JP2000088044A - 車両用動吸振器 - Google Patents

車両用動吸振器

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JP2000088044A
JP2000088044A JP10258814A JP25881498A JP2000088044A JP 2000088044 A JP2000088044 A JP 2000088044A JP 10258814 A JP10258814 A JP 10258814A JP 25881498 A JP25881498 A JP 25881498A JP 2000088044 A JP2000088044 A JP 2000088044A
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vibration absorber
dynamic vibration
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frequency
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JP10258814A
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Kimiaki Sasaki
君章 佐々木
Yoshio Sugawara
能生 菅原
Tatsuya Ganmi
龍也 願海
Yuji Fujinuma
勇二 藤沼
Koji Fukui
宏治 福井
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Railway Technical Research Institute
Tokico Ltd
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Railway Technical Research Institute
Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は車両本体の曲げ振動を制振すること
を課題とする。 【解決手段】 車両本体12の長手方向の中央部分に
は、車両用動吸振器25が取り付けられている。この車
両用動吸振器25は、モータ36により弾性体32,3
3のばね定数を変化させる。また、車両用動吸振器25
では、付加質量26は、支柱34により支持されたベー
ス51と、ベース51の下面に取り付けられた車両搭載
機器52とからなる。従って、ベース51の質量と車両
搭載機器52の質量とを合わせた質量が付加質量26と
して機能する。車両搭載機器52は、比較的重量の大き
いトランスからなる。そのため、車両搭載機器52と同
一の重りを設けるよりも車両本体12の負担を軽減する
ことができると共に、トランスの取付スペースを有効利
用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用動吸振器に係
り、特に車両の長手方向で発生する曲げ振動を制振する
よう構成した車両用動吸振器に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば鉄道用車両においては、レールを
走行する台車の上方に車両本体が支持される構成であ
り、台車と車両本体との間には車輪からの振動を吸収す
るオイルダンパや空気ばねやコイルばねが設けられてい
る。これらは、パッシブ(受動)形であり車両本体を剛
体としたときの固有振動数を吸収するように製作されて
いる。
【0003】そのため、車両がレール上を走行する際に
発生する振動が低周波数の場合は、上記オイルダンパや
空気ばねやコイルばねにより振動が吸収されて車両は安
定に走行することができる。しかし、高速走行時に発生
する高周波数の振動は、オイルダンパ、空気ばね、コイ
ルばね等により吸収することができず、例えば高速走行
時に高周波の振動が車両本体に発生することがある。
【0004】さらに、近年では、車両の最高速度がより
高速化されると共に、車両の軽量化も進められている。
その結果、十分な車体剛性の確保が難しくなり、車両の
長手方向の中間部分を腹とする曲げ振動が発生しやくな
る。すなわち、車両の台車支持点付近が節となり、車両
の長手方向の中間部分が上下方向に大きく振動する。こ
のような車両の曲げ振動を制振するため、車両の長手方
向の中間部分に振動を制振するための動吸振器を取り付
けることが研究されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように車両の中
間部分に取り付けられる動吸振器としては、例えば可変
ばねの保持機構部が構造物に固定され、弾性体を変形さ
