JP2005011925A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

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敏弘 樋口
Mitsuru Harada
充 原田
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幸史 竹田
Tomoko Hosokawa
知子 細川
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Abstract

【課題】固体電解コンデンサに関し、高温負荷時の漏れ電流が急激に上昇してしまうという課題を解決し、高耐熱性かつ高信頼性の固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】導電性高分子を電解重合でコンデンサ素子上に生成する際に、その重合溶液中に添加剤としてビスフェノールA骨格を有する高分子を添加して重合を行うことにより、重合膜の膜強度が上昇し熱ストレスによるひび割れなどを低減することができ、高耐熱で高信頼性の固体電解コンデンサが作製できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンデンサ特性、特に高周波特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器回路のデジタル化に伴い、これらに使用されるコンデンサも高周波領域でのインピーダンスが低く、小型大容量のものへの要求が高まってきており、従来、高周波領域用のコンデンサとしては、プラスチックフィルムコンデンサ、マイカコンデンサ、積層セラミックコンデンサが用いられているが、フィルムコンデンサおよびマイカコンデンサでは形状が大きくなってしまうために大容量化が難しく、また積層セラミックコンデンサでは、小型大容量になればなるほど温度特性が悪くなり、更には価格が非常に高くなるという欠点がある。
【0003】
一方、大容量タイプのコンデンサとして知られるものに、アルミニウム乾式電解コンデンサあるいはアルミニウムまたはタンタル固体電解コンデンサなどがあり、これらのコンデンサは誘電体となる陽極酸化皮膜を非常に薄くできるために大容量化が実現できるのであるが、その反面、酸化皮膜の損傷が起きやすいために、酸化皮膜と陰極の間に損傷を修復するための電解質を設ける必要がある。このアルミニウム乾式電解コンデンサでは、エッチングを施した陽/陰極アルミニウム箔をその間に紙製のセパレータを介して巻き取り、液状の電解質をセパレータに含浸して用いている。このため、電解質の液漏れ、蒸発等の理由により経時的に静電容量の減少や損失(tanδ)の増大が起ると同時に、電解質のイオン伝導性により高周波特性および低温特性が著しく劣る等の欠点を有している。
【0004】
また、アルミニウムまたはタンタル固体電解コンデンサでは、上記アルミニウム乾式電解コンデンサの欠点を改良するために固体電解質として二酸化マンガンが用いられており、この固体電解質は硝酸マンガン水溶液に陽極素子を浸漬し、250〜350℃の温度で熱分解して得られている。このコンデンサの場合、電解質が固体のため、高温における電解質の流出、低温域で凝固から生ずる性能の低下などの欠点がなく、液状電解質を用いたコンデンサに比べて良好な周波数特性および温度特性を示すが、硝酸マンガンの熱分解による酸化皮膜の損傷及び二酸化マンガンの比抵抗が高いことなどの理由から、高周波領域のインピーダンスあるいは損失は積層セラミックコンデンサあるいはプラスチックフィルムコンデンサと比較して1桁以上高い値となっているものである。
【0005】
このような問題点を解決するために、固体電解質として導電性が高く、陽化酸化性のすぐれた有機半導体(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン錯体)を用いることが提案されているが、この有機半導体は有機溶媒に溶解したり、加熱による融解などの手段を用いて酸化皮膜に含浸塗布することが可能であり、MnOを含浸する際に生ずる熱分解による酸化皮膜の損傷を防ぐことができ、また、TCNQ錯体は導電性が高く、陽極酸化性の優れたもので、高周波箔性が良好で大容量のコンデンサを実現することが可能となるものである。
【0006】
さらに、近年、ピロール、チオフェンなどの複素環式化合物の重合体を陽極体上に形成して固体電解して利用しようとする提案がなされており、この種の従来の固体電解コンデンサは、溶媒、モノマー、電解質にカルボン酸基または水酸基を有する高分子を含む重合溶液を用いて導電性電解重合高分子を形成させるようにしていたものであり、このように構成された従来の固体電解コンデンサは、それまでに問題であった酸化皮膜への電解重合膜の接着強度、あるいは電解質の安定性を向上させることができるものであった。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−74018号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサ及びその製造方法では、酸化皮膜上に形成される導電性電解重合高分子の膜強度が乏しく、その結果高温負荷がかかると導電性電解重合高分子に亀裂が生じ、コンデンサの信頼性の指標の一つである漏れ電流が急激に上昇してしまうという課題があった。
【0010】
本発明はこのような従来の課題を解決し、漏れ電流の低減を図り、コンデンサ特性の向上を図ることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜層、導電性高分子層、陰極層が順次積層形成された固体電解コンデンサにおいて、上記導電性高分子層が少なくとも(化3)で示される化合物を含む構成としたものであり、これにより、誘電体酸化皮膜層上に形成される導電性電解重合高分子の膜強度を向上させ、高温負荷に対しての漏れ電流の急激な上昇を抑制することができるという作用効果が得られる。
