JP2006214527A - 制振装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重り12と、重り12と振動低減対象物14との間に配置され、重り12を支持する主ばね16と、重り12の側面に当接するように配設された補助ばね18とを備えている。補助ばね18は重り12に対する予備荷重が付加されている。重り12としては、振動を制御したい振動低減対象物14の固有振動数とほぼ同じ固有振動数を有し、共振現象を起こすもので、鋼鉄材が用いられる。振動低減対象物14は、例えば、コンクリート建築物の床、梁等がある。主ばね16及び補助ばね18は、コイルばね44を使用することが好ましいが、ゴム弾性体を使用することもできる。補助ばね18の重り12に対する予備荷重には、予備圧縮、予備引張りが含まれる。
【選択図】図1
Description
上記した空気ばねの空気圧によってばね定数を調整して動吸振器の固有振動数を変えるという方法は、構造が複雑になり、空気等のメンテナンスも必要である等の課題がある。また、動吸振器の固有振動数を変更する方法として、動吸振器の重りの質量を変える方法もある。しかし、この場合あらかじめ質量の異なる重りを多数用意しておく必要があり、かつ、固有振動数の調整が無段階には行えず、準備した重りの質量に応じた段階的なものとなる。
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、固有振動数を設置現場で簡単かつ正確に変えることができる制振装置を提供することを目的とする。
〈構成1〉
重りと、上記重りと振動低減対象物との間に配置され、上記重りを支持する主ばねと、上記重りの側面に当接するように配設された補助ばねとを備え、上記補助ばねに予備荷重を可変的に付加することにより固有振動数の調整を行うことを特徴とする制振装置。
構成1に記載の制振装置において、上記主ばねを載置する底部と、上記補助ばねの一端を保持する側部とを有するベースプレートを設けたことを特徴とする制振装置。
構成1又は2に記載の制振装置において、上記重りの中央部に設けられた空洞内に、上記重りに係止されたピストン部と、上記振動低減対象物側に設けられ、上記ピストン部及び粘性流体を収納するシリンダ部とを備えたダンパを配設したことを特徴とする制振装置。
構成1ないし3のいずれかに記載の制振装置において、上記主ばねは、上記重りに上下方向に設けられた貫通孔内に収納され、かつ上端が上記貫通孔に着脱自在に設けられた蓋体に押えられていることを特徴とする制振装置。
構成2ないし4のいずれかに記載の制振装置において、上記補助ばねは、上記ベースプレートの側部にねじ込まれた調節ボルトと、上記調節ボルトの一端に連結されたコイルばねとを備えたものであることを特徴とする制振装置。
構成3ないし5のいずれかに記載の制振装置において、上記ピストン部は、上記シリンダ部の軸心に対して偏心し、かつ回転可能な状態で、上記シリンダ部に嵌入されていることを特徴とする制振装置。
構成3ないし6のいずれかに記載の制振装置において、上記シリンダ部の上部の、上記ピストン部との間隙に、リング状のシールを剥離可能に設けたことを特徴とする制振装置。
構成1ないし7のいずれかに記載の制振装置において、上記重りの上面に凹部を設け、上記凹部内に、複数の微調整用重りを収納したことを特徴とする制振装置。
構成1ないし8のいずれかに記載の制振装置において、上記重りは、平板状をなし、所定間隔を置いて配置された複数の上記主ばねにより支持されていることを特徴とする制振装置。
構成1ないし9のいずれかに記載の制振装置において、上記補助ばねの複数個が、上記重りの複数箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする制振装置。
これらの図において、実施例1の制振装置10は、重り12と、重り12を支持する6個の主ばね16と、重り12の側面を押圧するように配設された6個の補助ばね18と、重り12を載置するベースプレート26とを備え、補助ばね18には重り12に対する適度の予備荷重を付加している。この予備荷重には、予備圧縮、予備引張りが含まれる。
なお、重り12の上面の数箇所に、運搬時に使用するアイボルト62を取付ける孔とジャッキアップ用のタップ64とが適当間隔で設けられている。
図5に示すように、制振装置10は、例えば、スラブ14上の、最も振動振幅が大きい中央部に集中的に5〜6台が配置されることが好ましい。近年のインテリジェントビル等における、いわゆるOAフロアに採用される二重床では、スラブ14上に支持柱が所定間隔をおいて設けられ(図中の破線交点)、二重床を構成する多数のパネルが碁盤の目のように配列され(図中破線)、全支持柱に支持される。そして、1つのパネルにつき1台の制振装置10が取付けられる。従って取付け工事の便宜から、制振装置10は二重床を構成するパネルの大きさより一回り小さい寸法とされる。
制振装置10は、重り12の動吸振作用でスラブ14等の振動低減対象物の振動を低減する。このとき、ダンパ54により振動減衰が行われる。
図6ないし図8において、実施例2の制振装置10Aは、ベースプレート26上に配置される重り12と、重り12を支持する主ばね16と、重り12の側面に当接するように配設された補助ばね18と、重り12を載置するベースプレート26とを備え、基本的には実施例1の制振装置10とほぼ同様の部品から構成されている。実施例2の制振装置10Aが実施例1の制振装置10と概略相違するところは、主ばね16の設置個数と、微調整用重り60の設置位置と、ピストン部48の取付け位置である。
ダンパ54Aのピストン部48は、図9に示すように、その回転軸心O1がシリンダ部52の中心軸心O2に対して偏心し、かつ回転可能な状態で、シリンダ部52に嵌入するように取付けられている。図9はピストン部48が回転していないときの状態を示している。
ここで、本発明者等は、スラブ構造用制振装置について検討したので、その説明をする。
試験体として、図6ないし図8に示したものと同様構成の制振装置の5台を下記条件で製作した。
振動低減対象 :スラブの一次固有振動モード
対象有効質量 :6000kg
固有振動数 :10 Hz
