JP2004180993A - 刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び刺繍縫いミシン - Google Patents
刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び刺繍縫いミシン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004180993A JP2004180993A JP2002352618A JP2002352618A JP2004180993A JP 2004180993 A JP2004180993 A JP 2004180993A JP 2002352618 A JP2002352618 A JP 2002352618A JP 2002352618 A JP2002352618 A JP 2002352618A JP 2004180993 A JP2004180993 A JP 2004180993A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- embroidery
- divided
- pattern
- data
- sewing machine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Ceased
Links
Images
Landscapes
- Sewing Machines And Sewing (AREA)
Abstract
【解決手段】刺繍枠17を平面に沿って移動させる枠移動手段18により、刺繍枠17を所定の針落ち位置に移動させることで布上に刺繍模様を形成させる刺繍縫いミシン10のコンピュータ80が読み取り可能な刺繍模様データであって、 大きな刺繍模様を分割してなる複数の分割模様B1,B2ごとに、当該各分割模様を個別に形成する針落ち位置を示すデータ群を有する複数の分割模様データDを備え、各分割模様データDは、隣接する他の分割模様B2との境界に重複領域B3,B5を設けると共に、重複領域の内,当該重複領域に形成される刺繍の縫い目方向が境界に沿った方向と交差する重複領域については、その先端が隣接する分割模様側に向けられた鋸歯状形状を形成する針落ち位置を示すデータ群を有する構造を採っている。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び刺繍模様を縫製する刺繍縫いミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の刺繍縫製を行う刺繍縫いミシンにおいては、特許文献1に記載されるように、布地を保持する刺繍枠よりも大きな刺繍模様を表示可能な表示部を備え、かかる表示部にて複数の模様を組み合わせる編集作業を行うと共に移動操作可能な表示部内の基準点の移動操作により表示範囲より大きな範囲での編集作業を可能とし、その結果、刺繍枠よりも大きな刺繍模様の刺繍縫製を可能としている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−47466号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、刺繍枠よりも大きな刺繍模様を縫製する場合には、縫製の途中で刺繍枠から布地を取り外し、布の位置を変えて刺繍枠に付け直す作業が不可避であり、上述の特許文献1記載の刺繍縫いミシンでは、模様と模様の間の切れ目で布の再保持が行われればよいが、模様の途中部分で分断される状況下で布の再保持が行われた場合に生じる刺繍模様の継ぎ目の処理に関し、充分な対策を施すことはできなかった。
本発明は、刺繍枠よりも大きな刺繍模様について生じるつなぎ目の発生を抑制することをその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、布を保持する刺繍枠を縫い針に対向する平面に沿って移動させる枠移動手段により、刺繍枠を縫い針の上下動の一往復ごとに所定の針落ち位置に移動させることで布上に刺繍模様を形成させる刺繍縫いミシンのコンピュータが読み取り可能な刺繍模様データを記憶した記録媒体であって、刺繍枠に収まらない大きさの刺繍模様を、模様に係る途中部分でいずれも刺繍枠に収まる大きさに分割してなる複数の分割模様ごとに、当該各分割模様を個別に形成する針落ち位置を示すデータ群を有する複数の分割模様データを備え、各分割模様データは、隣接する他の分割模様との境界に重複領域を設けると共に、重複領域の内,当該重複領域に形成される刺繍の縫い目方向が境界に沿った方向と交差する重複領域については、その先端が隣接する分割模様側に向けられた鋸歯状形状を形成する針落ち位置を示すデータ群を有する構造である、という構成を採っている。
【0006】
上記構成では、刺繍模様データが刺繍縫いミシンのコンピュータにより読み込まれると、刺繍模様データに含まれる各分割模様データに基づいて枠移動手段の移動動作制御が行われ、これにより、分割模様が順次、布に対して形成される。このとき、刺繍模様全体は刺繍枠よりも大きいので、複数の分割模様の形成される過程において、刺繍枠における布の再保持を行う必要性が生じる。このようにして、互いに隣接する各分割模様間で縫製が中断された場合でも、分割模様データに従ってその境界は互いに鋸歯状に形成される。かかる形状で模様が形成される場合とそうではない場合(例えば、境界が境界線に沿った形状の場合)とを比較すると、後者はその境界が線状にあらわになり、つなぎ目が比較的明確に認識可能となるが、前者の場合には、境界が鋸歯状なために、周囲の縫い目に紛れ、明確なつなぎ目の発生が抑制される。なお、分割模様の縫い目が隣接する分割模様の境界線に沿っている場合には、境界線は縫い目に紛れるので、あえて鋸歯状としなくても良い。
なお、刺繍枠における布の再保持作業により布の位置変動が生じた場合の処理は、例えば、刺繍縫いミシンが有する機能により、布の位置変化量を検出する手段を設け、その検出結果に応じて針落ち位置のデータを補正したり、分割模様の最終針を布から抜かない状態で刺繍枠に対して布及び縫い針の移動を行い、再保持して縫製を再開させる等の手法を採っても良い。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、複数の分割模様データは、各々が処理される順番が特定された構造である、という構成を採っている。
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の作用を奏すると共に、刺繍模様データが刺繍縫いミシンのコンピュータにより読み込まれると、各分割模様データにより特定された順番に従い、各分割模様が順次形成される。刺繍模様データに含まれる各分割模様データに基づいて枠移動手段の移動動作制御が行われ、これにより、分割模様が順次、布に対して形成される。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、各分割模様が複数の色彩領域からなることに対応して、各分割模様データは、各色彩の領域形状を形成する針落ち位置を示すデータ群単位で分割され、色彩について予め定められた順番で処理が行われると共に各色彩ごとに分割されたデータ群ごとにその処理の完了時に刺繍縫いミシンの刺繍動作を停止させる停止コードを備え、処理が最終の順番となる色彩の色彩領域が二つの分割模様の境界上にまたがる場合には、当該色彩領域を形成する複数の針落ち位置を示すデータを全て、二つの分割模様を形成する分割模様データの内の処理が後となる分割模様データに含ませる構造とする、という構成を採っている。
【0009】
上記構成では、請求項2記載の発明と同様の作用を奏すると共に、各分割模様の刺繍縫製が、予め決められた色彩の順番に従って各色彩領域ごとに進行する。このとき、各色彩領域の縫製が完成するたびに、停止コードが刺繍縫いミシンのコンピュータにより処理され、縫製動作が中断する。そして、かかる中断時には、次の色彩に応じた縫い糸に交換する機会を得ることができる。
また、二つの分割模様の境界上にまたがる最終順の色彩の色彩領域の針落ち位置を示すデータは全て処理が後となる分割模様データに含ませられているので、最終順の色彩の色彩領域は、処理が先となる分割模様データに基づいて分割模様が刺繍縫製される際には形成されないで、処理が後となる分割模様データに基づいて分割模様が刺繍縫製される際に、鋸歯状にもされることなく、一体的に形成される。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、各分割模様データは、各々の分割模様の画像データを有すると共に、互いに隣接すべき分割模様同士を正常に隣接配置させたときに同一位置で重複する,各頂点を縫い目一つの大きさで形成する
位置合わせマークの画像データも各々の分割模様の画像データに含ませる構造とする、という構成を採っている。
【0011】
