JP4975237B2 - 導電性組成物の製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサ - Google Patents

導電性組成物の製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサ Download PDF

Info

Publication number
JP4975237B2
JP4975237B2 JP2003302582A JP2003302582A JP4975237B2 JP 4975237 B2 JP4975237 B2 JP 4975237B2 JP 2003302582 A JP2003302582 A JP 2003302582A JP 2003302582 A JP2003302582 A JP 2003302582A JP 4975237 B2 JP4975237 B2 JP 4975237B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive composition
electrical conductivity
water
heat resistance
solid electrolytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003302582A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004231939A (ja
Inventor
研二 赤見
康夫 工藤
千春 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2003302582A priority Critical patent/JP4975237B2/ja
Publication of JP2004231939A publication Critical patent/JP2004231939A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4975237B2 publication Critical patent/JP4975237B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

本発明は、電気伝導度が高く、かつ耐熱性・耐湿性に優れた導電性組成物とその製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサに関するものである。
ポリチオフェンの導電性組成物は、例えば、3,4−ジ置換チオフェンを無機第2鉄塩、有機酸又は有機基を含む第2鉄塩、アルカリ金属過硫酸塩並びに過硫酸アンモニウムよりなる群から選択される酸化剤を用いて重合することにより電気伝導性の高いポリチオフェンを作製することができるとされている(例えば、特許文献1参照)。
また、電解コンデンサ中の固体電解質がジアルコキシ−チオフェンの構造単位とするポリチオフェンを有することにより、陽極箔に対して伝導率を損なうことがなく密着的に付与することができ、実質的に周波数に依存しない容量によって、低誘電損失および低漏洩電流のコンデンサを得ることができるとされている(例えば、特許文献2参照)。
そして、このようなポリチオフェンの製造方法は、そのチオフェン誘導体モノマーと有機溶媒の溶液と、酸化剤と有機溶媒の溶液とを別々に基体上に塗被するか、チオフェン誘導体モノマーと酸化剤を有機溶媒中に混合した溶液を基体上に塗被することにより、ポリチオフェンの皮膜を形成することができるとされている。
特開平01−313521号公報 特開平02−015611号公報
しかしながら、上記ポリチオフェンの導電性組成物において、例えばp−トルエンスルホン酸第二鉄の酸化剤とアルコール系有機溶媒を用いてチオフェン誘導体モノマーを酸化重合したポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと略す)は、図4に示すようにモノマーと酸化剤の配合比率によって電気伝導度が大きく変化する。しかも図5に高温(125℃ in air)における電気伝導度の経時変化を示すように、初期の電気伝導度の高いものほど、その経時変化が大きく、電気伝導度が著しく低下するという課題を有している。
上記図5で高温における経時変化が小さいものは、初期の電気伝導度があまり高くないことから、固体電解質としての特性を満足することができないという問題がある。
また、図6に高温高湿(85℃/83%RH)による電気伝導度の経時変化を示すように、やはり初期の電気伝導度の高いものは、その経時変化が大きいという課題を有している。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、初期の電気伝導度を高くし、かつ高温・高湿による経時変化の少ない、耐熱性・耐湿性に優れた導電性組成物およびその製造方法を提供することを目的としたものである。
また、上記導電性組成物を用いて高周波特性ならびに耐熱性・耐湿性に優れた固体電解コンデンサを提供することをも目的とする。
上記目的を達成するために本発明の請求項1に記載の発明は、水に可溶な有機溶媒に重量比で0.25〜4.0の水を加え、これにチオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に過剰に分散させて重合液を調製する工程と、上記チオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤で酸化重合する工程とを備え、室温における電気伝導度が10S/cm以上を有する製造方法とするものであり、有機溶媒中に重量比で0.25〜4.0の水が含まれることにより、混合溶媒中の酸性が強くなるので酸化重合反応が促進され、また、チオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に過剰に分散させることにより、共役長の長い導電性組成物を得ることができるので、酸化重合して得られるポリチオフェンの導電性組成物は、室温における電気伝導度が10S/cm以上を有し、耐熱性試験(125℃,500時間)後の電気伝導度が1.7S/cm以上からなる導電性組成物を得ることができるという作用を有する。
上記水に可溶な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの一価のアルコール、および、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリンなどの多価のアルコールなどである。
なお、水に可溶な有機溶媒に対して水の重量比が0.25未満もしくは4.0を超えると、耐熱性・耐湿性の優れたものを得ることができない。
また、チオフェン誘導体モノマーが遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に等量またはそれ以下の場合は、耐熱性試験後の電気伝導度が極端に小さくなる。