せることによりバネ定数を変化させていた。しかしなが
ら、このような動吸振器では、以下のような問題があ
る。 (1)上記のような車両用動吸振器では、弾性体を変形
させるときに弾性体を保持している保持部材を移動また
は変形させる必要が有るが、保持部材が振動している構
造物に固定されているため、弾性体を変形させるために
多大な力が必要になる。 (2)そのため、上記弾性体を変形させるのにアクチュ
エータも大型になり、装置全体が重く大型化してしま
う。 (3)さらに、大型のアクチュエータを用いると、弾性
体を変形させるのに時間がかかり、ばね定数を変化させ
るまでの応答性が遅れて動吸振器による制振効果が低下
する。
【0006】従って、列車の車体に曲げ応力による振動
を制振するための動吸振器を設置させた場合、鉄道車両
には共振周波数の近接した複数の共振モードがあり、走
行速度や軌道狂い等の条件により周波数が変化するの
で、上記のような理由により従来の動吸振器では、対応
することができないといった問題がある。 (4)また、列車の車体の下面側には、各種車両搭載機
器が多数設けられており、車両用動吸振器の設置スペー
スを確保することが難しく、車両用動吸振器の取付位置
を曲げ応力による振動の腹と一致させることが困難であ
る場合がある。あるいは、車両用動吸振器が曲げ応力に
よる振動の腹となる位置に取り付けられると、車両用動
吸振器に周囲に各車両搭載機器を配置することになり、
各車両搭載機器の配置が制約されることになる。
【0007】そこで、本発明は上記課題を解決した車両
用制振装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下のような特徴を有する。上記請求項1
記載の発明は、車両の長手方向で発生する曲げ振動の腹
に位置するように設けられた弾性体と、該弾性体に変位
可能に支持された付加質量と、を有する車両用動吸振器
であって、前記付加質量は、前記車両に搭載される車両
搭載機器であることを特徴とするものである。
【0009】従って、請求項1記載の発明によれば、付
加質量が車両に搭載される車両搭載機器であるため、車
両搭載機器とは別個の付加質量を取り付ける必要がな
く、車両の設置スペースを有効に利用することができ
る。また、上記請求項2記載の発明は、上記請求項1記
載の車両用動吸振器であって、前記車両搭載機器は、電
気機器であることを特徴とするものである。
【0010】従って、請求項2記載の発明によれば、付
加質量としての車両搭載機器が電気機器であるため、比
較的重量のある電気機器を付加質量とすることにより制
振効果を高めることができる。また、上記請求項3記載
の発明は、上記請求項1記載の車両用動吸振器であっ
て、前記車両搭載機器は、水が貯溜された水タンクであ
ることを特徴とするものである。
【0011】従って、請求項3記載の発明によれば、付
加質量としての車両搭載機器が水が貯溜された水タンク
であるため、比較的重量のある水タンクを付加質量とす
ることにより制振効果を高めることができる。また、上
記請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の車両用動
吸振器であって、前記車両に対し摺動可能に取り付けら
れ、前記弾性体を保持する保持部材と、前記保持部材と
の間で前記振動方向と直交する方向から前記弾性体を変
形させるように駆動されるアクチュエータと、を備えて
なることを特徴とするものである。
【0012】従って、請求項4記載の発明によれば、弾
性体を保持する保持部材との間で振動方向と直交する方
向から弾性体を変形させると共に、保持部材が摺動可能
に設けられているので、比較的小さな力で弾性体を変形
させることができ、アクチュエータの小型化を図ること
ができる。さらに、装置全体の軽量化を図れると共に、
弾性体を変形させる際の応答性を向上させることができ
る。
【0013】また、上記請求項5記載の発明は、上記請
求項1記載の車両用動吸振器であって、前記車両の応答
を高速フーリエ変換することにより振動周波数を求め、
その周波数に応じて前記付加質量の振動数を設定するよ
うに前記アクチュエータを駆動させる制御手段を設けた
ことを特徴とするものである。
【0014】従って、請求項5記載の発明によれば、振
動の応答を高速フーリエ変換することにより振動周波数
を求め、その周波数に応じて付加質量の振動数を設定す
るため、制御対象の振動特性の変化に影響を受けること
なく制振制御を行える。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図面と共に本発明の実施の形
態について説明する。図1は本発明になる車両用動吸振
器の一実施例が適用された鉄道用車両を示す側面図であ
る。図1に示されるように、鉄道車両11は、概略、車
両本体12の前部と後部が台車13,14により支持さ