上記構成では、請求項1,2又は3記載の発明と同様の作用を奏すると共に、以下に示す処理が行われる。まず、刺繍縫いミシンは、画像表示手段を備え、刺繍模様データが刺繍縫いミシンのコンピュータにより読み込まれると、刺繍模様データに含まれる各画像データにより表示が行われる。さらに、刺繍縫いミシンは、表示された各分割模様に対して外部操作入力により表示領域内で移動させる操作手段と、最終的な各分割模様の配置から各分割模様データの針落ち位置を示すデータ群に補正を行う補正手段とを備えている。従って、画像表示手段に表示される二つの位置合わせマークが重なり合うように、外部操作を加えると、画像出力されている各分割模様が正常な状態で連結され、刺繍模様が完成する。一方、補正手段により各分割模様データ中の針落ち位置を示すデータ群に補正が加えられ、表示画像に対応した状態とされるので、その後、各分割模様データの針落ち位置を示すデータに従って枠移動手段が動作制御されることとで、一体化された刺繍模様の刺繍縫製が行われる。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明と同様の構成を備えると共に、各分割模様データは、位置合わせマークをその画像データによる表示位置と同じ配置で縫製させる針落ち位置を示すデータを含み、位置合わせマークの針落ち位置を示すデータは、全ての針落ち位置を示すデータの最後に処理される構造とする、という構成を採っている。
上記構成では、請求項4記載の発明と同様の作用を奏すると共に、各分割模様が形成されるたびに、位置合わせマーク模様の縫製も行われる。
【0013】
請求項6記載の発明は、布を縫い針の上下動の一往復ごとに所定の針落ち位置に移動させることで布上に刺繍模様を形成させる刺繍縫いミシンであって、布を保持する刺繍枠と、この刺繍枠を縫い針に対向する平面に沿って移動させる枠移動手段と、刺繍枠に収まらない大きさの刺繍模様を、模様に係る途中部分でいずれも刺繍枠に収まる大きさに分割してなる複数の分割模様であって、隣接する他の分割模様との境界に重複領域を備えると共に、重複領域の内,当該重複領域に形成される刺繍の縫い目方向が境界に沿った方向と交差する重複領域については、その先端が隣接する分割模様側に向けられた鋸歯状形状を有するものを形成する針落ち位置を示すデータ群を有する複数の分割模様データを記憶する模様データ記憶手段と、各分割模様データに基づいて、枠移動手段により刺繍枠を縫い針の上下動の一往復ごとに所定の針落ち位置に移動させる動作制御を行う枠位置制御手段と、布の再保持により生じる刺繍枠に対する布の位置変化量を演算する変化量演算手段と、検出された位置変化量に基づいて、次に刺繍縫製を行う分割模様の分割模様データを補正する第一の位置データ補正手段とを備える、という構成を採っている。
【0014】
上記構成では、刺繍模様データに含まれる各分割模様データに基づいて枠移動手段の移動動作制御が行われ、これにより、分割模様が順次、布に対して形成される。このとき、刺繍模様全体は刺繍枠よりも大きいので、複数の分割模様の形成される過程において、刺繍枠における布の再保持を行う必要性が生じる。このとき、例えば、布にマーキングを施し、布の再保持前と再保持後とでマーキングの各位置検出を行い、或いは位置変化測定を行い、それらの検出値から布の位置変化量を演算し取得する。そして、その結果に基づいて第一の位置データ補正手段は取得した位置変化量に基づいて、次以降に刺繍縫製を行う分割模様の分割模様データを補正する。例えば、分割模様データに含まれる針落ち位置を示すデータ群を補正したり、縫い針の原点位置設定されている場合には当該原点位置の設定データを補正する。これにより、布の再保持による位置変化の影響は解消される。
また、互いに隣接する分割模様の境界は互いに鋸歯状に形成される。かかる場合、境界が鋸歯状なために、周囲の縫い目に紛れ、明確なつなぎ目の発生が抑制される。なお、分割模様の縫い目が隣接する分割模様の境界線に沿っている場合には、境界線は縫い目に紛れるので、あえて鋸歯状としなくても良い。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明と同様の構成を備えると共に、模様データ記憶手段に記憶される複数の分割模様データは各々が処理される順番が特定された構造であり、枠位置制御手段は、特定された順番に従って各分割模様データに基づく枠移動手段の動作制御を行、という構成を採っている。
上記構成では、請求項6記載の発明と同様の作用を奏すると共に、各分割模様データにより特定された順番に従い、各分割模様が順次形成される。刺繍模様データに含まれる各分割模様データに基づいて枠移動手段の移動動作制御が行われ、これにより、分割模様が順次、布に対して形成される。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の発明と同様の構成を備えると共に、模様データ記憶手段に記憶される各分割模様データは、各々の分割模様の画像データを有すると共に、当該画像データは互いに隣接すべき分割模様同士を正常に隣接配置させたときに同一位置で重複する,各頂点を縫い目一つの大きさで形成する位置合わせマークの画像データをも有し、各分割模様データの画像データに基づいて各分割模様の画像を表示する画像表示手段と、表示画像に対して外部操作により各分割模様の画像の位置修正を入力する画像位置修正手段と、画像表示手段に表示された各分割模様の相対的な位置関係に基づいて各分割模様データを補正する第二の位置データ補正手段とを備える、という構成を採っている。
【0017】
上記構成では、請求項6又は7記載の発明と同様の作用を奏すると共に、画像表示手段により刺繍模様データに含まれる各画像データに基づく各分割模様及び各位置合わせマークの表示が行われる。さらに、画像位置修正手段を介して外部操作入力を行うことにより表示された各分割模様を表示領域内で移動させる操作を行い、隣接し合う分割模様の位置合わせマークを重ね合わせる。これにより、表示画面内で各分割模様は適正に連結され、刺繍模様を形成する。
一方、第二の位置データ補正手段により各分割模様データに補正が加えられる。例えば、分割模様データに含まれる針落ち位置を示すデータ群を補正したり、縫い針の原点位置設定されている場合には当該原点位置の設定データを補正する。これにより、分割模様データは表示画像に対応した状態とされるので、その後、各分割模様データの針落ち位置を示すデータに従って枠移動手段が動作制御されることとで、一体化された刺繍模様の刺繍縫製が行われる。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明と同様の構成を備えると共に、各分割模様データの画像データに基づく各分割模様の表示画像の表示倍率を拡大して位置合わせマークを目視可能に表示する表示制御手段を備える、という構成を採っている。
かかる構成では、画像表示手段による各位置合わせマークの表示に基づいて各分割模様の画像を位置合わせする際に、その画像出力を拡大表示することで、微小な位置合わせマークの位置決めを容易且つ精度良く行われる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施形態の全体構成)
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施形態では、通常の縫製を可能としながら後述する着脱自在の枠移動手段18を付加することにより刺繍模様を縫製可能となる刺繍縫いミシンとしてのミシン10を示している。図1はミシン10の概要を示す全体図であり、図2はその制御系を示す。かかるミシン10は、その外形的な概略が、その下部に位置するミシンベッド11と、ミシンベッド11の一端部から上方に立ち上げられたミシン胴部12と、ミシン胴部12の上方からミシンベッド11に沿うように延設されたミシンアーム13とから構成されている。
【0020】
さらに、上記ミシン10は、図1,2に示すようにミシンアーム13のミシン頭部13a(図1における左端部)の下方において上下動可能に支持された縫い針14と、ミシンアーム13のミシン頭部13aの下部に設けられ,縫い針14を支持すると共に上下方向に駆動する針駆動手段15と、縫い針14と共に針駆動手段15に支持され,刺繍縫製時に縫い針14と共に上下動する布押さえ16と、縫い針14の下方に設置され,縫い針14に対して布地を垂直な平面に沿って張設状態で保持する刺繍枠17と、ミシンベッド11の縫い針対向位置に設けられ,刺繍枠17をいずれも縫い針14に垂直且つ相互に垂直な二方向に駆動する枠移動手段18と、図示しない糸切り用のカッタを有し,縫製終了後の糸切りを行う糸切りソレノイド19と、ミシン10の動作に関する指示や設定をオペレータが入力すると共に指示に必要な情報や現在状態の表示を行う操作パネル50と、上記各部の動作制御を行う動作制御手段80とを備えている。
【0021】
また、図1に示されるミシンアーム3の左端のミシン頭部3aには、縫製を起動・停止するための起動/停止スイッチ(以下、S/Sスイッチと略称する)20と、返し縫いを行うための指示入力を行うための返し縫いスイッチ21と、縫製後の糸切りを指示入力するための糸切りスイッチ22と、縫製の速度を調整するためのスライドボリューム23とが、下方から順番に並んで設けられている。
【0022】
なお、以下の説明において、縫い針14が上下動を行う方向をZ軸方向とし、刺繍枠17が枠移動手段18により図1における左右方向に移動される方向(相互に垂直な二方向の内の一方)をX軸方向とし、刺繍枠17が枠移動手段18により図1における前後方向に移動される方向をY軸方向(相互に垂直な二方向の内の他方)として、以下の説明を行うこととする。
また、本実施形態に示すミシン10は、刺繍枠17及び枠移動手段18を取り外した状態で通常の縫製を行うことも可能ではあるが、通常縫製時に必要な構成及びその動作制御は既存のミシンと同様であるため、専ら刺繍縫製を行うために必要な構成及びその動作制御について主に説明することとする。
【0023】
(針駆動手段)
