JP2004296708A - 積層型電子部品およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層体とカバー層の剥離を防止できるとともに、所望の誘電特性を得ることができる信頼性の高い積層型電子部品及びその製法を提供する。
【解決手段】誘電体層1と卑金属からなる内部電極層3とを交互に積層してなる積層体5aと、該積層体5aの上下面に積層されたカバー層5bと、内部電極層3と接続する端子電極7からなる積層型電子部品であって、誘電体層1が、Ba及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子からなるとともに、カバー層5bが、金属元素としてBa、Ca及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBCT型結晶粒子、又はBCT型結晶粒子とBT型結晶粒子の複合材料からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型電子部品及びその製法に関し、特に小型高容量の積層セラミックコンデンサに好適に用いられる積層型電子部品及びその製法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化の要求が高まってきている。このような要求に応えるために、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共に、積層数を大きくすることにより、小型・高容量化を図っている。
【0003】
また、薄層化に対応した平坦な誘電体層を形成するためと、薄層化による積層セラミックコンデンサへの印加電界の増大による信頼性低下を抑制するために、粒子の微小化が行われている。
【0004】
従来の誘電体材料であるチタン酸バリウム(BaTiO、以下BTということもある)系材料では、比誘電率が粒子径に依存することは良く知られており、0.5〜1μmの粒子サイズで比誘電率は最大値を示し、さらに粒径を小さくすると、比誘電率は単調に減少する。しかしながら、小型高容量化するためには比誘電率を向上するよりも薄層化がより有効であり、また、信頼性を確保するために、粒子の微小化が有効である。
【0005】
従来、積層コンデンサは、PETフィルム等上に誘電体層成形体を形成し、導電性ペーストを印刷した後、内部電極パターンが形成された誘電体層成形体を複数枚積層して積層成形体を作製し、その上下面に、カバー層用シート状成形体を複数積層してなるカバー層成形体を形成した素子本体成形体を作製し、この素子本体成形体を焼成して素子本体を作製し、この素子本体に端子電極を形成することにより作製されていた(特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平8−213274号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
積層成形体(容量発現部成形体)を構成する誘電体層成形体と、カバー層用シート状成形体を複数積層してなるカバー層成形体における原料粉末の粒径を微小化すると、カバー層成形体を構成するカバー層用シート状成形体の密度が積層成形体の誘電体層成形体の密度に比較して小さくなる。
【0008】
これは、生産性を向上するために、容量を発生する機能を有しないカバー層成形体のカバー層用シート状成形体一層当たりの厚さを、積層成形体の誘電体層成形体厚に比べ1.5倍以上大きくするため、比表面積が大きくパッキングし難い微小粒子を用いたカバー層用シート状成形体は、積層成形体の誘電体層成形体に比べて密度が小さくなる。これにより、カバー層成形体の密度が小さいため、焼成時の収縮が積層体の誘電体層に比べ大きくなる。
【0009】
また、積層体では、内部電極パターンの焼成収縮が誘電体層成形体に比べ低温で始まり、電極収縮の応力により、カバー層用シート状成形体に比べ、誘電体層の焼結はより低温で始まる。
【0010】
従って、焼成時において、積層成形体の誘電体層成形体が焼成収縮した後に、カバー層成形体が誘電体層成形体の収縮量以上に大きく収縮する。このため、積層体とカバー層との界面では大きな収縮応力が集中し、誘電体層間に比べ密着力の小さい内部電極とカバー層の界面において、焼成時に剥離を生じることがあった。
【0011】
