JP2004281969A - 面発光型半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】n型GaAs基板11上に積層されたn型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜13、アンドープAl0.12Ga0.88As量子井戸層とアンドープAl0.3Ga0.7As障壁層とからなる量子井戸活性層15、p型AlAs層19の電流注入領域以外の領域19aを酸化してなる電流狭窄層およびp型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜21を備えてなる面発光型半導体レーザ素子において、活性層15と電流狭窄層との間に、アンドープInGaAsP引張り歪スペーサ層17を設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光型半導体レーザ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、短距離高速通信用の光リンクの光源としては、GaAs基板上に作製した発振波長850nmのAlGaAs系の面発光型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)が用いられている。この波長帯の半導体レーザ素子が用いられている理由は、主に、AlGaAs系の材料であって作製し易く、かつ現在主に用いられている石英ファイバの伝搬損失が低いためである。
【0003】
一方、家庭や装置内、装置間、自動車等の短距離通信では、コア径が大きく安価で取り扱いが容易なPOF(Plastic Optical Fiber)を用いることが可能になってきている。POFは、コア直径が100〜1000μmと大きいため、アライメントが容易で送受信モジュールやファイバコネクタを安価にすることができる。先端加工や施工の容易さもPOFの特徴である。
【0004】
POFの素材としてはPMMAが一般的である。PMMA−POFの低損失な波長域は限定され、特に高速な通信が可能な半導体レーザが実現されている波長として、650、780、850nmの3波長に限定される。中でも、780nmと850nmでは、共振器形成から動作試験までをウェハレベルで実施でき、光ファイバとの結合が容易なVCSELを光源として用いることが可能である。VCSELとしては、850nmの素子の方が製造し易く、780nmでは850nmの素子と比較して信頼性が低下する傾向があると言われている。しかし、780nm帯の素子の方が、850nm帯の素子よりPMMA−POFの損失が低く、より長距離の伝送が可能である。
【0005】
そこで、このような780nm帯の信頼性低下を改善するため、Alを活性領域に含まない短波長域のリッジ構造のVCSELが提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記文献1には、短波長化を実現するために、活性領域にAlを含むAlGaAsを用いると、結晶成長や素子製造プロセスでのAlGaAsへの酸素の混入による非発光再結合センターの増加により、レーザ発振効率の低下を招くとして、活性領域にAlを含まないGaAs量子井戸とGaInP障壁層とを導入している。ここで、GaAsPはGaAs基板を格子整合しないため引張り歪となるが、GaInPを圧縮歪としてトータルの歪を低減している。
【0006】
一方、Fabry−Perot共振器を有する端面発光型のストライプレーザは、CDやCD−Rの光源として、AlGaAsを活性領域に用いたものが広く用いられており、最近ではCD−R等の記録速度の向上のために150mWを超える高出力の素子も用いられるようになっている。端面発光型のストライプレーザの信頼性は活性層にAlを含まない素子が有利であることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。端面発光型レーザの信頼性は、へき開端面の安定性に依存しており、端面は酸化され易いことが最も大きな原因と考えられる。そこで、更に、短波長のAlGaInP系半導体レーザでは、端面の光吸収を抑制したNAM(Non−Absorbing Mirror)構造が高出力レーザでは一般的に用いられている。ところが、最近の結晶成長装置や原材料の純度向上により、AlGaAs結晶の品位は極めて高く、結晶品位が劣化の第一原因とは考え難い。また、VCSELはへき開端面を有しないため、端面起因の劣化もない。ただし、上記特許文献1に記載されているようなリッジ型のVCSELでは活性領域がエッチングで除去されるため、この表面での酸化の影響がある可能性がある。これに対して最近では活性領域をエッチング除去しないイオン注入型や選択酸化型のVCSELが一般的となっている。前者は、活性領域上部までプロトン等をイオン注入して絶縁化して電流を中央の発振領域に狭窄する。後者は、積層したAlAsあるいは高Al組成のAlGaAsを周囲から選択酸化することにより絶縁化して電流狭窄を行う。この際周囲をエッチング除去する必要があるが、エッチングで活性層が露出した部分から電流狭窄する選択酸化部が奥深くまで存在するため、活性層露出部での非発光再結合の影響はほとんど無い。また、選択酸化のためのエッチングを活性層上部で止めて、活性層を露出させないプロセスあるいは構造をとることも可能である。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−1017153号公報
