JP2000297142A - 固体電解質形成用重合液と製造方法、およびこれらを用いた固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解質形成用重合液と製造方法、およびこれらを用いた固体電解コンデンサの製造方法

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JP2000297142A
JP2000297142A JP11222406A JP22240699A JP2000297142A JP 2000297142 A JP2000297142 A JP 2000297142A JP 11222406 A JP11222406 A JP 11222406A JP 22240699 A JP22240699 A JP 22240699A JP 2000297142 A JP2000297142 A JP 2000297142A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大容量化と高周波領域でのインピーダンス特
性を改善することができ、かつ漏れ電流特性を維持しつ
つ電解重合時間を短縮することのできる固体電解質形成
用重合液と製造方法、およびこれらを用いた固体電解コ
ンデンサの製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 重合性モノマーとアニオン系界面活性剤
とpH調整剤と水を少なくとも含み、pHが5以下の重
合液を用いて固体電解質3の一部を形成するようにした
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体電解質形成用重
合液と製造方法、およびこれらを用いた固体電解コンデ
ンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の電子機器のデジタル化に伴い、こ
れらに使用されるコンデンサも高周波領域においてイン
ピーダンスが低く、小形大容量化したものへの要求が高
まっている。従来、このような高周波領域用として使用
されるコンデンサとしては、プラスチックフィルムコン
デンサ、マイカコンデンサ、積層セラミックコンデンサ
などが用いられている。また、その他にアルミニウム乾
式電解コンデンサやアルミニウムまたはタンタル固体電
解コンデンサなどがあり、上記アルミニウム乾式電解コ
ンデンサでは、エッチングを施した陽・陰極アルミニウ
ム箔をセパレータを介して巻き取り、液体の電解質を用
いている。
【0003】また、アルミニウムやタンタル固体電解コ
ンデンサでは上記アルミニウム乾式電解コンデンサの特
性改良のため電解質の固体化がなされており、この固体
電解質形成には硝酸マンガン溶液に陽極体を浸漬し、こ
れを250〜350℃前後の高温炉中にて熱分解してマ
ンガン酸化物層を形成している。このコンデンサの場
合、電解質が固体のために高温における電解質の流出や
ドライアップによる容量低減、低温域での凝固から生じ
る機能低下などの欠点がなく、液状電解質と比べて良好
な周波数特性、温度特性を示すものである。
【0004】また、近年では固体電解質の高電導度化の
ためにピロール、チオフェンなどの重合性モノマーを重
合させて導電性高分子とし、これを固体電解質とする固
体電解コンデンサが実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記固体電解質に導電
性高分子を用いたコンデンサの固体電解質形成方法の1
つとして、弁作用金属の誘電体酸化皮膜の表面にマンガ
ン酸化物または導電性高分子等の導電性材料からなるプ
レコート層を形成した後、重合性モノマーを含む重合液
中で外部電極から給電を行って導電性高分子の固体電解
質を形成する電解重合があり、これによって比較的短時
間で安定的に特性の良い固体電解コンデンサを作製する
ことが可能である。また、固体電解コンデンサの生産に
おいては、電解重合の重合速度を上げて固体電解質の形
成に要する時間を低減することにより、さらに生産性を
向上させることが可能である。
【0006】しかしながら電解重合の重合速度を上げる
方法としては、重合温度を上げる、重合電圧を上げる等
の方法が考えられるが、重合温度を上げた場合には、重
合性モノマーの揮発が起こり易くなり、重合液組成が不
安定となる等の問題があり、また重合電圧を上げる場合
には、水を含む重合液中では、水の電気分解等の重合と
は異なる別の反応も起こり易くなるために重合効率が低
下し、また水の電気分解等で発生する気泡が付着するこ
とによるインピーダンス悪化現象などの問題が見られ、
コンデンサとして安定的に優れた製品特性を示し、かつ
電解重合速度を上げることは困難であった。
【0007】また、固体電解質の一部としてマンガン酸
化物を用いる場合においては、マンガン酸化物を形成す
る際に従来の熱分解方法では、その高温処理のために誘
電体酸化皮膜が損傷して漏れ電流が大きくなる現象が見
られ、さらに固体電解質の一部として形成されるマンガ
ン酸化物は電極体内部まで被覆されにくいため、容量引
き出し率が低いものとなってしまい、インピーダンス特
性も悪くなるという問題があった。
【0008】本発明は従来のこのような課題を解決し、
