JP4265039B2 - 光硬化性組成物および硬化膜 - Google Patents

光硬化性組成物および硬化膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光硬化性組成物およびその光硬化性組成物から得られた硬化膜(以下、単に硬化膜と称する場合がある。)に関する。より詳細には、幅広い範囲(例えば、1.40〜1.90)で屈折率の値を調節することができ、また、紫外線を有効に遮蔽(カット)することが可能な光硬化性組成物およびその硬化膜に関する。
【0002】
本発明の光硬化性組成物、その硬化膜(硬化物を含む。)は、金属用塗料、スレート材等のサイジング剤、プラスチックフィルムのハードコーテイング、印刷紙のハードコーテイング、床、壁タイルの汚染防止膜、光学レンズのハードコーティング、表示素子の保護膜、反射防止膜、高反射膜、選択透過膜、繊維の被覆強化材料、光学的立体造形用樹脂、光学レンズ、半導体用封止剤、半導体用絶縁膜、半導体用接着剤、光学用接着剤、印刷板材料、光導波路材料および光スイッチング材料等の用途に好適である。
【0003】
【従来の技術】
透明硬化膜の形成材料として、熱硬化型ポリシロキサン組成物が知られており、例えば、特開昭53−12952号公報、特開昭55−25432号公報、特開昭50−28092号公報に開示されている。
しかしながら、このような熱硬化型ポリシロキサン組成物から得られた硬化膜は、耐候性や耐擦傷性に優れている反面、高温で、長時間にわたって加熱処理をする必要があり、生産性が低かったり、あるいは適用基材の種類が限定されるという問題が見られた。また、かかる熱硬化型ポリシロキサン組成物は、常温での保管では性能が低下するため、厳格な温度管理の下、低温状態に保管する必要がある等の問題点を有していた。
【0004】
このため、耐候性と耐擦傷性の改良を目的として、シラン化合物からなる光硬化性組成物が提案されている。例えば、特公表昭57−500247号公報においては、非重合性のアルコキシシランの加水分解物と、アクリル基もしくはグリシジル基を有するアルコキシシランの加水分解物と、光開始剤とから構成される光硬化性組成物が開示されている。また、特公表昭57−500984号公報においては、アクリル基もしくはグリシジル基を有するアルコキシシランの加水分解物と、コロイダルシリカと、非シリルの有機アクリレートと、光開始剤とから構成される光硬化性組成物が開示されている。また、特開平2−187176号公報においては、25モル%以上の有機重合性アルコキシシランと、金属アルコキシド縮合物と、光開始剤とから構成される光硬化性組成物が開示されている。また、米国特許5385955号においては、エポキシ基含有アルコキシシランと、アルキルアルコキシシランの加水分解物と、コロイダルシリカと、光開始剤とからなる光硬化性組成物が開示されている。さらに、特開昭60−186570号公報においては、防曇膜の形成を目的として、強酸性触媒を用いて合成したアルコキシシランの加水分解物と、光開始剤とを含有してなる光硬化性組成物が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの光硬化性組成物は、いずれも幅広い範囲で屈折率の値を調節したり、あるいは紫外線を遮蔽(カット)することが困難であった。
また、これらの光硬化性組成物は、一般に光硬化反応が遅くて、硬化不良が生じやすく、得られた光硬化物の耐熱性や耐候性がばらつきやすいという問題も見られた。さらに、これらの光硬化性組成物における光硬化速度を速めようとすると、光硬化性組成物の保存安定性が低下しやすいという問題も見られた。
【0006】
一方、ポリシロキサン組成物に代わる材料として、熱硬化型ポリチタノキサン組成物(コーティング材料)が知られている。例えば、特開平1−129032号公報には、ラダー構造のポリチタノキサンを有機溶媒に溶解してなる熱硬化性組成物が開示されている。また、特開平6−242432号公報には、アルコキシシランの加水分解物と、テトラアルコキシチタンの加水分解物とを含有してなる熱硬化性組成物が開示されている。さらに、特開平6−33000号公報には、アルコキシシランの加水分解物と、テトラアルコキシチタンとを含有してなる熱硬化性組成物が開示されている。
しかしながら、いずれの熱硬化型ポリチタノキサン組成物も、硬化膜を得るために、高温、長時間の条件、例えば200℃、30分間以上にわたって加熱処理をする必要があり、生産性が低かったり、あるいは適用基材の種類が限定されるという問題が見られた。
また、上述した熱硬化型ポリチタノキサン組成物から膜厚の厚い硬化膜(光学部品等)を形成しようとすると、クラックが生じやすいという問題が見られた。さらには、いずれの熱硬化型ポリチタノキサン組成物も、保存安定性に乏しく、ゲル化しやすいという問題も見られた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来の熱硬化型ポリシロキサン組成物あるいは熱硬化型ポリチタノキサン組成物は、硬化時間が長くて、かつ高温加熱処理を必要とするため、適用できる基材が限定され、さらには保存安定性に乏しいという問題点を有していた。また、光硬化型ポリシロキサン組成物においては、屈折率の値を幅広い範囲で調節したり、紫外線を遮蔽することが困難であるという問題点を有していた。
【0008】
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、加水分解性シラン化合物と、加水分解性チタン化合物と、光酸発生剤とを組み合わせることにより、上述した問題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、幅広い範囲で屈折率の値を調節したり、紫外線を遮蔽したりすることができ、かつ、光硬化性や保存安定性に優れた光硬化性組成物およびその硬化膜(硬化物を含む。)を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有する光硬化性組成物に関する。
(A)一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物およびその縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物
(RSi(X)4−P (1)
[一般式(1)中、Rは炭素数が1〜12であるアルキル基又はアリール基、Xは加水分解性基、およびpは0〜3の整数である。]
(B)一般式(2)で表される加水分解性チタン化合物の加水分解物およびその縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物
Ti(Y) (2)
[一般式(2)中、Yは加水分解性基である。]
(C)光酸発生剤
【0010】
このように光硬化性組成物を構成することにより、高温加熱処理を必要とせず均一な厚さの硬化膜を短時間で得ることができる。また、得られた硬化膜において、幅広い範囲で屈折率の値を調節したり、紫外線を有効に遮蔽したりすることができる。
【0011】
また、本発明の別の態様は、上述した光硬化性組成物を光硬化してなる硬化膜である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態は、加水分解性シラン化合物の加水分解物(A成分)、加水分解性チタン化合物の加水分解物(B成分)および光酸発生剤(C成分)を含有する光硬化性組成物である。なお、後述するように、D成分として、脱水剤を添加することも好ましい。
【0013】
