JP2005289961A - 微小カプセルを含有する硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
同一系中に共存させることが不可能であった複数の成分を同一系中に安定して共存しても、経年変化が防止され、また、使用の際に練和操作を本質的に必要とせず、硬化を必要とする時に所望により外的エネルギーにて反応を開始させることにより、操作性が格段に向上しさらに練和による気泡を本質的に内包しないことから優れた硬化性を発現する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】
同一系中に共存させることが不可能であった複数の成分を微小カプセルで別個にカプセル化し、各成分を非接触状態で安定に硬化性組成物に含有させる。
【選択図】 なし。
Description
特に、本発明は、微小カプセルを含有する、ラジカル重合型または酸塩基反応型の一液性硬化性組成物および二分割性硬化性組成物に関する。
これらの材料は、クラウンなどの補綴物の材質が、貴金属、非貴金属、セラミックス等に多様化し、支台歯が天然歯のエナメル質、象牙質、金属コア、コンポジットコア、グラスアイオノマーコアなどと接着して、温度変化や咀嚼力などの口腔内の過酷な環境に十分対応できる接着強さや物理的特性を有することが求められている。
特に、これらの材料の保存安定性は臨床経過に影響するといえるほど重要である。
これまで、D,L−カンファーキノンなどのα−ジケトンとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(特公昭54−10986号)、またはα−ジケトンとN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(特公昭60−26002号)など、いわゆる光照射により励起されたα−ジケトンと水素供与剤としての光還元剤によりエキサイプレックスを経過する可視光線重合に有効な光重合開始剤が開示されている。
しかしこれらの光重合開始剤では、酸性基を有する接着性モノマーが共存する場合や開始剤濃度が著しく低い場合に光硬化性が低下する問題があった。
しかし、接着性モノマーの酸性基と芳香族第三アミンが接触すると電荷移動錯体を形成して硬化性や接着性を低下させるという問題がある。また、これらのレジンセメントはフッ素徐放性能については、後述する(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメントに比べて大きく劣るという欠点がある。
グラスアイオノマーセメントにおいて、塩基性カルシウムアルミノフルオロシリケートガラスと、不飽和カルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーである酸性高分子電解質(ポリアルケン酸)との反応によって生成したヒドロゲル塩であるグラスアイオノマー反応層が重要で、そのフッ素の放出能とリチャージ能が高いなど臨床的に評価されている。
これらのセメントでは、レジンの化学重合や光重合反応を伴うため硬化速度が速くなり、感水の問題も改善されている。しかし、これらのセメントは、粉・液タイプでは物理的特性を維持するために粉剤と液剤を正確に計量する必要がある。すなわち、計量ミスにより金属クラウンやインレー等の補綴物接着時の浮き上がりや脱落を引き起こす結果となっている。
歯科の保存と補綴臨床ではこれらの材料は非常に重要であり、簡便かつ十分な操作ができる一液性もしくはワン・ペーストのグラスアイオノマー類やレジンセメント類の開発が強く望まれている。
しかしながら、2分割包装したからといって、充分な保存安定性が確保できていないのが現状である。
また、2分割包装されているので、使用に際して練和するため、操作が煩雑であったり、練和によって硬化させるため、気泡を巻き込み物理的性質や接着性を低下させるという問題があった。
本発明によれば、微小カプセルにより、従来では同一系中に共存させることが不可能であった複数の成分を別個にカプセル化して、組成物中で各成分を非接触状態に保つことができるので、製品寿命安定性を著しく向上させることができる。また、組成物の硬化時間を任意に調整することができるので、歯科臨床における取り扱いが非常に簡便になり、それによって、治療の質を大幅に向上させることができる。本発明の硬化性組成物は、医科・歯科用に用いることができる。
すなわち、本発明の一液性硬化性組成物において、芯物質として同一系中に共存させることが不可能であった成分が微小カプセルに内包され、基材である微小カプセルを包み込む物質中にこの微小カプセルが分散している。
また、芯物質は微小カプセルを構成する壁材物質で隔離されているため、互いに非接触状態で、反応することなく安定に基材中に存在している。したがって、壁材物質は、それに接触している芯物質にも微小カプセルを包み込む物質にも侵されない化合物であることが必要である。
本発明によれば、外的エネルギーにより、組成物中の微小カプセルを破壊するのみで硬化反応を開始して、組成物を硬化させることができる。
すなわち、本発明の二分割性硬化性組成物において、芯物質として同一系中に共存させることが不可能であった成分や、活性が高く不安定な成分が微小カプセルに内包され、基材である微小カプセルを包み込む物質中にこの微小カプセルが分散している。
また、芯物質は微小カプセルを構成する壁材物質で隔離されているため、互いに非接触状態で、反応することなく安定に基材中に存在している。したがって、壁材物質は、それに接触している芯物質にも微小カプセルを包み込む物質にも侵されない化合物であることが必要である。ただし、一方の分割部分に含まれる微小カプセルの壁材物質が他方の分割部分に含まれる微小カプセルを包み込む物質中の成分により膨潤、溶解等する構成とすることができる。
「コア/コア分散シェル型構造」において、コア(芯物質)は固体、液体、懸濁液状物のいずれかであり、シェル(壁材物質)はそれらの成分を含有する。コア(芯物質)成分はシェルの中心部から外殻に向かって濃度勾配をもって存在し、シェルの最外殻におけるそれらの成分の存在は無視し得、カプセルとしての機能を有する。この機能とは、コア(芯物質)の成分が微小カプセルを包み込む物質と相互作用を起こさないように隔離することをいう。特に、芯物質が有機結晶等の固体である場合は、カプセル中心部における芯物質の濃度は実質的に100%であり、外殻に移行するにしたがってその濃度が低下し、最外殻での濃度が実質的に0%となる。
「芯物質固溶体物質型構造」において、微小カプセル全体に壁材物質が存在し、その中には均一に芯物質が固溶しているが、その最外殻のみ芯物質が存在しない。コア/コア分散シェル型構造とは異なり、壁材物質中の芯物質の濃度勾配はない。
具体的には、義歯床用レジン、歯科即時(室温)重合レジン、マグネット装着用接着性レジン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)タイプ接着性レジンセメント(ポリマー粉末・モノマー液タイプ接着性レジンセメント)、デュアルキュアー型接着性レジンセメント、化学重合型コンポジットレジン、デュアルキュアー型コンポジットレジン、接着性コンポジットレジン、支台築造用コンポジットレジン、前装冠用コンポジットレジン、クラウン・ブリッジコンポジットレジン、コンポマー、レジンコア材料、二液性ボンディング剤、二液性フィッシャーシーラント、二液性歯列矯正用接着剤、二液性ティースコーティング剤および歯科用印象材等に応用することができ、製品寿命の安定性がよく優れた硬化性や接着性を発現することから、歯科分野に限らず医科分野の特に整形外科の骨セメントや代替骨等の分野で使用できる。
特に、本発明に用いることができるラジカル重合性モノマーは、分子内に酸性基を含有するラジカル重合性モノマーおよび酸性基を含有しないラジカル重合性モノマー、イオウ原子を分子内に有する重合性モノマー、Si原子を分子内に有する重合性モノマー、フルオロアルキル基を分子内に有する重合性モノマー、フッ素イオン放出能を有する重合性モノマーなどから選択される。
もちろん、こら全ての被着体に接着する接着剤を設計する上で、酸性基含有するラジカル重合性モノマー、イオウ原子を分子内に有する重合性モノマー、Si原子を分子内に有する重合性モノマーを全て含む接着剤を製造すればよい。さらに、これらの官能基を含む重合性モノマーや重合開始剤や重合促進剤が共存できないか接触して棚寿命を劣化させる組み合わせでは、これらを芯物質として微小カプセル化して非接触状態で接着剤を製造して本発明を実施できる。一方、接着を特に必要としない硬化性組成物を目的とする場合は、これらの官能基を含有しないラジカル重合性モノマーを選択して使用すればよい。
本明細書において、例えば、メチル(メタ)アクリレートはメチルメタクリレートまたはメチルアクリレートを意味する。
で表される水溶性アシルホスフィンオキサイド類を欧州特許第0009348号または特開昭57−197286号に開示されている方法により合成して、使用することができる。
特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)および3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
具体的には、ジアシルパーオキサイド類として、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシエステル類として、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類として、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシケタール類として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