また、水に可溶な有機溶媒に少なくとも多価アルコールを含むようにすることにより、高沸点の多価アルコールを含有させることにより飛散しにくくなるので、チオフェン誘導体モノマーと酸化剤の自由に移動できる時間が長くなるので、重合度合いが増し、共役長の長い導電性組成物を得ることができ、初期の電気伝導度が高く、かつ高温・高湿による電気伝導度の経時変化が少なく、しかも、耐熱性・耐湿性を有するものを得ることができるという作用を有する。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、チオフェン誘導体モノマーを3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと略す)とし、遷移金属塩の酸化剤を鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩として、鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩1モルに対して3,4−エチレンジオキシチオフェンを0.75モル以上含むようにした製造方法であり、比較的容易に酸化重合されて電気伝導度の高いPEDOTを得ることができるという作用を有する。
また、遷移金属塩の酸化剤を鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩とすることにより、チオフェン誘導体モノマーを比較的容易に酸化重合することができるという作用を有する。
また、鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩1モルに対してEDOTを0.75モル以上とすることにより、得られる導電性組成物の耐熱性を向上させることができるので、耐熱性試験後の電気伝導度を高く維持することができるという作用を有する。
なお、水に可溶な有機溶媒に対して水の重量比が0.25未満もしくは4.0を超えると、耐熱性・耐湿性の優れた固体電解コンデンサを得ることができない。
また、チオフェン誘導体モノマーが遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に等量またはそれ以下の場合は、高温・高湿によるコンデンサ特性が劣る。
上記有機溶媒が少なくとも多価アルコールを含むようにすることにより、高沸点の多価アルコールを含有させることにより飛散しにくくなるので、チオフェン誘導体モノマーと酸化剤の自由に移動できる時間が長くなるので、重合度合いが増し、共役長の長い導電性組成物を得ることができ、初期の電気伝導度が高く、かつ高温・高湿による電気伝導度の経時変化が少なく、しかも、耐熱性・耐湿性に優れた固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。
また、チオフェン誘導体モノマーが3,4−エチレンジオキシチオフェンであり、遷移金属塩の酸化剤が鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩からなり、鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩1モルに対して3,4−エチレンジオキシチオフェンを0.75モル以上含む重合液を用いて導電性組成物の陰極導電層を形成した固体電解コンデンサとすることにより、比較的容易に酸化重合されて電気伝導度の高いPEDOTを得ることができ、高周波特性ならびに耐熱性・耐湿性に優れた固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。
また、遷移金属塩の酸化剤を鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩とすることにより、チオフェン誘導体モノマーを容易に酸化重合することができ、高周波特性ならびに耐熱性・耐湿性に優れた固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。
また、鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩1モルに対してRDOTを0.75モル以上としたものであり、得られる導電性組成物の耐熱性を向上させることができ、耐熱性・耐湿性に優れた固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。
以上のように本発明によれば、水に可溶な有機溶媒に重量比で0.25〜4.0の水を加え、これにチオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に過剰に分散させて重合液を調製する工程と、上記チオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤で酸化重合する工程とを備え、室温における電気伝導度が10S/cm以上を有する製造方法とするものであり、チオフェン誘導体モノマーと酸化剤の混合溶媒中に水を共存させることにより、混合溶媒中の酸性が強くなるため、酸化重合反応が促進されて、共役長の長い導電性組成物を得ることができ、初期の電気伝導度が高く、かつ耐熱性試験(125℃,500時間)後の電気伝導度も1.7S/cm以上を有することから、高温・高湿による電気伝導度の経時変化の少ない、耐熱性・耐湿性を兼ね備えた導電性組成物を得ることができるという効果が得られるものである。
また、水に可溶な有機溶媒に多価アルコールを含ませる、または、水に可溶な有機溶媒を多価アルコールにすることにより、高沸点の多価アルコールを含有させることにより飛散しにくくなるので、チオフェン誘導体モノマーと酸化剤の自由に移動できる時間が長くなるので、重合度合いが増し、共役長の長い導電性組成物を得ることができ、初期の電気伝導度が高く、かつ高温・高湿による電気伝導度の経時変化が少ないものを得ることができる。
(実施の形態1)
本発明の導電性組成物は、水に可溶な有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン等)に水を加え、これにチオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に過剰に分散させて重合液を調製し、この重合液を酸化重合させることにより、室温における電気伝導度が10S/cm以上を有し、耐熱性試験(125℃,500時間)後の電気伝導度が1.7S/cm以上からなるポリチオフェンの導電性組成物を得ることができるものである。
(実施例1)
メタノールと水の重量比が0.4:0.6のメタノール−水系混合溶媒13.5gに、モノマーとしてEDOT、酸化剤としてp−トルエンスルホン酸第二鉄を用い、モノマーと酸化剤のモル比を変化させた重合液を作製した。
上記それぞれの重合液をシャーレに入れて85℃で1時間加熱して酸化重合させ、PEDOTからなる導電性組成物のフィルムをそれぞれ得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットを作製した。
(比較例1)
上記実施例1において、メタノール−水系混合溶媒を用いる代わりにメタノールのみを用いた以外は実施例1と同じようにしてPEDOTの導電性組成物のペレットを作製した。
上記実施例1および比較例1の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定した結果を図1に示す。また、実施例1の導電性組成物のペレットについて、耐熱性試験(125℃)における電気伝導度の経時変化を図2に示す。
なお、モノマーと酸化剤のモル比について、ドーパントとしてPEDOT分子内に取り込まれる酸化剤アニオンを考慮しない場合のp−トルエンスルホン酸第二鉄との重合反応は次式(数1)で表される。
Figure 0004975237