(1)加水分解性シラン化合物における加水分解物
本発明で使用する加水分解物は、一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物を加水分解した化合物である。
(R1PSi(X)4-P (1)
[一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜3の整数である。]
【0014】
▲1▼有機基R1
一般式(1)における有機基R1は非加水分解性である1価の有機基の中から選ぶことができる。
このような非加水分解性の有機基として、非重合性の有機基および重合性の有機基あるいはいずれか一方の有機基を選ぶことができる。なお、有機基R1における非加水分解性とは、加水分解性基Xが加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。
【0015】
ここで、非重合性の有機基R1としては、アルキル基、アリ−ル基、アラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組み合わせであっても良い。
また、より具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、および重水素化アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のうち、より好ましくはメチル基である。
【0016】
また、非重合性の有機基R1における具体的なアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、および重水素化アリール基もしくはハロゲン化アリール基が挙げられる。これらのうち、より好ましくはフェニル基である。
さらに、非重合性の有機基R1における具体的なアラルキル基としては、ベンジル基およびフェニルエチル基が挙げられる。これらのうち、より好ましくはベンジル基である。
【0017】
さらに、非重合性の有機基R1は、ヘテロ原子を含む構造単位とすることも好ましい。そのような構造単位としては、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合等を例示することができる。また、ヘテロ原子を含む場合、非塩基性であることが好ましい。
【0018】
また、重合性の有機基R1は、分子中にラジカル重合性の官能基およびカチオン重合性の官能基あるいはいずれか一方の官能基を有する有機基であることが好ましい。このような官能基を導入することにより、ラジカル重合やカチオン重合を併用して、光硬化性組成物をより有効に硬化させることができる。
【0019】
また、重合性の有機基R1におけるラジカル重合性の官能基、およびカチオン重合性の官能基のうち、より好ましいのはカチオン重合性の官能基である。光酸発生剤により、シラノール基における硬化反応のみならず、カチオン重合性の官能基における硬化反応を同時に生じさせることができるためである。
【0020】
次に、ラジカル重合性の官能基を有する有機基R1の具体例について説明する。このような有機基R1としては、不飽和炭化水素基を有する有機基、(メタ)アクリロキシ基を有する有機基、スチリル基を有する有機基、ビニルオキシ基を有する有機基等が挙げられる。
そして、より具体的な不飽和炭化水素基を有する有機基としてはビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基等が挙げられる。これらのうち、より好ましくはビニル基である。
また、(メタ)アクリロイル基を有する有機基の例を示すと、(メタ)アクリロキシメチル基や(メタ)アクリロキシプロピル基等が挙げられる。
また、スチリル基を有する有機基の例を示すと、スチリル基、スチリルエチル基、スチリルプロピル基等が挙げられる。
さらに、ビニルオキシ基を有する有機基の例を示すと、ビニロキシエチル基、ビニロキシプロピル基、ビニロキシブチル基、ビニロキシオクチル基、ビニロキシシクロヘキシル基、ビニロキシフェニル基等を挙げることができる。なお、ビニルオキシ基を有する有機基は、後述するカチオン重合性の官能基を有する有機基としての機能も有している。
【0021】
また、カチオン重合性の官能基を有する有機基R1としては、環状エーテル構造を有する有機基、ビニルオキシ基を有する有機基等が挙げられる。
そして、より好ましくは、環状エーテル構造を有する有機基である。かかる環状エーテル基としては、直鎖や環状構造を有する3〜6員環の環状エーテル構造、より具体的にはグリシジル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラン構造を含む基、及びピラン構造を含む基を挙げることができる。また、これらの環状エーテル基のうち、より好ましいものはグリシジル基、オキセタニル基等の4員環以下の環状エーテル構造である。
【0022】
また、環状エーテル構造を有する有機基の具体例を示すと、グリシジルプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、メチルオキセタニルメトキシプロピル基、エチルオキセタニルメトキシプロピル基等を挙げることができる。
【0023】
▲2▼加水分解性基X
Xで表される加水分解性基は、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(25℃)〜100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基を指す。また、加水分解性基Xに関する一般式(1)中の添え字pは、0〜3の整数であるが、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは1である。
【0024】
ただし、一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解物において、一部未加水分解の加水分解性基が残っていても良く、その場合、加水分解性シラン化合物と加水分解物との混合物となる。
また、加水分解性シラン化合物の加水分解物というときは、加水分解反応により加水分解性基がシラノール基に変わった化合物ばかりでなく、一部のシラノール基同士が縮合した部分縮合物をも意味している。
【0025】
さらに、加水分解性シラン化合物は、光硬化性組成物を配合する時点で加水分解されている必要は必ずしもなく、光照射する段階で、少なくとも一部の加水分解性基が加水分解されていれば良い。すなわち、第1の実施形態の光硬化性組成物において、加水分解性シラン化合物を予め加水分解せずに使用した場合には、事前に水を添加して、加水分解性基を加水分解させ、シラノール基を生成することにより、光硬化性組成物を光硬化させることができる。
【0026】
次に、一般式(1)における加水分解性基Xの具体的内容について説明する。本発明において、加水分解性基Xは、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子およびアミノ基等が挙げられる。
【0027】
好ましい炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基、あるいは、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基、オキサシクロヘキシロキシ等の6員環エーテル基を有するアルコキシ基等を挙げることができる。
【0028】
また、好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。