れている。台車13,14には、夫々空気ばね15,1
6と、軸ばね17〜20と、輪軸21〜24などが設け
られている。
【0016】また、車両本体12の長手方向の中央部分
には、車両用動吸振器25が取り付けられている。この
車両用動吸振器25は、台車13,14に支持された車
両本体12の前後端部が節となり、車両本体12の長手
方向の中央部分を腹として振動する曲げ振動を制振する
ように構成されている。また、車両用動吸振器25は、
付加質量26を可変ばね機構27と減衰機構28とによ
り吊下してなるパッシブ形の動吸振器である。また、車
両本体12の長手方向の中央部分には、振動を検出する
ためのセンサ29が設置されている。尚、センサ29と
しては、例えば振動の振幅を検出する変位センサ、振動
の速度を検出する速度センサ、振動の加速度を検出する
加速度センサ等から構成されている。
【0017】このセンサ29により検出された振動検出
信号は、制御装置30に入力される。そして、制御装置
30では、センサ29から出力された振動検出信号に応
じて可変ばね機構27を駆動させてばね定数を変化させ
る。そして、可変ばね機構27は、付加質量26の振動
周波数を車両本体12の振動周波数に合わせることによ
り車両本体12の長手方向の中央部分での振動を減衰さ
せることができる。
【0018】上記のような構成された車両用動吸振器2
5において、付加質量26、可変ばね機構27のばね定
数、減衰機構28の関係は、以下の最適同調の式によっ
て求められる値となっている。 m=μM … (1) k=m(K/M)/(1+μ)2 … (2) c=2√mk√3μ/[8(1+μ)] … (3) ここで、上記式(1)〜(3)の各記号は以下の通りで
ある。 m:付加質量26の質量 k:可変ばね機構27のばね定数 C:減衰機構28の減衰係数 μ:質量比(m/M) M:車両本体12の質量 K:車両本体12のばね定数である。
【0019】次に、車両用動吸振器25の構成について
説明する。図2は車両用動吸振器25の構成を説明する
ための構成図である。また、図3は可変剛性部の構成図
である。図2及び図3に示されるように、車両用動吸振
器25は、車両本体12の長手方向の中央部分に取り付
けられており、車両本体12の上下方向の振動を制振す
るように設けられた付加質量26と、付加質量26を支
持する可変剛性部47とから構成されている。可変剛性
部47は、一対の支持部28,29を介して車両本体1
2の下面に取り付けられている。また、一対の支持部2
8,29は、車両本体12の下面に固定された取付ベー
ス12aの下面に左右方向(X方向)に移動可能に設け
られている。
【0020】可変剛性部47は、支持部28,29に結
合されて下方に延在する一対の弾性体保持板30,31
と、一対の弾性体保持板30,31間に保持された一対
の弾性体32,33と、弾性体32と33との間に挟持
され付加質量26を支持する支柱34と、弾性体32,
33を変形させるアクチュエータ35とからなる。アク
チュエータ35は、弾性体保持板31の側面から突出す
る一対のブラケット31a,31bにより支持されたモ
ータ36と、上記弾性体保持板30,31及び弾性体3
2,33及び支柱34の内部に形成された中空部37に
挿通されたボールねじ38と、ボールねじ38の一端と
モータ36の駆動軸36aとの間を連結するカップリン
グ39と、弾性体保持板30の側面に固定されボールね
じ38の他端に螺合するボールナット40とから構成さ
れている。
【0021】尚、弾性体32,33は、上記実施例と同
様に高減衰ゴム等を用いることによりバネ機構と減衰機
構とを併せ持っている。付加質量26は、弾性体32,
33に挟持された支柱34により支持されているので、
上下方向(Y方向)に振動して車両本体12の曲げ振動
を制振する。また、ボールナット40は、弾性体保持板
30の側面から突出するガイドピン41,42に嵌合し
て軸回りの回転が規制されている。そのため、モータ3
6の回転力がカップリング39を介してボールねじ38
に伝達されると、ボールナット40がX方向に移動す
る。
【0022】このように、ボールねじ38が回転駆動さ
れることにより、弾性体32,33を支持する弾性体保
持板30,31に振動方向(Y方向)と直交するX方向
からの圧縮又は引っ張り荷重が付与されて弾性体32,
33を変形させる。これにより、弾性体32,33のば
ね定数が変化して付加質量26の振動周波数を最適同調
させることができる。
【0023】上記付加質量26は、支柱34により支持
されたベース51と、ベース51の下面に取り付けられ
た車両搭載機器52とからなる。従って、ベース51の
質量と車両搭載機器52の質量とを合わせた質量が付加
質量26として機能する。また、車両搭載機器52は、
比較的重量の大きいトランスからなる。そのため、車両