但し、pTSはp−トルエンスルホン酸イオンである。従って、モノマーと酸化剤のモル比が0.5の値で、化学量論的に等量になる。
図1から明らかなように、メタノールのみを溶媒とした導電性組成物は、モノマーと酸化剤のモル比で電気伝導度が大きく変化する。これに対して、メタノール−水系混合溶媒を用いた導電性組成物は、モノマーと酸化剤のモル比を変化させても電気伝導度を高いレベルに保つことが判った。
これは、アルコール類と比較して水の酸性度が強いため、酸化重合反応が促進されることに起因する効果と考えられる。すなわち、メタノール単独溶媒中ではEDOTが過剰に含まれた場合、耐熱・耐湿性には優れるものの、低い電気伝導度のPEDOTしか得られなかったのに対し、メタノール−水系混合溶媒中では高い初期電気伝導度をも兼ね備えたPEDOTが得られることが明らかになった。
また、図2から明らかなように、モノマーと酸化剤のモル比が0.75以上であれば、耐熱性試験後における電気伝導度の経時変化が小さい。
従って、水に可溶な有機溶媒と水との混合溶媒に、チオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に過剰に分散させて重合液を用いるのが好適である。
因みに、純水のみを溶媒として用いた場合、チオフェン誘導体モノマーの溶解性が小さいために均一な溶液にすることが不可能である。
(実施例2)
n−ブタノールと水の重量比を(A)0.8:0.2、(B)0.6:0.4、(C)0.4:0.6、(D)0.2:0.8のn−ブタノール−水系混合溶媒13.5gをそれぞれ用意し、それぞれの混合溶媒にp−トルエンスルホン酸第二鉄5.7g(0.01モル)を溶解させて酸化剤溶液を作製した。
上記それぞれの酸化剤溶液にEDOT1.42g(0.01モル)を添加混合し、モノマーと酸化剤を混合した重合液を作製した。
上記それぞれの重合液をシャーレに入れて85℃で1時間加熱して酸化重合させ、(A)〜(D)のPEDOTからなる導電性組成物のフィルムを得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
(比較例2)
上記実施例2において、n−ブタノールと水との混合溶媒を用いる代わりにn−ブタノールのみを用い、EDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は実施例2と同じようにしてPEDOTの導電性組成物のペレットを作製した。
上記実施例2および比較例2の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
Figure 0004975237
(表1)から明らかなように、n−ブタノール−水系混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた実施例2の導電性組成物の方が、n−ブタノールのみを溶媒として用い、化学量論比のモノマーおよび酸化剤を含む系から得られた比較例2の導電性組成物よりも、電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度も12〜15S/cmであり10S/cm以上の高いものが得られる。
さらに、耐熱性試験後の電気伝導度も、実施例2の導電性組成物が1.7〜2.5S/cmの範囲にあるのに対して、比較例2の導電性組成物は5.4×10-5S/cmと極端に小さい。
(実施例3)
上記実施例2において、n−ブタノールの代わりにi−プロパノールを用いた以外は、実施例2と同様に酸化重合を行って、それぞれ導電性組成物のフィルム(E),(F),(G),(H)を得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
なお、(E)〜(H)のi−プロパノールと水の重量比は、実施例2の(A)〜(D)に対応する。
(比較例3)
上記実施例3において、i−プロパノールと水との混合溶媒を用いる代わりにi−プロパノールのみを用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は実施例3と同じようにして導電性組成物のペレットを作製した。
上記実施例3および比較例3の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、i−プロパノール−水系混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた導電性組成物の方が、i−プロパノールのみを溶媒として用い、化学量論比のモノマーおよび酸化剤を含む系から得られた場合よりも、電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度も12〜15S/cmであり10S/cm以上の高いものが得られる。
さらに、耐熱性試験後の電気伝導度も、実施例3の導電性組成物が2.3〜7.6S/cmの範囲にあるのに対して、比較例3の導電性組成物は3.2×10-5S/cmと極端に小さい。
(実施例4)
上記実施例2において、n−ブタノールの代わりにエタノールを用いた以外は、実施例2と同様に酸化重合を行って、それぞれ導電性組成物のフィルム(I),(J),(K),(L)を得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
なお、(I)〜(L)のエタノールと水の重量比は、実施例2の(A)〜(D)に対応する。
(比較例4)
上記実施例4において、エタノールと水との混合溶媒を用いる代わりにエタノールのみを溶媒として用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は実施例4と同様にして導電性組成物のペレットを作製した。
上記実施例4および比較例4の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、エタノール−水系混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた導電性組成物の方が、エタノールのみを溶媒として用い、化学量論比のモノマーおよび酸化剤を含む系から得られた場合よりも、電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度も12〜16S/cmであり10S/cm以上の高いものが得られる。
さらに、耐熱性試験後の電気伝導度も、実施例4の導電性組成物が4.8〜6.5S/cmの範囲にあるのに対して、比較例4の導電性組成物は1.2×10-4S/cmと極端に小さい。
(実施例5)
上記実施例2において、n−ブタノールの代わりにメタノールを用いた以外は、実施例2と同様に酸化重合を行って、それぞれ導電性組成物のフィルム(M),(N),(O),(P)を得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
なお、(M)〜(P)のメタノールと水の重量比は、実施例2の(A)〜(D)に対応する。
(比較例5)
上記実施例5において、メタノールと水との混合溶媒を用いる代わりにメタノールのみを溶媒として用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は実施例5と同様にして導電性組成物のペレットを作製した。