ただし、このように加水分解性基としてハロゲン原子を含む加水分解性シラン化合物を用いる場合、光硬化性組成物の保存安定性を低下させないように注意を払う必要がある。すなわち、加水分解により生成するハロゲン化水素の量にもよるが、かかるハロゲン化水素を、中和、蒸留等の操作により除去して、光硬化性組成物の保存安定性に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
【0029】
また、好ましいアミノ基としては、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることができる。
ただし、このように加水分解性基としてアミノ基を用いた場合、加水分解によりアミン類が生成する。したがって、光硬化性組成物の保存安定性に影響を及ぼさないように、光硬化性組成物を最終的に調製する前に、かかる副生アミン類を除去することが好ましい。
【0030】
▲3▼加水分解性シラン化合物の具体例
次に、一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物(単に、シラン化合物と称する場合がある。)の具体例を説明する。
【0031】
まず、一般式(1)においてpが0であるシラン化合物としては、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等が挙げられる。
【0032】
また、同様に、一般式(1)においてpが1であるシラン化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
また、同様に、一般式(1)においてpが2であるシラン化合物としては、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等が挙げられる。
また、同様に、一般式(1)においてpが3であるシラン化合物としては、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等を挙げることができる。
【0034】
また、重合性の有機基R1を有するシラン化合物としては、Xにおける非加水分解性の有機基に重合性の有機基R1を含むシラン化合物、Xにおける加水分解性の有機基に重合性の有機基R1を有するシラン化合物のいずれかを用いることができる。
【0035】
また、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、比較的高い屈折率の値(1.60以上)を得たい場合には、上述したシラン化合物のうち、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシランといった非加水分解性基の炭素数が比較的多いものを使用することが好ましい。
一方、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、比較的低い屈折率の値(1.60未満)を得たい場合には、上述したシラン化合物のうち、テトラクロロシラン、テトラメトキシシランといった非加水分解性基をもたないシラン化合物、あるいはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシランといった非加水分解性基の炭素数が比較的少ないものを使用することが好ましい。
【0036】
▲4▼加水分解性シラン化合物の加水分解条件等
次に、上述した加水分解性シラン化合物を加水分解する条件やさらに縮合する条件について説明する。これらの加水分解条件等は、特に制限されるものではないが、一例として、以下に示す1)〜3)の工程で以て実施するのが好ましい。
【0037】
1)一般式(1)に示す加水分解性シラン化合物と、所定量の水とを、撹拌機付の容器内に収容する。
2)次いで、溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中、0℃から有機溶媒もしくは加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で、1〜24時間の間加熱撹拌する。なお、加熱撹拌中、必要に応じて蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは溶剤を置換することも好ましい。
【0038】
ここで、加水分解性シラン化合物の加水分解に用いられる水(精製水)は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。具体的には電気伝導率が1×10-2S・cm-1以下の値である水を使用することが好ましい。加水分解に用いられる水の電気伝導率が1×10-2S・cm-1を超えると、光硬化性組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
したがって、光硬化性組成物の保存安定性がより良好な観点から、加水分解に用いられる水の電気伝導率を1.0×10-4S・cm-1以下の値とするのがより好ましい。
【0039】
▲5▼加水分解性シラン化合物の加水分解物
次に、加水分解性シラン化合物の加水分解物における分子量について説明する。かかる分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記する。)を用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定することができる。
そして、加水分解物の重量平均分子量を、通常500〜10000の範囲内の値とするのが好ましい。加水分解物における重量平均分子量の値が500未満の場合、塗膜の成膜性が低下する傾向があり、一方、10000を越えると光硬化性が低下する傾向がある。したがって、より好ましくは加水分解物における重量平均分子量を、1000〜5000の範囲内の値とすることである。
【0040】
(2)加水分解性チタン化合物における加水分解物
第1の実施形態で使用する加水分解性チタン化合物(以下、単にチタン化合物と称する場合がある。)における加水分解物は、一般式(2)で示されるチタン化合物においてチタノ-ル基を生成させた化合物である。
Ti(Y)4 (2)
[一般式(2)中、Yは加水分解性基である。]
【0041】
▲1▼加水分解性基Y
Yで表される4つの加水分解性基は、それぞれ同一でも異なっていても良い。また、具体的な加水分解性基Yの種類としては、一般式(1)における加水分解性基Xと同様のものが使用可能である。したがって、ここにおける、加水分解性基Yの種類等の説明は省略する。
また、加水分解性基Yは、一般式(1)における加水分解性基Xと同様に、一部未加水分解のものが残っていても良く、あるいは一部のチタノール基同士が縮合して部分縮合物となっていても良い。
また、加水分解性基Yの加水分解条件等についても、一般式(1)における加水分解性基Xと同様の条件を採用することができる。
さらに、加水分解性チタン化合物における加水分解性基Yと、一般式(1)における加水分解性シラン化合物におけるシラノール基とが重縮合していても良い。
【0042】
▲2▼加水分解性チタン化合物の具体例
次に、一般式(2)で表される加水分解性チタン化合物(単に、チタン化合物と称する場合がある。)の具体例を説明する。