性能向上と電解重合時間の低減を同時に実現することが
できる固体電解質形成用重合液と製造方法、およびこれ
らを用いた固体電解コンデンサの製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、pHを5以下に下げ、さらにアルキル基お
よび芳香族環を有し、分子量が180以上のアニオン系
界面活性剤と水を含む固体電解質形成用重合液を用い、
この重合液中で電解重合を行うことにより固体電解質を
形成するようにしたものである。
【0010】この本発明により、耐脱ドープ性に優れる
アニオン系界面活性剤を固体電解質中にドーパントとし
て選択的に取り込ませることによって重合速度を向上
し、かつ初期および高温高湿中にコンデンサを放置する
ような条件下でもインダンス特性の優れた固体電解コン
デンサを作製することが可能となる。これは、水を含む
固体電解質形成用重合液中に界面活性剤が存在すること
により、界面活性剤が重合性モノマーを取り込んだミセ
ル構造をとると考えた場合、界面活性剤としてアニオン
系材料を用いて重合膜を形成する陽極側に引き寄せ易く
することによって重合速度向上効果があり、また重合性
モノマーと近傍に存在するアニオン系界面活性剤が重合
膜中にドーパントとして取り込まれやすくなるためにイ
ンピーダンス特性の優れた固体電解コンデンサが得られ
るものと考えられる。
【0011】また、重合液中にアニオン系界面活性剤が
2種類以上存在する場合は、重合性モノマーとなじみや
すい材料が選択的に取り込まれると考えられるため、よ
り取り込まれ易い材料にアルキル基および芳香族環を持
ち、分子量が180以上の材料を用いることにより、イ
ンピーダンス特性の優れた固体電解コンデンサを得るこ
とができる。また、pH調整剤がアニオン系界面活性剤
である場合も考えられるが、上記理由と同様でより取り
込まれ易い材料にアルキル基および芳香族環を持ち、分
子量が180以上の材料を用いることにより、インピー
ダンス特性の優れた固体電解コンデンサを得ることがで
きる。
【0012】また、pH調整剤としてアルキルリン酸エ
ステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸等の
アルキル基または芳香族環を有する酸を用いることによ
り、リン酸や硫酸等の酸を用いた場合と比較して、弁作
用金属の誘電体酸化皮膜に対する化学的ストレスを少な
くする等の効果があり、優れた漏れ電流特性、インピー
ダンス特性を得ることができる。
【0013】また、固体電解質の一部としてマンガン酸
化物を用いる場合においては、マンガン酸化物を形成す
る際に弁作用金属表面に形成された誘電体酸化皮膜をp
H調整剤を添加することによりpH2以下とした硝酸マ
ンガン溶液に浸漬し、これを熱分解することによってマ
ンガン酸化物層を形成した後に、請求項1〜4のいずれ
か一つに記載の固体電解質形成用重合液を用いて電解重
合することにより導電性高分子を形成すると、このよう
にして熱分解されたマンガン酸化物は、生成する粒子径
が小さく、均質に形成されるため、誘電体酸化皮膜のよ
り小さな細孔内部まで被覆することができ、これにより
誘電体酸化皮膜の劣化も防止することができる。
【0014】また、粒子径が均一で小さなマンガン酸化
物により広範囲にわたって被覆されるため、その後の低
pH重合液による電解重合膜との密着性も改善できる。
特に、硝酸・塩酸・硫酸・燐酸・硼酸・酢酸・燐酸エス
テルなどを添加した低pH硝酸マンガン溶液を熱分解す
ることにより、微少で均一なマンガン酸化物を形成する
ため、熱分解時のNOXガス発生パスが確保でき、誘電
体酸化皮膜へのストレスが少ないために漏れ電流の抑制
効果が見られ、さらに被覆率が上がるために容量引き出
し率の優れた固体電解コンデンサを得ることができるも
のである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、重合性モノマーとアニオン系界面活性剤とpH調整
剤と水を少なくとも含み、pHが5以下である固体電解
質形成用重合液というもので、重合液pHを5以下にす
ることにより重合反応の速度を向上させ、さらに水を含
む固体電解質形成用重合液中にアニオン系界面活性剤を
添加することにより重合およびドーピングを迅速に行う
ことが可能となり、コンデンサとして優れたインピーダ
ンス特性を示し、かつ従来よりも固体電解質形成に要す
る時間を低減することが可能であるという作用を有す
る。
【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、アニオン系界面活性剤がアルキル基お
よび芳香族環を有し、分子量が180以上である材料か
ら選ばれ、固体電解質中に選択的にドーパントとして取
り込まれるものであり、請求項1に記載の発明による作
用に加えて、アニオン系界面活性剤がドーパントとして
選択的に取り込まれることにより、高温高湿中にコンデ
ンサを放置するような条件下でも、耐脱ドープ性に優
れ、インピーダンス劣化の少ない固体電解コンデンサが
得られるという作用を有する。
【0017】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、重合性モノマーがピロール、
