JP2005289961A - 微小カプセルを含有する硬化性組成物 - Google Patents

微小カプセルを含有する硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
同一系中に共存させることが不可能であった複数の成分を同一系中に安定して共存しても、経年変化が防止され、また、使用の際に練和操作を本質的に必要とせず、硬化を必要とする時に所望により外的エネルギーにて反応を開始させることにより、操作性が格段に向上しさらに練和による気泡を本質的に内包しないことから優れた硬化性を発現する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】
同一系中に共存させることが不可能であった複数の成分を微小カプセルで別個にカプセル化し、各成分を非接触状態で安定に硬化性組成物に含有させる。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、マイクロカプセルまたはナノカプセルのごとき微小カプセルを含有する硬化性組成物に関する。詳しくは、従来の技術では、同一ペーストや同一液体などの同一系中には共存させることが不可能であった一組の酸−塩基反応成分や、一組のレドックス重合開始剤成分等の複数の成分を別個に微小カプセル化して、各成分を非接触状態にして同一系中に共存させた硬化性組成物に関する。
特に、本発明は、微小カプセルを含有する、ラジカル重合型または酸塩基反応型の一液性硬化性組成物および二分割性硬化性組成物に関する。
歯科分野の材料設計においては、一般工業界とは異なり、口腔内の特殊な環境下で使用することができる材料特性が求められる。すなわち、口腔内では、唾液や吐息または歯髄液による完全な浸潤、さらに細菌の代謝による高い酸性度やタンパク質の付着、飲食物の摂取による急激な温度変化があるため、口腔内の環境下において数分以内に硬化し、さらに硬化物は過酷な咬合力などに耐えうる優れた物理学的特性や機械的および耐久的な接着性を発揮しうる材料特性が要求される。
歯科臨床では、歯冠部欠損した部分の欠損部を補うクラウンおよび歯の欠損部を補綴物で補うためのクラウン・ブリッジなどを支台歯に合着させるため歯科用セメントが日常的に使用されている。その代表的な材料は、接着性レジンセメントおよびグラスアイオノマーセメントである。
これらの材料は、クラウンなどの補綴物の材質が、貴金属、非貴金属、セラミックス等に多様化し、支台歯が天然歯のエナメル質、象牙質、金属コア、コンポジットコア、グラスアイオノマーコアなどと接着して、温度変化や咀嚼力などの口腔内の過酷な環境に十分対応できる接着強さや物理的特性を有することが求められている。
特に、これらの材料の保存安定性は臨床経過に影響するといえるほど重要である。
さらに、上記の材料特性に加えて、煩雑な歯科治療においては、その材料特性が口腔内で十分発揮されるか否かに関るという点で、材料の操作性が極めて重要である。
歯科臨床では、練和操作が不要で治療または処置時間が短縮できる利点から、一液性の光重合コンポジットレジンやボンディング剤などを光重合する保存修復治療または処置、あるいは補綴修復材料である一液性のクラウン・ブリッジ用コンポジットレジンを光重合で作製するなどの臨床手技が日常的になされている。
これまで、D,L−カンファーキノンなどのα−ジケトンとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(特公昭54−10986号)、またはα−ジケトンとN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(特公昭60−26002号)など、いわゆる光照射により励起されたα−ジケトンと水素供与剤としての光還元剤によりエキサイプレックスを経過する可視光線重合に有効な光重合開始剤が開示されている。
しかしこれらの光重合開始剤では、酸性基を有する接着性モノマーが共存する場合や開始剤濃度が著しく低い場合に光硬化性が低下する問題があった。
接着性レジンセメントには、歯科用モノマーと無機フィラーからなるコンポジットレジンタイプおよびポリメチルメタクリレート(PMMA)とメチルメタクリレートからなるPMMAタイプのレジンセメントがある。
いずれのタイプのレジンセメントも、分子内にリン酸エステル基やカルボキシル基などの酸性基を有する接着性モノマーを含み、重合開始系には過酸化ベンゾイルと芳香族第三アミンの組合せのレドックス重合開始剤や部分酸化トリブチルボランを使用する。これらの接着性レジンセメントは、歯質、金属、セラミックス等への優れた接着性が評価されて、補綴臨床で幅広く使用されている。
しかし、接着性モノマーの酸性基と芳香族第三アミンが接触すると電荷移動錯体を形成して硬化性や接着性を低下させるという問題がある。また、これらのレジンセメントはフッ素徐放性能については、後述する(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメントに比べて大きく劣るという欠点がある。
1973年、ウイルソンとケントの発明(英国特許第1,316,129号、1973)以来、グラスアイオノマー(グラスポリアルケノエート)セメントは、生体適合性が高く、歯質接着性が良好なことや、その優れたフッ素徐放能のためう蝕予防の可能性があるなど臨床的期待が高く、今日まで歯科臨床で日常的に使用されている。
グラスアイオノマーセメントにおいて、塩基性カルシウムアルミノフルオロシリケートガラスと、不飽和カルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーである酸性高分子電解質(ポリアルケン酸)との反応によって生成したヒドロゲル塩であるグラスアイオノマー反応層が重要で、そのフッ素の放出能とリチャージ能が高いなど臨床的に評価されている。
しかし、グラスアイオノマーセメントは、ガラスとポリアルケン酸との間の硬化反応が遅いため、修復処置後の研磨をするために必要な硬度を得るまでに時間がかかるという問題がある。さらにグラスアイオノマーの硬化面が口腔内の水によって感水・劣化するという問題があった。
最近、レジン成分を配合したレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントが普及しつつある。特公第2869078号は、側鎖に不飽和二重結合基を導入したグラフト化ポリアルケン酸の効果を提案している。
これらのセメントでは、レジンの化学重合や光重合反応を伴うため硬化速度が速くなり、感水の問題も改善されている。しかし、これらのセメントは、粉・液タイプでは物理的特性を維持するために粉剤と液剤を正確に計量する必要がある。すなわち、計量ミスにより金属クラウンやインレー等の補綴物接着時の浮き上がりや脱落を引き起こす結果となっている。
これらの問題を解決すべく予め粉剤と液剤を計量して膜で隔離したカプセル容器等に供給し、ミキサー等の機械的振動で混合するカプセルタイプのグラスアイオノマーセメントも開発されているが、カプセル内に供給されたセメントは成分が混合されると速やかに硬化が開始されるという欠点をいまだに有している。
特開平11−228327号には、ペースト・ペーストタイプのレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントの技術が開示されている。このタイプのセメントは、予め粉液比が製造時に管理されているため、粉液計量ミスもなく上記の問題も解決され、操作性が改善され、感水の問題も改善されているなどの特徴がある。
以上のように、酸−塩基反応を利用するグラスアイオノマーセメントやレドックス重合を利用するレジンセメントは、2以上に分割包装されているため、依然として、使用する際に練和をする必要があり、セメント硬化物内に気泡を巻き込むことにより、物理的強度が十分でないという課題を有している。
この課題解決のため、特許第3497508号や米国特許第5,883,153号には、酸反応性ガラスとポリアルケン酸を予め反応させ、生成したハイドロゲル塩を凍結乾燥して得られるキセロ・ゲルを微粉砕して製造したプレフォームドグラスアイオノマーフィラーを含有するワン・パック型光硬化性歯科用セメントが提案されている。このワン・パック型のペースト(ワン・ペースト)組成物は、練和操作を不要として硬化物内に気泡を本質的に含まないため高い物理的特性を有するという優れた特徴を有し、適度なフッ素徐放性を有する歯科用修復材料として新しいカテゴリー“Giomer(ジャイオマー)”と評価されている。
しかし、フッ素徐放性については従来の(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメントに比べて低く、ポリカルボン酸が消費されているため自己接着性に劣っている。
このように歯科臨床では、光重合技術の導入以来、光重合開始系を一液で包装できることからワン・ペーストの歯科用コンポジットレジンが広く普及しているが、グラスアイオノマー類は、そのフッ素徐放性や高い生体安全性に注目されながらも広く普及しているとはいえない。その技術的要因は、一液で包装できる技術が確立されていないことにある。
すなわち、現在の歯科臨床では、グラスアイオノマー類やレジンセメント類は、依然として、2分割包装で供給され、粉・液タイプであれペースト・ペーストであれ、使用時に練和操作を必要とするため硬化物内の気泡を巻き込み、物理的特性が不十分などの課題を根本的に解決されるに至ってない。
歯科の保存と補綴臨床ではこれらの材料は非常に重要であり、簡便かつ十分な操作ができる一液性もしくはワン・ペーストのグラスアイオノマー類やレジンセメント類の開発が強く望まれている。
さらに、非常に活性の高い触媒類でその効果が大きく期待されながらも、あまりに触媒活性が高く寿命性に著しい問題があるため実用化されていないか、または厳密な包装で供給されているために使用操作が煩雑となっている種々の製品がある。例えば、部分酸化トリブチルボランなどは、水と接触して発火するためガラス製の特別な容器で供給されているし、芳香族スルフィン酸ナトリウム塩は酸性基を有する接着性モノマーと接触するとナトリウムが引き抜かれ、スルフィン酸ラジカルを発生して重合を開始するため2分割包装で供給されている。
しかしながら、2分割包装したからといって、充分な保存安定性が確保できていないのが現状である。
歯科の保存と補綴臨床ではこれらの材料は非常に重要であり、簡便かつ十分な操作ができ、このような製品も、臨床で簡便かつ十分な操作ができるように改善され、保存安定性が改善されることが強く望まれている。これらの重合触媒も一液で包装できる技術と製品態様が確立することにより高度な治療技術が構築されることが期待できる。
従来の技術では同一系中に共存させる事が不可能であった酸−塩基反応成分や過酸化ベンゾイル−アミン類等のレドックス重合開始剤を共存もしくは非接触状態にすることにより技術的課題を克服して、たとえ2分割包装であっても同一系中に共存させ、保存安定性のよい製品供給を可能とする材料開発が求められている。
すなわち、酸−塩基反応成分、レドックス重合開始剤および重合促進剤などの共存不可能な物質、および部分酸化トリブチルボランは芳香族スルフィン酸ナトリウム塩のようにその高い触媒活性や接触反応のため共存できなかった物質を非接触状態にして、製品寿命を安定化する技術は提案されていない。
また、最近の歯科臨床では、重合開始剤が原因して、光重合コンポジットレジンやボンディング剤がハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプなどの使用する多様な光照射器に対応できないという問題もある。
2分割包装で供給されてきた物質などがワン・パックもしくは一液で供給され、多様な光照射器に対応して光硬化する組成物が期待される。
特公昭54−10986号公報 特公昭60−26002号公報 英国特許第1,316,129号明細書 特公第2869078号公報 特開平11−228327号公報 特許第3497508号明細書 米国特許第5,883,153号明細書
ポリアルケン酸と酸反応性ガラスが反応してグラスアイオノマーを形成する酸−塩基反応の成分、過酸化ベンゾイル−アミン類等のようなレドックス重合反応の成分などの共存不可能な物質、部分酸化トリブチルボランや芳香族スルフィン酸ナトリウム塩のように高い触媒活性を有し、接触反応するため2分割包装で供給されてきた物質、または2者が接触すると劣化してしまう物質など、同一ペーストまたは同一液体中で共存させることが不可能な複数の成分は2以上に分割包装されて供給されているが、特に酸性基を有するラジカル重合性モノマーが共存すると、硬化時間や操作性、接着性などの物理的特性に経年変化があり、製品寿命に影響するという問題があった。
また、2分割包装されているので、使用に際して練和するため、操作が煩雑であったり、練和によって硬化させるため、気泡を巻き込み物理的性質や接着性を低下させるという問題があった。
そこで、本発明者らは、上記問題に鑑み、同一系中に共存させることが不可能であった複数の成分を同一系中に安定して共存しても、経年変化が防止され、また、使用の際に練和操作を本質的に必要とせず、硬化を必要とする時に所望により外的エネルギーにて反応を開始させることにより、操作性が格段に向上しさらに練和による気泡を本質的に内包しないことから優れた硬化性を発現する硬化性組成物を提供することに鋭意探求した。
すなわち、本発明は、マイクロカプセルまたはナノカプセルのごとき微小カプセルを含有する硬化性組成物を提供する。
本発明によれば、微小カプセルにより、従来では同一系中に共存させることが不可能であった複数の成分を別個にカプセル化して、組成物中で各成分を非接触状態に保つことができるので、製品寿命安定性を著しく向上させることができる。また、組成物の硬化時間を任意に調整することができるので、歯科臨床における取り扱いが非常に簡便になり、それによって、治療の質を大幅に向上させることができる。本発明の硬化性組成物は、医科・歯科用に用いることができる。
本明細書において、「マイクロカプセル」とは、粒径がマイクロサイズ、例えば、数マイクロメーターから数百マイクロメーターサイズの微小カプセルをいい、「ナノカプセル」とは、粒径がナノサイズ、例えば、数十ナノメーターから数百ナノメーターサイズのマイクロサイズ未満の微小カプセルをいう。これらマイクロカプセルおよびナノカプセルを総称して微小カプセルという。
第1の局面において、本発明は、マイクロカプセルまたはナノカプセルのごとき微小カプセルを含有する一液性硬化性組成物を提供する。
本発明の一液性硬化性組成物は、微小カプセル、微小カプセルに内包される芯物質および微小カプセルを包み込む物質からなる。ここで、微小カプセルを包み込む物質とは、硬化性組成物の基材となる物質のことをいう。
すなわち、本発明の一液性硬化性組成物において、芯物質として同一系中に共存させることが不可能であった成分が微小カプセルに内包され、基材である微小カプセルを包み込む物質中にこの微小カプセルが分散している。
また、芯物質は微小カプセルを構成する壁材物質で隔離されているため、互いに非接触状態で、反応することなく安定に基材中に存在している。したがって、壁材物質は、それに接触している芯物質にも微小カプセルを包み込む物質にも侵されない化合物であることが必要である。
本発明の一液性硬化性組成物は、微小カプセルに内包される芯物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする。
また、本発明の一液性硬化性組成物は、微小カプセルを包み込む物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする。
本発明の一液性硬化性組成物は、微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする。
本発明の一液性硬化性組成物において、好ましくは、微小カプセル壁材物質の有機化合物が有機高分子化合物であり、無機化合物が無機高分子化合物であって、有機・無機複合化合物が有機高分子化合物と酸化珪素および酸化アルミニウム等を基本骨格とする無機化合物との複合材である。
本発明の一液性硬化性組成物は、外力を与えることによって、微小カプセルが崩壊して、内包する芯物質を放出することを特徴とする。
本発明によれば、外的エネルギーにより、組成物中の微小カプセルを破壊するのみで硬化反応を開始して、組成物を硬化させることができる。
本発明による微小カプセルを含有する硬化性組成物に外力を与えて硬化させる方法は、2以上の部分に分割包装されたペーストを使用に際して分割部分を混合することにより反応させる従来の硬化方法から任意に選択して使用できる。例えば、酸−塩基反応、化学重合、デュアル硬化、光重合、付加重合、開環重合、重縮合などの硬化方法を実施の態様に応じて任意に選択して使用できる。
本発明において、微小カプセルを崩壊させる外力は、例えば、可視光等の電磁波、磁界、超音波、咬合圧等の圧力、熱、往復振動等の攪拌またはそれらの2以上の組合せを含む。
さらに、本発明の一液性硬化性組成物は、外力により微小カプセルが崩壊した後に、硬化反応が開始することを特徴とする。特に、外力により微小カプセルが破壊した後に、化学反応する化学反応工程;光照射により光硬化反応する光硬化反応工程;または化学反応工程に引き続き光照射により光硬化反応する化学光硬化反応工程のいずれかを経ることを特徴とする。本発明によれば、外的エネルギーにより微小カプセルを破壊するのみで硬化反応を開始させて組成物を硬化させる方法およびこの方法に加えて光硬化により硬化させる方法などにより、硬化させてもよい。
本発明において、光硬化させるために、可視および近紫外領域での光硬化性に優れる光重合開始剤を加えることができる。このような光開始剤として、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類もしくはその塩、α−ジケトン類、またはクマリン化合物を組み合わせて使用することができ、これらは、歯科用に一般的に用いられるハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光照射でも優れた光硬化性を示す。
第2の局面において、本発明は、マイクロカプセルまたはナノカプセルのごとき微小カプセルを含有する二分割性硬化性組成物を提供する。本明細書において、2分割包装された二分割性硬化性組成物について主に記載するが、本発明の技術は、3以上に分割包装された硬化性組成物にも適用することが可能である。
本発明の二分割性硬化性組成物は、微小カプセル、微小カプセルに内包される芯物質および微小カプセルを包み込む物質からなり、さらに、組成物に含有されるべき複数の成分が適宜2つの部分に分割されている。ここで、微小カプセルを包み込む物質とは、硬化性組成物の基材となる物質のことをいう。
すなわち、本発明の二分割性硬化性組成物において、芯物質として同一系中に共存させることが不可能であった成分や、活性が高く不安定な成分が微小カプセルに内包され、基材である微小カプセルを包み込む物質中にこの微小カプセルが分散している。
また、芯物質は微小カプセルを構成する壁材物質で隔離されているため、互いに非接触状態で、反応することなく安定に基材中に存在している。したがって、壁材物質は、それに接触している芯物質にも微小カプセルを包み込む物質にも侵されない化合物であることが必要である。ただし、一方の分割部分に含まれる微小カプセルの壁材物質が他方の分割部分に含まれる微小カプセルを包み込む物質中の成分により膨潤、溶解等する構成とすることができる。
この局面の1の具体例として、本発明は、ラジカル重合型の二分割性硬化性組成物を提供する。
本発明によるラジカル重合型の二分割性硬化性組成物は、微小カプセルに内包される芯物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする。
さらに、本発明によるラジカル重合型の二分割性硬化性組成物は、微小カプセルを包み込む物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、有機高分子化合物、酸反応性フィラーまたは酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする。
また、本発明によるラジカル重合型の二分割性硬化性組成物は、微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする。
この局面のもう一つの具体例として、本発明は、酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物を提供する。
本発明による酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物は、微小カプセルに内包される芯物質が、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の組合せであることを特徴とする。
