明 細 書
歯科用コンポジットレジンセメント、歯科用プライマー、およびそれらを含 む歯科用接着剤キット
技術分野
[0001] 本発明は、天然歯牙のエナメル質や象牙質等の生体硬組織の基体に、金属、セラ ミックス、高分子材料等の歯科用補綴修復材を接着するための 2ペースト型歯科用コ ンポジットレジンセメントに関する。本発明のコンポジットレジンセメントは、優れた操 作性と貯蔵安定性を有することを特徴とする。
また、本発明は、 2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントと天然歯牙のェナメ ル質ゃ象牙質等の生体硬組織の基体との接着性を向上させる歯科用プライマーに 関する。
さらに、本発明は、これらの 2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントと歯科用 プライマーとを含む歯科用接着剤キットも提供する。
背景技術
[0002] う蝕等により比較的大きな損傷を受けた歯の修復には、セラミックス、高分子材料、 金属力らなるクラウン、ブリッジ、インレー、アンレー等をレジンセメント用いて、接着さ せることが一般的である。
レジンセメントには、その機械的強度および、歯の硬組織に対する十分な接着力が 要求される。さもな 、と過酷な口腔環境下での長期使用により脱落する可能性がある のみならず、レジンセメントと歯質の界面で間隙を生じ、そこから細菌が侵入して歯髄 に悪影響を与えるおそれがあるためである。
[0003] レジンセメントは、ポリメチノレメタタリレート(PMMA)タイプおよびコンポジットタイプ に大別される。 PMMAタイプのレジンセメントは、 PMMAおよびメチルメタタリレート からなり、機械的強度においては劣るものの、耐衝撃性および様々な材料に対する 接着性に優れる。一方、コンポジットタイプのレジンセメントは、歯科用重合性モノマ 一と、有機複合材料、ガラス、シリカなどのフイラ一力もなり、接着性に加えて、曲げ強 度や圧縮強度などの硬化後の材料特性が優れている。したがって、歯科の臨床では
、 目的や症例に応じて両タイプのレジンセメントを使い分けている。
[0004] 近年では、審美性を有する歯科用補綴修復材の接着用としてレジンセメントを用い る要望が高ぐこの用途のためのレジンセメントには、高い機械的強度が要求される。 したがって、この分野では、機械的強度に優れたコンポジットタイプのレジンセメント が用いられている。このコンポジットレジンセメントには、高い機械的強度を達成する ため、一般に、フィラーの充填率は 50重量部以上のものである。
[0005] 従来のコンポジットレジンセメントは、例えば、フィラー(セメント粉末)とモノマー液の 2包装状態で提供され、使用直前に粉体と液体とを練和する形態の粉液タイプが主 流であつ 7こ。
特許第 1784478号明細書 (特許文献 1)には、メチルメタタリレート等のラジカル重 合性単量体ならびに、有機過酸化物、ァミン、バルビツール酸誘導体および酸無水 物またはリン酸エステルを硬化剤とする歯科用修復組成物が開示されている。
し力しながら、このような粉液タイプのレジンセメントは、練和における操作性の観点 から、臨床的に満足できるものとはいえない。
[0006] そこで、粉体と液体との練和操作の煩雑さを回避するため、予め 2種類のペーストを 作製し、 2つのペーストを練和する 2ペースト型レジンセメントの要求が高まって!/、る。 このようにペーストを練和する操作は粉液練和と比較し、練和時間の短縮や術者の 個人差が少な 、ため、臨床家にとって好ま U、形態と!/、える。
[0007] レジンセメントが硬化する機構には、化学重合と光重合があるが、一般的に化学重 合のみでは、レジンセメントの表面硬化性が低ぐセメントが露出した表面に未重合 層が形成される。これは、空気中の酸素によって、重合が阻害されるためである。一 方、光重合のみでは、クラウンなどの光透過性の低い補綴修復材料を接着する場合 やう蝕により生じた窩洞を充填する場合、光が到達しない部位が存在するため、レジ ンセメントを十分に硬化させることが困難である。
光照射による光重合により表面部位の硬化を促進しつつ、光透過性の低い補綴修 復材料にも用いることができるよう、光の到達しな 、部位にぉ 、ても十分に重合硬化 させるために、光重合に加え、化学重合機能を有するデュアルキュア一型レジンセメ ントが主流となっている。
[0008] このようなデュアルキュア一型のコンポジットレジンセメントには、多種の重合性単量 体や、酸化還元型重合開始剤等の反応性成分が含有されることになる。
従来の粉液タイプのレジンセメントの場合、練和前の包装状態であれば、各種の成 分同士の反応を懸念する必要がな力つた力 2ペースト型コンポジットレジンセメント の場合、ペースト中で各種の成分同士が反応してしまい、ペーストの貯蔵安定性が 低下するおそれがある。
[0009] したがって、現在、歯科補綴修復の分野では、機械的強度および操作性に優れた デュアルキュア一型の 2ペースト型コンポジットレジンセメントに、さらに貯蔵安定性を 付与することが望まれている。
[0010] また、歯質のような生体硬組織に対するコンポジットレジンセメントの接着性を向上 させるため、歯質表面へのコンポジットレジンセメントの適用に先立ち、歯質の表面を 前処理するプライマーが用いられてきた。
特許第 2670522号明細書 (特許文献 2)には、歯質のような硬質組織に用いられる プライマー組成物が開示されている。このようなプライマーの働きは、歯の表面を酸ェ ツチングにより脱灰して、粗造面を形成することにある。その粗造面上の微細構造内 にレジンセメントが侵入し、その状態でレジンセメントが硬化することによって、レジン セメントと歯面との機械的な結合が形成されて接着する機構が考えられる。
上記のように酸エッチングによる脱灰は歯質にダメージを与えることになる。また、 歯の硬組織はエナメル質および象牙質力 なり、臨床的には双方への接着が要求さ れるが、親水性に富む象牙質面に対するレジンセメントの接着強度は十分とは 、え ない。
[0011] 特許第 2634276号明細書 (特許文献 3)には、歯質にダメージを与えるような酸処 理等の処理を行うことなぐエナメル質および象牙質の双方に対するレジンセメントの 接着性を向上させるプライマーが開示されている。
このプライマーは、カルボキシル基やリン酸基などの酸基を有する重合性ィ匕合物を 含有する。
[0012] 特許第 2865794号明細書 (特許文献 4)には、酸基を含有する重合性化合物とし て、 (a)—般式 (I) :
[0013] [化 1]
R1 O
H2C=C-C-0-R2 0-C-R3-P-OH (!)
II I I I
O O OH
[式中、 R1は水素原子またはメチル基、 R2は炭素原子数 5〜: LOのアルキレン基、 R3 は炭素原子数 1〜6のアルキレン基を示す。 ]で示されるホスホン酸基を含む (メタ)ァ クリル酸エステル誘導体、(b)少なくとも一種のラジカル重合性単量体および (c)少な くとも一種の重合開始剤を含有する接着剤組成物が開示されている。(メタ)アクリル 酸エステル誘導体に含まれるホスホン酸基を歯質に塗布すると、ホスホン酸基が歯 質のカルシウム成分と化学結合し、その結果、歯質表面に重合性基を付与すること ができる。この重合性基とレジンセメント中の他の重合性単量体とが共重合することに よって、レジンセメント等の歯質に対する接着性を向上させることができる。
この接着剤組成物は、歯科用接着剤組成物、歯科用複合充填剤、歯冠用硬質レ ジン接着剤等を包含し、例えば、上記の組成物にシリカ等の粉剤を添加すれば、接 着性レジンセメントを製造することができる。
[0014] 特許第 3449755号明細書 (特許文献 5)には、酸基を含有する重合性化合物とし て、(a)ホスホン酸基等の酸性基を有するビニル化合物、(b)水酸基を有する水溶性 ビニル化合物、(c)水、(d)芳香族スルフィン酸塩および (e)芳香族第二または第三 アミンを含有するプライマー組成物が開示されている。このプライマー組成物は、特 定のアクリル系接着剤と組み合わせて接着剤キットとして提供され、この特定のアタリ ル系接着剤には酸性基を有するアクリル系モノマーが用いられる。
この接着剤キットによれば、歯牙エナメル質および象牙質に対して高い接着力が得 られる力 酸性基を有するビ-ルイ匕合物をレジンセメントに用いた場合、重合硬化が 抑制され、十分なる硬化体が得られな!/、と!、う問題がある。
[0015] 特開平 10— 251115号公報 (特許文献 6)には、酸基を含有する重合性化合物と して、(A)リン酸基含有重合性単量体、(B)多価カルボン酸基含有重合性単量体及 び (C)水を主成分とする歯科用プライマーが開示されて 、る。
この歯科用プライマーによれば、象牙質およびエナメル質双方に 20MPa以上の高
い接着強さが得られる。
[0016] 特開 2000— 204010号公報 (特許文献 7)には、酸基を含有する重合性化合物と して、(A)スルホン酸含有重合性単量体、(B)水溶性重合性単量体および (C)水を 含有するプライマー組成物が開示されている。このプライマー組成物は、特定の接着 剤と組み合わせて歯科用接着キットとして提供され、この特定の接着剤には酸性リン 酸エステル系多官能性重合性単量体が用いられる。
この歯科用接着キットによれば、象牙質およびエナメル質双方に 20MPa以上の高 い接着強さが得られる。
[0017] し力しながら、特許文献 4ないし 7に開示されたいずれの歯科用プライマー組成物 も、 2ペースト型のデュアルキュア一'コンポジットレジンセメントに対して使用した場合 、エナメル質および象牙質の双方に対して十分な接着力を付与できる力否かは明ら かではない。
[0018] 特許文献 1 :特許第 1784478号明細書
特許文献 2:特許第 2670522号明細書
特許文献 3:特許第 2634276号明細書
特許文献 4:特許第 2865794号明細書
特許文献 5:特許第 3449755号明細書
特許文献 6:特開平 10— 251115号公報
特許文献 7:特開 2000 - 204010号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0019] 本発明は、このような現状に鑑み、機械的強度、操作性および貯蔵安定性に優れ 、かつ、光透過性の低い補綴修復材料にも用いることができる、 2ペースト型のデュア ルキュア一'歯科用コンポジットレジンセメントならびに歯牙のエナメル質および象牙 質の双方に対する歯科用コンポジットレジンセメントの接着性を著しく向上させる歯科 用プライマーを提供する。
課題を解決するための手段
[0020] 本発明は、優れた操作性および貯蔵安定性を有する歯科用レジンセメント組成物
として、以下の成分:
(a)ラジカル重合性単量体;
(b)フルォロアルミノシリケートガラスフィラー;
(c)一(1)有機過酸化物;
(c)一(2)バルビツール酸類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩; (c)— (3)光重合開始剤;
(c) - (4)芳香族第二または第三アミン;および
(d)棚寿命安定剤
を含有し、かつ、水を含まない 2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントを提供す る。
[0021] 本発明の 2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントは、レジンセメント組成全体 を 100重量部としたとき、
20. 0-45. 0重量部の成分(a)ラジカル重合性単量体;
