JP2016121406A - 印刷用紙 - Google Patents

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宗央 小山
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利之 弓場
哲 糸田川
Satoru Shidagawa
哲 糸田川
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徹 中谷
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Abstract

【課題】
本発明は、低坪量であっても十分な強度、不透明度を有し、かつ湿度変化による寸法安定性にも優れる印刷用紙を提供することを目的とする。
【解決手段】
填料を含有する基紙の少なくとも片面に結着剤層を設けた印刷用紙であって、パルプ懸濁液中へのノズルまたはオリフィス管からの液体噴流を用いて発生させたキャビテーションによる気泡が崩壊する際の衝撃力をパルプ繊維に与えて得られるパルプを含有し、坪量が16〜45g/mで、不透明度が60%以上であることを特徴とする印刷用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷用紙に関し、特に辞書、能書用紙、約款用紙等として用いられる多色刷りの薄葉印刷紙に関する。
辞書、能書用紙、約款用紙等として用いられる薄葉印刷紙には、予め規定された大きさの紙面の片面或いは両面に多くの情報を印刷する必要がある。例えば医薬品の薬箱に収容する能書用紙は、副作用等の記載情報量が増大する傾向にある一方、薬箱に畳んで嵩を小さくして収容することが要求され、紙面の大きさは制限される。従って、昨今の薄葉印刷紙は低坪量化が顕著に進んでいる。
また、薄葉印刷紙に多色刷で両面印刷する場合、紙の両面への写り込みを防止するために、紙には高い不透明度が要求される。また、オフセット印刷機によるオフセット印刷やフォーム印刷を行うためには、紙には高い引張強度が要求される。紙の引張強度を高めるためには、パルプの叩解を進めて、カナディアン標準ろ水度(CSF)を低減(ショッパー・リーグラーろ水度(SR)では増大)する必要がある。しかしながら、通常、パルプの叩解を進めると、不透明度は低下する傾向にある。
そこで、特許文献1には、薄葉印刷紙の製造において、紙の構成の主体となる繊維状パルプの叩解度を高くし、ろ水度をCSFで低く維持することにより、薄くても十分な紙の引張強度を確保し、更には紙に多量の填料を含有させることにより紙の不透明度を高める方法が開示されている。
また、特許文献2には、30〜40°SRに叩解した、繊維壁の厚さと繊維幅の比が0.6以上である(繊維壁が厚い)広葉樹晒化学パルプを使用した嵩高で、高不透明度である軽量印刷用紙が開示されている。
特開平11−61678号公報 特開昭62−177299号公報
ところで、紙の不透明度を高めるために多量の填料を含有させると、オフセット印刷機のブランケットに紙粉が付着し、印刷時のパイリングが悪化することが知られている。パイリングが悪化すると、オフセット印刷機を停止し、紙粉で汚れたブランケットを清掃する必要があり、オフセット印刷機の操業性、ひいては印刷製品の製造効率が著しく低下するという問題がある。
そこで、上記特許文献1では、紙の繊維の構成を調整することにより、紙の原料スラリーを濃縮脱水する工程において填料の抜け落ちを抑制し、填料の定着性を高めている。一方、填料の定着性を高めるために、紙の両面に澱粉を塗工して結着剤として使用することが一般に行われている。
しかしながら、パルプの叩解を進めると、水分含有率の変化による寸法安定性が悪化し、湿度変化によるカール、オフセット印刷時の湿水によって生じる用紙の伸長による見当ズレやインクの乾燥工程における干皴等の問題が発生する。また、不透明度も低下するので、裏抜けの問題も発生する。
特許文献2のような叩解を進めていない繊維壁が厚い広葉樹晒化学パルプを使用した場合、不透明度は向上するものの、強度は低下する。
本発明は、低坪量においても、強度、不透明度が向上し、かつ湿度変化によるカール及び加熱前後の寸法安定性に優れる印刷用紙を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、機械的叩解処理により叩解を進めたパルプ原料を用いて紙とした場合に寸法安定性が著しく低下する原因は、パルプ繊維が著しく損傷を受け内部フィブリル化が進行した場合、パルプ繊維間の結合面積が大きくなると同時に高密度化し、吸湿等によりパルプ繊維が膨張した際の歪みを吸収することが出来ないためであるということに着目した。そこで、パルプ懸濁液中へのキャビテーションによる気泡が崩壊する際の衝撃力が、パルプ繊維表面に対して選択的に負荷を与えて繊維の損傷と内部フィブリル化の進行を抑えつつ濾水度を調整できることから、この処理によって得られるパルプを用いることによって、寸法安定性に優れた印刷用紙の本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、填料を含有する基紙の少なくとも片面に結着剤層を設けた印刷用紙であって、パルプ懸濁液中へのノズルまたはオリフィス管からの液体噴流を用いて発生させたキャビテーションによる気泡が崩壊する際の衝撃力をパルプ繊維に与えて得られるパルプを含有し、坪量が16〜45g/mで、不透明度が60%以上である印刷用紙である。