ケトンパーオキサイド類として、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類として、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
具体的には、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
本発明による硬化性組成物に用いられる重合促進剤は、従来から光重合促進剤または室温重合促進剤として使用されている化合物から選択することができる。特に、バルビツール酸誘導体、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、スズ化合物類、アルデヒド類やチオール基を有する化合物類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、ジフェニルヨードニウム塩系化合物類、IV価および/またはV価のバナジウム化合物類が好適である。
特に好適なアミン類は、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルである。
チオール基を有する化合物として、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
ポリアルケン酸類は、酸反応性ガラスと反応してグラスアイオノマー形成し、側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミド結合による有機基およびグラフト化不飽和二重結合基等の繰り返しユニットを1以上有する不飽和化合物のホモポリマーまたはコポリマーをいう。
ここで、ガラスとは、酸化物類の過冷却混合物であり、通常はアルミナと組み合わせてシリカを含有するガラスである。
SiO2−Al2O3−CaF2
SiO2−Al2O3−CaF2−AlPO4
SiO2−Al2O3−CaF2−AlPO4−Na3AlF6
ガラスのAl2O3/SiO2のモル比は、好ましくは1:1以下である。この比により最適な性質を有するフィラーが得られる。
酸化カルシウム(CaO) 5〜40モル%
シリカ(SiO2) 15〜70モル%
アルミナ(Al2O3) 10〜50モル%
酸化ナトリウム(NaO2) 0〜7モル%
五酸化リン(P2O5) 0〜7モル%
これらのガラス中に含まれるフッ素量は、好ましくは5から60モル%である。上記組成物においては、酸化カルシウムを用いているが、いずれのアルカリ土類金属の酸化物であっても使用できる。
アルカリ土類金属の少なくとも一部をランタン、ガドリニウムまたはイッテルビウム等のランタニド金属で置き換えてもよい。さらに、これらのガラスの一部またはすべてのアルミナをアルミニウム以外の3族の金属で置き換えてもよい。同様にして、ガラス中のシリカの一部を酸化ジルコニウムまたは酸化チタニウムで置き換えてもよい。
ガラスにストロンチウム、ランタン、ガドリウム、イッテルビウムまたはジルコニウムを含有する場合、ガラスはX線不透過性となる。10重量%以上のX線不透過材が本発明の硬化性組成物に含有されていることが好ましい。
酸性または塩基性触媒をこのゾル−ゲル反応混合物へ、ゲル化速度を速めるために添加してもよい。ゲル化後、残存溶媒を除くために乾燥する。ゲルはまた、400℃というような比較的低い温度で焼結しても良い。この方法により比較的低温にて均質な耐火性ガラスが得られる。
XnOm−CaO−Al2O3−SiO2−F
[式中、XnOmはX線不透過性物質Xの酸化物である。]の製造に特に適している。
これらの溶液は50℃でかきまぜながら混合する。その後、これを70℃で還流してもよい。乾燥後、得られた物質を柔らかいうちに粉砕し、その後、400から500℃の温度で乾燥させる。これを必要なサイズとなるようさらに粉砕する。
有機高分子化合物は、特に、二分割性硬化性組成物において有用である。すなわち、二液を練和して壁材物質を溶解させて、重合開始剤や重合促進剤など芯物質を放出する場合、カプセルの壁材の厚さおよび高分子の分子量や架橋密度により壁材の溶解速度を調節して、組成物の硬化速度を制御することができる。例えば、低分子量や低架橋密度の高分子を用いれば、カプセルの溶解速度を速めることができる。
具体的には、水と非混和性の有機溶媒中に疎水性モノマーを含有させ、これを水相に乳化させて安定なエマルションを調製する。このエマルションに親水性モノマーを添加攪拌することで水・油界面で重合反応が起こり高分子被膜が生成しカプセル化が行われる。この場合、疎水性成分は生成した膜内に包接されることになる。
一方、含水カプセルの場合には水相と油相を逆にすることで調製することができる。すなわち、親水性モノマーを含有した水溶液を油相中に乳化させて安定なエマルションを調製する、このエマルションに疎水性モノマーを添加攪拌することで油・水界面で重合反応が起こり、高分子被膜が生成しカプセル化が行われる。この場合、親水性成分は生成した膜内に包接されることになる。
それらの組み合わせで生成するポリマー類はポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレアおよびポリウレタンであり、これらのポリマー被膜は本発明による微小カプセルに好適に使用できる。
なお、いずれの乳化においても、適合な界面活性剤や分散安定剤、分散安定助剤等の存在下にて乳化するほうがエマルジョン安定化には有利である。
なかでも、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロキシデシルジハイドロジェンホスフェートなどの酸性基を有するラジカル重合性モノマー、およびスチレン、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル}プロパン;ビスフェノールA−ジグリシジル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン、グリセロールジ(メタ)クリレート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル6,8−ジチオクタネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル6,8−ジチオクタネートなどの酸性基を含有しないラジカル重合性モノマーなどが好適である。
ポリメタクリル酸メチル10wt%、過酸化ベンゾイル1wt%を含むメチルメタクリレートにポリアクリル酸水溶液等量をノニオン系界面活性剤存在下で乳化する。得られた1次エマルションを保護コロイド剤を含む10倍容のイオン交換水に2次分散し、攪拌しながら70℃に昇温させイン・シチュ重合を行なう。得られたカプセルは十分に洗浄を行なった後にオーブン乾燥を行ない、ポリメタクリル酸メチルを壁材物質としたポリアクリル酸水溶液のカプセルを得る。
さらに、水溶液系からの相分離を利用した方法には、単純コアセルベーション法、複合コアセルベーション法およびpHコントロール法に分類される。また、有機溶液系からの相分離を利用した方法には、良溶媒と貧溶媒とを組み合わせて相分離を起こさせる方法、相分離誘起用液体高分子にて相分離を起こさせる方法や温度により高分子等の溶解度変化を利用して相分離を起こさせる方法などがあり、その何れの手法も好適に使用することができる。
界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウムを含む5wt%のゼラチン水溶液にTEGDMAを高圧ホモジナイザーにて乳化し油/水(O/W)エマルションを40℃にて調製する。次に同温度の5wt%アラビアゴム水溶液を加え均一に混合する。十分に攪拌を行ないながら、2.5wt%酢酸水溶液にて系のpHをこのゼラチンの等電点以下に調整することによりコアセルベーションが誘起される。
TEGDMA表層に析出したコアセルベート被膜は冷却により不動体となる。さらにホルマリン水溶液を極微量添加した後に、系のpHを2.5wt%炭酸ナトリウム水溶液で8.5に上げるとゼラチンは水に不溶となり硬化する。これを単離し乾燥を施すことでTEGDMAのゼラチンカプセルが生成する。
これらの得られたカプセルを繰り返しろ過・水洗した後、常圧または微減圧乾燥することにより、内包物質としてポリアクリル酸水溶液をコポリマーでカプセル化した微粒子が得られる。
これら得られたカプセルを繰り返しろ過・水洗した後、減圧乾燥することにより、内包物質として過酸化ベンゾイルをコポリマーでカプセル化した微粒子が得られる。
すなわち、一次分散としてポリビニルアルコール水溶液にフルオロアルミノシリケート粉末を懸濁分散させた後、この一次分散液を界面活性剤を含むトルエン中に二次分散させる。その後、脱水剤として多量の無水エタノールを添加しポリビニルアルコールをトルエン中に析出させる。これにより親水性高分子としてポリビニルアルコールにてカプセル化されたフルオロアルミノシリケート粉末を得ることができる。
すなわち、一次分散としてポリメチルメタクリレートの酢酸エチル溶液にフルオロアルミノシリケート粉末を懸濁分散させた後、この一次分散液を界面活性剤を含むイオン交換水中に二次分散させる。その後、この複合エマルションを攪拌しながら加温減圧し酢酸エチルを除去乾燥する。これにより疎水性高分子としてポリメチルメタクリレートにてカプセル化されたフルオロアルミノシリケート粉末を得ることができる。
すなわち、比較的大きなサイズの場合、ケミカルミキサーや単なるタービンのような低エネルギー装置の旋回流にて複合エマルションを調製することにより数マイクロメーターから数百マイクロメーターサイズのマイクロカプセルが得られる。
一方、超音波発生装置や超高圧ホモジナイザー等を使用した場合には、数十ナノメーターから数百ナノメーターサイズのナノカプセルを調製できる。
ローターとステーターからなる回転式ホモジナイザーを用いれば、これらの中間的サイズのカプセルを調製することができる。