50. 0〜80. 0重量部の成分(b)フルォロアルミノシリケートガラスフィラー; 0. 1〜0. 5重量部の成分 (c)一(1)有機過酸ィ匕物;
0. 1〜2. 0重量部の成分(c)一(2)バルビツール酸類のアルカリ金属またはアル カリ土類金属の塩;
0. 05〜: L 0重量部の成分 (c)一(3)光重合開始剤;
0. 1〜0. 5重量部の成分 (c)— (4)芳香族第三アミン;および
0. 02〜0. 2重量部の成分 (d)棚寿命安定剤を含有することを特徴とする。ただし
、各成分の合計は 100重量部を超えないものとする。
[0022] また、本発明は、エナメル質および象牙質を含む歯の硬組織に対する上記コンポ ジットレジンセメントの接着性を向上させる歯科用プライマーとして、以下の成分:
(e)水;
(f)一般式 (I) :
[0023] [化 2]
R1 0
H2C=C-C-0-R2 0-C-R3-P-OH (I)
II I I I
0 0 OH
[式中、 R1は水素原子またはメチル基、 R2は炭素原子数 5〜: LOのアルキレン基、 R3 は炭素原子数 1〜6のアルキレン基を示す。 ]で示される重合性単量体;
(g)二塩基性カルボキシル基または酸無水物残基を有する重合性単量体;
(h)バルビツール酸類;および
(i)ァミン;
を含有する歯科用プライマーを提供する。
[0024] 本発明の歯科用プライマーは、プライマー組成全体を 100重量%としたとき、
20. 0〜60. 0重量%の成分(e)水;
2. 0〜10. 0重量%の成分 (f)一般式 (I)で示される重合性単量体;
5. 0〜25. 0重量%の成分 (g)二塩基性のカルボキシル基を有する重合性単量体 および酸無水物基を有する重合性単量体;
1. 0〜5. 0重量%の成分(h)バルビツール酸類;および
1. 0〜5. 0重量%の成分 (i)アミンを含有することを特徴とする。さらに、 50. 0重量 %以下の成分 (j)水酸基を有するラジカル重合性単量体を含有することを特徴とする 。ただし、各成分の合計は 100重量%を超えないものとする。
[0025] さらに、本発明は、生体硬組織、特にエナメル質や象牙質の基体に、酸処理等の 処理を行なうことなぐ 2ペースト型コンポジットレジンセメントの操作性および貯蔵安 定性を確保しつつ、コンポジットレジンセメントに強固な接着性と高 、耐久性を付与 すべぐ本発明の歯科用コンポジットレジセメントおよび歯科用プライマーからなる歯 科用接着剤キットも提供する。
[0026] 本発明にお 、て使用する成分 (a)のラジカル重合性単量体は、限定されな!、が、 酢酸ビュル、アクリロニトリル、スチレン、 (メタ)アクリル酸、メチル (メタ)アタリレート、 ェチル (メタ)アタリレートなどの (メタ)アタリレートおよび水酸基やハロゲンによるその アルキル側鎖置換体、メトキシジエチレングリコール (メタ)アタリレート、メトキシポリエ チレングリコール (メタ)アタリレート、エチレングリコールジ (メタ)アタリレート、トリェチ レングリコールジ(メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールジ (メタ)アタリレート、プロ ピレンダリコール (メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールジ (メタ)アタリレート、ネ ォペンチルグリコールジ (メタ)アタリレート、 2,2'—ビス(4— (メタ)ァクロキシプロポキ
シフエ-ル)プロパン、 2,2'—ビス(4— (メタ)アタリロキシエトキシフエ-ル)プロパン、
2,2'—ビス [4— (3— (メタ)アタリロイ口キシ一 2—ヒドロキシプロボキシ)フエ-ル]プロ パン、ビスフエノール Aジグリシジル (メタ)アタリレート、ジァリルフタレート、トリアリルシ ァヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アタリレート、トリメチロールェタントリ(メタ) アタリレート、テトラメチロールメタンテトラ (メタ)アタリレート、エポキシ一(メタ)アタリレ ートおよびジ一 2— (メタ)アタリロイ口キシェチル一 2,2,4 -トリメチルへキサメチレン ジカルバメートなどのウレタンジメタタリレート(UDMA)またはシラノール基を含む重 合性単量体、例えば γ—メタクリロイロキシプロピルメトキシシラン等を含む。
これらのラジカル重合性単量体は、単独または、適宜組合せて使用される力 ジー
2— (メタ)アタリロイ口キシェチル一 2,2,4—トリメチルへキサメチレンジ力ルバメートと トリエチレングリコールジ (メタ)アタリレートや 2,2'—ビス [4— (3- (メタ)アタリロイロキ シ一 2—ヒドロキシプロボキシ)フエ-ル]プロパンとトリエチレングリコールジ (メタ)ァク リレートとの組合せが好まし 、。 上記ラジカル重合単量体の配合量は、レジンセメント組成全体を 100重量部とした とき、通常 20. 0〜45. 0重量部、好ましくは 20. 0〜40. 0重量部、さらに好ましくは 、 20. 0〜35. 0重量部である。ラジカル重合単量体の配合量が 20. 0重量部より少 ないとペーストの粘性が高ぐ 45. 0重量部より多いとペーストの粘性が低ぐレジンセ メントとして使用に適するペースト性状が得られな!/、。
[0027] 本発明にお 、て使用する成分 (b)のフルォロアルミノシリケートガラス (FASG)フィ ラーは、公知のガラス製造方法により製造することができる。例えば、シリカ、アルミナ 、水酸ィ匕アルミニウム、硅酸アルミニウム、ムライト、硅酸カルシウム、硅酸ストロンチウ ム、硅酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム、フッ化スト ロンチウム、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウムなど力も選択されたガラス原料を 100 o°c以上の高温で溶解し冷却後、粉砕してガラス組成物を製造することができる。
[0028] 本発明に用いるガラス組成物の好まし!/、組成は、ガラス組成全体を 100モル%とし たとき、以下の酸化物:
酸化カルシウム(CaO) 5〜40モル0 /0 ;
シリカ(SiO ) 15〜70モノレ0 /0 ;
ァノレミナ (Al O ) 10〜50モノレ%;
2 3
酸化ナトリウム (Na O) 0〜7モル%;
2
五酸化リン (P 0〜7モル%;
2 o 5 )
および
フッ化物(Fとして) 5〜20モノレ0 /0
を含む。ただし、各成分の合計は 100モル%を超えないものとする。
[0029] 上記組成物において、酸ィ匕カルシウムに代えて、いずれのアルカリ土類金属の酸 化物であっても使用できる。また、アルカリ土類金属の少なくとも一部は、ランタン、ガ ドリ-ゥムまたはイッテルビウム等のランタ-ド金属で置き換えてもよい。
さらに、これらのガラス組成物中、一部またはすベてのアルミナをアルミニウム以外 の ΙΠ族の金属で置き換えてもよい。同様にして、ガラス組成物中のシリカの一部を酸 化ジルコニウムまたは酸ィ匕チタニウムで置き換えてもよ 、。 X線不透過性とするため、 ガラス組成物にストロンチウム、ランタン、ガドリニウム、イッテルビウムまたはジルコ- ゥムを用いることができる。
[0030] 本発明に用いるフッ素含有ガラスは、従来力ものどの方法によって調製してもよい 力 好ましくは溶融法、ゾルーゲル法により製造する。これは例えば、可溶性アルミ- ゥム化合物と可溶性シリコンィ匕合物を含有する第 1溶液を、 Π族金属の可溶性化合 物を含有する第 2溶液とを反応させ、得られたゲルを熱乾燥または凍結乾燥により乾 燥させて回収する方法である。この方法を使用すると、フラックス剤のごとき通常のガ ラスの製造に用いられる添加剤の使用を避け、比較的低 、温度を用いることができる ことになる。このため、今までより透明度の高いガラスが得られる。
[0031] 有機金属または無機塩のアルコール溶液のごとき他の化合物をゾルの段階で添カロ して 2価または 3価のガラスを得てもょ 、。
ゲルィ匕速度を速めるために、酸性または塩基性溶媒をこのゾル—ゲル反応混合物 へ添加してもよ 、。この方法により比較的低温にて均質な耐火性ガラスが得られる。 このゾルーゲル法は、特にガドリニウムを導入したガラスの製造および以下の 5つの 成分: X O — CaO— AI O— SiO— F (式中 X O は X線不透過性物質の酸化物 n m 2 3 2 n m
である。)を含有するガラスの製造に特に適している。
このような 5成分ガラスは製造するのが難しい。しかしながらゾルーゲル法によれば ガラスを容易に製造することが可能となる。
[0032] CaO源としてイソブチルアルコールとエタノール中のアルミニウム第 2ブトキシド(As b)、 SiO源としてテトラエチルシリケート、 F源として 40%フッ化水素酸、 Gd O源と
2 2 3 してエタノール易溶性の Gd (NO ) またはメタノール溶液と置換してもよい。
3 3
[0033] さらに、酸化カルシウムは 50°Cでエタノールに溶解させた無水 Ca (NO ) と置換し
3 2 てもよい。これらの溶液は 50°Cで力きまぜながら混合する。これをその後 70°Cで還流 してもよい。乾燥後、物質を柔らカ 、うちに粉砕し、その後 400から 500°Cの温度で 乾燥させる。これを必要なサイズとなるようさらに粉砕する。本発明に用いる FASGは 従来の溶融法により得られたものであってもよい。
[0034] 本発明において、平均粒径が 0. 1〜: ίΟ /ζ πι、好ましくは 0. 1〜5 111の?八30フィ ラーを用いることができる。また、フ FASGフイラ一は、セメント本体の材料強化の目 的でフイラ一として使用される。重合性単量体などのレジン成分との親和性を向上さ せる目的から、 FASGフイラ一は通法によりシラン処理を施すことが望ましい。シラン 処理剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラ ン、 Ί—メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、 γ—メルカプトプロピルトリメトキ シシラン、 γ—ァミノプロピルトリエトキシシランが例示される。
[0035] 本発明の FASGフィラーの配合量は、レジンセメント組成全体を 100重量部としたと き、 50. 0〜80. 0重量部、好ましくは 50. 0〜77. 0重量部である。 50. 0重量部より 少ないとフイラ一の沈降、すなわち、液浮き現象を生じ、 80. 0重量部より多いとぺー ストの流動性が著しく低下し、セメントとしての機能が低下する。
また、本発明で使用するフルォロアルミノシリケート以外の添加物として、フィラーの 沈降を防止するために、成分 (b' )として、超微粒子フィラーを用いることができる。
[0036] 本発明において使用する成分 (c) - (1)の有機過酸ィ匕物は、限定されないが、ベ ンゾィルパーォキシド、 4,4' ージクロルベンゾィルパーォキシド、 2,4 ジクロルベン ゾィルパーォキシド、ジラウリルパーォキシド、メチルェチルケトンパーォキシド、 t ブチルパーォキシマレイツクアシッドおよびスクシニックアシッドおよびパーォキシド等 を含む。なかでも、 t ブチルパーォキシマレイツクアシッドスクシニックアシッドパー
ォキシド、ベンゾィルパーォキシドおよび 4,4'ージクロルベンゾィルパーォキシドが特 に好ましい。