この対策として、カバー層成形体を構成するカバー層用シート状成形体の原料粉末の粒子サイズを大きくして、カバー層用シート状成形体の密度を高くし、焼成収縮量を小さくすることにより、集中する応力の大きさを低減することが考えられる。しかしながら、原料粉末の粒子サイズを大きくすると、焼成温度が増大する。例えば平均粒径が0.5μm未満のBT結晶において、平均粒径を0.1μm大きくすると焼結温度は30〜40℃増大する。このため、積層体が焼結する温度で焼成した場合、ボイドフリーの緻密なカバー層を得ることができないという問題があった。
【0012】
また、焼成温度をカバー層の焼結温度に合わせると、積層体が過焼結となり、積層体を構成する誘電体層内での固溶が進み所望の誘電特性を実現できなかった。また、内部電極層も粒成長に伴い層の平坦度を失い、信頼性低下を引き起こすという問題があった。
【0013】
従って、本発明は、積層体とカバー層の剥離を防止できるとともに、所望の誘電特性を得ることができる信頼性の高い積層型電子部品及びその製法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電子部品は、誘電体層と卑金属からなる内部電極層とを交互に積層してなる積層体と、該積層体の上下面に積層されたカバー層と、前記内部電極層と接続する端子電極からなる積層型電子部品であって、前記誘電体層が、Ba及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子からなるとともに、前記カバー層が、金属元素としてBa、Ca及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBCT型結晶粒子、又はBCT型結晶粒子とBT型結晶粒子の複合材料からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の積層型電子部品では、カバー層が、BCT型結晶粒子、又はBCT型結晶粒子とBT型結晶粒子の複合材料からなるものであるが、BaTiOのBaをCaで置換したBCT型結晶粒子を有するため、焼結温度を大きく低下でき、このため、カバー層を構成する結晶粒子の粒子サイズを大きくしても、焼結温度の低温化が可能となる。
【0016】
また、BaTiOのBaの一部をCaで置換したBCT型結晶粒子と、BT型結晶粒子の混在するコンポジット材料の焼結温度は、BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子の混合比率に依存し、積層体の焼結温度に対応したカバー層の焼結温度の調整を可能にする。
【0017】
一方、積層体は内部電極を有するため、積層成形体の誘電体層成形体が焼成収縮した後、カバー層成形体が焼成収縮するが、カバー層成形体を構成する原料粉末の粒子サイズを大きくしても、低い焼成温度で焼成し密度を高くできるため、焼成収縮量を小さくでき、積層体とカバー層との界面において発生する応力が小さく、密着力の小さい内部電極とカバー層の界面における剥離を防止できる。
【0018】
また、本発明の積層型電子部品は、誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径が0.4μm未満であり、カバー層を構成する結晶粒子の平均粒径が、前記誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径より大きいことを特徴とする。このように、誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径を0.4μm未満とすることにより、薄層化に対応できるとともに、DCバイアス印加時に生じる比誘電率の低下を抑制できる。
【0019】
即ち、積層体の誘電体層は、積層セラミックコンデンサの特性を決定するため、種々の電気特性を満足しなければならない。BTは、大きな比誘電率、平坦な温度特性を有する優れた材料であり、誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径を0.4μm未満の粒径とすることで、DCバイアス印加時に生じる比誘電率の低下が抑制できる。
【0020】
さらに、本発明の積層型電子部品は、カバー層が、元素としてBa、Ca、Ti、Mg、Mn、希土類元素、Siを含有することを特徴とする。このような積層型電子部品では、積層体とカバー層の剥離がなく、所望の誘電特性を得ることができる。
