JP2005309053A - 複層中間転写体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
基層と表面層とを有する複層中間転写体において、
前記基層が、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物をイミド転化させてなるポリイミド樹脂からなり、
前記表面層の線膨張率が基層の線膨張率よりも大きく、
下記式(1)で表される変位量Dが2以上8以下であることを特徴とする複層中間転写体である。
【式1】
(上記式(1)中、α1は基層材料の線膨張率、h1は基層の厚み(mm)、E1は基層材料の縦弾性率、α2は表面層材料の線膨張率、h2は表面層の厚み、E2は表面層材料の縦弾性率、T2は、表面層形成時の温度又は表面層材料のガラス転移点、T1は使用時の温度を示す。m=E1/E2、n=h1/h2)
【選択図】 なし
Description
上記トナー像を、中間転写体を介して静電的に転写することにより所要の再生画像を得る場合の画像形成装置としては、種々のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
なかでも、全芳香族ポリイミド樹脂は強度が強いため転写部材に好んで用いられている。
すなわち、本発明者の実験においては、内層の線膨張率が大きい場合にはより大きくベルト内側へ曲がり込み、端部平面度を一層悪くする結果となった。
前記基層が、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物をイミド転化させてなるポリイミド樹脂からなり、
前記表面層の線膨張率が基層の線膨張率よりも大きく、
下記式(1)で表される変位量Dが2以上8以下であることを特徴とする複層中間転写体である。
前記基層が、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物をイミド転化させてなるポリイミド樹脂からなり、
前記表面層の線膨張率が基層の線膨張率よりも大きく、
端部平面度が±4mm以下であることを特徴とする複層中間転写体である。
本発明の第1の複層中間転写体は、基層と表面層とを有し、その基層が、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物(以下、「本発明に係るポリアミック酸組成物」ということがある)をイミド転化させてなるポリイミド樹脂からなる。
なお、ここで、「基層」とは、中間転写体の基材となる部分であり、「表面層」とは、中間転写体として使用した場合にその表面にトナー像が形成される層である。
一方、表面層の厚みは、1〜200μmであることが好ましく、5〜150μmであることが好ましい。表面層が1μmより薄いと耐久性の点で問題が生ずることがあり、200μmよりも厚いとロール屈曲部での変形によるベルト表面の応力が集中してしまうために、表面層にクラックが発生するなどの問題が生じることがある。
また、縦弾性率は使用するモノマーの種類や、得られるポリイミド樹脂の分子量によって変化するが、500〜40000(MPa)であることが好ましく、1000〜20000(MPa)であることが好ましい。縦弾性率が500〜40000(MPa)であること、傷つきにくく、駆動ロールへの追従性がよくなるといった利点が得られる。
なお、使用時の温度T1とは、複層中間転写体を実際に使用する際の平均温度をいい、通常は、室温(10〜30℃)である。
まず、複層中間転写体の基材となる基層を形成するために、基層用材料を円筒状金型の表面にディッピング法や流延法で塗布する。当該基層用材料は、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物を溶媒に溶解または分散したものを使用する。
ポリアミック酸組成物(ポリアミド酸)を溶解または分散する溶媒としては、DMF(無水ジメチルホルムアミド)やNMP(N−メチルピロリドン)といったアミド系溶媒やフェノール類等の極性溶媒を使用することが好ましい。このとき、粘度調整等の目的でこれらの溶媒に芳香族系炭化水素等を少量混合してもよい。また、必要に応じてカーボンブラックや金属酸化物といった導電剤を添加してもよい。
なお、当該固形分率は、乾燥後の皮膜付の金型重量と金型重量との皮膜重量とにより、皮膜重量÷(乾燥後の皮膜付の金型重量−金型重量)、で測定することができる。
ポリアミック酸組成物(ポリアミド酸)を溶解または分散する溶媒としては、基層の場合と同様のものを使用することができる。
本発明の第2の複層中間転写体は、本発明の第1の複層中間転写体と同様に、基層と表面層とを有し、その基層が、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物をイミド転化させてなるポリイミド樹脂からなる。また、本発明の第1の複層中間転写体と同様に、表面層の線膨張率は基層の線膨張率よりも大きくなっている。