[0037] 本発明にお 、て使用する成分 (c) (2)のノ レビツール酸類のアルカリ金属また はアルカリ土類金属の塩は、限定されないが、 5— n—ブチルバルビツール酸ナトリウ ム塩、 5— n—ブチルバルビツール酸カルシウム塩、 1一べンジルー 5 フエ-ルバル ビツール酸ナトリウム塩、 1一べンジルー 5 フエ-ルバルビツール酸カルシウム塩、 1,3,5-トリメチルバルビツール酸ナトリゥム塩、 1,3,5 トリメチルバルビツール酸力 ルシゥム塩等を含む。
[0038] 本発明において使用する(c) - (3)の光重合開始剤は、限定されないが、ベンゾィ ンメチノレエーテノレ、ベンゾインェチノレエーテノレ、ベンゾインイソプロピノレエーテノレ、ベ ンゾイン、ベンゾフエノン、チォキサントン、 2—クロルチオキサントン、 2—ヒドロキシー 3— (3,4 ジメチル— 9H チォキサンテン— 2—イロキシ— Ν,Ν,Ν トリメチル—1 —プロパンアミ-ゥムクロリド、 9, 10 アントラキノン、カンファーキノン、ベンジル、 4,4 ' ージシクロベンジル、ジァセチル等の紫外線増感剤または可視光線増感剤を含む
[0039] 本発明において使用する(c) - (4)の芳香族第二または第三アミンは、窒素原子 上に少なくとも一つの芳香族基を有するものであり、この芳香族基は置換基を有して いてもよい。具体的には、 Ν ジメチルァ-リン、 Ν ジメチルー ρ トルイジン、 Ν,Ν ージ(2—ヒドロキシェチル)—ρ トルイジン、 Ν—メチルー ρ トルイジン等が特に好 ましい。
これらのァミンの使用量は、レジンセメント組成全体を 100重量部としたとき、 0. 05 〜0. 8重量部、より好ましくは 0. 1〜0. 5重量部である。ァミンの使用量が 0. 05重 量部より少ないと、硬化が不十分となり、 0. 8重量部より多いと変色の原因となり、し 力も硬化が急速に進行するため、レジンセメントの可使時間が短くなり、適当な作業 時間が得られない。
[0040] 本発明において使用する成分 (d)の棚寿命安定剤は、ハイドロキノン、ハイド口キノ ンモノメチルエーテル、ヒドロキシメトキシベンゾフエノンまたはブチル化ヒドロキシトル ェン等を含む。
これらの棚寿命安定剤の使用量は、レジンセメント組成全体を 100重量部としたとき 、 0. 02-0. 2重量部、より好ましくは 0. 03〜0. 06重量部である。棚寿命安定剤の 使用量が 0. 02重量部より少ないと、ペーストの棚寿命が不十分となり、 0. 2重量部 より多いと十分な硬化が得られない。
[0041] 本発明において使用する成分 (e)の水は、歯科医療用成分として臨床上受容され 、当該組成物の成分並びに接着効果に有害な不純物を本質的に含まな!/、ものが好 ましい。蒸留水またはイオン交換水が好適である。
水の配合量は、プライマー組成全体を 100重量%としたとき、通常 20. 0〜60. 0 重量0 /0、好ましくは 25〜50. 0重量0 /0、さらに好ましくは、 30. 0〜45. 0重量0 /0であ り、 20. 0重量%より少ないと接着性が低下し、 60重量%より多いと接着性が低下す る。
[0042] 本発明において使用する成分 (f)は、一般式 (I):
[0043] [化 3]
R1 0
H2C=C-C-0-R2 0-C-R3-P-OH (I)
II I I I
0 0 OH
[式中、 R1は水素原子またはメチル基、 R2は炭素原子数 5〜: L0のアルキレン基、 R3 は炭素原子数 1〜6のアルキレン基を示す。 ]で示される重合性単量体である。この 重合性単量体は特許文献 7に開示された方法により製造することができる。
上記一般式 (I)で示される重合性単量体は、限定されないが、以下の化合物を含 む。
[0044] [化 4]
H O
H2C=C-C-0— (CH2)5— 0-C-CH2— P-OH
O O OH
H O
H2C=C-C-0— (CH2)8— 0-C-CH2— P-OH
O O OH
[0045]
[0047] [化 7]
[0048] 本発明にお ヽて使用する成分 (f)の一般式 (I)で示される重合性単量体は、ホスホ ン酸残基を導入して ヽるにもかかわらず重合性を阻害することなく、他のラジカル重 合性単量体と共重合することができ、ラジカル重合硬化型の歯質用プライマーに適
用することができる。
上記ホスホン酸残基を有する重合性単量体の配合量は、プライマー組成全体を 10 0重量%としたとき、通常 0. 5〜25. 0重量%、好ましくは 1. 0〜20. 0重量%、さら に好ましくは 2. 0-10. 0重量%である。この重合性単量体の配合量が、 0. 5重量 %より少ないか、または 25. 0重量%より多いと接着性が低下する。
[0049] 本発明にお 、て使用する成分 (g)の二塩基酸のカルボキシル基を有する重合性単 量体および酸無水基を有する重合性単量体は、限定されないが、 1,4ージ (メタ)ァク リロキシェチルピロメリット酸、 4— (メタ)アタリロキシブチルトリメリット酸、 4— (メタ)ァク リロキシへキシルトリメリット酸、 4— (メタ)アタリロキシデシルトリメリット酸、 4—アタリ口 キシブチルトリメリット酸、 11— (メタ)アタリ口キシ— 1, 1—ゥンデカンジカルボン酸等 を含む。 4— (メタ)アタリロキシェチルトリメリット酸および 4— (メタ)アタリ口キシェチルト リメリット酸無水物が特に好ましい。ここで、「(メタ)アタリ口キシ」とは、アタリロキシまた はメタクリロキシを意味する。
上記ジカルボン酸基および酸無水物残基を有する重合性単量体の配合量は、ブラ イマ一組成全体を 100重量%としたとき、通常 2. 0-40. 0重量%、好ましくは 5. 0 〜35. 0重量0 /0、さらに好ましくは 5. 0-25. 0重量%である。この重合性単量体の 配合量が、 2. 0重量%より少ないか、または 25. 0重量%より多いと接着性が低下し 、 40. 0重量%より多いと溶解性が低下する。
[0050] 本発明において使用する成分 (h)のノ レビツール酸類は、限定されないが、次式:
[0051] [化 8]
[R\ R5および R。は、同一もしくは異なっていてもよぐ相互に独立して、水素原子ま たは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ァリール基もしくはシクロへキシル 基等の置換基を有していてもよい脂肪族、芳香族、脂環式もしくは複素環式残基を
示す。 ]で示されるバルビツール酸誘導体を含む。
[0052] このようなバルビツール酸類として、バルビツール酸、 1,3 ジメチルバルビツール 酸、 1—メチルバルビツール酸、 1,3 ジフエ-ルバルビツール酸、 5 ブチルバルビ ツール酸、 1,5 ジメチルバルビツール酸、 5 ェチルバルビツール酸、 5 イソプロ ピルバルビツール酸、 5 シクロへキシルバルビツール酸、 1 ,3, 5 トリメチルバリビッ ール酸、 1,3 ジメチルー 5 ェチルバルビツール酸、 1,3 ジメチルー 5— n—ブチ ルバルビツール酸、 1,3 ジメチルー 5— sec ブチルバルビツール酸、 1,3 ジメチ ルー 5 イソブチルバルビツール酸、 1,3 ジメチル 5— tert ブチルバルビツー ル酸、 1,3 ジメチルー 5 シクロペンチルバルビツール酸、 1,3 ジメチルー 5 シ クロフキシルバルビツール酸、 1,3 ジメチルー 5 フエ-ルバルビツール酸、 1—ベ ンジル 5 フエ-ルバルビツール酸、 1 シクロへキシル 5 ェチルバルビツー ル酸、 5 アミノバルビツール酸、および 2 クロルバルビツール酸等が例示される。 5 ブチルバルビツール酸、 1,3,5 トリメチルバルビツール酸、 1,3 ジメチル— 5 イソブチルバルビツール酸、 1一べンジルー 5 フエ-ルバルビツール酸および 1 シクロへキシル 5—ェチルバルビツール酸が特に好まし!/、。
上記ノ レビツール酸類の配合量は、プライマー組成全体を 100重量%としたとき、 通常 1. 0〜5. 0重量0 /0、好ましくは 0. 8〜4. 0重量0 /0、さらに好ましくは、 1. 0〜3. 0重量%である。バルビツール酸の配合量力 1. 0重量%より少ないと接着性が低下 し、 5. 0重量%より多いと再び接着性が低くなり、レジンセメントの可使時間が短くな り、適当な作業時間が得られない。
[0053] 本発明において使用する成分 (i)のァミンは、限定されないが、一般式:
[0054] [化 9]
R8
R7-N
R9
[式中、 R7、 R8および R9は、相互に独立して、水素原子;水酸基、(メタ)アタリロイル 基等の置換基を有していてもよい炭素原子数 1〜10のアルキル基もしくは炭素原子 数 6〜 12のシクロアルキル基;または、ハロゲン、炭素原子数 1〜10のアルキル基、
水酸基、(メタ)アタリロイル基等の置換基を有していてもよいフエ-ル基を示す。ただ し、!^〜 は同時には水素原子を示さない。 ]で示される化合物を含む。
その他、環状アミンまたは 2価以上のァミン、例えばジァミンも含まれる。この種のァ ミンとしては、 n—ブチルァミン、プロピルァミン、ペンチルァミン、へキシルァミン、ジメ チルァミン、ジェチルァミン、ジプロピルァミン、ジー n—ブチルァミン、ジペンチルアミ ン、トリメチルァミン、トリェチルァミン、トリプロピルァミン、トリー n—ブチルァミン、トリ ペンチルァミン、トリへキシルァミン、フエニルェチルァミン、エチレンァミン、テトラメチ レンァミン、 Ν,Ν—ジメチルアミノエチルメタタリレート、 Ν,Ν ジェチルアミノエチルメ タクリレート、モノエタノールァミン、 Ν—メチルジェタノールァミン、トリエタノールアミ ン、ァニリン、メチルァニリン、ジメチルァニリン、ジフエニルァミン、トリイジン、ァニシジ ン、 Ν,Ν ジメチルー m ァ-シジン、 Ν,Ν ジメチルー p ァ-シジン、 Ν,Ν ジメ チルー m—ァミノフエノール、 Ν,Ν ジェチルー m—ァミノフエノール、 Ν,Ν—ジェチ ノレ ρ ァニシジン、 ρ プロポキシ Ν,Ν—ジメチノレア二リン、 ρ へキシロキシー Ν ,Ν—ジメチルァニリン、 ρ—ブトキシ—Ν,Ν ジメチルァニリン、クロルァニリン、ブロ ムァニリン、ジメチルー ρ トルイジン、 Ν,Ν ジ(2—ヒドロキシェチル) ρ トルイジ ン、 ρ ァミノフエ-ルメタタリレート、 Ν,Ν ジメチルァミノフエ-ルメタタリレート、 Ν,Ν —ジ(2—ヒドロキシェチル)フエ-ルメタタリレート、 ρ— (2—ヒドロキシ一 3—メタクリロ キシプロポキシ)フエ-ルァミン、 Ν,Ν ジ(2—ヒドロキシェチル)フエ-ル グリシジ ル(メタ)アタリレート、 Ν—メチルモルホリン、イミダゾール、 1ーメチルイミダゾール、 2 ーメチルイミダゾール、 2—メチルー 4ーメチルイミダゾール、エチレンジァミン、メチレ ンジァ-リン、フエ-レンジァミン、 Ν,Ν ビス(ヒドロキシェチル)ジエチレントリアミン 、 Ν,Ν ビス(ヒドロキシェチル)ジエチレントリアミン、 Ν,Ν ビス(ヒドロキシェチル)ト リエチレンテトラミン、 3 アミノー 1,2 プロパンジオール、 D,L—1 アミノー 2 プ ロパノール、 2 アミノー 4 フエ-ルフエノール、 2 アミノー 2 フエ-ルエタノール 、 L— 2 アミノー 1—プロパノール、 3 アミノー 1—プロパノール、 2 ァ-リノ一エタ ノール、 Ν,Ν ジヒドロキシェチルァ-リン、 ο または ρ ァミノフエ-チルアルコー ル、 5 アミノー 1—ペンタノール、 5 アミノー 2—メチルフエノール、 2 アミノー 5— メチルフエノール、ァミノ安息香酸エステル、例えば、 ρ ァミノ安息香酸メチル、 ρ—
