同様に行った。パルプ品質を表3に示した。
[実施例用DIP8]
工場で製造された上質系DIP(原料古紙が上質古紙であるDIP)を原料B−2とした。原料B−2を濃度1.1重量%に調整後、キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)を用いて、噴射液の圧力(上流圧)を7Mpa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流圧)を0.3Mpaとして、2分間処理した。なお、噴射液として濃度1.1重量%のパルプ懸濁液を使用し、容器内のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した。処理後、CSF、カールを測定した。処理後のパルプを使用してTappi標準法に基づいて60g/m2の手抄きシート5枚を作成した。この手抄きシートの密度、裂断長、比破裂強さ、王研式平滑度、透気抵抗度を測定した。残存する100μm以上(目視できる)と、250μm以上の粗大インキについて、夾雑物測定装置(スペックスキャン2000:アポロジーテクノロジー社製)を用いて、異なる5枚の手抄きシート上のダートを画像処理にて測定し、その平均値から単位面積当たりの未剥離インキ面積を測定した。パルプ品質を表3に示した。
[実施例用DIP9]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を6分間とした以外は、実施例用DIP8と同様に行った。パルプ品質を表3に示した。
[実施例用DIP10]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を12分間とした以外は、実施例用DIP8と同様に行った。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP5]
キャビテーション噴流式洗浄装置で処理していない原料B−1より、実施例用DIP5と同様に手抄きシートを作成し、同様の項目について測定した。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP6]
原料B−1について、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、1,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP7]
原料B−1について、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、3,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP8]
原料B−1について、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、5,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP9]
キャビテーション噴流式洗浄装置で処理していない原料B−2より、実施例用DIP8と同様に手抄きシートを作成し、同様の項目について測定した。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP10]
原料B−2について、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、1,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP11]
原料B−2について、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、3,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。パルプ品質を表3に示した。
[比較例用DIP12]
原料B−2について、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、5,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。パルプ品質を表3に示した。
Figure 2006257621
[実施例用KP1]
市販LBKPを低濃度パルパーで離解し、原料C(CSF=666ml)とした。原料Cを濃度1.1重量%に調整後、キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)を用いて、噴射液の圧力(上流圧)を7Mpa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流圧)を0.3Mpaとして、2分間処理した。なお、噴射液として濃度1.1重量%のパルプ懸濁液を使用し、容器内のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した。パルプ品質を表3に示した。
更に処理後のパルプについてJIS P 8209に基づき手抄きシート5枚を作製した。手抄きシートの厚さ、坪量を測定し、これを元に密度及び嵩を算出した。更に裂断長、比引裂強さ、比破裂強さ、白色度、不透明度、比散乱係数、吸収係数を測定・算出した。結果を表4に示した。
[実施例用KP2]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を5分間とした以外は、実施例用KP1と同様に行った。結果を表3、4に示した。
[実施例用KP3]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を10分間とした以外は、実施例用KP1と同様に行った。結果を表3、4に示した。
[実施例用KP4]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を15分間とした以外は、実施例用KP1と同様に行った。結果を表3、4に示した。
[比較例用KP1]
原料Cの保水度、篩別試験及びカナダ標準濾水度(CSF)を測定した。結果を表3に示した。また、原料Cの手抄きシートについて、実施例用KP1と同様の項目について測定した。結果を表4に示した。
[比較例用KP2]
原料Cについて、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、3,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。結果を表3、4に示した。
[比較例用KP3]
PFIミルによる叩解時間を5,000カウントとした以外は、比較例用KP2と同様に行った。結果を表3、4に示した。
[比較例用KP4]
PFIミルによる叩解時間を7,000カウントとした以外は、比較例用KP2と同様に行った。結果を表3、4に示した。
[比較例用KP5]
PFIミルによる叩解時間を10,000カウントとした以外は、比較例用KP2と同様に行った。結果を表3、4に示した。
Figure 2006257621
Figure 2006257621
[実施例用MP1]
工場実機2次リファイニング後のラジアータパインのTMP(CSF=288ml)を原料Dとした。原料Dを濃度1.1重量%に調整後、キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)を用いて、噴流液の圧力(上流圧)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流圧)を0.3MPaとして、2分間処理した。なお、噴射液として濃度1.1重量%のパルプ懸濁液を使用し、容器内のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した。処理後のパルプについて、保水度、篩別試験、CSFを測定した。処理後のパルプについてJIS P 8209に基づいて手抄きシート5枚を作製した。手抄きシートの厚さ、坪量、密度、嵩、裂断長、比引裂強さ、比破裂強さ、白色度、不透明度、比散乱係数、吸収係数を測定・算出した。結果を表5、6に示した。
[実施例用MP2]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を5分間とした以外は、実施例用MP1と同様に行った。結果を表5、6に示した。
[実施例用MP3]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を10分間とした以外は、実施例用MP1と同様に行った。結果を表5、6に示した。
[実施例用MP4]
キャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)による処理時間を15分間とした以外は、実施例用MP1と同様に行った。結果を表5、6に示した。
[比較例用MP1]
原料Dについて保水度、篩別試験及びカナダ標準濾水度(CSF)を測定した。結果を表5に示した。また、原料Dの手抄きシートについて、厚さ、坪量、密度、嵩、裂断長、比引裂強さ、比破裂強さ、白色度、不透明度、比散乱係数、吸収係数を測定・算出した。結果を表5、6に示した。
[比較例用MP2]
原料Dについて、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、1,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。結果を表5、6に示した。
[比較例用MP3]
原料Dについて、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、2,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。結果を表5、6に示した。