チオフェン、アニリンあるいはそれらの誘導体の少なく
とも一つから選ばれるものであり、これらにより高い導
電性が得られ、高周波領域でのインピーダンス特性の優
れた固体電解コンデンサが得られるという作用を有す
る。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか一つに記載の発明において、pH調整剤がアル
キル基または芳香族環を有する酸材料の少なくとも一つ
から選ばれるものであり、リン酸、硫酸等を用いた場合
と比較して漏れ電流特性、インピーダンス特性の優れた
固体電解コンデンサが得られるという作用を有する。
【0019】請求項5に記載の発明は、重合性モノマー
とアニオン系界面活性剤をあらかじめ混合した後に、添
加剤、溶媒を投入するようにした固体電解質形成用重合
液の製造方法というものであり、重合性モノマーとアニ
オン系界面活性剤をあらかじめ混合することにより、よ
りなじみやすくなるという効果を示し、これによって重
合速度向上効果およびアニオン系界面活性剤が重合膜中
にドーピングされ易くなり、インピーダンス特性の優れ
た固体電解コンデンサが得られるという作用を有する。
【0020】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、アニオン系界面活性剤がアルキル基お
よび芳香族環を有し、分子量が180以上である材料か
ら選ばれたもので、請求項5に記載の発明による作用に
加えてドーパントとしてアルキル基および芳香族環を有
し分子量180以上であるアニオン系界面活性剤が取り
込まれることにより、高温高湿中にコンデンサを放置す
るような条件下でも耐脱ドープ性に優れ、インピーダン
ス劣化の少ない固体電解コンデンサが得られるという作
用を有する。
【0021】請求項7に記載の発明は、請求項5または
6に記載の発明において、添加剤の一つとしてpH調整
剤を含み、pHを5以下としたもので、重合液のpHを
5以下にすることにより、請求項5または6に記載の発
明による作用に加え、さらに重合反応速度の向上を図る
ことができるという作用を有する。
【0022】請求項8に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれか一つまたは請求項5〜7のいずれか一つにより
得られた固体電解質形成用重合液を用い、電解重合によ
り固体電解質層の一部を形成するようにした固体電解コ
ンデンサの製造方法というものであり、迅速に均一な固
体電解質を形成することが可能となるという作用を有す
る。
【0023】請求項9に記載の発明は、弁作用金属の表
面に形成された誘電体酸化皮膜をpH調整剤を添加する
ことによりpHを2以下とした硝酸マンガン溶液に浸漬
し、これを熱分解することによってマンガン酸化物層を
形成した後に、請求項1〜4のいずれか一つに記載の固
体電解質形成用重合液を用いて電解重合することにより
固体電解質層の一部を形成するようにした固体電解コン
デンサの製造方法というものであり、このようにして熱
分解されたマンガン酸化物は、生成する粒子径が小さく
均質に形成されるため、誘電体酸化皮膜のより小さな細
孔内部まで被覆することができ、これにより誘電体酸化
皮膜の劣化も防止することができる。また、粒子径が均
一で小さなマンガン酸化物により広範囲にわたって被覆
されるため、密着性も改善できる。特に、低pHの硝酸
マンガン溶液を熱分解することにより、微少で均一なマ
ンガン酸化物を形成するため、熱分解時のNOxガス発
生パスが確保でき、誘電体酸化皮膜へのストレスが少な
いために漏れ電流の抑制効果が見られ、さらに被覆率が
上がるために容量引き出し率の優れた固体電解コンデン
サを得ることができるという作用を有する。
【0024】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載の発明において、固体電解質形成用重合液のpHを2
以下としたものであり、pHを2以下にして電解重合す
ることにより得られる重合膜とマンガン酸化物層の密着
性が改善でき、優れた容量引き出し率および漏れ電流特
性を示すという作用を有する。
【0025】請求項11に記載の発明は、請求項9に記
載の発明において、硝酸マンガン溶液に添加するpH調
整剤が酸であるものであり、硝酸マンガン溶液に酸を添
加した低pHの硝酸マンガン溶液を熱分解することによ
り、微少で均一なマンガン酸化物を形成するため、その
後の低pH重合液による電解重合膜との密着性が改善で
き、優れた容量引き出し率および漏れ電流特性を示すと
いう作用を有する。
【0026】以下に本発明の具体的な実施の形態につい
て説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0027】(実施の形態1) (実施例1)図1は本発明の実施の形態による固体電解
コンデンサの構成を示す断面図であり、まず陽極として
リードをつけた3mm×4mmのアルミニウムエッチド
箔1を使用した。これに3%アジピン酸アンモニウム水
溶液を用いて印加電圧12V、水溶液温度70℃で60
分間陽極酸化を行うことにより、アルミニウムエッチド
箔1の表面に誘電体酸化皮膜2を形成した。その後、硝