ァミノ安息香酸ェチル、 P—ァミノ安息香酸プチル、 P—ァミノ安息香酸プロピル、 P— ァミノ安息香酸イソプロピル、 4—ジメチルァミノ安息香酸ェチル、 4—ジメチルァミノ 安息香酸イソプロピル等が例示される。 Ν,Ν—ジ(2—ヒドロキシェチル)— ρ—トルイ ジン、 Ν,Ν—ジメチルアミノエチルメタタリレート、 ρ—ァミノフエ-ルメタタリレート、 ρ— —ヒドロキシ一 Ί—メタクリロキシプロポキシ)フエ-ルァミン、トリエタノールァミン、 モノエタノールァミン、 4ージメチルァミノ安息香酸イソプロピル、 4ージメチルァミノ安 息香酸ェチル等が好ましぐ Ν,Ν—ジ(2—ヒドロキシェチル)—ρ—トルイジンまたは ジメチルー ρ—トルイジンが特に好まし!/、。
上記ァミンの配合量は、プライマー組成全体を 100重量%としたとき、通常 0. 01〜 10. 0重量%、好ましくは 1. 0〜5. 0重量%、さらに好ましくは 0. 8〜4. 0重量%で ある。ァミンの配合量が、 1. 0重量%より少ないと接着性が低下し、 5. 0重量%より多 いと再び接着性が低くなり、レジンセメントの可使時間が短くなり、適当な作業時間が 得られない。
本発明による歯科用レジンセメントおよび歯科用プライマーには、所望により、成分 (j)として、水酸基を有する重合性ィ匕合物を添加することができる。水酸基を有する重 合性ィヒ合物は、水酸基と共に重合可能な不飽和基、例えば、アタリロイル基、メタァク リロイル基、ビニル基またはァリル基等を有する重合性のモノマー、オリゴマーまたは ポリマーであるが、モノマーが特に好ましい。この種の化合物としては、 2—ヒドロキシ ェチル (メタ)アタリレート、 2—または 3—ヒドロキシプロピル (メタ)アタリレート、 4—ヒド ロキシブチル(メタ)アタリレート、 5—ヒドロキシペンチル(メタ)アタリレート、 6—ヒドロ キシへキシル (メタ)アタリレート、 10—ヒドロキシデシル (メタ)アタリレート、ジアルキレ ングリコールモノ(メタ)アタリレート例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アタリレー ト、トリエチレングリコールモノ (メタ)アタリレート、テトラエチレンダリコールモノ (メタ)ァ タリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ジプロピレングリコールモノ( メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノ (メタ)アタリレート、さらに 1,2—または 1 , 3—および 2, 3—ジヒドロキシプロピル (メタ)アタリレート、 2 -ヒドロキシプロピル - 1 ,3—ジ (メタ)アタリレート、 3—ヒドロキシプロピル一 1,2—ジ (メタ)アタリレート、 N—( メタ)アタリロイル—1,2—ジヒドロキシプロピルァミン、 N - (メタ)アタリロイル—1,3—
ジヒドロキシプロピルァミン、フエノールとグリシジル (メタ)アタリレートとの付カ卩生成物
、例えば、 1—フエノキシ 2—ヒドロキシプロピル (メタ)アタリレート、 1—ナフトキシ一 ート等が例示される力 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシプロピ ル (メタ)アタリレートおよび 2,3 ジヒドロキシプロピル (メタ)アタリレートが特に好適で ある。
なお、これらの水酸基を有する化合物は、所望により、 2種以上適宜併用してもよい 上記の水酸基を有する化合物の配合量は、プライマー組成全体を 100重量%とし たとき、通常 2. 0〜20. 0重量%、好ましくは 5. 0〜15. 0重量%である。水酸基を有 する化合物の配合量が 2. 0重量%より少ないか、または 20. 0重量%より多いと接着 性が低下する。
本発明によるプライマー組成物には、所望により、成分 (k)として、水溶性有機溶媒 を用いることができる。水溶性有機溶媒は、成分 (g)の二塩基性のカルボキシル基を 有する重合性単量体および酸無水物基を有する重合性単量体等の溶解性を高め、 均一溶液とし、接着性を向上させるために配合する。このような水溶性有機溶媒は、 限定されないが、メチルアルコール、エチルアルコール、 1 プロパノール、イソプロ ピルアルコール、 2—メチルー 1 プロパノール、 2—メチルー 2—ブタノール、 2—プ 口ペン 1 オール、 1,3 ブタンジオール、 1,4 ブタンジオール、 1,2, 6 へキサ ントリオ一ノレ、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、 テトラエチレンダリコール、プロピレングリコール、 2—メトキシエタノール、 2—エトキシ エタノール、 2—(メトキシ)エトキシエタノール、 2—エトキシメトキシエタノール等のァ ルコールィ匕合物;またはアセトン、メチルェチルケトン等のケトンィ匕合物を含む。なか でも、エチルアルコール、イソプロピルアルコールおよびアセトンの使用が好ましい。 上記水溶性有機溶媒は必要に応じ 2種以上を混合して用いることが可能である。 上記水溶性有機溶媒の配合量は、プライマー組成全体を 100重量%としたとき、通 常 0. 0〜50. 0重量0 /0、好ましくは 0. 0〜35. 0重量0 /0、さらに好ましくは、 0. 0〜30 . 0重量%であり、 50. 0重量%より多いとプライマー組成物の粘性が著しく低下し、
包装容器からのプライマー組成物の適量採取が困難となる。
[0058] 本発明によるコンポジットレジンセメントおよびプライマーは、各々その構成成分を 必要に応じて 2以上に分割して使用する。例えば、有機過酸化物と芳香族第三アミン との組合せ、またはァミンと酸性基を有する重合性単量体との組合せは、共存させる と反応してしまうため、不都合である。したがって、各成分同士が、ペースト中または プライマー液中で反応しな 、ように組み合わせることが望まれる。
例えば、硬化剤成分を開始剤と促進剤等で構成する場合、混合して使用するよう に 2以上に分割する。プライマーにおいては、混合使用の方法として、歯科医が使用 に際して小皿等の別容器中で混合使用する場合、あるいは患者の歯の接着窩洞内 で混合使用する場合等、その方法は適宜選択できる。この分割方法による態様はそ の組合せの中力 適宜選択できる。
発明の効果
[0059] 本発明の歯科用接着剤キットによれば、歯質への接着性が高ぐ特に、プライマー が親水性に富むため、従来困難とされていた象牙質への接着にも優れる。
また、本発明の歯科用コンポジットレジンセメントは 2ペースト型でありながら、その 貯蔵安定性に優れる。
発明を実施するための最良の形態
[0060] 以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定さ れるものではない。
なお、実施例中に示した略称、略号は以下の通りである。
(1)重合性単量体
[一般式 (I)で示される重合性単量体]
2-MEPA: (2—メタクリロキシ)ェチルホスホノアセテート
2 - MEPP: (2-メタタリ口キシ)ェチル 3 ホスホノプロピオネート 6-MHPA: (6-メタクリロキシ)へキシルホスホノアセテート
6-MHPP : (6-メタクリロキシ)へキシルー 3—ホスホノプロピオネート 10-MDPA: (10—メタクリロキシ)デシルホスホノアセテート
10-MDPP : (10—メタクリロキシ)デシルー 3 ホスホノプロピオネート
[二塩基酸のカルボキシル基または酸無水基を有する重合性単量体]
4-AET: 4—アタリロキシェチルトリメリット酸
4-META: 4—メタクリロキシェチルトリメリット酸無水物
[その他の重合性単量体]
UDMA: ジ 2—メタクリロイロキシェチルー 2,2,4 トリメチルへキサメチレンジ 力ルバメート
3G : トリエチレングリコールジメタタリレート
Bis-GMA: 2,2' ビス〔4— (3— (メタ)アタリロイ口キシ一 2 ヒドロキシプロポキ シ)フエ二ノレ〕プロパン
[0061] (2)重合触媒
[バルビツール酸類]
BBA: 5— n—ブチルバルビツール酸
BPBA: 1 ベンジル 5 フエ二ルバルビツール酸
TMBA: 1,3, 5 トリメチルバルビツール酸
[バルビツール酸類の塩]
BBA · Na: 5— n ブチルバルビツール酸ナトリゥム
BBA · Ca: 5— n ブチルバルビツール酸カルシウム
BPBA -Na : 1 ベンジル 5 フエ-ルバルビツール酸ナトリゥム
BPBA -Ca: 1 ベンジル 5 フエ-ルバルビツール酸カルシウム
TMBA · Na: 1,3,5 トリメチルバルビツール酸ナトリウム
TMBA -Ca: 1,3,5 トリメチルバルビツール酸カルシウム
[ァミン]
DEPT: Ν,Ν ジ(2—ヒドロキシェチル) ρ トルイジン
[その他の重合触媒]
p-TSNa: p トルエンスルフィン酸ナトリウム
[0062] (3)フィラー
[ガラスフィラー]
FASGフィラー: フルォロアルミノシリケートガラスフィラー
理フイラ一
[その他のフィラー]
R- 711 : 超微粒子シリカフィラー
R— 972 : 超微粒子シリカフィラー
R- 974 : 超微粒子シリカフィラー
実施例
[0063] 実施例中で用いたレジンセメントおよびプライマーの特性の測定方法を以下に示 す。
( 1) TG (熱重量) /DTA (示差熱分析)の測定
測定試料をアルミ製の試料容器 (アルミパン)に入れ、熱重量,示差熱分析装置( セイコー電子工業株式会社製)に設置する。 200mL/分で窒素ガスを流入させなが ら、アルミナをレファレンスとし、 10°C/分の昇温速度にて測定を行う。
[0064] (2) pHの測定
2重量%水溶液を作製し、 2点校正した pHメーター「F— 22」(株式会社堀場製)を 用い、電極浸漬 5分後の pHを測定する。
[0065] (3)ペーストの貯蔵安定性
ペン型容器「シリンジ UC— 18C」(株式会社ュ-コスモ製)に約 4. 5gのペーストを 充填する。このペン型容器は、ペンの後端部を回転させてピストンを前進させ、一定 量の内容液を吐出させる機構の容器であり、内容物と空気との界面を最小限にする ことができる。
ペーストを充填したペン型容器を一定温度に設定したインキュベータ「MIR— 153 」(三洋電機株式社製)中に保管し、 24時間毎にペーストのゲルィ匕を観察する。容器 から一定量のペーストを吐出し、スパチュラで引き延ばし、目視にて固形物の存在が 確認されれば、ペーストがゲルィ匕したと判断する。
[0066] (4)レジンセメントの硬化時間測定
ペースト Aおよび Bの練和物の硬化時間は ISO4049: 2000 (E)に準じて測定する
具体的には、熱電対を取り付けた試料ゥ ル (4mm φ X 6mm)に、練和したぺー スト 0. 8gを充填し、硬化反応による発熱曲線を記録する。ペーストの練和開始から 発熱曲線のピークに達するまでの時間を硬化時間とし、 3回の測定値を平均する。
[0067] (5)接着強さの測定
レジンセメントを界面に介在させて、エナメル質および象牙質と直径 4. 55mm^テ ンレスロッドの引張り接着強さにより求める。
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用い、その歯根部を除去後エポキシ榭脂 包埋して用いる。接着試験方法として、同牛歯の唇面を耐水研磨紙 (SiC # 600)で 研磨してエナメル質および象牙質を露出させ、水洗'エアー乾燥後、その面に歯質 接着性プライマー Iおよび Π液の混和液を塗布し、 20秒後にエアー乾燥を行って表 面処理を行う。
一方、ステンレスロッドは予め、耐水研磨紙 (SiC # 600)で接着面を研磨後、粒径 約 50 μ mのアルミナを用いてサンドブラスト処理し、金属用プライマー「メタルリンク」 ( 株式会社松風製)を塗布、 10秒間自然乾燥させたものを用いる。