【0012】
【化3】
Figure 2005011925
【0013】
本発明の請求項2に記載の発明は、導電性高分子層を形成するモノマーがピロール、チオフェン、フラン、アニリンあるいはそれらの誘導体の少なくとも一つ以上から選ばれる構成としたものであり、これにより、高い導電性が得られ、高周波領域でのインピーダンス特性の優れた固体電解コンデンサが得られるという作用を効果を有する。
【0014】
本発明の請求項3に記載の発明は、導電性高分子層の一部にフェノール誘導体が添加された構成としたものであり、これにより、フェノール誘導体が高分子骨格の秩序性を高める効果を有しているため、より高温条件下でも安定な固体電解コンデンサが得られるという作用効果を有する。
【0015】
本発明の請求項4に記載の発明は、フェノール誘導体がニトロフェノール、シアノフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノールの少なくとも一つ以上から選ばれる構成としたものであり、これにより、高温および高湿下における特性の優れた固体電解コンデンサが得られるという作用効果を有する。
【0016】
なお、ここで用いられるフェノール誘導体としては、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、o−シアノフェノール、m−シアノフェノール、p−シアノフェノール、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、pヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシフェノール、m−ヒドロキシフェノール、p−ヒドロキシフェノール等が挙げられる。
【0017】
本発明の請求項5に記載の発明は、(化4)で示される化合物および重合性モノマーを少なくとも含む水を主溶媒とする重合液を用いて導電性高分子層を形成させるようにした固体電解コンデンサの製造方法というものであり、この方法により、水を主溶媒として用いることで、環境負荷を極めて少なくして固体電解コンデンサを製造することができるという作用効果を有する。
【0018】
【化4】
Figure 2005011925
【0019】
本発明の請求項6に記載の発明は、重合性モノマーがピロール、チオフェン、アニリンあるいはそれらの誘導体の少なくとも一つから選ばれるものであるという製造方法であり、この方法により、上記重合性モノマーを用いることでより高い導電性が得られ、高周波領域でのインピーダンス特性の優れた固体電解コンデンサが得られるという作用効果を有する。
【0020】
本発明の請求項7に記載の発明は、重合液にフェノール誘導体、アルコール類の少なくとも一つを添加したという製造方法であり、この方法により、優れた容量引き出し効率が得られ、かつ安定な膜質を有する導電性高分子を形成させることが可能になるという作用効果を有する。
【0021】
本発明の請求項8に記載の発明は、フェノール誘導体がニトロフロェノール、シアノフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノールの少なくとも一つ以上から選ばれ、かつ重合液中の濃度を0.01〜0.1Mとしたという製造方法であり、この方法により、請求項7に記載の発明により得られる作用効果に加え、フェノール誘導体が高分子骨格の秩序性を高めるため、さらに高温および高湿下におけるESRおよび静電容量特性に優れた固体電解質層を形成させることが可能になるという作用効果を有する。
【0022】
なお、フェノール誘導体の重合液中の濃度が0.01M未満の場合には形成される高分子の秩序性が低いために耐熱特性が低下し、また、フェノール誘導体の重合液中の濃度が0.1Mを超える場合には重合速度が速くなってエッジ部分に重合電流が集中し、それにより高分子層の厚さが不均一となってコンデンサ素子積層時のストレスにより漏れ電流特性が低下するために好ましくない。
【0023】
本発明の請求項9に記載の発明は、アルコール類の炭素数が1〜4であり、かつ重合液中のアルコール類の添加量を0.5〜20wt%としたという製造方法であり、これにより、重合液中にアルコール類を添加することで、特にエッジ部分における重合反応の反応性を抑制し、形成される導電性高分子の表面形状を改善することが可能になるという作用効果を有する。
【0024】
なお、ここで用いられる溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、3−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。
【0025】
また、アルコール類の添加量が0.5wt%未満の場合にはエッジ部分に重合電流が集中し、それにより高分子層の厚さが不均一となるためコンデンサ素子積層時のストレスにより漏れ電流特性が低下し、また、アルコール類の添加量が20wt%を超える場合には重合速度が低下するために重合時間が長くなり、生産性が急激に悪化するために好ましくない。
【0026】
本発明の請求項10に記載の発明は、導電性高分子の形成を電解重合により行うようにした製造方法であり、これにより、請求項5に記載の発明により得られる作用効果に加え、電解重合を行うことで立体秩序性の高い導電性高分子が形成され、それにより均一な重合膜厚を有し、かつ電気電導度の高い固体電解質層を形成させることが可能になるという作用効果を有する。
【0027】
本発明の請求項11に記載の発明は、電解重合時の電圧を1〜3Vで行うようにしたという製造方法であり、これにより、電圧により反応性を制御することができるので高い容量引き出し特性を示す固体電解質層を形成することが可能になるという作用効果を有する。
【0028】