【0008】
【非特許文献1】
D.Botez、Proceeding of SPIE、1999、Vol.3628、p.7
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなVCSEL構造においてもAlGaAsを活性層に用いた場合、780nmと850nmとでは、Alを多く含むAlGaAs活性層を有する780nmの素子のほうが、素子劣化が早いという問題がある。
【0010】
また、現在主流になりつつある選択酸化型の電流狭窄構造を有する素子では、AlAsや高Al組成のAlGaAsを、側面エッチングで露出した部分から選択的に電流注入領域以外の領域を酸化させて電流狭窄層を形成するが、酸化された層はAl2O3等を含み、周辺の結晶と結晶状態が異なるため周辺の結晶へ歪を生じさせる。また、電流狭窄層を半導体層の電流注入領域以外の領域にイオン注入して形成した場合においても、注入量やイオンの加速電圧等のプロセス条件によって結晶性が劣化し歪を有する。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて、信頼性の高い面発光型半導体レーザ素子を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の面発光型半導体レーザ素子は、GaAs基板上に下部半導体多層膜からなる光共振器ミラー、活性層、選択酸化型あるいはイオン注入型の電流狭窄層および上部半導体多層反射膜からなる光共振器ミラーをこの順に積層してなる半導体層と、活性層に電流を注入する一対の電極とを備えてなり、半導体層の積層面に平行な端面から光を発する面発光型半導体レーザ素子において、活性層と上部半導体多層反射膜との間に、電流狭窄層の歪を補償する歪補償層を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
なお、歪補償層は、活性層と電流狭窄層のとの間に設けられていてもよいし、電流狭窄層と上部半導体多層反射膜との間に設けられていてもよいし、電流狭窄層の上下に設けられていてもよい。活性層と電流狭窄層との間に設けられている方が、活性層に近い領域で歪が補償された状態となるので好ましい。
【0014】
あるいは、選択酸化型の電流狭窄層の場合、電流狭窄層が複数の選択酸化された層からなり、歪補償層が、該複数の選択酸化された層に挟まれた領域に設けられている構造であってもよい。すなわち選択酸化した後、複数の選択酸化された層の合計歪が選択酸化された層の間に設けられた歪補償層で補償されている構造である。この場合、電流狭窄層が単層の選択酸化された層からなる場合より、電流狭窄層全体の厚さを薄くすることができるので、歪補償を効果的に行うことができる。
【0015】
歪補償層は、InGaP、InGaAsP、AlGaInAsP、AlGaInP、GaAsPおよびAlGaAsPの少なくとも1つからなることが望ましい。
【0016】
レーザ光の発振波長帯は730nmから820nmまでの範囲であることが望ましい。さらには、770nmから800nmまでの範囲であることが望ましい。
【0017】
前記「電流狭窄層の歪を補償する」とは、電流狭窄層の歪と逆の歪を有し、電流狭窄層の歪を打ち消すことを示す。
【0018】
【発明の効果】
本発明の面発光型半導体レーザ素子によれば、活性層と上部半導体多層反射膜との間に電流狭窄層の歪を補償する歪補償層を設けることにより、電流狭窄層の結晶性変化による歪を補償することができるので、歪が活性層へ影響を及ぼすのを防止することができ、高い信頼性を得ることができる。
【0019】
歪補償層として、InGaP、InGaAsP、GaAsP、AlGaInAsP、AlGaInPおよびAlGaAsPの少なくとも1つからなるものとすることにより、良好に電流狭窄層の歪を補償することができる。上記組成においては、引張り歪を有するGaAsPおよびAlGaAsPを除き、元素の組成比を調整することにより圧縮歪または引張り歪のどちらにもすることができる。また、InGaP、InGaAsP、GaAsP等のAlを含まない組成とすれば、バンドギャップの大きいAl元素を含まないので、キャリアを効率良く活性層に注入するために良好なバンドギャップを有するため、良好なレーザ特性を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
本発明の第1の実施の形態の面発光型半導体レーザについて製造方法と共に説明する。その半導体レーザの断面図を図1に示す。
【0022】