このようなチタン化合物としては、一般式(2)における4個の加水分解性基Yが、それぞれ非重合性の加水分解性基であるチタン化合物が挙げられる。より具体的には、o−アリルオキシ(ポリエチレンオキシ)トリイソプロポキシチタン、アリルアセトアセテートトリイソプロポキシチタン、ビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、クロロトリイソプロポキシチタン、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ジn−ブトキシチタン、ジクロロジエトキシチタン、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ジイソプロポキシチタン、ビス(テトラメチルヘプタンジオネート)ジイソプロポキシチタン、ビス(エチルアセテート)ジイソプロポキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキサノキシ)チタン、テトライソブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、チタニウムラクテート、テトラメトキシチタン、テトラメトキシプロポキシチタン、テトラメチルフェノキシチタン、テトラn−ノニロキシチタン、ビス(2,4−ペンタンジオネート)チタンオキシド、テトラn−プロポキシシチタン、テトラステアリルオキシチタン、テトラキス(ビス−2,2−(アリルオキシメチル)ブトキシ)チタン、トリn−ブチルスタノキシトリイソプロポキシチタン、トリ(イソステアロイル)イソプロポキシチタン、テトラキス(トリメチルシロキシ)チタニウム等が挙げられる。
【0043】
また、同様に、一般式(2)における4個の加水分解性基Yのうち、少なくとも一つの加水分解性基が重合性であるチタン化合物が挙げられる。より具体的には、メタクリロキシトリイソプロポキシチタン、2−メタクリルオキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキシチタン、メタクリロキシエトキシトリイソプロポキシチタン、2−メトキシエトキシエトキシトリメタクリレートチタン等が挙げられる。
【0044】
また、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、比較的高い屈折率の値(1.60以上)を得たい場合には、上述したチタン化合物のうち、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタンといった加水分解性基の炭素数が比較的少ないものや、あるいは、テトラメチルフェノキシチタンといった加水分解性基にベンゼン環を有するものを使用することが好ましい。
一方、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、比較的低い屈折率の値(1.60未満)を得たい場合には、上述したチタン化合物のうち、テトラn−ノニロキシチタン、テトラステアリルオキシチタン、テトラキス[ビス−2,2−(アリルオキシメチル)ブトキシ]チタン、トリ(イソステアリロイル)イソプロポキシチタンといった加水分解性基の炭素数が比較的多いものを使用することが好ましい。
【0045】
▲3▼加水分解性チタン化合物の添加量
次に、本発明における(B)成分としての加水分解性チタン化合物の添加量(含有割合)について説明する。かかるチタン化合物の添加量は特に制限されるものではないが、(A)成分/(B)成分の重量比が、99/1〜1/99の範囲内の値であることが好ましい。この理由は、チタン化合物の添加量が、(A)成分/(B)成分の重量比として99/1未満となると、屈折率の値を調整することが困難となる傾向があり、一方、1/99を超えると、光硬化性や保存安定性が低下する傾向があるためである。
したがって、チタン化合物の添加量を、(A)成分/(B)成分の重量比として、90/10〜10/90の範囲内の値とするのがより好ましく、80/20〜20/80の範囲内の値とするのがさらに好ましく、70/30〜30/70の範囲内の値とするのが最も好ましい。
なお、(A)成分および(B)成分の重量は、それぞれ完全加水分解縮合物(加水分解性基が100%加水分解してOH基となり、完全に縮合したもの)に換算したものであり、以下(A)成分および(B)成分の重量が問題となる場合についても、同様に完全加水分解縮合物換算である。
【0046】
(3)光酸発生剤
▲1▼定義
光硬化性組成物に使用する光酸発生剤(C成分)は、光等のエネルギー線を照射することにより、(A)成分である加水分解性シラン化合物を光硬化(架橋)可能な酸性活性物質を放出することができる化合物と定義される。
なお、光酸発生剤を分解させて、酸性活性物質を発生するするために照射する光エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を挙げることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大(速く)であり、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
【0047】
▲2▼光酸発生剤の種類
次に、光酸発生剤の種類を説明する。かかる光酸発生剤としては、一般式(3)で表される構造を有するオニウム塩(第1群の化合物)や一般式(4)で表される構造を有するスルフォン酸誘導体(第2群の化合物)を挙げることができる。
【0048】
[R2 a3 b4 c5 dW]+m [MZm+n] -m (3)
[一般式(3)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R2、R3、R4およびR5は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MXm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
【0049】
s−〔S(=O)2−R6t (4)
[一般式(4)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R6は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0又は1、添え字tは1又は2である。]
【0050】
まず、第1群の化合物であるオニウム塩は、光を受けることにより酸性活性物質を放出することができる化合物である。
ここで、一般式(3)におけるアニオン[MZm+n]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 -)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 -)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6 -)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0051】
また、一般式(3)におけるアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZnOH-]で表されるアニオンを使用することも好ましい。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
【0052】
また、上述した第1群の化合物のうち、より有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩であり、特に好ましくは下記一般式(5)で表されるジアリールヨードニウム塩である。
[R7−Ar1−I+−Ar2−R8][Y-] (5)