搭載機器52と同一の重りを設けるよりも車両本体12
の負担を軽減することができると共に、トランスの取付
スペースを有効利用することができる。
【0024】また、複数の車両搭載機器52をベース5
1に取り付ける構成として所定の質量を確保することが
できるので、ベース51に複数のトランスを設けるよう
にしても良いし、あるいはトランス以外の車両搭載機器
(例えば水が貯溜された水タンクやインバータやバッテ
リやコンプレッサ等)を付加質量として用いる構成とし
ても良い。
【0025】従って、付加質量26の一部がトランス等
の車両搭載機器52により構成されているので、その分
ベース51の質量が小さくて済む。また、車両用動吸振
器25の設置スペースに車両搭載機器52を設けること
ができるので、車両用動吸振器25の取付位置が車両搭
載機器52により規制されにくくなり、車両用動吸振器
25の設置スペースを確保することが容易となる。その
ため、車両用動吸振器25は、周囲の車両用動吸振器の
取付位置に影響されずに曲げ応力による振動の腹と一致
する場所に取り付けられる。
【0026】また、車両用動吸振器25が曲げ応力によ
る振動の腹と一致する場所に設置されるても、その設置
スペースに車両搭載機器52が付加質量26として設け
られているので、他の車両搭載機器の配置を制約するこ
とがない。また、ベース51には、車両本体12から下
方に延在されたガイドロッド53が挿通される挿通孔5
4がガイドロッド53の延在方向(上下方向)に貫通さ
れている。この挿通孔54の内周には、ガイドロッド5
3との摺動抵抗を減少させるため、四フッ化エチレン樹
脂等からなる低摩擦部材55が充填されている。
【0027】また、ベース51は、車両搭載機器52と
挿通孔54との間を連通するように形成された通路56
を有する。この通路56は、挿通孔54の側方に設けら
れたた電極収納室57に連通されており、通路56内に
電線62が挿通されている。電極収納室57には、電極
58と、電極58を挿通孔54側に押圧するコイルバネ
59とが収納されている。
【0028】また、低摩擦部材55は、電極58の摺動
範囲に対応する開口55aを有する。そのため、電極5
8は、コイルバネ59に押圧されてガイドロッド53の
外周に当接する。さらに、ベース51の挿通孔54に挿
入されるガイドロッド53の外周には、電極58が接触
する電極60が取り付けられている。電極60は、ガイ
ドロッド53の延在方向に長く形成されており、付加質
量26が上下方向に揺動して制振動作する際、電極58
を摺動することにより電気的な導通状態を維持する。そ
して、ガイドロッド53の内部には、電極60に接続さ
れた電線61が装架されている。
【0029】そのため、車両搭載機器52がベース51
と共に制振動作して場合でもコイルバネ59に押圧され
た電極58がガイドロッド53の外周に設けられた電極
60を摺動するため、車両搭載機器52から車両本体1
2へ電流を流すことができると共に、車両本体12から
の電流を車両搭載機器52へ供給することができる。よ
って、車両搭載機器52と車両本体12の間で電線を露
出させずに済む。さらに、車両搭載機器52と車両本体
12との間を接続する電線61,62は、露出しない構
成であるので、断線等が生じにくい状態に配線されてい
る。
【0030】また、上記のように電極58がコイルバネ
59のバネ力によりガイドロッド53に設けられた電極
60に押圧されると、電極58と電極60との間の摩擦
力による減衰力がベース51に付与されることになる。
そのため、ベース51及び車両搭載機器52が上下方向
に制振動作するとき、この制振動作を減衰するための減
衰機構を別個に設ける必要がない。
【0031】ここで、上記弾性体32,33の変形とせ
ん断ばね定数ksとの関係について説明する。弾性体3
2,33のX方向の厚さをh、弾性体32,33の受圧
面積をA1、弾性体32,33のせん断剛性をG、弾性
体32,33の断面2次モーメントをI、とすると、せ
ん断ばね定数ksは次式のように表せる。
【0032】 ks=Gap*A1/h … (4) Gap=G/(1+A1*h2 /36/I) … (5) ここで、Gapは見かけのせん断剛性である。また、圧
縮荷重作用時のせん断ばね定数ksは、次式のように表
せる。 ks=(1+ε)*Gap/h*A1 … (6) 尚、上式(6)において、εは縦ひずみ率である。
【0033】したがって、モータ36を回転駆動させて
弾性体32,33を弾性変形させることにより、弾性体
32,33のせん断ばね定数ksを変えることが可能で
ある。よって、弾性体32,33のせん断ばね定数ks
は、モータ36の回転駆動力がボールねじ38に伝達さ
れてボールナット40がX方向に移動することにより弾
性体32,33が変形し、その変形量に応じた数値に設
定される。
