JP2004517866A - 混合ワクチンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎など、小児期に予防すべき疾病を同時に予防することができる混合ワクチンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
混合ワクチンとは、複数の異なる感染疾病に対する予防として、各疾病に対する予防抗原を混合したワクチン、又は一つの感染疾病に対する予防として、複数の関連抗原を混合したワクチンをいう。前者は、例えば、ジフテリア、破傷風及び百日咳に対する免疫を与えるDTPワクチン、麻疹、流行性耳下腺炎及び風疹に対する免疫を与えるMMRワクチンなどがあり、これは今まで20年間使用されてきた。後者は、例えば、急性中耳炎などを起こす肺炎球菌に対する免疫を与える14個又は23個の肺炎球菌抽出多糖質を混合した肺炎球菌ワクチン、髓膜炎菌に対する免疫を与える4個の髓膜炎菌抽出多糖質を混合した髓膜炎菌ワクチンなどがあり、このようなワクチンは今まで数年間使用されてきた。
【0003】
以上紹介した今まで開発された混合ワクチンは、長い間使用されながら各感染疾病に対する高い免疫力及び少ない副作用、様々な疾病に対する適応力などで認められてきた。このような理由で、多くのワクチン開発者らは、様々な形態の混合ワクチンを新しく開発したか、又は開発中である。このような混合ワクチンとしては、DTPワクチン、細菌性脳髄膜炎ワクチン(Hibワクチン)、不活化ポリオワクチン、B型肝炎ワクチンなどを混合したワクチン(特許文献1)があり、肺炎球菌抽出多糖質及び髓膜炎菌多糖質を蛋白質と結合させた混合ワクチンが開発中であり、コレラ、腸チフス、赤痢、下痢の各原因菌に対する腸内感染を予防するための混合ワクチンなども遠くない未来に開発される予定である。
【0004】
複数の異なる感染疾病に対する予防のために各抗原を混合する方式の混合ワクチンにおいては、接種回数の減少及びワクチン供給の簡便化などにより費用が減少されるという利点がある。小児科学会の1997年小児予防接種表によれば、特に、生まれて1年以下の幼児期には、多くのワクチンの接種及び異種ワクチン間の重複接種が行われるので、この時期に適切な混合ワクチンを使用することになると、接種者、被接種者共に便宜を提供することができる。特に、韓国国内において必ず実施すべき基本接種中、DTPワクチン及びB型肝炎ワクチンは、両方とも基本3回の接種に追加接種が推奨されるワクチンであって、接種周期が1年以下の幼児期に集中されており、その接種周期も類似するため、接種が重複されることがあるという問題があった。
【0005】
従って、本発明者らは、優先的にDTPワクチンとB型肝炎ワクチンとを混合して接種者及び被接種者に便宜を提供し、且つ、混合ワクチンによるワクチン供給の安定化を図って、より多くの人々により便利にワクチンの恵沢を提供することができるような研究を実施するようになった。
【0006】
混合ワクチンの研究は、既存の免疫力及び安定性が立証された製品を混合する研究であるため、各予防抗原及び吸着剤間の相互作用による反応性、免疫力などの変化を最小化する混合方法に対する研究が混合ワクチン開発時の主眼点で、開発が完了した時点では、混合ワクチン間の同質性、安定性の問題が検討研究されなければならない。本発明においては、DTPワクチン及びB型肝炎ワクチンが既に既存の免疫力及び安定性が立証されたことに基づいて研究を実施した。
【0007】
各成分ワクチンを混合する方法には、製品の形態によって、各成分ワクチンの製品を単純に混合して使用する方法(特許文献2、3)、特殊容器を使用して注射時に同時に投与されるようにする方法(特許文献4)及び各成分ワクチンを一つの製品として製造する方法の三つの方法がある。ところが、前の二つの方法は、ワクチン供給面では各成分ワクチンを単独で使用する場合と殆ど類似するか、又は単独で供給する場合より取扱上の注意を要するため、混合ワクチンを使用することにより得られる実益が殆どない。且つ、接種時、混合による免疫力の変化、副作用の発生などに対する研究が難しい。従って、混合ワクチンの研究においては、各成分ワクチンを一つの製品として製造することがより望ましい。
【0008】
本発明の目的は、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎など、小児期に予防すべき疾病を同時に予防するための混合ワクチンの製造方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0009】
従って、本発明は、小児期に予防すべきジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎など、様々な疾病を同時に予防するための混合ワクチンの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明に係る混合ワクチンの製造方法においては、様々な疾病に対する各予防抗原を吸着剤に独立的に吸着させる段階と、予防抗原が吸着された前記各吸着剤を相互混合させる段階と、を含んでなることを特徴とする混合ワクチンの製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記予防抗原が、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎から選択された二つ以上の疾病に対する予防抗原であることを特徴とする混合ワクチンの製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記吸着剤が、水酸化アルミニウムゲル状の吸着剤であることを特徴とする混合ワクチンの製造方法を提供する。