針駆動手段15は、ミシンモータ24を駆動源として備え、その回転出力をクランク機構を介して上下動に変換し、縫い針14の上下動を行っている。また、針駆動手段15は、縫い針14と共に布押さえ16を支持しており、縫い針14と共に上下動させる。また、縫い針14の上下動の周期は、動作制御手段80の動作制御により決定され、操作パネル50から上下動周期の設定変更を入力することが可能である。また、ミシンモータ24には、その出力軸の回転角度量変化を検出するエンコーダ29が設けられており、その検出回転角度は動作制御手段80に出力される。
【0024】
(刺繍枠及び枠移動手段)
刺繍枠17は、いずれも略長方形状を成す内枠と外枠とからなり、これらに布地を挟み込むことでその枠の内側に布地の略長方形状の平面領域を形成する。また、刺繍枠は、大中小の三サイズのものが選択的に装着可能であり、図示の刺繍枠17は最大サイズのものである。また、以下の説明にあっては特に言及しない場合には最大サイズの刺繍枠17を使用した場合について行っているものとする。
【0025】
枠移動手段18は、ミシンベッド11の上面においてX軸方向に往復可能に支持されたキャリッジ25と、その駆動を行うX軸モータ26と、キャリッジ25にY軸方向に往復可能に支持された刺繍枠装着部27と、刺繍枠装着部27を介して刺繍枠17をY軸方向に往復駆動するY軸モータ28とを備えている。上記X軸モータ26とY軸モータ28はいずれもステッピングモータであり、微小角度単位で駆動する回転角度量を制御することが可能である。そして、枠移動手段18は、X軸モータ26及びY軸モータ28の回転駆動出力を直動方向の駆動出力に変換する変換手段を備えている。従って、枠移動手段18は、キャリッジ25の移動と刺繍枠装着部27の移動との協働により刺繍枠17をX−Y平面上に沿って自在に移動することを可能としている。また、かかる枠移動手段18は、動作制御手段80から出力される刺繍模様に応じた針落ち位置に基づくX軸方向及びY軸方向の各移動量を示す動作指令に従って各軸モータ26,28の駆動制御を行うことにより刺繍枠17を各軸方向に移動させて相対的に所定の針落ち位置に縫い針14を位置決めする。なお、X軸・Y軸モータ26,28には、各々の出力軸の回転角度量変化を検出するエンコーダ30,31が設けられており、その検出回転角度は動作制御手段80に出力される。
【0026】
(操作パネル)
操作パネル50は、後述する刺繍作業を行う際の操作画面,操作説明に要する情報表示,刺繍模様画像,分割模様等の表示を行う画像表示手段としての液晶ディスプレイ51と、液晶ディスプレイ51の表示面上に重ねて設けられた透明感圧スイッチであるタッチパネル52とを備えている。タッチパネル52は、その表面上におけるいずれの位置にミシンの使用者が指先を接触させたかを感知することが可能である。一方、液晶ディスプレイ51は動作制御手段80による後述する操作プログラムに従い操作画面中にミシンの使用者が入力を指示するための各種のスイッチを表示する。従って、動作制御手段80はタッチパネル52の出力を受けていずれの位置に接触されたかを認識すると共にその際に液晶ディスプレイ51に表示されたいずれかのスイッチに対する指示入力であるかを照合し、その結果、ミシンの使用者がいずれの指示入力を行っているかを認識すると共に、当該指示に応じてその後の処理を進行させる。
【0027】
(動作制御手段:全体構成)
動作制御手段について図2に基づいて説明する。図2は、ミシン10の制御系を示すブロック図である。
動作制御手段80は、各種プログラムに従い演算処理を行うCPU81とこれに接続されるROM82と各種の処理において一時的にデータ等を格納する作業領域となるRAM83と後述する各構成の入出力インタフェースとを備えるマイコン基板からなる。
【0028】
(動作制御手段:RAM)
RAM83は、縫製作業や表示処理において一時的にデータ等を格納する作業領域となるものである。具体的には、例えば、RAM83は、操作パネル50によって選択された一又は複数の分割模様とその分割模様の編集データや、枠移動手段18による刺繍枠17のXY方向の移動量などを記憶する。
また、後述する刺繍枠17に対する布の再保持を行う場合に検出される布の位置変化量を記憶したり、後述する液晶ディスプレイ51に表示された分割模様が外部操作により位置修正された場合における位置修正量を記憶したりする。
【0029】
(動作制御手段:ROM)
内部記憶装置であるROM82には、ミシン10における縫製動作や後述の表示処理を実行するための制御プログラムや制御データが記憶されており、模様データ記憶手段としても機能する。制御データとしては、例えば、各種刺繍模様に関する刺繍模様データ、操作プログラムに従いタッチパネル30上に表示するための画像データ等が挙げられる。ここで、刺繍模様データについては後述することとする。また、上述の操作プログラムに従い表示される画像データには、後述する縫い中断処理において操作パネル50に表示される各操作画面の画像データや、各画面51の説明表示部に表示される操作説明表示のデータ等が含まれる。
【0030】
また、動作制御手段80には、外部記憶媒体の読み取り手段であるROMカードリーダ84が併設されており、動作制御手段80中のROM82に記憶されたデータ以外の他の刺繍模様データが記憶された外部記憶媒体としてのROMカード84aから当該刺繍模様データの供給を受けることも可能である。かかるROMカード84aもまた模様データ記憶手段としても機能する。なお、外部記憶媒体としてはROMカードに限らず、前記模様データを記憶したROM82を含み、インターネット等の通信手段を介して記憶した記憶媒体も含み、さらに、情報を符号化して記憶する一般的ないずれの記憶媒体を使用しても良く、またいずれの記憶媒体用の読み取り装置を動作制御手段80に併設しても良い。
【0031】
(動作制御手段:刺繍模様データ)
刺繍模様データは、通常は、刺繍模様の形態を液晶ディスプレイ51に表示するための画像データと、かかる刺繍模様を布上に刺繍縫製するための枠移動手段18の駆動データとから構成される。
一方、単一模様の全体像が大きく、刺繍枠17に収まりきらない刺繍模様の刺繍模様データは、上記通常のものとは異なり特徴的な構造を有するので、これを詳述する。刺繍模様データは、刺繍模様をいずれも刺繍枠17に収まる大きさにその模様に係る途中部分で二分割してなる二つの分割模様B1,B2のそれぞれについての分割模様データを有している。図3は分割模様B1,図4は分割模様B2を示し、図5は分割模様B1の分割模様データDのデータ構造を示す説明図である。なお、分割模様B2の分割模様データのデータ構造は、具体的な設定数値等を除き同構造のため、主に分割模様B1の分割模様データDについて説明することとする。
【0032】
図5のように、分割模様データDは、刺繍縫製の動作制御に用いられる制御データMと液晶ディスプレイ51に分割模様B1を表示するための画像データGとを有している。
制御データMは、主として、刺繍縫製により布上に分割模様B1を形成するための無数の針落ち位置を示すデータ群、即ち、刺繍枠17に保持された布に対する縫い針の初期位置から順番に次の針落ち位置に縫い針14を位置決めするための枠移動手段18のX軸モータ26及びY軸モータ28の各移動量を示す移動量データ群からなる。つまり、移動量データ群により布に対する所定の各所に縫い針14を下ろすことで、羅列した無数の縫い目が形成され、これが所定形状の平面領域を形成し、最終的には、分割模様B1が形成されることとなる。
【0033】
ここで、分割模様B1,B2の形状に言及する。もともと刺繍模様の全体形状はリング状であり、これを二分してなる各分割模様B1,B2は、いずれも、半リング状である。そして、各分割模様B1,B2は、互いの他方の分割模様との境界に重複領域B3,B4,B5,B6を設けると共に、これらの重複領域B3,B4,B5,B6の内,当該重複領域B3,B4,B5,B6に形成される刺繍の縫い目方向が境界に沿った方向(図3,4における上下方向)と交差する重複領域については、その先端が他方の分割模様側に向けられた鋸歯状形状に設定されている。図6は刺繍縫製により形成された分割模様B1の重複領域B5の拡大図であり、図7は刺繍縫製により形成された分割模様B2の重複領域B6の拡大図である。図示の如く、各分割模様B1,B2はいずれも、その重複領域B5,B6(図示していないが重複領域B3,B4も同様)において縫い目は横方向に沿って形成されており、境界線に対して交差している。従って、各重複領域B3,B4,B5,B6には、いずれも鋸歯状形状部が形成されている。
さらに、分割模様B1,B2は、いずれも、異なる色彩ごとに区画された複数の色彩領域としての第1〜9のパーツから構成されている。つまり、各分割模様B1,B2は九種類の色彩から構成される。ちなみに、図5に示す分割模様データの構造には、第10のパーツが示されているが、これは色彩領域を形成するものではなく後述する位置合わせマークを形成するものである。
【0034】
制御データMの移動量データ群は、刺繍枠17の移動により縫い針14を布上の随所に位置決めして上述のような形態の分割模様B1を形成する。また、分割模様B1,B2はいずれも、上述したように、複数の色彩領域である第1〜第9パーツから構成されているが、色彩を付された刺繍糸の付け替え回数を増やさないように、色彩ごとに即ち各パーツごとに刺繍縫製を行うことが望ましい。従って、制御データMの移動量データ群もまたパーツごとに区分けされている。また、色彩に応じてデータの処理が行われる順番が予め設定されており、本実施形態では、第1〜9パーツの順番で処理が行われる。さらに、各パーツの区分け内には
