JP2008116838A - ポリイミド樹脂製無端ベルト及びそれを備えた画像形成装置、並びにポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高弾性率のポリイミド樹脂を用いながら、導電剤であるカーボンブラックの分散性をより改善させることによって抵抗の電界依存性を向上させるとともに、可撓性とのバランスも向上させたポリイミド樹脂製無端ベルト及びそれを備えた画像形成装置、並びにポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリイミド樹脂製無端ベルトは、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂と、導電剤と、が含有されてなり、前記第一のポリイミド樹脂が全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であり、22℃55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
【選択図】なし
【解決手段】ポリイミド樹脂製無端ベルトは、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂と、導電剤と、が含有されてなり、前記第一のポリイミド樹脂が全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であり、22℃55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド樹脂製無端ベルト及びそれを備えた画像形成装置、並びにポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法に関する。
従来、電子写真記録装置としては、複写機やレーザープリンタ、ビデオプリンタやファクシミリ、それらの複合機等が知られている。この種の装置では装置寿命の向上などを目的として、感光ドラム等の像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写し、それを印刷シート上に転写・定着させる中間転写方式等が一部採用されている。また装置の小型化等を目的に、搬送ベルトで印刷シートを搬送しながら転写を行う方式も採用されている。
この様な中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に用い得る半導電性ベルトとして、例えば特許文献1及び特許文献2には、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散してなる半導電性ベルトが提案されている。
また、印加電圧10Vでの体積抵抗率ρv1と印加電圧100Vでの体積抵抗率ρv2との関係が log(ρv1/ρv2)≦2であるカーボンブラック分散ポリイミド樹脂ベルトも提案されている(例えば、特許文献3)。さらに、カーボンブラックを含有するポリイミド樹脂からなり、カーボンブラック分散溶媒の中でポリアミック酸を重合する工程を含むことによって、カーボンブラックの分散性を向上させ、印加電圧100Vと印加電圧1000Vの表面抵抗率の常用対数値の差が1.5(logΩ/□)以内である、電界依存性を向上させた中間体が提案されている(例えば、特許文献4)。さらに、電荷依存性を改善するために、ポリイミド樹脂100重量部に対し、20〜190重量部の針状および/または板状の酸化チタンを含有し、体積抵抗値が1×109〜1×1014Ω・cmの範囲になるポリイミド管状物が提案されている(特許文献5)。
一方、可撓性と剛性のバランスを改善した中間転写ベルトが提案されてきている。例えば、特許文献6には、テトラカルボン酸残基である全芳香族骨格とジアミン残基であるp−フェニレン骨格とがイミド結合してなるA成分と、テトラカルボン酸残基である全芳香族骨格とジアミン残基であるジフェニルエーテル骨格とがイミド結合してなるB成分とブレンドしたところにカーボンブラックを分散させて得られたポリアミック酸を重合させて半導体ベルトを製造することが提案されている。さらに、特許文献7には、テトラカルボン酸残基である全芳香族骨格とジアミン残基であるp−フェニレン骨格とがイミド結合してなるA成分と、テトラカルボン酸残基である全芳香族骨格とジアミン残基であるジフェニルエーテル骨格とがイミド結合してなるB成分とブレンドしたところに、酸化処理カーボンブラックを分散させて得られたポリアミック酸を重合させて半導体ベルトを製造することが提案されている。
上述した中間転写ベルトは、近年の高速・高画質の電子写真式画像形成装置から求められる機械的特性(具体的には高弾性率および高強度)と電気的特性(具体的には抵抗の電界依存性)を両立させるという要求に対し、不十分であった。すなわち、カーボンブラックを分散させた引張弾性率4.0GMpa以上のポリイミド樹脂として、従来の技術では、電界依存性は0.6程度が下限であった。
そこで、本発明は、高弾性率のポリイミド樹脂を用いながら、導電剤であるカーボンブラックの分散性をより改善させることによって抵抗の電界依存性を向上させるとともに、可撓性とのバランスも向上させたポリイミド樹脂製無端ベルト及びそれを備えた画像形成装置、並びにポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
(1)全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂と、導電剤と、が含有されてなり、前記第一のポリイミド樹脂が全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であり、22℃55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下であることを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルト。
(2)像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体表面に潜像を形成させる潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記トナー像を記録媒体に加熱定着させる定着手段とを有し、前記転写手段に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂と、導電剤と、が含有されてなり、前記第一のポリイミド樹脂が全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であり、22℃55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下であるポリイミド樹脂製無端ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
(3)少なくとも以下の(a)〜(c)の工程を有することを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法。
(a)全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)とカーボンブラックとを混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)を調製する工程。
(b)前記カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(ii)を混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を調製する工程。
(c)前記(a)および(b)の工程の後、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を加熱してイミド化反応を行い、無端ベルトを形成する工程。
(a)全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)とカーボンブラックとを混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)を調製する工程。
(b)前記カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(ii)を混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を調製する工程。
(c)前記(a)および(b)の工程の後、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を加熱してイミド化反応を行い、無端ベルトを形成する工程。
本発明によれば、弾性率の低い第一のポリイミド樹脂と、弾性率の高い第二のポリイミド樹脂とを含有するため、弾性率と可撓性のバランスが良好であって、導電剤の分散性が高いために、抵抗における電界依存性の小さいポリイミド樹脂製無端ベルトを得ることができる。また、高品質の画像を安定して得ることができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂と、導電剤と、が含有されてなり、前記第一のポリイミド樹脂が全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であり、22℃55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
上記ポリイミド樹脂は、後述するポリアミック酸をイミド化反応(脱水閉環反応)させて得ることができる。また、上記ポリイミド樹脂製無端ベルトは、後述するように、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸を有機極性溶媒中に溶解させたポリアミック酸溶液を、金型表面に塗布した後、乾燥処理にて溶媒分を適宜除去して、その後、焼成処理を行い、ポリアミック酸のイミド化反応(脱水閉環反応)を行い得ることができる。
−ポリアミック酸溶液−
本実施の形態のポリアミック酸溶液は、少なくとも、ポリアミック酸と有機極性溶媒と導電剤とが含有されてなる。以下、各構成物等について詳細に説明する。