酸マンガン30%水溶液に浸漬して自然乾燥させた後、
300℃で10分間熱分解処理を行うことによって、固
体電解質層3の一部となるマンガン酸化物層を形成し
た。
【0028】次に、ピロールモノマー0.5mol/L
とプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1mo
l/Lをあらかじめ混合した後に溶媒である水とpH調
整剤としてのプロピルリン酸エステルを添加してpHを
2に調整した固体電解質形成用重合液を作製し、この重
合液中で重合開始用電極を素子表面に近接させ、液温度
30℃,重合電圧3Vで電解重合を行って固体電解質層
3を形成した。その後、陰極引き出し層としてコロイダ
ルカーボン懸濁液を塗布、乾燥することによって得られ
るカーボン層4、および銀ペーストを塗布乾燥すること
によって得られる銀層5を形成し、カーボン層4と銀層
5を併せて陰極引き出し部とした。その後、エポキシ樹
脂により外装して10個の固体電解コンデンサを完成さ
せた。この固体電解コンデンサの定格は6.3V 10
μFである。
【0029】(実施例2)pH調整剤であるプロピルリ
ン酸エステルの添加量を変えることにより、固体電解質
形成用重合液のpHを0.5に調整した以外は実施例1
と同様に固体電解コンデンサ10個を作製した。
【0030】(実施例3)pH調整剤であるプロピルリ
ン酸エステルの添加量を変えることにより、固体電解質
形成用重合液のpHを5に調整した以外は実施例1と同
様に固体電解コンデンサ10個を作製した。
【0031】(実施例4)実施例1のプロピルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムをドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウムとした以外は実施例1と同様に固体電解コン
デンサ10個を作製した。
【0032】(実施例5)実施例1のプロピルリン酸エ
ステルをブチルエーテルリン酸エステルとした以外は実
施例1と同様に、重合液のpHを2に調整して固体電解
コンデンサ10個を作製した。
【0033】(実施例6)実施例1のpH調整剤である
プロピルリン酸エステルをプロピルスルホン酸とし、さ
らにプロピルスルホン酸の添加量を変えることにより重
合液のpHを2に調整した以外は実施例1と同様に固体
電解コンデンサ10個を作製した。
【0034】(実施例7)実施例1のpH調整剤である
プロピルリン酸エステルをナフタレンスルホン酸とし、
さらにナフタレスルホン酸の添加量を変えることにより
重合液のpHを2に調整した以外は実施例1と同様に固
体電解コンデンサ10個を作製した。
【0035】(実施例8)実施例1の電解重合時の重合
電圧を3Vから2Vに変更した以外は実施例1と同様に
固体電解コンデンサ10個を作製した。
【0036】(実施例9)実施例1と同様の方法で陽極
となるアルミニウムエッチド箔1の外表面に誘電体酸化
皮膜2を形成した後、硝酸マンガン30%水溶液に浸漬
して自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分解処理
を行うことによって、固体電解質層3の一部となるマン
ガン酸化物層を形成した。この後、溶媒である水にピロ
ールモノマー0.5mol/Lとプロピルナフタレスル
ホン酸ナトリウム0.1mol/Lを個々に混ぜた後p
H調整剤としてのプロピルリン酸エステルを添加してp
Hを2に調整した固体電解質形成用重合液を作製し、こ
の重合液中で重合開始用電極を素子表面に近接させ、液
温度30℃,重合電圧3Vで電解重合を行って固体電解
質層3を形成した。その後、実施例1と同様の方法でカ
ーボン層4と銀層5からなる陰極引き出し部を形成して
から外装を施し、10個の固体電解コンデンサを完成さ
せた。
【0037】(比較例1)実施例1と同様の方法で陽極
となるアルミニウムエッチド箔1の外表面に誘電体酸化
皮膜2を形成した後、硝酸マンガン30%水溶液に浸漬
して自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分解処理
を行うことによって固体電解質層3の一部となるマンガ
ン酸化物層を形成した。この後、ピロールモノマー0.
5mol/Lとプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム0.1mol/Lをあらかじめ混合した後溶媒である
水を添加して作製した重合液中で重合開始用電極を素子
表面に近接させ、液温度30℃,重合電圧3Vで電解重
合を行って固体電解質層3を形成した。この場合の重合
液pHは6.2であった。その後実施例1と同様の方法
でカーボン層4と銀層5からなる陰極引き出し部を形成
してから外装を施し、10個の固体電解コンデンサを完
成させた。
【0038】(比較例2)実施例1と同様の方法で陽極
となるアルミニウムエッチド箔1の外表面に誘電体酸化
皮膜2を形成した後、硝酸マンガン30%水溶液に浸漬
して自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分解処理
を行うことによって固体電解質層3の一部となるマンガ
ン酸化物層を形成した。この後、ピロールモノマー0.