【0021】
本発明の積層型電子部品の製法は、誘電体層成形体と卑金属を含有する内部電極パターンとを交互に積層してなる積層成形体の上下面に、カバー層成形体を積層してなる素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を焼成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記誘電体層成形体が、Ba及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子を形成する原料粉末を用いて形成され、前記カバー層成形体が、Ba、Ca及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBCT型結晶粒子を形成する原料粉末を用いて形成されるか、又はBa及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子を形成する原料粉末と前記BCT型結晶粒子を形成する原料粉末を用いて形成されることを特徴とする。
【0022】
このような積層型電子部品の製法では、積層成形体は内部電極パターンを有するため、積層成形体が焼成収縮した後に、カバー層成形体が焼成収縮するが、カバー層成形体を構成する原料粉末の粒子サイズを大きくしても、カバー層成形体の密度を高くし、焼成収縮量を小さくすることができるため、焼成時における積層体とカバー層との界面において発生する応力が小さく、内部電極とカバー層の界面における剥離を防止できる。
【0023】
また、本発明の積層型電子部品の製法は、内部電極パターン中にBT型結晶粉末又はBCT型結晶粉末を含有するとともに、前記内部電極パターン中のBT型結晶粉末又はBCT型結晶粉末の平均粒径が、誘電体層成形体に用いられるBT型結晶粒子を形成する原料粉末よりも小さく、平均粒径が0.1〜0.2μmであることを特徴とする。
【0024】
このような積層型電子部品の製法では、BT型結晶粒子を形成する原料粉末からなる誘電体成形体と、BT型結晶粒子又はBCT型結晶粒子粉末を含有する内部電極パターンとを交互に積層して焼成するが、内部電極パターン中のBT型結晶粉末又はBCT型結晶粉末の平均粒径が、積層体の誘電体層に用いられるBT型結晶粒子を形成する原料粉末よりも小さく、平均粒径が0.1〜0.2μmであるので、内部電極パターン中のBT型結晶粉末及びBCT結晶粉末の焼結温度は、誘電体層成形体の焼結温度よりも低い。このため、誘電体層成形体の焼結時に十分な焼結強度を持つ柱状誘電体が内部電極層中に形成され、内部電極層の上下面に形成された誘電体層同士、及び積層体の誘電体層とカバー層を柱状誘電体が強固に接合し、デラミネーションのない積層セラミックコンデンサを作製できる。
【0025】
さらに、本発明の積層型電子部品の製法は、内部電極パターンは、BT型結晶粉末又はBCT型結晶粉末を、20〜35質量%含有することを特徴とする。このような積層型電子部品の製法では、内部電極の収縮を十分緩和し、デラミネーションのない積層型電子部品を作製できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の積層セラミックコンデンサは、図1に示すように、誘電体層1と卑金属からなる内部電極層3とを有する素子本体5の対向する両端面に、端子電極7を形成して構成されている。素子本体5は誘電体層1と内部電極層3を交互に積層してなる積層体5aと、この積層体5aの上下両面に形成されたカバー層5bとから構成されている。
【0027】
そして、本発明では、カバー層9が、金属元素としてBa、Ca及びTiを、望ましくはさらにMg、Mnと、Y、Tb、Dy、Ho、ErおよびYbのうち少なくとも1種とを含有するペロブスカイト型酸化物のBCT型結晶粒子、もしくは金属元素としてBa、Ca及びTiを、望ましくはさらにMg、Mnと、Y、Tb、Dy、Ho、ErおよびYbのうち少なくとも1種とを含有するBCT型結晶粒子と、Ba及びTiを、望ましくはさらにMg、Mnと、Y、Tb、Dy、Ho、ErおよびYbのうち少なくとも1種とを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子の複合材料とから構成されている。
【0028】