さらに、本発明による酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物は、微小カプセルを包み込む物質が、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の組合せであることを特徴とする。
また、本発明による酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物は、微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする。
本発明による酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物は、微小カプセルに内包される芯物質または微小カプセルを包み込む物質に、さらに、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤および重合促進剤からなる群から選択される物質が配合されていることを特徴とする。
本発明の微小カプセルを含有する硬化性組成物は、微小カプセルが崩壊して、内包する芯物質を放出することを特徴とする。
本発明において、外力を与えるによって、微小カプセルを崩壊させることができる。外力は、例えば、可視光等の電磁波、磁界、超音波、咬合圧等の圧力、熱、往復振動等の攪拌またはそれらの2以上の組合せを含む。
特に、二分割性硬化性組成物の場合、二つの分割部分を混合したときに微小カプセルの壁材物質が溶解することによって、微小カプセルを崩壊させることができる。
本発明による二分割性硬化性組成物は、粉・液タイプ、粉・ペーストタイプ、ペースト・ペーストタイプ、液・液タイプ、またはペースト・液タイプであることを特徴とする。
本発明による硬化性組成物には、溶剤、カップリング剤、変性剤、増粘剤、染料、顔料、重合調製剤および重合抑制剤よりなる群から選択される化合物またはそれらの2以上の組合せを配合することができる。例えば、水、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール等の溶剤および/またはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチル化ヒドロキシトルエン等の重合抑制剤を加えてもよい。
本発明による硬化性組成物は、微小カプセルの構造がコア/シェル型(芯物質/壁材物質型)、コア/コア分散シェル型(芯物質/芯物質固溶壁材物質型)または芯物質固溶体物質型であることを特徴とする。
「コア/シェル型構造」において、コア(芯物質)は固体、液体、懸濁液状物のいずれかであり、シェルはそれらの成分を一切含有せずにコア(芯物質)との反応を生じない壁材物質である。
「コア/コア分散シェル型構造」において、コア(芯物質)は固体、液体、懸濁液状物のいずれかであり、シェル(壁材物質)はそれらの成分を含有する。コア(芯物質)成分はシェルの中心部から外殻に向かって濃度勾配をもって存在し、シェルの最外殻におけるそれらの成分の存在は無視し得、カプセルとしての機能を有する。この機能とは、コア(芯物質)の成分が微小カプセルを包み込む物質と相互作用を起こさないように隔離することをいう。特に、芯物質が有機結晶等の固体である場合は、カプセル中心部における芯物質の濃度は実質的に100%であり、外殻に移行するにしたがってその濃度が低下し、最外殻での濃度が実質的に0%となる。
「芯物質固溶体物質型構造」において、微小カプセル全体に壁材物質が存在し、その中には均一に芯物質が固溶しているが、その最外殻のみ芯物質が存在しない。コア/コア分散シェル型構造とは異なり、壁材物質中の芯物質の濃度勾配はない。
本発明による効果性組成物は、医科・歯科用に用いることができる。
本発明の一液性硬化性組成物は、練和の必要がないため、操作性が格段に向上する。さらに、練和による気泡を本質的に内包せず、優れた硬化性を発現することから、歯科分野に限らず医科分野の特に整形外科の骨セメントや代替骨等の分野で使用できる。
本発明の二分割性硬化性組成物は、相互に反応し合うため同一系中に共存させることができなかった複数の成分を別個にカプセル化して非接触状態にするので、製品寿命が著しく向上する。
本発明による一液性硬化性組成物の具体例は、特に、ワン・ペーストの歯科用セメントや一液性の歯科用接着剤である。より具体的には、本発明の組成物は、ワン・ペーストのグラスアイオノマーセメント、ワン・ペーストのレジンセメント、および一液性の歯科用ボンディング剤、ワン・ペーストの接着性コンポジットレジン、およびワン・ペーストの歯科用印象材などの態様に応用でき、歯科治療の操作性および硬化物の特性および接着性を格段に向上させることを特徴とする。
本発明による一液性硬化性組成物において、微小カプセルに内包される芯物質および微小カプセルを包み込む物質は、例えば、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする。
本発明の二分割性硬化性組成物は、粉・液タイプ、粉・ペーストタイプ、ペースト・ペーストタイプ、液・液タイプおよびペースト・液タイプの形態で使用することができる。
具体的には、義歯床用レジン、歯科即時(室温)重合レジン、マグネット装着用接着性レジン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)タイプ接着性レジンセメント(ポリマー粉末・モノマー液タイプ接着性レジンセメント)、デュアルキュアー型接着性レジンセメント、化学重合型コンポジットレジン、デュアルキュアー型コンポジットレジン、接着性コンポジットレジン、支台築造用コンポジットレジン、前装冠用コンポジットレジン、クラウン・ブリッジコンポジットレジン、コンポマー、レジンコア材料、二液性ボンディング剤、二液性フィッシャーシーラント、二液性歯列矯正用接着剤、二液性ティースコーティング剤および歯科用印象材等に応用することができ、製品寿命の安定性がよく優れた硬化性や接着性を発現することから、歯科分野に限らず医科分野の特に整形外科の骨セメントや代替骨等の分野で使用できる。
また、酸−塩基反応型の硬化性組成物は、歯科用のツー・ペーストまたは粉/液タイプの合着用、充填用、支台築造用のグラスアイオノマーセメント、レジンモディファイドグラスアイオノマーセメント、カルボキシレートセメント、歯列矯正用接着剤、フッシャーシーラント、根管充填材、裏層材などに使用できる。
本発明によるラジカル重合型の二分割性硬化性組成物において、微小カプセルに内包される芯物質および微小カプセルを包み込む物質は、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする。
本発明による酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物において、微小カプセルに内包される芯物質および微小カプセルを包み込む物質は、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の組合せであることを特徴とする。
本発明による酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物において、微小カプセルに内包される芯物質または微小カプセルを包み込む物質には、さらに、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤および重合促進剤からなる群から選択される物質が配合されていることを特徴とする。
本発明による硬化性組成物に用いることができるラジカル重合性モノマーは、歯科分野および一般工業界で使用されているラジカル重合性不飽和二重結合を有する、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどから選択される。
特に、本発明に用いることができるラジカル重合性モノマーは、分子内に酸性基を含有するラジカル重合性モノマーおよび酸性基を含有しないラジカル重合性モノマー、イオウ原子を分子内に有する重合性モノマー、Si原子を分子内に有する重合性モノマー、フルオロアルキル基を分子内に有する重合性モノマー、フッ素イオン放出能を有する重合性モノマーなどから選択される。
本発明のラジカル重合性モノマーは本発明の硬化性組成物を実施目的とする態様に応じて任意に1以上選択して加えることができる。例えば接着剤組成物では、歯科臨床における接着対象の被着体として、歯質のエナメル質および象牙質、非貴金属、貴金属、セラミックス材料や歯科用陶材などが挙げられるが、歯質のエナメル質および象牙質や非貴金属などへの接着剤に酸性基含有するラジカル重合性モノマー、貴金属接着などへの接着剤にイオウ原子を分子内に有する重合性モノマー、およびセラミックス材料や歯科用陶材などの接着剤にSi原子を分子内に有する重合性モノマーをそれぞれ適切に加えることができる。
もちろん、こら全ての被着体に接着する接着剤を設計する上で、酸性基含有するラジカル重合性モノマー、イオウ原子を分子内に有する重合性モノマー、Si原子を分子内に有する重合性モノマーを全て含む接着剤を製造すればよい。さらに、これらの官能基を含む重合性モノマーや重合開始剤や重合促進剤が共存できないか接触して棚寿命を劣化させる組み合わせでは、これらを芯物質として微小カプセル化して非接触状態で接着剤を製造して本発明を実施できる。一方、接着を特に必要としない硬化性組成物を目的とする場合は、これらの官能基を含有しないラジカル重合性モノマーを選択して使用すればよい。
本発明に用いることができる酸性基を含有するラジカル重合性モノマーとして、従来から歯科用接着性モノマーとして使用されているモノマーは全て使用することができ、特に分子内にカルボキシル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ピロリン酸基、スルホン酸基などを有するラジカル重合性モノマーから選択して使用することができる。
本発明において、酸性基を含有するラジカル重合性モノマーのなかでも分子内にカルボキシル基を含有するモノマーとして、例えば、メタクリル酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸、マレイン酸、およびこれらの酸無水物、5−(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘキサンジカルボン酸、7−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘプタンジカルボン酸、8−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−オクタンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸等が挙げられる。さらに、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩等も挙げられる。
本明細書において、例えば、メチル(メタ)アクリレートはメチルメタクリレートまたはメチルアクリレートを意味する。
本発明において、酸性基を含有するラジカル重合性モノマーのなかでも分子内にリン酸エステル基、ホスホン酸基、またはピロリン酸基を含有するモノマーとして、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピル−3−ホスホノプロピオネート、3−(メタ)アクリロキシプロピル−3−ホスホノアセテート、4−(メタ)アクリロキシブチル−3−ホスホノプロピオネート、4−(メタ)アクリロキシブチルホスホノアセテート、5−(メタ)アクリロキシペンチルホス3−ホノプロピオネート、5−(メタ)アクリロキシペンチル−3−ホスホノアセテート、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロキシデシル−3−ホスホノプロピオネート、10−(メタ)アクリロキシデシル−3−ホスホノアセテート、ビス[2−(メタ)アクリロキシエチル]ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート−9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ジ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェート、ジ[4−(メタ)アクリロイルオキシブチル]ハイドロジェンホスフェート、ジ[6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル]ハイドロジェンホスフェート、ジ[8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル]ハイドロジェンホスフェート、ジ[9−(メタ)アクリロイルオキシノニル]ハイドロジェンホスフェート、ジ[10−(メタ)アクリロイルオキシデシル]ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホン酸、ビニルホスホニックアシド、p−ビニルベンジルホスホニックアシド、特開昭62−281885号公報に記載されている2−メタクリロイルオキシエチル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピル(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、ピロリン酸ジ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、ピロリン酸ジ[4−(メタ)アクリロイルオキシブチル]、ピロリン酸ジ[6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル]、ピロリン酸ジ[8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル]、ピロリン酸ジ[10−(メタ)アクリロイルオキシデシル]等の重合性モノマーが挙げられる。さらに、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩等も挙げられる。
本発明において、酸性基を含有するラジカル重合性モノマーのなかでも分子内にスルホン酸基を含有するモノマーとして、例えば、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、6−スルホヘキシル(メタ)アクリレート、10−スルホデシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。さらには、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩等も挙げられる。
本発明に用いることができる酸性基を含有しないラジカル重合性モノマーとして、オレフィン性二重結合の数に対応して、単官能性モノマー、二官能架橋性モノマー、三官能架橋性モノマー等から選択して使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル誘導体やアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、アルキルジ(メタ)アクリレート類、エポキシジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA−アルキルジ(メタ)アクリレート類、ウレタンジ(メタ)アクリレート類、ウレタントリ(メタ)アクリレート類、ウレタンテトラ(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、Si基、Ti基を有する(メタ)アクリレート類、スチレン誘導体が挙げられる。
本発明において、酸性基を含有しないラジカル重合性モノマーのなかでも単官能性モノマーとして、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、1,2−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリエトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明において、酸性基を含有しないラジカル重合性モノマーのなかでも二官能架橋性モノマーとして、例えば、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル}プロパン;ビスフェノールA−ジグリシジル(メタ)アクリレート;Bis−GMA、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジ(メタ)アクリレート;UDMA、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9、14および23)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル]プロパン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]エタン、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,3−ジ(メタ)アクリロリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、ジ(メタ)アクリロキシイソホロンジウレタン、ジ(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4トリメチルヘキサメチレンジウレタン、グリセロールジ(メタ)アクリレート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート等が挙げられる。
本発明において、酸性基を含有しないラジカル重合性モノマーのなかでも三官能架橋性以上のモノマーとして、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス[2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール]テトラメタクリレート等が挙げられる。
特に好適なモノマー類は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル}プロパン=ビスフェノールA−ジグリシジル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジウレタン、ジ(メタ)アクリロキシイソホロンジウレタン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、γ―(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどである。
本発明による硬化性組成物に用いることができるイオウ原子を分子内に有するラジカル重合性モノマーは、例えば、メルカプト基、ジスルフィド基、ポリスルフィド基、環状ジスルフィド基、ヒドロポリスルフィド基、スルフィド基、チオケトン基、チオアルデヒド基、チオアセタール基、チオカルボン酸基、チオカルボン酸無水物基、チオカルボン酸エステル基、チオフェンカルボン酸基、チオウラシル基、トリアジンジチオン基、メルカプトチアジアゾール基、トリアジンモノチオン基、チイラン基、チオリン酸基、チオリン酸エステル基、チオピロリン酸基、チオピロリン酸エステル基、チオリン酸ハライド基を1以上有する重合性モノマー等から選択して使用することができる。なお、これらのイオウ原子含有重合性モノマーのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等も好適に使用することができる。
具体的には、チオクト酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのエステル化反応物として2−(メタ)アクリロイルオキシエチル6,8−ジチオクタネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル6,8−ジチオクタネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル6,8−ジチオクタネート、特開2003−105272号公報に記載されている化合物:
Figure 2005289961
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Figure 2005289961
Figure 2005289961
Figure 2005289961
などが挙げられる。
本発明において、分子内にSi原子を含有する重合性モノマーとして、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリエトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類が挙げられる。