なお、電解重合時の電圧が1V未満の場合には重合時間が長くなり、また電圧が3Vを超える場合には水の電気分解などの副反応の比率が上がるために初期のESR、静電容量などのコンデンサ特性が低下するために好ましくない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を用いて、本発明の請求項1〜11に記載の発明について説明する。
【0030】
(実施例1)
図1は本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの構成を示す模式図であり、まず陽極としてリードをつけた3mm×4mmのアルミニウムエッチド箔1を使用した。これに3%アジピン酸アンモニウム水溶液を用いて印加電圧6V、水溶液温度70℃で60分間陽極酸化を行うことにより、アルミニウムエッチド箔1の表面に誘電体酸化皮膜2を形成した。その後、硝酸マンガン30%水溶液に浸漬して引き上げて自然乾燥させた後、300℃で10分間の熱分解処理を行うことにより固体電解質層3の一部となるマンガン酸化物層を形成した。
【0031】
次に、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントとn=10の(化5)で示される化合物と水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極をアルミニウムエッチド箔1の表面に近接させ、重合液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した。
【0032】
【化5】
Figure 2005011925
【0033】
その後、陰極引き出し層としてカーボンを塗布、乾燥することによって得られるカーボン層4、および銀ペーストを塗布乾燥することによって得られる銀層5を形成し、カーボン層4と銀層5を併せて陰極引き出し部とした。その後、外装することにより固体電解コンデンサを10個完成させた。
【0034】
(比較例1)
上記実施例1と同様の方法で陽極となるアルミニウムエッチド箔1の外表面に誘電体酸化皮膜2を形成した後、熱処理を行うことによって固体電解質層3の一部となる導電性のプレコート層を形成した。この後、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントと水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極をアルミニウムエッチド箔1の表面に近接させ、液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した。その後、実施例1と同様の方法でカーボン層4と銀層5を形成し、カーボン層4と銀層5からなる陰極引き出し部を形成してから外装を施し、10個の固体電解コンデンサを完成させた。
【0035】
(実施例2)
上記実施例1において、誘電体酸化皮膜2形成後、水溶性ポリアニリン5%溶液に浸漬して200℃10分間の加熱処理を行うことによって固体電解質層3の一部となる導電性層を形成した。次に、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントとn=20の(化5)で示される化合物と水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、重合液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0036】
(比較例2)
上記実施例1において、誘電体酸化皮膜2形成後、水溶性ポリアニリン5%溶液に浸漬して200℃10分間の加熱処理を行うことによって固体電解質層3の一部となる導電性層を形成した。次に、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントと水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、重合液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0037】
(実施例3)
上記実施例1において、固体電解質層3の一部となるマンガン酸化物層を形成した後、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントとn=100の(化5)で示される化合物とエタノールと水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極をアルミニウムエッチド箔1の表面に近接させ、重合液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0038】
(比較例3)
上記実施例1において、固体電解質層3の一部となるマンガン酸化物層を形成した後、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントとエタノールと水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極をアルミニウムエッチド箔1の表面に近接させ、重合液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0039】
(実施例4)
上記実施例1において、固体電解質層3をn=30の(化5)で示される化合物を含むポリエチレンジオキシチオフェンのスルホン酸溶液とスルホン化ポリアニリンの水−アルコール混合溶液中にコンデンサ素子を浸漬して引き上げた後、150℃で5分間の乾燥処理を行い、ポリエチレンジオキシチオフェンのスルフォネートの層を形成し、続いて、複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン0.5mol/Lと酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄1mol/Lと重合溶剤であるn−ブタノール2mol/Lと(化5)で示される化合物を含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンの固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0040】