さらにこれらのサイズは界面活性剤の種類や濃度によっても調整が可能である。
また、上記外力から複数選択して加えることができる。例えば、硬化性組成物に超音波をかけた後、可視光線照射してカプセル壁材物質を破壊することができる。
具体的には、芯物質として、酸−塩基反応する一組の成分、レドックス反応する一組の成分、または接触してラジカルを発生する一組の成分の一方または双方を有機高分子化合物で予め別個にカプセル化して微小カプセル作製し、有機ポリマー、酸基を含有するラジカル重合性モノマー、酸基を含有しないラジカル重合性モノマー、重合開始剤類、および重合防止剤を混合して、ポリマー粉・モノマー液タイプのレジンセメントの硬化性組成物を調製しておき、混合により該カプセルが膨潤・溶解して壁材物質が破壊することにより、反応を開始させる方法がある。
実施例1:ポリアクリル酸水溶液のマイクロカプセルの合成
芯物質としてグラスアイオノマーセメントCX−Plus液材(株式会社松風製)、有機相添加界面活性剤として縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン(Sunsoft 818SX:太陽化学株式会社製)、有機溶媒としてトルエン、モノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO:ナカライテスク株式会社製凍結乾燥品)、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤としてゼラチン(ナカライテスク株式会社製)を用いた。
次に、60℃加温下で、3wt%となるように、ゼラチンをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調製した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。この複合エマルションを回転維持したままで内温を80℃に上昇させ6時間加熱を続けた。
その後、反応系内を微減圧に保ち、約2時間の脱溶媒を行なった。反応終了後、減圧濾過にて合成したマイクロカプセルを分別した。その後、十分なイオン交換水による洗浄を行ない、40℃にて熱風乾燥することによって淡黄色のポリアクリル酸水溶液内包マイクロカプセルを得た。収率は89%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約200μmであった。SEM観察の結果から、比較的単核型の構造体を形成していることが分かった。
試薬類は実施例1と同一であるが、濃度および攪拌等の条件を表1のごとく変化させて実施した。ただし、有機溶媒としてトルエン量は50mLに固定した。
SEM観察の結果から、組成によっては、多核型の構造体も含まれることが分かった。
ここで、「単核型の構造」とは、カプセル中に一つの空洞が存在し、その単一の空洞内部に芯物質が内包されている構造を意味し、「多核型の構造」とは、カプセル中に複数の空洞が存在し、その複数の空洞内部の各々に芯物質が内包されている構造を意味する。
得られたマイクロカプセルの特性を表2に示した。
芯物質として各濃度に調整した酒石酸水溶液、有機相添加界面活性剤としてノイゲンET−83(第一工業製薬株式会社製)、モノマーとしてトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA:新中村化学株式会社製)、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤として重合度3500、ケン化度86.0〜90.0mol%のポリビニルアルコール(PVA:和光純薬株式会社製)を用いた。
まず、1.50gのET−83をTEGDMA50mLに溶解させた。その有機相に芯物質内水相である10wt%の酒石酸水溶液25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて5000rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調整した。
次に、70℃加温下で、5wt%となるように、PVAをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調整した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。この複合エマルションを回転維持したままで内温を80℃に上昇させ6時間加熱を続けた。重合反応終了後、減圧濾過にて合成したマイクロカプセルを分別した。その後十分なイオン交換水による洗浄を行ない、40℃の熱風乾燥にて白色の酒石酸水溶液内包マイクロカプセルを得た。収率は92%であった。また粒度解析の結果、平均粒径は約100μmであった。SEM観察の結果から、比較的単核型の構造体を形成していることが分かった。
試薬類は実施例10と同一であるが、濃度および攪拌等の条件を表3のごとく変化させて実施した。
得られたマイクロカプセルの特性を表4に示した。
基本操作は実施例10と同一であるが、モノマー種類/濃度、ヒドロキシカルボン酸種類/濃度等の諸条件を表5のごとく変化させて実施した。界面活性剤(ET-83)は1.50gに固定し、ヒドロキシカルボン酸はCX−Plus液に溶解して用いた。また、外相水は、重合度3500、ケン化度86.0〜90.0mol%のポリビニルアルコール(PVA:和光純薬株式会社製)5wt%−300mLに固定した。1次分散攪拌速度および2次分散攪拌速度は実施例10と同様とした。
得られたマイクロカプセルの特性を表6に示した。
芯物質としてイオン交換水、有機相添加界面活性剤としてノイゲンET−83(第一工業製薬株式会社製)、モノマーとしてオルソテトラエチルシリケート(TEOS:ナカライテスク株式会社製)、重合開始剤として0.1M塩化水素水溶液(HCl)、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤として重合度3500、ケン化度86.0〜90.0mol%のポリビニルアルコール(PVA)を用いた。
まず、1.50gのET−83をTEOS50mLに溶解させた。その有機相に芯物質内水相であるイオン交換水25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて5000rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調製した。
次に、70℃加温下で、5wt%となるように、PVAをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調製した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。その後、30mLのHClを添加し、この複合エマルションを回転維持したままで内温を80℃に上昇させ6時間加熱を続けた。
重合反応終了後、減圧濾過にて合成したカプセル容器を分別した。その後、イオン交換水による洗浄を行ない、洗浄水のpHが中性になった時点で洗浄終了した。
その後、凍結乾燥機にて5日間乾燥を行ない、比較的嵩高い白色のカプセル容器を得た。その後150℃にて5時間の熱処理を行なった。収率は95%であった。また粒度解析の結果、平均粒径は約200μmであった。またSEM観察の結果、断面は単核型の空隙構造体を形成していた。
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)飽和水50mLに分散させ振とう機にて23℃で一週間振とうした。その後、このTMBA飽和水を包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のイオン交換水で洗浄後、1wt%エチルセルロース/ジクロロメタン50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレードライヤーにて入口乾燥温度80℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m3/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がエチルセルロース、内殻が酸化珪素、芯物質が1,3,5−トリメチルバルビツーツ酸飽和水であるマイクロカプセルを得た。
実施例29のTMBA飽和水の代わりに、表7に記載した化合物の飽和水を用いてマイクロカプセルを合成した。
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを0.05Torrの高真空状態に置き、電磁誘導攪拌機にて攪拌しながら取り、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)50mLを注入した。その後、このTEGDMAを包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のエタノールで洗浄後、1wt%PVA水溶液50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレードライヤーにて入口乾燥温度100℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m3/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がポリビニルアルコール、内殻が酸化珪素、被芯物質がTEGDMAであるマイクロカプセルを得た。
実施例35のTEGDMAの代わりに、表8に記載した化合物類を用いてマイクロカプセルを合成した。
