JP2019061845A - 金属粉末ペーストの製造方法および金属粉末の評価方法 - Google Patents

金属粉末ペーストの製造方法および金属粉末の評価方法 Download PDF

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Takahiro Ueda
貴広 植田
慎悟 村上
Shingo Murakami
慎悟 村上
納谷 匡邦
Tadakuni Naya
匡邦 納谷
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Abstract

【課題】簡便な製造方法で、ニッケルペーストなどの金属ペーストを製造できる製造方法を提供する。【解決手段】金属粉末を沸点120℃以下の低沸点有機溶媒中にて分散処理して低沸点有機溶媒スラリーを得る第1の工程と、前記低沸点有機溶媒スラリーに沸点150℃以上の高沸点有機溶媒に樹脂を溶解させたビヒクルを加えた後に混合する第2の工程と、前記第2工程を経た後に、前記低沸点有機溶媒を揮発させて除去する低沸点有機溶媒除去処理を経て金属粉末ペーストを得る第3の工程を経る。【選択図】なし

Description

本発明は、金属ペーストの製造方法および金属粉末の評価方法に関する。
ニッケル粉末は、厚膜導電材料として、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板等の積層セラミック部品の電極や電気配線回路などに用いられている。
積層セラミック部品である積層セラミックコンデンサは、平均粒径1μm以下のニッケル粉末とエチルセルロース等の樹脂とターピネオール等の有機溶剤を含むビヒクルと誘電体である共材とが混練されたニッケルペーストを、誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷して積層、圧着した後に、圧着されたグリーンシートの積層体を所定の大きさにカットして、グリーンシートに含まれる有機バインダや導電性ペーストに含まれるエチルセルロース等の樹脂の燃焼、除去を行う脱バインダ処理を行って、1300℃まで高温焼成して得られる。
近年、小型化、高容量化が求められている積層セラミックコンデンサは、内部電極、誘電体ともに薄層化が進められており、内部電極層と誘電体層が薄層化するに従って、内部電極層に使用されるニッケル粉末や誘電体層に使用されるチタン酸バリウム等は微粒化する傾向にある。
小型高容量化のために内部電極を薄層化したコンデンサに使用されるニッケル粉末は、単にニッケル粉末の粒径を小さくすれば良いのではなく、積層体の内部電極同士が接触して短絡することを防止するために、ニッケル粉末の粗大粒子の含有量は制御される必要があり、含有量は極力少ないことが望ましく、更には含まれないことが望ましい。ここで、粗大粒子とは、50%累積粒度や平均粒径等の3倍以上も径の粒子をいう。
このニッケル粉末の粗大粒子の含有量の評価としては、チタン酸バリウムを含むニッケルペーストをアルコール中で分散、沈降し、上澄み液を除去することを繰り返し、沈降物を乾燥し走査型電子顕微鏡で粗大粒子をカウントする方法が、特許文献1に示されている。
しかし、ニッケルペーストの製造に使用される三本ロールミルは熟練を要し、高圧乳化装置は、構造上、分解や清掃に手間取ることがある。
そのためペースト形態にされたニッケル粉末評価ではより効率的で簡便な方法が求められている。
特開2015−161536号公報
本発明の課題とするところは簡便な製造方法で、ニッケルペーストなどの金属ペーストを製造できる製造方法を提供することであり、得られた金属ペーストにより金属粉末に含まれる粗大粒子を簡便に評価することができる評価方法を提供することにある。
本発明の第1の発明は、金属粉末を沸点120℃以下の低沸点有機溶媒中にて分散処理して低沸点有機溶媒スラリーを得る第1の工程と、前記低沸点有機溶媒スラリーに沸点150℃以上の高沸点有機溶媒に樹脂を溶解させたビヒクルを加えた後に混合する第2の工程と、前記第2工程を経た後に、前記低沸点有機溶媒を揮発させて除去する低沸点有機溶媒除去処理を経て金属粉末ペーストを得る第3の工程を経ることを特徴とする金属ペーストの製造方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明において前記分散処理が、前記低沸点有機溶媒に超音波を照射して前記金属粉末を分散させることを特徴とする金属ペーストの製造方法である。