また、積層体5aを構成する誘電体層1は、Ba及びTiを、望ましくはさらにMg、Mnと、Y、Tb、Dy、Ho、ErおよびYbのうち少なくとも1種とを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子からなる材料から構成されている。
【0029】
BCT型結晶粒子は、Aサイト(Baサイト)の一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、本発明においては、Mg、Mn及び希土類元素が、通常、このBサイトに固溶している(Aサイトに固溶していることもある)。一方、BT型結晶粒子は、Bサイトに、通常、Mg、Mn及び希土類元素が固溶している。
【0030】
また、本発明のカバー層5bの誘電体磁器においては、BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子の合計100質量部に対して、それぞれ酸化物換算で、0.05乃至0.5質量部、特に0.1乃至0.5質量部のMgと、0.1乃至1.7質量部、特に0.1乃至1.5質量部の希土類元素とを含有していることが好ましい。
【0031】
これらは、焼結助剤に由来する元素成分であり、少なくとも一部はBCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子中に固溶している。これら元素成分の量を上記範囲とすることにより、緻密な焼結体を得ることができる。
【0032】
さらに、本発明の誘電体層1中には、BT型結晶粒子100質量部に対して、Mnを、MnCO換算で0.4質量部以下、特に0.05乃至0.4質量部の割合で含有している。Mnは、還元雰囲気における焼成によって生成するBT、BCT結晶中の酸素欠陥を補償し、絶縁的信頼性を向上させるために使用される助剤に由来するものであり、このようなMn成分を含有させることにより、誘電体磁器の電気的絶縁性が増大し、また高温負荷寿命を大きくし、コンデンサ等の電子部品としての信頼性が高められる。このようなMnは、主として非晶質でBT型結晶粒子やBCT型結晶粒子の粒界に存在するが、その一部は、結晶粒子内に拡散固溶し(やはり表面に偏在する)、コアシェル構造を形成する。
【0033】
また、誘電体層1の耐還元性を向上するとともに、異常粒成長を抑制するために少量のBaCOを添加しても良い。
【0034】
また、誘電体層1では、結晶粒子の焼結性を高めるために、少量のガラス成分を含有することが望ましい。
【0035】
上記BCT型結晶粒子におけるAサイト中のCa置換量は、2〜22モル%、特に5〜15モル%であることが好ましい。Ca置換量がこの範囲内であれば、BTに対する焼結温度の低下が大きく、本発明の効果が十分得られる。
【0036】
誘電体層1を構成する結晶粒子の平均粒径は0.4μm未満であり、カバー層5bを構成する結晶粒子の平均粒径が、誘電体層1を構成する結晶粒子の平均粒径より大きいことが望ましい。これにより、薄層化に対応できるとともに、DCバイアス印加時に生じる比誘電率の低下を抑制できる。
【0037】
本発明の積層セラミックコンデンサの製法について説明する。まず、BT粉末に、所定量のMg、Mnと、Y、Tb、Dy、Ho、Er、Ybの少なくとも1種の酸化物あるいは炭酸塩、必要に応じてガラス成分を加えて混合した原料粉末を用いて、引き上げ法、ドクターブレード法、リバースロールコータ法、グラビアコータ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷等の周知の成形法によりシート状の誘電体層成形体を作製する。
【0038】
また、この誘電体層成形体の厚みは、小型、大容量化という理由から1〜10μm、特には1〜5μmであることが望ましい。次に、この誘電体層成形体の表面に、卑金属を含有する導電性ペーストを、スクリーン印刷法、グラビア印刷、オフセット印刷法等の周知の印刷方法により塗布し内部電極パターンを形成する。内部電極パターンの厚みは、コンデンサの小型、高信頼性化という点から2μm以下、特には1μm以下であることが望ましい。
【0039】
導電性ペーストは、卑金属、例えばNiを用い、また、共材として平均粒径0.1〜0.2μmのBaTiOもしくは(Ba、Ca)TiO結晶粉末を用い、これらを所定のビヒクル中に分散させて形成する。BaTiOおよび(Ba、Ca)TiO結晶粉末の含有比率は20〜35質量%とされ、例えば、Ni粉末45質量%に対して、BTもしくはBCT粉末を20〜35質量%と、残部がエチルセルロース5.5質量%とオクチルアルコール94.5質量%からなるビヒクルとされている。