本実施の形態のポリアミック酸溶液は、少なくとも、ポリアミック酸と有機極性溶媒と導電剤とが含有されてなる。以下、各構成物等について詳細に説明する。
(ポリアミック酸)
ポリアミック酸としては、下記一般式(1)で表されるポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸」ということがある)を用いることができる。なお、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを実質的に等モル量を有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。
ポリアミック酸としては、下記一般式(1)で表されるポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸」ということがある)を用いることができる。なお、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを実質的に等モル量を有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。
なお、下記一般式(1)中の「R1」は4価の有機基であるが、具体的には、後に例示されているテトラカルボン酸(二無水物)から4つのカルボキシル基を除いた残基が挙げられる。また、下記一般式(1)中の「R2」は2価の有機基であるが、具体的には、後に例示されているジアミン化合物から2つのアミノ基を除いた残基が挙げられる。また、後述する一般式(2)中の「R3」「R4」もそれぞれ、「R1」「R2」と同様である。
(ポリアミック酸重合温度)
ポリアミック酸重合時の反応温度としては、0℃〜80℃の範囲で行われる。反応温度が0℃以下であると、溶液の粘度が高くなり、反応系の攪拌が十分に行うことができなくなるためである。また、反応温度が80℃より高くなると、ポリアミック酸の重合と並行して、一部イミド化反応が起こるため、反応制御の点で問題がある。
ポリアミック酸重合時の反応温度としては、0℃〜80℃の範囲で行われる。反応温度が0℃以下であると、溶液の粘度が高くなり、反応系の攪拌が十分に行うことができなくなるためである。また、反応温度が80℃より高くなると、ポリアミック酸の重合と並行して、一部イミド化反応が起こるため、反応制御の点で問題がある。
(全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物)
上述した全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、又はこれらの芳香環を低級アルキル基等で置換した化合物等が挙げられる。これらのうち、特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
上述した全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、又はこれらの芳香環を低級アルキル基等で置換した化合物等が挙げられる。これらのうち、特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
(ジアミン化合物)
また、第一のポリイミド樹脂を形成するジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられるが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがより好ましい。また、第二のポリイミド樹脂を形成するp−フェニレン骨格を有するジアミンとしては、p−フェニレンジアミンが挙げられる。
また、第一のポリイミド樹脂を形成するジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられるが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがより好ましい。また、第二のポリイミド樹脂を形成するp−フェニレン骨格を有するジアミンとしては、p−フェニレンジアミンが挙げられる。
(有機極性溶媒)
ポリアミック酸溶液に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒;あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン;などを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸およびポリアミック酸−ポリイミド共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。
ポリアミック酸溶液に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒;あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン;などを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸およびポリアミック酸−ポリイミド共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。
(ポリアミック酸の固形分濃度)
ポリアミック酸溶液の固形分濃度は特に規定されるものではないが、5〜50質量%が好ましく。さらに、特に10〜30質量%が好適である。固形分濃度が5質量%未満であるとポリアミック酸の重合度が低く、最終的に得られる成型体の強度が低下する。また、重合時の固形分濃度が、50質量%より高いと原料モノマーの不溶部が生じ反応が進行しない。
ポリアミック酸溶液の固形分濃度は特に規定されるものではないが、5〜50質量%が好ましく。さらに、特に10〜30質量%が好適である。固形分濃度が5質量%未満であるとポリアミック酸の重合度が低く、最終的に得られる成型体の強度が低下する。また、重合時の固形分濃度が、50質量%より高いと原料モノマーの不溶部が生じ反応が進行しない。
また、ポリイミド樹脂製無端ベルト製造時の塗工のしやすさより、適当な粘度を発現する範囲が選択される。塗工上最適な粘度範囲としては、一般に1〜100Pasが好ましく、その粘度となるような固形分濃度としては、上述の固形分濃度が望ましい。
(導電剤)
導電剤としては、導電性をもつカーボンブラックが好ましい。また、分散性向上の観点から、酸性カーボンブラックを用いることが、より好ましい。本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、上記ポリイミド樹脂に導電剤であるカーボンブラックを分散して製造される。カーボンブラックの配合量は、上記ポリアミック酸の総量100質量部に対して、15〜35質量部、好ましくは、20〜30質量部含有するのが好ましい。カーボンブラックは均一かつ微細に分散しないと、所望の抵抗特性(特に抵抗の面内均一性や電界依存性、表面抵抗率の維持性)に優れたものは得られない。
導電剤としては、導電性をもつカーボンブラックが好ましい。また、分散性向上の観点から、酸性カーボンブラックを用いることが、より好ましい。本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、上記ポリイミド樹脂に導電剤であるカーボンブラックを分散して製造される。カーボンブラックの配合量は、上記ポリアミック酸の総量100質量部に対して、15〜35質量部、好ましくは、20〜30質量部含有するのが好ましい。カーボンブラックは均一かつ微細に分散しないと、所望の抵抗特性(特に抵抗の面内均一性や電界依存性、表面抵抗率の維持性)に優れたものは得られない。
カーボンブラックの含有量がポリアミック酸の総量100質量部に対して15質量部未満であると、ポリイミド樹脂製無端ベルトとした際に抵抗が高くなり、例えば転写部材として使用した場合トナーを転写できなくなる。一方、35質量部を超えると、ポリイミド樹脂製無端ベルトとした際に抵抗が低くなりすぎるとともに、皮膜がもろくなって屈曲性が低下することになる。
また、上述のカーボンブラックとは異なる種類のカーボンブラック、または他の導電性もしくは半導電性の材料も使用できる。カーボンブラックの種類としては、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等が例示される。また他の導電性もしくは半導電性の材料としては、特に制限はないが、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化イットリウム、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。また、LiCl等のイオン導電性物質やポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなどの導電性高分子材料の添加も可能である。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。
本発明では、樹脂中への分散性がよいので良好な分散安定性が得られ、ポリイミド樹脂製無端ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきづらくなる電気抵抗の経時での安定性より、pH5以下で揮発分が3.5%以上の酸性カーボンブラックを添加することが好ましい。
−ポリイミド樹脂製無端ベルト−
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、前述したポリアミック酸溶液を、金型表面に塗布した後、乾燥処理にて溶媒分を適宜除去して、その後、焼成処理を行い、ポリアミック酸のイミド化反応(脱水閉環反応)を行い得ることができる。
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、前述したポリアミック酸溶液を、金型表面に塗布した後、乾燥処理にて溶媒分を適宜除去して、その後、焼成処理を行い、ポリアミック酸のイミド化反応(脱水閉環反応)を行い得ることができる。
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂とが含有されてなる。
より好ましくは、前記第一のポリイミド樹脂が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸骨格と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル骨格とがイミド結合してなる構造(I)が含有され、前記第二のポリイミド樹脂が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸骨格とp−フェニレン骨格とがイミド結合してなる構造(II)が含有されてなる。
このとき、前記第一のポリイミド樹脂は全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であることが好ましい。25モル%未満であると導電剤の高分散性が得にくくなり、ポリイミド樹脂製無端ベルトの抵抗の電界依存性も目標レベルを達成できなくなる。また、70モル%を超えるとポリイミド樹脂製無端ベルトの弾性率や強度が低下し、例えば、画像形成装置の転写ベルトとして用いたとき、カラーレジなどの高速適性悪化や、寿命が短くなるなどの場合がある。なお、全ポリイミド樹脂に対する第一のポリイミド樹脂の割合は、全ポリアミック酸に対する第一のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸の割合と同様であり、イミド化反応(脱水閉環反応)の前後でその割合が変化するものではない。
(表面抵抗率)
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、22℃55RH%の条件下において、100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値が8〜13(logΩ/□)であり、好ましくは9〜12である。表面抵抗率が低すぎると、転写電流の広がりや横流れにより転写画像が乱れることがあり、一方、表面抵抗率が高すぎると、汚れ防止のために表面電位の除電機構が必要になる場合がある。
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、22℃55RH%の条件下において、100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値が8〜13(logΩ/□)であり、好ましくは9〜12である。表面抵抗率が低すぎると、転写電流の広がりや横流れにより転写画像が乱れることがあり、一方、表面抵抗率が高すぎると、汚れ防止のために表面電位の除電機構が必要になる場合がある。
(表面抵抗率の電界依存性)
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、22℃、55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、22℃、55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
カーボンブラックを均一かつ微細に樹脂に含有させることで、印加電圧に対するポリイミド樹脂製無端ベルトの表面抵抗率の変化量(表面抵抗率の電界依存性)を小さくすることができる。例えば画像形成装置内では、通常、使用環境や用紙の種類によって転写電界を変化させることにより、安定して良好な画像を形成させている。しかしながら、転写電界の変化によって転写ベルトの抵抗が変化すると、安定した転写画像が得にくくなり、転写パラメータの設計も困難となる。このような転写電界による転写ベルトの抵抗変動の影響を小さくするために、転写ベルトの抵抗スペックを小さくしたり、電界依存性の小さな抵抗体(例えば、バックアップロールなど)と組み合わせて転写システムを設計したりしているが、いずれもコストアップにつながる。本発明のポリイミド樹脂製無端ベルトを画像形成装置の転写ベルトとして用いた場合、より安定して良好な画像を形成させることができるとともに、転写システム全体として低コスト設計が可能となる。
また、カーボンブラックを均一かつ微細に樹脂に含有させることで、繰り返し使用の前後でのポリイミド樹脂製無端ベルトの表面抵抗率の変化量が小さく、表面抵抗率の維持性に優れたものとなる。
表面抵抗率の変化量とは、表面抵抗率値を常用対数で表し、使用後の表面抵抗率値から使用前の表面抵抗率値を引いたときの値である。例えば、ポリイミド樹脂製無端ベルトを転写ベルトとして使用する際にその表面抵抗率の維持性が劣る場合、例えば葉書サイズへの用紙の転写を繰り返すと、転写ベルトの幅方向に葉書のサイズ分だけ抵抗率が変化し、葉書が接触しなかった転写ベルト領域との抵抗率に差が生じる。この状態で、例えばA3の用紙全面に転写を行なうと、転写画像領域内に転写ベルトの抵抗率の異なる領域があるため、転写効率が異なり、結果的にA3用紙内に画像濃度ムラが発生する。表面抵抗率の変化量は小さいほど良いが、±0.3を越えると転写時の濃度ムラとして検出されることが多い。
(表面抵抗率の環境依存性)
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、10℃、15RH%における100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率と、28℃、80RH%における100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。表面抵抗率の常用対数値の差が0.3以下であると、環境に対して広範囲な転写ラチチュードを有している。そのため、使用環境によって転写電流や電界を制御する機構が不必要であり、安価な転写システムを提供できる。
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、10℃、15RH%における100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率と、28℃、80RH%における100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。表面抵抗率の常用対数値の差が0.3以下であると、環境に対して広範囲な転写ラチチュードを有している。そのため、使用環境によって転写電流や電界を制御する機構が不必要であり、安価な転写システムを提供できる。
なお、表面抵抗率は、図1に示す円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6911(1995)に従い、特に指定が無い場合は電圧100Vを印加し、10秒後の電流値から求めた値である。図1は、円形電極の例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)であり、円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、かつ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に試験片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
(引張弾性率)
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、JIS K7127(1999)に規定される引張弾性率が4.0GPa以上である。引張弾性率が4.0GPa以上であることで、強い張力を掛けて高速回転させてもベルトの周長が伸びることがない。従って、例えば画像形成装置の転写ベルトとして使用した場合は、カラーレジの小さな高品質の画像を得ることに寄与できる。なお、引張弾性率は、JIS K 7127(1999)に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求められる。
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、JIS K7127(1999)に規定される引張弾性率が4.0GPa以上である。引張弾性率が4.0GPa以上であることで、強い張力を掛けて高速回転させてもベルトの周長が伸びることがない。従って、例えば画像形成装置の転写ベルトとして使用した場合は、カラーレジの小さな高品質の画像を得ることに寄与できる。なお、引張弾性率は、JIS K 7127(1999)に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求められる。
(耐折回数)
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、9.8Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が1000回以上である。耐折回数が1000回以上であるため、可撓性、追従性に優れる。該MIT試験法による耐折回数測定は、JIS P8115(2001)に準拠(JIS P8115(2001)における「紙及び板紙」を「ポリイミド樹脂製無端ベルト」に読みかえる。)する方法であり、図2に示すMIT試験機を用いて測定する。図2はMIT試験機を説明するための概略構成図である。図2に示すMIT試験機は折曲げ装置取付面4に取り付けられた、試験片9を挟み折曲げるための0.38mmの曲率半径をもつ折曲げ装置6、プランジャー8に取り付けられた荷重を掛けるためのつかみ具10からなる。前記MIT試験法による耐折回数測定の手順は以下のとおりである。試験片9の一方を折曲げ装置6で挟む。更に試験片9の他の一方をつかみ具10で挟み、試験片9に9.8N(1kgf)の荷重を掛ける。次に折曲げ装置6を135±2°の角度で、毎分175±10回となる速度で回転させて、荷重が掛けられた試験片2を折曲げ装置6の曲率面で繰り返し折り曲げ、ストレスを与えて破断させる。