本発明の第3の発明は、第2の発明において前記分散処理が、前記金属粉末と前記低沸点溶媒を入れた容器に液状の媒体を介して超音波の照射を行うことを特徴とする金属ペーストの製造方法である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明において前記第3の工程で前記低沸点有機溶媒を揮発させる温度が、前記低沸点有機溶媒の沸点以上で、かつ、前記高沸点有機溶媒の沸点以下であることを特徴とする金属ペーストの製造方法である。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明において前記低沸点有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノールのいずれか若しくは、その混合液であることを特徴する金属ペーストの製造方法である。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明において前記高沸点有機溶媒が、ターピネオール、ジヒドロターピネオールを含むことを特徴とする金属ペーストの製造方法である。
本発明の第7の発明は、第1から第6の発明において前記樹脂がエチルセルロース、ポリビニルブチラールであることを特徴とする金属ペーストの製造方法である。
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明において前記金属粉末がニッケル粉末であることを特徴とする金属ペーストの製造方法である。
本発明の第9の発明は、第1から第8の発明における金属粉末の評価方法において、
本発明の第1から第8に記載のいずれかの方法で製造された金属ペーストから、平滑な乾燥塗膜を得て、その乾燥塗布膜の表面の粗大粒子の含有量を評価することを特徴とする金属粉末の評価方法である。
本発明によれば、ニッケル粉末等の金属粉末を簡便な方法で金属ペーストに加工することが可能となる。また、本発明に係る金属ペーストの製造方法で得られた金属ペーストを用いることで金属粉末に含まれる粗大粒子の含有量などを簡便に評価することが可能となる。
実施例1に係るニッケルペーストの塗布後の乾燥面の走査型電子顕微鏡像である。 参考例に係るニッケルペーストの塗布後の乾燥面の走査型電子顕微鏡像である。
本発明に係る金属ペーストの製造方法は、金属粉末を沸点120℃以下の低沸点有機溶媒に分散さる分散処理を経て低沸点有機溶媒スラリーを得る第1の工程と、前記低沸点有機溶媒スラリーに沸点150℃以上の高沸点有機溶媒に樹脂を溶解させたビヒクルを加えた後に混合する第2の工程と、前記第2工程を経た後に、前記低沸点有機溶媒を揮発させて除去する低沸点有機溶媒除去処理を経て金属粉末ペーストを得る第3の工程を経ることを特徴とする。
本発明に係る金属粉末の製造方法をニッケルペーストの製造方法を例に説明し、さらに金属粉末の評価方法を得られたニッケルペーストでニッケル粉末に含まれる粗大粒子の評価方法を例に説明する。
(1)ニッケル粉末
ニッケル粉末は、湿式還元法、化学気相法、固相法で得られたニッケル粉末であって、特に限定されない。ニッケル粉末の平均粒径は、50%体積累積粒度で1μm以下または、走査型電子顕微鏡(以下、SEM)の観察像で面積平均粒径1μm以下である。なお、50%体積累積粒度は、マイクロトラック(登録商標)等のレーザー回折を利用した粒度分布計測定装置で測定することができる。
ニッケル粉末を湿式還元法で合成する一例として、還元反応で使用する水溶液の調製と、還元反応について説明する。
還元反応で使用する水溶液として3種類の水溶液を調製する。
水溶液Iは、ニッケル塩の水溶液で、ニッケル塩に由来するニッケルの化学種が含まれる。
水溶液IIはアルカリ性の水溶液である。
水溶液IIIは、ニッケル塩に由来するニッケルの化学種に対して還元作用を有する水溶液である。
以上の3種類の水溶液を用いた還元反応は、IからIIIの各水溶液を以下に示す順序で、混合することが望ましい。
水溶液IIと水溶液Iを予め混合し、その後水溶液IIIを混合する順序、水溶液IIと水溶液IIIを予め混合し、その後、水溶液Iを混合する順序、水溶液IIを分割し、水溶液Iおよび水溶液IIIに混合した後に、水溶液IIを混合した水溶液Iと水溶液IIを混合した水溶液IIIを混合する順序のいずれかが望ましい。
すなわち、最終的に水溶液Iと水溶液IIIが混合されれば良く、両者の混合で還元反応水溶液を形成できる。