【0040】
導電性ペースト中のBTもしくはBCT粉末含有量を20〜35質量%としたのは、この範囲ならば、内部電極層の収縮を緩和し、平坦な内部電極層を形成できるからである。特に、電極ペースト中のBCT粉末含有量は、25〜30質量%であることが望ましい。
【0041】
また、添加されるBTもしくはBCT粉末の平均結晶粒径は0.1〜0.2μmとされている。これは、内部電極パターンの厚みは、コンデンサの小型、高信頼性化という点から2μm以下、特には1μm以下と薄くなっており、このような内部電極パターンを形成するためには、BTもしくはBCT粉末の平均結晶粒径は0.1〜0.2μmとすることが望ましいからである。
【0042】
導電性ペーストに含有している(Ba、Ca)TiO結晶粉末は、Baの一部がCaで置換されており、その置換量をxとすると、(Ba1−xCa)TiOと表すことができるが、置換量xは、優れたDCバイアス特性を実現するという点から、誘電体層成形体を構成するBCT粉末と同一であることが望ましい。特には、0.05〜0.10であることが望ましい。
【0043】
このように内部電極パターンが形成された誘電体層成形体を複数積層圧着して積層成形体を作製するとともに、内部電極パターンが形成されていない誘電体成形体(カバー層用シート状成形体)を複数積層圧着したカバー層成形体を作製し、内部電極パターンが印刷された誘電体成形体の積層成形体と圧着し、素子本体成形体を作製する。この素子本体成形体を大気中250〜300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸素雰囲気中500〜800℃で脱脂した後、非酸化性雰囲気で1170〜1270℃で2〜3時間焼成する。さらに、所望により、酸素分圧が0.1〜10−4Pa程度の低酸素分圧下、900〜1100℃で5〜15時間再酸化処理を施すことにより、還元された誘電体層が酸化されることにより、良好な絶縁特性を有する誘電体層となる。
【0044】
最後に、得られた素子本体の各端面にCuペーストを塗布して焼き付け、Ni/Snメッキを施し、内部電極と電気的に接続された端子電極を形成して積層セラミックコンデンサを作製できる。
【0045】
このような積層セラミックコンデンサでは、導電性ペースト中に平均粒径0.1〜0.2μmのBTもしくは(Ba、Ca)TiO結晶粉末を共材として添加したので、BT結晶粒子からなる誘電体層を形成する場合にも、これらの誘電体層を連結する良好な柱状誘電体を内部電極層中に形成することができ、デラミネーションを抑制することができる。
【0046】
また、本発明では、平均粒径の小さい誘電体磁器を誘電体層として用いることにより、誘電体層厚みを容易に薄層化することができ、静電容量の向上、小型化が可能になると共に、Ni、Cu等の卑金属を導体として用いることにより、安価な積層セラミックコンデンサが得られる。
【0047】
また、カバー層に耐還元性に優れたBCTもしくはBCTとBTの複合体を用いる為、酸化物セラミックスに見られる還元焼成による絶縁性劣化が見られず、カバー層として十分な電気的絶縁保護体の機能を発現する。
【0048】
【実施例】
水熱合成法により生成されたBaTiO(平均粒径0.1μm)粉末と、CaCO(平均粒径0.2μm)、TiOを混合し、1000℃以上の温度で大気中熱処理を行い、導電性ペースト用の(Ba1−xCa)TiO(xは0.05)を作製した。作製したBCT粉末をボールミルにより粉砕し、平均粒径が0.1μmの導電性ペースト用の(Ba1−xCa)TiO粉末(共材)を作製した。
【0049】
次に、表1に示す平均粒径のBaTiO、(Ba1−xCa)TiOに、MgCO、MnCOおよびY粉末をそれぞれ、BaTiO、(Ba1−xCa)TiOの合量100質量部に対して0.3質量部、0.15質量部、及び0.7質量部添加し、更にSi、Li、Ba及びCaを含有するガラスフィラー(ガラス成分)を、BaTiO、(Ba1−xCa)TiOの合量100質量部に対して1.2質量部添加し、さらにブチラール樹脂、およびトルエンを添加しなるセラミックスラリーを作製し、これをドクターブレード法によりPETフィルム上に塗布し、乾燥機内で60℃で15秒間乾燥後、これを剥離して厚み10μmのセラミックグリーンシート(カバー層用シート状成形体)を形成し、これを10枚積層してカバー層用成形体を作製した。そして、これらのカバー層成形体を、90℃で30分の条件で乾燥させた。