[一般式(5)中、 R7およびR8は、それぞれ1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R7およびR8の少なくとも一方は炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ar1およびAr2はそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y-は1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO4 -、CF3−SO3 -から選ばれる陰イオンである。]
【0053】
このようなジアリールヨードニウム塩としては、具体的に、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウム トリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメチルスルフォネート等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0054】
なお、上述した第1群の化合物の市販品例を示すと、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(三和ケミカル(株)製)等を挙げることができる。
【0055】
次に、第2群の化合物について説明する。一般式(4)で表されるスルフォン酸誘導体の例を示すと、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。
また、一般式(4)の中でより好ましくはイミドスルホネート類であり、さらに好ましくはイミドスルホネートのうち、トリフルオロメチルスルホネート誘導体である。
【0056】
また、このようなスルホネート類の具体例を挙げると、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド メチルスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド トシルスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド トリフルオロメチルスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド カンファースルホネート、コハク酸イミド フェニルスルホネート、コハク酸イミド トシルスルホネート、コハク酸イミド トリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミド カンファースルフォネート、フタル酸イミド トリフルオロスルホネート、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸イミド トリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピル トシラート、1,2−ジ(4−メチルメルカプトフェニル)−2−ヒドロキシプロピル トシラート、ピロガロール メチルスルホネート、ピロガロール エチルスルホネート、2,6−ジニトロフェニルメチル トシラート、オルト−ニトロフェニルメチル トシラート、パラ−ニトロフェニル トシラートを挙げることができる。
【0057】
▲3▼光酸発生剤の添加量
次に、光酸発生剤の添加量(含有割合)について説明する。かかる光酸発生剤の添加量は特に制限されるものではないが、(A)成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部の範囲内の値とするのが好ましい。光酸発生剤の添加量が0.1重量部未満となると、光硬化性が低下し、十分な硬化速度が得られない傾向がある。一方、光酸発生剤の添加量が15重量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する傾向がある。
したがって、光硬化性と得られる硬化物の耐候性等とのバランスがより良好な観点から、光酸発生剤の添加量を、(A)成分100重量部に対して1〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0058】
(4)脱水剤
▲1▼脱水剤の定義
脱水剤は、化学反応により水以外の物質に変換する化合物、物理吸着または包接により、光硬化性および保存安定性に影響を与えなくする化合物と定義される。すなわち、このような脱水剤を含有することにより、光硬化性組成物の耐候性や耐熱性を損なうことなく、保存安定性や光硬化性という相反する特性を向上させることができる。この理由として、外部から侵入してくる水を、脱水剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の保存安定性が向上し、一方、光硬化反応である縮合反応においては、生成した水を順次に脱水剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の光硬化性が向上するためと考えられる。
【0059】
▲2▼脱水剤の種類
次に、脱水剤の種類を説明する。かかる脱水剤の種類は特に制限されるものでないが、有機化合物として、カルボン酸エステル、アセタール類(ケタール類を含む。)、およびカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。また、無機化合物として、脱水機能を有するセラミック粉体の使用も好ましい。これらの脱水剤は、優れた脱水効果を示し、少量の添加で脱水剤の機能を効率的に発揮することができる。
【0060】
また、脱水剤としてのカルボン酸エステルは、カルボン酸オルトエステルやカルボン酸シリルエステル等の中から選ばれる。
ここで、好ましいカルボン酸オルトエステルとしては、オルト炭酸メチル、オルト炭酸エチル、オルト炭酸プロピル、オルト炭酸ブチル、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト蟻酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチルおよびオルトプロピオン酸エチル等が挙げられる。また、これらのカルボン酸オルトエステルのうち、より優れた脱水効果を示し、保存安定性や光硬化性をより向上させることができる観点から、オルト蟻酸エステルが、本発明における脱水剤として特に好ましい。
また、好ましいカルボン酸シリルエステルとしては、酢酸トリメチルシリル、酢酸トリブチルシリル、蟻酸トリメチルシリル、シュウ酸トリメチルシリル等が挙げられる。
【0061】
なお、カルボン酸エステルのうち、カルボン酸オルトエステルを使用することがより好ましい。カルボン酸オルトエステルは、効率的に水を吸収し、自身で加水分解することができる。また、カルボン酸オルトエステルは加水分解して生成する化合物は中性である。したがって、カルボン酸オルトエステルは、優れた脱水効果を示し、保存安定性や光硬化性をより向上させることができる。
【0062】
また、好ましいアセタール類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のケトン類と、1価アルコールとの反応物であるジメチルアセタール、ジエチルアセタールおよびジプロピルアセタール、あるいは、エチレングリコール等の2価アルコールとケトン類とからなるアセタールおよびカルボン酸エステルのシリル化反応により製造されるケテンシリルアセタール類を挙げることができる。
