JP2006028023A - 含塩素含フッ素化合物の製造方法 - Google Patents

含塩素含フッ素化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】式CF2ClCFClCOFで表される化合物を高収率かつ高純度で製造する。
【解決手段】下式(1A)で表される化合物等を液相中でフッ素と反応させて下式(2)で表される化合物を得て、該下式(2)で表される化合物においてエステル結合の分解反応を行う。さらに、下式(2)で表される化合物を液相フッ素化法における液相またはフッ素化原料の希釈剤として用いる。
1(COO−CX12−CX3Cl−CX45Cl)n・・・(1A)
f1(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2)
ただし、Q1はn価含フッ素有機基、Qf1はQ1と同一の基またはQ1がフッ素化されたn価含フッ素有機基、nは1以上の整数、X1〜X5:それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子。
【選択図】なし

Description

本発明は機能性含フッ素材料の中間体として有用な式CF2ClCFClCOFで表される化合物の製造方法に関する。また、本発明は、環境破壊の懸念がなく、原料の溶解性等に優れた溶媒を用いるフッ素化された有機化合物の製造方法に関する。
式CF2ClCFClCOFで表される化合物は、2,3,3−トリフルオロアクリル酸およびその誘導体の中間体として有用な化合物である。該化合物を得る方法としては、これまでに以下の方法が報告されている。
(1)クロロペンタフルオロプロペンオキシドと金属塩化物とを反応させる方法(特許文献1参照。)。
(2)1,2−ジクロロヘキサフルオロ−3−ブテンの酸化反応の副生成物として得る方法(特許文献2参照。)。
(3)トリクロロフルオロメタンと1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレンとを反応させ、1,1,1,2,3−ペンタクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパンを得て、該化合物と発煙硫酸とを反応させて、ついで金属フッ化物と反応させる方法(非特許文献1参照。)。
また、液相フッ素化反応に用いられる溶媒としては、フッ素化反応に不活性であり、かつ原料有機化合物の溶解性が良好である溶媒が望まれる。このような溶媒としては、ペルフルオロアルカン類、ペルフルオロエーテル類、クロロフルオロカーボン類、クロロフルオロエーテル類等が使用されている。クロロフルオロカーボン類としてはトリクロロトリフルオロエタンが汎用されている(特許文献3および特許文献4参照。)。
米国特許第5,557,010号明細書 特開平2−40373号公報 米国特許第5,093,432号明細書 国際公開00/56694号パンフレット ジャーナル・オブ・フルオリン・ケミストリー(J.Fluorine Chem.),米国,1990年,第47巻,第441頁
しかし、式CF2ClCFClCOFで表される化合物を得るための前記(1)〜(3)の方法は、収率が低い、出発原料の入手が困難、取り扱いが難しい試薬の使用が必要等、工業的に実施困難である問題があった。
また、液相フッ素化反応の溶媒のうち、ペルフルオロアルカン類やペルフルオロエーテル類には、フッ素原子含量が少ない化合物、ポリクロロ化合物等の含塩素化合物、およびポリエーテル類等の溶解性が不充分である問題があった。また、トリフルオロトリクロロエタン等のクロロフルオロカーボン類は、オゾン破壊係数が高く、今後の使用が制限される可能性がある。
本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、入手容易な原料から経済的に有利かつ簡便に、式CF2ClCFClCOFで表される化合物を製造する方法を提供する。また、環境破壊の懸念がなく、原料の溶解性が良好な溶媒を用いるフッ素化された有機化合物を製造する方法を提供する。
すなわち、本発明は以下の発明を提供する。
<1> 下式(1A)で表される化合物、下式(1B)で表される化合物、または下式(1C)で表される化合物を液相中でフッ素と反応させて下式(2)で表される化合物を得て、該下式(2)で表される化合物においてエステル結合の分解反応を行うことを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
1(COO−CX12−CX3Cl−CX45Cl)n・・・(1A)
1(COO−CX6=CCl−CX78Cl)n・・・(1B)
1(COO−CX910−CCl=CX11Cl)n・・・(1C)
f1(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2)
CF2ClCFClCOF・・・(3)
ただし、式中の記号は、以下の意味を示す。
1:n価含フッ素有機基。
f1:Q1と同一の基またはQ1がフッ素化されたn価含フッ素有機基。
n:1以上の整数。
1〜X5:それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。
6〜X8:それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。
9〜X11:それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。
<2> 下式(1A−1)で表される化合物を液相中でフッ素と反応させて下式(2−1)で表される化合物を得て、該下式(2−1)で表される化合物においてエステル結合の分解反応を行うことを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