【0050】
次に、カバー層成形体を台板上に配置し、プレス機により圧着して台板上にはりつけた。
【0051】
一方、PETフィルム上に、表1に示す平均粒径のBaTiO粉末を用いる以外は、カバー層成形体と同様にして、セラミックスラリーを作製し、このスラリーをドクターブレード法により塗布し、60℃で15秒間乾燥後、厚み3.0μmのセラミックグリーンシート(誘電体層成形体)を多数作製した。
【0052】
次に、平均粒径0.2μmのNi粉末の合量45質量%に対して、0.1μm粒径の上記共材用の粉砕BCT粉末を25質量%と、残部がエチルセルロース5.5質量%とオクチルアルコール94.5質量%からなるビヒクルを3本ロールで混練して導電性ペーストを作製した。
【0053】
この後、得られた誘電体層成形体の一方主面に、スクリーン印刷装置を用いて、上記した導電性ペーストを内部電極パターン状に印刷し、誘電体層成形体上に長辺と短辺を有する長方形状の内部電極パターンを複数形成し、乾燥後、剥離した。
【0054】
この後、内部電極パターンが形成された誘電体層成形体を200枚積層して積層成形体を作製し、この後、積層成形体の上下面にカバー層成形体を積層し、素子本体成形体を作製した。
【0055】
次に、素子本体成形体を金型上に載置し、積層方向からプレス機の加圧板により圧力を段階的に増加して圧着し、この後さらに素子本体成形体の上部にゴム型を配置し、静水圧成形した。
【0056】
この後、この素子本体成形体を所定のチップ形状にカットし、大気中300℃または0.1Paの酸素/窒素雰囲気中500℃に加熱し、脱バイを行った。さらに、10−7Paの酸素/窒素雰囲気中、表2に示す温度で2時間焼成し、さらに、10−2Paの酸素/窒素雰囲気中にて1000℃で再酸化処理を行い、素子本体を得た。焼成後、素子本体の端面にCuペーストを900℃で焼き付け、さらにNi/Snメッキを施し、内部電極と接続する外部端子を形成した。
【0057】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの内部電極層の厚みは1.1μm、誘電体層の厚みは2.5μmであった。また、積層体とカバー層の界面におけるはがれの発生率を、各試料1000個について、実体顕微鏡で観察した。また、積層強度を、外部端子形成前の試料について、370℃のはんだに試料を接触させ熱衝撃テストを行い、デラミネーション、クラックの発生を各試料500個について調べ、不良数を表1に示した。また、湿中負荷不良の原因となるカバー層のボイド密度を各試料3個づつSEM観察を行い、700倍のSEM写真における1cm当たりのボイドの数を調べた。これらの結果を表2に記載した。
【0058】
【表1】
Figure 2004296708
【0059】
【表2】
Figure 2004296708
【0060】
表1、2から、本発明の試料では、外観でのはがれがなく、また熱衝撃テストにおいても不良は観察されなかった。また、ボイド密度についても十分小さいものが得られた。
【0061】
また、カバー層として(Ba、Ca)TiO、もしくは(Ba、Ca)TiOとBaTiOの複合材料を用い、その粒子サイズが、積層体の誘電体層より大きい試料No.2、4、7、8においては、カバー層の剥離による外観不良の発生数が0で、かつ熱衝撃テストによるカバー層剥離、層間デラミネーション、クラックの発生数も0である。
【0062】
これに対し、カバー層、積層体の誘電体層とも同じ誘電体組成で同じ粒子サイズである試料No.1、3、5においては、剥離外観不良と、熱衝撃テストによるカバー層の剥離が観測された。また、誘電体組成は積層体の誘電体層と同じで、カバー層の粒子サイズが大きい誘電体材料を用いた試料No.6においてはボイド数が大きく、カバーの焼結が不十分であった。
【0063】
また、本発明者は、平均粒径0.2μmのNi粉末の合量45質量%に対して、表3の平均粒径のBT結晶(堺化学社製)もしくは上記共材用の粉砕BCT粉末を表3に示す割合と、残部がエチルセルロース5.5質量%とオクチルアルコール94.5質量%からなるビヒクルを3本ロールで混練して導電性ペーストを作製し、試料No.8の積層成形体、カバー層成形体を用いる以外は、上記と同様にして積層セラミックコンデンサを作製し、上記と同様、外観検査によるハガレの有無、熱衝撃試験テストによる不良発生率、カバー層のボイド数を評価した。その結果を表3に記載した。