水溶液I、水溶液II、水溶液IIIのいずれかに、ニッケルの化学種と錯イオンを形成する錯化剤が含まれていることが望ましい。
水溶液I、水溶液II、水溶液IIIを混合して得られる還元反応水溶液で、ニッケル粉末が合成される際にニッケルの化学種と錯イオンを形成する錯化剤が含まれていれば、錯化剤の目的は達成される。
この錯化剤を含ませることで、ニッケルの化学種から還元されるニッケル粉末の形状は制御できる。錯化剤を添加しない場合、ニッケルの化学種から合成されるニッケル粉末はウニの様なとげ状物を多方向に伸ばしたとげ状物が局所的に成長した粉末となる。ニッケルの化学種が錯化剤とニッケルの錯イオンを形成していれば、錯化剤の配位の効果によりニッケル粉末の成長が全方向に略一定となる。錯化剤の効果は、ニッケルの錯イオンからニッケルの水酸化物を経由してニッケル粉末を合成する場合も同様である。
使用する錯化剤としては、有機物ならば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基などを有し、ニッケルの化学種と錯体を形成する効果を有するものであればよく、エチレンジアミンなどのアミン類、蟻酸、酢酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などのカルボン酸類が挙げられる。また、無機物の錯化剤としてはアンモニアやシアンなどが挙げられる。
ニッケル粉末の粒径を制御するニッケルよりもイオン化傾向の小さい異種金属は、水溶液I、水溶液II、水溶液IIIのいずれかに含有させれば良く、その異種金属の水溶液または異種金属塩の形で加える。
ニッケルよりもイオン化傾向の小さい異種金属は、水溶液I、水溶液II、水溶液IIIが混合されて得られる還元反応水溶液で、微粒子を形成していれば、異種金属の添加目的は達成される。
これら異種金属は、ニッケルよりもイオン化傾向が小さいため、水溶液IIIに含まれる還元剤により、ニッケルの化学種よりも優先的に還元され、ニッケルの化学種から還元されて得られるニッケル粉末の核となる。
また、この異種金属の微粒子の数は、ニッケル粉末の核であるので、制御する必要がある。すなわち、異種金属のモル数を制御することで、ニッケルの化学種から還元されるニッケル粉末の粒径を制御することができる。
ニッケルよりもイオン化傾向の小さい異種金属としては、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、銅などの各元素が挙げられ、特にニッケルと固溶するパラジウム、銅などが適している。その他の元素のうち、ニッケルと固溶しない元素は、ニッケルと固溶するパラジウムや銅といった元素と固溶しながらパラジウムや銅を微細化する効果を有しているので添加することが望ましい。
異種金属の微粒子の凝集を抑制するために保護コロイド剤が、還元反応水溶液に含まれることが望ましい。
保護コロイド剤としては、異種金属の微粒子(例えば、パラジウムからなるコロイド粒子)を取り囲み、保護コロイドの形成に寄与するものであればよく、特にゼラチンが好ましいが、その他、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールなどを用いることもできる。
保護コロイド剤の添加量は、ニッケル質量100%に対して、0.0025〜0.2質量%が望ましい。理由としては、ニッケル中に有機化合物である分散剤が不純物として残留しやすいためである。
さらに、異種金属のコロイド状の微粒子を作製する際の温度は、特に制限されないが、50℃〜95℃が好ましく、特に60℃〜85℃が好ましく、極力撹拌されていることが望ましい。
加温する理由としては、保護コロイド剤のゼラチンの絡み合った高分子鎖が解され、所望の保護コロイド効果が発揮されやすいからである。また極力撹拌する理由としては、十分に撹拌されていない場合、微細な核が得られず、ニッケルの化学種から合成されるニッケル粉末の粒径が所望レベルに制御できないためである。
水溶液Iと水溶液IIIが混合されて得られる還元反応水溶液のpHは10以上であり、望ましくは12以上である。pHが10未満ではニッケルの化学種がニッケルに還元されにくくなるためである。
水溶液I、水溶液II、水溶液IIIが混合される前の温度は、室温付近25℃として、その後加温保持してもよいし、混合前にも加温して、その後、更に加温保持しても良い。
還元反応水溶液の温度が、50℃〜85℃になれば還元反応が進行してニッケルの化学種がニッケルまで還元される。