5mol/Lとプロピルスルホン酸カリウム0.1mo
l/Lをあらかじめ混合した後溶媒である水を添加して
作製した重合液中で重合開始用電極を素子表面に近接さ
せ、液温度30℃,重合電圧3Vで電解重合を行って固
体電解質層3を形成した。この場合の重合液のpHは
5.8であった。その後実施例1と同様の方法でカーボ
ン層4と銀層5からなる陰極引き出し部を形成してから
外装を施し、10個の固体電解コンデンサを完成させ
た。
【0039】(比較例3)実施例1と同様の方法で陽極
となるアルミニウムエッチド箔1の外表面に誘電体酸化
皮膜2を形成した後、硝酸マンガン30%水溶液に浸漬
して自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分解処理
を行うことによって固体電解質層3の一部となるマンガ
ン酸化物層を形成した。この後、ピロールモノマー0.
5mol/Lとプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム0.1mol/Lをあらかじめ混合した後に溶媒であ
るプロピレンカーボナートとpH調整剤としてのプロピ
ルリン酸エステルを添加してpHを2に調整した固体電
解質形成用重合液を作製し、この重合液中で重合開始用
電極を素子表面に近接させ、液温度30℃,重合電圧3
Vで電解重合を行って固体電解質層3を形成した。その
後、実施例1と同様の方法でカーボン層4と銀層5から
なる陰極引き出し部を形成してから外装を施し、10個
の固体電解コンデンサを完成させた。
【0040】(比較例4)実施例1と同様の方法で陽極
となるアルミニウムエッチド箔1の外表面に誘電体酸化
皮膜2を形成した後、硝酸マンガン30%水溶液に浸漬
して自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分解処理
を行うことによって固体電解質層3の一部となるマンガ
ン酸化物層を形成した。次に、ピロールモノマー0.5
mol/Lとプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
0.1mol/Lをあらかじめ混合した後に溶媒である
水とpH調整剤としてのリン酸を添加してpHを2に調
整した固体電解質形成用重合液を作製し、この重合液中
で重合開始用電極を素子表面に近接させ、液温度30
℃,重合電圧3Vで電解重合を行って固体電解質層3を
形成した。その後、実施例1と同様の方法でカーボン層
4と銀層5からなる陰極引き出し部を形成してから外装
を施し、10個の固体電解コンデンサを完成させた。
【0041】上記実施の形態1の実施例1〜9、および
比較例1〜4により作製した固体電解コンデンサのエー
ジングを行い、その後固体電解コンデンサの初期特性を
測定した。また、この固体電解コンデンサを85℃85
%中で1000時間放置した後の特性を測定した。これ
らの結果の平均値および実施の形態1において実施例1
〜9、比較例1〜4の条件で電解重合を行った場合の素
子全体が導電性高分子に覆われるまでに要した時間を
(表1)に示す。
【0042】また、実施の形態1において実施例1〜
3,5および比較例1〜3により作製した固体電解コン
デンサの電解重合膜中のドーパントの取り込まれ量を、
重合膜中のS,P量の分析結果から推定した。比較例1
の重合膜中にプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
の取り込まれた量を1とした場合のmol比率を以下に
示す。実施例1ではプロピルナフタレンスルホン酸ナト
リウム1.21、プロピルリン酸エステル0.02、ま
た実施例2ではプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム1.17、プロピルリン酸エステル0.03、実施例
3ではプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム1.1
9、プロピルリン酸エステル0.02、実施例5ではプ
ロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム1.16、ブト
キシエチルリン酸エステル0.07、または比較例2で
はプロピルスルホン酸カリウム0.64、比較例3では
プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.38、プ
ロピルリン酸エステル0.32であった。
【0043】
【表1】
【0044】(表1)より、実施例1〜9と比較例1,
2の比較により、pHを5以下にすることにより電解重
合に要する時間を大きく短縮できることが分かる。ま
た、実施例1〜9、比較例1と比較例2の比較により、
電解質としてアニオン系界面活性剤を入れることにより
重合時間を短縮でき、さらに優れたインピーダンス特性
を示すことが分かる。この優れたインピーダンス特性
は、アニオン系界面活性剤を用いることにより重合膜中
へのドーパントとしての取り込まれ量が増加したためと
考えられる。また、実施例1と比較例3の比較により水
を含む重合液中で電解重合を行うことにより重合時間を
短縮でき、初期および85℃85%1000時間放置後
のインピーダンス特性が優れていることが分かる。この
優れたインピーダンス特性は重合液中に水を含むことに
より、耐脱ドープ性に優れたアニオン系界面活性剤であ
るプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムが選択的に
