JP2004339613A - 抜染プリントパイル布帛の抜染方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛の製造方法で抜染処理のスチーム処理時間を短縮し、かつ白く抜染できる方法を提供する。
【解決手段】アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛を製造する場合に、高濃度に先染めしたパイル布帛に抜染剤を付与させた後、過飽和蒸気にて抜染スチーム処理を行う際に、スチーム処理室に一定量の飽和水蒸気を追加供給することを特徴とする抜染プリントパイル布帛の抜染方法。
【解決手段】アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛を製造する場合に、高濃度に先染めしたパイル布帛に抜染剤を付与させた後、過飽和蒸気にて抜染スチーム処理を行う際に、スチーム処理室に一定量の飽和水蒸気を追加供給することを特徴とする抜染プリントパイル布帛の抜染方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛に関する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛は、発色性、風合いに優れ、また、そのファッション性において人工毛皮等の衣料用途、ぬいぐるみ等の玩具用途に広く用いられている。
【0003】
こうしたアクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛は、先染めを行ったパイル布帛に抜染剤を印捺し、スチーム処理工程を通すことによって製造される(特許文献1)。このようなスチーム処理においては、一般的に、常圧で処理されるため、100℃以下の場合は飽和水蒸気、100℃を超える場合は過熱蒸気が用いられる。こうした方法では,染色したパイル布帛を完全に白く抜染するために、100℃以下の飽和水蒸気で処理する場合は、白く抜染出来るものの、所要時間が長くかかる、100℃以上の過熱蒸気で処理する場合は、比較的短時間で抜染が出来るが、完全に白くなり難いという課題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平06−257077公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛の製造における抜染処理のスチーム処理時間を短縮し、かつ白く抜染できる方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これら上記の点に臨み、本発明者らは鋭意検討した結果、アクリル系合成繊維からなる先染めを行った抜染プリントパイル布帛の抜染処理において、パイル布帛に抜染剤を印捺した後、100℃以上の温度でスチーム処理する場合、過熱蒸気が循環されている処理装置内に、一定量の飽和水蒸気を追加供給することで、飽和水蒸気単独で処理した場合と同様に、白く抜染が出来、且つ、処理時間も大幅に短縮可能であることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0007】
即ち、本発明は、先染めを行ったアクリル系合成繊維からなるプリントパイル布帛に抜染剤を印捺した後、過熱蒸気と飽和水蒸気の混合雰囲気下にて抜染スチーム処理を行う事を特徴とする抜染プリントパイル布帛の製造方法に関し、好ましくは、抜染スチーム処理する際に、過熱蒸気が循環されているスチーム処理室内に、一定量の飽和水蒸気を追加供給する事を特徴とする抜染プリントパイル布帛の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるパイル布帛とは、アクリロニトリル共重合体から得られるアクリル系合成繊維で構成されるものであって、該アクリロニトリル共重合体としては、重量分率で10%以上85%未満のアクリルニトリルを含有するものを指し、その他アクリロニトリルと共重合可能な他の単量体とアクリロニトリルの共重合体である。その他共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、酢酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル等のビニルハイライド類、塩化ビニリデン等のビニリデンハイライド類、スルホン酸化合物とその塩類等があり、これら2種類以上を共重合に用いることも可能である。
【0009】
また、アクリロニトリル共重合体の組成中に酸化アンチモン等の難燃性を向上させるための練り込み剤や酸化チタン等の艶消し剤、あるいは他の目的のために使用される練り込み剤が含有されていてもよい。これらの共重合体の重合方法は、通常知られているビニル系単量体の重合方法であればいずれでもよく、例えばレドックス触媒を用いた水相懸濁重合、溶液重合、あるいは乳化重合等が一般的に用いられているが、本発明はその重合方法及び重合条件によって何等限定されるものではない。
【0010】