芯物質としてグラスアイオノマーセメントCX−Plus液材(株式会社松風製)、有機相添加界面活性剤として縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン(Sunsoft 818SX:太陽化学株式会社製)、壁材高分子としてポリメチルメタクリレート(PMMA:三菱レーヨン製)、有機溶媒として酢酸エチル、外相水としてイオン交換水、外相水への分散安定剤としてゼラチン(ナカライテスク株式会社製)を用いた。
まず、縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン0.60gを含有する酢酸エチル50mLにPMMA10gを溶解させた。その有機相に芯物質内水相であるCX−Plus液材25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて5000rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調製した。
次に、60℃加温下で、3wt%となるように、ゼラチンをイオン交換水300mLに攪拌溶解して外水相を調製した。
その後、外水相を40℃に加温したまま、スリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を添加し複合エマルションを得た。この複合エマルションを回転維持したままで内温を維持したまま微減圧下6時間減圧加熱攪拌を続けた。
脱溶媒終了後、減圧濾過にて合成したマイクロカプセルを分別した。その後、十分なイオン交換水による洗浄を行ない、40℃にて熱風乾燥することによって、淡黄色のポリアクリル酸水溶液内包マイクロカプセルを得た。収率は95%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約150μmであった。SEM観察から、比較的多核型の構造体を形成していることが分かった。
芯物質としてグラスアイオノマーセメントCX−Plus粉材(株式会社松風製)を50wt%分散したBis−GMA/TEGDMA(60/40、wt%)混合モノマー懸濁液、壁材高分子としてポリビニルアルコール(PVA)、外相油相としてヒマシ油、希釈凝集材として無水エタノール、PVA硬化剤としてホルマリン、および6M塩化水素水溶液を用いた。
まず、10wt%PVA水溶液50mLに芯物質相であるCX−Plus粉材を50wt%分散したBis−GMA/TEGDMA(60/40、wt%)混合モノマー懸濁液25mLをヒスコトロンホモジナイザーにて750rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、1次分散相を調整した。次にヒマシ油300mLにスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を10℃冷却下にて添加し[(O/W)/O]型複合エマルションを得た。
次に、無水エタノールを300mL加え、壁材物質前駆体であるPVA水溶液相を部分脱水した後に、6M塩化水素水溶液5mLとホルマリン15mLを加え90℃にて20分加熱硬化させた。その後、減圧濾過し多量のイオン交換水で洗浄し40℃のオーブンで乾燥させ、マイクロカプセルを得た。収率は85%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約250μmであった。カプセルの色調は若干くすんだベージュ色を呈していた。
イオン交換水50gに1,6−ヘキサンジアミン(アルドリッチ社製)0.35g、炭酸ナトリウム0.36gおよびTW−20(第一工業製薬社製)0.5gを溶解させ水相を調製した。この調製した水相にトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA:新中村化学社製)25gをヒスコトロンホモジナイザーにて700rpmで10℃冷却下にて10分間攪拌し、油/水(O/W)の1次分散相を調製した。
次に、ソルゲン30(第一工業製薬社製)を1wt%含むクロロホルム/シクロヘキサン(=1/4)の混合有機溶媒300mLにスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で1次分散相を5℃冷却下にて添加し[(O/W)/O]型複合エマルションを得た。攪拌を持続させながら、アジピン酸クロライド(アルドリッチ社製)0.55gを溶解したクロロホルム/シクロヘキサン(=1/4)の混合有機溶媒50mLを添加した。約1時間攪拌を継続した後に濾過によりマイクロカプセルを分離し、シクロヘキサンにて洗浄した。得られたTEGDMAを包接したマイクロカプセルを得た。収率は97%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約710μmであった。カプセルの色調は若干白色で透明性が高かった。
実施例43のTEGDMAの代わりに、表9に記載した化合物類を用いてマイクロカプセルを合成した。
イオン交換水150gにポリビニルアルコール(和光純薬#500)1.00gを溶解させ連続相を調製した。この調製した連続相にヘキサメチレンジイソシアナート(東京化成工業製)3.0gとエチレングリコールジメタクリレート(EGDNA)10mLの均一溶液をヒストコロンホモジナイザーにて1000rpmで23℃にて10分間攪拌し、油/水(O/W)のエマルションを調製した。
このエマルションを60℃にて加温しながらスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で攪拌し、水溶性モノマーとしてヘキサメチレンテトラミン(関東化学製)1.00gを溶解したイオン交換水20.0gを滴下ロートにて1時間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌加温を維持しながら、10時間反応を行った。
反応終了後、減圧濾過によってマイクロカプセルを分離し、イオン交換水およびn−ヘキサンにて洗浄した。得られたEGDMAを包接したマイクロカプセルを得た。収率は97%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約75μmであった。カプセルの色調は淡黄色で透明性が高かった。
実施例49のEGDMAの代わりに、表10に記載した化合物を用いてマイクロカプセルを合成した。
イオン交換水150gにポリビニルアルコール(和光純薬#500)1.00gを溶解させ連続相を調製した。この調製した連続相にヘキサメチレンジイソシアナート(東京化成工業製)3.0gとエチレングリコールジメタクリレート(EGDNA)10mLの均一溶液をヒストコロンホモジナイザーにて1000rpmで23℃にて10分間攪拌し、油/水(O/W)のエマルションを調製した。
このエマルションを60℃にて加温しながらスリーワンモーター攪拌機にて500rpm下で攪拌し、水溶性モノマーとしてカルボジヒドラジド(東京化成工業製)1.00gを溶解したイオン交換水20.0gを滴下ロートにて1時間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌加温を維持しながら、10時間反応を行った。
反応終了後、減圧濾過によってマイクロカプセルを分離し、イオン交換水およびn−ヘキサンにて洗浄した。得られたEGDMAを包接したマイクロカプセルを得た。収率は97%であった。粒度解析の結果、平均粒径は約75μmであった。カプセルの色調は淡黄色で透明性が高かった。
実施例55のカルボジヒドラジドの代わりに表11に記載した水溶性モノマー類を用いてマイクロカプセルを合成した。なお、添加量は1.00gに固定した。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器に1wt%のポリビニルアルコール10g、実施例1にて合成したマイクロカプセルを5gおよびグラスアイオノマーセメントCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3分後にゲル化が生じ、9分後に完全硬化した。
基本的調合組成および操作は実施例61と同じであるが、添加するマイクロカプセルとして実施例2から実施例9の各種CX−Plus液材封入カプセルを5g用いて、ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なった。さらに、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた場合のゲル化および硬化時間を測定した。それらの試験結果を表12に示す。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器に1wt%のポリビニルアルコール10g、実施例1にて合成したマイクロカプセルを5g、実施例10にて合成したマイクロカプセルを1gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、8分後に完全硬化した。
基本的調合組成および操作は実施例70と同じであるが、添加するマイクロカプセルは実施例2から実施例9の各種CX−Plus液材封入カプセルおよび実施例11から実施例18の酒石酸封入カプセルを同様に添加しワン・ペーストグラスアイオノマーセメントの調製を行なった。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なった。さらに、このワン・ペーストグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた場合のゲル化および硬化時間を測定した。これらの結果を表13に示す。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器に1wt%のポリビニルアルコール10g、グラスアイオノマーCX−Plus液材(株式会社松風製)を5gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合した。混合中に、酸−塩基反応開始によるゲル化を生じた。