(比較例4)
上記実施例1において、固体電解質層3をポリエチレンジオキシチオフェンのスルホン酸溶液とスルホン化ポリアニリンの水−アルコール混合溶液中にコンデンサ素子を浸漬して引き上げた後、150℃で5分間の乾燥処理を行い、ポリエチレンジオキシチオフェンのスルフォネートの層を形成し、続いて、複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン0.5mol/Lと酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄1mol/Lと重合溶剤であるn−ブタノール2mol/Lを含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンの固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0041】
(実施例5)
上記実施例1において、固体電解質層3の一部となるマンガン酸化物層を形成した後、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントとn=50の(化5)で示される化合物とニトロフェノールとエタノールと水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極をアルミニウムエッチド箔1の表面に近接させ、重合液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0042】
(比較例5)
上記実施例1において、固体電解質層3の一部となるマンガン酸化物層を形成した後、エチレンジオキシチオフェンモノマーとドーパントとニトロフェノールとエタノールと水を加えて調製した固体電解質形成用の重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極をアルミニウムエッチド箔1の表面に近接させ、重合液温度25℃、重合電圧2Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した以外は上記実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0043】
上記実施例1〜5と比較例1〜5の固体電解コンデンサの初期値と耐熱負荷(260℃、3分)試験後の漏れ電流、ESR特性及び静電容量特性を(表1)に示す。なお、ESR特性は100kHzで測定した。
【0044】
【表1】
Figure 2005011925
【0045】
(表1)から明らかなように、実施例1と比較例1の比較から、(化5)で示される化合物を導電性高分子層に含むことにより膜強度が向上して耐熱負荷試験での漏れ電流特性が著しく良化することが分かる。また、実施例2と比較例2の比較から、固体電解質の一部となる導電性層を水溶性ポリアニリン層としても、同等の漏れ電流特性が得られることが分かる。また、実施例1と実施例3の比較から、重合溶液にエタノールを添加することによりESR及び静電容量特性が上昇することが確認できる。また、実施例3と比較例3の比較から、エタノールを添加した場合においても(化5)で示される化合物を添加することによる漏れ電流特性の向上が確認できる。
【0046】
また、実施例1と実施例4の比較から、重合プロセスを酸化剤を用いた化学重合とした場合、実施例1と同等のESR特性を得ることはできず、電解重合により得られる固体電解コンデンサの特性の方がより優れていることが確認できる。また、実施例4と比較例4の比較から、重合プロセスを化学重合にした場合においても、(化5)で示される化合物を添加することによる漏れ電流特性の向上が確認できる。また、実施例1と実施例3と実施例5の比較から、ニトロフェノールを添加することによりESR及び漏れ電流特性が向上することが確認できる。また、実施例5と比較例5の比較から、ニトロフェノールが添加された場合においても(化5)で示される化合物を添加することによる漏れ電流特性の向上が確認できる。
【0047】
なお、重合性モノマーとしてエチレンジオキシチオフェンの代わりにピロール、チオフェン、フラン、アニリンあるいはそれらの誘導体を用いた場合にも同様の効果があることを確認した。
【0048】
(実施例6)
実施例1に示した固体電解質形成用の重合液にパラニトロフェノールを0.0001,0.005,0.01,0.05,0.1,0.2M添加することにより、導電性高分子層の一部にパラニトロフェノールが添加された以外は実施例1と同様に固体電解コンデンサ10個を作製した。
【0049】
この固体電解コンデンサの初期値と高温無負荷(125℃、1000時間)試験後のESR特性を図2に示す。なお、ESR特性は100kHzで測定した。
【0050】
図2から明らかなように、パラニトロフェノール添加量が0.01〜0.1Mの固体電解コンデンサはESR特性が優れており、0.01M未満および0.1Mを超える場合にはESR特性が悪化する傾向が見られる。従って、パラニトロフェノールが高分子骨格の秩序性を高め、高温条件下でも安定な固体電解コンデンサを得るためには、パラニトロフェノール添加量を0.01〜0.1Mの範囲にするのが好ましい。
【0051】
また、添加剤としてパラニトロフェノールの代わりにパラシアノフェノール、パラヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシフェノールを添加しても同様の効果が得られることを確認した。
【0052】
(実施例7)