また、本発明における先染めとは、抜染処理を実施する前に上記のアクリル系合成繊維材料を抜染用カチオン染料及び各種染色用助剤を用いて常法の浸染方式もしくは連染方式を用いて染色することである。本発明における抜染とは、白色抜染又は着色抜染のいずれでも構わないが、以下の実施例などにおける抜染性の評価においては白色抜染を意味し、ここでいう抜染性とは、抜染部分の白色の白度及び先染め部に白抜きされた模様の輪郭の鮮明さを意味する。本発明における抜染剤を付与する方法としては、キスロール法、パディング法、スプレー法あるいはロール捺染機、スクリーン捺染機等の印捺用機械を利用する方法、抜染剤を含む溶液中に加熱せずに浸漬した後セントル等の脱水機で絞る方法あるいは絞らずにおく方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。先染めした抜染プリントパイル布帛への抜染剤の付着量は、1%omf以上50%omf以下が好ましく、より好ましくは1%omf以上30%omf以下である。抜染剤の付着量が、50%omfを超えると本発明の製造方法によるー連の処理後の水洗を行わない場合に風合いが硬くなり好ましくない。抜染剤としては、塩化第一錫あるいはハイドロサルファイト、ヒドロキシメタンスルフィン酸(商品名デクロリン;BASF社製)、スルホキシル酸誘導体(商品名ロンガリット;BASF社製)がよく用いられるがこれらに限定されない。
【0011】
本発明においては、先染めしたパイル布帛に抜染剤を印捺した後、過熱蒸気と飽和水蒸気の混合雰囲気下にて抜染スチーム処理を行う事が重要である。過熱蒸気と飽和水蒸気の混合雰囲気下にて抜染スチーム処理を行う手段としては特に限定されないが、過熱蒸気で満たされたスチーム処理室に、飽和水蒸気を追加供給するのが好ましい。この場合、スチーム処理室において循環される過熱蒸気の温度は100〜130℃が好ましく、スチーム処理室に追加供給する飽和水蒸気量は、処理する布帛の重量の0.2〜10倍であるのが好ましく、0.2〜5倍がより好ましい。さらに詳細な好ましい抜染条件は、抜染されるアクリル系合成繊維のアクリロニトリルの含率により異なり、例えば、アクリロニトリルの含率が10〜65%未満のアクリル系合成繊維では、処理室に循環される過熱蒸気の温度は100℃〜110℃で、追加する飽和水蒸気量は布帛の0.5〜3倍量であるのがより好ましく、この場合、抜染処理時間は10分〜35分程度である。また、アクリロニトリル含率が65%以上のアクリル系合成繊維では循環される過飽和蒸気の温度は100℃〜130℃で、追加する飽和水蒸気量は処理する布帛の0.2〜2.0倍であるのがより好ましく、この場合、抜染処理時間は1分〜20分程度である。過熱蒸気によるスチーム処理では、処理温度が100℃より低い温度では効果が少なく、130℃より高い温度では布帛の黄変やへたり等の問題が生じ好ましくない。また、本発明の方法に処理後の水洗及び湯洗の条件は特に影響を与えない。
【0012】
以下に実施例、比較例により本発明を更に詳しく説明する。
【0013】
【実施例】
(実施例1)
アクリロニトリル(以下、ANという)50重量%、塩化ビニル(以下、VCLという)49重量%、スチレンスルホン酸ソーダ(以下、SSSという)1重量%を共重合させたアクリル系合成繊維を先染めし、縫製したパイル布帛を作製した。このとき、先染めの染料はDysterジャパン社製のAstrasonYellow 3Rと保土ヶ谷化学社製のCathion Red CD−FGLH,Cathilon Blue GHLを用いて下記の処方で調製したものを用いた。
【0014】
[染料処方]
Astrason Yellow 3R :2.1%omf
Cathion Red CD−FGLH :0.7%omf
Cathilon Blue GHL :1.7%omf
前記パイル布帛に、塩化第一錫を10%,Lamegamを40%,酒石酸0.5%,水50%含んだ抜染糊を100%omfの割合で塗布し、10(kg/時間)のスピードで、102℃にコントロールされた過熱蒸気が循環されるスチーム処理室に導き、更に、飽和水蒸気を20(kg/時間)の割合で供給し、10分、20分、30分,40分間のスチーム処理を行った後、水洗、乾燥した。その結果、約20分間で抜染処理が可能であることが判った。
【0015】
(比較例1)
実施例1と同様の抜染糊を塗布したパイル布帛を102℃の過熱蒸気のみで10分、20分、30分、40分の処理を行った後、水洗、乾燥した結果、抜染処理に約40分間と実施例1の倍の時間を所要した。
【0016】
実施例1と比較例1の結果を表1にまとめた。
【0017】
【表1】
(実施例2、比較例2)
ANを50重量%、VClを49重量%、SSSを1重量%を共重合させたアクリル系合成繊維のパイル布帛を、実施例1,比較例1と同様の条件でスチーム処理をする際に、抜染糊中の抜染剤(塩化錫)の濃度を変えて処理し、その効果を調べた結果、抜染剤の濃度が高いほうが、抜染速度は速いが、同じ抜染剤濃度の比較では、過熱蒸気に飽和水蒸気を追加供給した実施例のほうが比較例に比べて短時間で抜染が可能であった。結果を表2にまとめた。
【0018】
【表2】
(実施例3)
AN80重量%、酢酸ビニル20重量%を共重合させたアクリル系合成繊維のパイル布帛を実施例1と同様の方法で抜染剤を塗布し、実施例1と同様の条件でスチーム処理を行った。
【0019】
(比較例3)
AN80重量%、酢酸ビニル20重量%を共重合させたアクリル系合成繊維のパイル布帛を実施例1と同様の方法で抜染剤を塗布し、比較例1と同様のスチーム処理を行った。
【0020】