上記実施例5および比較例5の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、メタノール−水系混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた導電性組成物の方が、メタノールのみを溶媒として用い、化学量論比のモノマーおよび酸化剤を含む系から得られた場合よりも、電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度も10〜13S/cmであり10S/cm以上の高いものが得られる。
さらに、耐熱性試験後の電気伝導度も、実施例5の導電性組成物が1.9〜4.1S/cmの範囲にあるのに対して、比較例5の導電性組成物は2.1×10-4S/cmと極端に小さい。
(実施例6)
上記実施例2において、n−ブタノールの代わりに多価アルコールのエチレングリコールを用いた以外は、実施例2と同様に酸化重合を行って、それぞれ導電性組成物のフィルム(Q),(R),(S),(T)を得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
なお、(Q)〜(T)のエチレングリコールと水の重量比は、実施例2の(A)〜(D)に対応する。
上記実施例6の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、多価アルコールのエチレングリコール−水系混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた導電性組成物の場合には、電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度が43〜48S/cmの範囲で、耐熱性試験後の電気伝導度も10.5〜13.8S/cmの範囲と上記実施例2〜5の導電性組成物よりもさらに電気伝導度が高いものが得られる。
(実施例7)
上記実施例2において、n−ブタノールの代わりにi−プロパノールと多価アルコールのエチレングリコールを重量比4対1で混ぜた有機溶媒を用いた以外は、実施例2と同様に酸化重合を行って、それぞれ導電性組成物のフィルム(U),(V),(W),(X)を得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
なお、(U)〜(X)のi−プロパノールとエチレングリコールを混ぜた有機溶媒と水の重量比は、実施例2の(A)〜(D)に対応する。
(比較例6)
上記実施例7において、i−プロパノールとエチレングリコールを混ぜた有機溶媒と水との混合溶媒を用いる代わりに、i−プロパノールとエチレングリコールを重量比4対1で混ぜた有機溶媒のみを溶媒として用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は実施例7と同様にして導電性組成物のペレットを作製した。
上記実施例7および比較例6の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、i−プロパノールとエチレングリコールを混ぜた有機溶媒と水との混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた導電性組成物の方が、i−プロパノールとエチレングリコールを混ぜた有機溶媒のみを溶媒として用い、化学量論比のモノマーおよび酸化剤を含む系から得られた場合よりも電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度も17〜20S/cmであり10S/cm以上の高いものが得られる。
さらに、耐熱性試験後の電気伝導度も、実施例7の導電性組成物が4.6〜5.6S/cmの範囲にあるのに対して、比較例6の導電性組成物は4.1×10-3S/cmと極端に小さい。
(実施例8)
上記実施例2において、n−ブタノール−水系混合溶媒の代わりに、i−プロパノールと多価アルコールのグリセリンおよび水を重量比0.32:0.08:0.6で混ぜた混合溶媒を用いる以外は、実施例2と同様に酸化重合を行って、導電性組成物のフィルム(AA)を得た。同様にして、多価アルコールのグリセリンの代わりにジエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオールを用いて、それぞれ導電性組成物のフィルム(AB),(AC),(AD)を得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
上記実施例8の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、多価アルコールを含む有機溶媒と水の混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた導電性組成物の場合には、電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度も13〜25S/cmであり10S/cm以上の高いものが得られる。
(実施例9)
上記実施例2において、n−ブタノール−水系混合溶媒の代わりに、i−プロパノールと多価アルコールのエチレングリコールおよび水の重量比を(AE)0.36:0.04:0.6、(AF)0.32:0.08:0.6、(AG)0.28:0.12:0.6、(AH)0.2:0.2:0.6で混ぜた混合溶媒を用いる以外は、実施例2と同様に酸化重合を行って、それぞれ導電性組成物のフィルムを得た。その後、この導電性組成物のフィルムを洗浄、乾燥、粉砕し、プレス(440MPa)により直径13mmのペレットをそれぞれ作製した。
上記実施例9の導電性組成物のペレットについて、その初期電気伝導度を測定し、耐熱性試験(125℃で500時間)および耐湿性試験(85℃相対湿度83%で500時間)の試験後における電気伝導度の測定を行った。その結果を(表1)に示す。
(表1)から明らかなように、多価アルコールを含む有機溶媒と水の混合溶媒を用い、さらに酸化剤に対して化学量論的に過剰量のEDOTを添加して得られた導電性組成物の場合には、電気伝導度の経時変化が小さく、耐熱性・耐湿性に優れている。また、初期電気伝導度も18〜22S/cmであり10S/cm以上の高いものが得られる。
このように、本実施例2〜9の導電性組成物は、10S/cm以上の高い初期電気伝導度と優れた耐熱性・耐湿性を有し、かつ耐熱性試験後の電気伝導度が1.7S/cm以上からなる導電性組成物を得ることができる。
(実施の形態2)
図3(a)は本実施の形態2のコンデンサ素子の平面図を示し、同図(b)は上記コンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサの断面図を示す。
上記コンデンサ素子は、縦8mm×横3.3mmのアルミニウムエッチド箔1を、縦方向に4mmの部分と3mmの部分に仕切るように、表裏面に幅1mmのポリイミド粘着テープ2を貼り付けた。
次に、アルミニウムエッチド箔1の縦方向3mmの部分に陽極リード6を取り付け、縦方向4mmの部分を70℃の3%アジピン酸アンモニウム水溶液を用い、13Vの定電圧を印加し、陽極酸化によりバリア型の誘電体酸化皮膜3を形成した。その後、脱イオン水を用いて洗浄し、105℃で乾燥を行った。
このときの誘電体酸化皮膜3の容量を化成液中(10%アジピン酸アンモニウム溶液)で測定したところ、20μFであった。
次に、n−ブタノールと水の重量比を(AI)0.8:0.2、(AJ)0.6:0.4、(AK)0.4:0.6、(AL)0.2:0.8のn−ブタノール−水系混合溶液13.5gをそれぞれ用意し、それぞれの混合溶媒にp−トルエンスルホン酸第二鉄5.7g(0.01モル)を溶解させて、続いて、EDOT1.42g(0.01モル)を添加混合して、重合液をそれぞれ作製した。