試験体サイズ :横巾400mm、縦巾388mm、高さ55mm
試験体総重量 :225kg
試験体重量 :45kg/台
試験体の鉛直方向クリアランス:3mm
(スラブの最大加速度を0.2Gと想定し、試験体質量の最大加速度を1.0Gとして、鉛直方向固有振動数が10Hz時の片側振幅rは、r=2.48であることから、3mmと設定した。)
主ばねのばね定数 : 8.5N/mm → 68 N/mm(8本分)
補助ばねのばね定数:24.0N/mm → 96 N/mm(4本分)
(1) 試験体の上部に0.5kgのリング状の微調整用重りを10枚設置し、この重りを1枚ずつ取り外すことにより、固有振動数の調整を行った。
固有振動数の変動値は次の通り。
微調整用重りの設置枚数 固有振動数(Hz)
10枚 9.6
8枚 9.7
7枚 9.8
5枚 9.9
3枚 10.0
2枚 10.1
0枚 10.2
固有振動数の変動値は次の通り。
補助ばねの調整代(mm) 固有振動数(Hz)
−8 9.6
−6 9.7
−4 9.8
−2 9.9
±0 10.0
+2 10.1
+4 10.2
+6 10.3
+8 10.4
+10 10.5
なお、ばねのせん断方向のばね定数は、そのばねのせん断応力と直角方向のたわみ(圧縮あるいは引張り)により変化することは知られている(非特許文献1参照)。参考として、上記で用いたものとは別の例において、補助ばねの圧縮代(mm)を変えた場合の各せん断ばね定数の数値を求めた結果を、図11に示す。図11により、補助ばねの圧縮代が増すごとにせん断ばね定数が増大することが分かる。
スラブの固有振動数と有効質量から1自由度振動モデルを構築し、外力加振系の応答解析を行い応答倍率を求めた。同モデルに対してさらに上記試験体に相当する固有振動数、質量、減衰を付加した2自由度振動モデルを構築し、外力加振系の応答解析を行った。これらの結果を比較し制振効果(応答倍率の低減効果)を確認した。
なお、このときの条件は次の通りであった。
スラブの有効質量 :6000kg
スラブの固有振動数 :10Hz
スラブの減衰定数 :0.02(仮定)
試験体(5台)の質量比 :3.75%
試験体(5台)の有効質量 :225kg
試験体の最適固有振動数(f2):9.6Hz
試験体の最適減衰定数(ζ) :0.11
以上のことから、スラブ固有振動数10Hzにおける周波数応答は、制振装置を設けなかった場合が25倍、本発明の制振装置を設けた場合が5倍となり、スラブ固有振動による発振を5分の1に低減できることが明らかである。
14 スラブ
15 床材
16 主ばね
18 補助ばね
22 底部
24 側部
26 ベースプレート
28 貫通孔
30 蓋体
34 切欠部
36 調節ボルト
38 調整つまみ
40 固定ナット
42 緩み止めナット
44 コイルばね
48 ピストン部
50 粘性流体
52 シリンダ部
54 ダンパ
60 微調整用重り
62 アイボルト
64 ジャッキアップ用タップ
Claims (10)
- 重りと、
前記重りと振動低減対象物との間に配置され、前記重りを支持する主ばねと、
前記重りの側面に当接するように配設された補助ばねとを備え、
前記補助ばねに予備荷重を可変的に付加することにより固有振動数の調整を行うことを特徴とする制振装置。 - 請求項1に記載の制振装置において、
前記主ばねを載置する底部と、前記補助ばねの一端を保持する側部とを有するベースプレートを設けたことを特徴とする制振装置。 - 請求項1又は2に記載の制振装置において、
前記重りの中央部に設けられた空洞内に、
前記重りに係止されたピストン部と、前記振動低減対象物側に設けられ、前記ピストン部及び粘性流体を収納するシリンダ部とを備えたダンパを配設したことを特徴とする制振装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の制振装置において、
前記主ばねは、前記重りに上下方向に設けられた貫通孔内に収納され、かつ上端が前記貫通孔に着脱自在に設けられた蓋体に押えられていることを特徴とする制振装置。 - 請求項2ないし4のいずれかに記載の制振装置において、
前記補助ばねは、前記ベースプレートの側部にねじ込まれた調節ボルトと、前記調節ボルトの一端に連結されたコイルばねとを備えたものであることを特徴とする制振装置。 - 請求項3ないし5のいずれかに記載の制振装置において、
前記ピストン部は、前記シリンダ部の軸心に対して偏心し、かつ回転可能な状態で、前記シリンダ部に嵌入されていることを特徴とする制振装置。 - 請求項3ないし6のいずれかに記載の制振装置において、
前記シリンダ部の上部の、前記ピストン部との間隙に、リング状のシールを剥離可能に設けたことを特徴とする制振装置。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の制振装置において、
前記重りの上面に凹部を設け、前記凹部内に、複数の微調整用重りを収納したことを特徴とする制振装置。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の制振装置において、
前記重りは、平板状をなし、所定間隔を置いて配置された複数の前記主ばねにより支持されていることを特徴とする制振装置。 - 請求項1ないし9のいずれかに記載の制振装置において、
前記補助ばねの複数個が、前記重りの複数箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする制振装置。
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JP2005028440A JP2006214527A (ja) | 2005-02-04 | 2005-02-04 | 制振装置 |
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- 2005-02-04 JP JP2005028440A patent/JP2006214527A/ja active Pending
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