レジンセメントのペースト Aおよびペースト Bを練板紙上に等量採取し、プラステイツ クスパチュラを用いて、 15秒間練和する。練和ペーストを歯質とステンレスロッドの間 に介在させ、 200gの荷重を加え接着させる。
余剰ペーストを、マイクロブラシを用いて除去後、セメントラインに沿って、光照射器 「グリップライト II」(株式会社松風製)を用いて 10秒間光照射を行う。光照射の 10分 後荷重を除去し、口腔内の環境を想定して、同接着試験体を 37± 2°C蒸留水中 24 時間浸漬後、インストロン万能試験機「インストロン 5567」(インストロン社製)を用い、 クロスヘッドスピード ImmZ分にて引張り接着強さを測定する。
また、同接着試験体を 37± 2°C蒸留水中 24時間浸漬後、さらに、 4°C水中 1分間、 60°C水中 1分間の浸漬を 2000回繰り返した後、上記の方法で加速試験後の接着 強さを測定する。
[0068] (6)操作時間の測定
レジンセメントの可使時間をより明確にするため、臨床的模擬使用試験において、 プライマー処理面上でレジンセメントが手圧で移動しなくなるまでの時間を操作時間
と定義し、操作時間をレジンセメントの操作性のパラメータとすることを考案した。 本発明において、操作時間の臨床的許容範囲を 20〜60秒と設定した。
[0069] 歯牙試験体: 歯質として、人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用い、その歯根部を除 去後、エポキシ榭脂包埋して用いる。エナメル質が露出するように削り出し、耐水研 磨紙 (SiC # 600)で表面を研磨後、水洗および乾燥して、歯牙試験体を作製する。 プライマー処理: プライマー I液および II液を等量採取し、小筆等を用いて混合後 、前記の歯牙試験体表面に 20秒間処理し、エアー乾燥する。
金属被着体: 金属被着体として Φ4. 55mmのステンレス棒(SUS303)の被接着 面を約 50 mのアルミナ粒子を用いて、約 0. 5MPaの圧縮空気を用い、 10秒間サ ンドブラスト処理を行う。水洗および乾燥後、金属接着促進用プライマー「メタルリンク 」(松風社製)を塗布し、 10秒間自然乾燥させる。
接着: レジンセメント練和泥をプライマー処理された歯牙試験体と「メタルリンク」を 用いて処理された金属被着体との間に介在させ、接着させる。
操作時間の測定: 口腔内での操作を想定して 37士 2°Cに設定された乾式恒温槽 に上記の接着させた試料をセットし、手圧にて、ステンレス棒が移動するかどうかを 5 秒間隔で確認し、移動しなくなるまでの時間を測定し、操作時間とする。 3個の試料 の測定値を平均する。
[0070] (7)曲げ強さ測定
曲げ強さ( σ、単位: MPa)は ISO4049 : 2000 (E)に準じ、下式から曲げ強さを算 出する。
σ = 3F-l/2bh2
ここで F : 試料に加えられた最大荷重(N)
I: 支持棒間の距離 (mm)
b : 試験直前に測定された試料の幅 (mm)
h: 試験直前に測定された試料の高さ(mm)
具体的には、スライドグラス上のステンレス製型枠にレジンセメント練和物を充填し、 スライドガラスを圧接した状態で、一方の面力も 20秒 X 5回、反対面から 20秒 X 5回 、いずれも全体に光が照射されるように場所を変えながら、光照射器「グリップライト II
] (株式会社松風製)の照射口をスライドグラスに密着させて光照射を行って、硬化体 を得る。
320番の研磨紙で緩やかに研磨してバリの除去を行い、 2 X 2 X 25mmの角柱の 試験片を作製する。 口腔内の環境を想定して、これを 37± 2°Cの水中に浸漬 24時 間後、インストロン万能試験機「インストロン 5567」(インストロン社製)を用いて、支点 間距離 20mm、クロスヘッドスピード ImmZ分にて、この試験片の 3点曲げ強さを測 定し、 5個の試料の測定値を平均する。
[0071] 製造例 1 : 5— n—ブチルバルビツール酸ナトリウムの製造
lOOmL三角フラスコに蒸留水 25gを入れ、撹拌しながら、無水炭酸ナトリウム 3. 1 lg (29. 34mmol)を加え、 30°C湯浴中で溶解させて、 Na CO水溶液を得た。
2 3
別〖こ、 200mLビーカー〖こ蒸留水 20gを入れ、撹拌しながら、 5— n—ブチルバルビ ツール酸(BBA) IO. 82g (58. 74mmol)をカ卩え、均一に分散させて、 BBA懸濁液 を得た。
Na CO水溶液を BBA懸濁液にゆっくりと加え、 30°C湯浴中で、撹拌しながら 1時
2 3
間反応させた。その後、 40°C〜50°Cの湯浴中で 70cmHgにて、エバポレーターに より、約 40gになるまで濃縮した。その残渣に約 200mLのアセトンを加え、結晶化さ せた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応の BBAを除去するため、得られた白 色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、 5— n—ブチルバル ビツール酸のナトリウム塩(BBA'Na)を得た。
熱重量分析 (TG)および熱示差分析 (DTA)により、得られた塩の融点および分解 温度を測定した。また、得られた塩の 2重量%水溶液の pHを測定した。これにより、 純粋なノ レビツール酸塩が生成されて 、ることを確認した。測定結果を表 1に示す。
[0072] 製造例 2 : 5— n—ブチルバルビツール酸カルシウムの製造
lOOmL三角フラスコに蒸留水 25gを入れ、撹拌しながら、炭酸カルシウム 5. 88g ( 58. 75mmol)を加え、 30°C湯浴中で均一に分散させて、 CaCO懸濁液を得た。
3
別〖こ、 200mLビーカー〖こ蒸留水 20gを入れ、撹拌しながら、 5— n—ブチルバルビ ツール酸(BBA) IO. 82g (58. 74mmol)をカ卩え、均一に分散させて、 BBA懸濁液 を得た。
CaCO懸濁液を BBA懸濁液にゆっくりとカ卩え、 30°C湯浴中で、撹拌しながら 1時
3
間反応させた。その後、 40°C〜50°Cの湯浴中で 70cmHgにて、エバポレーターに より、約 40gになるまで濃縮した。その残渣に約 200mLのアセトンを加え、結晶化さ せた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応の BBAを除去するため、得られた白 色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、 5— n—ブチルバル ビツール酸のカルシウム塩(ΒΒΑ· Ca)を得た。
熱重量分析 (TG)および熱示差分析 (DTA)により、得られた塩の融点および分解 温度を測定した。また、得られた塩の 2重量%水溶液の pHを測定した。これにより、 純粋なノ レビツール酸類の塩が生成されて 、ることを確認した。測定結果を表 1に示 す。
[0073] 製造例 3 : 1—べンジルー 5 フエ-ルバルビツール酸ナトリウムの製造
lOOmL三角フラスコに蒸留水 25gを入れ、撹拌しながら、無水炭酸ナトリウム 3. 1 lg (29. 34mmol)を加え、 30°C湯浴中で溶解させて、 Na CO水溶液を得た。
2 3
別に、 200mLビーカーに蒸留水 40gおよびアセトン 6gを入れ、撹拌しながら、 1— ベンジル— 5 フエ-ルバルビツール酸(BPBA) 17. 29g (58. 75mmol)をカロえ、 BPBAアセトン水溶液を得た。
Na CO水溶液を BPBAアセトン水溶液にゆっくりとカロえ、 30°C湯浴中で、撹拌し
2 3
ながら 1時間反応させた。その後、 40°C〜50°Cの湯浴中で 70cmHgにて、エバポレ 一ターにより、約 40gになるまで濃縮した。その残渣に約 200mLのアセトンをカロえ、 結晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応の BPBAを除去するため、 得られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、 1 ベン ジルー 5—フエ-ルバルビツール酸のナトリウム塩(BPBA'Na)を得た。
熱重量分析 (TG)および熱示差分析 (DTA)により、得られた塩の融点および分解 温度を測定した。また、得られた塩の 2重量%水溶液の pHを測定した。これにより、 純粋なノ レビツール酸類の塩が生成されて 、ることを確認した。測定結果を表 1に示 す。
[0074] 製造例 4 : 1一べンジルー 5 フエ-ルバルビツール酸カルシウムの製造
lOOmL三角フラスコに蒸留水 25gを入れ、撹拌しながら、炭酸カルシウム 5. 88g (
58. 75mmol)を加え、 30°C湯浴中で均一に分散させて、 CaCO懸濁液を得た。
3
別に、 200mLビーカーに蒸留水 40gおよびアセトン 6gを入れ、撹拌しながら、 1— ベンジル— 5—フエ-ルバルビツール酸(BPBA) 17. 29g (58. 75mmol)をカロえ、 BPBAアセトン水溶液を得た。
CaCO懸濁液を BPBAアセトン水溶液にゆっくりとカロえ、 30°C湯浴中で、撹拌しな
3
力 Sら 1時間反応させた。その後、 40°C〜50°Cの湯浴中で 70cmHgにて、エバポレー ターにより、約 40gになるまで濃縮した。その残渣に約 200mLのアセトンをカ卩え、結 晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応の BPBAを除去するため、得 られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、 1一べンジ ルー 5—フエ-ルバルビツール酸のカルシウム塩(BPBA · Ca)を得た。
熱重量分析 (TG)および熱示差分析 (DTA)により、得られた塩の融点および分解 温度を測定した。また、得られた塩の 2重量%水溶液の pHを測定した。これにより、 純粋なノ レビツール酸類の塩が生成されて 、ることを確認した。測定結果を表 1に示 す。
製造例 5 : 1,3,5—トリメチルバルビツール酸ナトリウムの製造
lOOmL三角フラスコに蒸留水 25gを入れ、撹拌しながら、無水炭酸ナトリウム 3. 1 lg (29. 34mmol)を加え、 30°C湯浴中で溶解させて、 Na CO水溶液を得た。
2 3
別に、 200mLビーカーに蒸留水 20gを入れ、撹拌しながら、 1,3,5—トリメチルバ ルビツール酸 (TMBA) IO. 00g (58. 76mmol)をカ卩え、均一に分散させて、 TMB A懸濁液を得た。
Na CO水溶液を TMBA懸濁液にゆっくりとカロえ、 30°C湯浴中で、撹拌しながら 1
2 3
時間反応させた。その後、 40°C〜50°Cの湯浴中で 70cmHgにて、エバポレーター により、約 40gになるまで濃縮した。その残渣に約 200mLのアセトンを加え、結晶化 させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応の TMBAを除去するため、得られ た白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、 1,3,5—トリメチ ルバルビツール酸のナトリウム塩 (TMBA'Na)を得た。
熱重量分析 (TG)および熱示差分析 (DTA)により、得られた塩の融点および分解 温度を測定した。また、得られた塩の 2重量%水溶液の pHを測定した。これにより、
純粋なノ レビツール酸類の塩が生成されて 、ることを確認した。測定結果を表 1に示 す。