【0064】
【表3】
Figure 2004296708
【0065】
この表3から、共材の平均粒径が0.1〜0.2μmで、20〜35質量%の共材を有する導電性ペーストを用いて、積層セラミックコンデンサを作製した場合には、カバー層の剥離による外観不良の発生数が0で、かつ熱衝撃テストによるカバー層剥離、層間デラミネーション、クラックの発生数も0であることが判る。
【0066】
【発明の効果】
本発明の積層型電子部品は、カバー層として粒子サイズが大きい原料粉末を用いても大きな成形体密度を得ることができるため、焼結時の収縮量を小さくでき、またカバー層の焼成温度が低く、誘電体層と内部電極層の積層体の焼結温度と同程度の焼成温度を実現できる誘電体材料を用いるため、焼成収縮時の応力を低減し、カバー層と、誘電体層と内部電極層の積層体との界面において発生するはがれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・誘電体層
3・・・内部電極層
5a・・・積層体
5b・・・カバー層
7・・・端子電極

Claims (6)

  1. 誘電体層と卑金属からなる内部電極層とを交互に積層してなる積層体と、該積層体の上下面に積層されたカバー層と、前記内部電極層と接続する端子電極からなる積層型電子部品であって、前記誘電体層が、Ba及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子からなるとともに、前記カバー層が、金属元素としてBa、Ca及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBCT型結晶粒子、又はBCT型結晶粒子とBT型結晶粒子の複合材料からなることを特徴とする積層型電子部品。
  2. 誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径が0.4μm未満であり、カバー層を構成する結晶粒子の平均粒径が、前記誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径より大きいことを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
  3. カバー層が、元素としてBa、Ca、Ti、Mg、Mn、希土類元素、Siを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の積層型電子部品。
  4. 誘電体層成形体と卑金属を含有する内部電極パターンとを交互に積層してなる積層成形体の上下面に、カバー層成形体を積層してなる素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を焼成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記誘電体層成形体が、Ba及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子を形成する原料粉末を用いて形成され、前記カバー層成形体が、Ba、Ca及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBCT型結晶粒子を形成する原料粉末を用いて形成されるか、又はBa及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物のBT型結晶粒子を形成する原料粉末と前記BCT型結晶粒子を形成する原料粉末を用いて形成されることを特徴とする積層型電子部品の製法。
  5. 内部電極パターン中にBT型結晶粉末又はBCT型結晶粉末を含有するとともに、前記内部電極パターン中のBT型結晶粉末又はBCT型結晶粉末の平均粒径が、誘電体層成形体に用いられるBT型結晶粒子を形成する原料粉末よりも小さく、平均粒径が0.1〜0.2μmであることを特徴とする請求項4記載の積層型電子部品の製法。
  6. 内部電極パターンは、BT型結晶粉末又はBCT型結晶粉末を、20〜35質量%含有することを特徴とする請求項4又は5記載の積層型電子部品の製法。
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