本発明によれば、坪量16〜45g/mと低坪量であっても、強度、不透明度が向上し、かつ湿度変化による寸法安定性に優れる印刷用紙が得られる。
本発明の印刷用紙に用いるパルプ原料としては、パルプ懸濁液中へのノズルまたはオリフィス管からの液体噴流を用いて発生させたキャビテーションによる気泡が崩壊する際の衝撃力をパルプ繊維に与えて処理(以下キャビテーション処理という)することにより、所望のろ水度に調製されたパルプである。
本発明においてキャビテーション処理の対象とするパルプは、バージンパルプ及び古紙パルプを使用することができる。バージンパルプには、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。白色度、強度、表面の平滑性等を良好にできることから、LBKPとNBKPを混合して使用することが好ましい。
キャビテーション処理について、さらに詳細に述べると、キャビテーションによる気泡が崩壊する際の衝撃力をパルプ繊維に与えて、パルプの外部フィブリル化を促進する一方、内部フィブリル化を抑制して濾水度を調整するものである。キャビテーション処理としては、WO2005/012632号公報に記載されているようなキャビテーション噴流処理が好適である。
なお、キャビテーション処理と機械的な叩解処理を組み合わせて、パルプ繊維を外部フィブリル化してもよい。パルプ懸濁液には、パルプ繊維以外に古紙やブロークに含まれていた填料や顔料に由来する無機微粒子が含有されていても構わない。キャビテーション処理は、パルプ繊維の外部フィブリル化を促進する一方、内部フィブリル化を抑制するので、従来の方法であるリファイナー等の装置を用いた機械力によって叩解処理したパルプと比較すると、同一の濾水度では、より高不透明度で、強度的にも優れたパルプが得られる。このキャビテーション処理で得られた外部フィブリルを有するパルプを含有する印刷用紙は、より高不透明度であり、さらに強度、寸法安定性にも優れるものである。
キャビテーション処理によって調製したパルプは、印刷用紙の離解ろ水度がショッパー・リーグラーろ水度(SR)で、65〜93°SR(JIS P8121−1に規定)の範囲であることが好ましい。
次に、キャビテーション処理について詳細に説明する。キャビテーションは、加藤の成書(加藤洋治編著、新版キャビテーション基礎と最近の進歩、槙書店、1999)に記載されているように、キャビテーション気泡の崩壊時に数μmオーダーの局所的な領域に数GPaにおよぶ高衝撃力を発生し、また気泡崩壊時に断熱圧縮により微視的にみると数千℃に温度が上昇する。その結果、キャビテーションを発生した場合には温度上昇が伴う。これらのことから、キャビテーションは流体機械に損傷、振動、性能低下などの害をもたらす面があり、発生しないよう制御する必要のある技術課題とされてきた。近年、キャビテーションについて研究が急速に進み、キャビテーション噴流の流体力学的パラメーターを操作因子としてキャビテーションの発生領域や衝撃力まで高精度に制御できるようになった。その結果、気泡の崩壊衝撃力を制御することにより、その強力なエネルギーを有効活用することが期待されている。従って、流体力学的パラメーターに基づく操作・調整を行うことでキャビテーションを高精度に制御することが可能となった。これは技術的作用効果の安定性を保持することが可能であることを示しており、従来のように流体機械で自然発生的に生じる制御不能の害をもたらすキャビテーションではなく、制御されたキャビテーションによって発生する気泡を積極的にパルプ懸濁液に導入し、そのエネルギーを有効利用することが本発明の特徴である。
本発明におけるキャビテーションの発生手段としては、液体噴流による方法であり、キャビテーション気泡の発生効率が高く、より強力な崩壊衝撃力を持つキャビテーション気泡を形成するためパルプ繊維に対する作用効果が大きい。上記の方法によって発生するキャビテーションは、従来の流体機械に自然発生的に生じる制御不能の害をもたらすキャビテーションと明らかに異なるものである。
上述したように、キャビテーション処理としては、WO2005/012632号公報に記載されているような液体噴流によるキャビテーション噴流処理が好適であり、以下、詳細に説明する。
液体噴流とは、液体または液体の中に固体粒子や気体が分散あるいは混在する流体の噴流であり、パルプや無機物粒子のスラリーや気泡を含む液体噴流をいう。ここでいう気体は、キャビテーションによる気泡を含んでいてもよい。
キャビテーションは液体が加速され、局所的な圧力がその液体の蒸気圧より低くなったときに発生するため、流速及び圧力が特に重要となる。このことから、キャビテーション状態を表わす基本的な無次元数、キャビテーション数(Cavitation Number)σは次のように定義される(加藤洋治編著、新版キャビテーション基礎と最近の進歩、槇書店、1999)。