【0013】
なお、前記の目的を達成するため、本発明は、前記の各方法により製造された混合ワクチンを提供する。
【0014】
より詳しくは、本発明は、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎など、小児期に予防すべき各疾病に対する各予防抗原を、水酸化アルミニウムゲル状の吸着剤に独立的に吸着させる段階と、吸着後、前記吸着剤に吸着された各表面抗原を混合する段階と、を含む混合ワクチンの製造方法を提供する。
【0015】
これら疾病に対する抗原は、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎に限定されることなく、様々な種類の疾病に対する抗原を使用することができる。
【0016】
(図面の簡単な説明)
本発明は添付された図面を参照することによって明確に理解されることができ、このような図面は発明を例示するためのもので、本発明がこれに制限されることはない。
【0017】
図1は、吸着剤の濃度別各成分の抗原の吸着率を示したものである。図中、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド及びB型肝炎抗原は、それぞれジフテリア抗原、破傷風抗原及びB型肝炎抗原の構成成分で、百日咳トキソイド及び百日咳FHA(filamentoushemagglutinin;繊維状赤血球凝集素)抗原は、精製百日咳抗原の各構成成分である。
【0018】
図2a乃至2dは、吸着方法による抗原価及び免疫力を各抗原構成成分別に比較したものである。剤型1は、各成分ワクチンの混合が完了した後、余分の水酸化アルミニウムゲルを追加で添加した剤型で、剤型2は、同じ濃度の吸着剤が混合完了前に予め添加された剤型である。図2a及び2bは、剤型1及び剤型2の相対的免疫力を示したもので、図2c及び2dは、剤型1及び剤型2それぞれの抗体量を示したものである。
【0019】
図3は、本発明により製造された混合ワクチンの霊長類に対する免疫力を立証するため、猿に混合ワクチンと各成分ワクチンとをそれぞれ同時に投与し、日付別に血清を分離して、血清中の各疾病に対する抗体量を測定したもので、群1には各成分ワクチンをそれぞれ単独で投与し、群2には混合ワクチンを投与した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
このような目的を達成するため、本発明に係る混合ワクチンの製造方法においては、二種以上の疾病に対する各予防抗原を吸着剤に独立的に吸着させる段階と、予防抗原が吸着された前記各吸着剤を相互混合させる段階と、を含んでなることを特徴とする混合ワクチンの製造方法を提供する。然し、各成分抗原を先に混合する場合は、溶液内における各抗原間の相互作用により、各抗原の吸着剤に対する吸着能力が減少する可能性が存在する。また、吸着剤と成分抗原間の吸着は、それぞれ独立的な条件下で最適化されるが、このような吸着過程が同時に発生すると、各成分抗原の吸着条件の小さな差により吸着率が減少する可能性が存在する。成分抗原の吸着剤に対する吸着率とそのワクチンの免疫力とは相互比例するため、このような方式により製造された混合ワクチンの免疫力は、各単独ワクチンの免疫力より減少する。
【0021】
従って、混合ワクチンの製造時には、各成分抗原の原液を製造し、独立的に吸着を実施した後、これを混合して混合ワクチンを製造することが望ましいと本発明者らは分析した。
【0022】
なお、各成分抗原をそれぞれの吸着形態で混合する場合、混合ワクチンにおける各成分抗原の最終濃度は、既存の各単独ワクチンにおける成分抗原の濃度と同一でなければ、その免疫力及び特性に対する比較試験が有意性がないため、混合ワクチンの場合は単独ワクチンの場合より更に濃縮された成分抗原を吸着した後混合しなければならない。このため、DTPワクチンは1.5〜2倍、B型肝炎ワクチンは2〜3倍に濃縮された抗原を吸着して製造し、各混合比率を調整することにより、本発明の混合ワクチンにおける各成分抗原の最終濃度が、各単独ワクチンにおける濃度と相互一致するように調節した。
【0023】
本発明者らは、混合ワクチンの様々な組合に対する研究を実施した。この場合、各免疫成分の最終含量は、単独ワクチンにおける含量と同様にし、吸着剤及びその他の成分の含量を調節して各抗原の吸着率の変化があるかを観察し、吸着率の変化が相対的に少ない各剤型を小動物に免疫した後、抗体生成率の相対比較を通して望ましい混合方法に関して考察した。
【0024】
また、吸着剤の選定のため、現在製品化されたDTPワクチン及びB型肝炎ワクチンの吸着剤を調べた結果、水酸化アルミニウムゲル及びリン酸アルミニウムゲルなどが主に使用されていた。各アルミニウムゲルに対する蛋白質の吸着は、主に各蛋白質とゲル成分との表面電荷の差によるもので、生理的pH範囲で、水酸化アルミニウムゲルは正の表面電荷を、リン酸アルミニウムゲルは負の表面電荷を帯びていることが知られている(´VaccineDesign―Thesubunitandadjuvantapproach´,ed.ByM.F.Powell&M.J.Newman,1995,p229―239)。従って、二つの形態のアルミニウムゲルを同時に使用する場合は、相互間の作用が発生して、溶液内に散布されている粒子が大きくなり、蛋白質に対する吸着は減少する可能性が存在する。また、B型肝炎ワクチン及び混合ワクチンをなす各成分抗原の表面電荷は、生理的pH範囲で大体負の表面電荷を帯びることで知られているので、水酸化アルミニウムゲルが吸着剤として適切である。
【0025】