本発明による硬化性組成物に用いることができるフルオロアルキル基を分子内に有するラジカル重合性モノマーとして、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基またはビニルベンジル基等の重合性基を1つ以上含有する(メタ)アクリレート化合物を使用することができ、例えば、特開2003−095838号公報に記載されている化合物2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等または2003−105272号公報に記載されている化合物:
Figure 2005289961
Figure 2005289961
などが挙げられる。
本発明による硬化性組成物に用いることができるフッ素イオン放出能を有するラジカル重合性モノマーとして、例えば、特開2003−342112号公報に記載されている環式ホスファゼン化合物などが挙げられる。具体的には、P(F)[O(CHOOC(CH)C=CH6−n(nは、1から5のいずれかの整数)の6員環化合物またはP(F)[O(CHOOC(CH)C=CH8−m(mは、1から7のいずれかの整数)の8員環化合物などが挙げられる。
これらのラジカル重合性モノマーは、単独または、適宜組み合わせて使用されるが、なかでも、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロキシデシルジハイドロジェンホスフェートなどの酸性基を有するラジカル重合性モノマー;およびスチレン、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル}プロパン;ビスフェノールA−ジグリシジル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン、グリセロールジ(メタ)クリレート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル6,8−ジチオクタネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル6,8−ジチオクタネートなどの酸性基を含有しないラジカル重合性モノマーとの組合せが好ましい。
これらのラジカル重合性モノマーの配合量は、本発明の実施の態様に対応して幅広い範囲で使用されるが、本発明の硬化性組成物の総量に対して、1重量%〜99重量%であり、好適には30重量%〜95重量%であり、特に好適には50重量%〜93重量%である。1重量%未満および99重量%越える場合は硬化性組成物の硬化性が不十分となり、また、フィラー添加効果が減少することにより、接着性または物理的性質が低下する傾向がある。
本発明による硬化性組成物に用いられる重合開始剤は、歯科分野および一般工業界で使用されている重合開始剤から選択することができる。特に、光重合および化学重合の重合開始剤あるいは水溶性重合開始剤を単独または、2種以上適宜組み合わせて使用することができる。
本発明に用いることができる光重合開始剤は、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類またはチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などを含む。
本発明において、アシルホスフィンオキサイド類として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。
本発明において、ビスアシルホスフィンオキサイド類として、例えば、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)アシルホスフィンオキサイドが挙げられる。
本発明において、水溶性アシルホスフィンオキサイド類として、例えば、アシルホスフィンオキサイド類の金属塩および第4級アンモニウム塩、スルフィン酸類の金属塩、およびチオキサントン類の第4級アンモニウム塩のごとき重合開始剤の金属塩および/または第4級アンモニウム塩が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド類の金属塩および第4級アンモニウム塩として、アシルホスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオンまたはアンモニウムイオンを有すものが挙げられる。例えば、一般式(1):
Figure 2005289961
[式中、RaはR2基または−OR2基であり、Eは酸素原子またはイオウ原子であり、Rmは−Oまたは−NRであり、Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン(2分子のアシルホスフィンオキサイドに対して1つのアルカリ土類金属イオン)、ピリジニウムイオン(芳香環が有機基で置換されていても良い)、または、HNR3R4R5(式中、R3、R4、R5は、同一または異なる有機基または水素原子)で示されるアンモニウムイオンで示されるなど医療的に受容できるカチオンであり、R1およびR2は同じか異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリール;1つまたは2以上のハロゲン、アルコキシ、ニトロ、アルキル、−CF、ニトリルまたはカルボン酸または塩、エステルまたはアミドによって置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールのそれぞれ全てであり、およびRおよびRは、同じか異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキルまたは医療的に受容できる誘導体のそれぞれ全てである。]
で表される水溶性アシルホスフィンオキサイド類を欧州特許第0009348号または特開昭57−197286号に開示されている方法により合成して、使用することができる。
このような水溶性アシルホスフィンオキサイド類として、例えば、モノメチルアセチルホスホネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソプロピル)ホスホネート・ナトリウム、モノメチルベンゾイルホスホネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソブチル)ホスホネート・ナトリウム、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)ホスホネート・ナトリウム、アセチルホスホネート・ナトリウム、モノメチルアセチルホスホネート・ナトリウム、アセチルメチルホスホネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメトキシホスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル4−オキソ−ホスホノブタノエート・モノナトリウム塩、アセチルフェニールホスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルホスフィネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシペンチルホスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルホスフィネート・ナトリウム、アセチルエチルホスフィネート・ナトリウム、メチル(1,1−ジメチル)メチルホスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジトキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジトキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)ホスホナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)ホスホナイト・ナトリウム塩、アセチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)ホスホナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルホスホナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−プロポキシエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)ホスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネートオキシム・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネートO−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイヒドラゾンエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、[1−(2,4−ジニトロフェニルイヒドラゾノ)エチル]メチルホスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、ホルミルメチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルホスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルホスフィネート、1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルホスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物:
Figure 2005289961
も挙げられる。
これら(ビス)アシルホスフィンオキサイド類および水溶性アシルホスフィンオキサイド類として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)アシルホスフィンオキサイドおよび2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
これらの(ビス)アシルホスフィンオキサイド類および水溶性アシルホスフィンオキサイド類の配合量は、本発明の実施の態様に対応して幅広い範囲で使用されるが、本発明の硬化性組成物の総量に対して、0.001重量%〜15重量%であり、好適には0.01重量%〜10重量%であり、特に好適には0.1重量%〜5重量%である。
本発明において、チオキサントン類またはチオキサントン類の第4級アンモニウム塩として、例えば、チオキサントン、2−クロルチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドなどが挙げられる。
特に好適なチオキサントン類は、2−クロルチオキサンセン−9−オンであり、チオキサントン類の第4級アンモニウム塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
本発明において、ケタール類として、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
本発明において、α−ジケトン類として、例えば、ジアセチル、ジベンジル、D,L−カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。
本発明において、クマリン化合物として、例えば、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−ヨーベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ヨーベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾールー2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾールー2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−カベトキシー7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)および3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
本発明において、アントラキノン類として、例えば、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
本発明において、ベンゾインアルキルエーテル類として、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
本発明において、α−アミノケトン類として、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明に用いることができる化学重合開始剤は、有機過酸化物、酸性重合触媒、スルフィン酸(塩)、ボレート化合物などを含む。
本発明において、有機過酸化物として、例えば、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
具体的には、ジアシルパーオキサイド類として、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシエステル類として、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類として、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシケタール類として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
ケトンパーオキサイド類として、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類として、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
本発明において、酸性重合触媒として、例えば、アスコルビン酸類および後述するバルビツール酸類等が挙げられる。
本発明において、スルフィン酸またはその塩として、例えば、p−位のトルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸リチウム、トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明において、アリールボレート化合物として、1分子中に1ないし4個のアリール基を有するボレート化合物が挙げられる。
具体的には、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物として、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と同様)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物として、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と同様)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに、1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物として、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(アルキル基は上記と同様)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の点から、1分子中に3個または4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。
これらアリールボレート化合物は1種または2種以上を混合して用いることも可能である。
好ましくは、上記の重合開始剤は、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル過硫酸カリウム、アスコルビン酸、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム塩、D,L−カンファーキノン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムおよびp−トルエンスルフィン酸ナトリウムなどである。
これらの化学重合および光重合のラジカル重合開始剤、および水溶性重合開始剤は単独で使用してもよく、2以上の化合物を組み合わせてもよい。これらの重合開始剤の配合量は、本発明の硬化性組成物のラジカル重合性モノマーの総量に対して、0.001重量%〜10重量%であり、好適には0.01重量%〜5重量%であり、特に好適には0.1重量%〜3重量%である。
本発明による硬化性組成物は、重合開始剤とともに重合促進剤を含むことができる。
本発明による硬化性組成物に用いられる重合促進剤は、従来から光重合促進剤または室温重合促進剤として使用されている化合物から選択することができる。特に、バルビツール酸誘導体、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、スズ化合物類、アルデヒド類やチオール基を有する化合物類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、ジフェニルヨードニウム塩系化合物類、IV価および/またはV価のバナジウム化合物類が好適である。
本発明において、重合促進剤として用いることができるバルビツール酸誘導体は、下記の一般式(2):
Figure 2005289961
[式中、R1、R2およびR3は、同一もしくは異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリル基またはシクロヘキシル基等の置換基を有してもよい脂肪族、芳香族、脂環式または複素環式残基もしくは水素元素を表す。]で表される化合物を含む。
具体的には、例えば、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツル酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−1−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツル酸、5−メチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、1,5−ジエチルバルビツール酸、1−エチル−5−メチルバルビツール酸、1−エチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジエチル−5−ブチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−メチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−オクチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルバルビツール酸、5−ブチル−1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸およびチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属類が好ましい)、例えば、5−ブチルバルビツル酸ナトリウム、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウムおよび1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸ナトリウム等が挙げられる。
特に好適なバルビツール酸誘導体は、5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、および1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸およびこれらバルビツール酸類のナトリウム塩である。
本発明において重合促進剤として用いることができる芳香族アミンは、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等を含む。
本発明において重合促進剤として用いることができる脂肪族アミンは、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等を含む。
特に好適なアミン類は、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルである。
