JP2005032735A - エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
上記目的を達成するために、本発明は、EL素子を構成する少なくとも1層の有機EL層を、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることを特徴とするEL素子の製造方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明のEL素子の製造方法は、EL素子を構成する少なくとも1層の有機EL層を、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることを特徴とするものである。
本発明におけるEL素子とは、少なくとも1層のパターニングされた有機EL層を有するものであり、具体的には、第1電極層と、上記第1電極層上に形成されたEL層と、上記EL層上に形成された第2電極層とから少なくとも構成されてなるものであり、上記EL層には少なくとも1層のパターニングされる有機EL層が含まれるものである。
本発明のEL素子の製造方法においては、上記有機EL層のパターニングが、フォトリソグラフィー法により行われる点に特徴を有するものである。このフォトリソグラフィー法とは、光照射により膜の光照射部の溶解性が変化することを利用して光照射パターンに応じた任意のパターンを形成する方法である。以下、このフォトグラフィー法について説明する。
本発明において用いることができるフォトレジストは、ポジ型であってもネガ型であっても特に限定されるものではないが、発光層などの有機EL層形成に用いる溶媒に不溶であるものが好ましい。
本発明において、上記フォトレジストをコーティングする際に用いられるフォトレジスト溶媒としては、フォトレジスト製膜の際に発光層等の上述した有機EL層とフォトレジスト材料が混合や溶解することを防ぎ、本来の発光特性を保つために発光層材料等の有機EL材料を溶解しないものを用いることが望ましい。この点を考慮すると、本発明に用いることができるフォトレジスト溶媒としては、発光層形成用材料等の有機EL層形成用の材料に対する溶解度が、25℃、1気圧で0.001(g/g溶媒)以下の溶媒を選択することが好ましく、さらに好ましくは0.0001(g/g溶媒)以下の溶媒を選択することが好ましい。
また、本発明に用いることができるフォトレジスト現像液としては、上記有機EL層を形成する材料を溶解するものでなければ特に限定されるものではない。具体的には、一般的に使用されている有機アルカリ系現像液を使用できるが、そのほかに、無機アルカリ、またはレジストの現像が可能な水溶液を使用することができる。レジストの現像を行った後は水で洗浄するのが望ましい。
さらに、本発明において用いることができるフォトレジスト剥離液としては、上記有機EL層を溶解するものではなく、フォトレジスト層を溶解することが必要であり、上述したようなフォトレジストの溶媒をそのまま使用することがでる。また、ポジ型レジストを用いた場合はUV露光を行った後でレジスト現像液として挙げた液を用いて剥離することも可能である。
本発明に用いられるフォトリソグラフィー法によるパターニングは、具体的には、ポジ型のフォトレジストを用いた場合、まず有機EL層を全面形成後、その上に上記フォトレジスト材料を上記フォトレジスト溶媒に溶解したフォトレジスト溶液を全面塗布して乾燥させることにより、まずフォトレジスト層を形成する。次いで、このフォトレジスト層に対してパターン露光を行い、露光部分のフォトレジストを上述したようなレジスト現像液で現像する。この現像により、未露光部のフォトレジストのみ残す。そして、フォトレジストが被覆されていない部分の有機EL層を除去することにより、有機EL層をパターニングする方法である。
本発明においては、上述したように二つの電極層に挟まれたEL層において、少なくとも1層がパターニングされる有機EL層である必要があり、上述したようにバッファー層もしくは発光層が有機EL層としてパターニングされて形成されることが好ましい。以下、まずこのバッファー層について説明する。
次に、本発明によりパターニングされて形成される、有機EL層としての発光層について説明する。
色素系材料としては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
高分子系の材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体、金属錯体系発光材料を高分子化したもの等を挙げることができる。
発光層中に発光効率の向上、発光波長を変化させる当の目的でドーピングを行うことができる。このドーピング材料としては例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィレン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができ。
発光層塗布用の溶媒は、バッファー層と用いる場合、発光層の製膜の際にバッファー層と発光層材料が混合や溶解することを防ぎ、発光材料本来の発光特性を保つためにバッファー層を溶解しないことが望ましい。
1.電荷輸送層
本発明の有機EL層としては電荷注入層も挙げることができる。この電荷注入層には正孔注入層および/または電子注入層が含まれる。これらは、例えば特開平11−4011号公報に記載のもののように、EL素子に一般に用いられるものであれば特に限定されない。