従来の発明においては、水酸化アルミニウムゲル及びリン酸アルミニウムゲルなどの吸着剤の成分を混用しているが(国際公開番号:WO93/24148号)、前記のような理由で、混合ワクチンの吸着剤は同じ塩の形態を有しなければならず、該吸着剤として水酸化アルミニウムゲルを使用することが各成分抗原の吸着率を維持するに必須構成要素であると本発明者らは分析した。
【0026】
然し、前記水酸化アルミニウムゲル以外に、これと同等の性質を有する吸着剤も使用可能であることは明白である。
【0027】
また、本発明の混合ワクチンにおいては、他の成分抗原は蛋白質が主成分であることに対し、B型肝炎の表面抗原の場合はリン脂質膜を含んだ粒子状に存在する場合が大部分であるため、望ましくは、本発明の混合ワクチンのためのB型肝炎ワクチンの製造時、リン脂質膜を含んだB型肝炎抗原のリン脂質成分に対する他の抗原による干渉作用を減少させるため、ポリソルべート20(Tween20)、ポリソルべート80(Tween80)、トリトンX―100のような中性界面活性剤を追加で添加して製造した。
【0028】
前記中性界面活性剤の量が高すぎる場合は、B型肝炎ワクチンの力価が減少する傾向があるため、B型肝炎の表面抗原の蛋白量の50%以下の質量比で添加することが望ましいが、これに限定されることはない。
【0029】
本発明において使用されるジフテリア抗原として、コリネバクテリウムジフテリアPWNo.8株(Corynebacteriumdiphtheriae,PWNo.8)を利用して適当な培地で培養した後、通常の方法により精製したジフテリア毒素を無毒化したジフテリアトキソイドが適合し、抗原の量は、小児1回投与量基準で10〜25Lfが適当である。破傷風抗原は、クロストリジウムテタニハーバード株(Clostridiumtetanii,Harvard)を嫌気条件下の適当な培地で培養した後、通常の方法により精製した破傷風毒素を無毒化した破傷風トキソイドが適合し、抗原の量は、小児1回投与量基準で1〜5Lfが適当である。また、百日咳抗原は、ボルデテラパターシストハマ第1状株(Bordetellapertussis,TohamaphaseI)を利用して適当な培地で培養した後、培養液で百日咳毒素を含んだ多種の抗原蛋白質を通常の方法により精製して毒性を除去して混合した精製百日咳抗原や全細胞性百日咳抗原が適合し、抗原の量は、精製された多種の抗原蛋白質の場合は、小児1回投与量基準で20μgPN以下、全細胞性百日咳抗原の場合は、小児1回投与量基準で20OE以下が適当である。本発明においては、無毒化した百日咳毒素と、百日咳繊維状赤血球凝集素(FHA)抗原と、を含む精製された多数の抗原蛋白質の混合ワクチンの製造方法が提供される。
【0030】
望ましくは、本発明においては、B型肝炎抗原としては、遺伝工学的に製造されたB型肝炎表面抗原を小児1回投与量基準で5〜10μg混合することを特徴とする混合ワクチンの製造方法が提供される。より望ましくは、前記において、B型肝炎表面抗原を吸着剤と2〜8℃で3〜20時間攪拌して熟成させて吸着させることを特徴とする混合ワクチンの製造方法が提供される。正確な吸着剤含量の研究のため、吸着剤の濃度別各成分抗原の吸着率を調べた結果、最終混合が完了した時点で、最終アルミニウムイオン濃度が0.5mg/ml以下のとき、各抗原の吸着率が相対的にが低下した(図1参照)。また、世界保健機構では、ワクチンで使用するアルミニウムゲルのアルミニウムイオン濃度を1.25mg/ml以下と規定した(WHO、´Requirementsfordiphtheria,tetanus,pertussisandcombinedvaccines´inTechnicalReportSeriesNo.800,1990,p87〜179)。このような事実に基づき、混合ワクチンにおける水酸化アルミニウムゲルとして、最終アルミニウムイオン濃度は0.5〜1.25mg/mlの範囲が望ましく、0.7mg/mlがより望ましい。
【0031】
また、各成分ワクチンの混合が完了した後にも、各成分抗原間の斥力によって各成分抗原の吸着率が減少する可能性を抑制するため、余分の水酸化アルミニウムゲルを混合後に追加で添加した剤型と、同じ濃度の吸着剤が混合完了前に予め添加された剤型とを比較するため、各成分抗原の抗原価及び抗体価を相対的百分率で表して調べた結果、各成分ワクチンの混合が完了した後でも、余分の吸着剤が添加される場合が、各抗原間の抗原価及び抗体価の相互作用が減るという事実が分かった(図2参照)。
【0032】
また、ポリソルべート80(Tween80)を添加した剤型の場合、B型肝炎に対する抗原価及び力価が維持される結果を得た(図2参照)。ポリソルべート20やトリトンX―100のような中性界面活性剤が適正濃度範囲内で使用される場合も、類似した結果が出ると予想される。
【0033】
図2において、剤型1は各成分ワクチンの混合が完了した後、余分の水酸化アルミニウムゲルを追加で添加した剤型で、剤型2は同じ濃度の吸着剤が混合完了前に予め添加された剤型である。
【0034】
望ましくは、本発明においては、製剤化後の水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオン濃度が0.5〜1.25mg/mlの範囲であることを特徴とする混合ワクチンの製造方法が提供される。また、望ましくは、本発明においては、前記吸着剤に吸着された各予防抗原を混合した後、0.5〜1.25mg/mlのアルミニウムイオン濃度範囲を超えない範囲で、余分の吸着剤を添加する段階を追加で含むことを特徴とする混合ワクチンの製造方法が提供される。本発明の前記望ましい具体例により混合ワクチン内の各成分抗原の吸着形態を維持し、免疫力を高めることができる。
【0035】