2COOCH2CHClCH2Cl・・・(1A−1)
f2COOCF2CFClCF2Cl・・・(2−1)
CF2ClCFClCOF・・・(3)
ただし、式中の記号は、以下の意味を示す。
2:1価含フッ素有機基。
f2:Q2と同一の基またはQ2がフッ素化された1価含フッ素有機基。
<3> Q2がCF2ClCFCl−である上記<2>に記載の製造方法。
<4> フッ素化されうる有機化合物を液相中でフッ素と反応させてフッ素化された有機化合物を製造する方法において、液相が下式(2F)で表される化合物を含むことを特徴とするフッ素化された有機化合物の製造方法。
10(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2F)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
10:ペルフルオロ化されたn価有機基。
n:1以上の整数。
<5> フッ素化されうる有機化合物を液相中でフッ素と反応させてフッ素化された有機化合物を製造方法において、フッ素化されうる有機化合物を、下式(2F)で表される化合物に溶解させた溶液、およびフッ素を、液相中に導入することによってフッ素化を行うことを特徴とするフッ素化された有機化合物の製造方法。
10(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2F)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
10:ペルフルオロ化されたn価有機基。
n:1以上の整数。
<6> 式(2F)で表される化合物が下式(2F−1)で表される化合物である上記<4>または<5>に記載の製造方法。
20COOCF2CFClCF2Cl・・・(2F−1)
ただし、式中のQ20はペルフルオロ化された1価の有機基を示す。
<7> 下式(2−1a)で表される化合物、または下式(1AH−1a)で表される化合物。
CF2ClCFClCOOCH2CHClCH2Cl・・・(2−1a)
CF2ClCFClCOOCF2CFClCF2Cl・・・(1AH−1a)
本発明によれば、従来の方法よりも簡便な方法により、高収率かつ高純度で式CF2ClCFClCOFで表される化合物を製造できる。また、従来のフッ素化溶媒への溶解性が低い化合物の液相フッ素化反応を効率的に実施できる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と略記する。他の式で表される化合物においても同様に記す。また、圧力の記載は特に断りのない限り、ゲージ圧で記載する。
本明細書における有機基とは、炭素原子を必須とする基をいう。また、含フッ素有機基とは、炭素原子とフッ素原子とを必須とする基をいう。
「フッ素化されうる有機基」としては、C−H部分を有する有機基や、炭素−炭素不飽和結合を有する有機基が挙げられ、C−H部分を有する有機基が好ましく、特に該基のうち炭素−炭素結合が単結合のみからなる飽和有機基が好ましい。
飽和炭化水素基とは、炭素−炭素結合が全て飽和の結合である基をいう。エーテル性酸素原子を含有する基とは、炭素−炭素単結合間にエーテル性酸素原子の1個以上が挿入された基をいう。含フッ素とは、炭素原子に結合したフッ素原子を1個以上有する基をいう。ポリクロロとは、水素原子の1個以上が、少なくとも1個の水素原子が残る割合で塩素原子に置換された基をいう。ペルフルオロとは、基中に存在する水素原子の全てがフッ素原子に置換された基をいう。
「ぺルフルオロ化」とは、フッ素化されうる有機基中に存在するフッ素化されうる部分の実質的に全てがフッ素化されることをいう。たとえば、C−H部分を有する有機基をペルフルオロ化した基においては、C−H部分の実質的に全てがC−Fになり、炭素−炭素不飽和結合が存在する有機基をペルフルオロ化した基においては、実質的に全ての不飽和結合にフッ素原子が付加する。
本発明の式CF2ClCFClCOFで表される化合物(3)の製造方法においては、下記化合物(1A)、下記化合物(1B)、または下記化合物(1C)(以下、これらを総称して化合物(1)ともいう。)を液相中でフッ素と反応させて下記化合物(2)を得る工程(以下、液相フッ素化工程という。)、液相フッ素化工程で得た化合物(2)においてエステル結合の分解反応を行って式CF2ClCFClCOFで表される化合物を得る工程(以下、エステル結合分解工程という。)をこの順に行う。
1(COO−CX12−CX3Cl−CX45Cl)n・・・(1A)
1(COO−CX6=CCl−CX78Cl)n・・・(1B)
1(COO−CX910−CCl=CX11Cl)n・・・(1C)
f1(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2)
本発明における化合物(1A)〜化合物(1C)におけるnは1以上の整数であり、Q1はn価含フッ素有機基である。
化合物(1A)におけるnは、Q1に結合する(−COO−CX12−CX3Cl−CX45Cl)の数を示し、化合物(1B)におけるnは、Q1に結合する(−COO−CX6=CCl−CX78Cl)の数を示し、化合物(1C)におけるnは、Q1に結合する(−COO−CX910−CCl=CX11Cl)の数を示す。nは、1〜4の整数が好ましく、1または2が特に好ましく、1がとりわけ好ましい。