この結果から、実施例1に記載したような微小カプセルを用いずにワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製することは不可能であることが分かった。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを10g、実施例19にて合成したポリアクリル酸類を内包したマイクロカプセルを7g、実施例33にて合成した触媒(過硫酸カリウム飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5g、実施例34にて合成した触媒(アスコルビン酸飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、9分後に完全硬化した。
基本的調合組成および操作は実施例79と同じであるが、添加するマイクロカプセルは実施例20から実施例27のグラスアイオノマーCX−Plus液材およびヒドロキシカルボン酸封入カプセルを添加しワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なった。さらに、このワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた場合のゲル化および硬化時間を測定した。表14に結果を示す。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを10g、酒石酸1.0g/CX−Plus液材25mLの混合液を7g、過硫酸カリウム飽和水溶液を0.5g、アスコルビン酸飽和水溶液を0.5gおよびグラスアイオノマーCX−Plus粉材(株式会社松風製)7gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合した。混合中に、酸−塩基反応開始およびレドックス重合反応開始によるゲル化を生じた。
この結果から、実施例19、33および34に記載したような微小カプセルを用いずにワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製することは不可能であることが分かった。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用の100mLポリエチレン製容器にグラスアイオノマーCX−Plus液材(株式会社松風製)を10g、実施例42にて合成したグラスアイオノマーCX−Plus粉材およびモノマー類を内包したマイクロカプセルを10g、実施例33にて合成した触媒(過硫酸カリウム飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5g、実施例34にて合成した触媒(アスコルビン酸飽和水溶液)内包マイクロカプセルを0.5gを加え回転速度200rpmにて23℃で5分間混合し、ワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを調製した。
調製したワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から4.0分後にゲル化が生じ、10分後に完全硬化した。
本発明の一液性硬化性組成物の実施例62〜78のワン・ペーストグラスアイオノマーセメントおよび実施例79〜88のワン・ペーストレジンモディファイドグラスアイオノマーセメントを使用して、歯質と金属の接着強さおよび圧縮強さを測定した。
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用いその歯根部を削除して歯髄除去後、エポキシ樹脂包埋して用いた。同牛歯の唇面エナメル質および象牙質を耐水研磨紙80番で注水下研磨後、続いて600番で注水下研磨し、研磨した歯面を油分のない圧搾エアーで乾燥した。さらに、ステンレス棒(直径5mm、長さ12mm)の接着面を酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理を行った。
続いて、実施例62〜88のワン・ペースト(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与え、反応が開始された各ペーストを介在させて上記の接着処理済の歯面にステンレス棒を接合させ、荷重200gを負荷させて、接着界面からはみ出したペースト泥をブレードで除去した。
その後、湿度100%のウェットボックスに1時間静置し、37℃蒸留水中に浸漬した。接着から24時間後、剪断接着試験体を、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて剪断接着強さを測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表15に示す。
実施例62〜88のワン・ペースト(レジンモディファイド)グラスアイオノマーセメントを用いて、ISO規格に従って、圧縮強さ試験体(直径3mm、高さ6mm)を作製した。作製した試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて圧縮強さを測定し、n=5の平均値を求めた。その結果を表15に示す。
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸ナトリウム塩(BPBA-Na)飽和水50mLに分散させ振とう機にて23℃で一週間振とうした。
その後、このBPBA-Na飽和水を包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のイオン交換水で洗浄後、1wt%エチルセルロース/ジクロロメタン50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレーードライヤーにて入口乾燥温度80℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m3/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がエチルセルロース、内殻が酸化珪素、芯物質が1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸ナトリウム塩飽和水であるマイクロカプセルを得た。
実施例89のBPBA−Na飽和水の代わりに表16に記載した化合物の飽和水を用いてマイクロカプセルを合成した。
実施例28で得られた中空無機壁カプセル5.0gを0.05Torrの高真空状態に置き、電磁誘導攪拌機にて攪拌しながら4−アクリロキシエチルトリメリット酸(4-AET)飽和水50mLを注入した。その後、このTEGDMAを包接したマイクロカプセルを濾過分離し、極少量のエタノールで洗浄後、1wt%PVA水溶液50mLの溶液に分散させた。その懸濁液をスプレードライヤーにて入口乾燥温度100℃、供給速度50mL/分、ブロアー風量0.5m3/分、噴霧圧100kPaで瞬間的に外殻を乾燥し、外被膜がポリビニルアルコール、内殻が酸化珪素、芯物質がTEGDMAであるマイクロカプセルを得た。
実施例99のTEGDMAの代わりに表17に記載した化合物類を用いてマイクロカプセルを合成した。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用ポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを14g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2g、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)を2g、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を2g、実施例30にて合成したN,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)を内包したマイクロカプセルを0.2g、実施例96にて合成した過酸化ベンゾイル(BPO)を内包したマイクロカプセルを0.2g、実施例92にて合成した1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸(CEBA)を内包したマイクロカプセルを0.2g、ブチル化ヒドロキシトルエンを800ppm、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)2gを加え回転速度200rpmにて23℃で20分間混合し、ワン・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したワン・ペーストレジンセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
基本的調合組成および操作は実施例105と同じであるが、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を6−メタクリロキシヘキシルホスホノプロピオネート(6-MHPP)に置換し、さらに2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドを0.1g添加した以外は全て実施例105と同じにしてワン・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したワン・ペーストレジンセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に松風グリップライトII(株式会社松風社製)で可視光線照射をしたところ、瞬時に光硬化し、化学・光重合(デュアルキュアー)が可能なワン・ペーストレジンセメントであることが確認できた。