百日咳抗原は、韓国国内では精製百日咳抗原を使用することが一般的であるが、米洲や第3世界などでは無毒化した百日咳菌株自体を利用する全細胞性百日咳抗原を使用するので、これに対する混合方法も研究して、本発明の混合ワクチンの適用範囲を広げた。この場合も、前記精製百日咳抗原と同じ方式により混合して、各成分の免疫力を維持する剤型を得た(表1参照)。
【0036】
全細胞性百日咳抗原を含んだDTPワクチンの場合は、吸着剤としてリン酸アルミニウムゲルを使用することが一般的であるが、B型肝炎抗原との混合ワクチンを製造するために、水酸化アルミニウムゲルを使用してDTPワクチンを製造した。この場合、百日咳に対する免疫力が低下するが、各成分ワクチンの混合が完了した後に余分の水酸化アルミニウムゲルを追加で添加した剤型(剤型A)を使用する場合は、その免疫力を維持することができた。参考で、剤型Bは、同じ濃度の吸着剤が混合完了前に予め添加された剤型である。
本発明に係る方法により製造した混合ワクチンの安全性及び有効性を次のような方式で立証した。まず、齧歯類に過量の混合ワクチンを投与した後、組織検査を通して病変が発見されなかったことを確認した(確認結果は提示せず)。また、霊長類の猿に混合ワクチンを投与した群(実験群)と、各成分ワクチンを同時に投与した群(対照群)とからの各疾病原に対する抗体量を測定して、両群の抗体量に対してt―検定を実施した結果、実験群の結果と対照群の結果とを比較すると、各疾病原に対し、統計的に同等又は同等以上の効果を有することを確認した(図3参照、統計結果は提示せず)。
【0037】
結論的に、本発明で適用した混合方法は、相互異なる各免疫成分間の相互作用を最小化しながら、それぞれ免疫力は減少しないことであった。本発明の混合ワクチンにおいて使用した各免疫成分を物理化学的部分に分けると、蛋白質抗原(ジフテリア抗原、破傷風抗原及び精製百日咳抗原)、蛋白質とリン脂質とから構成された抗原(B型肝炎抗原)及び死菌体から構成された抗原(全細胞性百日咳抗原)などに区分することができる。これは、大部分のワクチンがこれと物理化学的に類似した成分から構成されたことを考慮すると、他の単独ワクチンとの混合にも適用することができるという仮説を立てることができる。従って、本発明で使用された混合ワクチンを母体として小児期に予防すべき疾病(細菌性脳髄膜炎、小児痲痺)に対する追加ワクチンの混合も可能である。
【0038】
本発明で使用した混合ワクチン製剤の人体接種周期は、DTPワクチンやB型肝炎ワクチンの既存の接種周期が全て可能であるが、母体にB型肝炎抗体がある場合は、2、4、6ケ月の3回接種方法が最も適当で、母体にB型肝炎抗体がない場合は、生後すぐB型肝炎ワクチンを単独接種し、追加接種を混合ワクチン製剤で接種する接種周期が適当である。小児に対する接種方法は、筋肉又は皮下注射が適当である。本発明で使用した混合ワクチンにおけるジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎の各抗原の小児1回投与量は、各単独ワクチンにおける抗原の小児1回投与量と同様である。
【0039】
(実施例)
以下、本発明を実施例及び実験例に基づいてより詳細に説明するが、下記の実施例及び実験例は例示の目的で提供されてもので、本発明の範疇及び範囲が下記の実施例及び実験例により制限されることはない。
【実施例1】
【0040】
B型肝炎抗原の製造
B型肝炎表面抗原を発現する遺伝工学的に再組合された酵母細胞を高濃度で培養して酵母細胞が大部分である遠心分離して集めた沈殿物1kgを緩衝溶液(0.5MNaCl,10mMEDTA,0.01%Thimerosal,0.1MPhosphate,pH7.0)に1:2の割合で混濁化させた。この混濁化させた溶液をガラス玉破砕器(glassbeadbeator又はDynomil)に通過させて細胞壁などを破砕した。ここで得た溶液に中性界面活性剤(Tween系又はTriton系)を0.5%添加して、4℃で1次攪拌して均一に混ぜた後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを11で滴定して4℃で5時間程度攪拌した。攪拌が終わった溶液に希塩酸を添加してpHを4で滴定した後、遠心分離器(ROTOR:JA―14、Beckman社、米国)により6000rpmで15分間遠心分離して沈殿物を除去して、B型肝炎表面抗原がある上澄液を得た。上澄液のpHを7で滴定した後、シリカを添加して4〜25℃で3〜16時間攪拌して、B型肝炎表面抗原をシリカに吸着させた。本発明の方法と共に使用するに適したシリカゲルは、100〜500mm2/g内の許容表面積を有する微粒水化シリカ又は無水シリカを含むが、最も望ましくは、アエロジル380(Aerosil380、Degussa社、米国)が適している。B型肝炎表面抗原が吸着されたシリカから汚染物質を除去するため、pH7のリン酸ナトリウム―塩化ナトリウム緩衝溶液で2回洗浄した。洗浄が終わったシリカを、pH9.6の炭酸ナトリウム緩衝溶液に約2時間接触させることにより、表面抗原を脱着させた。このように脱着された表面抗原は、溶液内の蛋白質の純度が約90%以上であった。この溶液を脱着に使用された緩衝溶液で平衡化した陰イオン交換樹脂(DEAE―Sepharose、Phamacia社、スウェーデン)に流して表面抗原を特異的に付着させ、前記緩衝溶液でコラムに遊離している物質を除去した。また、0.05〜0.1Mの塩化ナトリウムを含んだ前記緩衝溶液でコラムに弱く付着されている異物質を湧出させた。この過程後に、0.2Mの塩化ナトリウムを含んだ前記緩衝溶液を利用して、B型肝炎表面抗原を湧出させた。このように湧出された溶液を、分子量100,000の物質を断絶させる限外濾過膜で濃縮した後、沈殿物を遠心分離して除去して、上澄液のみを集めてゲル透過クロマトグラフィー(gelpermeationchromatography、SepharoseCL―4B、Phamacia社、スウェーデン)を行い、各分画中、電気泳動により純粋な表面抗原を含有している分画を集めて、ワクチンのためのB型肝炎抗原として使用した。また、B型肝炎表面抗原による相互作用を減少させるため、ポリソルべート20を1ml当たり0、5、10μgで処理して変化様相を観察した(図2参照)。