当該区分けごとに停止コマンドデータが含まれている。かかる停止コマンドデータは、区分け内の全ての移動量データの処理が行われてから処理される。つまり、後述する枠位置制御手段としての制御を行うCPU81は一つのパーツ内の移動量データを全て処理して枠移動手段18の動作制御を行い、分割模様B1の一の色彩領域を刺繍縫製した後に、停止コマンドデータを処理し、これにより刺繍縫製動作に携わる各駆動手段を停止させる。そして、かかる停止により今まで使用していた刺繍糸から新たな色彩の刺繍糸に交換する機会をミシンの使用者に与えることができる。そして、S/Sスイッチ20が押されると、再び刺繍縫製動作を再開し、次のパーツの移動量データにより枠移動手段18の動作制御が行われる。
【0035】
また、上述した各分割模様B1,B2の分割模様データは、その処理の順番が予め設定されており、ここでは、分割模様B1の分割模様データDが先に処理される。このように順番設定を行うことで、分割模様B1の各重複領域B3,B5の上に積み重なるように分割模様B2の各重複領域B4,B6が形成される。このとき、重複領域にB6には、各分割模様B1,B2の境界にまたがるように第9パーツの色彩領域の中で分離した一塊分の領域B8が存在しているが、このような場合には、当該領域B8を形成する移動量データを全て、処理が後となる分割模様B2の分割模様データに含ませる構造となっている。このため、各分割領域B1,B2を通じて領域B8を最も後に刺繍縫製させて形成することができ、領域B8の上からさらに他の領域が重ねられて欠けが生じることが防止される。
【0036】
また、分割模様データDの画像データGは、CPU81の処理により液晶ディスプレイ51に分割模様B1を表示させる。かかる画像データGもまた各色彩領域を表示させる画像データを有する第1〜9パーツと、位置合わせマークI1,I2の画像データを有する第10パーツとに分けられている。また、各パーツ単位での表示も可能としている。
なお、位置合わせマークI1,I2は、それぞれ分割模様B1,B2に対して一定の位置関係を常に維持して表示される。そして、各位置合わせマークI1,I2は、分割模様B1,B2同士を正常に隣接配置させたときに同一位置で重複する配置で表示される。また、位置合わせマークI1,I2は、正方形を斜めに配置したときの各頂点に縫い目一つを配置して並ぶ四つのドットにより構成されており、その大きさは、正方形の一片に相当する部位の長さが最小の縫い目長さとほぼ等しくなるように設定されており、三角形,五角形等の多角形又は丸形でも良い。また、この位置合わせマークI1,I2は、視覚的に各分割模様B1,B2を位置合わせさせるために存在するので、画像データだけで機能的には十分であり、そのようにしても良いが、本実施形態では、制御データMの第10パーツに四点を示す移動量データが設けられている。かかる位置合わせマークI1の移動量データは、分割模様B1を形成する全ての移動量データが処理された後に処理が行われるように設定されている。従って、刺繍模様の刺繍縫製が完了すると、その中央部に位置合わせマークI1,I2の四点をつなぐように小さな縫い目が形成されることとなるが、位置合わせマークI1による縫い目と位置合わせマークI2による縫い目とがずれることなく重なっていれば各分割模様B1,B2も適正に連結された状態で刺繍縫製が行われたことをしめすので、確認のために位置合わせマークI1,I2について刺繍縫製を行っても良い。また、わずか四針分の縫製なので除去は容易に可能である。
【0037】
なお、上述した制御データMは、針落ち位置を示すデータとしてX軸,Y軸モータの移動量を示すデータを有する構造であったが、これに替えて、刺繍枠17の内側領域に原点及びX−Y座標系を設定し、目標とする針落ち位置を示す座標データを有する構造としても良い。また、その場合、全ての分割模様B1,B2について同じ位置に原点を設定すると共に同じX−Y座標系を設定することが望ましい。そうすることにより、視覚的に各分割模様を位置決めして連結させる作業及びその制御を不要とすることが可能となる。但し、その場合、後述する刺繍枠17に対する布の位置の付け替えが行われた場合に、付け替え後に処理される座標データの全てについて布の位置変化量に応じた変換処理が必要となる。
【0038】
(動作制御手段:CPU)
CPU81は、ROM82中に書き込まれている制御プログラム,制御データ或いはROMカード84a内の制御データ等に基づいて、入力される各種信号やデータを利用し、刺繍縫い動作や操作パネル50における各種表示処理を制御するようになっている。
入力される信号としては、各種インタフェースを介してS/Sスイッチ20,返し縫いスイッチ21及び糸切りスイッチ22によるON又OFF信号、スライドボリューム23による設定速度信号、針駆動手段15のミシンモータ24及び枠移動手段18のX軸・Y軸モータ26,28に設けられた各エンコーダ29,30,31の検出回転角度信号、タッチパネル52からの入力位置信号等が挙げられる。
【0039】
さらに、CPU81は、制御プログラムに従い、前述した各分割模様データの制御データを構成する移動量データ群に基づいて、枠移動手段18のX軸モータ26及びY軸モータ28により刺繍枠17を縫い針14の上下動の一往復ごとに所定の針落ち位置に移動させる動作制御を行う枠位置制御手段としての制御を行う。
また、前述した分割模様データは各々が処理される順番が特定された構造であるため、CPU81は、この予め特定された順番に従って各分割模様データを処理し、枠移動手段18の動作制御を行う。従って、各分割模様間で形成される順番の先後を予め想定することができ、例えば、重複領域に重ね模様が存在するような場合であっても、当該模様の上から後に縫製される模様が重ねられてその外観が損なわれるような事態を回避できる。
【0040】
また、前述した刺繍枠17よりも大きな刺繍模様を刺繍縫製する場合には、一の分割模様B1を形成後、次の分割模様B2の刺繍縫製をする前に刺繍枠17による布の保持位置を変えるために、再保持を行う必要がある。そして、かかる場合、予め布に付した仮マーキングが縫い針14の直下位置となるように刺繍枠17を手動操作し、その際のX軸,Y軸モータ26,28の出力軸に設けられた各エンコーダ30,31の検出値をRAM83に記憶すると共に、布の再保持後にも同様に仮マーキングに縫い針14を位置決めして得られた各エンコーダ30,31の検出値をRAM83に記憶する。CPU81は、これら布の再保持の前後における各エンコーダ30,31の出力値を記憶させる処理を行うと共に、予め記憶された再保持前の検出値と再保持後の検出値とを比較演算し、布の再保持により生じる刺繍枠17に対する布の位置変化量を演算する変化量演算手段としての制御を行う。
さらに、この場合、CPU81は、検出された位置変化量に基づいて、次以降に刺繍縫製を行う分割模様B2の分割模様データを補正する第一の位置データ補正手段としての制御を行う。この場合の分割模様データの補正とは制御データに含まれる予め設定された原点位置データの補正をいう。また、前述したように、針落ち位置を示すデータとして移動量データに替えて座標データを記憶している場合には、全ての座標データに対して位置変化量分の補正を行う。
従って、刺繍枠17よりも大きな刺繍模様についても、布の保持位置の付け替えと共に分割模様に分けて刺繍縫製を行うことにより容易に行うことが可能となる。
【0041】
また、後述するが、CPU81は、制御プログラムにより、液晶ディスプレイ51に表示された各分割模様B1,B2の表示画像に対して外部操作により各分割模様B1,B2の画像の位置修正を行うことを可能とし、修正による液晶ディスプレイ51に表示された各分割模様B1,B2の相対的な位置関係に基づいて各分割模様データを補正する第二の位置データ補正手段としての制御を行う。この場合の分割模様データの補正とは制御データに含まれる予め設定された原点位置データの補正をいう。また、前述したように、針落ち位置を示すデータとして移動量データに替えて座標データを記憶している場合には、全ての座標データに対して位置変化量分の補正を行う。
また、各分割模様B1,B2の画像の位置修正を行うための画像位置修正手段は、液晶ディスプレイ51において各分割模様B1,B2と共に表示される複数方向の矢印キーとタッチパネル52とにより実現される。
上記構成により、視覚的に精度良く、各分割模様B1,B2の連結を図ることが可能である。
また、CPU81は、液晶ディスプレイ51における各分割模様データの画像データに基づく各分割模様B1,B2の表示画像の表示倍率を拡大可能とする表示制御手段としての制御も行う。従って、各分割模様の位置合わせをより精密に行うことが可能となる。
【0042】
(刺繍縫いミシンの動作説明)
次に、上述のミシン10において前述した刺繍枠17内に収まらないサイズの刺繍模様の縫製を行う縫製方法について説明する。図8,9はミシン10の動作フローチャートであり、図10〜図29は操作パネル50の表示例である。
【0043】
まず、刺繍枠17内に収まらないサイズの刺繍模様の刺繍を行うために、液晶ディスプレイ51に表示される図示しない操作画面により大型つなぎ模様の刺繍モードに切り替えるスイッチの入力が行われると、フラグF及びパーツカウンタCがいずれも0にリセットされる処理が動作制御手段80により行われる(ステップS1)。
【0044】
次に、動作制御手段80は、大型つなぎ模様選択画面P1,P2(図10,11)を操作パネル50に表示する(ステップS2)。この大型つなぎ模様選択画面P1,P2には、その上下方向中段の領域に大型つなぎ模様を分割した各分割模様B1,B2の画像が表示される。これら各分割模様B1,B2の表示画像はいずれもタッチパネル52によりスイッチとなっており、順番に選択することが可能である。