本発明において重合促進剤として用いることができるスズ化合物は、ジ−n−ブチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジラウレートまたはそれらの混合物を含む。特に好適なスズ化合物は、ジ−n−オクチル錫ジラウレートおよびジ−n−ブチル錫ジラウレートである。
本発明において重合促進剤として用いることができるアルデヒド類やチオール基を有する化合物類のうちアルデヒド類は、テレフタルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド等を含む。
チオール基を有する化合物として、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
本発明において重合促進剤として用いることができるハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体は、
Figure 2005289961
で表される化合物や2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の特開平10−245525号公報に記載されている化合物を含む。
本発明において重合促進剤として用いることができるジフェニルヨードニウム塩系化合物類は、ジフェニルヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルヨードニウム等のブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート塩など特開平9−3109号公報に記載されている化合物を含む。
本発明において重合促進剤として用いることができるIV価および/またはV価のバナジウム化合物類は、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)、等のバナジウム化合物等の特開平2003−96122号公報に記載されている化合物等を含む。
本発明の硬化性組成物の重合促進剤として、例えば、過硫酸カリウムや過硫酸ナトリウム等が挙げられ、アスコルビン酸等の酸性重合触媒と併用するレドックス重合開始システムとして有用である。
これらの重合促進剤類は単独で使用してもよく、2以上の化合物を組み合わせてもよい。
特に、本発明の硬化性組成物の重合開始剤として、光重合開始剤であるクマリンと化学重合開始剤であるボレート化合物と重合促進剤であるハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体またはジフェニルヨードニウム塩系化合物類を混合した三元系重合開始剤、またはハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体またはジフェニルヨードニウム塩系化合物類、IV価および/またはV価のバナジウム化合物類の三元系重合開始剤は組み合わせることで好適に使用できる。
本発明による一液性硬化性組成物においては、これらの重合促進剤は、単独で使用してもよく、2以上の化合物を組み合わせてもよい。これらの重合促進剤の配合量は、本発明の硬化性組成物の総量に対して、0.01重量%〜15重量%であり、好適には0.1重量%〜5重量%であり、特に好適には0.5重量%〜3重量%である。
また、本発明による二分割性硬化性組成物においては、これらの重合促進剤の配合量は、本発明の硬化性組成物の総量に対して、0.001重量%〜15重量%であり、好適には0.01重量%〜5重量%であり、特に好適には0.1重量%〜3重量%である。
本発明による硬化性組成物に用いることができる電解質高分子および電解質高分子水溶液は、歯科分野および一般工業界で使用されている電解質高分子、電解質高分子水溶液から選択することができる。
本発明に用いることができる電解質高分子は、例えば、ポリアルケン酸類を含み、本発明に用いることができる電解質高分子水溶液は、例えば、ポリアルケン酸類の水溶液を含む。
ポリアルケン酸類は、酸反応性ガラスと反応してグラスアイオノマー形成し、側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミド結合による有機基およびグラフト化不飽和二重結合基等の繰り返しユニットを1以上有する不飽和化合物のホモポリマーまたはコポリマーをいう。
特に、側鎖にカルボキシル基を有する、不飽和モノ−、ジ−およびトリカルボン酸のホモポリマー類およびコポリマー類が好ましく、具体的には、アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、トリカルバリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、またはイタコン酸から誘導される繰り返しユニットを含有するポリマー類またはコポリマー類が例示される。
また、光硬化性グラスアイオノマーセメントに用いられ、従来公知の不飽和基を側鎖に有するポリアルケン酸類も好適に用いられる。さらに、カルボキシル基とアミド結合による有機基を有するポリアルケン酸類であって、歯質のカルシウムと結合しうる化合物も好適に用いられる。
本発明に用いるポリアルケン酸の分子量は、例えば、ポリアルクリル酸の場合であれば、1500〜150000、好ましくは3000〜70000、より好ましくは3000〜30000である。ポリアルケン酸の分子量が大きくなりすぎると、含フッ素ガラスとの反応時にゲル化による増粘が急速に起こり、反応が進行しにくくなるため好ましくない。
本発明による硬化性組成物に用いられるヒドロキシカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸水溶液は、歯科分野および一般工業界で使用されているヒドロキシカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸水溶液から選択することができる。
本発明に用いることができるヒドロキシカルボン酸は、例えば、酒石酸、リンゴ酸などのごとき分子内に水酸基およびカルボキシル基を含有する化合物を含み、本発明に用いることができるヒドロキシカルボン酸水溶液は、前記化合物の水溶液を含む。
本発明による硬化性組成物に用いられる酸反応性フィラーは、歯科分野および一般工業界で使用されている酸反応性フィラーから選択され、フルオロアルミノシリケートのごとき塩基性ガラス粉末が好適である。
本発明の硬化性組成物の酸反応性フィラーおよび塩基性ガラス粉末として、例えば、含フッ素ガラスが挙げられる。
ここで、ガラスとは、酸化物類の過冷却混合物であり、通常はアルミナと組み合わせてシリカを含有するガラスである。
本発明の硬化性組成物の特性であるフッ素イオン徐放性は、原料として用いるガラスの組成に大きく影響される。含フッ素ガラスとして、具体的には、従来グラスアイオノマーセメントとして使用されているものが用いられる。含フッ素ガラスの代表的な組成は以下の通りである:
SiO−Al−CaF
SiO−Al−CaF−AlPO
SiO−Al−CaF−AlPO−NaAlF
ガラスのAl/SiOのモル比は、好ましくは1:1以下である。この比により最適な性質を有するフィラーが得られる。
ガラスは、アルミナ、シリカ、フッ化アルミニウムおよびフッ化カルシウム、そして、所望により、リン酸アルミニウムおよびクリオライト(フッ化ナトリウムアルミニウム)の混合物から調製することができる。好ましい混合物は以下の組成を有する:
酸化カルシウム(CaO) 5〜40モル%
シリカ(SiO) 15〜70モル%
アルミナ(Al) 10〜50モル%
酸化ナトリウム(NaO) 0〜7モル%
五酸化リン(P) 0〜7モル%
これらのガラス中に含まれるフッ素量は、好ましくは5から60モル%である。上記組成物においては、酸化カルシウムを用いているが、いずれのアルカリ土類金属の酸化物であっても使用できる。
これらのガラスは一般にアルカリ土類金属アルミノフルオロシリケートガラスとして知られている。
アルカリ土類金属の少なくとも一部をランタン、ガドリニウムまたはイッテルビウム等のランタニド金属で置き換えてもよい。さらに、これらのガラスの一部またはすべてのアルミナをアルミニウム以外の3族の金属で置き換えてもよい。同様にして、ガラス中のシリカの一部を酸化ジルコニウムまたは酸化チタニウムで置き換えてもよい。
ガラスにストロンチウム、ランタン、ガドリウム、イッテルビウムまたはジルコニウムを含有する場合、ガラスはX線不透過性となる。10重量%以上のX線不透過材が本発明の硬化性組成物に含有されていることが好ましい。
本発明に用いる含フッ素ガラスは、いずれの従来方法によって調製してもよいが、ゾル−ゲル法、熔融法により得ることができる。特に好適に用いられる含フッ素ガラスは、構成元素を選択して任意に調製できる。
ゾル−ゲル法として、例えば、可溶性アルミニウム化合物と可溶性シリコン化合物を含有する第1溶液を、2族金属の可溶性化合物を含有する第2溶液とを反応させ、得られたゲルを熱乾燥または凍結乾燥により乾燥させて回収する方法である。この方法を使用すると、フラックス剤のような通常ガラスの製造に用いられる添加剤の使用をさけ、比較的低温度を用いることができることになる。このため、今までより透明度の高いガラスが得られる。
有機金属類または無機塩のアルコール溶液のような他の化合物をゾルの段階で添加して2価または3価のガラスを得てもよい。
酸性または塩基性触媒をこのゾル−ゲル反応混合物へ、ゲル化速度を速めるために添加してもよい。ゲル化後、残存溶媒を除くために乾燥する。ゲルはまた、400℃というような比較的低い温度で焼結しても良い。この方法により比較的低温にて均質な耐火性ガラスが得られる。
このゾル−ゲル法は特にガドリニウムを導入したガラスの製造および以下の5成分ガラス:
−CaO−Al−SiO−F
[式中、XはX線不透過性物質Xの酸化物である。]の製造に特に適している。
一般的に、このような5成分ガラスを製造するのは難しいが、ゾル−ゲル法によれば、以下の材料:CaO源として、HClに溶解したCaCO;Al源としてイソブチルアルコールとエタノール中のアルミニウム第2ブトキシド(Asb);SiO源として、テトラエチルオルソシリケート;F源として40%フッ化水素酸;Gd源として、エタノール易溶性のGd(NO;SrO源として、エタノール易溶性のSr(NO;からガラスを容易に製造することが可能となる。
AsbはAl(NO・9HOのエタノールまたはメタノール溶液と置換してもよい。さらに、酸化カルシウムを50℃でエタノールに溶解させた無水Ca(NOと置換してもよい。
これらの溶液は50℃でかきまぜながら混合する。その後、これを70℃で還流してもよい。乾燥後、得られた物質を柔らかいうちに粉砕し、その後、400から500℃の温度で乾燥させる。これを必要なサイズとなるようさらに粉砕する。
これらの酸反応性フィラーは単独で使用してもよく、2以上の化合物を組み合わせてもよい。これらのフィラーの配合量は、本発明の硬化性組成物の総量に対して、0.1重量%〜80重量%であり、好適には1重量%〜50重量%であり、特に好適には3重量%〜30重量%である。1重量%未満および80重量%越える場合は硬化性組成物の操作性が不十分となり、接着性や物理的性質が低下する傾向がある。
本発明による硬化性組成物に用いられる酸不活性フィラーは、例えば、無機フィラーおよび有機複合フィラーを含む。
本発明に用いることができる酸不活性フィラーは、シリカフィラー、超微粒子コロイダルシリカ、あるいはカオリン、クレー、雲母、マイカなどのシリカを基材とする鉱物、シリカを基材とし、Al、B、TiO、ZrO、BaO、La、SrO、CaO、P等を含有するセラミックスやガラス類、特にランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラス等から選択することができる。
さらには、結晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク、石英、アルミナ、アルミノシリケート、窒化珪素等の無機充填剤、無機充填剤と有機充填剤との複合充填剤、フルオロアルミノシリケートガラスおよび酸反応性ガラスとポリアルケン酸と水とをあらかじめ反応させてゲルを形成させ乾燥させて製造したプレリアクティドグラスアイオノマーフィラー(PRGフィラー)等、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、メチルメタクルレートとエチルメタクリレートのコポリマー、ポリスチレン、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機ポリマー粉末、熱硬化性樹脂硬化物または無機充填剤を含む熱硬化性樹脂硬化物等を粉砕した有機充填剤から選択することができる。
好ましくは、上記の酸不活性フィラーは、シリカフィラーまたは超微粒子コロイダルシリカであり、濡れ性向上等の目的で表層がシランカップリング剤で表面処理されていてもよい。
これらの酸不活性フィラーは単独で使用してもよく、2以上の化合物を組み合わせてもよい。これらのフィラーの配合量は、本発明の硬化性組成物の総量に対して、0.1重量%〜70重量%であり、好適には1重量%〜40重量%であり、特に好適には3重量%〜20重量%である。
本発明の硬化性組成物の機械的強度、操作性、塗布性、流動性の調整のため、必要に応じて、シランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め酸不活性フィラーを表面処理してから用いてもよい。
これらの表面処理剤として、公知のものが制限なく使用することができる。具体的には、上述したSi基を含有するラジカル重合性単量体のほか、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリエトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシランカップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチラネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチラネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等のチタネート系カップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソピロピレート等のアルミニウム系カップリング剤類等が挙げられる。
これらのカップリング剤は、1種類または2種以上の組み合わせで用いられる。これらのカップリング剤は、本発明の硬化性組成物を調製する際、通常そのまま配合されるが、例えば、シランカップリング剤などでは、予め酸やアルカリによって加水分解し、シラノール基に変換して配合してもよい。また、シランカップリング剤のシリル基は、調製後、経時的に加水分解されて、一部または全部がシラノール基に変換されるものであってもよい。
本発明による硬化性組成物において、微小カプセル壁材物質が有機化合物または無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする。
本発明において、微小カプセル壁材物質として用いることができる有機化合物として、有機高分子化合物が使用される。
有機高分子化合物は、特に、二分割性硬化性組成物において有用である。すなわち、二液を練和して壁材物質を溶解させて、重合開始剤や重合促進剤など芯物質を放出する場合、カプセルの壁材の厚さおよび高分子の分子量や架橋密度により壁材の溶解速度を調節して、組成物の硬化速度を制御することができる。例えば、低分子量や低架橋密度の高分子を用いれば、カプセルの溶解速度を速めることができる。
このような有機化合物として、例えば、(メタ)アクリレート類のホモポリマーおよびコポリマー類、多官能(メタ)アクリレートのポリマー類、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー類、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アラビアゴム、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル類等のポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、エポキシ樹脂類、ポリウレタン類、ポリ尿素類、メラミン樹脂、ポリアセタール類、ポリアミド類、ポリピロール、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、チオコール、ポリスルホンヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ゼラチン類等が挙げられる。
これらのポリマーとして、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリペンチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリデシル(メタ)アクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリ−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリ−4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリ−5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ポリ−6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ−10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートとエチル(メタ)アクリレートのコポリマー、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ナイロン6およびナイロン12の共重合体などが挙げられ、特にポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、およびメチル(メタ)アクリレートとエチル(メタ)アクリレートのコポリマー、ゼラチンが好適である。
本発明において、壁材物質として用いることができる無機化合物として、ゾルゲル法にて合成可能なあらゆる無機酸化物組成が好適に使用できる。
本発明において、微小カプセル壁材物質として用いることができる無機化合物は、例えば、ゾルゲル法等の縮合および置換の無機反応で合成可能な酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化カルシウムおよびそれらの複合物等であり、具体的にはポリシロキサンである。
本発明において、壁材物質として用いることができる有機・無機複合化合物として、テトラエチルシリケートを基本にオルガノシラン類と縮合し、さらにそれら官能基に修飾可能な有機化合物が使用できる。
本発明において、微小カプセル壁材物質として用いることができる有機・無機複合化合物は、例えば、反応性高分子と金属との架橋塩、無機酸化物に有機化合物を修飾した化合物、例えば、有機高分子化合物と酸化珪素および酸化アルミニウム等を基本骨格とする無機化合物との複合物質である。
本発明による硬化性組成物には、溶剤、カップリング剤、変性剤、増粘剤、染料、顔料、重合調整剤、重合抑制剤などを適宜配合することができる。
溶剤として、例えば、水;エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ヘプタン、ヘキサン、オクタン、トルエン等の炭化水素類;およびクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類等が好適に使用される。なかでも、水、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール等が好適に使用される。
これらの溶剤は単独で使用してもよく、2以上を組み合わせてもよい。これらの溶剤の配合量は、本発明の硬化性組成物の総量に対して、1重量%〜90重量%であり、好適には10重量%〜60重量%であり、特に好適には30重量%〜50重量%である。
カップリング剤として、公知のものが制限なく使用することができる。具体的には、酸不活性フィラーの表面処理剤として上記したものが使用できる。
重合抑制剤として、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチル化ヒドロキシトルエン等が挙げられ、当該組成物の棚寿命の安定化に適している。
本発明による硬化性組成物において、微小カプセルを製造する方法は、通常一般工業界で実施されている種々の製造法から選択することができ、化学的、物理化学的および物理的方法があり、それらを適宜組み合わせてもよい。