n価含フッ素有機基(Q1)としては、部分フッ素化された有機基であってもペルフルオロ化された有機基であってもよく、含フッ素n価飽和炭化水素基、含フッ素(エーテル性酸素原子含有n価飽和炭化水素)基が好ましく、ペルフルオロn価飽和炭化水素基、ペルフルオロ(ポリクロロn価飽和炭化水素)基、またはペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有n価飽和炭化水素基)が特に好ましい。Q1としては、前記の好ましい基のうち、1〜4価の基が好ましく、1価または2価の基が特に好ましく、1価の基(Q2)がとりわけ好ましい。Q1およびQ2の炭素数は2〜20が好ましく、2〜10が特に好ましい。
化合物(1A)におけるX1〜X5は全てが水素原子であることが好ましい。
化合物(1B)におけるX6〜X8は全てが水素原子であることが好ましい。
化合物(1C)におけるX9〜X11は全てが水素原子であることが好ましい。
化合物(1)としては、化合物(1A)が好ましい。化合物(1A)としては、X1〜X5の全てが水素原子である下記化合物(1AH)が好ましい。さらに、Q1が1価含フッ素有機基(Q2)であり、かつnが1である下記化合物(1AH−1)が特に好ましい。
1(COOCH2CHClCH2Cl)n・・・(1AH)
2COOCH2CHClCH2Cl・・・(1AH−1)
2としては、含フッ素1価飽和炭化水素基、含フッ素(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基が好ましく、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロポリクロロアルキル基、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有アルキル)基が特に好ましい。具体的には、以下に示す基が好ましく、式(a)で表される基が特に好ましい。
CF2ClCFCl−・・・(a)、
CF3CF2CF2OCF(CF3)−・・・(b)、
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)−・・・(c)、
(CF32CF−・・・(d)。
化合物(1AH−1)としては下記化合物等が挙げられ、本発明の製造方法によって得られる生成物が式CF2ClCFClCOFで表される化合物のみとなる点からは化合物(1AH−1a)が好ましい。
CF2ClCFClCOOCH2CHClCH2Cl・・・(1AH−1a)、
CF3CF2CF2OCF(CF3)COOCH2CHClCH2Cl・・・(1AH−1b)、
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH2CHClCH2Cl・・・(1AH−1c)、
(CF32CFCOOCH2CHClCH2Cl・・・(1AH−1d)。
後述する液相フッ素化反応を円滑に進行させるためには、化合物(1)のフッ素含量は15〜60質量%であるのが好ましく、特に15〜55質量%であるのが好ましい。また
、化合物(1A)の分子量は200〜1100の範囲にあるのが好ましく、特に300〜800の範囲にあるのが好ましい。フッ素含量が特定の範囲にある化合物(1)においては、フッ素化反応時の液相中への溶解性が格段に向上し、液相フッ素化反応の操作性、反応収率が向上する利点があり、また経済性に優れる利点もある。また化合物(1)の分子量が200以上にある場合には、気相フッ素化反応により分解反応が起こるリスクを回避できる利点があり、該分子量が1100以下にある場合には、化合物の取扱いや生成物の精製がしやすい利点がある。
化合物(1A)等の化合物(1)は、下記化合物(6A)、下記化合物(6B)、または下記化合物(6C)(以下、これらを総称して化合物(6)ともいう。)と化合物(7)とのエステル化反応により調製されるのが好ましい。ただし、式(6A)〜(6C)中の記号および式(7)中のQ1は前記と同じ意味を示し、式(7)中のXは塩素原子またはフッ素原子を示し、フッ素原子であることが好ましい。
HO−CX12−CX3Cl−CX45Cl・・・(6A)
HO−CX6=CCl−CX78Cl・・・(6B)
HO−CX910−CCl=CX11Cl・・・(6C)
1COX・・・(7)
化合物(6)は、公知の化合物であるか、または公知の化合物に公知の手法を適用することにより製造できる。化合物(6)と化合物(7)とのエステル化反応は、公知のエステル化反応の条件により実施できる。反応温度の下限は通常は−50℃であるのが好ましく、上限は+100℃であるのが好ましい。また、該反応の反応時間は、原料の供給速度と実際に反応する化合物量に応じて適宜変更されうる。反応圧力は大気圧〜2MPaであるのが好ましい。
エステル化反応では、フッ酸(HF)が発生するため、アルカリ金属フッ化物(NaF、KF等が好ましい。)やトリアルキルアミン等のHF捕捉剤を反応系中に存在させるか、または、HFが気化しうる反応温度で反応を行い、HFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出するのが好ましい。HF捕捉剤を用いる場合の量は、発生HFの理論量に対して0.1〜10倍モルが好ましい。
化合物(6)の量は、化合物(7)に対して1倍モル以下であるのが好ましい。化合物(6)の量を1倍モル以下にすることにより、エステル化反応の反応生成物中に、未反応の化合物(6)が残って該化合物(6)が次のフッ素化反応時に好ましくない反応を引き起こす問題を回避でき、かつ、化合物(1)の精製の手間を省略できる。特に該化合物(6)の量は化合物(7)に対して0.5倍〜1倍モルであるのが特に好ましく、0.9倍〜1倍モルであるのがとりわけ好ましい。