【実施例2】
【0041】
ジフテリアトキソイドの製造
前記コリネバクテリウムジフテリアPWNo.8株を栄養寒天培地(Difco社、米国)で35℃で24時間培養して2回継代培養した後、そのうち、一つのコロニーを2mlのブレインハートインフュージョン培地(Difco社、米国)で35℃で24時間培養したもののうち、1.2mlを300mlの変形ミューラ培地(参照:Stainerの他多数、CanadianJ.Microbiol.、14:155、1968)に接種して35℃で36時間培養した。培養完了後、培養液から菌体を除去して毒素液のみを集め、4℃で硫酸アンモニウムを添加して、その最終濃度が25(w/v)%になるようにし、pHを8.0に調整した。25(w/v)%硫酸アンモニウムを含んだ10mMトリス緩衝溶液(pH8.0)で予め平衡させたフェニル―セファロース(phenyl―sepharose)コラムに前記pH及び塩度を調整した培養液を点滴した。コラム平衡溶液と同様の緩衝溶液及び15(w/v)%硫酸アンモニウムを含んだ10mMトリス緩衝溶液(pH8.0)を順次コラムに流して不純物を除去した後、塩を含まない10mMトリス緩衝溶液(pH8.0)で毒素を湧出させた。湧出されたジフテリア毒素液のみを集めて150mM塩化ナトリウムを含んだ10mMリン酸緩衝溶液(pH7.4)に透析した。透析過程が完了した後、ホルマリンを最終濃度が0.05(w/v)%になるように添加して、37℃で1時間反応させた後、リジンを最終濃度が0.05Mになるように添加して、37℃で4週間熟成させて無毒化した。無毒化過程が完了したトキソイド液は、150mM塩化ナトリウムを含んだ10mMリン酸緩衝溶液(pH7.4)に透析してホルマリンを完全に除去し、チメロサールを最終濃度が0.01(w/v)%になるように添加し、これをジフテリアトキソイド液として使用した。
【実施例3】
【0042】
破傷風トキソイドの製造
前記クロストリジウムテタニハーバード株を滅菌して40℃に維持するレバーバイル(liver―bile)寒天培地(Difco社、米国)に混合して凝固させて35℃で24時間培養したもののうち、数個のコロニーを溶存酸素の量を減らした2mlの0.3(w/v)%酵母抽出物(Difco社、米国)を含んだブレインハートインフュージョン培地(Difco社、米国)に接種して嫌気状態で35℃で24時間培養した後、窒素ガスで十分に飽和させた0.3(w/v)%酵母抽出物(Difco社、米国)を含んだブレインハートインフュージョン培地(Difco社、米国)500mlに接種して嫌気状態で35℃で7日間培養した。培養完了後、培養液から菌体を除去して毒素液のみを集め、4℃で硫酸アンモニウムを最終濃度が60(w/v)%になるように添加して、24時間以上攪拌して十分に混ぜた後、沈殿物を遠心分離して回収した。沈殿物を少量の蒸溜水に溶解させ、不溶性物質を除去した後、0.5M塩化ナトリウムを含んだ10mMトリス緩衝溶液(pH8.0)で予め平衡させたセファクリルS―100コラムに点滴した。同緩衝溶液を流して、分離された毒素を湧出させた後、破傷風毒素液のみを集めて、150mM塩化ナトリウムを含んだ10mMリン酸緩衝溶液(pH7.4)に透析した。透析過程が完了した後、ホルマリンを最終濃度が0.025(w/v)%になるように添加して、37℃で1時間反応させた後、リジン及び炭酸水素ナトリウムを最終濃度がそれぞれ0.05M、0.04Mになるように添加して、37℃で4週間熟成させて無毒化した。無毒化過程が完了したトキソイド液は、150mM塩化ナトリウムを含んだ10mMリン酸緩衝溶液(pH7.4)に透析してホルマリンを完全に除去し、チメロサールを最終濃度が0.01(w/v)%になるように添加し、これを破傷風トキソイド液として使用した。
【実施例4】
【0043】
精製百日咳抗原蛋白質の製造
百日咳菌ボルデテラパターシストハマ第1状株(Bordetellapertussis、TohamaphaseI)を15%ウサギの血液を含んだBodet―Gengo寒天培地(Difco社、米国)で35℃で72時間培養して2回継代培養した後、そのうち、数個のコロニーをStanor―Sholte培地50mlに接種して35℃で48時間培養したものを、500mlの変形Stanor―Sholte培地(参照:Imazumietal.,INFECT.―IMMUN.,1983,vol41,pp.1138)に更に接種して35℃で36時間培養した。培養が完了した培養液に10%チメロサール水溶液を最終濃度0.01%で添加して、百日咳菌の成長を抑制した後、遠心分離により菌体を除去した。菌体が除去された培養液に、3倍の体積の蒸溜水を添加して十分に混合した後、1N硫酸水溶液を使用してpH6.0に下げた。これをpH6.0の10mMリン酸ナトリウム緩衝溶液で予め平衡させたCM―セファロースコラムに点滴した。コラム平衡溶液と同様の緩衝溶液をコラムに流してコラムに結合されない物質を除去し、100mM塩化ナトリウムを含んだコラム平衡溶液と同様の緩衝溶液でコラムに弱く結合された不純物を除去した。不純物がコラムを通してそれ以上流出されないようになると、同じ体積の100mM塩化ナトリウム及び600mM塩化ナトリウムをそれぞれ含むコラム平衡溶液と同様の緩衝溶液で直線濃度勾配を形成させてコラムに流すことにより、百日咳毒素及び繊維状赤血球凝集素などの百日咳抗原蛋白質を含む分画を分離した。