本実施の形態の面発光型半導体レーザは、図1に示すように、n型GaAs基板11上に、n型GaAsバッファ層12(厚さ200nm、Si=1×1018cm−3)、n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜13(1/4波長相当の厚みの高反射膜と低反射膜を1周期として39.5周期積層したもの、Si=1×1018cm−3)、アンドープAl0.6Ga0.4Asスペーサ層14、アンドープAl0.12Ga0.88As量子井戸層(10nmを3層、発振波長780nm)とアンドープAl0.3Ga0.7As障壁層(厚さ5nmの層を2層)とからなる量子井戸活性層15、アンドープAl0.6Ga0.4Asスペーサ層16、アンドープInGaAsP引張り歪スペーサ層17、p型Al0.6Ga0.4Asスペーサ層18(C=8×1017cm−3)、p型AlAs層19(1/4波長相当の厚み、C=2×1018cm−3)、p型Al0.6Ga0.4Asスペーサ層20、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜21(1/4波長相当の厚みの高反射膜と低反射膜を1周期として29周期積層したもの、C=2×1018cm−3)、およびp型GaAsコンタクト層22(厚さ10nm、C=5×1019cm−3)を順次MOCVD法により積層する。
【0023】
次に、p型GaAsコンタクト層22を発光領域の上部をエッチング除去する。発振領域を形成するために、直径55μm(r2)の円柱状の領域を残し、その周辺を下部半導体多層反射膜13の一部まで除去する。加熱水蒸気を導入した炉中にて熱処理(390℃、10分間)することにより、p型AlAs層19の電流注入領域以外の領域19aを選択酸化して電流狭窄層を形成し、直径15μm(r1)の非酸化領域、すなわち電流注入領域を形成する。エッチングで円柱状に残した領域上にSiO2による保護膜23を形成し、電流注入領域の保護膜23を除去し、Ti/Pt/Auをこの順に積層してなるp側電極24を形成する。次にn型GaAs基板11の裏面にAuGe/Ni/Auをこの順に積層してなるn側電極25を形成する。
【0024】
上記のようにして作製された本実施の形態の面発光型半導体レーザ素子は、GaAs基板上にn型GaAsバッファ層12、n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜13、アンドープAl0.6Ga0.4Asスペーサ層14、アンドープAl0.12Ga0.88As量子井戸層とアンドープAl0.3Ga0.7As障壁層とからなる量子井戸活性層15、アンドープAl0.6Ga0.4Asスペーサ層16、アンドープInGaAsP引張り歪スペーサ層17、p型Al0.6Ga0.4Asスペーサ層18、p型AlAs層19の電流注入領域以外の領域19aを酸化してなる電流狭窄層、p型Al0.6Ga0.4Asスペーサ層20、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜21およびp型GaAsコンタクト層22をこの順に積層してなる半導体層と、一対の電極(n側電極25とp側電極24)とを備えてなり、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜21の表面からレーザ光を発するものである。n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜13およびp型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜21はそれぞれ光共振器ミラーであり、2つのミラーで光共振器を構成している。
【0025】
本実施の形態においては、アンドープInGaAsP引張り歪スペーサ層17により、p型AlAs層19の選択酸化により形成された電流狭窄層の圧縮歪を補償することができるので、歪が活性層に伝わるのを防止することができる。
【0026】
活性層は、AlGaAsとしたが、GaAsに格子整合するInGaAsPからなるものとしてもよい。
【0027】
また、GaAs基板裏面にn側電極を形成したが、円柱状の領域を形成するためにエッチングする際にn型層の一部までエッチングして、エッチングにより露出されたn型層上にn側電極を形成してもよい。例えば、本実施の形態では、露出した、n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜13上にn側電極を形成してもよい。
【0028】
スペーサ層は、下部半導体多層反射膜と上部半導体多層反射膜とで挟まれた層の光学的な厚みを調整して、定在波の腹の部分が活性層と重なるように設定することにより、低しきい値化することができる。
【0029】
p型Al0.5Ga0.5Asスペーサ層18およびp型Al0.5Ga0.5Asスペーサ層20の間にAlAs層19を配置して、このAlAs層19を酸化することにより、AlAs層とAlGaAs層との界面での選択酸化特性が良好であるので、高精度な電流狭窄を行うことができる。
【0030】
また、MOCVD法による結晶成長を用いて説明したが、固体あるいはガスソースを使ったMBE法を用いることもできる。