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトは、9.8Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が1000回以上である。耐折回数が1000回以上であるため、可撓性、追従性に優れる。該MIT試験法による耐折回数測定は、JIS P8115(2001)に準拠(JIS P8115(2001)における「紙及び板紙」を「ポリイミド樹脂製無端ベルト」に読みかえる。)する方法であり、図2に示すMIT試験機を用いて測定する。図2はMIT試験機を説明するための概略構成図である。図2に示すMIT試験機は折曲げ装置取付面4に取り付けられた、試験片9を挟み折曲げるための0.38mmの曲率半径をもつ折曲げ装置6、プランジャー8に取り付けられた荷重を掛けるためのつかみ具10からなる。前記MIT試験法による耐折回数測定の手順は以下のとおりである。試験片9の一方を折曲げ装置6で挟む。更に試験片9の他の一方をつかみ具10で挟み、試験片9に9.8N(1kgf)の荷重を掛ける。次に折曲げ装置6を135±2°の角度で、毎分175±10回となる速度で回転させて、荷重が掛けられた試験片2を折曲げ装置6の曲率面で繰り返し折り曲げ、ストレスを与えて破断させる。
耐折回数Nは、破断までの折り曲げ回数Nを用いる。また、耐折強度FEは、Nより下記式(4)に従い求められる。
FE=log10N ・・・式(4)
FE=log10N ・・・式(4)
−ポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法−
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法は、少なくとも以下の(a)〜(c)の工程を有することを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法である。
(a)全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)とカーボンブラックとを混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)を調製する工程。
(b)前記カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(ii)を混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を調製する工程。
(c)前記(a)および(b)の工程の後、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を加熱してイミド化反応を行い、無端ベルトを形成する工程。
本実施の形態のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法は、少なくとも以下の(a)〜(c)の工程を有することを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法である。
(a)全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)とカーボンブラックとを混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)を調製する工程。
(b)前記カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(ii)を混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を調製する工程。
(c)前記(a)および(b)の工程の後、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を加熱してイミド化反応を行い、無端ベルトを形成する工程。
さらに、上記ポリアミック酸(i)が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸であり、前記ポリアミック酸(ii)が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンからなるポリアミック酸であることが好ましい。
(カーボンブラックの分散工程)
以下、カーボンブラックを均一かつ微細に分散する工程の一例について説明する。
以下、カーボンブラックを均一かつ微細に分散する工程の一例について説明する。
まず、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)に、カーボンブラックを分散させる際に、メディアを使用しない衝突型分散機を用いるのが好適である。衝突型分散機とは、2つ以上に分割した溶液を衝突させて分散する機械であり、衝突時の圧力は150MPa以上であることが好ましい。
分散をするには、まず全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)にカーボンブラックを混合し、予備分散を行う。予備分散とは、撹拌機でカーボンブラックの混合液をよく撹拌し、カーボンブラックの固まりを細かくほぐすことである。次に予備分散が済んだ溶液を衝突型分散機に通す。
図3は、衝突型分散機の説明図であり、上流から下流に向かって一点に連結された2つの第1流路管50と、連結部を構成する連結管52、この連結管52の一端から2つ以上に分岐した第2流路管54、とから構成された流路に、溶液を流すことにより、分散するものである。
その操作はまず、2つの第1流路管50にそれぞれ溶液を流す。この流圧を、150MPa以上とし、連結部を構成する連結管52の一端52a近傍で150MPa以上で互いの溶液を衝突させる。衝突した混合液は、連結管52を通過し、2つ以上に分岐した第2流路管54にそれぞれ流れ、再び2つに分割される。この再び2つに分割された混合溶液を、さらに第1流路管50に流し、混合・分割を2回以上の複数回繰り返すこともできる。このように150MPa以上で衝突させて混合させることで、当該溶液にせん断力と共に、強い圧力で衝突力を付加することが可能となり、均一かつ微細にカーボンブラックを高濃度で分散させることができる。
圧力は、150MPa以上が必要であるが、好ましくは150〜250MPa、より好ましくは180〜220MPaの圧力で互いに衝突させることが好ましい。圧力が、150MPa未満であると、カーボンブラックを微細に分散することができなくなる場合がある。
衝突した混合液は、連結管52を通過するが、この2つの第1流路管50の連結部(図中では、連結管52の一端52a近傍)、即ち2つの溶液が衝突する衝突部の最小断面積を0.07mm2以下(好ましくは0.007〜0.05mm2以下、より好ましくは0.015〜0.04mm2)とするのが好ましい。これは、溶液を衝突させる面積を小さくすることで、効率良く溶液に圧力を付加させることができるからである。ここで、2つの溶液が衝突する衝突部の最小断面積は、図中では連結管52入り口近傍での流路管50の断面積に相当する。
カーボンブラックの分散性を向上させるため、例えばこの経路を合計5回通過させるが、本発明においてはさらに、第1流路管50から第2流路管54を含む分散液経路には、温度を管理した冷却媒体を循環させる機構を設け、分散液の液温度が120℃を超えないように制御する。分散液の液温度が120℃を超えると、一度分散したカーボンブラックが再度凝集して分散性が悪くなる場合がある。また、分散液の液温度が120℃を超えた状態で分散を続けると、ポリアミック酸が加水分解を起こす可能性がある。
前記したように分散工程では、樹脂材料が分散時に高温、高圧にて処理される為に、樹脂の劣化が生じ機械的特性が悪化する可能性がある。分散時はカーボンブラックをなるべく高濃度で行って処理する樹脂量を少なくし、分散後に分散処理を経ていない樹脂溶液を加えて増量し、所定のカーボンブラック含有量に調製するのが好ましい。そのため、分散時のカーボンブラック混合量は、皮膜形成樹脂100質量部に対して、80〜100質量部にするのが好ましい。
分散後のカーボンブラックの平均粒子径は、500nm以下であることが好ましい。カーボンブラックの粒子径が大きすぎると、抵抗の電界依存性が得られない他、機械的強度が低下したり、表面抵抗率の維持性が悪化することがある。なお、カーボンブラックの平均粒子径は、例えば大塚電子製の動的光散乱式測定器PAR−IIIを用いて測定できる。測定条件はclock rate:100μs、accumulate time:10回、correlate ch:128、温度:20℃、溶媒:NMPである。
分散時、不純物の混入やカーボンブラック凝集体があった場合、溶液を、例えば、目開き25μm以下のフィルターを通すことで粗大粒子を除去し、均一な分散状態の溶液を得ることが可能である。
次いで、上記分散工程の後、且つ後述する混合工程の前に、溶液の温度を20〜60℃となるように制御する。一旦温度を下げる理由の1つは、後添加する全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(ii)中の溶媒が急速に蒸発することを抑制するためである。
(混合工程)
上述した全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)とカーボンブラックとを混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸(ii)を混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を調製する。
上述した全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)とカーボンブラックとを混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸(ii)を混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を調製する。
上記混合工程において、上述した図2に示す衝突型分散機を用いてもよく、またはボールミル、サンドミル、バスケットミル、超音波分散等を用いて混合してもよい。
上述した全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)および全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(ii)の濃度は、適宜選択されるが、好ましい溶液の固形分濃度は10〜40質量%である。これらの溶媒としては、ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系溶媒等が挙げられる。溶液の粘度は合成時の分子量により調製される。このとき、前記全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸は全ポリアミック酸の25モル%以上70モル%以下であることが好ましい。25モル%未満であると導電剤の高分散性が得にくくなり、70モル%を超えるとイミド化後の弾性率や強度が低下し、例えば、画像形成装置の転写ベルトとして用いたとき、カラーレジなどの高速適性悪化や、寿命が短くなるなどの場合がある。