重合膜中に取り込まれたため得られたものと考えられ
る。
【0045】また、実施例1〜9と比較例4の比較によ
り、pH調整剤としてアルキル基または芳香族環を有す
る酸材料を用いることにより、初期および85℃85%
1000時間放置後の漏れ電流特性が優れていることが
分かる。また、実施例8と比較例1の比較により、重合
電圧を下げた場合でも従来に比べ重合に要する時間の短
縮が可能であることが分かり、さらに重合電圧を低減す
ることにより、電解重合時の水の電気分解等の副反応を
低減して重合効率を上げることが可能となり、優れたイ
ンピーダンス特性を得ることができる。
【0046】また、実施例1と実施例9との比較によ
り、固体電解質形成用重合液の製造を行う場合、重合性
モノマーとアニオン系界面活性剤をあらかじめ混合した
後に溶媒、添加剤を添加することによって、重合時間を
短縮することができ、さらに優れたインピーダンス特性
を示すことが分かる。
【0047】(実施の形態2) (実施例1)図2は本発明の実施の形態による固体電解
コンデンサの構成を示す断面図であり、まず陽極として
リードをつけた3mm×4mmのアルミニウムエッチド
箔6を使用した。これに3%アジピン酸アンモニウム水
溶液を用いて印加電圧12V、水溶液温度70℃で60
分間陽極酸化を行うことにより、アルミニウムエッチド
箔6の表面に誘電体酸化皮膜7を形成した。その後、p
Hが3.73である硝酸マンガン30%水溶液に浸漬し
て自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分解処理を
行うことにより、固体電解質層8の一部となるマンガン
酸化物層を形成した。
【0048】次に、ピロールモノマー0.5mol/L
とプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1mo
l/Lをあらかじめ混合した後に溶媒である水とpH調
整剤としてのプロピルリン酸エステルを添加してpHを
2に調整した固体電解質形成用重合液を作製し、この重
合液中で重合開始用電極を素子表面に近接させ、液温度
30℃,重合電圧3Vで電解重合を行って固体電解質層
8を形成した。その後、陰極引き出し層としてコロイダ
ルカーボン懸濁液を塗布、乾燥することによって得られ
るカーボン層9および銀ペーストを塗布乾燥することに
よって得られる銀層10を形成し、カーボン層9と銀層
10を併せて陰極引き出し部とした。その後、エポキシ
樹脂により外装して10個の固体電解コンデンサを完成
させた。この固体電解コンデンサの定格電圧は6.3V
である。
【0049】(実施例2)図2は本発明の実施の形態に
よる固体電解コンデンサの構成を示す断面図であり、陽
極としてリードをつけた3mm×4mmのアルミニウム
エッチド箔6を使用した。これに3%アジピン酸アンモ
ニウム水溶液を用いて印加電圧12V、水溶液温度70
℃で60分間陽極酸化を行うことにより、アルミニウム
エッチド箔6の表面に誘電体酸化皮膜7を形成した。そ
の後、pHが3.73である硝酸マンガン30%水溶液
にpH調整剤である硝酸を添加してpHを2とした溶液
に浸漬して自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分
解処理を行うことにより、固体電解質層8の一部となる
マンガン酸化物層を形成した。
【0050】次に、ピロールモノマー0.5mol/L
とプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1mo
l/Lをあらかじめ混合した後に溶媒である水とpH調
整剤としてのプロピルリン酸エステルを添加してpHを
2に調整した固体電解質形成用重合液を作製し、この重
合液中で重合開始用電極を素子表面に近接させ、液温度
30℃,重合電圧3Vで電解重合を行って固体電解質層
8を形成した。その後、陰極引き出し層としてコロイダ
ルカーボン懸濁液を塗布、乾燥することによって得られ
るカーボン層9、および銀ペーストを塗布乾燥すること
によって得られる銀層10を形成し、カーボン層9と銀
層10を併せて陰極引き出し部とした。その後、エポキ
シ樹脂により外装して10個の固体電解コンデンサを完
成させた。この固体電解コンデンサの定格電圧は6.3
Vである。
【0051】(実施例3)実施例2において、硝酸の添
加量を変えることにより硝酸マンガン溶液のpHを1.
5に調整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コン
デンサ10個を作製した。
【0052】(実施例4)実施例2において、硝酸の添
加量を変えることにより硝酸マンガン溶液のpHを1に
調整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コンデン
サ10個を作製した。
【0053】(実施例5)実施例2において、硝酸の添
加量を変えることにより硝酸マンガン溶液のpHを0.
5に調整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コン
デンサ10個を作製した。
【0054】(実施例6)実施例2において、硝酸の添
加量を変えることにより硝酸マンガン溶液のpHを0.
3に調整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コン
デンサ10個を作製した。
【0055】(実施例7)実施例2において、硝酸の添
加量を変えることにより硝酸マンガン溶液のpHを0.