[0076] 製造例 6: 1,3, 5—トリメチルバルビツール酸カルシウムの製造
lOOmL三角フラスコに蒸留水 25gを入れ、撹拌しながら、炭酸カルシウム 5.88g( 58.75mmol)を加え、 30°C湯浴中で均一に分散させて、 CaCO懸濁液を得た。
3
別に、 200mLビーカーに蒸留水 20gを入れ、撹拌しながら、 1,3,5—トリメチルバ ルビツール酸 (TMBA)IO. OOg(58.76mmol)をカ卩え、均一に分散させて、 TMB A懸濁液を得た。
CaCO懸濁液を TMBA懸濁液にゆっくりとカ卩え、 30°C湯浴中で、撹拌しながら 1
3
時間反応させた。その後、 40°C〜50°Cの湯浴中で 70cmHgにて、エバポレーター により、約 40gになるまで濃縮した。その残渣に約 200mLのアセトンを加え、結晶化 させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応の TMBAを除去するため、得られ た白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、 1,3,5—トリメチ ルバルビツール酸のカルシウム塩 (ΤΜΒΑ· Ca)を得た。
熱重量分析 (TG)および熱示差分析 (DTA)により、得られた塩の融点および分解 温度を調べた。また、得られた塩の 2重量%水溶液の pHを調べた。これにより、純粋 なノ レビツール酸類の塩が生成されて 、ることを確認した。結果を表 1に示す。
[0077] [表 1]
バルビ Vール酸化合物の融点、 分解温度および p H
融点 (c) 分解温度 (。c ) P H
製造例 1 BEA^Na 377. 6 7.2
製造例 2 BEA- Ca ― 410. 4 7.6
BEA 239. 8 ―
製造例 3 BPBA-Na 368. 4 7. 3
製造例 4 BPBA-Ca 346. 0 7.4
BPBA 155.0 232. 3
製造例 5 TMBA-Na 497. 1 7.8
製造例 6 TMBA-Ca ― 588. 2 7. 5
TMBA 74.6 176. 3 —― 実施例 1: レジンセメントの貯蔵安定性に対するバルビツール酸ィ匕合物の影響 (1)レジンセメントの製造
表 2の糸且成に基づき、ペースト Aおよびペースト Bからなる 2ペースト型のレジンセメ
ントを製造した。
この実施例において、成分 (c)一(2)以外のペースト Aの組成の合計を 50重量部と し、ペースト Aに 0. 001モルのバルビツール酸化合物を添カ卩した。また、ペースト Bの 組成の合計を 50重量部とした。
表 2におけるノ レビツール酸ィ匕合物として、表 3に示すごとぐ製造例 1〜6で作製 した各バルビツール酸類の塩を用いてペースト Aを調製し、レジンセメント 1〜6とした 。また、比較のため、表 2におけるバルビツール酸ィ匕合物として、表 3に示すごとぐ各 バルビツール酸類の塩に対応するバルビツール酸類を用いてペースト Aを調製し、 レジンセメント 7〜9とした。各レジンセメントにおいて、ペースト Bの糸且成は共通である
[0079] [表 2]
レジンセメ ン トの組成
* 1 : 製造例 1 ~ 6のバルビツール酸類の塩おょぴ対応するバルビツール酸類を含む
[0080] [表 3]
ペース ト A中のバルビツール酸化合物
レジンセメ ン ト バルビッ一 -ル酸化合物
1 製造例 1 BBA-Na
2 製造例 2 BBA-Ca
7 BBA
3 製造例 3 BPBA-Na
4 製造例 4 BPBA-Ca
8 BPBA
5 製造例 5 TMBA-Na
6 製造例 6 TMBA-Ca
9 TMBA
[0081] (2)レジンセメントの特性評価
[ペースト Aの貯蔵安定性]
各ペースト Aの貯蔵安定性を 30°Cおよび 50°Cにて測定した結果を表 4に示す。
[0082] [表 4]
ペース ト Aの貯蔵安定性
レジン
e ゲル化日数
バルビ V j Kfィつ L J
セメ ン ト 3 0 °C 5 0 c
1 B B A · N a 2 0 日以上 9 曰
2 B B A · C a 2 0 日以上 1 2 曰
7 B B A 6 曰 2 曰
3 B P B A N a 2 0 日以上 1 2 曰
4 B P B A C a 2 0 日以上 1 2 曰
8 B P B A 2 曰 1 曰
5 TM B A N a 2 0 日以上 1 1 曰
6 TM B A C a 2 0 日以上 2 4 曰
9 TM B A 5 曰 2 曰
[0083] 貯蔵温度 30°Cの場合、バルビツール酸類を用いたレジンセメント 7〜9のペースト A のゲル化日数が 2日〜 6日であるのに対し、バルビツール酸類の塩を用いたレジンセ メント 1〜6のペースト Aのゲル化日数は 20日以上であった。
また、貯蔵温度 50°Cの場合、バルビツール酸類を用いたレジンセメント 7〜9のべ 一スト Aのゲル化日数が 1日〜 2日であるのに対し、バルビツール酸類の塩を用いた レジンセメント 1〜6のペースト Aのゲル化日数は 9日〜24日であった。
バルビツール酸類に代えてバルビツール酸類の塩を用いることより、ペースト Aの貯 蔵安定性を顕著に向上させることができた。
[0084] [レジンセメントの硬化時間]
各レジンセメントのペースト Aおよびペースト Bを混合して力 硬化するまでの硬化
時間を、ペースト製造直後の初期段階ならびに、通常の貯蔵状態を想定して 23 ±1 °Cまたは 30± 1°Cにて貯蔵して 30日後および 90日後に測定した。硬化時間の結果 を表 5に示す。
[表 5]
レシンセメ ト の硬化時間 (秒)
レジン 2 3。C 3 0。c セ メ ン ト 初期 3 ◦日後 9 0 日後 3 ◦ 日後 9 ◦ 日後
1 2 2 5 1 9 5 2 3 4 2 1 8 2 6 9
2 2 5 2 2 5 0 2 3 5 1 9 5 2 7 2
7 1 2 1 9 5 3 2 4 ゲル化
3 2 7 4 2 1 2 2 8 6 2 2 8 3 1 2
4 2 2 5 2 3 1 2 9 4 2 3 8 3 1 8
8 3 1 8 3 2 3 4 3 8 ゲル化
5 1 9 0 1 9 5 3 3 3 2 8 6 3 8 8
6 4 1 5 4 2 8 4 8 9 4 3 1 5 6 9
9 3 1 8 2 0 5 3 6 2 ゲル化
[0086] ペースト Aにバルビツール酸類の塩を用いたレジンセメント 1〜6の硬化時間は、初 期段階から 23°Cおよび 30°Cにての貯蔵 90日後まで、ほぼ一定であった。一方、ぺ 一スト Aにバルビツール酸類を用いたレジンセメント 7〜9の硬化時間は、 23°Cにて の貯蔵では 90日後まで大きな変化はないが、 30°Cにての貯蔵では、 30日後にゲル 化を起こしてしま 、、硬化時間の測定が不能であった。
バルビツール酸類に代えてバルビツール酸類の塩を用いることより、レジンセメント の貯蔵安定性を顕著に向上させることができた。
[0087] 実施例 2: レジンセメント特性に対するプライマー組成の影響(1)
(1)レジンセメントの製造
まず、表 6の糸且成に基づき、ペースト Aおよびペースト Bからなる 2ペースト型のレジ ンセメント 10を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成 分 (d)である棚寿命安定剤以外のペースト Aおよび Bの組成の合計を 50重量部とし
、各ペーストに適量の成分(d)を添加した。
[0088] [表 6]
レジンセメ ン ト 1 0 の組成
[0089] (2)プライマーの製造
つぎに、表 7の組成に基づき、 I液および II液力もなるプライマー 1〜8を製造した。 この実施例において、プライマー組成全体に対して、 I液の組成の合計を 50重量%と し、 II液の組成の合計を 50重量%とした。各プライマーにおいて、 II液の組成は共通 である。
[0090] [表 7]
プライマーの組成
成分 プライマー 液 (e ) 蒸留水 37 42 40 37 39 40 32 22
(重量% ) (h) TMBA 2 2 1 10 p-TSNa 2
DEPT 3 3 3 1 10 ァセト
(x) 8 8 8 8 8 8 8 8
ン
液 (f ) 6-MHPA 8 8 8 S 8 8 S 8
(重量% ) (g) 4-AET 15 15 15 1 δ 1 δ 1δ 1 δ 15
(j ) 2-HEMA 20 20 20 20 20 20 20 20
ァセ
(k) ト
7 J J J
ン
[0091] (3)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
プライマー 1〜8で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用いて、
本発明のレジンセメント 10の接着強度を測定した。比較のため、表面処理なしの歯 牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用いて、同様に、本発明のレジンセメント 10 の接着強度を測定した。測定結果を表 8に示す。
[0092] [操作時間]
プライマー 1〜8で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用いて、 本発明のレジンセメント 10の操作時間を測定した。比較のため、表面処理なしの歯 牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用いて、同様に、本発明のレジンセメント 10 の操作時間を測定した。測定結果を表 8に示す。
[0093] [表 8]
ト特性評価
[0094] プライマーを使用しない場合と比較して、プライマー 1を用いた場合、接着強度はェ ナメル質、象牙質のいずれに対しても高くなり、操作時間も適正範囲内となった。 また、プライマー 1と、プライマー 2、 3、 4および 5との比較により、成分(h)のバルビ ツール酸類および成分 (i)のァミンの 、ずれかの成分が欠けるとエナメル質および象 牙質の両歯質に対する接着強度が低下することが分かった。
これにより、プライマーの成分として、成分 (h)のバルビツール酸類と成分 (i)のアミ ンの双方が必須であることが確認された。
さらに、プライマー 1、プライマー 6、プライマー 2、プライマー 7およびプライマー 8の 比較により、成分 (h)のバルビツール酸類と成分 (i)のァミンがな!、と(プライマー 2)、 接着強度が低ぐ操作時間も極端に長いが、それらの含有量が多くなると、エナメル 質に対する接着強度が徐々に低下し、操作時間が短くなることが分力 た。プライマ 一 8 (TMBA10重量%および DEPT10重量%)では、操作時間が許容範囲から逸 脱しプ 。
これにより、成分 (h)のバルビツール酸類および成分 (i)のァミンの各成分の含有量
の適正範囲が、いずれも 1重量%〜5重量%であることが確認された。
[0095] 実施例 3: レジンセメント特性に対するプライマー組成の影響(2)
(1)プライマーの製造
表 9の組成に基づき、 I液および Π液力もなるプライマー 9〜16を製造した。この実 施例において、プライマー組成全体に対して、 I液の組成の合計を 50重量%とし、 II 液の組成の合計を 50重量%とした。各プライマーにおいて、 I液の組成は共通である
[0096] [表 9]
プライマーの組成
成分 プライ
9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6
I 液 (e) 蒸留水 37 37 37 37 37 37 37 37