【0031】
また、量子井戸の層数は3個としたが、1個の単一量子井戸でも2個以上の多重量子井戸でもよい。またさらに、量子井戸の数をn個として、障壁層の数をn+1個としてもよい。
【0032】
また、保護膜としては、SiO2以外に、Al2O3、またはSixNy等を用いることが可能である。
【0033】
また、p側電極としてはCr/Auをこの順に積層してなるもの、AuZn/Auをこの順に積層してなるもの等、n側電極としてはAuGe/Auをこの順に積層してなるもの等を用いることもできる。
【0034】
また、電流狭窄構造として、p型AlAs層19の電流注入領域以外の領域を酸化させる選択酸化型を示したが、電流注入領域以外の領域にプロトンイオン等の注入することによる電流狭窄構造を有する素子においても、同様に本発明を適用することにより、電流狭窄層から活性層へかかる歪を補償することができる。
【0035】
また、選択酸化により形成される電流狭窄層は1層としたが、複数のAlAs層を設け、AlAs層の間にアンドープInGaAsP引張り歪スペーサ層が配置されるように設けて、複数のAlAs層が選択酸化されてなる電流狭窄層の合計歪を、アンドープInGaAsP引張り歪スペーサ層によって補償するようにしてもよい。
【0036】
本実施の形態では、発光領域が円柱状に突出した形状としたが、図2に示すように、例えば内径(r2)55μm、外径(r3)85μmのドーナツの溝を形成して、溝外側の高さと発光領域を有する面の円柱状の領域高さが同じになるような素子としてもよい。これにより、その後の製造工程での取扱い、素子を実装する際のワイヤボンディング等に有利となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、発光領域が1つの場合について説明したが、1素子内に複数の円柱状の発光領域を有する素子としてもよい。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態の半導体レーザについて製造方法と共に説明する。その半導体レーザの断面図を図3に示す。
【0039】
本実施の形態による半導体レーザは、図3に示すように、n型GaAs基板31上に、n型GaAsバッファ層32(厚さ120nm、Si=1×1018cm−3)、n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜33(1/4波長相当の厚みの高反射膜と低反射膜を1周期として40.5周期積層したもの、Si=1×1018cm−3)、アンドープInGaPスペーサ層34、アンドープInGaAsP量子井戸層(8nmを4層、発振波長780nm)とアンドープInGaP障壁層(厚さ5nmの層を3層)とからなる量子井戸活性層35、アンドープInGaPスペーサ層36、アンドープ引張り歪InGaPスペーサ層37、p型AlAs層38(1/4波長相当の厚み、C=2×1018cm−3)、p型Al0.5Ga0.5Asスペーサ層39、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜40(1/4波長相当の厚みの高反射膜と低反射膜を1周期として29周期積層したもの、C=2×1018cm−3)、およびp型GaAsコンタクト層41(厚さ10nm、C=1×1020cm−3)を順次MOCVD法により積層する。
【0040】
次に、p型コンタクト層41を発光領域の上部をエッチング除去する。発振領域を形成するために、直径30μmの円柱状の領域を残し、その周辺をアンドープ引張り歪InGaPスペーサ層37が露出するまで除去する。加熱水蒸気を導入した炉中にて熱処理(390℃、8分間)することにより、p型AlAs層38の電流注入領域以外の領域38aを選択酸化して電流狭窄層を形成し、直径8μm(r1)の非酸化領域、すなわち電流注入領域を形成する。エッチングで円柱状に形成した領域上にSiO2による保護膜42を形成し、発光領域に対応する領域の保護膜42を除去し、Ti/Pt/Auをこの順に積層してなるp側電極43、AuGe/Ni/Auをこの順に積層してなるn側電極44を形成する。
【0041】
上記のようにして作製された本実施の形態の面発光型半導体レーザ素子は、n型GaAs基板31上にn型GaAsバッファ層32、n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜33、アンドープInGaPスペーサ層34、アンドープInGaAsP量子井戸層とアンドープInGaP障壁層とからなる量子井戸活性層35、アンドープInGaPスペーサ層36、アンドープ引張り歪InGaPスペーサ層37、p型AlAs層38の電流注入領域以外の領域38aを酸化させてなる電流狭窄層、p型Al0.5Ga0.5Asスペーサ層39、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜40およびp型GaAsコンタクト層41をこの順に積層してなる半導体層と、一対の電極(n側電極44とp側電極43)とを備えてなり、p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜40の表面からレーザ光を発するものである。n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜33およびp型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜40はそれぞれ光共振器ミラーであり、2つのミラーで光共振器を構成している。