実施例3と比較例3を比べた結果、抜染剤を印捺した後、102℃で過熱蒸気の循環する処理室に飽和水蒸気を20kg/Hr追加供給して、スチーム処理した実施例3は約3分間で、抜染が可能であった。一方、比較例3では抜染に10分間所要した。結果を表3に整理した。
【0021】
【表3】
(比較例4)
実施例1同様のアクリル系構成繊維のパイル布帛に抜染剤を捺染した物を98℃の飽和水蒸気を50kg/Hrの割合で供給し、スチーム処理をした結果、抜染に約40分間所要した。実施例1と比較した結果を表4に整理した。
【0022】
【表4】
【0023】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られるアクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛のスチーム処理時間は、従来のものに比べ約1/2の処理時間で、抜染可能となり、風合いの変化等の問題がなく良好な品質の抜染パイル布帛が効率的に得られる。
【産業上の利用分野】
本発明は、アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛に関する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛は、発色性、風合いに優れ、また、そのファッション性において人工毛皮等の衣料用途、ぬいぐるみ等の玩具用途に広く用いられている。
【0003】
こうしたアクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛は、先染めを行ったパイル布帛に抜染剤を印捺し、スチーム処理工程を通すことによって製造される(特許文献1)。このようなスチーム処理においては、一般的に、常圧で処理されるため、100℃以下の場合は飽和水蒸気、100℃を超える場合は過熱蒸気が用いられる。こうした方法では,染色したパイル布帛を完全に白く抜染するために、100℃以下の飽和水蒸気で処理する場合は、白く抜染出来るものの、所要時間が長くかかる、100℃以上の過熱蒸気で処理する場合は、比較的短時間で抜染が出来るが、完全に白くなり難いという課題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平06−257077公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛の製造における抜染処理のスチーム処理時間を短縮し、かつ白く抜染できる方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これら上記の点に臨み、本発明者らは鋭意検討した結果、アクリル系合成繊維からなる先染めを行った抜染プリントパイル布帛の抜染処理において、パイル布帛に抜染剤を印捺した後、100℃以上の温度でスチーム処理する場合、過熱蒸気が循環されている処理装置内に、一定量の飽和水蒸気を追加供給することで、飽和水蒸気単独で処理した場合と同様に、白く抜染が出来、且つ、処理時間も大幅に短縮可能であることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0007】
即ち、本発明は、先染めを行ったアクリル系合成繊維からなるプリントパイル布帛に抜染剤を印捺した後、過熱蒸気と飽和水蒸気の混合雰囲気下にて抜染スチーム処理を行う事を特徴とする抜染プリントパイル布帛の製造方法に関し、好ましくは、抜染スチーム処理する際に、過熱蒸気が循環されているスチーム処理室内に、一定量の飽和水蒸気を追加供給する事を特徴とする抜染プリントパイル布帛の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるパイル布帛とは、アクリロニトリル共重合体から得られるアクリル系合成繊維で構成されるものであって、該アクリロニトリル共重合体としては、重量分率で10%以上85%未満のアクリルニトリルを含有するものを指し、その他アクリロニトリルと共重合可能な他の単量体とアクリロニトリルの共重合体である。その他共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、酢酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル等のビニルハイライド類、塩化ビニリデン等のビニリデンハイライド類、スルホン酸化合物とその塩類等があり、これら2種類以上を共重合に用いることも可能である。
【0009】
また、アクリロニトリル共重合体の組成中に酸化アンチモン等の難燃性を向上させるための練り込み剤や酸化チタン等の艶消し剤、あるいは他の目的のために使用される練り込み剤が含有されていてもよい。これらの共重合体の重合方法は、通常知られているビニル系単量体の重合方法であればいずれでもよく、例えばレドックス触媒を用いた水相懸濁重合、溶液重合、あるいは乳化重合等が一般的に用いられているが、本発明はその重合方法及び重合条件によって何等限定されるものではない。
【0010】
