JPH06257321A - 床振動制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期間にわたって一定の性能を発揮すること
ができ、床などの構造体の僅かな振動にも反応してこの
振動を吸収できる床振動制御装置を提供すること。 【構成】 梁部材１１に取り付けられたアーム１４と、
このアームによって支持される重錘１５と、アームの先
端部分に連結されるダンパー１６とを有する床振動制御
装置の、前記アーム１４と受けフレーム１１との結合部
分において、アームと受けフレームとの間にばね部材を
介装し、アームを受けフレームに剛接した。このため、
床の振動をより直接的に重錘に伝達せしめ、床の振動を
抑える。一方、受けフレーム１１とアームとの連結部分
にばね部材を介装することによって受けフレーム梁部材
とアームとを剛接させるから両部材の結合部分にガタの
発生を防ぎ、長期間にわたって一定の減衰性能を発揮す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、床振動制御装置、特に
床などの構造体の僅かな振動にも反応してこの振動を吸
収することが可能な床振動制御装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】建造物の内部においては従来から室内を
人が歩いたりするときの床の振動を軽減するために動吸
振器などのいわゆる床振動制御装置が設置されているこ
とがあるが、このような床振動制御装置の従来例として
は例えば図６、および図７に示すようなものがある。

【０００３】この床振動制御装置は、床下などに設けら
れ、Ｈ形の鋼材などから作られた小梁１の端面に取り付
けられたブラケット２と、ブラケット２に取り付けられ
たトーションバー３と、基端部がトーションバー３を介
してブラケット２にヒンジ結合によって支持され、且つ
ほぼ水平方向に延びるアーム４とアーム４に取り付けら
れ且つこのアーム４によって支持される重錘５と、アー
ムの先端部分に連結され当該アーム４の上下方向の振動
を減衰させるダンパー６と、アーム４の両端の間の所定
の位置に連結されてアーム４を支持するばね装置７とか
ら成る。この床振動制御装置は、アーム４が小梁１の端
面から当該小梁１の側面に沿って延びるよう設置され、
且つ図７に示してあるように、小梁１の側面の一方の側
と他方の側とに対にして設けられている。

【０００４】以上の構成により、床下の配管などの邪魔
にならず、しかも床の振動減衰効果を上げることができ
る。そして、床上を人が歩くことにより振動が発生し、
重錘５がその床振動を抑える方向に上下に動くように機
能させるために、ダンパー６とばね装置７を調整し床の
振動を制御する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の床振動制御装置にあっては、小梁１へのアー
ム４の連結部分においてアーム４がブラケット２にヒン
ジ結合されているため、長年の使用によりこの支点部分
にガタが生じると、床に振動が発生しても床振動制御装
置が期待した挙動を示さず、床振動の吸収効果が低下す
る可能性がある。また、前記従来例では、床振動制御装
置の構成要素として重錘５と、ダンパー６とばね装置７
とを必要とするため、これらの各要素をコンパクト化す
ることが難しく床振動制御装置の小型化の妨げになると
いう問題点を有していた。

【０００６】本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされ
たもので、その目的は、長期間にわたって一定の性能を
発揮することができ、床などの構造体の僅かな振動にも
反応してこの振動を吸収することができる床振動制御装
置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、建造物の梁部材に取り付けられたアーム
と、このアームによって支持される重錘と、アームの先
端部分に連結されるダンパーとを有する床振動制御装置
の、前記アームと受けフレーム部材との結合部分におい
て、アームと受けフレーム部材との間にばね部材を介装
し、アームを梁部材に剛接したことを要旨とする。

【０００８】

【作用】本発明は、上記した構成により、床の振動によ
り重錘が上下に揺れようとしたときはダンパーとばね部
材とがアームを介して重錘の揺れが床振動を抑えるよう
に機能させ、床の振動を制御する。梁部材とアームとを
剛接させるから両部材間において摩擦運動などの相対運
動を回避できガタの発生を防ぐ。よって本発明の床振動
制御装置は長期間にわたって一定の性能を発揮すること
ができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。図１は本発明の一実施例における
床振動制御装置の概略構成を示す正面図、図２はこの実
施例における床振動制御装置の梁部材への取り付け関係
を表す側面図、図３はこの実施例の床振動制御装置の構
成を詳細に説明する正面図、図４は同平面図、図５は本
発明による床振動制御装置の配置状態を説明する床平面
図である。

【００１０】これらの図において、符号１１は床１２を
支持するために床下などに設置された小梁、１３は受け
フレーム１０の垂直フランジ部１０ａ側面において後述
のアームを取り付けるために介装されるばね部材として
の皿バネ、１４は基端部が受けフレーム１０に結合支持
され、且つほぼ水平方向に延びるアーム、１５はアーム
１４に取り付けられ且つこのアーム１４によって支持さ
れる重錘、１６はアーム１４の先端部分に連結され当該
アーム１４の上下方向の振動を減衰させるダンパー、１
７はアーム１４の横揺れを防止し正しく上下方向に運動
させるべく案内するガイドレールである。

【００１１】床振動制御装置は、図５に示すように、建
造物の床１２を平面でみたとき、縦方向に延びる小梁１
１と横方向に延びる小梁１１とが交差する付近に設置さ
れる。小梁１１は、建造物の柱３０間に架設された大梁
３１の間に一定の間隔をおいて複数本交差して設けられ
るから、縦方向に延びる小梁１１と横方向に延びる小梁
１１との交差点は複数形成される。したがって、床振動
制御装置も一つの居室の床下の複数個所（図５中、丸印
で示す個所）に設置される。