【0034】次に、上記制御装置30が実行する弾性体
32,33のせん断ばね定数ksを設定する際の制御処
理につき図4のフローチャートを参照して説明する。図
4中、制御装置30は、ステップS1(以下「ステッ
プ」を省略する)で制御対象周波数の最大値fm、
サンプリグ周波数fs=2fm、アンチエイリアシン
グフィルタのカットオフ周波数fac=fm、弾性体
32,33のせん断ばね定数ks等のデータ収集条件を
設定する。
【0035】まず、解析対象である車両本体12の振動
周波数を設定する。次に制御対象である車両本体12の
振動周波数を最大でもfmHzとすると、サンプリング
定理によりサンプリングタイムΔtは、Δt=1/(2
fm)より短い等間隔サンプルにより一意的に決定でき
る。例えば、制御対象の周波数を最大で20Hzとする
と、アンチエイリアシングフィルタであるローパスフィ
ルタのカットオフ周波数は、その周波数にあわせて20
Hzに設定する。また、この時のサンプリング周波数
は、サンプリング定理よりその2倍の40Hz以上とな
る。
【0036】そして、基本波周波数は、サンプリング周
波数をデータ数で割った値となるので、スペクトルの分
解能にあわせてデータ数を決める。ただし、高速フーリ
エ変換(FFT:Fast Fourier Transform) を行うた
め、データ数は2のべき乗個に限るものとする。例え
ば、40Hzのサンプリング周波数でデータ数を512
個とすると、40÷512≒0.08Hzが基本波周波
数となる。
【0037】ここで、弾性体32,33のせん断ばね定
数ksの初期値として、弾性体32,33が自然長の時
の値を設定しておく。次のS2では、車両本体12の長
手方向の中央部分に設置されたセンサ(例えば、加速度
センサやひずみゲージなどからなる)29により計測さ
れた連続記録不規則データx(t)を入力する。
【0038】続いて、S3で、センサ29により計測さ
れた計測データをハイパスフィルタに通してドリフト成
分を除去した後、S4で計測データを保存する。また、
連続記録不規則データx(t)が時間間隔Δtでサンプ
リングされた離散データ列{xn}について、有限の時
間区間T、データのサンプル数をNとして、高速フーリ
エ変換(FFT)処理を行うので、S5では観測時間T
が経過したかどうかを判断する。
【0039】例えば、サンプリング周波数を40Hz、
データのサンプル数Nを512個とすると、TはΔt×
N=12.8秒となる。上記S5において、観測時間T
が経過すると、S6に進み、高速フーリエ変換(FF
T)処理を行う。次に、高速フーリエ変換(FFT)処
理の結果は複素数なので、処理結果の絶対値をS7で求
めることにより振幅スペクトルを求める。
【0040】そして、S8において振幅スペクトルが最
大となる次数と基本波周波数から振幅スペクトルが最大
となる周波数fmax を求める。この振幅スペクトルが最
大となる周波数fmax と空気ばね15,16の圧力から
容易に求められる車両本体12の質量から決定される車
両本体12のばね定数から最適同調の式より動吸振器の
ばね定数、すなわち、弾性体32,33のせん断ばね定
数ks’を求める。そして、次のS9では、このせん断
ばね定数ks’と、予め設定しておいた弾性体32,3
3のせん断ばね定数ksとを比較する。
【0041】S9において、せん断ばね定数ks’とせ
ん断ばね定数ksとが異なっていた場合には、S10に
進み、せん断ばね定数ksを再設定する。また、S9に
おいて、せん断ばね定数ks’とせん断ばね定数ksと
が等しいときは、上記S2に戻り、S2以降の処理を繰
り返す。このように、せん断ばね定数ksは、常に車両
本体12の振動周波数に応じた値に設定され、S2〜S
10の処理が実行される度に更新される。従って、乗客
数の変動等により車両本体12の質量が変動してもその
都度、車両本体12の振動周波数に対応した適正なせん
断ばね定数ksが設定される。
【0042】また、制御装置30では、振動の応答を高
速フーリエ変換することにより振動周波数を求め、その
周波数に応じて付加質量の振動数を設定するため、制御
対象である車両本体12の振動特性(質量や走行速度
等)の変化に影響を受けることなく制振制御を行える。
図5は制御装置30が実行する弾性体32,33のせん
断ばね定数ksを設定する際の制御処理の変形例を説明
するためのフローチャートである。
【0043】図5中、制御装置30は、S11で車両本
体12の長手方向の中央部分に設置された歪みゲージや
加速度センサ等からなるセンサ29により計測された連
続記録不規則データx(t)が入力されると、S12で
計測データの保存を行う。次のS13では、ある一定時
間が経過したか否かを判断する。そして、S13で一定
時間が経過すると、S14に進み、その一定時間の平均
値を求める。次のS15では、せん断ばね定数ksを一