フッ素化反応を円滑に行う観点から、エステル化反応の生成物は精製するのが好ましい。特にエステル化反応の生成物が化合物(6)を含む場合には、精製により化合物(6)を除去しておくのが好ましい。精製方法としては、蒸留法、生成物を水などで処理した後に分液する方法、適当な有機溶媒で抽出した後に蒸留する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等が挙げられる。
化合物(1)の製造方法としては、以下に示す例が挙げられる。
たとえば、化合物(1AH−1)は下記化合物(6A−1)と下記化合物(7F)とのエステル化反応によって製造できる(ただし、Q2は前記と同じ意味を示す。)。
HOCH2CHClCH2Cl・・・(6A−1)
2COF・・・(7F)
また、化合物(1AH−1)は下記化合物(8)と化合物(7F)とをエステル化反応
させて、下記化合物(9)を得て、該化合物(9)に塩素を付加させることによっても製造できる(ただし、Q2は前記と同じ意味を示す。)。
HO−CH2CH=CH2・・・(8)
2COOCH2CH=CH2・・・(9)
化合物(8)と化合物(7F)とのエステル化反応、化合物(9)への塩素付加反応は公知の手法によって行うことができる。
[液相フッ素化工程]
本発明においては化合物(1)を液相中でフッ素と反応させて化合物(2)を得る液相フッ素化工程を行う。本工程では、化合物(1)がフッ素化されて、化合物(2)が生成する。液相フッ素化工程は、化合物(1)をペルフルオロ化する工程であることが好ましい。
f1は、Q1に対応する基であり、Q1がフッ素化されうる基である場合には該基がペルフルオロ化された基であることが好ましく、Q1がフッ素化されない基(たとえば、ペルフルオロn価有機基またはペルフルオロポリクロロn価有機基である場合)である場合には、Q1と同一の基である。
化合物(1)のフッ素化反応は、理論的には、フッ化コバルトを用いるフッ素化法、電気化学的フッ素化法でも実施できるが、実際にはC−O結合の切断反応等の副反応が起こり収率がきわめて低くなる等、工業的実施には不適当である。よって、本発明においては、液相中でフッ素と反応させる液相フッ素化法によりフッ素化を行う。
フッ素は、フッ素ガスそのままを用いるか、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いるのが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、窒素ガスが特に好ましい。不活性ガス中のフッ素ガス量は10体積%以上にするのが効率の点で好ましく、20体積%以上にするのが特に好ましく、20〜60体積%がとりわけ好ましい。
本発明における液相フッ素化は、液相中に導入したフッ素と化合物(1)との反応により進行する。該液相は、溶媒を必須とすることが好ましい。液相フッ素化法における溶媒としては、フッ素化反応に不活性な有機溶媒から選択することが好ましい。該溶媒としては、化合物(1)の溶解性が高い溶媒が好ましく、化合物(1)を1質量%以上溶解しうる溶媒が特に好ましく、5質量%以上溶解しうる溶媒がとりわけ好ましい。
溶媒の例としては、フッ素化反応の基質自身である化合物(1)、フッ素化反応の生成物である化合物(2)、後述する化合物(2)のエステル結合の分解反応において得られるQf1(COF)n、および液相フッ素化の溶媒として用いられる公知の溶媒が挙げられる。これらのうち、フッ素化反応溶媒としては、化合物(2)が好ましい。化合物(2)をフッ素化溶媒として用いることにより、後処理が容易になる利点がある。また、化合物(2)は、フッ素原子含有量が少ない化合物、ポリクロロ化合物、ポリエーテル類等、従来のフッ素化溶媒に対する溶解性が低い化合物を溶解する能力が高いため、液相フッ素化を効率的に実施できる。さらに、化合物(2)はクロロフルオロカーボン(CFC)でないため、環境破壊の心配がなく、今後の使用が制限される懸念もない。
フッ素化反応溶媒の量は、化合物(1)の総質量に対して、5倍質量以上が好ましく、1×101〜1×105倍質量が特に好ましい。
フッ素化反応の反応形式は、バッチ方式であっても連続方式であってもよい。たとえば、反応器にフッ素化反応溶媒と化合物(1)とを仕込んで撹拌し、つぎにフッ素ガスをフッ素化反応溶媒中に連続的に供給しながら反応させる方法(バッチ式)が挙げられる。また、反応器にフッ素化反応溶媒を仕込んで撹拌し、つぎにフッ素ガスと化合物(1A−1)とを、所定のモル比で連続的にフッ素化反応溶媒中に供給する方法(連続方式)が挙げられる。このうち、フッ素化反応は、反応収率と選択率の点から後者の方法で実施するのが好ましい。また、これらの方法におけるフッ素ガスは、窒素ガス等の不活性ガスで希釈して使用するのが好ましい。
フッ素化反応に用いるフッ素は、化合物(1)中に含まれる水素原子量に対するフッ素の量が、反応の最初から最後まで常に過剰当量となるように保つのが好ましく、特に水素原子に対するフッ素量を1.05倍当量以上(すなわち、1.05倍モル以上)となるように保つのが選択率の点から好ましく、2倍当量以上(すなわち、2倍モル以上)となるように保つのが選択率の点からさらに好ましい。また、反応の開始時点においてもフッ素の量を過剰量にするために、反応当初に用いるフッ素化反応溶媒には、あらかじめフッ素を充分量溶解させておくのが好ましい。
また、液相フッ素化反応は、化合物(1)中のエステル結合を切断せずに実施する必要があること、ならびに反応収率、選択率、および工業的実施のしやすさの点から、通常は、−50℃〜+100℃が好ましく、−20℃〜+50℃が特に好ましい。フッ素化反応の反応圧力は大気圧〜2MPaが、反応収率、選択率、工業的な実施のしやすさの観点から好ましい。