そして、これらのアセタール類のうち、アセトンジメチルアセタール、アセトンジエチルアセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、シクロヘキサノンジメチルアセタールおよびシクロヘキサノンジエチルアセタールは、特に優れた脱水効果を示し、保存安定性や光硬化性をより向上させることができる観点から本発明における脱水剤としての使用に好ましい。
【0063】
また、好ましいカルボン酸無水物としては、例えば、蟻酸無水物、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、安息香酸無水物、酢酸安息香酸無水物等が挙げられる。特に、無水酢酸および無水コハク酸は、脱水効果に特に優れており好ましい。
【0064】
また、好ましい脱水機能を有するセラミック粉体としては、シリカゲル粒子、アルミナ粒子、シリカアルミナ粒子、活性白土、ゼオライト等が挙げられる。これらのセラミック粉体は、水に対して、強い親和力を有しており、優れた脱水効果を発揮することができる。
【0065】
▲3▼脱水剤の性状
次に、脱水剤の性状について説明する。まず、脱水剤は、常温、常圧条件において、固体もしくは液体であり、光硬化性組成物中に溶解または分散して、脱水効果を発揮する化合物から選ばれる。
また、脱水剤が有機化合物から選ばれる場合、その沸点(常圧条件下)を、40〜200℃の範囲内の値とすることが好ましい。沸点がこのような範囲内の値であれば、室温(25℃)〜200℃の乾燥条件で効率的に揮発させることができる。したがって、脱水剤を除去することが容易である。
一方、脱水剤が無機化合物から選ばれる場合、光硬化性樹脂組成物の塗布性、透明性を損なわないように、均一に分散して用いられる。
【0066】
▲4▼脱水剤の添加量
次に、脱水剤の添加量について説明する。脱水剤の添加量は特に制限されるものではないが、(A)成分および(B)成分の合計を100重量部としたときに、通常、0.1〜100重量部の範囲内の値とするのが好ましい。脱水剤の添加量が0.1重量部未満となると、添加効果の発現に乏しい傾向があり、また、保存安定性や光硬化性の向上効果が低い傾向がある。一方、脱水剤の添加量が100重量部を越えると、保存安定性や光硬化性の向上効果が飽和する傾向がある。したがって、より好ましくは、(A)成分および(B)成分の合計を100重量部としたときに、脱水剤の添加量を0.5〜50重量部の範囲内の値とすることであり、さらに好ましくは、1〜10重量部の範囲内の値である。
【0067】
(5)添加剤
さらに必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリスルフィド系ポリマー等の有機樹脂(ポリマーあるいはオリゴマー)、もしくはこれらの有機樹脂が加水分解性シリル基で置換された化合物が挙げられる。
また、その他の好ましい添加剤として、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤;重合開始助剤;レベリング剤;濡れ性改良剤;界面活性剤;可塑剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;帯電防止剤;シランカップリング剤;無機充填剤;顔料;染料等を挙げることもできる。
【0068】
(6)製造方法
本発明の光硬化性組成物は、上述した加水分解性シラン化合物や脱水剤等を、常法にしたがって混合撹拌することにより、製造することができる。ただし、高粘度の光硬化性組成物の製造においては、例えば、プロペラミキサー、プラネタリーミキサー、Vブレンダ、三本ロール、ハイシェアミキサー等の混合機を使用することが好ましい。
【0069】
(7)光硬化性樹脂組成物
▲1▼性状
光硬化性樹脂組成物の粘度を、1〜10000cps(25℃)の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、粘度がこれらの範囲を超えると、均一な塗膜を形成することが困難となる傾向があるためである。
【0070】
なお、光硬化性組成物の粘度は、有機溶媒や反応性希釈剤の種類、あるいは有機溶媒等の配合量を変更することにより、適宜調製することができる。このような有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等の1種単独あるいは2種以上の組合わせを挙げることができる。
【0071】
▲2▼コーティング方法
本発明の光硬化性組成物を使用する場合、まず、基材(適用部材)にコーテイングする方法が一般に採られる。
ここで、光硬化性組成物のコーテイング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法等の方法を用いることができる。
また、各種コーテイング方法に適したレオロジー特性に調製するため、必要に応じて、各種レベリング剤、チクソ付与剤、フィラー、有機溶媒、界面活性剤等を配合することも好ましい。
【0072】
▲3▼光照射
本発明の光硬化性組成物に光を照射する手段としては、特に制限されるものではなく、種々の手段を採用することができる。例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ等の光源を用いて、塗膜全面に光照射することができる。また、レーザ光、あるいはレンズ、ミラー等を用いて得られた収束光等を走査させながら光硬化性組成物に照射することもできる。
さらに、所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して非収束光を組成物に照射したり、あるいは、多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を組成物に照射することもできる。
【0073】
また、光硬化させて得られた硬化膜は必要に応じて、さらに加熱することができる。その場合、通常、室温から基材もしくは塗膜の分解開始温度以下で、5分〜72時間加熱するのが好ましい。このように光硬化後に、さらに加熱することにより、より耐熱性や耐候性に優れた硬化膜を得ることができる。
【0074】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り重量部を意味している。
【0075】
[実施例1]
(光硬化性組成物の作製)
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(101.2g、0.51モル)と、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(14.8g、0.82モル)とを収容した後、温度60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシランの加水分解を行った。次いで、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略記)を滴下しながら、加水分解により副生したメタノールを蒸留除去した。そして、最終的に固形分を22重量%に調整して、本発明の(A)成分であるポリシロキサンを含有する溶液(以下、ポリシロキサン1と称する。)を得た。得られたポリシロキサン1について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、1500という値が得られた。
【0076】