定の割合で高くし、S16〜S18で次の一定時間の平
均値を求める。すなわち、S16で車両本体12の長手
方向の中央部分設置されたセンサ29により計測された
連続記録不規則データx(t)が入力される。次のS1
7では、ある一定時間が経過したか否かを判断する。そ
して、S17で一定時間が経過すると、S18に進み、
今回の一定時間の平均値を求める。
【0044】そして、S19では、この平均値と前の平
均値を比較する。このS19において、今回の平均値が
前の平均値以下であれば、S20で同様にせん断ばね定
数ksを一定の割合で高くする。しかし、S19におい
て、今回の平均値が前の平均値より大きくなっていた場
合は、S21に進み、逆にせん断ばね定数ksを一定の
割合で小さくする。次のS22では、データのサンプル
数NをN+1として前述したS16に戻り、S16以降
の処理を繰り返す。
【0045】これにより、制御装置30は、上記のよう
に平均値を比較して今回の平均値が前の平均値以下であ
れば、そのときの演算処理(例えば、せん断ばね定数k
sを一定の割合で高くする)を継続し、今回の平均値が
前の平均値より大きくなっていた場合は、逆の演算処理
(例えば、せん断ばね定数ksを一定の割合で小さくす
る)を行う。従って、上記のようにセンサ29により検
出された振動状態の検出信号を基に動吸振器の周波数を
設定するので、車両用動吸振器45は制御対象である車
両本体12の質量や振動周波数等の特性の変化に影響を
受けることがなく車両本体12の曲げ振動を制振するこ
とができる。
【0046】さらに、制御装置30は、制御対象の振動
特性に応じて制振制御を行うため、事前に車両本体12
の振動特性を測定しなくても制御を行うことができると
共に、刻々と変化する車両本体12の質量(乗客数)や
走行速度等による振動周波数の変化にも対応して制振処
理を行う。次に、線形予測モデルを用いた制御対象周波
数の抽出について説明する。
【0047】制御対象である車両本体12の底面に設置
された加速度センサやひずみゲージなどよりなるセンサ
12で計測されたデータは、あらかじめ異常値の除去、
ハイパスフィルタによる低周波外乱の除去、ローパスフ
ィルタによる高周波外乱の除去をしておくものとする。
また、サンプリング定理によりサンプリングタイムΔt
は、一意的に決定できる。この連続記録不規則データy
(t)は、次式のように表される。
【0048】
【数1】
【0049】
【数2】
【0050】ここで、y(n):連続記録不規則データ
の実現値
【0051】
【数3】
【0052】e(n):予測誤差(実現値と予測値の
差)である。上式をZ変換して整理すると、 Y(z)=H(z)*E(z) … (9) H(z)=1/A(z) … (10) A(z)=1−a1 -1−a2 -2−…−ap -p … (11) ここで、線形予測係数{a1 },i=1,2,…,pの
係数が求まれば入出力関係が決まることになり、制御対
象の特性を求めることができる。
【0053】そこで、予測誤差e(n)の2乗平均を最
小にするように線形予測係数{a1}を決めることにす
る。そして、Levinson-Durbin の方法による計算手順
は、以下の通りである。 (1)データ系列y(n)より自己相関関数rs (0),r
s (1),…rs (p) を求める。データ系列には、データウ
ィンドウとしてHamming 窓を用いる。 (2)初期値をW=rs (1) ,E=rs (0) , τ=1と
置く。 (3)次に、次式を計算する。
【0054】 kτ=Wτ-1/Eτ-1 … (12) Eτ=Eτ-1*(1−kτ2 )… (13)
【0055】
【数4】
【0056】1≦i≦τ-1 (4)τ=pならK=(Ep 1/2 として計算を終わ
る。τ<pなら
【0057】
【数5】
【0058】を計算し、τ+1→τとして(3)に戻
る。前述した図4を用いて説明した方法において、S5
〜S8の代わりに上記の線形予測モデルを用いたスペク
トル推定方法により制御対象の周期を求め、制御を行う
ことも可能である。この場合の観測時間Tは、FFT処
理を行う場合に比べ短くて済むので、制御遅れを短縮す
ることができる。
【0059】尚、上記実施例では、列車の車両本体12
の曲げ振動を制振する場合を一例として挙げたが、これ
に限らず、例えば長距離を高速で移動する高速バス等に
も適用することができる。
【0060】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、付加質量が車両に搭載される車両搭載機器であるた
め、車両搭載機器とは別個の付加質量を取り付ける必要
がなく、車両搭載機器と同一の重りを設けるよりも車両
の負担を軽減することができる。さらに、車両搭載機器
の取付スペースに車両用動吸振器を設けることが可能に