基本的調合組成および操作は実施例106のワン・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントに、D,L−カンファーキノンを0.1g、および3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)0.001gを添加した以外は全て実施例106と同じにしてワン・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したワン・ペーストレジンセメントを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、このワン・ペーストレジンセメント1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に光照射したところ瞬時に光硬化した。ここで、光照射器は、ハロゲンランプ使用の松風グリップライトII(Hal)(株式会社松風社製)、発光ダイオード(LED)照射器としてエリパーフリーライト2(LED)(3M・エスペ社製)およびキセノンランプのアポロ・エリート95E(Xe)(DMD社製)を使用した。なお、これらの照射器の照度測定波長領域は400〜515nmとした。
以上の試験結果より、このワン・ペーストレジンセメントはデュアルキュアーであり、多波長領域(400〜515nm)で光重合が可能なワン・ペーストレジンセメントであることが確認できた。
本発明の一液性硬化性組成物の実施例105〜107のワン・ペーストレジンセメントを使用して、歯質と金属の接着強さおよび曲げ強さを測定した。
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用いその歯根部を削除して歯髄除去後、エポキシ樹脂包埋して用いた。同牛歯の唇面エナメル質および象牙質を耐水研磨紙80番で注水下研磨後、続いて600番で注水下研磨し、研磨した歯面を油分のない圧搾エアーで乾燥した。
次に、光重合型歯科用ボンディング剤の「インパーバフルオロボンド」(株式会社松風社製)のプライマーA液とB液を目皿に等量採取し、マイクロブラシで混合した。マイクロブラシで混合液をエナメル質または象牙質の接着規定面にこすりつけるように塗布(ラビング処理またはアクティブ処理)し、20秒経過後、油分のない圧搾エアーで揮発成分を蒸散させた。
続いて、接着界面に斜めから松風グリップライトII(Hal:ハロゲンランプ)で20秒間光照射した。その後、剪断接着強さ試験は同試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表18に示す。
実施例93〜95のワン・ペーストレジンセメントを用いて、ISO規格に従って3点曲げ試験を行った。試作ワン・ペーストレジンセメントを採取し、プラスチックスパチュラで曲げ試験体の金型に充填しカバーガラスで圧接後、松風グリップライトII(株式会社松風社製)で30秒間光照射して曲げ試験体(25×2.0×2.0、mm)を作製し、37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=5の平均値を求めた。その結果を表18に示す。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用ポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを14g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2g、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)を2g、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を2g、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)を0.2g、過酸化ベンゾイル(BPO)を0.2g、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸(CEBA)を0.2g、ブチル化ヒドロキシトルエンを800ppm、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)2gを加え回転速度200rpmにて23℃で20分間混合した。混合中に、レドックス重合反応開始によるゲル化を生じた。
この結果から、実施例30、96および92に記載したような微小カプセルを用いずにワン・ペーストグラスアイオノマーセメントを調製することは不可能であることが分かった。
本発明の硬化性組成物を1液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。マイクロカプセルとして、実施例31で合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのマイクロカプセル(カプセル31)、実施例97で合成した2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)(カプセル97)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(Bis-GSol.)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)、D,L−カンファーキノン(CQ)、重合促進剤として、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸(BPBA)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸(DMBE)、ジ−n−オクチル錫ジラウレート(Tin-Lau)、アセトン、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して、表19に示す組成で1液1ステップ型光重合性ボンディング剤を調製した。
続いて、実施例88に準じて、エナメル質および象牙質を用意して、歯面に残存する水を利用して光重合性ボンディング剤を塗布して20秒放置後光重合コンポジットレジン「ビューティフィル」(株式会社松風製)と接合して30秒間光重合して試験体を作製し、37℃水中浸漬24時間後、実施例88に準じて剪断接着試験を行った。結果を表19に示す。
本発明の硬化性組成物を1液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。
実施例31で合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのマイクロカプセル(3重量部)、実施例97で合成した2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)(2重量部)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)(15重量部)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)(20重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(7重量部)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(28重量部)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)(1重量部)、CQ(1重量部)、クマリン化合物として、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)(0.005重量部)、アセトン(30重量部)、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して「ボンドA」を調製した。
「ボンドA」のクマリン化合物のみを3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)(0.005重量部)に置換して「ボンドB」を調製した。
「ボンドA」および「ボンドB」の6−MHPAを6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)(15重量部)に置換して「ボンドC」および「ボンドD」を調製した。
1液1ステップ型光重合性ボンディング剤、ボンドA〜Dを用いて、実施例108に準じて剪断接着試験を行った。結果を表20に示す。
クマリン化合物の可視光増感効果とマイクロカプセルに包接されたAPO−Naやα−ジケトンなどの光重合開始剤の共存により、広い領域での波長に対応して、3種の光照射器を使用した場合でも高い接着強さを示したものと考えられる。
ノンバブリングニーダーNBK−2(シンキー社製)用ポリエチレン製容器にBis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを14g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2g、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)を2g、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を2g、実施例96にて合成した過酸化ベンゾイル(BPO)を内包したマイクロカプセルを0.2g、実施例92にて合成した1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸(CEBA)を内包したマイクロカプセルを0.2g、ブチル化ヒドロキシトルエンを800ppm、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)2gを加え回転速度200rpmにて23℃で20分間混合し、ペーストAを調製した。同様に、Bis−GMA/TEGDMA(40/60、wt%)の混合モノマーを20g、実施例30にて合成したN,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)を内包したマイクロカプセルを0.2g、シラン処理シリカフィラー(平均粒子径:5μm)を40g、超微粒子フィラー(アエロジルR−972)2gを混合してペーストBを調製した。