抗原分画を2倍の体積の10mMリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH8.0)で希薄した後、pHを8.0に調整した。これをpH8.0の10mMリン酸ナトリウム緩衝溶液で予め平衡させたヒドロキシアパタイトコラムに点滴した。100mM塩化ナトリウムを含むコラム平衡溶液と同様の緩衝溶液をコラムに流してコラムに結合されない物質を除去した。100mM塩化ナトリウムを含んだpH8.0の80mMリン酸ナトリウム緩衝溶液で点滴時と同じ流速で流して百日咳毒素分画を分離した。百日咳毒素の分離が完了すると、100mM塩化ナトリウムを含んだpH8.0の250mMリン酸ナトリウム緩衝溶液で点滴時と同じ流速で流すことにより、繊維状赤血球凝集素分画を分離した。それぞれ分離された百日咳毒素及び繊維状赤血球凝集素などは、0.15%塩化ナトリウムを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.4)に4℃で透析した。透析が完了した百日咳毒素試料液にグリセロール及びグルタールアルデヒド(glutalaldehyde)を最終濃度がそれぞれ50(w/v)%、0.05(w/v)%になるように添加して、37℃で4時間無毒化してから、アスパラギン酸ナトリウム(sodiumaspartate)を最終濃度が0.025Mになるように添加して無毒化過程を終了した。透析が完了した繊維状赤血球凝集素試料液には、グリセロール及びホルマリンを最終濃度がそれぞれ50(w/v)%、0.025(w/v)%になるように添加して、37℃で24時間無毒化してから、リジンを最終濃度が0.025Mになるように添加して無毒化過程を終了した。各試料液を常温で0.15%塩化ナトリウムを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.4)に透析し、チメロサールを最終濃度が0.01(w/v)%になるようにそれぞれ添加した。前記段階が完了した無毒化した百日咳毒素試料液と繊維状赤血球凝集素試料液とを1対4の割合で混合し、これを百日咳抗原蛋白質として使用した。
【実施例5】
【0044】
全細胞性百日咳抗原の製造
百日咳菌ボルデテラパターシストハマ第1状株(Bordetellapertussis,TohamaphaseI)を15%ウサギの血液を含んだBodet―Gengo寒天培地(Difco社、米国)で35℃で72時間培養して2回継代培養した後、そのうち、数個のコロニーをStanor―Sholte培地50mlに接種して35℃で48時間培養したものを、500mlの変形Stanor―Sholte培地(参照:Imazumiの他多数、INFECT.―IMMUN.,1983,vol41,pp.1138)に更に接種して35℃で36時間培養した。培養が完了した培養液に10%チメロサール水溶液を最終濃度0.01%で添加して百日咳菌の成長を抑制した後、遠心分離により菌体を集めた。収集した菌体液は、0.15%塩化ナトリウムを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.4)に4℃で透析した。透析が完了した百日咳菌体液にホルマリンを最終濃度が0.025(w/v)%になるように添加して、37℃で4週間無毒化させた後、リジンを最終濃度が0.025Mになるように添加して無毒化過程を終了した。試料液を常温で0.15%塩化ナトリウムを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.4)に透析し、チメロサールを最終濃度が0.01(w/v)%になるように添加した。これを全細胞性百日咳抗原として使用した。
【実施例6】
【0045】
精製百日咳抗原を含む混合ワクチンの製造
段階1.B型肝炎ワクチンの製造
前記実施例1により製造されたB型肝炎表面抗原を利用して製造した。リン酸塩緩衝溶液に水酸化アルミニウムゲルを加えて水酸化アルミニウム溶液を製造した後、この溶液を徐々に攪拌しながら前記抗原溶液を滴加して、4℃で15時間十分に攪拌及び配合して、B型肝炎ワクチンを製造した。このとき、B型肝炎表面抗原の量は、一般のB型肝炎ワクチンの量より3倍濃縮された60μg/mlを使用し、剤型1の場合は、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は0.9mg/mlを使用した。剤型2の場合は、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は1.5mg/mlを使用した(図2参照)。
【0046】
段階2.DTP混合ワクチンの製造
前記関連実施例2、3及び4により製造された各抗原を利用して製造した。通常の方法と同様に、リン酸塩緩衝溶液に水酸化アルミニウムゲルを加えて水酸化アルミニウム溶液を製造した後、この溶液を徐々に攪拌しながら前記各抗原溶液を滴加して、十分な時間を攪拌して均一に吸着させて、DTP混合ワクチンを製造した。このとき、各抗原の量は、一般のDTPワクチンの各成分抗原の量より1.5倍濃縮された量を使用し、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は0.3mg/mlを使用した。
【0047】
段階3.DTP―B型肝炎混合ワクチンの製造