本発明においては、電極層は通常EL素子に用いられるものであれば限定されず基体に先に設ける電極層を第1電極層、有機EL層形成後に設ける電極層を第2電極層と呼ぶことがある。これらの電極層は、陽極と陰極からなり、陽極と陰極のどちらか一方が、透明または、半透明であり、陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料が好ましい。また、複数の材料を混合させてもよい。いずれの電極層も、抵抗はできるだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
本発明のEL素子において、基体上に形成されている第1電極層のパターニングしたエッジ部分および素子の非発光部分を覆い、発光に不要な部分での短絡を防ぐために、絶縁層を発光部分が開口となるように予め設けておいても良い。このようにすることで、素子の短絡等による欠陥を低減し、長寿命で安定発光する素子が得られる。
次に、本発明のEL素子について説明する。本発明のEL素子は、以下に説明する三つの実施態様を有するものであり、いずれも、上述したEL素子の製造方法により製造することができる。以下、各実施態様毎に説明する。
本発明のEL素子の第1実施態様は、少なくとも1層のパターニングされた有機EL層を有するEL素子であって、隔壁、パターニングを補助する構成物およびパターニングを補助する表面処理のいずれをも有しないことを特徴とするものである。
本発明のEL素子の第2実施態様は、少なくとも1層の有機EL層を有するEL素子であって、上記有機EL層がパターニングされた発光層であり、上記パターニングされた発光層の端部に形成された膜厚不均一領域の幅が、15μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは7μm以下であることを特徴とするものである。ここで、「膜厚不均一領域」とは、エッジ部分に存在し、膜厚が平坦部の平均膜厚の90%以下となっている領域をいう。
本発明のEL素子の第3実施態様は、少なくとも1層の有機EL層を有するEL素子であって、上記有機EL層が、複数色の発光が可能なパターニングされた複数の発光層であり、隣り合う異なる色を発光する発光層間の距離が、30μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下であることを特徴とするEL素子である。
上記第1実施態様、第2実施態様および第3実施態様に示されるEL素子においては、少なくとも基板と、前記基板上にパターン状に形成された電極層と、前記電極層のエッジ部分および素子の非発光部分を覆うような絶縁層とを有する構成とされていることが好ましい。
上記のような、特定の溶液への溶解性を利用した本発明におけるEL素子のパターニングを行うことのできる好適な材料組み合わせは、例えば以下の通りである。
発光層:ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、
ポリビニルカルバゾール誘導体
フォトレジスト:ポジ型レジスト(ノポラック樹脂系)
フォトレジスト溶媒:セロソルブ、セロソルブアセテート
フォトレジスト現像液:有機アルカリ現像液
フォトレジスト剥離液:セロソルブ、セロソルブアセテート、アセトン
発光層形成溶媒:キシレン、トルエン
一方、一般的に用いられるEL素子材料やフォトレジスト材料であっても、例えば以下のような組み合わせは本発明においては好適ではない(ただし、各々の材料は他の材料系との組み合わせにおいては好適材料となりうる)。
発光層:以下の構造を有するTPD/Alq3、ポリビニルカルバゾール+オキサジアゾール誘導体+蛍光色素
フォトレジスト溶媒:セロソルブ、セロソルブアセテート
フォトレジスト現像液:有機アルカリ現像液
フォトレジスト剥離液:セロソルブ、セロソルブアセテート、アセトン
発光層形成溶媒:ジクロロエタン(TPD/Alq3の場合は真空成膜)
本発明において、発光層にポリビニルカルバゾール+オキサジアゾール誘導体+蛍光色素を用いると、レジストの成膜、剥離時にオキサジアゾール誘導体や蛍光色素が溶出するため不適当である。また、発光層にTPD/Alq3を用いることも、レジストの成膜、剥離時にTPDおよびAlq3が溶出する、フォトリソ中の加熱工程によってTPDが結晶化する等の理由で不適当である。
(バッファー層のパターニング)
3インチ□、板厚1.1mmのパターニングされたITO基板を洗浄し、本実施例に用いる基体および第1電極層とした。
バッファー層がパターニングされた基体上に以下の化学構造を有するポリパラフェニレンビニレン誘導体発光高分子MEH−PPVの1wt%キシレン溶液を、2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。
ITO電極(第1電極層)側を陽極、Ag電極(第2電極層)側を陰極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した。10V印加時に発光が認められ、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングによる発光開始電圧の劣化がないと評価できた。また、発光効率の低下もみられなかった。さらに、バッファー層をパターニングしていることにより、陽極ライン間の絶縁性を高めることができクロストーク発生率が減少した。
実施例1と同様にバッファー層をパターニングした。
ITO電極(第1電極層)側を陽極、Ag電極(第2電極層)側を陰極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した。10V印加時に第1ないし第3の発光部それぞれより発光が認められ、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングによる発光開始電圧の劣化がないと評価できた。また、発光効率の低下もみられなかった。さらに、バッファー層をパターニングしていることにより、陽極ライン間の絶縁性を高めることができクロストーク発生率が減少した。