1に調整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コン
デンサ10個を作製した。
【0056】(実施例8)実施例2において、硝酸の添
加量を変えることにより硝酸マンガン溶液のpHを0以
下に調整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コン
デンサ10個を作製した。
【0057】(実施例9)実施例2において、硫酸を添
加することにより硝酸マンガン溶液のpHを0以下に調
整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コンデンサ
10個を作製した。
【0058】(実施例10)実施例2において、塩酸を
添加することにより硝酸マンガン溶液のpHを0以下に
調整した以外は実施例2と同じ方法で固体電解コンデン
サ10個を作製した。
【0059】(比較例1)実施例1と同様に、陽極とし
てリードをつけた3mm×4mmのアルミニウムエッチ
ド箔6を使用し、これに3%アジピン酸アンモニウム水
溶液を用いて印加電圧12V、水溶液温度70℃で60
分間陽極酸化を行うことにより、アルミニウムエッチド
箔6の表面に誘電体酸化皮膜7を形成した。その後、p
Hが3.73である硝酸マンガン30%水溶液中に浸漬
して自然乾燥させた後300℃で10分間熱分解処理を
行うことにより、固体電解質層8の一部となるマンガン
酸化物層を形成した。
【0060】次に、ピロールモノマー0.5mol/L
とプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1mo
l/Lをあらかじめ混合した後に溶媒である水を混合し
て固体電解質形成用重合液を作製し、この重合液中で重
合開始用電極を素子表面に近接させ、液温度30℃,重
合電圧3Vで電解重合を行って固体電解質層8を形成し
た。その後、陰極引き出し層としてコロイダルカーボン
懸濁液を塗布、乾燥することによって得られるカーボン
層9および銀ペーストを塗布乾燥することによって得ら
れる銀層10を形成し、カーボン層9と銀層10を併せ
て陰極引き出し部とした。その後、エポキシ樹脂により
外装して10個の固体電解コンデンサを完成させた。こ
の固体電解コンデンサの定格電圧は6.3Vである。
【0061】(比較例2)実施例1と同様に、陽極とし
てリードをつけた3mm×4mmのアルミニウムエッチ
ド箔6を使用し、これに3%アジピン酸アンモニウム水
溶液を用いて印加電圧12V、水溶液温度70℃で60
分間陽極酸化を行うことによりアルミニウムエッチド箔
6の表面に誘電体酸化皮膜7を形成した。その後、pH
が3.73である硝酸マンガン30%水溶液にpH調整
剤である硝酸を添加してpHを2とした溶液に浸漬して
自然乾燥させた後、300℃で10分間熱分解処理を行
うことにより、固体電解質層8の一部となるマンガン酸
化物層を形成した。
【0062】次に、ピロールモノマー0.5mol/L
とプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1mo
l/Lをあらかじめ混合した後に溶媒である水を混合し
て固体電解質形成用重合液を作製し、この重合液中で重
合開始用電極を素子表面に近接させ、液温度30℃,重
合電圧3Vで電解重合を行って固体電解質層8を形成し
た。その後、陰極引き出し層としてコロイダルカーボン
懸濁液を塗布、乾燥することによって得られるカーボン
層9および銀ペーストを塗布乾燥することによって得ら
れる銀層10を形成し、カーボン層9と銀層10を併せ
て陰極引き出し部とした。その後、エポキシ樹脂により
外装して10個の固体電解コンデンサを完成させた。こ
の固体電解コンデンサの定格電圧は6.3Vである。
【0063】また、上記実施例1〜10および比較例
1,2により作製した固体電解コンデンサのエージング
を行い、その後固体電解コンデンサの初期特性を測定し
た。これらの結果の平均値を(表2)に示す。
【0064】
【表2】
【0065】上記比較例1および実施例1と比較例2お
よび実施例2の比較により、pH調整剤を添加して硝酸
マンガン溶液のpHを2以下にすることにより、容量引
き出し率、漏れ電流特性および高周波領域でのインピー
ダンス・ESR特性の優れたものが得られるものであ
る。また、実施例1〜10と比較例1,2の比較によ
り、電解重合時のpHを2にすることによって、優れた
容量引き出し率、漏れ電流特性、インピーダンス特性が
得られることが分かる。
【0066】この優れた特性は、pH調整剤を添加する
ことによりpH2以下とした硝酸マンガン溶液に浸漬
し、これを熱分解することによってマンガン酸化物層を
形成した後に、請求項1〜4のいずれか一つに記載の固
体電解質形成用重合液を用いて電解重合することにより
導電性高分子層を形成すると、このようにして熱分解さ
れたマンガン酸化物の生成する粒子径が小さく、均質に
形成されるため、誘電体酸化皮膜のより小さな細孔内部
まで被覆することができ、これにより誘電体酸化皮膜の
劣化も防止することができるものである。
【0067】また、粒子径が均一で小さなマンガン酸化
物により広範囲にわたって被覆されるため、その後の低
pH重合液による電解重合膜との密着性も改善できる。
特に、硝酸・塩酸・硫酸・燐酸・硼酸・酢酸・燐酸エス
テルなどの酸を添加した低pH硝酸マンガン溶液を熱分
解することにより、微少で均一な二酸化マンガンを形成
するため、熱分解時のNOxガス発生パスが確保でき、
誘電体酸化皮膜へのストレスが少ないために漏れ電流の
抑制効果が見られ、さらに被覆率が上がるために容量引
き出し率の優れた固体電解コンデンサを得ることができ
るものである。
【0068】なお、上記実施の形態1,2では、陽極と
して弁作用金属のアルミニウムを使用した固体電解コン