[比較例用MP4]
原料Dについて、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、3,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。結果を表5、6に示した。
[比較例用MP5]
原料Dについて、PFIミルを用いて、濃度10%、クリアランス0.2mmで、5,000カウントまで叩解した。叩解後のパルプについて前記と同じ項目を測定した。結果を表5、6に示した。
Figure 2006257621
Figure 2006257621
以下に示す実施例、比較例で製造された新聞印刷用紙の紙質測定方法は次のとおりである。
・平滑度:JIS P 8119に従って測定した。
・引張り強さ:JIS P 8113に従って測定した。
・オフセット印刷適性:オフセット輪転機(東芝オフセット輪転機OA-4B2T-600)を使用し、書籍本文用紙のF面について2万部の墨単色印刷を行い、ベタ部の濃度ムラ、ブランケットへの紙粉堆積量について、目視評価を行った。評価は以下の4段階とした。
◎:ベタ部の濃度ムラがなく、ブランケットへの紙粉堆積もない。
○:ベタ部の濃度ムラが殆どなく、ブランケットへの紙粉堆積も殆どない。
△:ベタ部の濃度ムラがやや観察され、ブランケットへの紙粉堆積もやや観察される。
×:ベタ部の濃度ムラがあり、ブランケットへの紙粉堆積も多い。
[実施例1]
実施例用DIP1/LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、クレーを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[実施例2]
実施例用DIP1の代わりに実施例用DIP2を使用した以外は実施例1と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[実施例3]
実施例用DIP1の代わりに実施例用DIP3を使用した以外は実施例1と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[実施例4]
実施例用DIP1の代わりに実施例用脱墨DIP4を使用した以外は実施例1と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例1]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP1を使用した以外は実施例1と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例2]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP2を使用した以外は実施例1と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例3]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP3を使用した以外は実施例1と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例4]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP4を使用した以外は実施例1と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[実施例5]
実施例用DIP1/LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、軽質炭酸カルシウムを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[実施例6]
実施例用DIP1の代わりに実施例用DIP2を使用した以外は実施例5と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[実施例7]
実施例用DIP1の代わりに実施例用DIP3を使用した以外は実施例5と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[実施例8]
実施例用DIP1の代わりに実施例用DIP4を使用した以外は実施例5と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例5]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP1を使用した以外は実施例5と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例6]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP2を使用した以外は実施例5と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例7]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP3を使用した以外は実施例5と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
[比較例8]
実施例用DIP1の代わりに比較例用DIP4を使用した以外は実施例5と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表7に示した。
Figure 2006257621
酸性書籍本文用紙では、キャビテーションによって発生させた気泡により汚染物質を剥離したDIPを含有する実施例1〜4は、離解・洗浄したDIPを含有する比較例1や、機械力で汚染物質を剥離・洗浄した比較例2〜4に比較して、以下のことが解る。
(1)ERIC値で表示される微細インキが大幅に減少し、白色度が高い傾向にある。
(2)密度が低く嵩高であり、引裂強度が高く、初期純曲げこわさが高く剛度に優れる。
(3)平滑度が高くオフセット印刷適性に優れる(インキムラが少なくインキ着肉性に優れ、ブランケットパイリングが少ない)。
これらの傾向は、CSFがほほ同一のDIPを配合した実施例3と比較例2とを比較すれば、より明瞭である。
中性書籍本文用紙でも、実施例5〜8は比較例5〜8に比較して、同様に上記(1)、(2)、(3)が明らかである。尚、中性書籍本文用紙である実施例5〜8は、酸性書籍本文用紙である実施例1〜4よりも白色度が高いことが解る。
[実施例9]
実施例用DIP5/LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、クレーを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例10]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP6を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例11]
実施例用DIP5の代わりに実施例用脱墨DIP7を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例12]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP8を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例13]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP9を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例14]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP10を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例9]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP5を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例10]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP6を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例11]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP7を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例12]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP8を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例13]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP9を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例14]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP10を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例15]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP11を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例16]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP12を使用した以外は実施例9と同様にして古紙入りの酸性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例15]