図10は、分割模様B1を選択した場合を示し、その場合、画面上段に選択された分割模様Rが表示される。図11はその次に分割模様B2を選択した場合を示し、その場合、画面上段に選択された分割画像Lが分割画像Rの右方に隣接して表示される。
動作制御手段80は、上記表示制御を行うと共に、選択操作によりいずれの分割模様について刺繍縫製を実行するかを記憶する(ステップS3)。
【0045】
次に、動作制御手段80は、刺繍枠選択画面P3(図12)を操作パネル50に表示する(ステップS4)。この刺繍枠選択画面P3には、その上下方向中段右側の領域に大中小の刺繍枠選択スイッチW1が表示され、動作制御手段80では、タッチパネル52を介して選択された刺繍枠の認識を行う。また、刺繍枠選択画面P3の中段左側の領域には、選択された刺繍枠の刺繍可能範囲内に各分割模様B1,B2が表示され、刺繍可能範囲と各分割模様B1,B2の大きさの比較を可能とし、的確な刺繍枠の選択を促すようになっている。また、分割模様が二つの場合には図示の如く、一方をシルエット表示とし、重複表示しつつも各分割模様と刺繍枠の大きさ比較を可能としている。また、分割模様がより多数の場合には、各分割模様ごとに、異なる色彩のシルエット表示としても良い。
そして、動作制御手段80では、刺繍枠の選択入力待ち状態となり、選択及び確定が入力されると、いずれの刺繍枠が選択されたかを記憶する(ステップS5)。なお、刺繍枠の確定については、刺繍枠選択スイッチW1による入力後、確定確認スイッチを切り替え表示しても良いし、刺繍枠選択スイッチW1の同じ刺繍枠を再度入力することにより確定と判断しても良い。
【0046】
次に、動作制御手段80は、編集画面P4(図13,14,15)を操作パネル50に表示する(ステップS6)。この編集画面P4では、上下方向中段左側の領域に、各分割模様B1,B2の表示を行い、上下方向中段左側の領域に上から分割模様移動操作キーW4,表示倍率選択スイッチW3,編集スイッチW2が設けられている。
刺繍縫いミシン10の使用者は、かかる編集画面P4の表示部に表示された各分割模様B1,B2を観察しながら分割模様移動操作キーW4によりいずれか一方の分割模様B1,B2を移動させ、表示部上で各位置合わせマークを重なり合わせる操作を行うことが可能である(ステップS7)。このとき、各位置合わせマークI1,I2の間隔Lは動作制御手段80により検出される。また、必要に応じて表示倍率選択スイッチW3により表示部の表示画面の拡大表示を行うことができ(ステップS8)、拡大倍率は、1,2,4,8倍を選択することが可能である。動作制御80は、かかる表示倍率選択スイッチW3の入力待ちを行い、入力がなければステップS7に戻って位置合わせ操作の受付状態に戻り、表示倍率選択スイッチW3の入力があれば選択倍率に応じた拡大表示制御を行う(ステップS9)。
【0047】
図14,図15は8倍に拡大表示を選択して各位置合わせマークI1,I2を目視可能に表示した状態を示し、図15はさらに分割模様移動操作キーW4の操作により各位置合わせマークI1,I2が重ね合わせられた状態を示す。ミシン10の使用者により位置合わせの確定が入力されると、動作制御手段80は、このときの各位置合わせマークI1,I2の間隔Lが画面上の位置合わせマークI1及びI2の位置から演算され、RAM83に記憶される(ステップS10)。
【0048】
次に、動作制御手段80は、縫い模様選択画面P5(図16)を操作パネル50に表示する(ステップS11)。この縫い模様選択画面P5では、上下方向中段左側の領域に、各分割模様B1,B2及び仮想刺繍枠Eの表示を行い、上下方向中段左側の領域に設けられた刺繍枠移動操作キーW5による分割模様B1,B2の選択が受け付けられる(ステップS12)。ミシン10の使用者は刺繍枠移動操作キーW5により仮想刺繍枠Eを移動操作すると共に選択すべき分割模様に位置決めする。この場合、分割模様B1を選択する。そして、OKスイッチHを入力する。このとき、刺繍枠を移動する分割模様をB1とするように指示する説明文及び画像を画面表示すると使用者に便利である。
【0049】
分割模様B1の選択が終わると、動作制御手段80は、布保持指令画面P6(図17)を操作パネル50に表示する(ステップS13)。これを受けて、ミシン10の使用者は、布を刺繍枠17にセットする。このとき、予め布には仮マーキングとして十字線をチョーク等により記入する。このとき、十字線の交点は、選択した分割模様B1に対するもう一方の分割模様B2側に寄せる配置となる。この十字線上で分割模様B1を縫う位置に合わせて刺繍枠に布をセットし保持させる。刺繍枠17を枠移動手段18に装着したら、ミシン10の使用者はOKスイッチGを入力する。
【0050】
次に、動作制御手段80は、刺繍枠原点入力受付画面P7(図18,19,20)を操作パネル50に表示する(ステップS14)。この刺繍枠原点入力受付画面P7では、ミシン10の使用者は布に付した十字線の交点を原点として当該原点位置を動作制御手段80に入力する。このため、十字線の縦線に沿った任意の二点を縫い針14に位置決めし、横線に沿った任意の一点を縫い針14に位置決めする。
【0051】
刺繍枠原点入力受付画面P7は、上下方向上段に入力指示画面が表示され、上下方向中段左側の領域に選択された分割模様B1の表示を行い、上下方向中段左側の領域に、上から刺繍枠17を移動させる刺繍枠移動操作キーW6、十字線に対する三点のいずれの点について位置決めを行ったかを入力する確定スイッチW7が設けられている。さらに、図18は十字線の縦線に沿った第一点を入力する際の刺繍枠原点入力受付画面P7を示し、図19は十字線の縦線に沿った第二点を入力する際の刺繍枠原点入力受付画面P7を示し、図20は十字線の横線に沿った第一点を入力する際の刺繍枠原点入力受付画面P7を示す。
【0052】
ミシンの使用者は、刺繍枠移動操作キーW6により刺繍枠17を縫い針14に対して移動操作し、十字線に対する三点について順次位置決めを行い、確定スイッチW7を選択して入力する。
これに対して、動作制御手段80では、刺繍枠17を縫い針14に対して位置決め操作したときの各エンコーダ30,31の出力を検出し、RAM83に記憶する。さらに、記録した各点の各エンコーダ30,31の出力から三点の各位置を求めると共にこれらから十字線の交点位置(刺繍枠の原点)を演算により算出すると共にRAM83に記憶する(ステップS15)。
【0053】
次に、動作制御手段80は、縫製画面P8(図21)を操作パネル50に表示する(ステップS16)。この縫製画面P8では、上下方向上段最左側及び中段左側にはそれぞれ現在選択されている分割模様B1全体像が表示されている。また、上下方向上段左側から二番目以降はこれから刺繍縫製が行われる順番で三つ並んで各パーツが表示される。また、中段左側は縫製所用時間や選択されている刺繍枠の種類が表示されている。
【0054】
上記縫製画面P8が表示されている状態で動作制御手段80は、S/Sスイッチ23の入力の有無を検出し(ステップS17)、入力がなければ検出が続けられ、ミシン10の使用者によりS/Sスイッチ23の入力が行われると、パーツカウンタCに1が加算される(ステップS18)。
さらに、フラグFが1か否かが確認される(ステップS19)。F=1の場合にはステップ10で記憶された二つの位置合わせマークI1,I2の間隔Lだけ刺繍枠原点位置設定の補正が行われる(ステップS20)。但し、フラグFは一つの分割模様B1について刺繍縫製が完成しない限り加算されないので、分割模様B1から分割模様B2に刺繍縫製が移行する際に、かかる原点位置修正が行われる。
【0055】
また、フラグFは1ではない場合には、動作制御手段80は、パーツの順番に従って刺繍縫製を開始する(ステップS21)。即ち、ステップS15で演算された刺繍枠17の原点位置を開始位置として、分割模様B1の分割模様データの制御データの第1パーツ内の移動量データを順番に処理し、これに基づいて動作制御手段80は、縫い針14の上下動に合わせて枠移動手段18の動作制御により所定の針落ち位置に縫い針を絶えず位置決めし、第1パーツの全ての移動量データの処理を行う。そして、停止コマンドデータにより枠移動手段18及びミシンモータ24の駆動を停止させ、糸切りソレノイド19を駆動して刺繍糸を切断する(ステップS22)。
【0056】
動作制御手段80は、パーツカウンタC=10か否かを確認する。かかる確認により、分割模様B1の全てのパーツが縫製を完了したかが判断される(ステップS23)。パーツカウンタCが10に満たないときには、動作制御手段80は、縫製画面P8の上下方向上段のこれから刺繍縫製が行われる三つのパーツ画像を次のものに更新する(ステップS24)。そして、ステップS17に戻り、S/Sスイッチ20の入力待ち状態となる。この間にミシン10の使用者は刺繍糸の付け替えを行い、S/Sスイッチ20の入力を行う。これにより、全てのパーツの刺繍縫製が完了するまで、ステップS17〜S23までの処理が繰り返される。
【0057】
図22は、分割模様B1について各パーツの刺繍縫製がほぼ完成に近い状態での縫製画面P8を示している。この後、全てのパーツの刺繍縫製が完了し、ステップS23において、パーツカウンタC=10と判断されると、分割模様B1については刺繍縫製が完了した状態となり、フラグFに1が加算される。また、パーツカウンタは0にリセットされる(ステップS25)。
【0058】