カーボンブラックとしては、上述したが、pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のものを好ましく用いることができ、例えば、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック等の一般的なカーボンブラックが挙げられるが、分散性の点で酸性カーボンブラックが好ましい。また、1種類でなく複数種類配合することも可能である。
(成膜方法)
本発明において成膜方法は特に規定する必要はなく、一般的な遠心成形法、浸漬塗布法や環状塗布法を用いることができる。
本発明において成膜方法は特に規定する必要はなく、一般的な遠心成形法、浸漬塗布法や環状塗布法を用いることができる。
遠心成形法の金型や浸漬塗布法や環状塗布法に用いる芯体は、アルミニウムやステンレス、ニッケル等の金属製の円筒が好ましい。円筒の長さは、目的とする無端ベルト以上の長さが必要であり、複数の無端ベルトを同時に作製する場合には、その本数分以上の長さが必要である。また、端部に生じる無効領域に対する余裕幅を確保するため、目的の長さより、10〜40%程度長いことが望ましい。
遠心成形法で用いる円筒金型の内径や浸漬塗布法や環状塗布法に用いる円筒芯体の外径は、目的とするポリイミド樹脂製無端ベルトの直径に合わせ、肉厚は強度が保てる厚さにする。形成される皮膜が円筒金型の内表面や円筒芯体の外表面に接着するのを防ぐため、金型の内表面や芯体の外表面には離型性を付与するが、それには、該当する表面をフッ素樹脂やシリコーン樹脂で被覆したり、離型剤を塗布したりする方法がある。
なお、ポリアミック酸のイミド化反応(脱水閉環反応)時には、溶媒や脱水反応時に発生する水の蒸発のため、反応後の皮膜には部分的に膨れを生じることがある。皮膜の膨れは特に膜厚が50μmを越える場合に多く発生する。この膨れを防止するために、特開2002−160239号公報開示の如く、芯体表面を粗面化することが好ましい。その方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法があり、表面粗さはRa0.2〜2μm程度が好ましい。これにより、皮膜から生じる気体は、芯体と皮膜の間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
次に環状体を用いる環状塗布方法の一例を説明する。図4は塗布中の塗布装置の概略断面図である。但し、塗布主要部のみを示し、芯体の昇降手段などの周辺部は省略した。なお、本明細書において、「芯体上に塗布する」とは、芯体の表面上に塗液を塗布する意味である。また、「芯体を上昇」とは液面との相対関係であり、「芯体を停止し、塗布液面を下降」させる場合を含む。
図4において、溶液12を環状塗布槽7に入れ、その下部から上部へ芯体11を通過させると、塗膜14が形成され、塗布が行われる。芯体11の下には、他の芯体11’が重ねられる。環状塗布槽17の底部には、溶液が漏れないよう、シール材18を取り付ける。シール材は、ポリエチレンやシリコーンゴム、フッソ樹脂等の柔軟性板材から成る。塗液12上には、芯体11の断面の外周外径よりも大きな円孔16を設けた環状体15を自由移動可能状態で設置する。環状体は、塗布中は溶液に浮上するが、静止時に浮力が不足する場合は、沈没防止のために環状体15の外周面または塗布槽に、環状体を支える足や腕を設けてもよい。
塗布の際は、芯体11と円孔16との間隙により、塗膜14の膜厚が調整されるので、その間隙は、所望の塗布膜厚を鑑みて調整する。芯体の上昇速度は0.1〜10.0m/min程度であるのが好ましく、円孔16を通して芯体11を上昇させると、溶液2の介在により、芯体11と環状体15との間隙にて摩擦抵抗が生じ、環状体15は持ち上げられる。このように環状体15が持ち上げられた際、環状体15は芯体11との摩擦抵抗が周方向で一定になるように水平方向に移動し、間隙が周方向で一定になる。そこで、環状体15が芯体1と接触することはなく、常に一定間隙が保たれる。
(無端ベルトの作製方法)
芯体への塗布後、塗膜を乾燥して自己支持膜となるまで溶媒を除去することが行なわれる。乾燥条件は、乾燥後の塗膜に含まれる溶媒が30〜50重量%前後になるように設定することが好ましく、温度は100〜200℃、時間は10〜60分程度が好ましい。溶剤の乾燥を促進するために、塗膜表面には熱風を吹きつけてもよい。乾燥時、塗膜が下方に垂れないよう、芯体の軸方向を水平にして、2〜20rpmで回転させるのが好ましい。
芯体への塗布後、塗膜を乾燥して自己支持膜となるまで溶媒を除去することが行なわれる。乾燥条件は、乾燥後の塗膜に含まれる溶媒が30〜50重量%前後になるように設定することが好ましく、温度は100〜200℃、時間は10〜60分程度が好ましい。溶剤の乾燥を促進するために、塗膜表面には熱風を吹きつけてもよい。乾燥時、塗膜が下方に垂れないよう、芯体の軸方向を水平にして、2〜20rpmで回転させるのが好ましい。
次いで、芯体を加熱して皮膜を形成する。加熱温度は一般に250〜400℃、好ましくは300〜350℃程度である。イミド化反応は、250℃以上の温度でないと完結しにくいので、250℃以上、好ましくは300℃以上の温度に30分以上置くことが好ましい。
冷却後、芯体を取り出し、形成された皮膜を芯体から剥離して無端ベルトを得る。その際、剥離が容易になる観点から、芯体と皮膜との間にエアを吹き込むことが好ましい。無端ベルトは、端部の不要部分を切って所定長さに切断する。さらに必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工、等を施してもよい。
−画像形成装置−
本実施の形態の画像形成装置は、像担持体と、該像担持体表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に加熱定着させる定着手段とを有し、前記転写手段として上述のポリイミド樹脂製無端ベルトを備える。
本実施の形態の画像形成装置は、像担持体と、該像担持体表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に加熱定着させる定着手段とを有し、前記転写手段として上述のポリイミド樹脂製無端ベルトを備える。
本発明の画像形成装置は、上述の構成を有する画像形成装置であれば、特に限定されるものではなく、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、像担持体上に担持されたトナー像を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。
更に、本発明の画像形成装置は、像担持体に形成されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写する第一転写手段と、該中間転写ベルトに転写されたトナー像を被転写体に二次転写する第二転写手段と、を少なくとも備える画像形成装置であって、前記中間転写ベルトが、既述の本発明のポリイミド樹脂製無端ベルト(中間転写ベルト)であってもよい。ポリイミド樹脂製無端ベルトを中間転写ベルトとして用いる場合、厚さは60〜100μmが好ましい。
このようなタンデム型のカラー画像形成装置の具体例について図面を用いて以下に説明する。
図5は、本発明の画像形成方法により画像を形成するための、画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置200は、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。電子写真感光体401a〜401dは、例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成することが可能である。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
さらに、ハウジング400内の所定の位置には露光装置403が配置されており、露光装置403から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
ここで、帯電ロール402a〜402dは、電子写真感光体401a〜401dの表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである(帯電工程)。なお本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン若しくはスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
露光装置403としては、電子写真感光体401a〜401dの表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体401a〜401dの導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
現像装置404a〜404dには、上述の二成分静電荷像現像用現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる(現像工程)。そのような現像装置としては、二成分静電荷像現像用現像剤を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを選択することができる。
一次転写工程では、1次転写ロール410a〜410dに、像担持体に担持されたトナーと逆極性の1次転写バイアスが印加されることで、像担持体から中間転写ベルト409へ各色のトナーが順次1次転写される。
クリーニングブレード415a〜415dは、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。