前記段階1及び2により製造された各DTPワクチンとB型肝炎ワクチンとを2:1の体積比で徐々に攪拌しながら配合し、剤型1の場合は、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量が最終0.7mg/mlになるように余分の水酸化アルミニウムゲルを添加した後、25℃で1時間攪拌し続けて組成物間に相互作用がない安定した混合ワクチンを製造した。剤型2の場合は、余分の水酸化アルミニウムゲルを添加せずに、25℃で1時間攪拌し続けて混合ワクチンを製造した。剤型1、2、両方とも、混合ワクチンの水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は0.7mg/mlである。力価実験のため、混合ワクチンの組成は、1ml基準で、B型肝炎表面抗原20μg、ジフテリアトキソイド25Lf、破傷風トキソイド3Lf、百日咳トキソイド2.5μgPN及び百日咳FHA抗原(百日咳繊維状赤血球凝集素抗原)10μgPNにより製造した(図2参照)。
【実施例7】
【0048】
全細胞性百日咳抗原を含む混合ワクチンの製造
段階1.B型肝炎ワクチンの製造
前記実施例1により製造されたB型肝炎表面抗原を利用して製造した。リン酸塩緩衝溶液に水酸化アルミニウムゲルを加えて水酸化アルミニウム溶液を製造した後、この溶液を徐々に攪拌しながら前記抗原溶液を滴加して、4℃で15時間十分に攪拌及び配合して、B型肝炎ワクチンを製造した。このとき、B型肝炎表面抗原の量は、一般のB型肝炎ワクチンの量より3倍濃縮された60μg/mlを使用し、剤型1の場合は、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は0.9mg/mlを使用した。剤型2の場合は、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は1.5mg/mlを使用した(図2参照)。
【0049】
段階2.DTP混合ワクチンの製造
前記実施例2、3及び5により製造された各抗原を利用して製造した。通常の方法と同様に、リン酸塩緩衝溶液に水酸化アルミニウムゲルを加えて水酸化アルミニウム溶液を製造した後、この溶液を徐々に攪拌しながら前記各抗原溶液を滴加し、十分な時間を攪拌して均一に吸着させて、DTP混合ワクチンを製造した。このとき、各抗原の量は、一般のDTPワクチンの各成分抗原の量より1.5倍濃縮された量を使用し、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は0.3mg/mlを使用した。
【0050】
段階3.DTP―B型肝炎混合ワクチンの製造
前記段階1及び2により製造された各DTPワクチンとB型肝炎ワクチンとを2:1の体積比で徐々に攪拌しながら配合し、剤型1の場合は、水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量が最終0.7mg/mlになるように余分の水酸化アルミニウムゲルを添加した後、25℃で1時間攪拌し続けて組成物間に相互作用がない安定した混合ワクチンを製造した。剤型2の場合は、余分の水酸化アルミニウムゲルを添加せずに、25℃で1時間攪拌し続けて混合ワクチンを製造した。剤型1、2、両方とも、混合ワクチンの水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオンの量は0.7mg/mlである。力価実験のため、混合ワクチンの組成は、1ml基準で、B型肝炎表面抗原20μg、ジフテリアトキソイド50Lf、破傷風トキソイド10Lf及び全細胞性百日咳抗原20OEにより製造した(図2参照)。
【実施例8】
【0051】
混合ワクチンの抗原価実験
実施例6及び7により製造された混合ワクチンの抗原価実験は、各抗原に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を利用した酵素免疫測定法により各抗原の標準品と比較して抗原価を測定した。
【0052】
また、各抗原の吸着率を調べるため、アルミニウム塩に吸着された抗原を遠心分離により除去した後、上澄液のみで遊離した抗原の量を測定した。
【0053】
図1に各結果の平均値を示し、図2には各成分抗原から構成された単独ワクチンに対する百分率で表した。
【実施例9】
【0054】
混合ワクチンの力価実験
B型肝炎の力価実験
実施例6及び7により製造された混合ワクチン及びB型肝炎ワクチンを、それぞれ16匹を1群とするICRマウスに接種し、18日後に採血して血清のみを分離し、血清のB型肝炎表面抗原に対する抗体価を酵素免疫測定法によりIU/ml単位で測定して各幾何平均を求め、B型肝炎ワクチンに対する混合ワクチンの力価を計算した。
図2c及び2dには各成分抗原から構成された単独ワクチンに対する百分率で表し、表1には各力価の数値を提示した。
【0055】
ジフテリアの力価実験
実施例6及び7により製造された混合ワクチン及びDTPワクチンを、それぞれ16匹を1群とするICRマウスに接種し、28日後に採血して血清のみを分離し、血清のジフテリア抗原に対する抗体価を酵素免疫測定法によりIU/ml単位で測定して各幾何平均を求め、DTPワクチンに対する混合ワクチンの力価を測定した。
図2c及び2dには各成分抗原から構成された単独ワクチンに対する百分率で表し、表1には各力価の数値を提示した。
【0056】
破傷風の力価実験
実施例6及び7により製造された混合ワクチン及びDTPワクチンを、それぞれ16匹を1群とするICRマウスに接種し、28日後に採血して血清のみを分離し、血清の破傷風抗原に対する抗体価を酵素免疫測定法によりIU/ml単位で測定して各幾何平均を求め、DTPワクチンに対する混合ワクチンの力価を測定した。
図2c及び2dには各成分抗原から構成された単独ワクチンに対する百分率で表し、表1には各力価の数値を提示した。
【0057】
百日咳の力価実験
実施例6及び7により製造された混合ワクチン及びDTPワクチンを、それぞれ16匹を1群とするICRマウスに接種し、28日後に採血して血清のみを分離し、血清の百日咳抗原に対する抗体価を酵素免疫測定法によりIU/ml単位で測定して各幾何平均を求め、DTPワクチンに対する混合ワクチンの力価を測定した。