なるので、車両の設置スペースを有効に利用することが
できる。
【0061】また、請求項2記載の発明によれば、付加
質量としての車両搭載機器が電気機器であるため、比較
的重量のある電気機器を付加質量とすることにより制振
効果を高めることができる。また、上記請求項3記載の
発明は、付加質量としての車両搭載機器が水が貯溜され
た水タンクであるため、比較的重量のある水タンクを付
加質量とすることにより制振効果を高めることができ
る。
【0062】また、請求項4記載の発明によれば、弾性
体を保持する保持部材との間で振動方向と直交する方向
から弾性体を変形させると共に、保持部材が摺動可能に
設けられているので、比較的小さな力で弾性体を変形さ
せることができ、アクチュエータの小型化を図ることが
できる。さらに、装置全体の軽量化を図れると共に、弾
性体を変形させる際の応答性を向上させることができ
る。
【0063】また、請求項5記載の発明によれば、振動
の応答を高速フーリエ変換することにより振動周波数を
求め、その周波数に応じて付加質量の振動数を設定する
ため、制御対象の振動特性の変化に影響を受けることな
く制振制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる車両用動吸振器の一実施例が適用
された鉄道用車両を示す側面図である。
【図2】車両用動吸振器を拡大して示す構成図である。
【図3】可変剛性部の構成図である。
【図4】制御装置が実行する弾性体のせん断ばね定数k
sを設定する際の制御処理を説明するためのフローチャ
ートである。
【図5】制御装置が実行する弾性体のせん断ばね定数k
sを設定する際の制御処理の変形例を説明するためのフ
ローチャートである。
【符号の説明】
11 鉄道用車両 12 車両本体 13,14 台車 15,16 空気ばね 25 車両用動吸振器 26 付加質量 27 可変ばね機構 28 減衰機構 29 センサ 30 制御装置 31 固定ベース 32,33 弾性体 34 支柱 35 アクチュエータ 36 モータ 38 ボールねじ 40 ボールナット 51 ベース 52 車両搭載機器 53 ガイドロッド 55 低摩擦部材 58,60 電極 61,62 電線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅原 能生 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 願海 龍也 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番3 号 トキコ株式会社内 (72)発明者 藤沼 勇二 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番3 号 トキコ株式会社内 (72)発明者 福井 宏治 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番3 号 トキコ株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AA02 AD07 BA05 BE02 BF02 CB01 EA36

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の長手方向で発生する曲げ振動の腹
    に位置するように設けられた弾性体と、 該弾性体に変位可能に支持された付加質量と、 を有する車両用動吸振器であって、 前記付加質量は、前記車両に搭載される車両搭載機器で
    あることを特徴とする車両用動吸振器。
  2. 【請求項2】 上記請求項1記載の車両用動吸振器であ
    って、 前記車両搭載機器は、電気機器であることを特徴とする
    車両用動吸振器。
  3. 【請求項3】 上記請求項1記載の車両用動吸振器であ
    って、 前記車両搭載機器は、水が貯溜された水タンクであるこ
    とを特徴とする車両用動吸振器。
  4. 【請求項4】 上記請求項1記載の車両用動吸振器であ
    って、 前記車両に対し摺動可能に取り付けられ、前記弾性体を
    保持する保持部材と、 前記保持部材との間で前記振動方向と直交する方向から
    前記弾性体を変形させるように駆動されるアクチュエー
    タと、 を備えてなることを特徴とする車両用動吸振器。
  5. 【請求項5】 上記請求項1記載の車両用動吸振器であ
    って、 前記車両の応答を高速フーリエ変換することにより振動
    周波数を求め、その周波数に応じて前記付加質量の振動
    数を設定するように前記アクチュエータを駆動させる制
    御手段を設けたことを特徴とする車両用動吸振器。
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