このように還元反応水溶液中で、ニッケルの化学種がニッケルまで還元されてニッケル粉末を生じる工程が、本発明におけるニッケル還元反応であり、その還元処理の進行に伴い、還元反応水溶液中のニッケルの化学種と還元剤が消費され、ニッケル粉末が還元反応水溶液中に合成される。
ニッケルよりもイオン化傾向が小さい異種金属の水溶液、ニッケル塩水溶液、還元剤、錯化剤が、混合される際の反応器は、回分式反応器、半回分式反応器もしくは流通管型反応器のいずれでもよい。
合成したニッケル粉末は、公知の固液分離方法により、液体を分離すると、50%体積累積粒度で1μm以下または、SEMの観察像で面積平均粒径1μm以下のニッケル粉末が得られる。
低沸点有機溶媒中でニッケル粉末が分散したスラリーを容易に調製するために、スラリー調製前に、ニッケル粉末は集塊が解砕された状態であることが望ましい。
解砕方法としては、乾式であれば旋回流式や衝突板式ジェットミル等が適しており、湿式であれば水とニッケル粉末を混合したスラリーを高圧にして対向式で衝突させる方式や衝突板に衝突させるタイプのジェットミル等が適している。湿式で分散処理したニッケル粉末は、再乾燥すると乾燥凝集してしまうため、極力水分を除去した後に有機溶媒で置換してやればよい。
(2)低沸点有機溶媒
ニッケル粉末と混合される沸点120℃以下の低沸点有機溶媒は、沸点120℃以下のアルコール類やケトン類等を用いることができる。このうち、アルコール類は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノールのいずれかが良く、特にエタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノールが望ましい。このようなアルコールであれば、沸点が120℃以下であり、有害性が低い。また、このようなアルコールは、導電ペーストのビヒクルに広く用いられるターピネオールとも相溶する。
また、低沸点有機溶媒は、20℃での粘度が10mPa・s以下が望ましい。粘度が10mPa・s以下ならば、低沸点有機溶媒スラリーの調製でニッケル粉末の分散処理が容易になるからである。
(3)樹脂
樹脂は、エチルセルロール等のセルロース類、ポリビニルブチラール樹脂などのアセタール樹脂類、アクリル樹脂等を用いることができる。これらのうち、金属ペーストをスクリーン印刷した後のスクリーンのメッシュ跡をなくすレべリング性等から、エチルセルロースが望ましい。
(4)高沸点有機溶媒
沸点150℃以上の高沸点有機溶媒は、エチルセルロースを溶解する点や、スクリーン印刷時の金属ペーストの作業性からターピネオール、ジヒドロターピネオールが望ましい。これらの高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上である。
(5)第1の工程
第1の工程は、低沸点有機溶媒スラリーの調製である。ニッケル粉末と低沸点有機溶媒とを混合し、ニッケル粉末が分散するまで分散処理し、ニッケル粉末の低沸点有機溶媒スラリーを得る。低沸点有機溶媒スラリーのニッケル粉末とアルコールの混合比率は、任意であるが、ニッケル粉末の分散しやすさとアルコール除去に必要な時間を考慮して、ニッケル粉末の濃度は3〜10g/mLが良い。
低沸点有機溶媒中でのニッケル粉末の分散処理は、ニッケル粉末と低沸点有機溶媒の混合液に超音波を照射することが望ましい。具体的には、超音波振動する超音波振動子を低沸点溶媒に接触させて超音波を照射する、または、前記ニッケル粉末と前記低沸点有機溶媒を入れた容器に液状の媒体を介して超音波の照射を行うことが好ましい。これらのうち、前記ニッケル粉末と前記低沸点有機溶媒を入れた容器に液状の媒体を介して超音波の照射を行うことがさらに好ましい。
低沸点溶媒に接触している超音波振動子は低沸点溶媒に圧力の粗密波を伝え、そこにキャビテーションと呼ばれる気泡の発生と消滅が生じる。この気泡が消滅する際に、低沸点有機溶媒に衝撃を与え、ニッケル粉末が低沸点有機溶媒に分散するのである。前記ニッケル粉末と前記低沸点有機溶媒を入れた容器に液状の媒体を介して超音波の照射を行う場合であっても、超音波により液状の媒体に生じたキャビテーションは、前記ニッケル粉末と前記低沸点有機溶媒を入れた容器に粗密波として伝搬し、前記容器内の低沸点有機溶媒にキャビテーションを発生させる。