2次転写ロール413に、中間転写体上のトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルトから記録媒体へトナーが2次転写される。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416或いは、除電器(不図示)により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部(前記式A:ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノビフェニルエーテルからなる(それぞれのモル比1:1)ポリアミック酸のNMP溶液、イミド転化後の固形分率が18wt%、粘度約5Pa・s)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14wt%)を9質量部添加し、図3に示すジーナス製ジェットミル分散機(Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm2)を用い、圧力を200MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて分散・混合した。得られた分散液の粘度は室温で約8Pa・sであった。
宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部(前記式A:ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノビフェニルエーテルからなる(それぞれのモル比1:1)ポリアミック酸のNMP溶液、イミド転化後の固形分率が18wt%、粘度約5Pa・s)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH3,揮発分14wt%)を9質量部添加し、図3に示すジーナス製ジェットミル分散機(Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm2)を用い、圧力を200MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて分散・混合した。得られた分散液の粘度は室温で約8Pa・sであった。
得られた分散液100部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスS(前記式B:ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなる(それぞれのモル比1:1)ポリアミック酸のNMP溶液、イミド転化後の固形分率が18wt%、粘度約5Pa・s)を70部添加し、(株)愛工舎製作所製アイコーミキサーを用いて攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した。得られた原料液の粘度は室温で約約6Pa・sであった(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは28.4部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約51モル%である。)。
得られた原料液を用い、上述した図4に示すような突上環状塗布法により、ポリイミド前駆体塗膜Aを形成した。
円筒成形管11として、外径364.5mm、長さ650mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体は、外径377mm、長さ700mmのアルミニウム製素管を350℃で10分間加熱し、自然に冷却させた後、表面を切削して、外径を364.5mにし、更に、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、表面をRa:0.3μmに粗面化したものである。その円筒成形管31の表面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施してアルミニウム製円筒体Aを先ず作製し、更に該アルミニウム製円筒体Aに以下の離型剤除去工程を行ない、アルミニウム製円筒体Bを作製した。
一方、環状体15として、外径445mm、最小部の内径366mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを作製した。内壁は傾斜状である。
円筒成形管11(アルミニウム製円筒体B)を、その底面に内径360mmの中心孔を有するポリエチレン製の環状シール材18が取り付けられている、内径370mm、高さ150mmの環状塗布槽17に通した。そして、その環状塗布槽17にポリイミド前駆体溶液12(ポリイミド前駆体溶液A)を入れ、環状体15を配置して、円筒成形管11を5.0m/分で上昇させ、塗布を行った。これにより、円筒成形管11の表面には濡れ膜厚が約420μmのポリイミド前駆体塗膜14が形成された。
次に、円筒成形管11を水平にして、6rpmで回転させながら、170℃で30分間加熱乾燥させた。その後、320℃で30分間加熱して、イミド転化させ、カーボンブラックが分散されているポリイミド樹脂皮膜を形成した。
円筒成形管11の温度が室温まで冷えた後、円筒成形管11とポリイミド樹脂皮膜の隙間に、φ1.5のノズルから、2.0MPaのエアを吹き込むことによってポリイミド樹脂皮膜の貼り付きを解除し、皮膜全体を剥離して芯体から抜き取った。そして、しわの発生しない平均膜厚78μmのカーボンブラックが分散しているポリイミド樹脂皮膜を剥離することができた。
得られたポリイミド樹脂皮膜の幅が369mmとなるように両端を切り揃え、ポリイミド製無端ベルトを得ることができた。そのポリイミド樹脂製無端ベルトを、富士ゼロックス(株)製の複写機・プリンタ複合機DocuCentre Color C6550に中間転写ベルトとして搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
画質の評価は、(i)4色のプロセス方向での位置ズレを評価する「カラーレジ」、(ii)プロセス方向の細線がかすれることなく再現される「細線再現性」、(iii)ハーフトーン画像(各色、濃度30%および50%)での「斑点状濃度ムラ(1次転写での感光体との剥離放電に起因する)、(iv)はがきに3,000枚プリントした後にA4のハーフトーン画像(マゼンタ、50%)をプリントしたときの「通紙部白抜け」、(v)その他総合画質評価、をおこなった。
評価方法は、次の通りである。なお、以下の実施例および比較例についても同様に評価を行った。
(表面抵抗率)
表面抵抗率は、上述したように、三菱油化(株)製ハイレスターIPおよびHRプローブを用い、JIS K6991(1995)に従い測定した。ベルトの24点(幅方向3箇所×周方向8箇所)を測定し、その平均値をベルトの表面抵抗率とした。
表面抵抗率は、上述したように、三菱油化(株)製ハイレスターIPおよびHRプローブを用い、JIS K6991(1995)に従い測定した。ベルトの24点(幅方向3箇所×周方向8箇所)を測定し、その平均値をベルトの表面抵抗率とした。
(表面抵抗率の電界依存性)
表面抵抗率の電界依存性は、印加電圧100Vと1000Vのそれぞれで表面抵抗率を測定し、その常用対数の差を表面抵抗率の電界依存性とした。電圧の印加時間は、それぞれ10秒間とした。
表面抵抗率の電界依存性は、印加電圧100Vと1000Vのそれぞれで表面抵抗率を測定し、その常用対数の差を表面抵抗率の電界依存性とした。電圧の印加時間は、それぞれ10秒間とした。
(表面抵抗率の環境依存性)
また、表面抵抗率の環境依存性は、ベルトを10℃、15RH%に24時間放置した後の100V印加時の表面抵抗率と、28℃、80RH%に24時間放置した後の100V印加時の表面抵抗率をそれぞれ測定し、それらの常用対数値の差を表面抵抗率の環境依存性とした。なお、環境依存性は0.3以下を合格とした。
また、表面抵抗率の環境依存性は、ベルトを10℃、15RH%に24時間放置した後の100V印加時の表面抵抗率と、28℃、80RH%に24時間放置した後の100V印加時の表面抵抗率をそれぞれ測定し、それらの常用対数値の差を表面抵抗率の環境依存性とした。なお、環境依存性は0.3以下を合格とした。
(引張弾性率)
引張弾性率の測定は、JIS K7127(1999)に準じておこない、周方向のみ5回測定した平均値を測定値とした。より詳しくは、ダンベル3号の打ち抜き試験片(幅5mm)を作製し、アイコーエンジニアリング社製MODEL−1605Nを用いて、引張速度20mm/minで測定した。なお、カーボンブラックを分散させた無端ベルトの引張り弾性率が4.0GMpa以上を合格とした。
引張弾性率の測定は、JIS K7127(1999)に準じておこない、周方向のみ5回測定した平均値を測定値とした。より詳しくは、ダンベル3号の打ち抜き試験片(幅5mm)を作製し、アイコーエンジニアリング社製MODEL−1605Nを用いて、引張速度20mm/minで測定した。なお、カーボンブラックを分散させた無端ベルトの引張り弾性率が4.0GMpa以上を合格とした。
(耐折回数)
MIT試験法による耐折回数測定は、JIS P8115(2001)に準拠(JIS P8115(2001)における「紙及び板紙」を「ポリイミド樹脂製無端ベルト」に読みかえる)する方法であり、上述したように、図2に示すMIT試験機を用いて測定する。繰り返し折り曲げ、ストレスを与えて破断させ、破断までの折り曲げ回数N(5回測定の平均値)を、耐折回数とした。なお、1kg重の引張り加重を掛けておこなうMIT試験法による耐折回数が1000回以上を合格とした。
MIT試験法による耐折回数測定は、JIS P8115(2001)に準拠(JIS P8115(2001)における「紙及び板紙」を「ポリイミド樹脂製無端ベルト」に読みかえる)する方法であり、上述したように、図2に示すMIT試験機を用いて測定する。繰り返し折り曲げ、ストレスを与えて破断させ、破断までの折り曲げ回数N(5回測定の平均値)を、耐折回数とした。なお、1kg重の引張り加重を掛けておこなうMIT試験法による耐折回数が1000回以上を合格とした。
(実施例2)