【0058】
図2c及び2dには各成分抗原から構成された単独ワクチンに対する百分率で表し、表1には各力価の数値を提示した。
【表1】
【実施例10】
【0059】
混合ワクチンの猿に対する比較効力実験
本発明における混合ワクチンの霊長類に対する抗体生成能力を立証し、既存の単独ワクチンと比較するために試験を実施した。実施例6により製造された混合ワクチンを雌雄同数で構成された猿6匹(実験群)に投与し、各成分ワクチンを雌雄同数で構成された猿6匹(対照群)に同時に投与し、各実験群及び対照群に投与された製品と同じ製品を30日及び60日後に再投与した。最初投与日から1日、29日、58日及び86日が経った後、各実験動物から採血して、血清中の各疾病に対する抗体価を、猿の血清に適したELISA法により測定した。
【0060】
図3には、各疾病原別抗体価を日付別に実験群と対照群とに区分して幾何平均を示した。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎など、小児期に予防すべき疾病を同時に予防するための混合ワクチンの製造方法が提供される。本発明による混合ワクチンを使用することにより、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎など、小児期に予防すべき疾病を同時に效果的に予防することができる。
【0062】
以上、本発明を記載された具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは当業者にとって明白であり、このような変形及び修正が添付された特許請求の範囲に属することも当然なものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】吸着剤の濃度別各成分の抗原の吸着率を示したものである。(実施例8)
【図2a】剤型1の相対的免疫力を示したものである。(実施例1、6、7、8)
【図2b】剤型2の相対的免疫力を示したものである。(実施例1、6、7、8)
【図2c】剤型1の抗体量を示したものである。(実施例1、6、7、8、9)
【図2d】剤型2の抗体量を示したものである。(実施例1、6、7、8、9))
【図3a】B型肝炎に対する免疫力を示したものである。(実施例10)
【図3b】百日咳に対する免疫力を示したものである。(実施例10)
【図3c】ジフテリアに対する免疫力を示したものである。(実施例10)
【図3d】破傷風に対する免疫力を示したものである。(実施例10)
Claims (13)
- 混合ワクチンの製造方法において、
二種以上の疾病に対する各予防抗原を吸着剤に独立的に吸着させる段階と、
予防抗原が吸着された前記各吸着剤を相互混合させる段階と、
を含んでなることを特徴とする混合ワクチンの製造方法。 - 前記予防抗原は、ジフテリア、破傷風、百日咳及びB型肝炎から選択された二つ以上の疾病に対する予防抗原であることを特徴とする請求項1に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 前記吸着剤は、水酸化アルミニウムゲル状の吸着剤であることを特徴とする請求項1に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 前記混合ワクチンの製造後の水酸化アルミニウムゲルのアルミニウムイオン濃度は、0.5〜1.25mg/mlの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 前記吸着剤に吸着された各予防抗原を混合した後、0.5〜1.25mg/mlのアルミニウムイオン濃度範囲を超えない範囲で、余分の吸着剤を添加する段階を追加で含む請求項3又は4に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 前記B型肝炎抗原として、遺伝工学的に製造されたB型肝炎表面抗原を、小児1回投与量基準で5〜10μg混合することを特徴とする請求項2に記載の混合ワクチンの製造方法。
- ポリソルべート20、ポリソルべート80、トリトンX―100のような中性界面活性剤を添加する段階を追加で含む請求項6に記載の混合ワクチンの製造方法。
- B型肝炎抗原を、吸着剤と2〜8℃で3〜20時間攪拌して熟成させて吸着させることを特徴とする請求項6に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 前記ジフテリア抗原として、無毒化したジフテリア毒素を、小児1回投与量基準で10〜25Lf混合することを特徴とする請求項2に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 前記破傷風抗原として、無毒化した破傷風毒素を、小児1回投与量基準で1〜5Lf混合することを特徴とする請求項2に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 前記百日咳抗原として、精製された多種の抗原蛋白質を、小児1回投与量基準で20μgPN以下混合するか、又は全細胞性百日咳抗原を、小児1回投与量基準で20OE以下混合することを特徴とする請求項2に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 精製された多種の抗原蛋白質は、無毒化した百日咳毒素及び繊維状赤血球凝集素抗原を含むことを特徴とする請求項11に記載の混合ワクチンの製造方法。
- 請求項1乃至12のいずれか1項により製造された混合ワクチン。
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