【0042】
本実施の形態における面発光型半導体レーザ素子においても、上記第1の実施の形態の面発光型半導体レーザ素子と同様に、アンドープ引張り歪InGaPスペーサ層37により選択酸化により形成された電流狭窄層の圧縮歪を補償することができるので、活性層は電流狭窄層の歪の影響を受けることがないため、高い信頼性を得ることができる。
【0043】
上記2つの実施の形態において、歪補償層として、引張り歪InGaPを用いたが、InGaAsP、AlGaInAsP、AlGaInP、GaAsPおよびAlGaAsPの少なくとも1つからなるものであってもよい。なお、電流狭窄層の歪に応じて、上記半導体から電流狭窄層の歪と逆の歪を有する組成のものとする。また、Alを含有するものにおいては、電子障壁となるようなバンドギャップにならない程度のAl含有量とすることが望ましい。
【0044】
上記2つの実施の形態による面発光型半導体レーザ素子によれば、POFの低伝搬損失波長域である780nm帯域において、高い信頼性を実現することができる。
【0045】
また、活性層の組成をAlGaAsあるいはInGaAsPとし適当な元素組成比とすることにより、発振波長を730〜820nmの範囲、さらには770〜800nm帯の波長域で選択することが可能であり、これらの素子においても本発明を適用することにより高い信頼性を得ることができる。
【0046】
また、本発明の面発光型半導体レーザ素子によれば、性能および量産性に優れた選択酸化型あるいはイオン注入型の電流狭窄構造を有するVCSELにおいて高信頼性化することができることから、自動車、家庭、HDTV等における1Gbpsを超える高速光ファイバー通信の実用化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による面発光型半導体レーザ素子の断面図
【図2】第1の実施の形態による面発光型半導体レーザ素子の変形例を示す断面図
【図3】本発明の第2の実施の形態による面発光型半導体レーザ素子の断面図
【符号の説明】
11 n型GaAs基板
12 n型GaAsバッファ層
13 n型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As下部半導体多層反射膜
14 アンドープInGaPスペーサ層
15 アンドープAl0.12Ga0.88As量子井戸層とアンドープAl0.3Ga0.7As障壁層とからなる量子井戸活性層
16 アンドープAl0.6Ga0.4Asスペーサ層
17 アンドープInGaAsP引張り歪スペーサ層
18 p型Al0.6Ga0.4Asスペーサ層
19 p型AlAs層
19a 電流狭窄層
20 p型Al0.6Ga0.4Asスペーサ層
21 p型Al0.9Ga0.1As/Al0.3Ga0.7As上部半導体多層反射膜
22 p型GaAsコンタクト層
23 SiO2保護膜
24 Ti/Pt/Auからなるp側電極
25 AuGe/Ni/Auからなるn側電極
Claims (5)
- GaAs基板上に下部半導体多層膜からなる光共振器ミラー、活性層、選択酸化型あるいはイオン注入型の電流狭窄層および上部半導体多層反射膜からなる光共振器ミラーをこの順に積層してなる半導体層と、前記活性層に電流を注入する一対の電極とを備えてなり、前記半導体層の積層面に平行な端面から光を発する面発光型半導体レーザ素子において、
前記活性層と前記上部半導体多層反射膜との間に、前記電流狭窄層の歪を補償する歪補償層を設けたことを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。 - 前記歪補償層が、InGaP、InGaAsP、AlGaInAsP、AlGaInP、GaAsPおよびAlGaAsPの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ素子。
- 前記電流狭窄層が複数の選択酸化された層からなり、
前記歪補償層が、該複数の選択酸化された層に挟まれた領域に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の面発光型半導体レーザ素子。 - 前記レーザ光の発振波長帯が730nmから820nmまでの範囲であることを特徴とする請求項1、2または3記載の面発光型半導体レーザ素子。
- 前記レーザ光の発振波長帯が770nmから800nmまでの範囲であることを特徴とする請求項1、2または3記載の面発光型半導体レーザ素子。
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