デンサについてのみ述べたが、本発明はこれに限定され
るものではなく、外表面に誘電体酸化皮膜を有する弁作
用金属であるタンタル、ニオブ、チタン等の他の物質で
も同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0069】また、上記実施の形態1,2では導電性高
分子を構成する重合性モノマーとしてピロールを使用し
た場合についてのみ述べたが、本発明はこれに限定され
るものではなく、導電性高分子を構成するモノマーとし
てチオフェン、アニリンあるいはその誘導体等の他の物
質でも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0070】また、上記実施の形態1では、固体電解質
層の一部であるプレコート層としてマンガン酸化物を用
いた場合についてのみ述べたが、これに限定されるもの
ではなく、導電性高分子等の他の導電性材料をプレコー
トとして用いた場合においても同様の効果が得られるこ
とは言うまでもない。
【0071】
【発明の効果】以上のように本発明は、重合性モノマー
とアニオン系界面活性剤とpH調整剤と水を少なくとも
含み、pHが5以下の固体電解質形成用重合液を用いて
電解重合を行うことにより、コンデンサとして優れたイ
ンピーダンス、漏れ電流等の特性を維持しかつ電解重合
時間の短縮を可能とし、またこのような固体電解質形成
用重合液を用いて、pH調整剤を添加することによりp
Hを2以下とした硝酸マンガン溶液に浸漬し、これを熱
分解することによってマンガン酸化物層を形成した後
に、電解重合を行って導電性高分子層を形成することに
より、容量引き出し率、漏れ電流特性および高周波領域
でのインピーダンス・ESR特性の優れた固体電解コン
デンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による固体電解コン
デンサの構成を示す断面図
【図2】本発明の第2の実施の形態による固体電解コン
デンサの構成を示す断面図
【符号の説明】
1,6 アルミニウムエッチド箔 2,7 誘電体酸化皮膜 3,8 固体電解質層 4,9 カーボン層 5,10 銀層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 9/028 H01G 9/02 331G 331H (72)発明者 小澤 正人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CE001 EV256 EW046 FD316 GQ00 GQ02 4J032 BA03 BA13 BB01 BC22 BC25 BC32 CG01 4J043 QB02 RA08 SA05 SB01 XA12 XA21 ZB47

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性モノマーとアニオン系界面活性剤
    とpH調整剤と水を少なくとも含み、pHが5以下であ
    る固体電解質形成用重合液。
  2. 【請求項2】 アニオン系界面活性剤がアルキル基およ
    び芳香族環を有し、分子量が180以上である材料から
    選ばれ、固体電解質中に選択的にドーパントとして取り
    込まれるものである請求項1に記載の固体電解質形成用
    重合液。
  3. 【請求項3】 重合性モノマーがピロール、チオフェ
    ン、アニリンあるいはそれらの誘導体の少なくとも一つ
    から選ばれるものである請求項1または2に記載の固体
    電解質形成用重合液。
  4. 【請求項4】 pH調整剤がアルキル基または芳香族環
    を有する酸材料の少なくとも一つから選ばれるものであ
    る請求項1〜3のいずれか1つに記載の固体電解質形成
    用重合液。
  5. 【請求項5】 重合性モノマーとアニオン系界面活性剤
    をあらかじめ混合した後に、添加剤、溶媒を投入するよ
    うにした固体電解質形成用重合液の製造方法。
  6. 【請求項6】 アニオン系界面活性剤がアルキル基およ
    び芳香族環を有し、分子量が180以上である材料から
    選ばれたものである請求項5に記載の固体電解質形成用
    重合液の製造方法。
  7. 【請求項7】 添加剤の1つとしてpH調整剤を含み、
    pHを5以下とした請求項5または6に記載の固体電解
    質形成用重合液の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか一つ、または請
    求項5〜7のいずれか一つにより得られた固体電解質形
    成用重合液を用い、電解重合により固体電解質層の一部
    を形成するようにした固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 弁作用金属の表面に形成された誘電体酸
    化皮膜をpH調整剤を添加することによりpHを2以下
    とした硝酸マンガン溶液に浸漬し、これを熱分解するこ
    とによってマンガン酸化物層を形成した後に、請求項1
    〜4のいずれか一つに記載の固体電解質形成用重合液を
    用いて電解重合することにより固体電解質層の一部を形
    成するようにした固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 固体電解質形成用重合液のpHを2以
    下とした請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 硝酸マンガン溶液に添加するpH調整
    剤が酸である請求項9に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
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