さらに、フッ素化反応を効率的に進行させるためには、反応系中にベンゼンやトルエン等のC−H結合含有化合物を添加する、化合物(2)を長時間反応系内に滞留させる、または、紫外線照射を行う等の操作を行うのが好ましい。これらの操作はフッ素化反応の後期に行うのが好ましい。
化合物(1)がC−H部分を有する場合、液相中フッ素化においては、水素原子がフッ素原子に置換されてHFが副生する。このHFを除去する目的で、反応系中にHF捕捉剤(NaFが好ましい。)を共存させる、反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させる、または出口ガスを冷却してHFを凝縮させて回収する、のが好ましい。またHFは窒素ガス等の不活性ガスに同伴させて反応系外に導き、アルカリ処理してもよい。HF捕捉剤を使用する場合の量は、化合物(1)中に存在する全水素原子量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルが特に好ましい。
フッ素化反応の反応生成物は、そのまま次の工程に用いてもよく、精製して高純度のものにしてもよい。精製方法としては、粗生成物を大気圧または減圧下に蒸留する方法等が挙げられる。
通常、塩素原子を含む化合物の液相フッ素化反応を行うと、生成物中には塩素原子が転移した異性体が含まれるが、本発明においては、塩素原子が転移した異性体は生成しないか、生成したとしても非常にわずかである。したがって、本発明の製造方法によれば、高純度の化合物(2)を得ることができる。
[エステル結合分解工程]
本発明の製造方法においては、液相フッ素化工程のあとに化合物(2)のエステル結合を分解する反応を行う。該反応は、化合物(2)中に存在するエステル結合を切断して、Qf1(COF)n(Qf1およびnは前記と同じ意味を示す。)と化合物(3)とを生成させる反応である。本発明の製造方法における液相フッ素化工程によって得た化合物(2)は高純度であるので、エステル結合の分解反応の生成物である化合物(3)も、高純度のものとして得ることができる。
エステル結合の分解反応は、熱分解反応、または求核剤もしくは求電子剤の存在下に行
う分解反応、によるのが好ましく、たとえば国際公開00/56694号パンフレット等に記載の方法にしたがって実施できる。
化合物(2)の沸点が低い場合、エステル結合の分解反応は、気相熱分解法で実施するのが好ましい。気相熱分解法は、気相で連続的に分解反応を行い、生成する化合物(3)を、出口ガスから凝縮させて回収する方法で行うのが好ましい。気相熱分解法の反応温度は、+50〜+350℃が好ましく、+50〜+300℃が特に好ましく、+100〜+250℃がとりわけ好ましい。気相熱分解法においては、金属塩触媒を使用してもよく、反応系に反応には直接は関与しない不活性ガスを共存させてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。不活性ガスの添加量は、フッ素化反応生成物の総量に対して0.01〜50体積%程度であるのが好ましい。不活性ガスの添加量が多すぎると、生成物の回収量が低減することがある。
化合物(2)の沸点が高い場合、エステル結合の分解反応は、液相熱分解法で実施するのが好ましい。液相分解法は、液状にした化合物(2)を加熱する方法により実施するのが好ましい。該分解反応の生成物は、反応器中から一度に抜き出してもよい。また、エステル結合の分解反応の生成物は、化合物(2)よりも通常は低沸点であることを利用して、蒸留塔を備えた反応装置を用いて反応を行い、化合物(3)を蒸留によって連続的に反応系外へ抜き出しながら行うことが好ましい。液相熱分解法の反応温度は+50〜+300℃が好ましく、+100〜+250℃が特に好ましい。液相熱分解法における反応圧力は限定されない。
液相熱分解法は、無溶媒で行っても、分解反応溶媒の存在下に行ってもよく、無溶媒で行うのが好ましい。分解反応溶媒を使用する場合には、化合物(2)に対して0.1倍〜10倍質量の溶媒を使用するのが好ましい。
エステル結合の分解反応を液相中で求核剤または求電子剤と反応させる方法で実施する場合には、無溶媒であっても、分解反応溶媒の存在下であってもよく、無溶媒で行うのが好ましい。無溶媒で反応を行うことは、分解反応の原料である化合物(2)自身が溶媒としても作用し、反応生成物中から溶媒を分離する必要がない利点がある。求核剤または求電子剤を用いる方法も、蒸留塔を備えた反応装置を用いて反応を行い、化合物(3)を蒸留によって連続的に反応系外へ抜き出しながら行うことが好ましい。
求核剤としてはF-が好ましく、特にアルカリ金属のフッ化物由来のF-が好ましい。アルカリ金属のフッ化物としては、NaF、NaHF2、KF、CsFが好ましく、経済性の点ではNaFが、反応活性の点ではKFが特に好ましい。F-等の求核剤の量は化合物(2)に対して1〜500モル%が好ましく、1〜100モル%が特に好ましく、5〜50モル%がとりわけ好ましい。反応温度の下限は−30℃が好ましく、上限は−20℃〜+250℃であるのが好ましい。
本発明のエステル結合の分解反応においては、分解反応生成物から化合物(3)と式Qf1(COF)nで表される化合物が生成する。これらの化合物が異なる化合物である場合には両化合物を分離して得るのが好ましい。分離方法としては、蒸留法が好ましい。Qf1(COF)nの一部または全部は、化合物(1)の製造に再利用できる。
本発明の製造方法で得られる化合物(3)は、2,3,3−トリフルオロアクリル酸およびその誘導体の中間体として有用な化合物である。たとえば、化合物(3)の加水分解反応によって、式CF2ClCFClCOOHで表される化合物を得て、該化合物の脱塩素反応によって、2,3,3−トリフルオロアクリル酸を得ることができる。また、化合物(3)とアルコール類とを反応させて、つぎに脱塩素反応を行うことによって、2,3