Figure 2016121406
(p:一般流の圧力、U:一般流の流速、pv:流体の蒸気圧、ρ:流体の密度)
ここで、キャビテーション数が大きいということは、その流れ場がキャビテーションを発生し難い状態にあるということを示す。特にキャビテーション噴流のようなノズルあるいはオリフィス管を通してキャビテーションを発生させる場合は、ノズル上流側圧力p1、ノズル下流側圧力p2、試料水の飽和蒸気圧pvから、キャビテーション数σは下記式(2)のように書きかえることができ、キャビテーション噴流では、p1、p2、pv間の圧力差が大きく、p1≫p2≫pvとなることから、キャビテーション数σはさらに以下のように近似することができる(H. Soyama, J. Soc. Mat. Sci. Japan, 47(4), 381 1998)。
Figure 2016121406

本発明におけるキャビテーションの条件は、上述したキャビテーション数σが0.001以上0.5以下であることが望ましく、さらに0.003以上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることが特に好ましい。キャビテーション数σが0.001未満である場合、キャビテーション気泡が崩壊する時の周囲との圧力差が低いため効果が小さくなり、0.5より大である場合は、流れの圧力差が低くキャビテーションが発生し難くなる。
また、ノズルまたはオリフィス管を通じて噴射液を噴射してキャビテーションを発生させる際には、噴射液の圧力(ノズル上流側圧力)は0.01MPa(ゲージ圧)以上60MPa(ゲージ圧)以下であることが望ましく、0.7MPa(ゲージ圧)以上30MPa(ゲージ圧)以下であることが好ましく、2MPa(ゲージ圧)以上15MPa(ゲージ圧)以下であることが特に好ましい。ノズル上流側圧力が0.01MPa(ゲージ圧)未満ではノズル下流側圧力との間で圧力差を生じ難く作用効果は小さい。また、ノズル上流側圧力が60MP
(ゲージ圧)より高い場合、特殊なポンプ及び圧力容器を必要とし、消費エネルギーが大きくなることからコスト的に不利であり、また、パルプ繊維が過度に損傷を受け、製紙原料として使用するには好適ではない。一方、容器内の圧力(ノズル下流側圧力)は静圧で0.05MPa(ゲージ圧)以上2.6MPa(ゲージ圧)以下が好ましい。下流側にも圧力を掛けるのは、被噴射液(パルプ懸濁液)を収める容器を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡がより激しく崩壊することにより衝撃力が大きくなるからである。なお、容器内の圧力が高くなりすぎると、キャビテーション自体が発生しづらくなる。また、容器内の圧力と噴射液の圧力との圧力比((ゲージ圧)/(ゲージ圧))は0.001〜0.5の範囲が好ましい。
また、噴射液の噴流の速度は1m/秒以上200m/秒以下の範囲であることが望ましく、20m/秒以上100m/秒以下の範囲であることがより好ましい。噴流の速度が1m/秒未満である場合、圧力低下が低く、キャビテーションが発生し難いため、その効果は弱い。一方、200m/秒より大きい場合、高圧を要し特別な装置が必要であり、コスト的に不利である。
本発明におけるキャビテーション処理はタンクなど任意の容器内若しくは配管内を選ぶことができるが、これらに限定するものではない。また、ワンパスで処理することも可能であるが、必要回数だけ循環させることによって更に効果を増大できる。さらに複数の発生手段を用いて並列で、あるいは、直列で処理することができる。
キャビテーションを発生させるための噴流は、パルパーのような大気開放の容器の中でなされてもよいが、キャビテーションをコントロールするために圧力容器の中でなされるのが好ましい。
本発明において、例えば液体噴流によるキャビテーションの発生方法では、パルプ懸濁液に対して、噴射液体として、例えば、蒸留水、水道水、工業用水、製紙工程で回収される再用水、パルプ搾水、白水、パルプ懸濁液、アルコールなどを噴射することができるが、これらに限定するものではない。好ましくは、パルプ懸濁液自体を噴射することで、噴流周りに発生するキャビテーションによる作用効果に加え、高圧でオリフィスから噴射する際の流体力学的剪断力が得られるため、より大きな作用効果を発揮する。なお、噴射液体としてパルプ懸濁液を用いる場合、処理対象とする全量を循環させて処理することも可能である。
液体噴流によってキャビテーションを発生させて処理する場合、処理対象であるパルプ懸濁液の固形分濃度は5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲であることが気泡の発生効率の点から好ましい。
また、キャビテーション処理時のパルプ懸濁液のpHは、好ましくはpH1〜13、より好ましくはpH3〜12、更に好ましくはpH4〜11である。pHが1未満であると装置の腐食などが問題となり、材質及び保守等の観点から不利である。一方、pHが13を超えると、パルプ繊維のアルカリ焼けが生じ、白色度が低下するので好ましくない。アルカリ条件である方がパルプ繊維の膨潤性が良好で、OH活性ラジカルの生成量が増加することから望ましい。