ここで、端部平坦度の数値が「+」の場合は、端部が上がっていることを示す。
なお、上記平面度の測定方法は、例示であり、ベルトの幅等の大小により、測定位置や張架するテンション等も適宜変更する必要がある。
当該導電剤としては、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。これらの導電剤は、単独、あるいは、併用して使用してもよい。特に、ベルトの表面抵抗率の面内バラツキを抑制する等の観点から、カーボンブラックを使用することが好ましい。
導電剤の含有量は、複層中間転写体中、3〜50質量%とすることが好ましく、5〜30質量%とすることがより好ましい。
宇部興産製のユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液で 固形分率が18wt%)に、カーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を24phr添加し、ジーナスPY(ジーナス製)を用い分散時の圧力が200MPaになる条件で5パス分散を行った後、目開き20μmのフィルタで凝集塊を取り除き、基層用材料を作製した。基層用材料の線膨張率は27PPM(/K)であった。また、縦弾性率は6000MPaであった。
宇部興産製ユーワニスA(3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とオキシジアニリンとからなるポリアミド酸のNMP溶液で 固形分率が18wt%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を22phr添加し、基層用材料と同様に分散を行った。この液を表面層用材料1とする。表面層用材料1の線膨張率は37PPM(/K)であった。また、縦弾性率は4200MPaであった。この材料のガラス転移点温度は290℃であった。
東レ製トレニース#3000(ピロメリット酸二無水物とオキシジアニリンとからなるポリアミド酸の溶液で固形分率が21.8質量%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を25phr添加し、基層用材料と同様に分散を行った。この液を表面層用材料2とする。表面層用材料2の線膨張率は44PPM(/K)で、この材料のガラス転移温度は観察できなかった。また、縦弾性率は2800MPaであった。
東洋紡製バイロマックスHR14ET(ポリアミドイミドにシリコーン基を付加した樹脂で固形分率が25wt%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14質量%)を14phrとNMPを30質量%添加し、横型ビーズミルを用い分散を行った。この液を表面層用材料3とする。表面層用材料3の線膨張率は59PPM(/K)で、この材料のガラス転移点温度は250℃であった。縦弾性率は1200MPaであった。
基層用材料をディップ法でφ302mmのアルミ製金型外面に塗布後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間乾燥を行った。乾燥後の金型を取り出して冷却し、同様にディップ法で表面層用材料1を塗布した。その後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら0.5時間乾燥を行った。その後、320℃まで加熱し、カーボンブラックを含有した無端状ポリイミドフィルム(複層中間転写体)を作製した。
複層中間転写体は、基層の厚みが71μm、表面層の厚みが9μmであり、端部平面度を使用時の温度23℃で測定したところ+1mmであった。
また、この結果を式(1)に当てはめ、T2は表面層用材料のガラス転移温度の290℃、T1は使用時の温度23℃として計算すると、D=5.8であった。
基層用材料をディップ法でφ302mmのアルミ製金型外面に塗布後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間乾燥を行った。乾燥後の金型を取り出し冷却後、同様にディップ法で表面層用材料2を塗布した。その後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら0.5時間入れ乾燥を行った。その後、380℃まで加熱し、カーボンブラックを含有した無端状ポリイミドフィルム(複層中間転写体)を作製した。
複層中間転写体は、基層の厚みが75μm、表面層の厚みが5μmであり、端部平面度を使用時の温度23℃で測定したところ+2mmであった。
また、この結果を式(1)に当てはめ、T2は表面層用材料のガラス転移温度の380℃、T1は使用時の温度23℃として計算すると、D=6.4であった。