これらの重合液にアルミニウムエッチド箔1の縦方向4mmの部分を含浸させ、PEDOTを含む導電性組成物を陰極導電層として形成して、4種類の固体電解コンデンサを各10個作製した。
この陰極導電層の形成方法は、それぞれの重合液にアルミニウムエッチド箔1を含浸後、85℃で1時間乾燥してPEDOTを含む導電性組成物層4を形成した。その後エタノールで重合残渣を洗浄除去した。この操作を数回繰り返して陰極導電層を形成した。
その後、陰極導電層にカーボン層と銀ペイント層からなる集電体層5を形成するとともに、陰極リード7を取り付けた。
さらにエポキシ樹脂を用いて外装(図示せず)後エージング処理を行って固体電解コンデンサを完成させた。
(比較例7)
上記実施の形態2において、重合液のn−ブタノールと水の混合溶媒を用いる代わりにn−ブタノールのみを用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は上記実施の形態2と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
上記実施の形態2および比較例7の固体電解コンデンサについて、120Hzの容量、損失係数および100kHzの等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、125℃空気中および85℃相対湿度83%中に1000時間保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を(表2)に示す。
Figure 0004975237
(表2)から明らかなように、比較例7で得られた固体電解コンデンサの導電性組成物の耐熱性・耐湿性が低いため、これに起因して125℃および85℃相対湿度83%1000時間保存後の特性、なかでも損失係数と等価直列抵抗のtanδとESRの劣化が大きくなっている。
これに対して実施の形態2の固体電解コンデンサは、いずれも耐熱性・耐湿性が高い導電性組成物を用いているため、高温・高湿条件で暴露した場合の特性の劣化が小さい固体電解コンデンサを得ることが判明した。
(実施の形態3)
(実施例10)
まず、タンタル線陽極リード付き1.3×2.1×1.6mmのタンタル焼結体からなる電極に対して、燐酸5mlを1000mlの水に溶解した溶液を用い、約90℃で18Vを印加して、陽極酸化により誘電体酸化皮膜を形成した。
その後、脱イオン水を用いて洗浄し、105℃で乾燥を行った。
この誘電体酸化皮膜形成後の容量を化成液中(30%硫酸溶液)で測定したところ、121μFであった。
次に、重合液として、n−ブタノールと水の重量比が0.4:0.6のn−ブタノール−水系混合溶媒13.5gをそれぞれ用意し、この混合溶媒にp−トルエンスルホン酸第二鉄5.7g(0.01モル)を溶解させ、続いて、EDOT1.42g(0.01モル)を添加混合して調製した。
この重合液を上記タンタル焼結体に含浸後、85℃で1時間乾燥してPEDOTを含む導電性組成物を形成した。その後エタノールで重合残渣を洗浄除去した。この操作を数回繰り返して陰極導電層を形成した固体電解コンデンサを10個作製した。
(比較例8)
上記実施例10において、重合液のn−ブタノールと水の混合溶媒を用いる代わりにn−ブタノールのみを用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は上記実施例10と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
上記実施例10および比較例8の固体電解コンデンサについて、120Hzの容量、損失係数および100kHz等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、125℃空気中および85℃相対湿度83%中に1000時間保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を(表2)に示す。
(表2)から明らかなように、比較例8で得られた固体電解コンデンサの導電性組成物の耐熱性・耐湿性が低いため、これに起因して125℃および85℃相対湿度83%1000時間保存後の特性、なかでも損失係数と等価直列抵抗のtanδとESRの劣化が大きくなっている。
これに対して実施例10では、耐熱性・耐湿性が高い導電性組成物が用いられているため、高温・高湿条件に暴露した場合の特性の劣化が小さい固体電解コンデンサを得ることが判明した。
(実施例11)
上記実施例10において、重合液をi−プロパノールと水の重量比が0.4:0.6のi−プロパノール−水系混合溶媒13.5gをそれぞれ用意し、この混合溶媒にp−トルエンスルホン酸第二鉄5.7g(0.01モル)を溶解させ、続いて、EDOT1.42g(0.01モル)を添加混合して調製したものを用いた以外は実施例10と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例9)
上記実施例11において、重合液のi−プロパノールと水の混合溶媒を用いる代わりにi−プロパノールのみを用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は上記実施例11と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
上記実施例11および比較例9の固体電解コンデンサについて、120Hzの容量、損失係数および100kHzの等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、125℃空気中および85℃相対湿度83%中に1000時間保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を(表2)に示す。
(表2)から明らかなように、比較例9で得られたコンデンサの導電性組成物の耐熱性・耐湿性が低いため、これに起因して125℃および85℃相対湿度83%1000時間保存後の特性、なかでも損失係数と等価直列抵抗のtanδとESRの劣化が大きくなっている。
これに対して実施例11では、耐熱性・耐湿性が高い導電性組成物が用いられているため、高温・高湿条件に暴露した場合の特性の劣化が小さい固体電解コンデンサを得ることが判明した。
(実施例12)
上記実施例10において、重合液をエタノールと水の重量比が0.4:0.6のエタノール−水系混合溶媒13.5gをそれぞれ用意し、この混合溶媒にp−トルエンスルホン酸第二鉄5.7g(0.01モル)を溶解させ、続いて、EDOT1.42g(0.01モル)を添加混合して調製したものを用いた以外は実施例10と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例10)
上記実施例12において、重合液のエタノールと水の混合溶媒を用いる代わりにエタノールのみを用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は上記実施例12と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
上記実施例12および比較例10の固体電解コンデンサについて、120Hzの容量、損失係数および100kHzの等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、125℃空気中および85℃相対湿度83%中に1000時間保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を(表2)に示す。