調製したペーストAおよびペーストBを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。また、この混合ペーストは超音波振動の負荷なしでは1日後も泥状を保った。
基本的調合組成および操作は実施例122と同じであるが、6−メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)を6−メタクリロキシヘキシルホスホノプロピオネート(6-MHPP)に置換し、さらに2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドを0.1g添加した以外は全て実施例122と同じにしてツー・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したツー・ペーストレジンセメントのペーストAおよびペーストBを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3.5分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に松風グリップライトII(株式会社松風社製)で可視光線照射をしたところ、瞬時に光硬化し、化学・光重合(デュアルキュアー)が可能なツー・ペーストレジンセメントであることが確認できた。また、この混合ペーストは超音波振動の負荷なしでは遮光カバーの下、1日後も泥状を保った。
基本的調合組成および操作は実施例123のツー・ペーストデュアルキュアー型レジンセメントのペーストBに、D,L−カンファーキノンを0.1g、および3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)0.001gを添加した以外は全て実施例123と同じにしてツー・ペーストレジンセメントを調製した。
調製したツー・ペーストレジンセメントのペーストAおよびペーストBを密閉性容器に充填し50℃での強制試験を行なったが、3ヶ月経過後もゲル化は認められなかった。また、暗室にて、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えたところ、23℃にて振動開始から3分後にゲル化が生じ、6分後に完全硬化した。
一方、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与えた後、2分後に光照射したところ瞬時に光硬化した。ここで、光照射器は、ハロゲンランプ使用の松風グリップライトII(Hal)(株式会社松風社製)、発光ダイオード(LED)照射器としてエリパーフリーライト2(LED)(3M・エスペ社製)およびキセノンランプのアポロ・エリート95E(Xe)(DMD社製)を使用した。なお、これらの照射器の照度測定波長領域は400〜515nmとした。
以上の試験結果より、このツー・ペーストレジンセメントはデュアルキュアーであり、多波長領域(400〜515nm)で光重合が可能なツー・ペーストレジンセメントであることが確認できた。
本発明の二分割性硬化性組成物の実施例122〜124のツー・ペーストレジンセメントを使用して、歯質と金属の接着強さおよび曲げ強さを測定した。
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用いその歯根部を削除して歯髄除去後、エポキシ樹脂包埋して用いた。同牛歯の唇面エナメル質および象牙質を耐水研磨紙80番で注水下研磨後、続いて600番で注水下研磨し、研磨した歯面を油分のない圧搾エアーで乾燥した。
次に、光重合型歯科用ボンディング剤の「インパーバフルオロボンド」(株式会社松風社製)のプライマーA液とB液を目皿に等量採取し、マイクロブラシで混合した。マイクロブラシで混合液をエナメル質または象牙質の接着規定面にこすりつけるように塗布(ラビング処理またはアクティブ処理)し、20秒経過後、油分のない圧搾エアーで揮発成分を蒸散させた。
続いて、接着界面に斜めから松風グリップライトII(Hal:ハロゲンランプ)で20秒間光照射した。その後、剪断接着強さ試験は同試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表21に示す。
実施例122〜124のツー・ペーストレジンセメントを用いて、ISO規格に従って3点曲げ試験を行った。試作ツー・ペーストレジンセメントを採取し、ペーストAおよびペーストBの等量混合ペースト1gに出力200W−20kHzの超音波振動を23℃にて10秒間与え、反応が開始された各ペーストをプラスチックスパチュラで曲げ試験体の金型に充填しカバーガラスで圧接後、松風グリップライトII(株式会社松風社製)で30秒間光照射して曲げ試験体(25×2.0×2.0、mm)を作製し、37℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて測定し、n=5の平均値を求めた。その結果を表21に示す。
本発明の硬化性組成物を2液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。マイクロカプセルとして、実施例42に準じて合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのPVAマイクロカプセル(カプセルA)、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)のPVAマイクロカプセル(カプセルB)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(Bis-G Sol.)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)、D,L−カンファーキノン(CQ)、重合促進剤として、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸(BPBA)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸(DMBE)、ジ−n−オクチル錫ジラウレート(Tin-Lau)、アセトン、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して、表22に示す組成で2液1ステップ型光重合性ボンディング剤を調製した。
続いて、実施例88に準じて、エナメル質および象牙質を用意して、ボンディング剤と蒸留水との等量を目皿で混合して、超音波振動を負荷することなく、混合液を歯面に塗布して20秒間放置後、20秒間光重合し、さらに、光重合コンポジットレジン「ビューティフィル」(株式会社松風製)と接合して30秒間光重合して試験体を作製し、37℃水中浸漬24時間後、実施例88に準じて剪断接着試験を行った。結果を表22に示す。
本発明の硬化性組成物を2液1ステップ型光重合性ボンディング剤としての態様で検討した。
実施例125で合成したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムのマイクロカプセルA(3重量部)、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド・ナトリウム(TBPO-Na)のマイクロカプセルB(2重量部)、ラジカル重合性モノマーとして6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノアセテート(6-MHPA)(15重量部)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)(20重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(7重量部)、Bis−GMA/TEGDMA(=60/40、wt%)(28重量部)、重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド(TBPO)(1重量部)、CQ(1重量部)、クマリン化合物として、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)(0.005重量部)、アセトン(30重量部)、およびアエロジルR−972(3重量部)を混合して「ボンドA」を調製した。
「ボンドA」のクマリン化合物のみを3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)(0.005重量部)に置換して「ボンドB」を調製した。
「ボンドA」および「ボンドB」の6−MHPAを6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート(6-MHPP)(15重量部)に置換して「ボンドC」および「ボンドD」を調製した。
2液1ステップ型光重合性ボンディング剤、ボンドA〜Dを用いて、実施例125に準じて剪断接着試験を行った。結果を表23に示す。
クマリン化合物の可視光増感効果とマイクロカプセルに包接されたAPO−Naやα−ジケトンなどの光重合開始剤の共存により、広い領域での波長に対応して、3種の光照射器を使用した場合でも高い接着強さを示したものと考えられる。