【００１２】床振動制御装置の小梁１１への取り付け固
定は、当該小梁の下フランジ１１ａと小梁よりはねだし
た固定用プレート１１ｃとの双方に床振動制御装置の本
体部分に係合する止金具１８を取り付け、この止金具１
８をねじ１９により小梁１１に固定することによって行
なう。受けフレーム１０へのアーム１４の取付は、アー
ム１４の基端に取付用のフランジ（以下、取付フランジ
という）１４ａを設け、この取付フランジ１４ａと受け
フレーム１０の垂直フランジ部１０ａとの間に皿バネ１
３を挟んで介在せしめ、前記垂直フランジ部１０ａと取
付フランジ１４ａとをボルト２０で締めつけることによ
って行なう。これにより、受けフレーム１０とアーム１
４とは剛接され、例えばアーム１４がこの取付部分を支
点として上下運動しても両部材間で摩擦運動が発生する
ことはない。

【００１３】アーム１４への重錘１５の取り付けは、ア
ーム１４の中間部分に長手方向に延びるスリット孔２１
を形成する一方、重錘１５にはアーム１４が挿通できる
取付孔と取付孔に対して直角方向に延びるボルト挿通孔
を形成しておき、重錘１５をアーム１４に装着した後固
定用ボルト２２をボルト挿通孔およびスリット孔を通し
て差し込みナット２３によって締め付け固定する。アー
ム１４に取り付けられた重錘１５の両側には、重錘１５
のずれ調整用のメジ山２４が装着されている。ダンパー
１６には、例えばシリンダ部２５およびピストン部２６
から構成された流体式の減衰装置が用いられ、シリンダ
部２５を床振動制御装置の基台部分に固定するとともに
ピストン部２６をアーム１４の先端部分に固定用ボルト
２７で連結して成る。また、アーム１４とダンパー１６
との連結部分に近いアーム１４の先端部分に係合孔２８
を形成し、この係合孔２８にガイドレール１７が所定の
隙間をあけた状態で挿通されている。

【００１４】なお、この実施例においては、床振動制御
装置は、アーム１４が受けフレーム１０の垂直フランジ
１０ａが設けられた端面から当該小梁１１の側面に沿っ
て延びるよう設置され、且つ図２に示してあるように、
小梁１１の側面の一方の側にのみ設置されているが、上
述の従来例と同様、小梁１１の側面の一方の側と他方の
側とに対にして設けられていてもよい。また、床振動制
御装置は小梁１１の側面に固着された状態で設置されて
いるから、床１２の下側の配管などの邪魔にならない。

【００１５】以上のように構成された本実施例の床振動
制御装置について、以下その動作を説明する。床１２の
上を人が歩くことにより振動が発生し、ダンパー１６と
皿バネ１３により重錘１５がその床振動を抑える方向に
動くことにより、床１２の振動を制御する。このとき、
床１２への力の加わり方によっては、重錘１５へは上下
のみならず横方向へも揺れ作用が働くが、アーム１４に
は垂直方向へ延びるガイドレール１７が装着されている
から、横揺れは防止される。皿バネ１３は受けフレーム
１０とアーム１４とを剛接させ一体化させるから両部材
１１、１４間において摩擦運動などの相対運動を回避で
きガタの発生を防ぐ。よって本発明の床振動制御装置は
長期間にわたって一定の性能を発揮することができる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
梁部材に取り付けられたアームと、このアームによって
支持される重錘と、アームの先端部分に連結されるダン
パーとを有する床振動制御装置の、前記アームと梁部材
との結合部分において、アームと梁部材との間にばね部
材を介装し、アームを梁部材に剛接したため、ダンパー
ばね部材により重錘が振動し、床の振動を抑える。梁部
材とアームとを剛接させるから両部材の結合部分にガタ
の発生を防ぐ。よって本発明の床振動制御装置は長期間
にわたって一定の性能を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における床振動制御装置の概
略構成を示す正面図である。

【図２】前記第１の実施例における床振動制御装置の梁
部材への取り付け関係を表す側面図である。

【図３】この実施例の床振動制御装置の構成を詳細に説
明する正面図である。

【図４】この実施例の床振動制御装置の構成を詳細に説
明する平面図である。

【図５】本発明による床振動制御装置の配置状態を説明
する床平面図である。

【図６】従来の床振動制御装置の一例を示す正面図であ
る。

【図７】前記従来例の平面図である。

【符号の説明】

１０ 受けフレーム １１ 小梁 １２ 床 １３ 皿バネ（ばね部材） １４ アーム １５ 重錘 １６ ダンパー １７ ガイドレール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建造物の梁部材に基端部が結合されほぼ
   水平方向に延びて取り付けられたアームと、アームに取
   り付けられ且つこのアームによって支持される重錘と、
   アームの先端部分に連結され当該アームの上下方向の振
   動を減衰させるダンパーとを有し、前記アームと梁部材
   との結合部分では、アームと梁部材との間にばね部材が
   介装されてアームが梁部材に剛接されていることを特徴
   とする床振動制御装置。