(表2)から明らかなように、比較例10で得られたコンデンサの導電性組成物の耐熱性・耐湿性が低いため、これに起因して125℃および85℃相対湿度83%1000時間保存後の特性、なかでも損失係数と等価直列抵抗のtanδとESRの劣化が大きくなっている。
これに対して実施例12では、耐熱性・耐湿性が高い導電性組成物が用いられているため、高温・高湿条件に暴露した場合の特性の劣化が小さい固体電解コンデンサを得ることが判明した。
(実施例13)
上記実施例10において、重合液をメタノールと水の重量比が0.6:0.4のメタノール−水系混合溶媒13.5gをそれぞれ用意し、この混合溶媒にp−トルエンスルホン酸第二鉄5.7g(0.01モル)を溶解させ、続いて、EDOT1.42g(0.01モル)を添加混合して調製したものを用いた以外は実施例10と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例11)
上記実施例13において、重合液のメタノールと水の混合溶媒を用いる代わりにメタノールのみを用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は上記実施例13と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
上記実施例13および比較例11の固体電解コンデンサについて、120Hzの容量、損失係数および100kHzの等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、125℃空気中および85℃相対湿度83%中に1000時間保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を(表2)に示す。
(表2)から明らかなように、比較例11で得られた固体電解コンデンサの導電性組成物の耐熱性・耐湿性が低いため、これに起因して125℃および85℃相対湿度83%1000時間保存後の特性、なかでも損失係数と等価直列抵抗のtanδとESRの劣化が大きくなっている。
これに対して実施例13では、耐熱性・耐湿性が高い導電性組成物が用いられているため、高温・高湿条件に暴露した場合の特性の劣化の小さい固体電解コンデンサを得ることが判明した。
(実施例14)
上記実施例10において、i−プロパノールと多価アルコールのエチレングリコールおよび水の重量比を(AM)0.64:0.16:0.2、(AN)0.48:0.12:0.4、(AO)0.32:0.08:0.6、(AP)0.16:0.04:0.8で混ぜた混合溶媒13.5gをそれぞれ用意し、この混合溶媒にp−トルエンスルホン酸第二鉄5.7g(0.01モル)を溶解させ、続いて、EDOT1.42g(0.01モル)を添加混合して調製したものを用いた以外は実施例10と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例12)
上記実施例14において、重合液のi−プロパノールと多価アルコールのエチレングリコールおよび水の混合溶媒を用いる代わりに、i−プロパノールと多価アルコールのエチレングリコールを重量比4対1で混ぜた有機溶媒のみを用い、さらにEDOT0.71g(0.005モル)を添加した以外は上記実施例14と同様にして10個の固体電解コンデンサを作製した。
上記実施例14および比較例12の固体電解コンデンサについて、120Hzの容量、損失係数および100kHz等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、125℃空気中および85℃相対湿度83%中に1000時間保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を(表2)に示す。
(表2)から明らかなように、比較例12で得られた固体電解コンデンサの導電性組成物の耐熱性・耐湿性が低いため、これに起因して125℃および85℃相対湿度83%1000時間保存後の特性、なかでも損失係数と等価直列抵抗のtanδとESRの劣化が大きくなっている。
これに対して実施例14では、耐熱性・耐湿性が高い導電性組成物が用いられているため、高温・高湿条件に暴露した場合の特性の劣化が小さい固体電解コンデンサを得ることが判明した。
(実施例15)
上記実施例10において、n−ブタノール−水系混合溶媒の代わりに、i−プロパノールと多価アルコールのグリセリンおよび水を重量比0.32:0.08:0.6で混ぜた混合溶媒を用いる以外は、実施例10と同様にして10個の固体電解コンデンサ(AQ)を作製した。同様にして、多価アルコールのグリセリンの代わりにジエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオールを用いて、それぞれ10個の固体電解コンデンサ(AR)、(AS)、(AT)を作製した。
上記実施例15の固体電解コンデンサについて、120Hzの容量、損失係数および100kHz等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、125℃空気中および85℃相対湿度83%中に1000時間保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を(表2)に示す。
(表2)から明らかなように、実施例15では、耐熱性・耐湿性が高い導電性組成物が用いられているため、高温・高湿条件に暴露した場合の特性の劣化が小さい固体電解コンデンサが得られていることが判明した。
なお、上記実施の形態では導電性組成物を得るための出発物質としてエチレンジオキシチオフェンを用いる場合についてのみ述べたが、遷移金属塩で酸化重合できるものであれば他のチオフェン誘導体を用いることもできる。
また、アルミニウムおよびタンタルを陽極に用いた場合についてのみ述べたが、ニオブなど他の弁金属を用いることもできる。
また、誘電体酸化皮膜が例えば高分子フィルムで構成されたフィルムコンデンサにも適用することができる。
また、水可溶性有機溶媒としてアルコール類を用いた場合についてのみ述べたが、ケトン類他の水溶性有機溶媒を用いても同様の効果が得られ、本発明の有機溶媒はアルコール類に限定されない。
以上のように本発明によれば、初期の電気伝導度が高く、かつ高温・高湿による電気伝導度の経時変化の少ない、耐熱性・耐湿性に優れた導電性組成物を得ることができ、これを用いた固体電解コンデンサは、高周波特性および耐熱性・耐湿性にも優れた固体電解コンデンサを容易に得ることができるものである。
本発明の実施の形態1におけるモノマーと酸化剤の配合比による導電性組成物の電気伝導度の関係を示す特性図 同耐熱性試験(125℃)における電気伝導度の経時変化を示す特性図 (a)本発明の実施の形態2における固体電解コンデンサの平面図、(b)同断面図 モノマーと酸化剤の配合比による導電性組成物の電気伝導度ならびに収量との関係を示す特性図 モノマーと酸化剤の配合比による導電性組成物の125℃での電気伝導度の経時変化を示す特性図 モノマーと酸化剤の配合比による導電性組成物の85℃・83%での電気伝導度の経時変化を示す特性図
符号の説明
1 アルミニウムエッチド箔
2 ポリイミド粘着テープ
3 誘電体酸化皮膜
4 導電性組成物層
5 集電体層
6 陽極リード
7 陰極リード