また、窒素置換した攪拌機付きの容器内に、テトラブトキシチタン(129.3g、0.38モル)を収容した後、温度85℃で加熱撹拌下、電気伝導度が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(13.1g、0.73モル)をブチルアルコール257.5gに溶解したものを滴下ロートより1時間かけて滴下後、温度85℃、2時間加熱撹拌を行った。
次いで、ロータリーエバポレータを用いて、溶媒および加水分解により副生したブチルアルコールを除去することで63.4gの白色結晶を得た。そして、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略記)を加えて、最終的に固形分を22重量%に調製して、本発明の(B)成分であるポリチタノキサンを含有する溶液(以下、ポリチタノキサン1と称する。)を得た。
【0077】
次いで、ポリシロキサン1(固形分および溶剤)26重量部と、ポリチタノキサン1(固形分および溶剤)74重量部と、光酸発生剤としての[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート 0.7重量部と、脱水剤であるオルト蟻酸メチル(OFM)3.0重量部とをそれぞれ均一に混合して、光硬化性組成物を得た。
なお、表1中、ポリシロキサン1(P−PTMS)、およびポリチタノキサン1(P−TBT)と表記してあるが、それぞれ(A)成分であるポリシロキサンを含有する溶液および(B)成分であるポリチタキサンを含有する溶液を意味している。
【0078】
(光硬化性組成物の評価)
(1)光硬化性
得られた光硬化性組成物を大気条件下、石英板上に回転塗布し、厚さが0.3μmとなるように塗膜を形成した。
形成した塗膜に対して、大気下、温度25℃で、それぞれ露光量が100mJ/cm2(照射時間1秒)、200mJ/cm2(照射時間2秒)、および300mJ/cm2(照射時間3秒)となるように、オーク製作所(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ(2kW)を用いて紫外線を照射し、硬化膜を形成した。得られた硬化膜につき、指触で表面タックを測定し、以下の基準で光硬化性を評価した。結果を表1に示す。
◎:100mJ/cm2露光後、硬化膜の表面タックがない。
○:200mJ/cm2露光後、硬化膜の表面タックがない。
△:300mJ/cm2露光後、硬化膜の表面タックがない。
×:300mJ/cm2露光後、硬化膜の表面タックがある。
【0079】
(2)屈折率
光硬化性組成物をシリコンウエハー上に回転塗布した後、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、露光量が200mJ/cm2となるように紫外線を照射し、厚さ0.15μmの硬化膜を形成した。得られた硬化膜における633nmにおける屈折率を、エリプソメーターを用いて測定した。その結果、1.700という高い屈折率の値が得られた。
【0080】
(3)透明性
光硬化性組成物を石英板上に回転塗布した後、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、露光量が200mJ/cm2となるように紫外線を照射し、厚さ0.3μmの硬化膜を形成した。次いで、分光光度計を用いて、波長550nmにおける光透過率(T/%)を測定し、得られた光透過率から以下の基準で透明性(光透過性)を評価した。結果を表1に示す。
○:光透過率が95%以上の値である。
△:光透過率が80〜95%未満の値である。
×:光透過率が80%未満の値である。
【0081】
(4)耐熱性
光硬化性組成物をシリコンウエファー上に回転塗布した後、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、露光量が200mJ/cm2となるように紫外線を照射し、厚さ5μmの硬化膜を形成した。得られた硬化膜を、250℃と400℃の熱風乾燥機中に1時間保管した後、倍率50倍の顕微鏡を用いて、塗膜外観の異常の有無から以下の基準で耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
◎:400℃の加熱でクラックが見られない。
○:250℃の加熱でクラックが見られない。
×:250℃の加熱でクラックが観察される。
【0082】
(5)紫外線遮蔽性
光硬化性組成物を石英板上に回転塗布した後、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、露光量が200mJ/cm2となるように紫外線を照射し、厚さ0.3μmの硬化膜を形成した。次いで、分光光度計を用いて、波長320nmにおける光透過率(T/%)を測定し、得られた光透過率から以下の基準で紫外線遮蔽性を評価した。結果を表1に示す。
○:光透過率が20%未満の値である。
△:光透過率が20以上〜50%未満の値である。
×:光透過率が50%以上の値である。
【0083】
(6)保存安定性
光硬化性組成物を温度40℃で1ヶ月間および3ヶ月間保管した後、目視で外観変化(粘度増加)を測定し、さらに上記(1)の光硬化性を測定して、以下の基準で保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
◎:3ヶ月経過後も、外観変化や光硬化性の変化は観察されない。
○:1ヶ月経過後も、外観変化や光硬化性の変化は観察されない。
×:1ヶ月経過後に、外観変化あるいは光硬化性の低下が観察される。
【0084】
表1に示す結果から理解されるように、実施例1の光硬化性組成物は、優れた光硬化性および優れた保存安定性を有することが確認された。また、得られた硬化膜は、高い屈折率を有しており、さらには、優れた透明性、耐熱性および紫外線遮蔽性を有していることも確認された。
【0085】
[実施例2〜4]
(光硬化性組成物の作製)
実施例2〜4においては、表1に示す配合割合で以て、ポリシロキサン1(P−PTMS)とポリチタノキサン1(P−TBT)とを混合して光硬化性組成物の作製し、屈折率の値等への影響を検討した。
すなわち、実施例2においては、ポリシロキサン1 32重量部と、ポリチタノキサン1 68重量部と、光酸発生剤としてのNDI−105(ミドリ化学(株)製)0.7重量部と、オルト蟻酸メチル3.0重量部とを均一に混合して、光硬化性組成物を得た。
また、実施例3においては、ポリシロキサン1 41重量部と、ポリチタノキサン1 59重量部と、上記NDI−105 0.7重量部と、オルト蟻酸メチル3.0重量部とを均一に混合して、光硬化性組成物を得た。
さらに、実施例4においては、ポリシロキサン1 56重量部と、ポリチタノキサン1 44重量部と、上記NDI−105 0.7重量部と、オルト蟻酸メチル3.0重量部とを均一に混合して、光硬化性組成物を得た。
【0086】
(光硬化性組成物の評価)
得られた光硬化性組成物における光硬化性や、硬化膜における屈折率等を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
表1に示す結果から理解されるように、実施例2〜4の光硬化性組成物(硬化膜)は、わずかな配合比の変化により、幅広い範囲(1.6〜1.7)で屈折率を変更できることが確認された。なお、実施例2〜4の屈折率に関する結果を、実施例1の結果を含めて、図1中に点線で示す。
【0087】
図1は、横軸に、光硬化性組成物中のポリチタノキサン量((P−TBT)/(P−PTMS+P−TBT)×100、重量%)を採って示しており、縦軸に屈折率の値(−)を採って示してある。図1中の点線から理解されるように、ポリチタノキサン量が多くなる程、屈折率の値は徐々に大きくなり、特に、40重量%を超えたあたりから屈折率の値が大きく変化している。