本発明において、微小カプセルを製造する化学的方法には、界面重合マイクロカプセル化法、イン・シチュ(in situ)重合マイクロカプセル化法および液中硬化被膜マイクロカプセル化法などがある。前者の2法は高分子合成反応を利用したカプセル合成法であり、他の1法は性質変化を利用する合成方法と考えられる。
界面重合法とは疎水性モノマーと親水性モノマーとの組み合わせで、その界面での重縮合反応を利用してカプセル合成を行なう手法である。
具体的には、水と非混和性の有機溶媒中に疎水性モノマーを含有させ、これを水相に乳化させて安定なエマルションを調製する。このエマルションに親水性モノマーを添加攪拌することで水・油界面で重合反応が起こり高分子被膜が生成しカプセル化が行われる。この場合、疎水性成分は生成した膜内に包接されることになる。
一方、含水カプセルの場合には水相と油相を逆にすることで調製することができる。すなわち、親水性モノマーを含有した水溶液を油相中に乳化させて安定なエマルションを調製する、このエマルションに疎水性モノマーを添加攪拌することで油・水界面で重合反応が起こり、高分子被膜が生成しカプセル化が行われる。この場合、親水性成分は生成した膜内に包接されることになる。
界面重合法に用いることができるモノマーとして、親水性モノマーは、ポリアミン類、グリコール類および多価フェノール類を含み、疎水性モノマーは、多塩基酸クロライド類、ビスハロホルメート類およびイソシアネート類を含む。
それらの組み合わせで生成するポリマー類はポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレアおよびポリウレタンであり、これらのポリマー被膜は本発明による微小カプセルに好適に使用できる。
なお、いずれの乳化においても、適合な界面活性剤や分散安定剤、分散安定助剤等の存在下にて乳化するほうがエマルジョン安定化には有利である。
イン・シチュ重合法においては、前述の重縮合反応を主とした界面重合法と異なり、少なくとも1種類のモノマーを使用すればよい。すなわち、親水性または疎水性モノマーのいずれかの使用でカプセル化が可能であり、そのモノマーの組み合わせは無限に等しい。
本発明において、イン・シチュ重合用ラジカル重合性モノマーで本発明で前述したラジカル重合性モノマー以外のものや重縮合反応および開環重合に用いられるモノマーは、ビニルモノマーの例として、p−クロロスチレン、ビニルナフタレンや、エチレン、プロピレン、ブチレン、およびイソブチレン等の不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、およびブチル酸ビニル等のハロゲン化ビニル類、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルα−クロロアクリレート、およびブチルメタクリレート等を含むモノカルボン酸のエステル等のビニルエステル類や、アクリロニトリル、メタクリロニトリルや、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、およびビニルエチルエーテルを含むビニルエーテル類や、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、およびメチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、3,4−エチレンジオキシピロール、N−ビニルインドールおよびN−ビニルピロリデン、ホルムアルデヒドおよびアミン、例えば、尿素、メラミン、ジメチロール尿素等またはその予備縮合物、または縮合生成物は、所望ならば、多価フェノール、例えばレゾルシノールの共縮合によって改変することができる。また、ε-カプロラクタムなどのラクタム類等を挙げることができる。
本発明のカプセル壁に使用できるイン・シチュ重合用ラジカル重合性モノマーは、カプセルに内包される芯物質やカプセルを包み込む物質として上記したラジカル重合性モノマーは全て使用できる。
なかでも、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロキシデシルジハイドロジェンホスフェートなどの酸性基を有するラジカル重合性モノマー、およびスチレン、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル}プロパン;ビスフェノールA−ジグリシジル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン、グリセロールジ(メタ)クリレート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル6,8−ジチオクタネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル6,8−ジチオクタネートなどの酸性基を含有しないラジカル重合性モノマーなどが好適である。
これらのラジカル重合性モノマーは芯物質や使用環境を考慮して適宜単独で使用してもよく、2以上の化合物を組み合わせてもよい。また複合エマルション安定化等の目的で、これらモノマーに可溶な高分子を含有させても好適に使用できる。
ここで一例として、イン・シチュ重合法によるカプセル合成を示す。
ポリメタクリル酸メチル10wt%、過酸化ベンゾイル1wt%を含むメチルメタクリレートにポリアクリル酸水溶液等量をノニオン系界面活性剤存在下で乳化する。得られた1次エマルションを保護コロイド剤を含む10倍容のイオン交換水に2次分散し、攪拌しながら70℃に昇温させイン・シチュ重合を行なう。得られたカプセルは十分に洗浄を行なった後にオーブン乾燥を行ない、ポリメタクリル酸メチルを壁材物質としたポリアクリル酸水溶液のカプセルを得る。
液中硬化被膜法においては、カプセル壁材物質として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、グリセロール、アルブミン、コラーゲン、エポキシ樹脂類、アルギン酸およびその塩類などの多糖類高分子およびワックス類が好適に使用できる。すなわち変性等により各溶媒に不溶化を生じさせる様な壁材物質と硬化剤であれば本発明のカプセル壁に好適に使用できる。
本発明において、微小カプセルを製造する物理化学的方法には、コアセルベーション法によるマイクロカプセル化法、界面沈澱(液中乾燥)マイクロカプセル化法などがある。
コアセルベーション法には、水溶液系からの相分離を利用した方法と有機溶液系からの相分離を利用した方法の二種類がある。
さらに、水溶液系からの相分離を利用した方法には、単純コアセルベーション法、複合コアセルベーション法およびpHコントロール法に分類される。また、有機溶液系からの相分離を利用した方法には、良溶媒と貧溶媒とを組み合わせて相分離を起こさせる方法、相分離誘起用液体高分子にて相分離を起こさせる方法や温度により高分子等の溶解度変化を利用して相分離を起こさせる方法などがあり、その何れの手法も好適に使用することができる。
一例として、トリエチレンジメタクリレート(TEGDMA)のゼラチンを用いたpHコントロール法によるカプセル化例を示す。
界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウムを含む5wt%のゼラチン水溶液にTEGDMAを高圧ホモジナイザーにて乳化し油/水(O/W)エマルションを40℃にて調製する。次に同温度の5wt%アラビアゴム水溶液を加え均一に混合する。十分に攪拌を行ないながら、2.5wt%酢酸水溶液にて系のpHをこのゼラチンの等電点以下に調整することによりコアセルベーションが誘起される。
TEGDMA表層に析出したコアセルベート被膜は冷却により不動体となる。さらにホルマリン水溶液を極微量添加した後に、系のpHを2.5wt%炭酸ナトリウム水溶液で8.5に上げるとゼラチンは水に不溶となり硬化する。これを単離し乾燥を施すことでTEGDMAのゼラチンカプセルが生成する。
液中乾燥法では、親水性物質に限らず疎水性物質も同様にカプセル化できる。また芯物質は液体のみならず、結晶などの固体物質も同様にカプセル化することができる。
液中乾燥法を用いて、芯物質として液体、例えば、ポリアクリル酸水溶液をポリマーでマイクロカプセル化する場合、攪拌装置つき反応容器を用意して、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートのコポリマーを低沸点溶剤に溶解したポリマー液にポリアクリル酸水溶液を界面活性剤存在下で乳化させた水/油(W/O)のエマルションを大量の界面活性剤を含む蒸留水中に添加し、再度乳化させて、(水/油)/油[(W/O)/W]エマルションを得る。このエマルションを攪拌しながら、緩やかに加温減圧することによって低沸点溶剤を蒸散させ、ポリアクリル酸水溶液を内包した微粒子カプセルを得る。
これらの得られたカプセルを繰り返しろ過・水洗した後、常圧または微減圧乾燥することにより、内包物質としてポリアクリル酸水溶液をコポリマーでカプセル化した微粒子が得られる。
また、液中乾燥法を用いて、芯物質として固体、例えば、過酸化ベンゾイルを液中乾燥法にてカプセル化する場合、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートのコポリマーを低沸点溶剤に溶解したポリマー液に過酸化ベンゾイルの微粉末を懸濁させた固体/油(S/O)エマルションを大量の界面活性剤を含有する蒸留水中に添加分散して、(固体/油)/油[(S/O)/W]エマルションを得る。この複合エマルションを攪拌しながら、緩やかに加温減圧することによって低沸点溶剤を蒸散させ、過酸化ベンゾイルを内包した微粒子カプセルを得る。
これら得られたカプセルを繰り返しろ過・水洗した後、減圧乾燥することにより、内包物質として過酸化ベンゾイルをコポリマーでカプセル化した微粒子が得られる。
同様にアスコルビン酸などの活性物質のカプセル化も可能である。なお、芯物質が水溶性であり、二次連続相が水系である場合には塩類の二次連続相への添加で浸透圧を調整することがより好ましい。
さらに、液中乾燥法を用いて、フルオロアルミノシリケート等の酸反応性フィラーを親水性ポリマーでマイクロカプセル化するすることも可能である。
すなわち、一次分散としてポリビニルアルコール水溶液にフルオロアルミノシリケート粉末を懸濁分散させた後、この一次分散液を界面活性剤を含むトルエン中に二次分散させる。その後、脱水剤として多量の無水エタノールを添加しポリビニルアルコールをトルエン中に析出させる。これにより親水性高分子としてポリビニルアルコールにてカプセル化されたフルオロアルミノシリケート粉末を得ることができる。
同様に、液中乾燥法を用いて、フルオロアルミノシリケート等の酸反応性フィラーを疎水性ポリマーでマイクロカプセル化するすることも可能である。
すなわち、一次分散としてポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液にフルオロアルミノシリケート粉末を懸濁分散させた後、この一次分散液を界面活性剤を含むイオン交換水中に二次分散させる。その後、この複合エマルションを攪拌しながら加温減圧し酢酸エチルを除去乾燥する。これにより疎水性高分子としてポリメチルメタクリレートにてカプセル化されたフルオロアルミノシリケート粉末を得ることができる。
本発明において、微小カプセルを製造する物理的(機械的)方法には、スプレードライイングマイクロカプセル化法、気中懸濁被膜マイクロカプセル化法、真空蒸着被膜マイクロカプセル化法、静電的合体マイクロカプセル化法、溶解分散冷却マイクロカプセル化法および無機質壁マイクロカプセル化法などがある。
スプレードライイング法は、一般的に造粒法として工業界で使用されているが、カプセル化法としても有効な手法である。この方法により調製可能な母液は水溶性エマルションを含む水溶液、油溶性エマルションを含む有機溶液およびカプセルスラリーを含む懸濁液などである。前述した界面重合法、イン・シチュ重合法、液中乾燥法などで調製した懸濁液の最終カプセル固定化にも有効な手法である。
例えば、20wt%になるように、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を10wt%ポリビニルアルコール水溶液に添加し、回転式ホモジナイザーで乳化した溶液を作製し、この溶液をスプレードライヤーにて入口乾燥温度150℃、供給速度60mL/分、ブロアー風量0.5m/分、噴霧圧100kPaで乾燥することによって、ポリビニルアルコールにてカプセル化されたEGDMAを得ることができる。
上述した化学的方法や物理化学的方法で[(W/O)/W]、[(O/W)/O]、[(S/O)/W]および[(S/W)/O]などのエマルション状態を経てカプセルを合成する場合、カプセルのサイズは、乳化または二次分散時に与えるエネルギーを調節することによって、所望する最終粒径に任意に調整できる。
すなわち、比較的大きなサイズの場合、ケミカルミキサーや単なるタービンのような低エネルギー装置の旋回流にて複合エマルションを調製することにより数マイクロメーターから数百マイクロメーターサイズのマイクロカプセルが得られる。
一方、超音波発生装置や超高圧ホモジナイザー等を使用した場合には、数十ナノメーターから数百ナノメーターサイズのナノカプセルを調製できる。
ローターとステーターからなる回転式ホモジナイザーを用いれば、これらの中間的サイズのカプセルを調製することができる。
さらにこれらのサイズは界面活性剤の種類や濃度によっても調整が可能である。
本発明の一液性硬化性組成物として、例えば、W/Oエマルジョン法で製造したフルオロアルミノシリケートガラス微粉末内包−PVAマイクロカプセル、ポリアクリル酸水溶液−PVAマイクロカプセル、ラジカル重合性モノマー、光重合の開始剤と促進剤、シラン処理シリカフィラー、超微粒子フィラーおよび重合防止剤を混合して、ワン・ペーストの光重合性レジンモディファイグラスアイオノマーセメントを製造し、このセメントをプラスチックミニシリンジに充填する。
このセメントを歯科診療室で用いる際、まず、常法により歯のう蝕部を除去して窩洞形成と窩洞清掃をする。次いで、前記セメントが充填されたミニシリンジを超音波ボックスに入れて超音波によりカプセルを破壊することによってグラスアイオノマー反応を開始させ、ワン・ペーストのセメントをプランジャーで押し出して窩洞充填する。その後、充填物の表面を付形して歯面に調整して、光重合した後、常法により仕上げ研磨して充填治療を完了する。
本発明の二分割性硬化性組成物をツー・ペーストの光重合性(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメントの態様で実施する場合も、2つの分割部分を混合する工程がある以外は、上記同様に、歯科治療に使用することができる。
本発明の一液性硬化性組成物は、歯科分野で実施する態様として、ワン・ペーストのグラスアイオノマーセメント、ワン・ペーストのレンジンモディファイグラスアイオノマーセメント、ワン・ペーストの接着性レジンセメント、ワン・ペーストのデュアルキュアー型接着性レジンセメント、ワン・ペーストの化学重合型コンポジットレジン、ワン・ペーストのデュアルキュアー型コンポジットレジン、ワン・ペーストの接着性コンポジットレジン、ワン・ペーストのクラウン・ブリッジ前装冠用コンポジットレジン、ワン・ペーストのコンポマー、ワン・ペーストのレジンコア材料、1液の歯科用ボンディング剤、フィッシャーシーラント、歯列矯正用接着剤、ティースコーティング剤、等に使用できる。
本発明によれば、硬化性組成物に外力を加えて、微小カプセル壁材物質を破壊することによって内包物質を保護下から開放し、硬化性組成物を構成する物質と混合して硬化に至らしめ発明の実施の態様に応じて初期の目的を達成する。
外力は、カプセル壁材物質破壊に必要で医療的に安全なエネルギーを発現する外力であれば特に制限はないが、可視光線、近紫外線、紫外線、エックス線等の電磁波、磁界、超音波、咬合圧等の圧力、熱、往復振動等の攪拌などの外力から選択して加えることができる。
また、上記外力から複数選択して加えることができる。例えば、硬化性組成物に超音波をかけた後、可視光線照射してカプセル壁材物質を破壊することができる。
具体的には、芯物質として、酸−塩基反応する一組の成分、レドックス反応する一組の成分、または接触してラジカルを発生する一組の成分の一方または双方を予め別個にカプセル化して作製した微小カプセル、ラジカル重合性モノマー、光重合開始剤類、フィラー、超微粒子フィラーおよび重合防止剤を混合して調製したペーストをプラスチックミニシリンジに充填して、ワン・ペーストの光重合レジンモディファイドグラスアイオノマーセメントや光重合レジンセメントまたは一液の光重合ボンディング剤などの硬化性組成物を調製しておき、使用に先立って超音波で組成物内の微小カプセルの外壁材物質を破壊して反応が進行している間に治療箇所に処置した後に光照射をして光重合することにより、本発明の一液性硬化性組成物の実施を完了できる。
本発明の硬化性組成物は、外力以外の方法で微小カプセルを崩壊して、芯物質を放出させることができる。
具体的には、芯物質として、酸−塩基反応する一組の成分、レドックス反応する一組の成分、または接触してラジカルを発生する一組の成分の一方または双方を有機高分子化合物で予め別個にカプセル化して微小カプセル作製し、有機ポリマー、酸基を含有するラジカル重合性モノマー、酸基を含有しないラジカル重合性モノマー、重合開始剤類、および重合防止剤を混合して、ポリマー粉・モノマー液タイプのレジンセメントの硬化性組成物を調製しておき、混合により該カプセルが膨潤・溶解して壁材物質が破壊することにより、反応を開始させる方法がある。
さらに、例えば、超音波などの外力を負荷して組成物内の同様な芯物質を含むカプセルの壁材物質を破壊して硬化反応を開始したり、あるいは反応が進行している間に治療箇所に処置した後に光照射をして光重合することにより、本発明の硬化性組成物の実施を完了できる。
次に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[化学的方法による微小カプセル合成]
実施例1:ポリアクリル酸水溶液のマイクロカプセルの合成
芯物質としてグラスアイオノマーセメントCX−Plus液材(株式会社松風製)、有機相添加界面活性剤として縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン(Sunsoft 818SX:太陽化学株式会社製)、有機溶媒としてトルエン、モノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO:ナカライテスク株式会社製凍結乾燥品)、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤としてゼラチン(ナカライテスク株式会社製)を用いた。
まず、縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリンを0.60g含有するトルエン50mLに、BPOを2重量%(wt%)含有するMMA10gを溶解させた。その有機相に芯物質内水相であるCX−Plus液材25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて5000rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調製した。
次に、60℃加温下で、3wt%となるように、ゼラチンをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調製した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。この複合エマルションを回転維持したままで内温を80℃に上昇させ6時間加熱を続けた。
その後、反応系内を微減圧に保ち、約2時間の脱溶媒を行なった。反応終了後、減圧濾過にて合成したマイクロカプセルを分別した。その後、十分なイオン交換水による洗浄を行ない、40℃にて熱風乾燥することによって淡黄色のポリアクリル酸水溶液内包マイクロカプセルを得た。収率は89%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約200μmであった。SEM観察の結果から、比較的単核型の構造体を形成していることが分かった。
実施例2〜9:ポリアクリル酸水溶液のマイクロカプセルの製造
試薬類は実施例1と同一であるが、濃度および攪拌等の条件を表1のごとく変化させて実施した。ただし、有機溶媒としてトルエン量は50mLに固定した。
SEM観察の結果から、組成によっては、多核型の構造体も含まれることが分かった。
ここで、「単核型の構造」とは、カプセル中に一つの空洞が存在し、その単一の空洞内部に芯物質が内包されている構造を意味し、「多核型の構造」とは、カプセル中に複数の空洞が存在し、その複数の空洞内部の各々に芯物質が内包されている構造を意味する。
得られたマイクロカプセルの特性を表2に示した。
Figure 2005289961
Figure 2005289961
実施例10:酒石酸水溶液のマイクロカプセルの合成