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを18.5質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを210部質量添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは31.2部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約26モル%である。)。
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを18.5質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを210部質量添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは31.2部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約26モル%である。)。
得られた原料液を用い、実施例1と同様にポリイミド樹脂製無端ベルトを作製し、中間転写ベルトとしてDocuCentreColor C6550に搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
(実施例3)
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを7.3質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを35質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは29.4部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約68モル%である。)。
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを7.3質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを35質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは29.4部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約68モル%である。)。
得られた原料液を用い、実施例1と同様にポリイミド樹脂製無端ベルトを作製し、中間転写ベルトとしてDocuCentreColor C6550に搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
(比較例1)
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを6.15質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを18質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは28.6質量部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約80モル%である。)。
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを6.15質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを18質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは28.6質量部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約80モル%である。)。
得られた原料液を用い、実施例1と同様にポリイミド樹脂製無端ベルトを作製し、中間転写ベルトとしてDocuCentreColor C6550に搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
(比較例2)
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを22質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを300質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは28.6質量部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約20モル%である。)。
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを22質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスSを300質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは28.6質量部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約20モル%である。)。
得られた原料液を用い、実施例1と同様にポリイミド樹脂製無端ベルトを作製し、中間転写ベルトとしてDocuCentreColor C6550に搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
(実施例4)
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを11質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、実施例1と同じく、宇部興産(株)製ユーワニスSを70質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは34.7部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約51モル%である。)。
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを11質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、実施例1と同じく、宇部興産(株)製ユーワニスSを70質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは34.7部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約51モル%である。)。
得られた原料液を用い、実施例1と同様にポリイミド樹脂製無端ベルトを作製し、中間転写ベルトとしてDocuCentreColor C6550に搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
(実施例5)
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを8.5質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、実施例1と同じく、宇部興産(株)製ユーワニスSを70質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは26.8質量部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約51モル%である。)。
実施例1と同様に、宇部興産(株)製ユーワニスAの100質量部にカーボンブラックを8.5質量部添加し、分散・混合した。得られた分散液100質量部に対し、実施例1と同じく、宇部興産(株)製ユーワニスSを70質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは26.8質量部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約51モル%である。)。
得られた原料液を用い、実施例1と同様にポリイミド樹脂製無端ベルトを作製し、中間転写ベルトとしてDocuCentreColor C6550に搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
(比較例3)
宇部興産(株)製ユーワニスSの100質量部にカーボンブラックを12部数添加し、実施例1と同様に分散・混合した。得られた分散液100質量部部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスAを120質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは28.9部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約51モル%である。)。
宇部興産(株)製ユーワニスSの100質量部にカーボンブラックを12部数添加し、実施例1と同様に分散・混合した。得られた分散液100質量部部に対し、宇部興産(株)製ユーワニスAを120質量部添加し、攪拌・混合することによって、ポリイミド製無端ベルトの原料液を準備した(原料液は、イミド転化後のポリイミド樹脂に対するカーボンブラックは28.9部であり、ポリイミド樹脂中のユーワニスA成分は、約51モル%である。)。
得られた原料液を用い、実施例1と同様にポリイミド樹脂製無端ベルトを作製し、中間転写ベルトとしてDocuCentreColor C6550に搭載し、プリントサンプルを得て画質の評価をおこなった。
(画像評価)
上記実施例、比較例において以下に示す画像評価を行った。結果を表1に示す。
上記実施例、比較例において以下に示す画像評価を行った。結果を表1に示す。
−カラ−レジ−
4色のプロセス方向での位置ズレを評価する。評価基準は、次の通りである。
◎:ズレ量が50μm以下
○:ズレ量が50μmを超え80μm以下
△:ズレ量が80μmを超え120μm以下
×:ズレ量が120μmを超える
4色のプロセス方向での位置ズレを評価する。評価基準は、次の通りである。
◎:ズレ量が50μm以下
○:ズレ量が50μmを超え80μm以下
△:ズレ量が80μmを超え120μm以下
×:ズレ量が120μmを超える
−細線再現性−