(重量% ) (h) TMBA 3 3 3 3 3 3 3 3
(i) DEPT 3 3 3 3 3 3 3 3
(χ) ァセト
Ί Ί Ί Ί Ί Ί
ン
I I 液 (f) 6-MHPA 7 --- 7 --- 2 5 10 ■7
(重量% ) (g) 4-AET 15 15 & 10 25
4 -MET A 15
(j) 2-HEMA 20 35 30 25 35 25 10 20
(k) ァセト
8 15 13 10 8 10 Ό 8
[0097] (2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
プライマー 9〜16で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用いて 、本発明のレジンセメント 10の接着強度を測定した。測定結果を表 10に示す。
[0098] [操作時間]
プライマー 9〜16で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用いて 、本発明のレジンセメント 10の操作時間を測定した。測定結果を表 10に示す。
[0099] [表 10]
レジンセ メ ン ト特性評価
マ
特性評価項目 一
〇
接着強度 エナメル質 14.05 9, OS 10,68 13,51 18.02
(2, 18) (2,84) (2.22) (3,68) (3,24) (2,75) (2.80) (3.98) 平均 象牙質 11,25 4.56 4.23 5,74 9.05 8.59 S,13
(2.6S) (1.38) (0.94) (2,55) (2,19) (2.93) (2.33) (2.09) 操作時間
20 43 37 20 43 27 り °) 27
(秒)
[0100] プライマー 9および 16と、プライマー 10、 11および 12との比較により、成分(f)の一 般式 (I)で示される重合性単量体および成分 (g)の二塩基性カルボキシル基または 酸無水物残基を有する重合性単量体のいずれかの成分が欠けるとエナメル質およ び象牙質の両歯質に対する接着強度が低下することが分かった。
これにより、プライマーの成分として、成分 (f)の一般式 (I)で示される重合性単量 体および成分 (g)の二塩基性カルボキシル基または酸無水物残基を有する重合性 単量体の双方が必須であることが確認された。
また、プライマー 13、 14、 9および 15の比較により、いずれのプライマーを用いても 、接着強度および操作性が良好であるあることが分力つた。
これにより、成分 (f)の一般式 (I)で示される重合性単量体の含有量の適正範囲が 、 2重量%〜10重量%であり、成分 (g)の二塩基性カルボキシル基または酸無水物 寸 残基を有する重合性単量体の含有量の適正範囲が、 5重量%〜25重量%であるこ とが確認された。
[0101] 実施例 4: レジンセメント特性に対するプライマー組成の影響(3)
(1)プライマーの製造
表 11の組成に基づき、 I液および Π液力もなるプライマー 17〜24を製造した。この 実施例において、プライマー組成全体に対して、 I液の組成の合計を 50重量%とし、 II液の組成の合計を 50重量%とした。各プライマーにおいて、 I液の組成は共通であ る。
[0102] [表 11]
プライマーの組成
成分 プライマ―
1 7 1 8 1 9 2 〇 1 2 2 3 2 4
I 液 ( e) 蒸留水 37 37 37 37 37 37 37 37
(重量% ) (h) ΓΜΒΑ
( i) DEPT 3 3 3 3 3 3 3 3 ω ァセ ン & 8 8 8 8 8 8 &
I I 液 (f) 6-MHPA Ί
(重量% ) 6-MHPP
5-MFPA
5-MFPP Ί
10-MDPA
10-MDPF - - - ■7
2-MEPA 7
2-MEPP
(g) 4-ΑΕΓ 15 15 15 1 5 1 5 15 15 15
( j) 2 -HEM A 20 20 20 20 20 20 20 20
(k) ァセ ン 8 8 8 8 8 8 8 8
[0103] (2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
プライ 17 24で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用い て、本発明のレジンセメント 10の接着強度を測定した。接着強度は、初期段階およ び、耐久性を調べるため、加速試験(2000回のサーマルサイクル)の後に行った。測 定結果を表 12に示す。
[0104] [操作時間]
プライ 17 24で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用い て、本発明のレジンセメント 10の操作時間を測定した。測定結果を表 12に示す。
[0105] [表 12]
レジンセメ ン ト特性評価
プラ イ - 特性評価項目 一
〇
接着強度 16.64 16,0:3 15.70 16.11 15.84 13.6S 10/76 1L20 ェナメ レ質
(2,84) (3,20) (2.12) (2.56) (1.89) (3.02) (2,28) (L17) 平均 8/72 9.32 10,02 9.65 8.22 7.59 S.07 9,60 象牙質
(2.24) (2,59) (2.05) (3.02) (2.61) (2.05) (1.52) (1.45) 加速試験後 12.05 11.34 11.21 8.33 12.04 5.02 4.32 ェナメ レ質
接着強度 (2.60) (3.47) (2.12) (1.77) (0.75) (2.57) (1 45) (L2S)
7— 81 8.89 9.05 8,87 8.01 8, 12 3,71 2,02 平均 象牙質
(1.77) (2.02) (1.96) (1.45) (2.11) (1.98) (L 10;) (0.21) 操作時間
37 2 27 37 27 20 30
(秒)
[0106] プライマー 17〜22と、プライマー 23および 24との比較により、初期段階の接着強 度および操作時間については、同等であるが、加速試験後、プライマー 23および 24 o
の接着強度が著しく低下することが分力つた。
これにより、成分 (f)の一般式 (I)で示される重合性単量体において、 R2の炭素原 子数の適正範囲が、 5〜 10であることが確認された。
[0107] 実施例 5: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響(1)
(1)レジンセメントの製造
表 13の糸且成に基づき、ペースト Aおよびペースト Bからなる 2ペースト型のレジンセ メント 11〜 15を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成 分 (d)である棚寿命安定剤以外のペースト Aおよび Bの組成の合計を 50重量部とし
、各ペーストに適量の成分(d)を添加した。
[0108] [表 13]
レジンセメ ン トの組成 (重量部)
ペース ト 成分 レジンセメ ン ト
1 1 1 2 1 3 1 4 1 5
UDMA 10.5 10.5 10.5 10.5 10.5 G 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
Cb) FASGフイ ラ一 33.1 33,3 33,3 33,1 33,1 (b,) R-974 LO LO 1,0 LO LO )-(2) BBA*Na 0.2 --- 0.2 0.2 0.2 )-(4) DEPT 0,2 0.2 --- 0.2 0,2
BHT 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01
Bis-GMA 10.7 10.7 10.7 10.7 10.7
3G .O 5.0 5.0 o.O 5.0
FASGフイ ラ一 33.1 33.1 33.1 33.2 33.2
B R-711 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0
)-(l) BPO 0.1 0.1 0,1 0.1 )-(3) CQ 0.1 0.1 0,1 0.1 ---
Cd) BHT 0.05 0.05 0.05 0.05 ο.θδ
[0109] (2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライマー 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 11〜 15の接着強度を測定した。測定結果を表 14に示す。
[0110] [曲げ強度]
レジンセメント 11〜 15の曲げ強度を測定した。測定結果を表 14に示す。
[0111] [硬化時間]
レジンセメント 11〜15の硬化時間を測定した。測定結果を表 14に示す。
[0112] [操作時間]
本発明のプライマー 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 11〜15の操作時間を測定した。測定結果を表 14に示す。
[0113] [表 14]
レジンセ メ ン ト特性評価
ジンセメ ン ト
特性評価項目
接着強度 17.97 8.12 14.59 17.93 13.69
エナメル質
(3.09) (:2.09) (4.52) (5.27) (4.34)
平均 13.97 8.87 9,80 5.95 7.52
象牙質
(3.09) (1.11) (1.17) (1.25) (1.34)
曲げ強度
111.60 120.94 10.63 89.00 67.16
平均 (6.31) (12.76) (1.83) (13.13) (13.97) 硬化時間
211 253 時間以上 時間以上 188
(秒)
操作時間
20 2 90 20
(秒)
[0114] レジンセメント 11と、レジンセメント 12および 13との比較により、ペースト Α中の成分
(c) - (2)のバルビツール酸類の塩が欠けると接着強度が低下し、成分 (c) - (4)の ァミンが欠けると硬化時間が極端に長くなり、曲げ強度が極端に低下することから、 十分に硬化しな 、ことが分力つた。
これにより、レジンセメントの成分として、成分(c)一(2)のバルビツール酸類の塩お よび成分 (c)一(4)のァミンの双方が必須であることが確認された。
レジンセメント 11と、レジンセメント 14および 15との比較により、ペースト B中の成分 (c)一(1)の有機過酸ィ匕物が欠けると硬化時間が極端に長くなり、象牙質に対する接 着強度および曲げ強度が低下することから、十分に硬化せず、成分 (c)一(3)の光 重合開始剤が欠けると象牙質に対する接着強度および曲げ強度が低下することが 分かった。
これにより、レジンセメントの成分として、成分 (c)一(1)の有機過酸化物および成 分 (c) - (3)の光重合開始剤の双方が必須であることが確認された。
[0115] 実施例 6: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響(2)
(1)レジンセメントの製造
表 15の糸且成に基づき、ペースト Aおよびペースト Bからなる 2ペースト型のレジンセ メント 16〜20を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成 分 (d)である棚寿命安定剤以外のペースト Aおよび Bの組成の合計を 50重量部とし 、各ペーストに適量の成分(d)を添カ卩した。各レジンセメントにおいて、ペースト Bの組
成は共通である。