,3−トリフルオロアクリル酸エステル類を得ることができる。
本発明の化合物(3)の製造方法の好ましい態様としては、下記合成経路(1)によって化合物(3)を製造する例が挙げられる。すなわち、化合物(6A−1)と化合物(7F)とのエステル化反応によって化合物(1AH−1)を得て、該化合物(1AH−1)を液相フッ素化して化合物(2−1)を得て、該化合物(2−1)においてエステル結合の分解反応を行って、化合物(3)を得る方法が挙げられる。ただし、式中のQ2は前記と同じ意味を示す。Q2fはQ2に対応する基であり、Q2がフッ素化されうる基である場合には該基がペルフルオロ化された基であり、Q2がフッ素化されない基(たとえば、ペルフルオロ1価有機基またはペルフルオロ(ポリクロロ1価有機)基である場合)である場合には、Q2と同一の基である。
Figure 2006028023
さらに、化合物(3)の製造方法の特に好ましい態様としては、下記合成経路(1−1)によって化合物(3)を得る方法が挙げられる。合成経路(1−1)は、化合物(7F)として、Q2がCF2ClCFCl−である化合物(すなわち化合物(3)自身)を用いる経路である。合成経路(1−1)によれば、エステル結合の分解反応生成物が、実質的に化合物(3)のみとなるため、特別な分離操作を行うことなく目的とする化合物が得られる利点がある。
Figure 2006028023
なお、前記合成経路(1−1)における化合物(1AH−1a)は、化合物(3)の中間体として有用であり、また、液相フッ素化反応におけるフッ素化溶媒としても有用な新規な化合物である。また、化合物(2−1a)は、化合物(1AH−1a)の前駆体として有用な新規な化合物である。
また、本発明は、液相フッ素化法における液相として、またはフッ素化反応の原料の希
釈剤として下記化合物(2F)を用いることによるフッ素化された有機化合物の製造方法を提供する。
10(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2F)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
10:ペルフルオロ化されたn価有機基。
n:1以上の整数。
液相としてまたはフッ素化反応の原料の希釈剤として化合物(2F)を用いる場合、単独で用いることもでき、液相フッ素化法に用いうる他の公知の溶媒、または他の希釈剤と混合して用いることもできる。他の公知の溶媒、または他の希釈剤と混合して用いる場合の混合比は、フッ素化反応の原料の溶解性により適宜変更されうる。他の公知の溶媒または他の希釈剤としては塩素原子を含まないペルフルオロ化された溶媒が好ましい。
化合物(2F)は、フッ素原子含有量が少ない化合物、ポリクロロ化合物、ポリエーテル類等の従来のフッ素化溶媒に対する溶解性が低い化合物に対して良好な溶解性を示すことから、液相フッ素化法における液相または希釈剤として有用であり、該化合物(2F)を用いることにより、液相フッ素化反応を効率的に実施できる。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下において、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンをR−113と記す。また、ガスクロマトグラフィをGCと記し、GC分析におけるピーク面積比をGC分析値とする。
[例1]CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COFを用いたCF2ClCFClCOFの製造例
(例1−1)エステル化反応によるCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH2CHClCH2Clの製造例
ハステロイC製の2LのオートクレーブにCH2ClCHClCH2OH(400g)を加えた。内温が30℃以下に保たれるように冷却しながら、大気圧でゆっくりとCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF(1700g)を導入した。同時に充分に撹拌しながら、窒素ガスをバブリングさせ、反応により生じたHFを系外に追い出した。
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COFの全量を投入後、50℃でさらに5時間反応させて生成物を得た。生成物をGC分析した結果、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH2CHClCH2Clが99.2%生成しており、未反応のCH2ClCHClCH2OHは検出されなかった。この生成物は精製することなく、次工程に使用した。
1HNMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):3.81(2H),4.32(1H),4.71(2H)。
19FNMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.0〜−80.2(1F),−80.6(3F),−81.9(3F),−82.1(2F),−82.7(3F),−84.5〜−85.5(1F),−130.1(2F),−132.1(1F),−145.5(1F)。
(例1−2)フッ素化反応によるCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCF2CFClCF2Clの製造例
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(312g)を加え、25℃に保って撹拌した。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレッ
ト充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。
オートクレーブに窒素ガスを室温で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガス(以下、20%希釈フッ素ガスと記す。)を室温で流速9.66L/hで1時間吹き込んだ。つぎに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例1−1で得たCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH2CHClCH2Cl(10g)をR−113(100g)に溶解した溶液を3.0時間かけて注入した。
つぎに、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながらオートクレーブ内圧力を0.15MPaまで昇圧した。ベンゼンをR−113に溶解した溶液(濃度:0.01g/mL)を、内温を25℃から40℃まで昇温しながら9mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.2時間撹拌を続けた。
つぎに反応器内圧力を0.15MPaに、反応器内温度を40℃に保ちながら、前記ベンゼン溶液を6mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.2時間撹拌を続けた。さらに同様の操作を3回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.21g、R−113の注入総量は21mLであった。
さらに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら1時間撹拌を続けた。つぎに、反応器内圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。生成物を19FNMRで分析した結果、標記化合物が収率97.3%で含まれていることを確認した。
19FNMR(282.7MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−61.7,−62.3,−63.9,−64.6,−79.5,−80.0,−81.5,−82.2,−84.5,−120.8,−129,−131.5,−144.5。
(例1−3)エステル結合の分解反応によるCF2ClCFClCOFの製造例
−10℃に冷却した還流器を備えた2Lのフラスコ内に、例1−2と同様の方法で入手したCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCF2CFClCF2Cl(3500g)を仕込み、充分に脱水を行ったフッ化カリウム(14g)を加え、熱媒温度を100〜130℃に保って加熱撹拌を行った。生成する低沸点化合物を、還流器より抜き出して回収し、低沸点化合物の生成が見られなくなったところで反応を終了した。低沸点化合物の回収量は900gであった。GC分析および19FNMR分析の結果、該低沸点化合物がCF2ClCFClCOFであることを確認した。CF2ClCFClCOFの純度は97%であり、収率は86.7%であった。
19FNMR(282.7MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):22.9,−64.3,−64.9,−67.6,−68.3,−125.8。
[例2]CF2ClCFClCOFを用いたCF2ClCFClCOFの製造例
(例2−1)エステル化反応によるCF2ClCFClCOOCH2CHClCH2Clの製造例
例1−1におけるCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF(1700g)をCF2ClCFClCOF(680g)に変更する以外は、例1−1と同様の反応を行った。生成物をGC分析した結果、CF2ClCFClCOOCH2CHClCH2Clが99.5%生成しており、未反応のCH2ClCHClCH2OHは検出されなかった。この生成物は精製することなく、次工程に使用した。
1HNMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):3.81(2H),4.33(1H),4.72(2H)。
19FNMR(282.7MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−
63.9〜−67.5(2F),−125.7(1F)。
(例2−2A)フッ素化反応によるCF2ClCFClCOOCF2CFClCF2Clの製造例(その1)
例1−1で得た生成物(10g)を例2−1で得た生成物(7.5g)に変更した以外は例1−2と同様に反応を行った。生成物を19FNMRで分析した結果、標記化合物が収率85%で含まれていることを確認した。
19FNMR(282.7MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−61.7,−62.3,−63.9,−64.6,−80.9,−124.0、−132.2。
(例2−2B)フッ素化反応によるCF2ClCFClCOOCF2CFClCF2Clの製造例(その2)
溶媒としてR−113を例2−2Aで得たCF2ClCFClCOOCF2CFClCF2Clに変更すること以外は、例2−2Aと同様に反応を行った。生成物を19FNMRで分析した結果、標記化合物が収率89%で含まれていることを確認した。