発光層に下記式で表されるポリビニルカルバゾール、発光層溶媒にトルエンを用いた以外は実施例1と同様にEL素子を作製した。
ITO電極(第1電極層)側を陽極、Ag電極(第2電極層)側を陰極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した。15V印加時発光が認められ、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングによる発光開始電圧の劣化がないと評価できた。また、発光効率の低下もみられなかった。さらに、バッファー層をパターニングしていることにより、陽極ライン間の絶縁性を高めることができクロストーク発生率が減少した。
(バッファー層の製膜)
3インチ□、板厚1.1mmのパターニングされたITO基板を洗浄し、本実施例に用いる基体および第1電極層とした。バッファー層塗布液(バイエル社製;BaytronP)を0.5mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2500rpmで20秒間保持して層形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
バッファー層がパターニングされた基体上にポリパラフェニレンビニレン誘導体発光高分子MEH−PPVの1wt%キシレン溶液を2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2000rpmで10秒間保持して層形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
ITO電極側を正極、Ag電極側を負極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した。10V印加時に第1乃至第3の発光部それぞれより発光が認められた。
酸素プラズマ処理の代わりに、大気圧プラズマを用いた以外は実施例4と同様に素子作製を行った。実施例4と同様にパターン形成が可能であり、第1乃至第3の発光部それぞれより発光が認められた。
(バッファー層の製膜)
6インチ□、板厚1.1mmのパターニングされたITO基板を洗浄し、本発明の基体および第1電極層とした。バッファー層塗布液(バイエル製BaytronP(化1))を0.5mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2500rpmで20秒間保持して層形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
第1の発光層としてバッファー層がパターニングされた基体上にポリパラフェニレンビニレン誘導体発光高分子MEH−PPVの1wt%キシレン溶液を、を2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2000rpmで10秒間保持して層形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
ITO電極側を正極、Ag電極側を負極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した。10V印加時に第1乃至第3の発光部それぞれより発光が認められた。
3インチ□、板厚1.1mmのパターニングされたITO基板を洗浄し、基体および第1電極層とした。このときITOのパターンは、ライン84μmでスペースが16μmであった。上記スペースの部分とITOの端部(5μmづつ)に、26μm幅で絶縁性のUV硬化型樹脂よりなるネガ型レジストにより膜厚5μmの絶縁層を形成した。その他は、実施例4と同様にしてEL素子を形成した。
3 … バッファー層
4 … ポジ型フォトレジスト層
7 … 発光層
23 … バッファー層
24 … 青色発光層
25 … ポジ型フォトレジスト層
28 … 緑色発光層
29 … 赤色発光層
Claims (5)
- 少なくとも1層のパターニングされた有機エレクトロルミネッセント層を有するエレクトロルミネッセント素子であって、隔壁、パターニングを補助する構成物およびパターニングを補助する表面処理のいずれをも有しないことを特徴とするエレクトロルミネッセント素子。
- 少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層を有するエレクトロルミネッセント素子であって、前記有機エレクトロルミネッセント層がパターニングされた発光層であり、前記パターニングされた発光層の端部に形成された膜厚不均一領域の幅が、15μm以下であることを特徴とするエレクトロルミネッセント素子。
- 少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層を有するエレクトロルミネッセント素子であって、前記有機エレクトロルミネッセント層が、複数色の発光が可能なパターニングされた複数の発光層であり、隣り合う異なる色を発光する発光層間の距離が、30μm以下であることを特徴とするエレクトロルミネッセント素子。
- 少なくとも基板と、前記基板上にパターン状に形成された電極層と、前記電極層のエッジ部分および素子の非発光部分を覆うように形成された絶縁層とを有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のエレクトロルミネッセント素子。
- 前記有機エレクトロルミネッセント層が、少なくともバッファー層を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のエレクトロルミネッセント素子。
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