また、前記ニッケル粉末と前記低沸点有機溶媒を入れた容器に液状の媒体を介して超音波の照射を行うことが好ましいのは、超音波振動子が低沸点有機溶媒と接触しない非接触式となり、超音波振動子が振動する際に、超音波振動子の破片が低沸点有機溶媒スラリーに混入することを防止するためである。低沸点有機溶媒スラリーに超音波振動子の破片が混入すると、粗大粒子としてカウントしてしまい粗大粒子の含有率が正確に算出できないことがある。
(6)第2の工程
樹脂と沸点が150℃以上の高沸点有機溶媒とを加熱・混合し樹脂が溶剤に溶解したビヒクルを用意する。また、ビヒクルを用意した後に高沸点有機溶媒を追加してビヒクルの希釈物を準備しても良い。樹脂と高沸点有機溶媒の混合比率は、重量割合で、樹脂:高沸点有機溶媒が5〜20:95〜80であることが適している。高沸点有機溶媒が多すぎると乾燥膜の強度が弱くなり、樹脂が多いと乾燥膜のニッケル粉末が樹脂に埋もれ、粗大粒子の含有量の評価用に撮影したSEM像のニッケル粉末が不鮮明になりやすいためである。以後、ビヒクルおよびビヒクルの希釈物をビヒクルと呼称する。
低沸点有機溶媒スラリーとビヒクルとを、混合することで、ビヒクルが低沸点有機溶媒と相溶する。なお、第2の工程で低沸点有機溶媒スラリーにビヒクルを加えながら加熱し混合してもよい。
(7)第3の工程
第3の工程は、第2の工程で得られた低沸点有機溶媒スラリーとビヒクルの混合物から低沸点有機溶媒を揮発させて除去する低沸点有機溶媒除去処理を行う。低沸点有機溶媒除去処理は、低沸点有機溶媒スラリーとビヒクルの混合物を撹拌しながら低沸点有機溶媒を除去することが望ましい。また、第2の工程で低沸点有機溶媒スラリーとビヒクルの混合物を得る過程で加熱しつつ、低沸点有機溶媒除去処理を行ってもよい。すなわち、第2の工程と第3の工程を同時に行なってもよい。
低沸点有機溶媒除去処理は、低沸点有機溶媒スラリーとビヒクルの混合物を加熱して、低沸点有機溶媒のみを気化除去する。この際の加熱温度は、低沸点有機溶媒の沸点よりも高く高沸点有機溶媒の沸点よりも低い温度が適しており、望ましくは、低沸点有機溶媒の沸点以上150℃未満が良い。
低沸点有機溶媒除去処理は、低沸点有機溶媒の臭気確認による判定もしくは低沸点有機溶媒が完全に除去された際の体積量を事前に調べておき、その体積レベルに到達した時とすれば良い。
低沸点有機溶媒除去が完了したら、熱源を取り外し、空冷し室温まで冷却しニッケル粉末と樹脂と高沸点溶媒からなるペーストを回収する。
(8)ニッケル粉末に含まれる粗大粒子の含有量の評価方法
第3の工程で得られたニッケル粉末のペーストをSEM(走査型電子顕微鏡)の試料台に塗布し、タッピングを何回か行い平滑な面が得られたら、ニッケル粉末のペーストを塗布した試料台を高沸点有機溶媒の沸点よりも高い温度に設定した乾燥機にて乾燥し、ニッケル粉末のペーストの乾燥面を得る。得られたニッケル粉末のペーストの乾燥面は目視で確認する限りでは平滑にすることができる。目視で平滑になっていることで、SEM観察で粗大粒子を発見しやすくなる。
また、ニッケル粉末のペーストの乾燥面は、ニッケル粉末の粒子がビヒクルに含まれる樹脂中に分散された状態になっている。
ニッケル粉末のペーストの乾燥面のSEM像を、画像解析して粗大粒子および全粒子数をカウントして粗大粒子の含有量を算出することで、ニッケル粉末に含まれる粗大粒子を評価することができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例で示す粗大粒子の含有量の評価方法は、以下に示す通りである。
(1)ニッケル粉末に含まれる粗大粒子の含有量の評価方法
SEMによって、試料台上に作製されたニッケル粉末のペーストの乾燥面を倍率5,000倍で20枚撮影した。その後、画像解析ソフト(Mac−View、株式会社マウンテック社製)を用いて、自動カウントプログラムにて写真中の全粒子をカウントし、長径が1.0μm以上を粗大粒子とした。その後、粗大粒子数を全粒子数で除して、粗大粒子の含有率を求めた。
(2)ニッケル粉末中の粗大粒子の元素分析
ニッケル粉末中で確認された粗大粒子は、SEMに付属しているエネルギー分散型X線装置(以下、EDX)で組成分析を行い、ニッケル粉末の元素と同じか確認を行った。
(実施例1)