[0116] [表 15]
レジンセメ ン トの組成 (重量部)
ペース ト 成分 レジンセメ ン ト
1 6 1 7 1 8 1 3 2 0
Bis-GMA 10.5 10.5 10.5 10.5 10.5
(a)
ώ 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
(b) FASGフイ ラ 32.7 32,6
ト 一 32— 3 31,8 30,8 (b') 寸 丄 > b 丄 > i: 1 , DO 丄 > i:) b 丄 > b ό
Cc)-(2) TMBA*Na 0—1 0,2 ο,δ LO 2,0
Cc)-(4) DEPT 0.15 0.15 0,15 0.15 ο.ΐδ
Cd) BHT 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01
UDMA 10.2 10.2 10.2 10.2 10.2
Ca)
3G δ— o 6.0 5,0 δ— o 6.0
Cb) FASGフイ ラ一 33.1 33.1 33.1 33.1 33.1
B Cb') R-711 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
(c)-(l) BPO 0.1 0.1 0,1 0.1 0.1
Cc)-(3) CQ 0.1 0.1 0,1 0.1 0.1
Cd) BHT 0.03 0.03 0,03 0.03 0.03
[0117] (2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライマー 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 16〜20の接着強度を測定した。測定結果を表 16に示す。
[0118] [曲げ強度]
レジンセメント 16〜20の曲げ強度を測定した。測定結果を表 16に示す。
[0119] [硬化時間]
レジンセメント 16〜20の硬化時間を測定した。測定結果を表 16に示す。
[0120] [操作時間]
本発明のプライマー 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 16〜20の操作時間を測定した。測定結果を表 16に示す。
[0121] [表 16]
レジンセメ ン ト特性評価
レジンセメ ン - h
特性評価項目
1 6 1 7 1 8 1 9 2 〇
接着強度 15.30 14.55 16.29 13.71 14.52
エナメル質
(M P a ) (3.67) (1.72) (4.87) (1.50) (4.58)
平均 10.84 10.64 9,54 12.01 10. OS
象牙質
( Ξ D ) (1,98) (3.90) (0.87) (2.11) (1.02)
曲げ強度
(M P a ) 102.07 112.50 108.62 105.17 112.07
平均 (15.11) (8.11) (9.15) (:8.89) (5.50)
( Ξ D )
硬化時間
229 224 20S 217 198
(秒)
操作時間
2 2 o 2 34
(秒)
[0122] レジンセメント 16ないし 20の比較により、いずれのレジンセメントにおいても、接着 強度、曲げ強度、硬化時間および操作性が良好であることが分力つた。
これにより、成分(c)一(2)のバルビツール酸類の塩の含有量の適正範囲力 0.1 重量部〜 2.0重量部であることが確認された。
[0123] 実施例 7: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響(3)
(1)レジンセメントの製造
表 17の糸且成に基づき、ペースト Αおよびペースト Βからなる 2ペースト型のレジンセ メント 21〜25を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成 分 (d)である棚寿命安定剤以外のペースト Aおよび Bの組成の合計を 50重量部とし 、各ペーストに適量の成分(d)を添カ卩した。各レジンセメントにおいて、ペースト Bの組 成は共通である。
[0124] [表 17]
ン トの組成 (重量部)
ース ト 成分 :ンセメ ン ト
2 1 2 2 2 3 2 4 2 5
UDMA 10.5 10.5 10.5 10.5 10.5 G 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
FASGフイ ラ一 32,7 32,6 32— 3 31,8 30,8 ,) R-974 Lo L5 1,5 L5 L5 )-(2) BBA*C 0.2 0.2 0,2 0.2 0.2 )-(4) DEPT 0.1 0,2 0,5 1.0 2.0
BHT 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01
Bis-GMA 10.2 10.2 10.2 10.2 10.2
3G .O 5.0 5.0 o.O 5.0
FASGフイ ラ一 33.1 33.1 33.1 33.1 33.1
B R-711 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
)-(l) BPO 0.1 0.1 0,1 0.1 0.1 )-(3) CQ 0.1 0.1 0,1 0.1 0.1
BHT 0.03 0.03 0.03 0.03 0.03
[0125] (2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライマー 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 21〜25の接着強度を測定した。測定結果を表 18に示す。
[0126] [曲げ強度]
レジンセメント 21〜25の曲げ強度を測定した。測定結果を表 18に示す。
[0127] [硬化時間]
レジンセメント 21〜25の硬化時間を測定した。測定結果を表 18に示す。
[0128] [操作時間]
本発明のプライマー 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 21〜25の操作時間を測定した。測定結果を表 18に示す。
[0129] [表 18]
レジンセメ ン ト特性評価
レジンセメ ン h
特性評価項目
2 1 2 2 2 3 2 4 2 5
接着強度 14.55 15.77
ェナメ
(M P a ) (3.53) (1— 8.7) (3,78)
平均 13.6S 12.93 9 , '
象牙質
( Ξ D ) (3.27) (3.68) (1.01) (2.22)
曲げ強度
(M P a ) 108.87 112.65 114.08
平均 (9.21) (10.08;) (10.96)
( S D ) o
寸
硬化時間
326 234 181 108 ---
(秒)
操作時間
20 18 ---
(秒)
「一一一」
注釈 : 表中の は測定不能である こ と を示す。
[0130] レジンセメント 21〜25の比較により、成分(c) - (4)のァミンの含有量が多くなると 硬化時間および操作時間が短くなり、十分な接着強度および曲げ強度が得られない ことが分力つた。
なお、レジンセメント 24は、硬化時間が短いため、曲げ強度の測定データが得られ なかった。また、レジンセメント 25においても、硬化時間および操作時間が短いため 、接着強度、曲げ強度、硬化時間および操作時間の測定データが得られな力つた。 これにより、成分 (c)一(4)のァミンの含有量の適正範囲力 0. 1重量部〜 0.5重 量部であることが確認された。
[0131] 実施例 8: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響 (4)
(1)レジンセメントの製造
表 19の糸且成に基づき、ペースト Αおよびペースト Βからなる 2ペースト型のレジンセ メント 26〜30を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成 分 (d)である棚寿命安定剤以外のペースト Aおよび Bの組成の合計を 50重量部とし 、各ペーストに適量の成分(d)を添カ卩した。各レジンセメントにおいて、ペースト Aの 組成は共通である。
[0132] [表 19]
レジンセメ ン トの組成 (重量部)
成分 ジ:ノ
2 6 2 7 2 8 2 9 3
UDMA 10.5 10.5 10.5 10.5 10.5
(a)
G 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
Cb) FASGフイラ一 32,7 32 32 32,7 32— 7 (b,) R-974 Lo L5 Ι,δ L5 L5
Cc)-(2) TMBA*Na 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
Cc)-(4) DEPT 0.1 0.1 0,1 0.1 0.1
Cd) BHT 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01
Bis-GMA 10.2 10.2 10.2 10.2 10.2
Ca)
3G .O 5.0 5.0 δ.ο 5.0
Cb) FASGフイラ一 33.1 33.0 32.7 32.5 32.2
B Cb') R-974 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
Cc)-(l) BPO 0.1 0.2 0.5 0.7 1.0
(c)-(3) CQ 0.1 0.1 0,1 0.1 0.1
Cd) BHT 0.03 0.05 0.05 0.05 ο.θδ
[0133] (2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライ 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 26 30の接着強度を測定した。測定結果を表 20に示す。
[0134] [曲げ強度]
レジンセメント 26 30の曲げ強度を測定した。測定結果を表 20に示す。
[0135] [硬化時間]
レジンセメント 26 30の硬化時間を測定した。測定結果を表 20に示す。
[0136] [操作時間]
本発明のプライ 1で表面処理した歯牙試験体 (エナメル質および象牙質)を用 いて、レジンセメント 26 30の操作時間を測定した。測定結果を表 20に示す。
[0137] [表 20]
レジンセメ ン ト特性評価
レジンセメ ン
特性評価項目
〇
接着強度 16,01 18.52 18.26 19.59 19.59
ェナメ
ル質 (4.25) (3—81) (2.36) (3,01) (3— 01) 平均 10.27 14.30 13.45 16.04
象牙質
(3.45) (1.27) (2.01) (2.70) (4.53)
曲げ強度
114.23 109.56 112.23 111.42
平均 (9.68) (:8.89) (9.51) (9.09) 硬化時間
375 204 224 105 72
(秒)
操作時間
25 2 • 17 10
(秒)
注釈 : 表中の 「一一一」 は測定不能である こ と を示す。 レジンセメント 26〜30の比較により、成分 (c) - (1)の有機過酸化物の含有量が多 くなると、十分な接着強度が得られるものの、硬化時間および操作時間が短くなること が分かった。
これにより、成分 (c)一(1)の有機過酸ィ匕物の含有量の適正範囲が、 0. 1重量部〜 0. 5重量部であることが確認された。