実施例用DIP5/LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、軽質炭酸カルシウムを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例16]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP6を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例17]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP7を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例18]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP8を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例19]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP9を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[実施例20]
実施例用DIP5の代わりに実施例用DIP10を使用した以外は実施例15同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例17]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP5を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例18]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP6を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例19]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP7を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例20]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP8を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例21]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP9を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例22]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP10を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例23]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP11を使用した以外は実施例15同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
[比較例24]
実施例用DIP5の代わりに比較例用DIP12を使用した以外は実施例15と同様にして古紙入りの中性書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表8に示した。
Figure 2006257621
新聞系古紙をDIPの原料とした酸性書籍本文用紙(実施例9〜11、比較例9〜12)では、キャビテーションによって発生させた気泡により所望の濾水度に調製したDIPを含有する実施例9〜11は、未叩解DIPを含有する比較例9や、機械力で叩解したDIPを含有する比較例10〜12に比較して、以下のことが解る。
(1)密度が低く嵩高であり、初期純曲げこわさが高く剛度に優れる。
(2)平滑度が高く、オフセット印刷適性に優れる(インキムラが少なくインキ着肉性に優れ、ブランケットパイリングが少ない)。
これらの傾向は、CSFがほほ同一のDIPを配合した、実施例9と比較例10との比較、実施例10と比較例11との比較、実施例11と比較例12との比較から、明瞭である。
上質系古紙を原料とした酸性書籍本文用紙(実施例12〜14、比較例13〜16)では、キャビテーションによって発生させた気泡により所望の濾水度に調製したDIPを含有する実施例12〜14は、未叩解DIPを含有する比較例13や、機械力で叩解したDIPを含有する比較例14〜16に比較して、前記(1)、(2)が同様に言える。これらの傾向は、CSFがほほ同一のDIPを配合した、実施例12と比較例14との比較から、明瞭である。
新聞系古紙をDIPの原料とした中性書籍本文用紙(実施例15〜17、比較例17〜20)でも、実施例15〜17は比較例17〜20に比較して、同様に上記(1)、(2)が明らかである。尚、中性書籍本文用紙である実施例15〜17は、酸性書籍本文用紙である実施例9〜11よりも白色度が高いことが解る。
上質系古紙をDIPの原料とした中性書籍本文用紙(実施例18〜20、比較例21〜24)でも、実施例18〜20は比較例21〜24に比較して、同様に上記(1)、(2)が明らかである。尚、中性書籍本文用紙である実施例18〜20は、酸性書籍本文用紙である実施例12〜14よりも白色度が高いことが解る。
[実施例21]
実施例用KP1/LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、クレーを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[実施例22]
実施例用KP1の代わりに実施例用KP2を使用した以外は実施例21同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[実施例23]
実施例用KP1の代わりに実施例用KP3を使用した以外は実施例21と同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[実施例24]
実施例用KP1の代わりに実施例用KP4を使用した以外は実施例21と同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例25]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP1を使用した以外は実施例21と同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例26]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP2を使用した以外は実施例21と同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例27]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP3を使用した以外は実施例21と同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例28]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP4を使用した以外は実施例21と同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例29]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP5を使用した以外は実施例21と同様にして酸性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[実施例25]
実施例用KP1/LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、軽質炭酸カルシウムを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の古紙入りの中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[実施例26]
実施例用KP1の代わりに実施例用KP2を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[実施例27]
実施例用KP1の代わりに実施例用KP3を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[実施例28]
実施例用KP1の代わりに実施例用KP4を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例30]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP1を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例31]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP2を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例32]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP3を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例33]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP4を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