芯物質として各濃度に調整した酒石酸水溶液、有機相添加界面活性剤としてノイゲンET−83(第一工業製薬株式会社製)、モノマーとしてトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA:新中村化学株式会社製)、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤として重合度3500、ケン化度86.0〜90.0mol%のポリビニルアルコール(PVA:和光純薬株式会社製)を用いた。
まず、1.50gのET−83をTEGDMA50mLに溶解させた。その有機相に芯物質内水相である10wt%の酒石酸水溶液25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて5000rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調整した。
次に、70℃加温下で、5wt%となるように、PVAをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調整した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。この複合エマルションを回転維持したままで内温を80℃に上昇させ6時間加熱を続けた。重合反応終了後、減圧濾過にて合成したマイクロカプセルを分別した。その後十分なイオン交換水による洗浄を行ない、40℃の熱風乾燥にて白色の酒石酸水溶液内包マイクロカプセルを得た。収率は92%であった。また粒度解析の結果、平均粒径は約100μmであった。SEM観察の結果から、比較的単核型の構造体を形成していることが分かった。
実施例11〜18:酒石酸水溶液のマイクロカプセルの合成
試薬類は実施例10と同一であるが、濃度および攪拌等の条件を表3のごとく変化させて実施した。
得られたマイクロカプセルの特性を表4に示した。
Figure 2005289961
Figure 2005289961
実施例19〜27:ヒドロキシカルボン酸およびポリアクリル酸水溶液のマイクロカプセルの合成
基本操作は実施例10と同一であるが、モノマー種類/濃度、ヒドロキシカルボン酸種類/濃度等の諸条件を表5のごとく変化させて実施した。界面活性剤(ET-83)は1.50gに固定し、ヒドロキシカルボン酸はCX−Plus液に溶解して用いた。また、外相水は、重合度3500、ケン化度86.0〜90.0mol%のポリビニルアルコール(PVA:和光純薬株式会社製)5wt%−300mLに固定した。1次分散攪拌速度および2次分散攪拌速度は実施例10と同様とした。
得られたマイクロカプセルの特性を表6に示した。
Figure 2005289961
Figure 2005289961
実施例28:無機材料製壁カプセルの合成
芯物質としてイオン交換水、有機相添加界面活性剤としてノイゲンET−83(第一工業製薬株式会社製)、モノマーとしてオルソテトラエチルシリケート(TEOS:ナカライテスク株式会社製)、重合開始剤として0.1M塩化水素水溶液(HCl)、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤として重合度3500、ケン化度86.0〜90.0mol%のポリビニルアルコール(PVA)を用いた。
まず、1.50gのET−83をTEOS50mLに溶解させた。その有機相に芯物質内水相であるイオン交換水25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて5000rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調製した。
次に、70℃加温下で、5wt%となるように、PVAをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調製した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。その後、30mLのHClを添加し、この複合エマルションを回転維持したままで内温を80℃に上昇させ6時間加熱を続けた。
重合反応終了後、減圧濾過にて合成したカプセル容器を分別した。その後、イオン交換水による洗浄を行ない、洗浄水のpHが中性になった時点で洗浄終了した。
その後、凍結乾燥機にて5日間乾燥を行ない、比較的嵩高い白色のカプセル容器を得た。その後150℃にて5時間の熱処理を行なった。収率は95%であった。また粒度解析の結果、平均粒径は約200μmであった。またSEM観察の結果、断面は単核型の空隙構造体を形成していた。
実施例29
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)飽和水50mLに分散させ振とう機にて23℃で一週間振とうした。その後、このTMBA飽和水を包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のイオン交換水で洗浄後、1wt%エチルセルロース/ジクロロメタン50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレードライヤーにて入口乾燥温度80℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がエチルセルロース、内殻が酸化珪素、芯物質が1,3,5−トリメチルバルビツーツ酸飽和水であるマイクロカプセルを得た。
実施例30〜34
実施例29のTMBA飽和水の代わりに、表7に記載した化合物の飽和水を用いてマイクロカプセルを合成した。
Figure 2005289961
実施例35
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを0.05Torrの高真空状態に置き、電磁誘導攪拌機にて攪拌しながら取り、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)50mLを注入した。その後、このTEGDMAを包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のエタノールで洗浄後、1wt%PVA水溶液50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレードライヤーにて入口乾燥温度100℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がポリビニルアルコール、内殻が酸化珪素、被芯物質がTEGDMAであるマイクロカプセルを得た。
実施例36〜40
実施例35のTEGDMAの代わりに、表8に記載した化合物類を用いてマイクロカプセルを合成した。
Figure 2005289961
実施例41:液中乾燥法によるポリアクリル酸水溶液のマイクロカプセルの合成
芯物質としてグラスアイオノマーセメントCX−Plus液材(株式会社松風製)、有機相添加界面活性剤として縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン(Sunsoft 818SX:太陽化学株式会社製)、壁材高分子としてポリメチルメタクリレート(PMMA:三菱レーヨン製)、有機溶媒として酢酸エチル、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤としてゼラチン(ナカライテスク株式会社製)を用いた。
まず、縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン0.60gを含有する酢酸エチル50mLにPMMA10gを溶解させた。その有機相に芯物質内水相であるCX−Plus液材25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて5000rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調製した。
次に、60℃加温下で、3wt%となるように、ゼラチンをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調製した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。この複合エマルションを回転維持したままで内温を維持したまま微減圧下6時間減圧加熱攪拌を続けた。
脱溶媒終了後、減圧濾過にて合成したマイクロカプセルを分別した。その後、十分なイオン交換水による洗浄を行ない、40℃にて熱風乾燥することによって、淡黄色のポリアクリル酸水溶液内包マイクロカプセルを得た。収率は95%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約150μmであった。SEM観察から、比較的多核型の構造体を形成していることが分かった。
実施例42:液中乾燥法による無機粉末分散型モノマーのマイクロカプセルの合成
芯物質としてグラスアイオノマーセメントCX−Plus粉材(株式会社松風製)を50wt%分散したBis−GMA/TEGDMA(60/40、wt%)混合モノマー懸濁液、壁材高分子としてポリビニルアルコール(PVA)、外相油相としてヒマシ油、希釈凝集材として無水エタノール、PVA硬化剤としてホルマリン、および6M塩化水素水溶液を用いた。
まず、10wt%PVA水溶液50mLに芯物質相であるCX−Plus粉材を50wt%分散したBis−GMA/TEGDMA(60/40、wt%)混合モノマー懸濁液25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて750rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調整した。次にヒマシ油300mLにスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を10℃冷却下にて添加し[(O/W)/O]型複合エマルションを得た。
次に、無水エタノールを300mL加え、壁材物質前駆体であるPVA水溶液相を部分脱水した後に、6M塩化水素水溶液5mLとホルマリン15mLを加え90℃にて20分加熱硬化させた。その後、減圧濾過し多量のイオン交換水で洗浄し40℃のオーブンで乾燥させ、マイクロカプセルを得た。収率は85%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約250μmであった。カプセルの色調は若干くすんだベージュ色を呈していた。
実施例43:界面重合法によるマイクロカプセルの合成(1)
イオン交換水50gに1,6−ヘキサンジアミン(アルドリッチ社製)0.35g、炭酸ナトリウム0.36gおよびTW−20(第一工業製薬社製)0.5gを溶解させ水相を調製した。この調製した水相にトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA:新中村化学社製)25gをヒスコトロンホモジナイザーにて700rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、油/水(O/W)の1次分散相を調製した。
次に、ソルゲン30(第一工業製薬社製)を1wt%含むクロロホルム/シクロヘキサン(=1/4)の混合有機溶媒300mLにスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を5℃冷却下にて添加し[(O/W)/O]型複合エマルションを得た。攪拌を持続させながら、アジピン酸クロライド(アルドリッチ社製)0.55gを溶解したクロロホルム/シクロヘキサン(=1/4)の混合有機溶媒50mLを添加した。約1時間攪拌を継続した後に濾過によりマイクロカプセルを分離し、シクロヘキサンにて洗浄した。得られたTEGDMAを包接したマイクロカプセルを得た。収率は97%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約710μmであった。カプセルの色調は若干白色で透明性が高かった。
実施例44〜48
実施例43のTEGDMAの代わりに、表9に記載した化合物類を用いてマイクロカプセルを合成した。
Figure 2005289961
実施例49:界面重合法によるマイクロカプセルの合成(2)
イオン交換水150gにポリビニルアルコール(和光純薬#500)1.00gを溶解させ連続相を調製した。この調製した連続相にヘキサメチレンジイソシアナート(東京化成工業製)3.0gとエチレングリコールジメタクリレート(EGDNA)10mLの均一溶液をヒストコロンホモジナイザーにて1000rpmで23℃にて10分間攪拌し、油/水(O/W)のエマルションを調製した。
このエマルションを60℃にて加温しながらスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で攪拌し、水溶性モノマーとしてヘキサメチレンテトラミン(関東化学製)1.00gを溶解したイオン交換水20.0gを滴下ロートにて1時間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌加温を維持しながら、10時間反応を行った。
反応終了後、減圧濾過によってマイクロカプセルを分離し、イオン交換水およびn−ヘキサンにて洗浄した。得られたEGDMAを包接したマイクロカプセルを得た。収率は97%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約75μmであった。カプセルの色調は淡黄色で透明性が高かった。
実施例50〜54
実施例49のEGDMAの代わりに、表10に記載した化合物を用いてマイクロカプセルを合成した。
Figure 2005289961
実施例55:界面重合法によるマイクロカプセルの合成(3)
イオン交換水150gにポリビニルアルコール(和光純薬#500)1.00gを溶解させ連続相を調製した。この調製した連続相にヘキサメチレンジイソシアナート(東京化成工業製)3.0gとエチレングリコールジメタクリレート(EGDNA)10mLの均一溶液をヒストコロンホモジナイザーにて1000rpmで23℃にて10分間攪拌し、油/水(O/W)のエマルションを調製した。
このエマルションを60℃にて加温しながらスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で攪拌し、水溶性モノマーとしてカルボジヒドラジド(東京化成工業製)1.00gを溶解したイオン交換水20.0gを滴下ロートにて1時間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌加温を維持しながら、10時間反応を行った。
反応終了後、減圧濾過によってマイクロカプセルを分離し、イオン交換水およびn−ヘキサンにて洗浄した。得られたEGDMAを包接したマイクロカプセルを得た。収率は97%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約75μmであった。カプセルの色調は淡黄色で透明性が高かった。
実施例56〜60
実施例55のカルボジヒドラジドの代わりに表11に記載した水溶性モノマー類を用いてマイクロカプセルを合成した。なお、添加量は1.00gに固定した。
Figure 2005289961
実施例61:ワン・ペーストグラスアイオノマーの調製
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器に1wt%のポリビニルアルコール10g、実施例1にて合成したマイクロカプセルを5gおよびグラスアイオノマーセメントCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3分後にゲル化が生じ、9分後に完全硬化した。
実施例62〜69:ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントの調製
基本的調合組成および操作は実施例61と同じであるが、添加するマイクロカプセルとして実施例2から実施例9の各種CX−Plus液材封入カプセルを5g用いて、ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なった。さらに、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた場合のゲル化および硬化時間を測定した。それらの試験結果を表12に示す。
Figure 2005289961
実施例70:ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントの調製
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器に1wt%のポリビニルアルコール10g、実施例1にて合成したマイクロカプセルを5g、実施例10にて合成したマイクロカプセルを1gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、8分後に完全硬化した。
実施例71〜78:ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントの調製
基本的調合組成および操作は実施例70と同じであるが、添加するマイクロカプセルは実施例2から実施例9の各種CX−Plus液材封入カプセルおよび実施例11から実施例18の酒石酸封入カプセルを同様に添加しワン・ペーストグラスアイオノマーセメントの調製を行なった。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なった。さらに、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた場合のゲル化および硬化時間を測定した。これらの結果を表13に示す。
Figure 2005289961
比較例1
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器に1wt%のポリビニルアルコール10g、グラスアイオノマーCX−Plus液材(株式会社松風製)を5gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合した。混合中に、酸−塩基反応開始によるゲル化を生じた。
この結果から、実施例1に記載したような微小カプセルを用いずにワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製することは不可能であることが分かった。
実施例79:ワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントの調製
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを10g、実施例19にて合成したポリアクリル酸類を内包したマイクロカプセルを7g、実施例33にて合成した触媒(過硫酸カリウム飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5g、実施例34にて合成した触媒(アスコルビン酸飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、9分後に完全硬化した。
実施例80〜87:ワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントの調製
基本的調合組成および操作は実施例79と同じであるが、添加するマイクロカプセルは実施例20から実施例27のグラスアイオノマーCX−Plus液材およびヒドロキシカルボン酸封入カプセルを添加しワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なった。さらに、このワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた場合のゲル化および硬化時間を測定した。表14に結果を示す。
Figure 2005289961
比較例2
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを10g、酒石酸1.0g/CX−Plus液材25mLの混合液を7g、過硫酸カリウム飽和水溶液を0.5g、アスコルビン酸飽和水溶液を0.5gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合した。混合中に、酸−塩基反応開始およびレドックス重合反応開始によるゲル化を生じた。
この結果から、実施例19、33および34に記載したような微小カプセルを用いずにワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製することは不可能であることが分かった。
実施例88:ワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントの調製および硬化時間