(例2−3)エステル結合の分解反応によるCF2ClCFClCOFの製造例
CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCF2CFClCF2Clを、例2−2Aと同様の手法で得たCF2ClCFClCOOCF2CFClCF2Clに変更すること以外は、例1−3と同様に反応を行い、CF2ClCFClCOFを得た。CF2ClCFClCOFの収率および純度は例1−3と同等であった。
[例3]溶解性試験例
式CF2ClCFClCOOCF2CFClCF2Clで表される化合物、R−113、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)の3量体のそれぞれに、下式(C)で表される化合物を添加して溶解性を比較した。
CH3(OCH2CH2nOCORf・・・(C)
ただし、式中のRfはCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)−を示し、nは8〜12の整数を示す。
Figure 2006028023
本発明の製造方法は、式CF2ClCFClCOFで表される化合物を高収率かつ高純度で製造でき、従来の方法よりも簡便な方法であることから、工業的に有用な方法となりうる。また、本発明の化合物(2)は液相フッ素化反応の溶媒またはフッ素化原料の希釈剤として有用である。また、本発明は式CF2ClCFClCOFで表される化合物の製造方法において有用な新規な中間体を提供する。

Claims (7)

  1. 下式(1A)で表される化合物、下式(1B)で表される化合物、または下式(1C)で表される化合物を液相中でフッ素と反応させて下式(2)で表される化合物を得て、該下式(2)で表される化合物においてエステル結合の分解反応を行うことを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
    1(COO−CX12−CX3Cl−CX45Cl)n・・・(1A)
    1(COO−CX6=CCl−CX78Cl)n・・・(1B)
    1(COO−CX910−CCl=CX11Cl)n・・・(1C)
    f1(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2)
    CF2ClCFClCOF・・・(3)
    ただし、式中の記号は、以下の意味を示す。
    1:n価含フッ素有機基。
    f1:Q1と同一の基またはQ1がフッ素化されたn価含フッ素有機基。
    n:1以上の整数。
    1〜X5:それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。
    6〜X8:それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。
    9〜X11:それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。
  2. 下式(1A−1)で表される化合物を液相中でフッ素と反応させて下式(2−1)で表される化合物を得て、該下式(2−1)で表される化合物においてエステル結合の分解反応を行うことを特徴とする下式(3)で表される化合物の製造方法。
    2COOCH2CHClCH2Cl・・・(1A−1)
    f2COOCF2CFClCF2Cl・・・(2−1)
    CF2ClCFClCOF・・・(3)
    ただし、式中の記号は、以下の意味を示す。
    2:1価含フッ素有機基。
    f2:Q2と同一の基またはQ2がフッ素化された1価含フッ素有機基。
  3. 2がCF2ClCFCl−である請求項2に記載の製造方法。
  4. フッ素化されうる有機化合物を液相中でフッ素と反応させてフッ素化された有機化合物を製造する方法において、液相が下式(2F)で表される化合物を含むことを特徴とするフッ素化された有機化合物の製造方法。
    10(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2F)
    ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
    10:ペルフルオロ化されたn価有機基。
    n:1以上の整数。
  5. フッ素化されうる有機化合物を液相中でフッ素と反応させてフッ素化された有機化合物を製造方法において、フッ素化されうる有機化合物を、下式(2F)で表される化合物に溶解させた溶液、およびフッ素を、液相中に導入することによってフッ素化を行うことを特徴とするフッ素化された有機化合物の製造方法。
    10(COO−CF2CFClCF2Cl)n・・・(2F)
    ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
    10:ペルフルオロ化されたn価有機基。
    n:1以上の整数。
  6. 式(2F)で表される化合物が下式(2F−1)で表される化合物である請求項4または5に記載の製造方法。
    20COOCF2CFClCF2Cl・・・(2F−1)
    ただし、式中のQ20はペルフルオロ化された1価の有機基を示す。
  7. 下式(2−1a)で表される化合物、または下式(1AH−1a)で表される化合物。
    CF2ClCFClCOOCH2CHClCH2Cl・・・(2−1a)
    CF2ClCFClCOOCF2CFClCF2Cl・・・(1AH−1a)
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