基層用材料をディップ法でφ302mmのアルミ製金型外面に塗布後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間乾燥を行った。この金型を取り出し冷却後、同様にディップ法で表面層用材料3を塗布した。その後、120℃に設定した乾燥機中で回転させながら0.5時間乾燥を行った。その後、300℃まで加熱し、カーボンブラックを含有した無端状ポリイミドフィルム(複層中間転写体)を作製した。
複層中間転写体は、基層の厚みが74μm、表面層の厚みが7μmであり、端部平面度を測定したところ±0mmであった。
また、この結果を式(1)に当てはめ、T2は表面層用材料のガラス転移温度の250℃、T1は使用時の温度23℃として計算すると、D=5.0であった。
基層用材料をディップ法でφ302mmのアルミ製金型外面に塗布後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間乾燥を行った。その後、340℃まで加熱し、無端状カーボンブラック含有ポリイミドフィルム(中間転写体)を作製した。
単層中間転写体は、厚みが80μmであり、端部平面度を使用の温度23℃で測定したところ−4.7mmであった。
基層用材料をディップ法でφ302mmのアルミ製金型外面に塗布後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間乾燥を行った。この金型を取り出し冷却後、実施例1と同様に表面層用材料1を塗布した。その後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら0.5時間入れ乾燥を行った。その後、320℃まで加熱し、無端状カーボンブラック含有ポリイミドフィルム(複層中間転写体)を作製した。
複層中間転写体は、基層の厚みが67μm、表面層の厚みが13μmであり、端部平面度を使用の温度23℃で測定したところ+4.2mmであった。
また、この結果を式(1)に当てはめ、T2は表面層用材料のガラス転移温度の290℃、T1は使用時の温度23℃として計算すると、D=8.6であった。
基層用材料をディップ法でφ302mmのアルミ製金型外面に塗布後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間乾燥を行った。この金型を取り出し冷却後、実施例2と同様に表面層用材料2を塗布した。その後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら0.5時間入れ乾燥を行った。その後、380℃まで加熱し、無端状カーボンブラック含有ポリイミドフィルム(複層中間転写体)を作製した。
複層中間転写体は、基層の厚みが78.5μm、表面層の厚みが2μmであり、端部平面度を使用の温度23℃で測定したところ−4.5mmであった。
また、この結果を式(1)に当てはめ、T2は表面層用材料のガラス転移温度の380℃、T1は使用時の温度23℃として計算すると、D=1.9であった。
基層用材料をディップ法でφ302mmのアルミ製金型外面に塗布後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら1時間乾燥を行った。この金型を取り出し冷却後、実施例1と同様に表面層用材料1を塗布した。その後、150℃に設定した乾燥機中で回転させながら0.5時間入れ乾燥を行った。その後、320℃まで加熱し、無端状カーボンブラック含有ポリイミドフィルム(複層中間転写体)を作製した。
複層中間転写体は、基層の厚みが41μm、表面層の厚みが39μmであり、端部平面度を使用の温度23℃で測定したところ外側に反り返り測定不能であった。
また、この結果を式(1)に当てはめ、T2は成型温度の380℃、T1は使用時の温度23℃として計算すると、D=22.1であった。
また、線膨張率、縦弾性率、成形時の温度、表面層厚みを最適化することで、端部平面度の優れたベルトを得られる。
20・・・中間転写体
Claims (2)
- 基層と表面層とを有する複層中間転写体において、
前記基層が、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物をイミド転化させてなるポリイミド樹脂からなり、
前記表面層の線膨張率が基層の線膨張率よりも大きく、
下記式(1)で表される変位量Dが2以上8以下であることを特徴とする複層中間転写体。
- 基層と表面層とを有する複層中間転写体において、
前記基層が、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを含有するポリアミック酸組成物をイミド転化させてなるポリイミド樹脂からなり、
前記表面層の線膨張率が基層の線膨張率よりも大きく、
端部平面度が±4mm以下であることを特徴とする複層中間転写体。
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