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器にグラスアイオノマーCX−Plus液材(株式会社松風製)を10g、実施例42にて合成したグラスアイオノマーCX−Plus粉材およびモノマー類を内包したマイクロカプセルを10g、実施例33にて合成した触媒(過硫酸カリウム飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5g、実施例34にて合成した触媒(アスコルビン酸飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から4.0分後にゲル化が生じ、10分後に完全硬化した。
[ワン・ペースト(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメントの歯質−金属接着強さおよび圧縮強さ]
本発明の一液性硬化性組成物の実施例62〜78のワン・ペーストグラスアイオノマーセメントおよび実施例79〜88のワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを使用して、歯質と金属の接着強さおよび圧縮強さを測定した。
[剪断接着試験]
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用いその歯根部を削除して歯髄除去後、エポキシ樹脂包埋して用いた。同牛歯の唇面エナメル質および象牙質を耐水研磨紙80番で注水下研磨後、続いて600番で注水下研磨し、研磨した歯面を油分のない圧搾エアーで乾燥した。さらに、ステンレス棒(直径5mm、長さ12mm)の接着面を酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理を行った。
続いて、実施例62〜88のワン・ペースト(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与え、反応が開始された各ペーストを介在させて上記の接着処理済の歯面にステンレス棒を接合させ、荷重200gを負荷させて、接着界面からはみ出したペースト泥をブレードで除去した。
その後、湿度100%のウェットボックスに1時間静置し、37℃蒸留水中に浸漬した。接着から24時間後、剪断接着試験体を、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて剪断接着強さを測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表15に示す。
[圧縮強さの測定]
実施例62〜88のワン・ペースト(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメントを用いて、ISO規格に従って、圧縮強さ試験体(直径3mm、高さ6mm)を作製した。作製した試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて圧縮強さを測定し、n=5の平均値を求めた。その結果を表15に示す。
Figure 2005289961
実施例89
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸ナトリウム塩(BPBA-Na)飽和水50mLに分散させ振とう機にて23℃で一週間振とうした。
その後、このBPBA-Na飽和水を包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のイオン交換水で洗浄後、1wt%エチルセルロース/ジクロロメタン50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレーードライヤーにて入口乾燥温度80℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がエチルセルロース、内殻が酸化珪素、芯物質が1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸ナトリウム塩飽和水であるマイクロカプセルを得た。
実施例90〜98
実施例89のBPBA−Na飽和水の代わりに表16に記載した化合物の飽和水を用いてマイクロカプセルを合成した。
Figure 2005289961
実施例99
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを0.05Torrの高真空状態に置き、電磁誘導攪拌機にて攪拌しながら4−アクリロキシエチルトリメリット酸(4-AET)飽和水50mLを注入した。その後、このTEGDMAを包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のエタノールで洗浄後、1wt%PVA水溶液50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレードライヤーにて入口乾燥温度100℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がポリビニルアルコール、内殻が酸化珪素、芯物質がTEGDMAであるマイクロカプセルを得た。
実施例100〜104
実施例99のTEGDMAの代わりに表17に記載した化合物類を用いてマイクロカプセルを合成した。
Figure 2005289961
実施例105:ワン・ペーストレジンセメントの調製
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用ポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを14g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2g、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)を2g、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を2g、実施例30にて合成したN,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)を内包したマイクロカプセルを0.2g、実施例96にて合成した過酸化ベンゾイル(BPO)を内包したマイクロカプセルを0.2g、実施例92にて合成した1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸(CEBA)を内包したマイクロカプセルを0.2g、ブチル化ヒドロキシトルエンを800ppm、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)2gを加え回転速度200rpmにて23℃で20分間混合し、ワン・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したワン・ペーストレジンセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
実施例106:ワン・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントの調製
基本的調合組成および操作は実施例105と同じであるが、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を6−メタクリロキシヘキシルホスホノプロピオネート(6-MHPP)に置換し、さらに2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドを0.1g添加した以外は全て実施例105と同じにしてワン・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したワン・ペーストレジンセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に松風グリップライトII(株式会社松風社製)で可視光線照射をしたところ、瞬時に光硬化し、化学・光重合(デュアルキュアー)が可能なワン・ペーストレジンセメントであることが確認できた。
実施例107:ワン・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントの調製
基本的調合組成および操作は実施例106のワン・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントに、D,L−カンファーキノンを0.1g、および3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)0.001gを添加した以外は全て実施例106と同じにしてワン・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したワン・ペーストレジンセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に光照射したところ瞬時に光硬化した。ここで、光照射器は、ハロゲンランプ使用の松風グリップライトII(Hal)(株式会社松風社製)、発光ダイオード(LED)照射器としてエリパーフリーライト2(LED)(3M・エスペ社製)およびキセノンランプのアポロ・エリート95E(Xe)(DMD社製)を使用した。なお、これらの照射器の照度測定波長領域は400〜515nmとした。
以上の試験結果より、このワン・ペーストレジンセメントはデュアルキュアーであり、多波長領域(400〜515nm)で光重合が可能なワン・ペーストレジンセメントであることが確認できた。
[ワン・ペーストレジンセメントの歯質−金属接着強さおよび曲げ強さ]
本発明の一液性硬化性組成物の実施例105〜107のワン・ペーストレジンセメントを使用して、歯質と金属の接着強さおよび曲げ強さを測定した。
[剪断接着試験]
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用いその歯根部を削除して歯髄除去後、エポキシ樹脂包埋して用いた。同牛歯の唇面エナメル質および象牙質を耐水研磨紙80番で注水下研磨後、続いて600番で注水下研磨し、研磨した歯面を油分のない圧搾エアーで乾燥した。
次に、光重合型歯科用ボンディング剤の「インパーバフルオロボンド」(株式会社松風社製)のプライマーA液とB液を目皿に等量採取し、マイクロブラシで混合した。マイクロブラシで混合液をエナメル質または象牙質の接着規定面にこすりつけるように塗布(ラビング処理またはアクティブ処理)し、20秒経過後、油分のない圧搾エアーで揮発成分を蒸散させた。
さらに、ステンレス棒(直径5mm、長さ12mm)の接着面を酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理を行った。続いて、実施例105〜107のワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与え、反応が開始された各ペーストを介在させて上記の接着処理済の歯面にステンレス棒を接合させ、荷重200gを負荷させて、接着界面からはみ出したペースト泥をブレードで除去した。
続いて、接着界面に斜めから松風グリップライトII(Hal:ハロゲンランプ)で20秒間光照射した。その後、剪断接着強さ試験は同試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表18に示す。
[曲げ強さの測定]
実施例93〜95のワン・ペーストレジンセメントを用いて、ISO規格に従って3点曲げ試験を行った。試作ワン・ペーストレジンセメントを採取し、プラスチックスパチュラで曲げ試験体の金型に充填しカバーガラスで圧接後、松風グリップライトII(株式会社松風社製)で30秒間光照射して曲げ試験体(25×2.0×2.0、mm)を作製し、37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=5の平均値を求めた。その結果を表18に示す。
Figure 2005289961
比較例3
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用ポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを14g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2g、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)を2g、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を2g、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)を0.2g、過酸化ベンゾイル(BPO)を0.2g、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸(CEBA)を0.2g、ブチル化ヒドロキシトルエンを800ppm、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)2gを加え回転速度200rpmにて23℃で20分間混合した。混合中に、レドックス重合反応開始によるゲル化を生じた。
この結果から、実施例30、96および92に記載したような微小カプセルを用いずにワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製することは不可能であることが分かった。
実施例108〜117および比較例4〜5
本発明の硬化性組成物を1液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。マイクロカプセルとして、実施例31で合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのマイクロカプセル(カプセル31)、実施例97で合成した2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)(カプセル97)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(Bis-GSol.)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)、D,L−カンファーキノン(CQ)、重合促進剤として、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸(BPBA)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸(DMBE)、ジ−n−オクチル錫ジラウレート(Tin-Lau)、アセトン、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して、表19に示す組成で1液1ステップ型光重合性ボンディング剤を調製した。
続いて、実施例88に準じて、エナメル質および象牙質を用意して、歯面に残存する水を利用して光重合性ボンディング剤を塗布して20秒放置後光重合コンポジットレジン「ビューティフィル」(株式会社松風製)と接合して30秒間光重合して試験体を作製し、37℃水中浸漬24時間後、実施例88に準じて剪断接着試験を行った。結果を表19に示す。
Figure 2005289961
実施例118〜121
本発明の硬化性組成物を1液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。
実施例31で合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのマイクロカプセル(3重量部)、実施例97で合成した2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)(2重量部)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)(15重量部)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)(20重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(7重量部)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(28重量部)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)(1重量部)、CQ(1重量部)、クマリン化合物として、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)(0.005重量部)、アセトン(30重量部)、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して「ボンドA」を調製した。
「ボンドA」のクマリン化合物のみを3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)(0.005重量部)に置換して「ボンドB」を調製した。
「ボンドA」および「ボンドB」の6−MHPAを6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)(15重量部)に置換して「ボンドC」および「ボンドD」を調製した。
1液1ステップ型光重合性ボンディング剤、ボンドA〜Dを用いて、実施例108に準じて剪断接着試験を行った。結果を表20に示す。
Figure 2005289961
ここで、光照射器は、ハロゲンランプ使用の松風グリップライトII(Hal)((株)松風社製)、発光ダイオード(LED)照射器としてエリパーフリーライト2(LED)(3M・エスペ社製)およびキセノンランプのアポロ・エリート95E(Xe)(DMD社製)を使用した。各光照射器の照度は、松風グリップライトII:650mW/cm、エリパーフリーライト2:635mW/cmおよびAPPOLLOELITE95E:1330mW/cmで使用した。なお、これらの照射器の照度測定波長領域は400〜515nmとした。
表20の結果から明らかなように、本発明の一液性硬化性組成物を構成するアシルホスフィンオキサイドおよびそのナトリウム塩およびp−トルエンスルフィン酸ナトリウム塩のマイクロカプセル、α−ジケトン、クマリン化合物、重合促進剤を含む光重合性組成物はハロゲン光、LED、キセノンランプのいずれの光照射においても高い光硬化性を示し、結果として、高いエナメル質接着性と象牙質接着性を示した。
クマリン化合物の可視光増感効果とマイクロカプセルに包接されたAPO−Naやα−ジケトンなどの光重合開始剤の共存により、広い領域での波長に対応して、3種の光照射器を使用した場合でも高い接着強さを示したものと考えられる。
実施例122:ツー・ペーストレジンセメントの調製
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用ポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを14g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2g、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)を2g、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を2g、実施例96にて合成した過酸化ベンゾイル(BPO)を内包したマイクロカプセルを0.2g、実施例92にて合成した1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸(CEBA)を内包したマイクロカプセルを0.2g、ブチル化ヒドロキシトルエンを800ppm、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)2gを加え回転速度200rpmにて23℃で20分間混合し、ペーストAを調製した。同様に、Bis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを20g、実施例30にて合成したN,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)を内包したマイクロカプセルを0.2g、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972)2gを混合してペーストBを調製した。
調製したペーストAおよびペーストBを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。また、この混合ペーストは超音波振動の負荷なしでは1日後も泥状を保った。