また、本発明における先染めとは、抜染処理を実施する前に上記のアクリル系合成繊維材料を抜染用カチオン染料及び各種染色用助剤を用いて常法の浸染方式もしくは連染方式を用いて染色することである。本発明における抜染とは、白色抜染又は着色抜染のいずれでも構わないが、以下の実施例などにおける抜染性の評価においては白色抜染を意味し、ここでいう抜染性とは、抜染部分の白色の白度及び先染め部に白抜きされた模様の輪郭の鮮明さを意味する。本発明における抜染剤を付与する方法としては、キスロール法、パディング法、スプレー法あるいはロール捺染機、スクリーン捺染機等の印捺用機械を利用する方法、抜染剤を含む溶液中に加熱せずに浸漬した後セントル等の脱水機で絞る方法あるいは絞らずにおく方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。先染めした抜染プリントパイル布帛への抜染剤の付着量は、1%omf以上50%omf以下が好ましく、より好ましくは1%omf以上30%omf以下である。抜染剤の付着量が、50%omfを超えると本発明の製造方法によるー連の処理後の水洗を行わない場合に風合いが硬くなり好ましくない。抜染剤としては、塩化第一錫あるいはハイドロサルファイト、ヒドロキシメタンスルフィン酸(商品名デクロリン;BASF社製)、スルホキシル酸誘導体(商品名ロンガリット;BASF社製)がよく用いられるがこれらに限定されない。
【0011】
本発明においては、先染めしたパイル布帛に抜染剤を印捺した後、過熱蒸気と飽和水蒸気の混合雰囲気下にて抜染スチーム処理を行う事が重要である。過熱蒸気と飽和水蒸気の混合雰囲気下にて抜染スチーム処理を行う手段としては特に限定されないが、過熱蒸気で満たされたスチーム処理室に、飽和水蒸気を追加供給するのが好ましい。この場合、スチーム処理室において循環される過熱蒸気の温度は100〜130℃が好ましく、スチーム処理室に追加供給する飽和水蒸気量は、処理する布帛の重量の0.2〜10倍であるのが好ましく、0.2〜5倍がより好ましい。さらに詳細な好ましい抜染条件は、抜染されるアクリル系合成繊維のアクリロニトリルの含率により異なり、例えば、アクリロニトリルの含率が10〜65%未満のアクリル系合成繊維では、処理室に循環される過熱蒸気の温度は100℃〜110℃で、追加する飽和水蒸気量は布帛の0.5〜3倍量であるのがより好ましく、この場合、抜染処理時間は10分〜35分程度である。また、アクリロニトリル含率が65%以上のアクリル系合成繊維では循環される過飽和蒸気の温度は100℃〜130℃で、追加する飽和水蒸気量は処理する布帛の0.2〜2.0倍であるのがより好ましく、この場合、抜染処理時間は1分〜20分程度である。過熱蒸気によるスチーム処理では、処理温度が100℃より低い温度では効果が少なく、130℃より高い温度では布帛の黄変やへたり等の問題が生じ好ましくない。また、本発明の方法に処理後の水洗及び湯洗の条件は特に影響を与えない。
【0012】
以下に実施例、比較例により本発明を更に詳しく説明する。
【0013】
【実施例】
(実施例1)
アクリロニトリル(以下、ANという)50重量%、塩化ビニル(以下、VCLという)49重量%、スチレンスルホン酸ソーダ(以下、SSSという)1重量%を共重合させたアクリル系合成繊維を先染めし、縫製したパイル布帛を作製した。このとき、先染めの染料はDysterジャパン社製のAstrasonYellow 3Rと保土ヶ谷化学社製のCathion Red CD−FGLH,Cathilon Blue GHLを用いて下記の処方で調製したものを用いた。
【0014】
[染料処方]
Astrason Yellow 3R :2.1%omf
Cathion Red CD−FGLH :0.7%omf
Cathilon Blue GHL :1.7%omf
前記パイル布帛に、塩化第一錫を10%,Lamegamを40%,酒石酸0.5%,水50%含んだ抜染糊を100%omfの割合で塗布し、10(kg/時間)のスピードで、102℃にコントロールされた過熱蒸気が循環されるスチーム処理室に導き、更に、飽和水蒸気を20(kg/時間)の割合で供給し、10分、20分、30分,40分間のスチーム処理を行った後、水洗、乾燥した。その結果、約20分間で抜染処理が可能であることが判った。
【0015】
(比較例1)
実施例1と同様の抜染糊を塗布したパイル布帛を102℃の過熱蒸気のみで10分、20分、30分、40分の処理を行った後、水洗、乾燥した結果、抜染処理に約40分間と実施例1の倍の時間を所要した。
【0016】
実施例1と比較例1の結果を表1にまとめた。
【0017】
【表1】
(実施例2、比較例2)
ANを50重量%、VClを49重量%、SSSを1重量%を共重合させたアクリル系合成繊維のパイル布帛を、実施例1,比較例1と同様の条件でスチーム処理をする際に、抜染糊中の抜染剤(塩化錫)の濃度を変えて処理し、その効果を調べた結果、抜染剤の濃度が高いほうが、抜染速度は速いが、同じ抜染剤濃度の比較では、過熱蒸気に飽和水蒸気を追加供給した実施例のほうが比較例に比べて短時間で抜染が可能であった。結果を表2にまとめた。
【0018】
【表2】
(実施例3)
AN80重量%、酢酸ビニル20重量%を共重合させたアクリル系合成繊維のパイル布帛を実施例1と同様の方法で抜染剤を塗布し、実施例1と同様の条件でスチーム処理を行った。
【0019】
(比較例3)
AN80重量%、酢酸ビニル20重量%を共重合させたアクリル系合成繊維のパイル布帛を実施例1と同様の方法で抜染剤を塗布し、比較例1と同様のスチーム処理を行った。
【0020】
実施例3と比較例3を比べた結果、抜染剤を印捺した後、102℃で過熱蒸気の循環する処理室に飽和水蒸気を20kg/Hr追加供給して、スチーム処理した実施例3は約3分間で、抜染が可能であった。一方、比較例3では抜染に10分間所要した。結果を表3に整理した。