Claims (2)

  1. 水に可溶な有機溶媒に重量比で0.25〜4.0の水を加え、これにチオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤よりも化学量論的に過剰に分散させて重合液を調製する工程と、上記チオフェン誘導体モノマーを遷移金属塩の酸化剤で酸化重合する工程とを備え、室温における電気伝導度が10S/cm以上を有する導電性組成物の製造方法。
  2. チオフェン誘導体モノマーを3,4−エチレンジオキシチオフェンとし、遷移金属塩の酸化剤を鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩として、鉄(III)を含む芳香族スルホン酸塩1モルに対して3,4−エチレンジオキシチオフェンを0.75モル以上含むようにした請求項1に記載の導電性組成物の製造方法。
JP2003302582A 2002-08-27 2003-08-27 導電性組成物の製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサ Expired - Fee Related JP4975237B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003302582A JP4975237B2 (ja) 2002-08-27 2003-08-27 導電性組成物の製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサ

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002246537 2002-08-27
JP2002246537 2002-08-27
JP2003004456 2003-01-10
JP2003004456 2003-01-10
JP2003302582A JP4975237B2 (ja) 2002-08-27 2003-08-27 導電性組成物の製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004231939A JP2004231939A (ja) 2004-08-19
JP4975237B2 true JP4975237B2 (ja) 2012-07-11