本発明では、液体の噴射圧力を高めることで、噴射液の流速が増大し、より強力なキャビテーションが発生する。更に被噴射液を収める容器を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡は激しく崩壊し衝撃力も大きくなる。ここで、噴射液とは、高圧でオリフィスから噴射する液体を指し、被噴射液とは容器内もしくは配管内で噴射される液体を指す。キャビテーションは液体中の気体の量に影響され、気体が多過ぎる場合は気泡同士の衝突と合一が起こるため崩壊衝撃力が他の気泡に吸収されるクッション効果を生じるため衝撃力が弱まる。従って、溶存気体と蒸気圧の影響を受けるため、その処理温度は融点以上沸点以下でなければならない。液体が水を媒質とする場合、好ましくは0〜80℃、更に好ましくは10℃〜60℃の範囲とすることで高い効果を得ることができる。一般には、融点と沸点の中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水溶液の場合、50℃前後が最適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。80℃よりも高い温度では、キャビテーションを発生するための圧力容器の耐圧性が著しく低下し、容器の損壊を生じ易いため不適である。
本発明においては、界面活性剤などの液体の表面張力を低下させる物質を添加することで、キャビテーションを発生させるために必要なエネルギーを低減することができる。添加する物質としては、公知または新規の界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、あるいは、有機溶剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの単一成分からなるものでも2種以上の成分の混合物でも良い。添加量は噴射液及び/または被噴射液の表面張力を低下させるために必要な量であればよい。また、添加場所としてはキャビテーションを発生させる場所よりも前の工程のいかなる場所でもよく、液体を循環させる場合は、キャビテーションを発生させる場所以降であっても構わない。
本発明の印刷用紙はキャビテーション処理したパルプを使用することが必須であるが、一般的な叩解機、例えば、ディスク型、コニカル型及びドラム型のリファイナーにより叩解されたパルプを併用することもできる。しかしながら、その場合には全パルプ成分において、キャビテーション処理されたパルプの配合率が50質量%以上であることが望ましい。キャビテーション処理されたパルプの配合率が50重量%より少ない場合には十分な強度、不透明度、寸法安定性が得られない。
本発明の印刷用紙の基紙は公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。抄紙機としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機等が使用される。
上記基紙の抄造に関しては、紙力増強剤、定着剤、歩留向上剤、染料などの内添薬品及び、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水酸化アルミニウムなどの内添填料を添加することが可能である。
填料を添加する場合、パルプを叩解して形成されたパルプスラリーに、灰分としての填料を全パルプの固形分に対して15〜35質量%(より好ましくは20〜35質量%)添加して基紙の原料スラリーを形成する。填料には不純物が少なく白色度が高い軽質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。また、軽質炭酸カルシウムは、微粒、或いは凝集状(ロゼッタ型)の形状、好ましくは微細柱状結晶(針形状)の形状のものを単独或いは混合して使用することにより、印刷用紙の白色度(JIS P8148規定)を90%以上に調整し、加えて印刷用紙の不透明度(JIS P8149に規定)を60%以上に調整する。
抄紙後に形成された基紙に結着剤をサイズプレス処理等により、基紙の両面に合わせて固形分で0.5g/m以上塗工し、塗工層を形成することが好ましい。結着剤は基紙に含有される填料の定着性を高め、印刷時のパイリングを抑制する。結着剤には、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸素変性澱粉などの澱粉が好ましく、これら澱粉を単独或いは混合して使用することができる。
なお、本発明の効果を損なわないのであれば、結着剤として、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)等を単独或いは混合して使用しても良い。また、必要に応じて、結着剤に表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などの助剤を加えて塗工を行っても良い。また、印刷用紙1の美感や平滑性を高めるために、結着剤にカオリン、炭酸カルシウム、シリカ、有機顔料などの白色顔料からなる塗料を加えて塗工を行っても良い。