実施例123:ツー・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントの調製
基本的調合組成および操作は実施例122と同じであるが、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を6−メタクリロキシヘキシルホスホノプロピオネート(6-MHPP)に置換し、さらに2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドを0.1g添加した以外は全て実施例122と同じにしてツー・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したツー・ペーストレジンセメントのペーストAおよびペーストBを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に松風グリップライトII(株式会社松風社製)で可視光線照射をしたところ、瞬時に光硬化し、化学・光重合(デュアルキュアー)が可能なツー・ペーストレジンセメントであることが確認できた。また、この混合ペーストは超音波振動の負荷なしでは遮光カバーの下、1日後も泥状を保った。
実施例124:ツー・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントの調製
基本的調合組成および操作は実施例123のツー・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントのペーストBに、D,L−カンファーキノンを0.1g、および3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)0.001gを添加した以外は全て実施例123と同じにしてツー・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したツー・ペーストレジンセメントのペーストAおよびペーストBを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に光照射したところ瞬時に光硬化した。ここで、光照射器は、ハロゲンランプ使用の松風グリップライトII(Hal)(株式会社松風社製)、発光ダイオード(LED)照射器としてエリパーフリーライト2(LED)(3M・エスペ社製)およびキセノンランプのアポロ・エリート95E(Xe)(DMD社製)を使用した。なお、これらの照射器の照度測定波長領域は400〜515nmとした。
以上の試験結果より、このツー・ペーストレジンセメントはデュアルキュアーであり、多波長領域(400〜515nm)で光重合が可能なツー・ペーストレジンセメントであることが確認できた。
[ツー・ペーストレジンセメントの歯質−金属接着強さおよび曲げ強さ]
本発明の二分割性硬化性組成物の実施例122〜124のツー・ペーストレジンセメントを使用して、歯質と金属の接着強さおよび曲げ強さを測定した。
[剪断接着試験]
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用いその歯根部を削除して歯髄除去後、エポキシ樹脂包埋して用いた。同牛歯の唇面エナメル質および象牙質を耐水研磨紙80番で注水下研磨後、続いて600番で注水下研磨し、研磨した歯面を油分のない圧搾エアーで乾燥した。
次に、光重合型歯科用ボンディング剤の「インパーバフルオロボンド」(株式会社松風社製)のプライマーA液とB液を目皿に等量採取し、マイクロブラシで混合した。マイクロブラシで混合液をエナメル質または象牙質の接着規定面にこすりつけるように塗布(ラビング処理またはアクティブ処理)し、20秒経過後、油分のない圧搾エアーで揮発成分を蒸散させた。
さらに、ステンレス棒(直径5mm、長さ12mm)の接着面を酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理を行った。続いて、実施例122〜124のツー・ペーストレジンセメントのペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与え、反応が開始された各混合ペーストを介在させて上記の接着処理済の歯面にステンレス棒を接合させ、荷重200gを負荷させて、接着界面からはみ出したペースト泥をブレードで除去した。
続いて、接着界面に斜めから松風グリップライトII(Hal:ハロゲンランプ)で20秒間光照射した。その後、剪断接着強さ試験は同試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表21に示す。
[曲げ強さの測定]
実施例122〜124のツー・ペーストレジンセメントを用いて、ISO規格に従って3点曲げ試験を行った。試作ツー・ペーストレジンセメントを採取し、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与え、反応が開始された各ペーストをプラスチックスパチュラで曲げ試験体の金型に充填しカバーガラスで圧接後、松風グリップライトII(株式会社松風社製)で30秒間光照射して曲げ試験体(25×2.0×2.0、mm)を作製し、37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=5の平均値を求めた。その結果を表21に示す。
Figure 2005289961
実施例125〜134および比較例6〜7
本発明の硬化性組成物を2液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。マイクロカプセルとして、実施例42に準じて合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのPVAマイクロカプセル(カプセルA)、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)のPVAマイクロカプセル(カプセルB)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(Bis-G Sol.)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)、D,L−カンファーキノン(CQ)、重合促進剤として、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸(BPBA)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸(DMBE)、ジ−n−オクチル錫ジラウレート(Tin-Lau)、アセトン、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して、表22に示す組成で2液1ステップ型光重合性ボンディング剤を調製した。
続いて、実施例88に準じて、エナメル質および象牙質を用意して、ボンディング剤と蒸留水との等量を目皿で混合して、超音波振動を負荷することなく、混合液を歯面に塗布して20秒間放置後、20秒間光重合し、さらに、光重合コンポジットレジン「ビューティフィル」(株式会社松風製)と接合して30秒間光重合して試験体を作製し、37℃水中浸漬24時間後、実施例88に準じて剪断接着試験を行った。結果を表22に示す。
Figure 2005289961
実施例135〜138
本発明の硬化性組成物を2液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。
実施例125で合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのマイクロカプセルA(3重量部)、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)のマイクロカプセルB(2重量部)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)(15重量部)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)(20重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(7重量部)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(28重量部)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)(1重量部)、CQ(1重量部)、クマリン化合物として、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)(0.005重量部)、アセトン(30重量部)、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して「ボンドA」を調製した。
「ボンドA」のクマリン化合物のみを3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)(0.005重量部)に置換して「ボンドB」を調製した。
「ボンドA」および「ボンドB」の6−MHPAを6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)(15重量部)に置換して「ボンドC」および「ボンドD」を調製した。
2液1ステップ型光重合性ボンディング剤、ボンドA〜Dを用いて、実施例125に準じて剪断接着試験を行った。結果を表23に示す。
Figure 2005289961
ここで、光照射器は、ハロゲンランプ使用の松風グリップライトII(Hal)((株)松風社製)、発光ダイオード(LED)照射器としてエリパーフリーライト2(LED)(3M・エスペ社製)およびキセノンランプのアポロ・エリート95E(Xe)(DMD社製)を使用した。各光照射器の照度は、松風グリップライトII:650mW/cm、エリパーフリーライト2:635mW/cmおよびAPPOLLOELITE95E:1330mW/cmで使用した。なお、これらの照射器の照度測定波長領域は400〜515nmとした。
表23の結果から明らかなように、本発明の二分割性硬化性組成物を構成するアシルホスフィンオキサイドおよびそのナトリウム塩およびp−トルエンスルフィン酸ナトリウム塩のマイクロカプセル、α−ジケトン、クマリン化合物、重合促進剤を含む光重合性組成物はハロゲン光、LED、キセノンランプのいずれの光照射においても高い光硬化性を示し、結果として、高いエナメル質接着性と象牙質接着性を示した。
クマリン化合物の可視光増感効果とマイクロカプセルに包接されたAPO−Naやα−ジケトンなどの光重合開始剤の共存により、広い領域での波長に対応して、3種の光照射器を使用した場合でも高い接着強さを示したものと考えられる。
実施例139〜142および比較例8〜11
芯物質として過酸化ベンゾイル(BPO)、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)、1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)、および壁材ポリマーとしてポリエチルメタクリレート(PEMA)であるマイクロカプセルを合成した。平均粒子径は30μmであった。合成したマイクロカプセルを用いて、ポリマー粉末/モノマー液タイプの接着性レジンセメントの検討を行った。
BPOカプセル、DEPTカプセル、TMBAカプセル、ポリメチルメタクリレート粉末(PMMA)、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートのコポリマー粉末(PMMA-PEMA)、ポリエチルメタクリレート粉末(PEMA)、球状シリカフィラー、微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)、1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、過酸化ベンゾイル(BPO)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、4−アクリロキシエチルトリメリット酸(4-AET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、6−メタクリロキシヘキシルー3−ホスホノアセテート(6-MHPA)、および10−(メタ)アクリロイルオキシデシル6,8−ジチオクタネート(10-MDDT)を用いて、表1の組成でポリマー粉末/モノマー液タイプの接着性レジンセメントを表24に準じて調製した。
Figure 2005289961
[ポリマー粉末/モノマー液タイプの接着性レジンセメントの歯質接着強さおよび貴金属接着強さ]
本発明の実施例139〜142および比較例8〜11の硬化性組成物を使用して、歯質の象牙質と金属の接着強さおよび貴金属接着強さを測定した。
[剪断接着試験]
象牙質とステンレス棒の接着試験を実施例124に準じて実施して、象牙質−金属接着強さを測定した。貴金属接着強さについて、松風アルゴンキャスター(株式会社松風社製)で鋳造した金合金の松風スーパーゴールドType4(株式会社松風社製)(直径:6mm、長さ:2mm)をエポキシ樹脂包埋して用いた。同金合金の接着面を耐水研磨紙600番で注水下研磨後、酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理後、油分のない圧搾エアーで乾燥した。
続いて、貴金属接着性プライマー「メタルリンク」(株式会社松風社製)を同金合金の接着面に塗布して乾燥した。さらに、ステンレス棒(直径5mm、長さ12mm)の接着面を酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理を行った。
続いて実施例139〜142および比較8〜11を使用して、粉/液比=2/1で混合したポリマー粉末/モノマー液タイプの接着性レジンセメント泥を介在させて上記の接着処理済の歯面にステンレス棒を接合させ、荷重200gを負荷させて、接着界面からはみ出したセメント泥をブレードで除去した。
その後、同試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬した。次いで、剪断接着試験体を、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて剪断接着強さを測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表25に示す。
粉材と液材を強制的に40℃、湿度75%にて1ヶ月間放置して、同様な接着試験を測定した。さらに、サーミスタ法により、硬化時間を測定した。これらの結果を表25に示す。
Figure 2005289961
表25の結果から明らかなように、比較例8〜11では、40℃−1ヶ月後で接着強さおよび硬化時間は劣化した。また、40℃にて100%湿度に1ヶ月放置した比較例は全て粉材が凝集して流動性が悪く操作性が著しく低下した。
これに対し、重合開始剤をマイクロカプセル化した本発明の実施例139〜142の接着性レジンセメントの初期および加速した40℃−1ヶ月後の接着強さおよび硬化時間は殆ど変化することもなく粉材の流動性と操作性は安定することが明らかとなった。

Claims (26)

  1. 微小カプセルを含有する一液性硬化性組成物。
  2. 微小カプセルに内包される芯物質が、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、重合促進剤、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
  3. 微小カプセルを包み込む物質が、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、重合促進剤、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
  4. 微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
  5. 外力を与えることによって微小カプセルが崩壊して、内包する芯物質を放出することを特徴とする請求項2記載の一液性硬化性組成物。
  6. 外力が、電磁波、磁界、超音波、圧力、熱、振動またはそれらの2以上の組合せであることを特徴とする請求項5記載の一液性硬化性組成物。
  7. 内包する芯物質が放出された後に、硬化反応が開始することを特徴とする請求項5記載の一液性硬化性組成物。
  8. 内包する芯物質が放出された後に、化学反応する化学反応工程;光照射により光硬化反応する光硬化反応工程;または化学反応工程に引き続き光照射により光硬化反応する化学光硬化反応工程のいずれかを経ることを特徴とする請求項5記載の一液性硬化性組成物。
  9. 光重合開始剤として、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類もしくはその塩、α−ジケトン類、またはクマリン化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
  10. 微小カプセルを含有するラジカル重合型の二分割性硬化性組成物。
  11. 微小カプセルに内包される芯物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項10記載の二分割性硬化性組成物。
  12. 微小カプセルを包み込む物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、有機高分子化合物、酸反応性フィラーまたは酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項10記載の二分割性硬化性組成物。
  13. 微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする請求項10記載の二分割性硬化性組成物。
  14. 微小カプセルを含有する酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物。
  15. 微小カプセルに内包される芯物質が、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の組合せであることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
  16. 微小カプセルを包み込む物質が、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の組合せであることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
  17. 微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
  18. 微小カプセルに内包される芯物質または微小カプセルを包み込む物質に、さらに、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤および重合促進剤からなる群から選択される物質が配合されていることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
  19. 微小カプセルが崩壊して、内包する芯物質を放出することを特徴とする請求項10または14記載の二分割性硬化性組成物。
  20. 外力を与えることによって、微小カプセルが崩壊することを特徴とする請求項19記載の二分割性硬化性組成物。
  21. 外力が、電磁波、磁界、超音波、圧力、熱、振動またはそれらの2以上の組合せであることを特徴とする請求項20記載の二分割性硬化性組成物。
  22. 二つの分割部分を混合したときに微小カプセルの壁材物質が溶解することによって、微小カプセルが崩壊することを特徴とする請求項19記載の二分割性硬化性組成物。
  23. 粉・液タイプ、粉・ペーストタイプ、ペースト・ペーストタイプ、液・液タイプ、またはペースト・液タイプであることを特徴とする請求項10または14記載の二分割性硬化性組成物。
  24. 溶剤、カップリング剤、変成剤、増粘剤、染料、顔料、重合調整剤および重合抑制剤よりなる群から選択される化合物またはそれらの2以上の化合物が配合されていることを特徴とする請求項1、10または14記載の硬化性組成物。
  25. 微小カプセルの構造がコア/シェル型(芯物質/壁物質型)、コア/コア分散シェル型(芯物質/芯物質固溶体壁物質型)または芯物質固溶体物質型であることを特徴とする請求項1、10または14記載の硬化性組成物。
  26. 医科・歯科用に用いることを特徴とする請求項1ないし25いずれか1記載の硬化性組成物。
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