[比較例34]
実施例用KP1の代わりに比較例用KP5を使用した以外は実施例25と同様にして中性抄紙の上質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表9に示した。
Figure 2006257621
酸性書籍本文用紙では、キャビテーションによって発生させた気泡により所望の濾水度に調製したKPを含有する実施例21〜24は、未叩解KPを含有する比較例25や、機械力で叩解したKPを含有する比較例26〜29に比較して、以下のことが解る。
(1)密度が低く嵩高であり、初期純曲げこわさが高く剛度に優れる。
(2)平滑度が高く、オフセット印刷適性に優れる(インキムラが少なくインキ着肉性に優れ、ブランケットパイリングが少ない)。
これらの傾向は、CSFがほほ同一のKPを配合した実施例24と比較例26、27とを比較すれば、より明瞭である。
中性書籍本文用紙でも、実施例25〜28は比較例30〜34に比較して、同様に上記(1)、(2)が明らかである。尚、中性書籍本文用紙である実施例25〜28は、酸性書籍本文用紙である実施例21〜24よりも白色度が高いことが解る。
[実施例29]
LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)/実施例用MP1=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、クレーを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[実施例30]
実施例用MP1の代わりに実施例用MP2を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[実施例31]
実施例用MP1の代わりに実施例用MP3を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[実施例32]
実施例用MP1の代わりに実施例用MP4を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例35]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP1を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例36]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP2を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例37]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP3を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例38]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP4を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例39]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP5を使用した以外は実施例29と同様にして酸性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[実施例33]
LBKP(CSF=478ml、白色度72.4%、不透明度74.1%)/実施例用MP1=50/50(固形分重量比)の混合パルプスラリーに、硫酸バンドを対パルプ1.6%、紙力増強剤(EX-230、ハリマ化成株式会社製)を耐パルプ0.2%、軽質炭酸カルシウムを対パルプ15%添加し、歩留り向上剤(DR3600、ハイモ株式会社製)を対パルプ200ppm添加し、ツインワイヤー型テスト抄紙機を用いて、ジェット/ワイヤー比101%、抄紙速度550m/分で原紙を抄紙した。酸化澱粉(SK20、日本コーンスターチ株式会社製)のみからなる表面処理剤を原紙両面に1.2g/m2(固形分重量となるように塗布し、乾燥後、カレンダー自重で処理し、坪量80g/m2の古紙入りの中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[実施例34]
実施例用MP1の代わりに実施例用MP2を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[実施例35]
実施例用MP1の代わりに実施例用MP3を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[実施例36]
実施例用MP1の代わりに実施例用MP4を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例40]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP1を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例41]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP2を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例42]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP3を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例43]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP4を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
[比較例44]
実施例用MP1の代わりに比較例用MP5を使用した以外は実施例33と同様にして中性抄紙の中質書籍本文用紙を製造した。紙質結果を表10に示した。
Figure 2006257621
酸性書籍本文用紙では、ほほ同一のCSFのMPを含有する実施例29と比較例36との比較、実施例30と比較例37との比較、実施例31と比較例38との比較、実施例32と比較例39との比較から、以下のことが解る。
(1)密度が低く嵩高であり、初期純曲げこわさが高く剛度に優れる。
(2)平滑度が高く、オフセット印刷適性に優れる(インキムラが少なくインキ着肉性に優れ、ブランケットパイリングが少ない)。
中性書籍用紙でも、実施例33と比較例40との比較、実施例34と比較例41との比較、実施例35と比較例42との比較、実施例36と比較例43との比較から、同様に上記(1)、(2)が明らかである。尚、中性書籍用紙である実施例33〜36は、酸性書籍用紙である実施例29〜32よりも白色度が高いことが解る。
実施例で使用したキャビテーション噴流式洗浄装置の概略図である。
符号の説明
1:試料タンク
2:ノズル
3:キャビテーション噴流セル
4:プランジャポンプ
5:上流側圧力制御弁
6:下流側圧力制御弁
7:上流側圧力計
8:下流側圧力計
9:給水弁
10:循環弁
11:排水弁
12:温度センサー
13:ミキサー

Claims (7)

  1. 古紙を再生する工程において、キャビテーションによって発生させた気泡を、古紙パルプ懸濁液に接触させて、パルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離した脱墨パルプを含有することを特徴とする書籍本文用紙。
  2. 紙料へ添加する填料が、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物から選ばれる1種類以上を少なくとも含み、中性抄紙法で抄造されることを特徴とする請求項1記載の書籍本文用紙。
  3. キャビテーションによって発生させた気泡をパルプ懸濁液に接触させて、所望の濾水度に調製したパルプを含有することを特徴とする書籍本文用紙。
  4. キャビテーションによって発生させた気泡をパルプ懸濁液に接触させて所望の濾水度に調製するパルプ懸濁液が、脱墨パルプ懸濁液であることを特徴とする請求項3記載の書籍本文用紙。
  5. キャビテーションによって発生させた気泡をパルプ懸濁液に接触させて所望の濾水度に調製するパルプ懸濁液が、クラフトパルプ懸濁液であることを特徴とする請求項3記載の書籍本文用紙。
  6. キャビテーションによって発生させた気泡をパルプ懸濁液に接触させて所望の濾水度に調製するパルプ懸濁液が、機械パルプ懸濁液であることを特徴とする請求項3記載の書籍本文用紙。
  7. 紙料へ添加する填料が、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物から選ばれる1種類以上を少なくとも含み、中性抄紙法で抄造されることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項記載の書籍本文用紙。
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