また、塗工方式及び塗工装置は特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができるが、ロッドメタリング式サイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いることが好ましい。
本発明の印刷用紙は、坪量は16〜45g/mで、不透明度が60%以上である。低坪量でも不透明度が高いため、辞書、能書用紙、約款用紙等として用いられる薄葉印刷紙である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等制約を受けるものではない。なお、例中の部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
<キャビテーションによるパルプの叩解>
ダブルディスクリファイナー(DDR)を用いて、広葉樹晒クラフトパルプ40質量%と針葉樹晒クラフトパルプ60質量%の混合パルプに対して叩解を行い、ろ水度を70°SRに調整した。得られたパルプ懸濁液に対して、キャビテーション噴流式処理装置(ノズル径1.5mm)を用いて、噴射液及び容器内のパルプ懸濁液の濃度を1%として、キャビテーション処理によるパルプの叩解を行い、処理時間を変化させてろ水度を85°SRに調整した。尚、噴射液の圧力は8MPa、被噴射容器内の圧力は0.3MPaとした。処理に用いたパルプは、広葉樹晒クラフトパルプ40質量%と針葉樹晒クラフトパルプ60質量%の混合パルプである。
<ダブルディスクリファイナーによる叩解>
DDRを用いて、広葉樹晒クラフトパルプ40質量%と針葉樹晒クラフトパルプ60質量%の混合パルプに対して叩解を行い、ろ水度を85°SRに調整した。
[実施例1]
キャビテーション噴流式処理装置により叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量%からなるパルプスラリーに、酸化チタンを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙を形成し、基紙の両面に合わせて固形分で0.5g/mとなるように澱粉を塗工して塗工層を形成し、坪量18.5g/m、灰分19.5質量%、白色度90.8%、不透明度61.8%、引張強さ1.44kN/mの印刷用紙を得た。
[比較例1]
DDRにより叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量%からなるパルプスラリーに、酸化チタンを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙を形成し、基紙の両面に合わせて固形分で0.5g/mとなるように澱粉を塗工して塗工層を形成し、坪量18.8g/m、灰分19.7質量%、白色度91.0%、不透明度61.9%、引張強さ1.31kN/mの印刷用紙を得た。
実施例1、比較例で得られた印刷用紙について下記の項目を測定し、結果を表1に示した。
<評価>
1.離解ろ水度
各例で得た原料パルプをJIS P8121−1に規定されるショッパー・リーグラー法によりろ水度を測定した。
2.引張強さ
各例で得た印刷用紙の縦方向の引張強さをJIS P8113に規定された方法に基づいて測定した。
3.浸水伸度
各例で得た印刷用紙のCD方向の浸水伸度をJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.27Aの方法に基づいて測定した。
4.印刷適性
各例で得た印刷用紙を使用して、オフセット印刷機(東芝機械社製;OA−B2T−600)を使用して2色刷印刷を行い、印刷に際して断紙と皺の発生具合を確認した。断紙及び皺の発生がないものを印刷適性○、いずれかが発生したものを印刷適性×とした。
Figure 2016121406

表1から明らかなようにキャビテーション処理により叩解を進めた実施例1は、DDRによって叩解を進めた比較例1に比べて縦方向の引張強さが高く、CD方向の浸水伸度は低く(湿度に対する寸法安定性が向上)なっており、印刷時の断紙や湿し水による皺の発生がなかった。

Claims (2)

  1. 填料を含有する基紙の少なくとも片面に結着剤層を設けた印刷用紙であって、パルプ懸濁液中へのノズルまたはオリフィス管からの液体噴流を用いて発生させたキャビテーションによる気泡が崩壊する際の衝撃力をパルプ繊維に与えて得られるパルプを含有し、坪量が16〜45g/mで、不透明度が60%以上であることを特徴とする印刷用紙。
  2. パルプ懸濁液中へのノズルまたはオリフィス管からの液体噴流を用いてキャビテーションを発生させる際において、ノズルまたはオリフィス管の上流側圧力が2MPa以上30MPa以下であり、ノズルまたはオリフィス管の下流側圧力と上流側圧力の比が0.001〜0.5である請求項1記載の印刷用紙の製造方法。
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