実施例1に示した固体電解質形成用の重合液に2−プロパノールを0.1,0.5,1,10,20,30wt%添加した以外は実施例1と同様に固体電解コンデンサ10個を作製した。
【0053】
この固体電解コンデンサの初期値の漏れ電流特性(2.0V、1分値)を図3に示す。
【0054】
図3から明らかなように、2−プロパノール添加量が0.5〜20wt%の固体電解コンデンサは漏れ電流特性が優れているが、0.5wt%未満では漏れ電流特性が悪化する傾向が見られる。また、2−プロパノール添加量が20wt%を超える場合には重合性が悪くなって重合時間が長くなる。従って、重合液中にアルコール類を添加することで重合反応の反応性を抑制し、エッジ部分への電流の集中を防ぎ、形成される導電性高分子の表面形状を改善することで漏れ電流特性に優れた固体電解コンデンサを得るためには、2−プロパノール添加量を0.5〜20wt%の範囲にするのが好ましい。
【0055】
また、溶剤として2−プロパノールの代わりにメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、3−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールを添加しても同様の効果が得られることを確認した。
【0056】
(実施例8)
実施例1に示した電解重合の重合電圧を0.5,1,2,3,5Vにした以外は実施例1と同様に固体電解コンデンサ10個を作製した。
【0057】
この固体電解コンデンサの初期値のESR特性を図4に示す。なお、ESR特性は100kHzで測定した。
【0058】
図4から明らかなように、重合電圧が1〜3Vの固体電解コンデンサはESR特性が優れており、1V未満では重合が速やかに進行せず、また3Vを超える場合には緻密な高分子が形成されずにESR特性が悪化する傾向が見られる。従って、重合電圧により反応を抑制し、優れたESR特性を有する固体電解コンデンサを得るためには、重合電圧を1〜3Vの範囲にするのが好ましい。
【0059】
なお、実施例1では陽極として弁作用金属のアルミニウムを使用した固体電解コンデンサについてのみ述べたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、外表面に酸化皮膜を有する弁作用金属であるタンタル、ニオブ、チタン等の他の物質でも同様の効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの構成を示した模式図
【図2】同パラニトロフェノールの重合液中への添加量とESR特性変化の関係を示した特性図
【図3】同プロパノールの重合液中への添加量と初期の漏れ電流特性を示した特性図
【図4】同電解重合電圧による初期の静電容量特性の関係を示した特性図
【符号の説明】
1 アルミニウムエッチド箔
2 誘電体酸化皮膜
3 固体電解質層
4 カーボン層
5 銀層

Claims (11)

  1. 弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜層、導電性高分子層、陰極層が順次積層形成された固体電解コンデンサにおいて、上記導電性高分子層が少なくとも(化1)で示される化合物を含む固体電解コンデンサ。
    Figure 2005011925
  2. 導電性高分子層を形成するモノマーがピロール、チオフェン、フラン、アニリンあるいはそれらの誘導体の少なくとも一つ以上から選ばれるものである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 導電性高分子層の一部にフェノール誘導体が添加された請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  4. フェノール誘導体がニトロフェノール、シアノフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノールの少なくとも一つ以上から選ばれるものである請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
  5. (化2)で示される化合物および重合性モノマーを少なくとも含む水を主溶媒とする重合液を用いて導電性高分子層を形成させるようにした固体電解コンデンサの製造方法。
    Figure 2005011925
  6. 重合性モノマーがピロール、チオフェン、アニリンあるいはそれらの誘導体の少なくとも一つから選ばれるものである請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 重合液にフェノール誘導体、アルコール類の少なくとも一つを添加した請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. フェノール誘導体がニトロフェノール、シアノフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノールの少なくとも一つ以上から選ばれ、かつ重合液中の濃度を0.01〜0.1Mとした請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. アルコール類の炭素数が1〜4であり、かつ重合液中のアルコール類の添加量を0.5〜20wt%とした請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 導電性高分子の形成を電解重合により行うようにした請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 電解重合時の電圧を1〜3Vで行うようにした請求項10に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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