次に、動作制御手段80は、図示しない継続指示入力画面を液晶ディスプレイ51に表示し、次の分割模様に処理を移行するか否かの入力待ちとなる(ステップS26)。このとき、処理を移行しないと選択すると、動作制御手段80は、処理を終了するか否かの確認画面を液晶ディスプレイ51により表示し、処理を終了するか否かの入力待ちとなり(ステップS27)、「終了する」を選択すると、全ての処理が終了となり、「終了しない」を選択すると、ステップS25に戻り、再び、次の分割模様に処理を移行するか否かの入力待ちとなる。
【0059】
また、ステップS25において、次の分割模様に処理を移行する選択を行うと、ステップS11に戻り、縫い模様選択画面P5(図23)が表示される。ミシン10の使用者が分割模様B2を選択することにより(ステップS12)、布保持指令画面P6(図24)が表示される(ステップS13)。そして、刺繍枠17に対する布の再保持が行われると、刺繍枠原点入力受付画面P7(図25,26,27)が表示される。ミシンの使用者は、当初の十字線に対する三点の位置決めを再び行い、動作制御手段80は、十字線の原点位置を演算・記憶する(ステップS14,S15)。
【0060】
そして、縫製画面P8(図28)が表示され(ステップS16)、ミシン10の使用者によりS/Sスイッチが入力されると(ステップS17)、パーツカウンタCに1が加算される(ステップS18)。そして、フラグFが1か否かが確認される(ステップS19)。このとき、分割模様B2の処理のため、既にF=1に加算されているため、ステップS10で記憶された位置合わせマークI1,I2の間隔L分の原点位置の補正が行われる(ステップS20)。なお、ステップS7において各位置合わせマークI1,I2の位置合わせが十分に精度良く行われていれば、Lはほとんど0に近くなるので、刺繍枠17の原点位置補正はほとんど行われない。
【0061】
そして、動作制御手段80は、パーツの順番に従って刺繍縫製を開始する(ステップS21)。一つのパーツ完了ごとに駆動が停止され(ステップS22)、糸交換が行われ、各パーツの縫製が進行するにつれて縫製画面P8は、図28の状態から図29の状態に移行する。そして、全てのパーツの刺繍縫製が完了すると(ステップS23)、パーツカウンタはリセットされ(ステップS25)、次の分割模様の選択の有無が確認され(ステップS26)、次の分割模様はないので終了確認を経て(ステップS27)、全処理が完了する。
【0062】
以上のようにミシン10は動作制御が行われ、各種のデータが処理されることにより、刺繍枠17に収まらない大きさの刺繍模様について、つなぎ刺繍を良好に行うことが可能となる。即ち、刺繍模様を二分割してなる二つの分割模様の双方の境界に設けた相互の重複領域であって、当該重複領域の縫い目と境界線とが交差する重複領域については、互いに他方の分割模様側に先端を向けた鋸歯状とするデータ構造を備える分割模様データに基づいてミシン10の動作制御手段80が、枠移動手段18の動作制御を行うことから、刺繍縫製後の各分割模様の境界が互いに縫い目に沿った鋸歯状となり、縫い目に交差する方向の継ぎ目が現れない。従って、刺繍枠に入らないサイズの刺繍模様について分割模様ごとのつなぎ刺繍を行う場合であっても、一体的に刺繍を行った場合と比較して遜色のない、良好な仕上がりの刺繍縫製を行うことが可能となる。
【0063】
なお、前記分割される刺繍模様は、単一の模様の大きさが刺繍枠よりも大きな模様に場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、刺繍模様が二つ以上の小模様の組み合わせであって、刺繍枠よりも大きな模様の場合にも、いずれか一つ又は複数の小模様を、その模様に係る途中部分で、いずれも刺繍枠に収まる大きさに分割して、複数の分割模様にしても良い。
【0064】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、その境界に設けられた重複領域の形状を鋸歯状とする複数の分割模様からなる刺繍模様を形成することが可能となり、これにより、各分割模様の境界に視覚的に明確なつなぎ目の発生を抑制することができ、刺繍縫いミシンにおいて、刺繍枠より大きな刺繍模様の刺繍縫製を、外観を損なうことなく良好に実現させることが可能となる。
【0065】
請求項2記載の発明よれば、各分割模様が特定された順番で縫製されるので、互いに隣接する分割模様間で形成される順番の先後を予め想定することができ、例えば、重複領域に重ね模様が存在するような場合であっても、当該模様の上から後に縫製される模様が重ねられてその外観が損なわれるような事態を回避し、刺繍縫いミシンにおいて、刺繍模様の刺繍縫製をより良好に実現させることが可能となる。
【0066】
請求項3記載の発明によれば、互いに隣接する分割模様の重複領域に位置する最終色の色彩領域は、二つの分割模様の最後に一体的に縫製されることとなるので、境界に位置しながら分断されず、当該色彩領域の上から他の模様が重ねられてその外観が損なわれるような事態も有効に回避し、刺繍縫いミシンにおいて、刺繍模様の刺繍縫製をより良好に実現させることが可能となる。
【0067】
請求項4記載の発明によれば、縫い目一つ分という十分に小さな位置合わせマークの表示に基づいて視覚的に各分割模様を連結させる操作を行うことができ、刺繍縫いミシンにおいて、各分割模様を精度良く連結させて刺繍模様全体を形成させることができ、刺繍模様の刺繍縫製をより良好に実現させることが可能となる。
【0068】
請求項5記載の発明によれば、各分割模様の刺繍縫製が行われるたびに位置合わせマークの模様も縫製される。そして、互いに隣接する分割模様の近隣でそれらの位置合わせマークが重ね合わされた状態で縫製されているか否かにより、各分割模様が精度良く連結されて縫製されているかを確認することが可能である。
【0069】
請求項6記載の発明によれば、その境界に設けられた重複領域の形状を鋸歯状とする複数の分割模様からなる刺繍模様を形成することが可能となり、これにより、各分割模様の境界に視覚的に明確なつなぎ目の発生を抑制することができ、刺繍枠より大きな刺繍模様の刺繍縫製を、外観を損なうことなく良好に行う刺繍縫いミシンを提供することが可能となる。
【0070】
請求項7記載の発明よれば、各分割模様が特定された順番で縫製されるので、互いに隣接する分割模様間で形成される順番の先後を予め想定することができ、例えば、重複領域に重ね模様が存在するような場合であっても、当該模様の上から後に縫製される模様が重ねられてその外観が損なわれるような事態を回避し、刺繍模様の刺繍縫製をより良好に行う刺繍縫いミシンを提供することが可能となる。
【0071】
請求項8記載の発明によれば、縫い目一つ分という十分に小さな位置合わせマークの表示に基づいて視覚的に各分割模様を連結させる操作を行うことができ、各分割模様を精度良く連結させて刺繍模様全体を形成させることができ、刺繍模様の刺繍縫製をより良好に行う刺繍縫いミシンを提供することが可能となる。
【0072】
請求項9記載の発明によれば、各分割模様の画像を位置合わせする際に、その画像出力を拡大表示することができ、微小な位置合わせマークの位置決めを容易且つ精度良く行うことができるので、刺繍模様の刺繍縫製をより精度良く良好に行う刺繍縫いミシンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるミシンの概要を示す全体図である。
【図2】図1に開示したミシンの制御系を示すブロック図である。
【図3】刺繍模様を二分割してなる一方の分割模様である。
【図4】刺繍模様を二分割してなる他方の分割模様である。
【図5】一方の分割模様の分割模様データのデータ構造を示す説明図である。
【図6】刺繍縫製により形成された一方の分割模様の重複領域の拡大図である。
【図7】刺繍縫製により形成された他方の分割模様の重複領域の拡大図である。
【図8】ミシンの動作フローチャートである。
【図9】図8に続くミシンの動作フローチャートである。
【図10】一方の分割模様を選択した状態の操作パネルに表示される大型つなぎ模様選択画面の表示例である。
【図11】一方と他方の分割模様を選択した状態の操作パネルに表示される大型つなぎ模様選択画面の表示例である。
【図12】操作パネルに表示される刺繍枠選択画面の表示例である。
【図13】操作パネルに表示される編集画面であって等倍で各分割模様を表示している状態の表示例である。
【図14】操作パネルに表示される編集画面であって8倍で各分割模様を表示している状態の表示例である。
【図15】操作パネルに表示される編集画面であって図14の状態から二つの位置合わせマークを位置合わせした状態の表示例である。
【図16】操作パネルに表示される縫い模様選択画面の表示例である。
【図17】操作パネルに表示される布保持指令画面の表示例である。
【図18】操作パネルに表示される編集画面であって布上の十字線の縦線に沿った第一の点に縫い針を位置決めする操作の入力待ちの状態の表示例である。
【図19】操作パネルに表示される編集画面であって布上の十字線の縦線に沿った第二の点に縫い針を位置決めする操作の入力待ちの状態の表示例である。
【図20】操作パネルに表示される編集画面であって布上の十字線の横線に沿った任意の点に縫い針を位置決めする操作の入力待ちの状態の表示例である。
【図21】操作パネルに表示される縫製画面であって縫製開始当初の状態を示す表示例である。
【図22】操作パネルに表示される縫製画面であって一の分割模様について終了が近い状態を示す表示例である。
【図23】操作パネルに表示される縫い模様選択画面の表示例である。
【図24】操作パネルに表示される布保持指令画面の表示例である。
【図25】操作パネルに表示される編集画面であって布上の十字線の縦線に沿った第一の点に縫い針を位置決めする操作の入力待ちの状態の表示例である。