幅150μmの線画像を作成した時の線の途切れをデジタルマイクロスコープVH−6200(キーエンス社製)にて観察して判断した。具体的な評価基準は、以下の通りである。
◎:細線がトナーにより均一に埋まっている。
○:細線がトナーによりほぼ均一に埋まっているが、濃度にムラがある。
△:細線内の一部に、トナーの抜けがある。
×:細線が点線状態で観察される。
幅150μmの線画像を作成した時の線の途切れをデジタルマイクロスコープVH−6200(キーエンス社製)にて観察して判断した。具体的な評価基準は、以下の通りである。
◎:細線がトナーにより均一に埋まっている。
○:細線がトナーによりほぼ均一に埋まっているが、濃度にムラがある。
△:細線内の一部に、トナーの抜けがある。
×:細線が点線状態で観察される。
−放電による斑点状濃度ムラ−
各例で得られたポリイミドベルトをDocuCentreColor C6550(富士ゼロックス社製)に組み込み、ハーフトーン(マゼンタ30%)の画像をA3縦用紙に転写した画像を目視にて観察し、任意の10mm四方内の斑点状濃度ムラの数を5箇所で求め、その平均個数に対し、以下の基準により判定を行った。
<判定基準>:
◎:斑点状濃度ムラがなし
○:斑点状濃度ムラが1個を超え3個以下
△:斑点状濃度ムラが3個を超え10個以下
×:斑点状濃度ムラが10個を超える
各例で得られたポリイミドベルトをDocuCentreColor C6550(富士ゼロックス社製)に組み込み、ハーフトーン(マゼンタ30%)の画像をA3縦用紙に転写した画像を目視にて観察し、任意の10mm四方内の斑点状濃度ムラの数を5箇所で求め、その平均個数に対し、以下の基準により判定を行った。
<判定基準>:
◎:斑点状濃度ムラがなし
○:斑点状濃度ムラが1個を超え3個以下
△:斑点状濃度ムラが3個を超え10個以下
×:斑点状濃度ムラが10個を超える
−通紙部白抜け−:
はがきに3,000枚プリントした後にA4のハーフトーン画像(マゼンタ、50%)をプリントしたときの「通紙部白抜け」を目視にて観察した。
◎:A4の画像上に、はがきの通過部が全くわからない。
○:A4の画像をよく観察すると、はがきの通過部に相当する部分が、わずかに濃度が薄い。
△:A4の画像上で、はがきの通過部に相当する部分の濃度低下が分かる。
×:A4の画像上で、はがきの通過部に相当する部分が白抜けしていることが、はっきりと分かる。
はがきに3,000枚プリントした後にA4のハーフトーン画像(マゼンタ、50%)をプリントしたときの「通紙部白抜け」を目視にて観察した。
◎:A4の画像上に、はがきの通過部が全くわからない。
○:A4の画像をよく観察すると、はがきの通過部に相当する部分が、わずかに濃度が薄い。
△:A4の画像上で、はがきの通過部に相当する部分の濃度低下が分かる。
×:A4の画像上で、はがきの通過部に相当する部分が白抜けしていることが、はっきりと分かる。
−電界依存性の画像の評価−:
電界依存性の低下は、システム全体の使いこなし(設計の容易さ)への影響が大きい。しかしながら、ここでは画像への影響の一例として、厚紙での多重ブラーを評価の指標とした。多重ブラーは、幅150μmの線画像の周辺に飛び散ったトナーの状態を、デジタルマイクロスコープVH−6200(キーエンス社製)にて観察して判断した。
◎:ほとんど飛び散りなし
○:多少の飛び散りがあるが、問題とならないレベル
△:飛び散りがあり、細線のエッジがぼやけて感じる
×:かなりの飛び散りがあり、細線のエッジが不明確
電界依存性の低下は、システム全体の使いこなし(設計の容易さ)への影響が大きい。しかしながら、ここでは画像への影響の一例として、厚紙での多重ブラーを評価の指標とした。多重ブラーは、幅150μmの線画像の周辺に飛び散ったトナーの状態を、デジタルマイクロスコープVH−6200(キーエンス社製)にて観察して判断した。
◎:ほとんど飛び散りなし
○:多少の飛び散りがあるが、問題とならないレベル
△:飛び散りがあり、細線のエッジがぼやけて感じる
×:かなりの飛び散りがあり、細線のエッジが不明確
表面抵抗率の電界依存性は小さいほど電子写真画像形成装置の転写ベルトとして使いやすい。それは、使用する環境や、用いる用紙の種類や厚さ、両面プリントなどで転写電流や電圧を変化させてもシステム抵抗の変化が小さいからである。また、電界依存性が小さいということは、イミド樹脂にカーボンブラックが良く分散されているということであり、繰り返し転写(電界印加)による抵抗低下も改善され良くなる。
本実施例のポリイミド樹脂製無端ベルトは、表面抵抗率の電界依存性が0.3以下であり、従来以上に広範囲な転写ラチチュードを持つことができるようになった。また、繰り返し転写(電界印加)による抵抗低下も全くおこさない(Δ0.0LogΩ)を実現でき、極めて高画質の転写像を長期間(ベルトとしては長寿命で)提供することができるようになった。
また、本実施例のポリイミド樹脂製無端ベルトは、イオン導電機構を用いていないため、表面抵抗率の環境依存性が0.3以下であり、環境に対して広範囲な転写ラチチュードを有している。そのため、使用環境によって転写電流や電界を制御する機構が不必要であり、安価な転写システムを提供できる。
本実施例のポリイミド樹脂製無端ベルトは、引張弾性率が4.0GPa以上であり、高い張力を掛けた状態で、高速の回転・転写をおこなっても、表面の当接物等に対しベルトが撓むことがほとんどなく、色ズレの無い極めて高画質の転写像を提供することができるようになった。
また、本実施例のポリイミド樹脂製無端ベルトは、耐折強度が1kg重の引張り加重を掛けておこなうMIT試験法による耐折回数で1000回以上であるほどしなやかであるため、画像形成装置内で、感光体と転写ロール間のニップ追随性に優れており、細線の再現性に優れるとともに、放電による斑点状濃度ムラを抑制することができる。
本発明の活用例として、耐熱性、高強度および導電性を必要とするベルト用途への適用、例えば、帯電防止部材、電磁波遮蔽部材へ適用することができ、また、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられるベルトへの適用もある。
200 画像形成装置、400 ハウジング、401a〜401d 電子写真感光体、402a〜402d 帯電ロール、403 露光装置、404a〜404d 現像装置、405a〜405d トナーカートリッジ、409 中間転写ベルト、410a〜410d 1次転写ロール、411 トレイ(被転写媒体トレイ)、413 2次転写ロール、414 定着ロール、415a〜415d、416 クリーニングブレード、500 被転写媒体。
Claims (8)
- 全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂と、導電剤と、が含有されてなり、
前記第一のポリイミド樹脂が全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であり、22℃55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下であることを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルト。 - 22℃、55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミド樹脂製無端ベルト。
- JIS K7127(1999)に規定される引張弾性率が4.0GPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂製無端ベルト。
- 9.8Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が1000回以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂製無端ベルト。
- 像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、前記像担持体表面に潜像を形成させる潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記トナー像を記録媒体に加熱定着させる定着手段とを有し、
前記転写手段に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第一のポリイミド樹脂と、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとがイミド結合してなる第二のポリイミド樹脂と、導電剤と、が含有されてなり、前記第一のポリイミド樹脂が全ポリイミド樹脂の25モル%以上70モル%以下であり、22℃55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下であるポリイミド樹脂製無端ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。 - 少なくとも以下の(a)〜(c)の工程を有することを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法。
(a)全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジフェニルエーテル骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(i)とカーボンブラックとを混合させ、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)を調製する工程。
(b)前記カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(A)に、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレン骨格を有するジアミンとを含有するポリアミック酸溶液(ii)を混合させ、カーボンブラック分散ポリイミドリアミック酸溶液(B)を調製する工程。
(c)前記(a)および(b)の工程の後、カーボンブラック分散ポリアミック酸溶液(B)を加熱してイミド化反応を行い、無端ベルトを形成する工程。
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