芯物質として過酸化ベンゾイル(BPO)、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)、1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)、および壁材ポリマーとしてポリエチルメタクリレート(PEMA)であるマイクロカプセルを合成した。平均粒子径は30μmであった。合成したマイクロカプセルを用いて、ポリマー粉末/モノマー液タイプの接着性レジンセメントの検討を行った。
BPOカプセル、DEPTカプセル、TMBAカプセル、ポリメチルメタクリレート粉末(PMMA)、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートのコポリマー粉末(PMMA-PEMA)、ポリエチルメタクリレート粉末(PEMA)、球状シリカフィラー、微粒子フィラー(アエロジルR−972:日本アエロジル社製)、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(DEPT)、1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)、メチルメタクリレート(MMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、過酸化ベンゾイル(BPO)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、4−アクリロキシエチルトリメリット酸(4-AET)、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)、6−メタクリロキシヘキシルー3−ホスホノアセテート(6-MHPA)、および10−(メタ)アクリロイルオキシデシル6,8−ジチオクタネート(10-MDDT)を用いて、表1の組成でポリマー粉末/モノマー液タイプの接着性レジンセメントを表24に準じて調製した。
本発明の実施例139〜142および比較例8〜11の硬化性組成物を使用して、歯質の象牙質と金属の接着強さおよび貴金属接着強さを測定した。
[剪断接着試験]
象牙質とステンレス棒の接着試験を実施例124に準じて実施して、象牙質−金属接着強さを測定した。貴金属接着強さについて、松風アルゴンキャスター(株式会社松風社製)で鋳造した金合金の松風スーパーゴールドType4(株式会社松風社製)(直径:6mm、長さ:2mm)をエポキシ樹脂包埋して用いた。同金合金の接着面を耐水研磨紙600番で注水下研磨後、酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理後、油分のない圧搾エアーで乾燥した。
続いて、貴金属接着性プライマー「メタルリンク」(株式会社松風社製)を同金合金の接着面に塗布して乾燥した。さらに、ステンレス棒(直径5mm、長さ12mm)の接着面を酸化アルミニウム粉末を吹き付けてサンドブラスト処理を行った。
続いて実施例139〜142および比較8〜11を使用して、粉/液比=2/1で混合したポリマー粉末/モノマー液タイプの接着性レジンセメント泥を介在させて上記の接着処理済の歯面にステンレス棒を接合させ、荷重200gを負荷させて、接着界面からはみ出したセメント泥をブレードで除去した。
その後、同試験体を37℃蒸留水中24時間浸漬した。次いで、剪断接着試験体を、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて剪断接着強さを測定し、n=7の平均値を求めた。その結果を表25に示す。
粉材と液材を強制的に40℃、湿度75%にて1ヶ月間放置して、同様な接着試験を測定した。さらに、サーミスタ法により、硬化時間を測定した。これらの結果を表25に示す。
これに対し、重合開始剤をマイクロカプセル化した本発明の実施例139〜142の接着性レジンセメントの初期および加速した40℃−1ヶ月後の接着強さおよび硬化時間は殆ど変化することもなく粉材の流動性と操作性は安定することが明らかとなった。
Claims (26)
- 微小カプセルを含有する一液性硬化性組成物。
- 微小カプセルに内包される芯物質が、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、重合促進剤、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
- 微小カプセルを包み込む物質が、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、重合促進剤、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
- 微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
- 外力を与えることによって微小カプセルが崩壊して、内包する芯物質を放出することを特徴とする請求項2記載の一液性硬化性組成物。
- 外力が、電磁波、磁界、超音波、圧力、熱、振動またはそれらの2以上の組合せであることを特徴とする請求項5記載の一液性硬化性組成物。
- 内包する芯物質が放出された後に、硬化反応が開始することを特徴とする請求項5記載の一液性硬化性組成物。
- 内包する芯物質が放出された後に、化学反応する化学反応工程;光照射により光硬化反応する光硬化反応工程;または化学反応工程に引き続き光照射により光硬化反応する化学光硬化反応工程のいずれかを経ることを特徴とする請求項5記載の一液性硬化性組成物。
- 光重合開始剤として、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類もしくはその塩、α−ジケトン類、またはクマリン化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の一液性硬化性組成物。
- 微小カプセルを含有するラジカル重合型の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルに内包される芯物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項10記載の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルを包み込む物質が、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、重合促進剤、有機高分子化合物、酸反応性フィラーまたは酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の物質の組合せであることを特徴とする請求項10記載の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする請求項10記載の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルを含有する酸−塩基反応型の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルに内包される芯物質が、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の組合せであることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルを包み込む物質が、電解質高分子、電解質高分子水溶液、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸水溶液、酸反応性フィラーおよび酸不活性フィラーよりなる群から選択される物質または共存可能なそれら2以上の組合せであることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルの壁材物質が、有機化合物、無機化合物または有機・無機複合化合物であることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルに内包される芯物質または微小カプセルを包み込む物質に、さらに、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤および重合促進剤からなる群から選択される物質が配合されていることを特徴とする請求項14記載の二分割性硬化性組成物。
- 微小カプセルが崩壊して、内包する芯物質を放出することを特徴とする請求項10または14記載の二分割性硬化性組成物。
- 外力を与えることによって、微小カプセルが崩壊することを特徴とする請求項19記載の二分割性硬化性組成物。
- 外力が、電磁波、磁界、超音波、圧力、熱、振動またはそれらの2以上の組合せであることを特徴とする請求項20記載の二分割性硬化性組成物。
- 二つの分割部分を混合したときに微小カプセルの壁材物質が溶解することによって、微小カプセルが崩壊することを特徴とする請求項19記載の二分割性硬化性組成物。
- 粉・液タイプ、粉・ペーストタイプ、ペースト・ペーストタイプ、液・液タイプ、またはペースト・液タイプであることを特徴とする請求項10または14記載の二分割性硬化性組成物。
- 溶剤、カップリング剤、変成剤、増粘剤、染料、顔料、重合調整剤および重合抑制剤よりなる群から選択される化合物またはそれらの2以上の化合物が配合されていることを特徴とする請求項1、10または14記載の硬化性組成物。
- 微小カプセルの構造がコア/シェル型(芯物質/壁物質型)、コア/コア分散シェル型(芯物質/芯物質固溶体壁物質型)または芯物質固溶体物質型であることを特徴とする請求項1、10または14記載の硬化性組成物。
- 医科・歯科用に用いることを特徴とする請求項1ないし25いずれか1記載の硬化性組成物。
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