第1の工程でエタノール30gと面積平均粒径0.3μmのニッケル粉末9gとを混合し、超音波ホモジナイザーの振動子(株式会社 日本精機製作所 US−150T)を混合液に直接挿入し、200μAの条件にて2min分散させ低沸点有機溶媒スラリーを得た。第2の工程で、エチルセルロース0.6gとターピネオール9.4gとを加熱し混合したビヒクルを用意し、第1の工程で得られた低沸点有機溶媒スラリーにビヒクルを加え撹拌しながら加熱して低沸点有機溶媒スラリーとビヒクルの混合物を得た。第3の工程の低沸点有機溶媒除去処理の加熱温度を110℃にしてエタノールを気化除去した。エタノールの臭気が絶えた時点でエタノールが除去できたと判断し、加熱を停止して室温まで冷却してニッケルペーストを回収した。得られたニッケルぺーストをヘラで混合した感触は、参考例で得られたニッケルペーストと同等レベルであった。
ニッケルペーストをSEM試料台に塗布し数回タッピングして平滑な面が得られたら、220℃の大気乾燥機に入れて乾燥させてニッケルペーストの乾燥面を得た後に、5,000倍のSEM像を20枚撮影し、粗大粒子の含有量を測定した。図1にSEM像を示す。
なお、EDXで粗大粒子の元素を確認した結果、実施例1に係るニッケルペーストの乾燥面には、超音波振動子と同じ元素の粗大粒子、すなわち超音波振動子の破片が確認された。
(実施例2)
第1の工程でエタノール30gと面積平均粒径0.3μmのニッケル粉末9gとを入れたガラス容器を超音波ホモジナイザーの振動子(株式会社 日本精機製作所 US−150T)が設置された水槽に配し、スラリーと超音波ホモジナイザーが直接接触しないようにし、200μAの条件にて5min分散させアルコールスラリーを得た以外は実施例1と同様に実施例2に係るニッケルペーストを得た。実施例2に係るニッケルぺーストをヘラで混合した感触は、参考例で得られたニッケルペーストと同等レベルであった。実施例2に係るニッケルペーストを用いてニッケル粉末に含まれる粗大粒子の含有量を測定した。
なお、EDXで粗大粒子の元素を確認した結果、実施例2に係るニッケルペーストの乾燥面には、超音波振動子と同じ元素の粗大粒子、すなわち超音波振動子の破片は確認されなかった。
(参考例)
実施例1に係るビヒクルに、面積平均粒径0.3μmのニッケル粉末9gとを三本ロールで混練してニッケルペーストを得た。その後、実施例1と同様の方法にて、粗大粒子の含有率を測定した。図2にSEM像を示す。

実施例1と2は、参考例とニッケル粉末に含まれる粗大粒子評価において同等レベルの結果が得られている。さらには、実施例2は、実施例1と比較して、参考例に近い結果が得られている。

Claims (9)

  1. 金属粉末を沸点120℃以下の低沸点有機溶媒中にて分散処理して低沸点有機溶媒スラリーを得る第1の工程と、
    前記低沸点有機溶媒スラリーに沸点150℃以上の高沸点有機溶媒に樹脂を溶解させたビヒクルを加えた後に混合する第2の工程と、
    前記第2工程を経た後に、前記低沸点有機溶媒を揮発させて除去する低沸点有機溶媒除去処理を経て金属粉末ペーストを得る第3の工程を経ることを特徴とする金属ペーストの製造方法。
  2. 前記分散処理が、前記低沸点有機溶媒に超音波を照射して前記金属粉末を分散させることを特徴とする請求項1に記載の金属ペーストの製造方法。
  3. 前記分散処理が、前記金属粉末と前記低沸点溶媒を入れた容器に液状の媒体を介して超音波の照射を行うことを特徴とする請求項2に記載の金属ペーストの製造方法。
  4. 前記第3の工程で前記低沸点有機溶媒を揮発させる温度が、前記低沸点有機溶媒の沸点以上で、かつ、前記高沸点有機溶媒の沸点以下であることを特徴とする請求項1から3に記載の金属ペーストの製造方法。
  5. 前記低沸点有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノールのいずれか若しくは、その混合液であることを特徴する請求項1から4に記載の金属ペーストの製造方法。
  6. 前記高沸点有機溶媒が、ターピネオール、ジヒドロターピネオールを含むことを特徴とする請求項1から5に記載の金属ペーストの製造方法。
  7. 前記樹脂がエチルセルロース、ポリビニルブチラールであることを特徴とする請求項1から6に記載の金属ペーストの製造方法。
  8. 前記金属粉末がニッケル粉末であることを特徴とする請求項1から7に記載の金属ペーストの製造方法。
  9. 金属粉末の評価方法において、
    請求項1から8に記載のいずれかの方法で製造された金属ペーストから、平滑な乾燥塗膜を得て、その乾燥塗布膜の表面の粗大粒子の含有量を評価することを特徴とする金属粉末の評価方法。
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