【0021】
【表3】
(比較例4)
実施例1同様のアクリル系構成繊維のパイル布帛に抜染剤を捺染した物を98℃の飽和水蒸気を50kg/Hrの割合で供給し、スチーム処理をした結果、抜染に約40分間所要した。実施例1と比較した結果を表4に整理した。
【0022】
【表4】
【0023】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られるアクリル系合成繊維からなる抜染プリントパイル布帛のスチーム処理時間は、従来のものに比べ約1/2の処理時間で、抜染可能となり、風合いの変化等の問題がなく良好な品質の抜染パイル布帛が効率的に得られる。
Claims (2)
- 先染めしたパイル布帛に抜染剤を印捺した後、過熱蒸気と飽和水蒸気の混合雰囲気下にて抜染スチーム処理を行う事を特徴とする抜染プリントパイル布帛の製造方法。
- 抜染スチーム処理時に過熱蒸気で満たされたスチーム処理室に、処理する布帛の重量の0.2〜10倍の飽和水蒸気を追加供給することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003134156A JP2004339613A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 抜染プリントパイル布帛の抜染方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003134156A JP2004339613A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 抜染プリントパイル布帛の抜染方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004339613A true JP2004339613A (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=33524798
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003134156A Pending JP2004339613A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 抜染プリントパイル布帛の抜染方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004339613A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101024629B1 (ko) | 2009-03-12 | 2011-03-25 | 박춘배 | 발염처리에 의한 구제문양이 표현되는 발염 직물의 제조방법 및 위 제조방법에 의해 제조되는 발염 직물 |
KR101297631B1 (ko) | 2013-04-09 | 2013-08-19 | 김건중 | 자가드 원단 및 그 제조방법 |
US20150240386A1 (en) * | 2012-09-24 | 2015-08-27 | Kaneka Corporation | Pile fabric and method for manufacturing the same |
JP2019178468A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | ブラザー工業株式会社 | 抜染装置及び抜染方法 |
JP2019178467A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | ブラザー工業株式会社 | 抜染装置及び抜染方法 |
-
2003
- 2003-05-13 JP JP2003134156A patent/JP2004339613A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20150240386A1 (en) * | 2012-09-24 | 2015-08-27 | Kaneka Corporation | Pile fabric and method for manufacturing the same |
US9702061B2 (en) * | 2012-09-24 | 2017-07-11 | Kaneka Corporation | Method for manufacturing pile fabric |
KR101297631B1 (ko) | 2013-04-09 | 2013-08-19 | 김건중 | 자가드 원단 및 그 제조방법 |
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JP7124393B2 (ja) | 2018-03-30 | 2022-08-24 | ブラザー工業株式会社 | 抜染装置及び抜染方法 |
JP7124392B2 (ja) | 2018-03-30 | 2022-08-24 | ブラザー工業株式会社 | 抜染装置及び抜染方法 |
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