したがって、実施例1〜4の光硬化性組成物(硬化膜)においては、フェニルトリメトキシシランからなるポリシロキサン1と、テトラブトキシチタンからなるポリチタノキサン1との混合比率を変えることだけで、1.60以上の比較的高い値に、屈折率の値を容易に変更することができることが確認された。
【0088】
なお、実施例2〜4の光硬化性組成物(硬化膜)は、実施例1の光硬化性組成物と同様に、優れた光硬化性および保存安定性を有しており、さらには、得られた硬化膜は、優れた透明性、耐熱性および紫外線遮蔽性を有していることも確認された。
【0089】
[実施例5〜7]
(光硬化性組成物の作製)
実施例1のフェニルトリメトキシシランの代わりに、メチルトリメトキシシランを使用したほかは、実施例1と同様に、ポリシロキサン溶液(ポリシロキサン2と称する。)を作製した。次いで、ポリシロキサン2と、ポリチタノキサン1とを、混合比率を変えて、実施例5〜7の光硬化性組成物を作製した。
【0090】
すなわち、実施例5においては、ポリシロキサン2 30重量部と、ポリチタノキサン1 70重量部と、上記NDI−105 0.7重量部と、オルト蟻酸メチル3.0重量部とを均一に混合して、光硬化性組成物を得た。
また、実施例6においては、ポリシロキサン2 56重量部と、ポリチタノキサン1 44重量部と、上記NDI−105 0.7重量部と、オルト蟻酸メチル3.0重量部とを均一に混合して、光硬化性組成物を得た。
さらに、実施例7においては、ポリシロキサン2 79重量部と、ポリチタノキサン1 21重量部と、上記NDI−105 0.7重量部と、オルト蟻酸メチル3.0重量部とを均一に混合して、光硬化性組成物を得た。
【0091】
(光硬化性組成物の評価)
実施例1と同様に、実施例5〜7の光硬化性組成物につき、光硬化性や保存安定性等の評価を行った。また、硬化膜の屈折率についても、実施例1と同様に測定した。得られた結果を表1および図1中に実線で示す。
表1の結果から理解されるように、加水分解性シラン化合物の種類を変えても、光硬化性組成物における、優れた保存安定性や光硬化性が得られることが確認された。また、硬化膜における屈折率についても、図1中の実線から理解されるように、メチルトリメトキシシランからなるポリシロキサン2と、テトラブトキシチタンからなるポリチタノキサン1との混合比率を変えることだけで、1.60未満の比較的低い値に、屈折率の値を容易に変更することができることが確認された。
【0092】
なお、実施例5〜7の光硬化性組成物(硬化膜)は、実施例1の光硬化性組成物と同様に、優れた光硬化性および保存安定性を有しており、さらには、得られた硬化膜は、優れた透明性、耐熱性および紫外線遮蔽性を有していることも確認された。
【0093】
[比較例1および2]
(光硬化性組成物の作製)
比較例1および2においては、実施例1〜7と異なりポリチタノキサン1を混合しないで、光硬化性組成物を作製した。
【0094】
(光硬化性組成物の評価)
実施例1と同様に、得られた光硬化性組成物につき、光硬化性や保存安定性等の評価を行った。また、硬化膜の屈折率等についても、実施例1と同様に測定した。それぞれの結果を表1に示す。結果から理解されるように、比較例1および2においては、紫外線遮蔽性に乏しいことが確認された。
【0095】
[比較例3]
(組成物の作製)
比較例3においては、表1に示すように、ポリシロキサン1、2を使用せず、ポリチタノキサン1のみを使用して組成物を作製した。
すなわち、比較例3においては、実施例1と同様にして、ポリチタノキサン溶液1を作製し、次いで、得られたポリチタノキサン1 100重量部と、オルト蟻酸メチル3.0重量部と、光酸発生剤として、[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート 0.7重量部とを均一に混合して組成物を得た。
【0096】
(組成物の評価)
実施例1と同様に、得られた組成物の屈折率および光硬化性について、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。結果から理解されるように、ポリチタノキサン1のみから得られた組成物は光硬化させることができなかった。
【0097】
【表1】
Figure 0004265039
【0098】
【発明の効果】
本発明の光硬化性組成物から得られる硬化膜によれば、硬化膜の屈折率を広範囲(例えば、1.4〜1.9)に変更することが可能になった。また、光硬化性組成物から得られる硬化膜によれば、優れた透明性、耐熱性および紫外線遮蔽性を有していることも確認された。
したがって、本発明の硬化膜は、反射防止膜、高反射膜、選択透過膜、光導波路、光スイッチング、光学レンズ等の光学材料の用途に好適に使用することができる。
【0099】
また、本発明の光硬化性組成物によれば、光硬化性に優れており、短時間かつ常温で光硬化させることができるため、プラスチック等の耐熱性の低い基材に対しても適用できるようになった。また、本発明の光硬化性組成物は保存安定性にも優れており、使い勝手が良好になった。したがって、本発明の光硬化性組成物は、塗料、サイジング材、ハードコーテイング剤、汚染防止膜、保護膜、繊維の被覆強化材料、光学的立体造形用樹脂、半導体用封止剤、半導体用絶縁膜、接着剤、印刷板材料等の用途に好適に使用することができる。
【0100】
さらに、本発明の光硬化性組成物において、脱水剤をさらに添加することにより、光硬化速度や保存安定性をより向上させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリチタノキサン含量と、屈折率との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする光硬化性組成物。
    (A)一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物およびその縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物
    (RSi(X)4−P (1)
    [一般式(1)中、Rは炭素数が1〜12であるアルキル基又はアリール基、Xは加水分解性基、およびpは0〜3の整数である。]
    (B)一般式(2)で表される加水分解性チタン化合物の加水分解物およびその縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物
    Ti(Y) (2)
    [一般式(2)中、Yは加水分解性基である。]
    (C)光酸発生剤
  2. (D)成分として、脱水剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. 前記(B)成分の添加量を、(A)成分/(B)成分の重量比で、1/99〜99/1の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の光硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を光硬化してなる硬化膜。
  5. 請求項4に記載の硬化膜において、チタン含有量を0.1〜50重量%の範囲内の値とすることを特徴とする硬化膜。
  6. 請求項4または5に記載の硬化膜において、屈折率(温度25℃、波長589nm、ナトリウムD線使用)を1.6以上の値とすることを特徴とする硬化膜。
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