【図26】操作パネルに表示される編集画面であって布上の十字線の縦線に沿った第二の点に縫い針を位置決めする操作の入力待ちの状態の表示例である。
【図27】操作パネルに表示される編集画面であって布上の十字線の横線に沿った任意の点に縫い針を位置決めする操作の入力待ちの状態の表示例である。
【図28】操作パネルに表示される縫製画面であって縫製開始当初の状態を示す表示例である。
【図29】操作パネルに表示される縫製画面であって一の分割模様について終了が近い状態を示す表示例である。
【符号の説明】
10 ミシン(刺繍縫いミシン)
14 縫い針
17 刺繍枠
18 枠移動手段
80 動作制御手段(コンピュータ)
81 CPU(枠位置制御手段)
82 ROM(模様データ記憶手段)
84a ROMカード(記録媒体、模様データ記憶手段)
B1,B2 分割模様
B3,B4,B5,B6 重複領域
D 分割模様データ
Claims (9)
- 布を保持する刺繍枠を縫い針に対向する平面に沿って移動させる枠移動手段により、前記刺繍枠を前記縫い針の上下動の一往復ごとに所定の針落ち位置に移動させることで前記布上に刺繍模様を形成させる刺繍縫いミシンのコンピュータが読み取り可能な刺繍模様データを記憶した記録媒体であって、
前記刺繍枠に収まらない大きさの刺繍模様を、模様に係る途中部分でいずれも刺繍枠に収まる大きさに分割してなる複数の分割模様ごとに、当該各分割模様を個別に形成する前記針落ち位置を示すデータ群を有する複数の分割模様データを備え、
前記各分割模様データは、隣接する他の分割模様との境界に重複領域を設けると共に、前記重複領域の内,当該重複領域に形成される刺繍の縫い目方向が前記境界に沿った方向と交差する重複領域については、その先端が隣接する分割模様側に向けられた鋸歯状形状を形成する前記針落ち位置を示すデータ群を有する構造であることを特徴とする刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記複数の分割模様データは、各々が処理される順番が特定された構造であることを特徴とする請求項1記載の刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 前記各分割模様が複数の色彩領域からなることに対応して、前記各分割模様データは、各色彩の領域形状を形成する針落ち位置を示すデータ群単位で分割され、
前記色彩について予め定められた順番で処理が行われると共に前記各色彩ごとに分割されたデータ群ごとにその処理の完了時に前記刺繍縫いミシンの刺繍動作を停止させる停止コードを備え、
処理が最終の順番となる色彩の色彩領域が二つの前記分割模様の境界上にまたがる場合には、当該色彩領域を形成する複数の針落ち位置を示すデータを全て、前記二つの分割模様を形成する分割模様データの内の処理が後となる分割模様データに含ませる構造であることを特徴とする請求項2記載の刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記各分割模様データは、各々の分割模様の画像データを有すると共に、互いに隣接すべき前記分割模様同士を正常に隣接配置させたときに同一位置で重複する,各頂点を縫い目一つの大きさで形成する位置合わせマークの画像データも前記各々の分割模様の画像データに含ませる構造としたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 前記各分割模様データは、前記位置合わせマークをその画像データによる表示位置と同じ配置で縫製させる針落ち位置を示すデータを含み、
前記位置合わせマークの針落ち位置を示すデータは、全ての針落ち位置を示すデータの最後に処理される構造としたことを特徴とする請求項4記載の刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 布を縫い針の上下動の一往復ごとに所定の針落ち位置に移動させることで前記布上に刺繍模様を形成させる刺繍縫いミシンであって、
前記布を保持する刺繍枠と、
この刺繍枠を前記縫い針に対向する平面に沿って移動させる枠移動手段と、
前記刺繍枠に収まらない大きさの刺繍模様を、模様に係る途中部分でいずれも刺繍枠に収まる大きさに分割してなる複数の分割模様であって、隣接する他の分割模様との境界に重複領域を備えると共に、前記重複領域の内,当該重複領域に形成される刺繍の縫い目方向が前記境界に沿った方向と交差する重複領域については、その先端が隣接する分割模様側に向けられた鋸歯状形状を有するものを形成する前記針落ち位置を示すデータ群を有する複数の分割模様データを記憶する模様データ記憶手段と、
前記各分割模様データに基づいて、前記枠移動手段により前記刺繍枠を前記縫い針の上下動の一往復ごとに所定の針落ち位置に移動させる動作制御を行う枠位置制御手段と、
前記布の再保持により生じる前記刺繍枠に対する前記布の位置変化量を演算する変化量演算手段と、
検出された前記位置変化量に基づいて、次以降に刺繍縫製を行う分割模様の分割模様データを補正する第一の位置データ補正手段とを備えることを特徴とする刺繍縫いミシン。 - 前記模様データ記憶手段に記憶される複数の分割模様データは各々が処理される順番が特定された構造であり、
前記枠位置制御手段は、前記特定された順番に従って前記各分割模様データに基づく前記枠移動手段の動作制御を行うことを特徴とする請求項6記載の刺繍縫いミシン。 - 前記模様データ記憶手段に記憶される各分割模様データは、各々の分割模様の画像データを有すると共に、当該画像データは互いに隣接すべき前記分割模様同士を正常に隣接配置させたときに同一位置で重複する,各頂点を縫い目一つの大きさで形成する位置合わせマークの画像データをも有し、
前記各分割模様データの画像データに基づいて前記各分割模様の画像を表示する画像表示手段と、
前記表示画像に対して外部操作により各分割模様の画像の位置修正を入力する画像位置修正手段と、
前記画像表示手段に表示された前記各分割模様の相対的な位置関係に基づいて前記各分割模様データを補正する第二の位置データ補正手段とを備えることを特徴とする請求項6又は7記載の刺繍縫いミシン。 - 前記各分割模様データの画像データに基づく前記各分割模様の表示画像の表示倍率を拡大して前記位置合わせマークを目視可能に表示する表示制御手段を備えることを特徴とする請求項8記載の刺繍縫いミシン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002352618A JP2004180993A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び刺繍縫いミシン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002352618A JP2004180993A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び刺繍縫いミシン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004180993A true JP2004180993A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32754189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002352618A Ceased JP2004180993A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び刺繍縫いミシン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004180993A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006043232A (ja) * | 2004-08-06 | 2006-02-16 | Brother Ind Ltd | 刺繍縫製可能なミシン |
JP2006075501A (ja) * | 2004-09-13 | 2006-03-23 | Juki Corp | ミシン |
JP2006271597A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Brother Ind Ltd | 刺繍データ編集処理装置 |
JP2010246885A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-11-04 | Brother Ind Ltd | ミシン |
JP2011050635A (ja) * | 2009-09-03 | 2011-03-17 | Brother Industries Ltd | ミシン |
US8286568B2 (en) | 2009-09-03 | 2012-10-16 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sewing machine and computer-readable medium storing sewing machine control program |
US8539892B2 (en) | 2009-09-03 | 2013-09-24 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sewing machine and computer-readable medium storing sewing machine control program |
JP2020513066A (ja) * | 2017-10-23 | 2020-04-30 | エービーエム インターナショナル, インク. | 刺繍キルティング装置、方法及びコンピュータ可読媒体 |
US11473228B2 (en) | 2018-03-16 | 2022-10-18 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Non-transitory computer-readable medium and embroidery data generation method |
-
2002
- 2002-12-04 JP JP2002352618A patent/JP2004180993A/ja not_active Ceased
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006043232A (ja) * | 2004-08-06 | 2006-02-16 | Brother Ind Ltd | 刺繍縫製可能なミシン |
JP4625297B2 (ja) * | 2004-09-13 | 2011-02-02 | Juki株式会社 | ミシン |
JP2006075501A (ja) * | 2004-09-13 | 2006-03-23 | Juki Corp | ミシン |
JP2006271597A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Brother Ind Ltd | 刺繍データ編集処理装置 |
EP2233627A3 (en) * | 2009-03-27 | 2011-08-17 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sewing machine and computer-readable medium storing control program executable on sewing machine |
JP2010246885A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-11-04 | Brother Ind Ltd | ミシン |
US8596210B2 (en) | 2009-03-27 | 2013-12-03 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sewing machine and computer-readable medium storing control program executable on sewing machine |
JP2011050635A (ja) * | 2009-09-03 | 2011-03-17 | Brother Industries Ltd | ミシン |
US8286568B2 (en) | 2009-09-03 | 2012-10-16 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sewing machine and computer-readable medium storing sewing machine control program |
US8539893B2 (en) | 2009-09-03 | 2013-09-24 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sewing machine and computer-readable medium storing sewing machine control program |
US8539892B2 (en) | 2009-09-03 | 2013-09-24 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sewing machine and computer-readable medium storing sewing machine control program |
JP2020513066A (ja) * | 2017-10-23 | 2020-04-30 | エービーエム インターナショナル, インク. | 刺繍キルティング装置、方法及びコンピュータ可読媒体 |
US11220768B2 (en) | 2017-10-23 | 2022-01-11 | Abm International, Inc. | Embroidery quilting apparatus, method, and computer-readable medium |
JP7402688B2 (ja) | 2017-10-23 | 2023-12-21 | エービーエム インターナショナル, インク. | 刺繍キルティング装置、方法及びコンピュータ可読媒体 |
US11473228B2 (en) | 2018-03-16 | 2022-10-18 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Non-transitory computer-readable medium and embroidery data generation method |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8948901B2 (en) | Sewing machine | |
US7079917B2 (en) | Embroidery data producing device and embroidery data producing control program | |
JP5942389B2 (ja) | ミシン | |
EP2233627A2 (en) | Sewing machine and computer-readable medium storing control program executable on sewing machine | |
JP2013099455A (ja) | ミシン | |
US20120272884A1 (en) | Sewing machine and computer program product stored on non-transitory computer-readable medium | |
JP5741851B2 (ja) | ミシン | |
JPH11244561A (ja) | 縫製装置 | |
US9228279B2 (en) | Sewing machine | |
JP3224636B2 (ja) | 被加工布と刺繍枠との位置合わせ機能付きミシン。 | |
JP2004180993A (ja) | 刺繍模様データが記憶された刺繍縫いミシンのコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び刺繍縫いミシン | |
EP1997945A1 (en) | Buttonholing machine | |
JP2009011594A (ja) | ミシンによる刺繍方法及びミシン | |
US7493867B2 (en) | Sewing machine | |
JP2011101695A (ja) | 刺繍データ処理装置、ミシン、刺繍データ処理プログラム、および刺繍データ処理プログラムを記憶した記憶媒体 | |
US8176861B2 (en) | Embroidery data processor, sewing machine, and computer readable medium for embroidery data processing | |
JP2007111233A (ja) | ミシン | |
US20080223273A1 (en) | Sewing machine | |
JPH0375084A (ja) | ミシン | |
JP2014136037A (ja) | アップリケ用刺繍機 | |
JP3917251B2 (ja) | 形状縫いミシン | |
JP2005074117A (ja) | 刺繍ミシン | |
JP2008079898A (ja) | 刺繍データ処理装置、刺繍データ処理装置を備えたミシン、刺繍データ処理プログラム及び、刺繍データ処理プログラムを記録した記録媒体 | |
JP2836133B2 (ja) | 刺繍データ処理装置 | |
TWI656255B (zh) | Embroidery sewing machine with fixed function of false lining and material |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051129 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080401 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080602 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081202 |
|
A045 | Written measure of dismissal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045 Effective date: 20090428 |