Family

ID=32966254

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003302582A Expired - Fee Related JP4975237B2 (ja) 2002-08-27 2003-08-27 導電性組成物の製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4975237B2 (ja)

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10164260A1 (de) * 2001-12-27 2003-07-17 Bayer Ag Verfahren zur Herstellung von undotiertem, neutralem Polyethylendioxythiophen, sowie entsprechende Polyethylendioxythiophene
AU2003279014A1 (en) 2002-09-24 2004-04-19 E.I. Du Pont De Nemours And Company Water dispersible polyanilines made with polymeric acid colloids for electronics applications
AU2003275203A1 (en) 2002-09-24 2004-04-19 E.I. Du Pont De Nemours And Company Water dispersible polythiophenes made with polymeric acid colloids
US7390438B2 (en) 2003-04-22 2008-06-24 E.I. Du Pont De Nemours And Company Water dispersible substituted polydioxythiophenes made with fluorinated polymeric sulfonic acid colloids
US7250461B2 (en) * 2004-03-17 2007-07-31 E. I. Du Pont De Nemours And Company Organic formulations of conductive polymers made with polymeric acid colloids for electronics applications, and methods for making such formulations
US7338620B2 (en) * 2004-03-17 2008-03-04 E.I. Du Pont De Nemours And Company Water dispersible polydioxythiophenes with polymeric acid colloids and a water-miscible organic liquid
US7351358B2 (en) 2004-03-17 2008-04-01 E.I. Du Pont De Nemours And Company Water dispersible polypyrroles made with polymeric acid colloids for electronics applications
TWI413995B (zh) * 2005-01-11 2013-11-01 Panasonic Corp Solid electrolytic capacitor and its manufacturing method
KR101356296B1 (ko) 2005-06-28 2014-02-06 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 높은 일 함수의 투명한 도체
JP4854009B2 (ja) * 2006-04-28 2012-01-11 Necトーキン株式会社 固体電解コンデンサ
JP4716431B2 (ja) * 2006-06-13 2011-07-06 Necトーキン株式会社 固体電解コンデンサ
US8062553B2 (en) 2006-12-28 2011-11-22 E. I. Du Pont De Nemours And Company Compositions of polyaniline made with perfuoropolymeric acid which are heat-enhanced and electronic devices made therewith
US8153029B2 (en) 2006-12-28 2012-04-10 E.I. Du Pont De Nemours And Company Laser (230NM) ablatable compositions of electrically conducting polymers made with a perfluoropolymeric acid applications thereof
US20080191172A1 (en) 2006-12-29 2008-08-14 Che-Hsiung Hsu High work-function and high conductivity compositions of electrically conducting polymers
US7460358B2 (en) * 2007-03-21 2008-12-02 Avx Corporation Solid electrolytic capacitor containing a protective adhesive layer
US7515396B2 (en) * 2007-03-21 2009-04-07 Avx Corporation Solid electrolytic capacitor containing a conductive polymer
JP5304151B2 (ja) * 2008-09-30 2013-10-02 日本ケミコン株式会社 固体電解コンデンサ
JP2014072381A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Asahi Kasei Fibers Corp 固体電解コンデンサの製造方法
JP2021095426A (ja) * 2019-12-13 2021-06-24 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 金属光沢膜形成用組成物、金属光沢膜、及び物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004231939A (ja) 2004-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4975237B2 (ja) 導電性組成物の製造方法およびこれを用いた固体電解コンデンサ
TWI534218B (zh) 包含pedot/pss之具有改善電參數之層組成物
JP5177669B2 (ja) 導電性高分子組成物およびそれを用いた固体電解コンデンサ
JP5388811B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
TWI285385B (en) Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing same
JP2008053479A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP6154461B2 (ja) 導電性高分子製造用酸化剤溶液及びそれを用いた固体電解コンデンサ並びに固体電解コンデンサの製造方法
JP5763960B2 (ja) 導電性高分子懸濁水溶液およびその製造方法、導電性有機材料、ならびに固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP3629973B2 (ja) 導電性組成物及びコンデンサの製造方法
JP4565730B2 (ja) 固体コンデンサ及びその製造方法
JP5327842B2 (ja) 導電性高分子製造用酸化剤、それを用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP3846760B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5557638B2 (ja) 導電性高分子製造用酸化剤溶液とそれを用いた固体電解コンデンサの製造方法
JPH1060234A (ja) 導電性高分子及びその製造方法並びにこの導電性高分子 を用いた固体電解コンデンサ
JP2008288342A (ja) 電解コンデンサ用電解質の形成方法
JP4164591B2 (ja) 耐熱性ポリエチレンジオキシチオフェンの製造方法
JP2004265941A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5327844B2 (ja) 導電性高分子形成用電解重合液、導電性高分子、それを用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4035639B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4075421B2 (ja) 導電性組成物の製造方法およびコンデンサ
JPH06112094A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2017027992A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2005011925A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2012077218A (ja) 重合性モノマー組成物、固体電解コンデンサの製造方法
JP2008270552A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060531

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060613

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080902

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081022

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090108

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090414

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090612

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090723

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20091002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120201

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120411

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4975237

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150420

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees