JP2004079420A - 導電性炭素、これを用いた燃料電池用の電極触媒、燃料電池セルおよび燃料電池 - Google Patents
導電性炭素、これを用いた燃料電池用の電極触媒、燃料電池セルおよび燃料電池 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】触媒上で生じる水素イオンおよび電子とを効率的に伝導させる導電性炭素を用いた電極触媒を用いた燃料電池セルを提供する。
【解決手段】少なくとも白金触媒が担持された導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を有している電極触媒。燃料極側の電極触媒層と、酸化剤極側の電極触媒層と、これらの電極触媒層の間に設けられた高分子電解質膜とを有する燃料電池セルであって、前記燃料極側の電極触媒層および酸化剤極側の電極触媒層の少なくとも一方が上記の電極触媒を含有する燃料電池セル。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも白金触媒が担持された導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を有している電極触媒。燃料極側の電極触媒層と、酸化剤極側の電極触媒層と、これらの電極触媒層の間に設けられた高分子電解質膜とを有する燃料電池セルであって、前記燃料極側の電極触媒層および酸化剤極側の電極触媒層の少なくとも一方が上記の電極触媒を含有する燃料電池セル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に用いる導電性炭素、これを用いる電極触媒、燃料電池セルおよび固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とが固体高分子型電解質膜を挟持する層構造を有する。一般的に、この燃料極と酸化剤極は、白金などの貴金属や有機金属錯体を担持した導電性炭素を含む触媒と、高分子電解質と、バインダーとの混合体によって構成される。燃料極に供給された燃料は、電極中の細孔を通過して触媒に達し、触媒により電子を放出して水素イオンとなる。水素イオンは両電極間にある高分子電解質膜を通過して酸化剤極に達し、これと酸化剤極に供給された酸素と外部回路より流れ込む電子とが反応して水が生成される。燃料より放出された電子は、電極中の触媒や触媒が担持されている導電性炭素を伝導して外部回路へ導き出され、外部回路より酸化剤極へ流れ込む。この結果、外部回路では燃料極から酸化剤極へ向かって電子が流れ、こうした仕組みによって燃料電池から電力が取り出される。
【0003】
例えば、燃料として水素を用いると燃料極では以下の反応が起こる。
【0004】
【化1】
また酸化剤極では以下の反応が起こる。
【0005】
【化2】
【0006】
白金等の触媒の担持体である導電性炭素は、上記反応により生成される電子を伝導させる伝導体として機能し、混合体に含まれる高分子電解質は水素イオンを伝導させる伝導体として機能する。故に電極と電極間の高分子電解質膜との界面では、混合体に含まれる導電性炭素と高分子電解質とがそれぞれネットワークを形成して、電子と水素イオンのそれぞれの伝導がスムーズに行われる必要がある。
【0007】
従来、電子あるいは水素イオンをスムーズに伝導させることによって燃料電池の特性を向上させるために、導電性炭素に担持する触媒の形態やその分散状態の改良が行われてきた。例えば特開昭63−319050号公報では貴金属粒子を高分散の状態で炭素微粉末に担持するために、担体である炭素微粉末三次元構造を破壊し、貴金属粒子の吸着サイトを増加させることが開示されている。
【0008】
また、特開昭63−97232号公報では2〜4nmの貴金属のコロイド粒子を調製し、そのコロイド粒子を市販の50〜300m2 /gの比表面積を持つ炭素粉末状に付着させることが開示されている。また、特開平6−19671号公報には触媒粒子を触媒担体により高分散に担持させるということで炭素微粉末の細孔直径と比表面積を条件付けている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
混合体に含まれる高分子電解質と電極間の高分子電解質膜は、水素イオンの伝導体であるため、上記の反応式(1)に従って発生した水素イオンを燃料極側から酸化剤極側へ伝導させる。また同時に発生した電子は、触媒上や触媒が担持されている導電性炭素から隣接する導電性炭素へと伝導して集電体に集められ、外部回路へと流れていく。したがって、燃料電池から電力を取り出すためには、触媒に燃料が接することによって生じる水素イオンと電子とを取り出すことが必要であるため、触媒は、高分子電解質と導電性炭素の両方に接触している必要がある。接触していない触媒は上記の反応に寄与しないことになる。
【0010】
上述した公報に記載されている手法では、高分子電解質が存在できないような微細孔をもつ炭素粉末を触媒の担体としてに用いた場合には、触媒が電解質に接触することが困難となるため高価な貴金属触媒を有効に利用することができない。また、触媒の周囲に高分子電解質が厚く存在する場合には、燃料が触媒まで到達すること困難となるため、反応に寄与しない触媒が存在してしまうこととなる。
【0011】
本発明は、これらの課題を個々にあるいはまとめて解決するものであり、触媒上で発生する水素イオンと電子とを分離して効率よく伝導することができる導電性炭素、これを用いる電極触媒および高い放電特性を示す固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第一の発明は、触媒としての白金を少なくとも担持しており、かつ水素イオン解離が可能な有機基を有する導電性炭素である。
本発明の第二の発明は、上記の導電性炭素を有する燃料電池用の電極触媒である。
【0013】
本発明の第三の発明は、燃料極側の電極触媒層と、酸化剤極側の電極触媒層と、これらの電極触媒層の間に設けられた高分子電解質膜とを有する燃料電池セルであって、前記燃料極側の電極触媒層および酸化剤極側の電極触媒層の少なくとも一方が上記の電極触媒を含有することを特徴とする燃料電池セルである。
【0014】
本発明の第四の発明は、上記の燃料電池セルと、前記燃料電池セルの燃料極側に燃料を供給する手段と、酸化剤極側に酸化剤を供給する手段とを備えることを特徴とする燃料電池である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記の目的を達成するために、少なくとも白金触媒が担持された導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を有している電極触媒にある。
また本発明は、白金触媒及びルテニウム触媒が担持された導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を有している電極触媒にある。
また前記水素イオン解離が可能な有機基がスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基および水酸基のうち少なくとも1つである前記電極触媒にある。
【0016】
また固体高分子型電解質膜を挟んで両主面に配設した電極触媒層と、この電極触媒層の両外側に配設した多孔質の拡散層と、一方の拡散層に燃料を、他方の拡散層に酸化剤を供給するための手段を有する固体高分子型燃料電池において、少なくとも前記電極触媒層の燃料が供給される面は前記の電極触媒が含まれていることを特徴とする固体高分子型燃料電池にある。
【0017】
このように、触媒を担持する導電性炭素を直接修飾することによって、触媒上で発生した電子は導電性炭素をパスとして伝導し、水素イオンは水素イオンが解離可能な有機基をパスとして伝導することができる。
【0018】
したがって、水素イオンが伝導するためのパスと、電子が伝導するためのパスとを確保することができるため、触媒上で発生する水素イオンと電子とを効率よく分離することができる。その結果、固体高分子型燃料電池の放電特性を向上させることができる。
【0019】
以下図面を用いて本発明を詳細に説明する。
本発明の燃料電池の一例の部分概略図を図1に示す。
図1において、本発明の燃料電池には、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2a、2bが設けられ、その外側に拡散層3a、3bを設け、さらにその外側に集電体としての電極4a(燃料極)、4b(酸化剤極)が設けられる。
【0020】
高分子電解質膜1は、Du Pont社製のナフィオン膜に代表されるパーフルオロスルホン酸高分子膜、ヘキスト社製の炭化水素系膜などが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、水素イオン導電性を有する官能基例えばスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基および水酸基をもつ高分子膜を広く用いることができる。
【0021】
またゾルゲル法で作成した無機電解質と高分子膜のハイブリッド電解質膜なども用いることができる。
燃料のクロスオーバーを防止するために、電解質膜表面にコーティングを施しても良い。
【0022】
電極触媒層2a,2bの一方または両方には、導電性炭素を含む電極触媒が含有されている。電極触媒の概略模式図を図2に示す。ここで5は導電性炭素、6は導電性炭素表面に担持された触媒、7は導電性炭素に直接結合した水素イオン解離が可能な有機基である。
【0023】
例えば、燃料極側の電極触媒層2aは、少なくとも白金触媒6が担持された導電性炭素5であって水素イオン解離が可能な有機基7を有している導電性炭素5を含む電極触媒によって形成される。
【0024】
白金触媒は、導電性炭素の表面に担持されていることが好ましい。担持された触媒の粒子径は小さいことが好ましく、具体的には、平均粒子径が0.5nm〜20nm、さらには1nm〜10nmの範囲が好ましい。0.5nm未満の場合には、触媒粒子単体で活性が高すぎ、取り扱いが困難となる。また20nmを越えると、触媒の表面積が減少して反応部位が減少するために、活性が低下するおそれがある。
【0025】
白金触媒の代わりに、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、およびオスミウムなどの白金族金属を用いたり、白金とそれら金属の合金を用いても構わない。特に燃料としてメタノールを用いる場合、燃料極側の電極触媒には、白金とルテニウムの合金を用いることが好ましい。
【0026】
また、導電性炭素としては、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト、カーボンナノチューブなどから選ぶことができる。
【0027】
また、導電性炭素の平均粒子径が5nm〜1000nmの範囲であることが好ましく、更には10nm〜100nmの範囲であることが好ましい。また前述した触媒を担持させるため、BET比表面積はある程度大きい方が良く、50m2 /g〜3000m2 /g、更には100m2 /g〜2000m2 /gが好ましい。
【0028】
導電性炭素表面への触媒の担持方法は、公知の方法を広く用いることができる。例えば白金および他の金属の溶液に導電性炭素を含浸した後、これら貴金属イオンを還元し、導電性炭素表面に担持させる方法などが知られており、特開平2−111440号公報、特開2000−003712号公報などに開示されている。また担持させたい貴金属をターゲットとし導電性炭素にスパッタなどの真空成膜方法により担持させても構わない。
【0029】
導電性炭素の表面に担持される触媒の量は、電極触媒全体に対して5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%の範囲が望ましい。5重量%未満では触媒性能が十分発現しない恐れがあり、80重量%をこえると触媒の作製コストが高くなるばかりか、引火しやすくなるなど製造工程上の取扱が極めて難しくなるので好ましくない。
【0030】
本発明の導電性炭素には、水素イオン解離が可能な有機基が直接結合もしくは物理吸着している。水素イオン解離が可能な有機基としては、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、水酸基などがあるが、特にスルホン酸が特性上、製造上好ましい。例えば導電性炭素にスルホン酸を直接結合させるのであれば、発煙硫酸などで加熱処理をすることで容易に得ることができる。また硫酸で導電性炭素を処理することで、スルホン酸基を物理吸着させた導電性炭素を得ることができる。導電性炭素に有機基を直接結合させるか物理吸着させるかは、導電性炭素の種類、有機基の種類によって適宜選択して構わない。しかし直接結合させた方が、耐久性の面から好ましい。またこれらの水素イオン解離が可能な有機基の中から複数の有機基を用いても構わない。
【0031】
結合させる水素イオン解離が可能な有機基の量は、導電性炭素に対して0.0001mmol/g〜100mmol/g、さらには0.001mmol/g〜10mmol/gの範囲が好ましい。0.0001mmol/g未満では有機基のプロトン伝導性が発現されず、100mmol/gを越えると導電性が阻害されるため好ましくない。
【0032】
導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を直接結合もしくは物理吸着させる工程および触媒を担持させる工程の順序は特に問わない。
【0033】
本発明の電極触媒は、導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基が直接結合もしくは物理吸着することにより、燃料極側において触媒上で発生した電子は導電性炭素をパスとして電極へ輸送され、また発生した水素イオンは、水素イオン解離が可能な有機基をパスとして電解質へそれぞれ効率よく輸送することが可能である。
【0034】
酸化剤極側でも本発明の電極触媒を用いてもよい。電極間の電解質膜より受け取った水素イオンと外部回路より入ってくる電子を効率よく輸送することが可能となり酸化剤である酸素との反応性も向上する。
【0035】
特に本発明では、導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を直接結合もしくは物理吸着させることによって、燃料や酸素の通過に起因する有機基の局在化が発生せず、また表面近傍の反応場に導電性炭素、水素イオン解離が可能な有機基、触媒が直接接することで反応効率の向上が見込まれる。
【0036】
このようにして作製した電極触媒を、単独で高分子電解質膜に接して設ける。または電極触媒を、バインダー、高分子電解質、撥水剤、導電性炭素、溶剤などと混合して高分子電解質膜に接して設ける。燃料電池が拡散層を有する場合には、拡散層にも接して設ける。
【0037】
拡散層3a、3bは、燃料である水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルおよび酸化剤である空気や酸素を効率よく均一に電極触媒層に導入し、かつ電極に接触して電子を受け渡しするものである。一般的には、導電性の多孔質膜が好ましく、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンとポリテトラフルオロエチレンとの複合シートなどを用られる。
この拡散層の表面および内部をフッソ系塗料でコーティングし撥水化処理をして用いても構わない。
【0038】
電極4a、4bは各拡散層に燃料、酸化剤を効率よく供給できかつ拡散層と電子の授受が行えるものであれば従来から用いられているものを特に限定することなく用いることができる。
【0039】
本発明における燃料電池は、高分子電解質、電極触媒層、拡散層、電極を図1のように積層して作成するが、その形状は任意であり作製方法についても特に限定はなく一般的な方法を用いることができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
(電極触媒の製造例)
実施例1〜3
導電性炭素として、バルカンXC72−R(キャボット社製)を用い、その表面に、塩化白金酸水溶液および塩化ルテニウム水溶液を原料として用いて、白金化合物およびルテニウム化合物を担持、還元させることにより白金(30重量%)−ルテニウム(15重量%)の合金を担持させた。
【0042】
この触媒を担持させた導電性炭素を乾燥後、発煙硫酸で加熱処理しさらにイオン交換水で洗浄し、触媒を担持した導電性炭素にスルホン酸を直接結合させた。その後、よく乾燥させて本実施例の電極触媒としての導電性炭素を得た。発煙硫酸で処理する際に、その処理時間を種々変更することによって、導電性炭素に結合させるスルホン酸の量を変えた。
元素分析によりスルホン酸基の量を定量し、以下の表1に示す3種類の電極触媒を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例4
導電性炭素として、ケッチェンブラックEC(ライオン社製)を用い、クロロアルキルホスホン酸で処理し導電性炭素の表面にホスホン酸基を直接結合させた。さらにその表面に、実施例1〜3と同様にして実施例1〜3と同様にして、白金(30重量%)−ルテニウム(15重量%)の合金を担持させた。その後よく乾燥させて本実施例の電極触媒としての導電性炭素を得た。
【0045】
元素分析によりホスホン酸基の量を定量し、以下の表2に示す電極触媒を得た。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例5〜7
導電性炭素としてバルカンXC72−R(キャボット社製)を用い、その表面に、塩化白金酸水溶液を原料として用いて、白金化合物を担持、還元させることにより白金(50重量%)を担持させた。
この触媒を担持させた導電性カーボンを乾燥後、発煙硫酸で処理しさらにイオン交換水で洗浄し、触媒が担持した導電性炭素にスルホン酸を直接結合させた。その後よく乾燥させて本実施例の電極触媒としての導電性炭素を得た。発煙硫酸で処理する際に、その処理時間を種々変更して、結合させるスルホン酸の量を変えた。
【0048】
元素分析によりスルホン酸基の量を定量し、以下の表3に示す3種類の電極触媒を得た。
【0049】
【表3】
【0050】
比較例1
実施例1で用いた白金(30重量%)−ルテニウム(15重量%)を担持させたバルカンXC72−Rにスルホン酸基を付けないでそのまま用いた。
【0051】
比較例2
実施例5で用いた白金(50重量%)を担持させたバルカンXC72−Rにスルホン酸基を付けないでそのまま用いた。
【0052】
評価
実施例1〜7、比較例1〜2で作製した触媒を担持し、有機基を有する導電性炭素を各々4gを、水10g、ナフィオン5%溶液(和光純薬社製)8gとともに混合しペースト状にした。
このペーストを、撥水処理した厚さ0.1mmのカーボンペーパー(TGP−H−30、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させた。この際の白金または白金−ルテニウム合金の塗布量は各々約4mg/cm2 であった。
【0053】
燃料極側、酸化剤極側として以下の表4に示す組み合わせで用意し、電解質膜としてナフィオン112(デュポン社製)を挟持した。さらにホットプレスを用いて100℃、4.9MPa(50kgf/cm2 )でプレス処理し、MEA(Membrane Electrode Assembly)とした。
【0054】
【表4】
【0055】
上記で作製したMEAを、燃料電池の単セルに組み込みそれぞれセルを作製した。セル面積は25cm2 である。
【0056】
それぞれのセルについて、燃料極側には、5wt%のメタノール水溶液を10ml/minで供給し、酸化剤極側には常圧の空気を200ml/minで供給し、セル全体を75℃にて保温しながら発電をおこなった。
【0057】
評価例1〜7のセルの電流と電圧の関係を図3に示す。評価例1〜6の本発明の燃料電池セルにおいては、0.5A/cm2 まで安定して出力が取り出せるが、評価例7においては0.2A/cm2 以下しか電流がとり出せないことがわかる。これは、導電性炭素に結合されたスルホン酸基またはホスホン酸基が水素イオンの有効なパスになっているためであることがわかる。
なお、燃料として、水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルなどを用いても同様の結果が得られる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、水素イオン解離が可能な有機基と、白金触媒を担持した導電性炭素を有することから、触媒上で生じる水素イオンおよび電子とを効率的に伝導させることができる。
このような導電性炭素を電極触媒として用いることにより、高い放電特性を示す固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の部分概略図である。
【図2】本発明の電極触媒の構造を表す概略図である。
【図3】本発明の評価例1〜7における燃料電池の電流と電圧の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 高分子電解質膜
2a、2b 電極触媒層
3a、3b 拡散層
4a、4b 電極
5 導電性炭素
6 触媒
7 水素イオン解離が可能な有機基
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に用いる導電性炭素、これを用いる電極触媒、燃料電池セルおよび固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とが固体高分子型電解質膜を挟持する層構造を有する。一般的に、この燃料極と酸化剤極は、白金などの貴金属や有機金属錯体を担持した導電性炭素を含む触媒と、高分子電解質と、バインダーとの混合体によって構成される。燃料極に供給された燃料は、電極中の細孔を通過して触媒に達し、触媒により電子を放出して水素イオンとなる。水素イオンは両電極間にある高分子電解質膜を通過して酸化剤極に達し、これと酸化剤極に供給された酸素と外部回路より流れ込む電子とが反応して水が生成される。燃料より放出された電子は、電極中の触媒や触媒が担持されている導電性炭素を伝導して外部回路へ導き出され、外部回路より酸化剤極へ流れ込む。この結果、外部回路では燃料極から酸化剤極へ向かって電子が流れ、こうした仕組みによって燃料電池から電力が取り出される。
【0003】
例えば、燃料として水素を用いると燃料極では以下の反応が起こる。
【0004】
【化1】
また酸化剤極では以下の反応が起こる。
【0005】
【化2】
【0006】
白金等の触媒の担持体である導電性炭素は、上記反応により生成される電子を伝導させる伝導体として機能し、混合体に含まれる高分子電解質は水素イオンを伝導させる伝導体として機能する。故に電極と電極間の高分子電解質膜との界面では、混合体に含まれる導電性炭素と高分子電解質とがそれぞれネットワークを形成して、電子と水素イオンのそれぞれの伝導がスムーズに行われる必要がある。
【0007】
従来、電子あるいは水素イオンをスムーズに伝導させることによって燃料電池の特性を向上させるために、導電性炭素に担持する触媒の形態やその分散状態の改良が行われてきた。例えば特開昭63−319050号公報では貴金属粒子を高分散の状態で炭素微粉末に担持するために、担体である炭素微粉末三次元構造を破壊し、貴金属粒子の吸着サイトを増加させることが開示されている。
【0008】
また、特開昭63−97232号公報では2〜4nmの貴金属のコロイド粒子を調製し、そのコロイド粒子を市販の50〜300m2 /gの比表面積を持つ炭素粉末状に付着させることが開示されている。また、特開平6−19671号公報には触媒粒子を触媒担体により高分散に担持させるということで炭素微粉末の細孔直径と比表面積を条件付けている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
混合体に含まれる高分子電解質と電極間の高分子電解質膜は、水素イオンの伝導体であるため、上記の反応式(1)に従って発生した水素イオンを燃料極側から酸化剤極側へ伝導させる。また同時に発生した電子は、触媒上や触媒が担持されている導電性炭素から隣接する導電性炭素へと伝導して集電体に集められ、外部回路へと流れていく。したがって、燃料電池から電力を取り出すためには、触媒に燃料が接することによって生じる水素イオンと電子とを取り出すことが必要であるため、触媒は、高分子電解質と導電性炭素の両方に接触している必要がある。接触していない触媒は上記の反応に寄与しないことになる。
【0010】
上述した公報に記載されている手法では、高分子電解質が存在できないような微細孔をもつ炭素粉末を触媒の担体としてに用いた場合には、触媒が電解質に接触することが困難となるため高価な貴金属触媒を有効に利用することができない。また、触媒の周囲に高分子電解質が厚く存在する場合には、燃料が触媒まで到達すること困難となるため、反応に寄与しない触媒が存在してしまうこととなる。
【0011】
本発明は、これらの課題を個々にあるいはまとめて解決するものであり、触媒上で発生する水素イオンと電子とを分離して効率よく伝導することができる導電性炭素、これを用いる電極触媒および高い放電特性を示す固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第一の発明は、触媒としての白金を少なくとも担持しており、かつ水素イオン解離が可能な有機基を有する導電性炭素である。
本発明の第二の発明は、上記の導電性炭素を有する燃料電池用の電極触媒である。
【0013】
本発明の第三の発明は、燃料極側の電極触媒層と、酸化剤極側の電極触媒層と、これらの電極触媒層の間に設けられた高分子電解質膜とを有する燃料電池セルであって、前記燃料極側の電極触媒層および酸化剤極側の電極触媒層の少なくとも一方が上記の電極触媒を含有することを特徴とする燃料電池セルである。
【0014】
本発明の第四の発明は、上記の燃料電池セルと、前記燃料電池セルの燃料極側に燃料を供給する手段と、酸化剤極側に酸化剤を供給する手段とを備えることを特徴とする燃料電池である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記の目的を達成するために、少なくとも白金触媒が担持された導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を有している電極触媒にある。
また本発明は、白金触媒及びルテニウム触媒が担持された導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を有している電極触媒にある。
また前記水素イオン解離が可能な有機基がスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基および水酸基のうち少なくとも1つである前記電極触媒にある。
【0016】
また固体高分子型電解質膜を挟んで両主面に配設した電極触媒層と、この電極触媒層の両外側に配設した多孔質の拡散層と、一方の拡散層に燃料を、他方の拡散層に酸化剤を供給するための手段を有する固体高分子型燃料電池において、少なくとも前記電極触媒層の燃料が供給される面は前記の電極触媒が含まれていることを特徴とする固体高分子型燃料電池にある。
【0017】
このように、触媒を担持する導電性炭素を直接修飾することによって、触媒上で発生した電子は導電性炭素をパスとして伝導し、水素イオンは水素イオンが解離可能な有機基をパスとして伝導することができる。
【0018】
したがって、水素イオンが伝導するためのパスと、電子が伝導するためのパスとを確保することができるため、触媒上で発生する水素イオンと電子とを効率よく分離することができる。その結果、固体高分子型燃料電池の放電特性を向上させることができる。
【0019】
以下図面を用いて本発明を詳細に説明する。
本発明の燃料電池の一例の部分概略図を図1に示す。
図1において、本発明の燃料電池には、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2a、2bが設けられ、その外側に拡散層3a、3bを設け、さらにその外側に集電体としての電極4a(燃料極)、4b(酸化剤極)が設けられる。
【0020】
高分子電解質膜1は、Du Pont社製のナフィオン膜に代表されるパーフルオロスルホン酸高分子膜、ヘキスト社製の炭化水素系膜などが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、水素イオン導電性を有する官能基例えばスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基および水酸基をもつ高分子膜を広く用いることができる。
【0021】
またゾルゲル法で作成した無機電解質と高分子膜のハイブリッド電解質膜なども用いることができる。
燃料のクロスオーバーを防止するために、電解質膜表面にコーティングを施しても良い。
【0022】
電極触媒層2a,2bの一方または両方には、導電性炭素を含む電極触媒が含有されている。電極触媒の概略模式図を図2に示す。ここで5は導電性炭素、6は導電性炭素表面に担持された触媒、7は導電性炭素に直接結合した水素イオン解離が可能な有機基である。
【0023】
例えば、燃料極側の電極触媒層2aは、少なくとも白金触媒6が担持された導電性炭素5であって水素イオン解離が可能な有機基7を有している導電性炭素5を含む電極触媒によって形成される。
【0024】
白金触媒は、導電性炭素の表面に担持されていることが好ましい。担持された触媒の粒子径は小さいことが好ましく、具体的には、平均粒子径が0.5nm〜20nm、さらには1nm〜10nmの範囲が好ましい。0.5nm未満の場合には、触媒粒子単体で活性が高すぎ、取り扱いが困難となる。また20nmを越えると、触媒の表面積が減少して反応部位が減少するために、活性が低下するおそれがある。
【0025】
白金触媒の代わりに、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、およびオスミウムなどの白金族金属を用いたり、白金とそれら金属の合金を用いても構わない。特に燃料としてメタノールを用いる場合、燃料極側の電極触媒には、白金とルテニウムの合金を用いることが好ましい。
【0026】
また、導電性炭素としては、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト、カーボンナノチューブなどから選ぶことができる。
【0027】
また、導電性炭素の平均粒子径が5nm〜1000nmの範囲であることが好ましく、更には10nm〜100nmの範囲であることが好ましい。また前述した触媒を担持させるため、BET比表面積はある程度大きい方が良く、50m2 /g〜3000m2 /g、更には100m2 /g〜2000m2 /gが好ましい。
【0028】
導電性炭素表面への触媒の担持方法は、公知の方法を広く用いることができる。例えば白金および他の金属の溶液に導電性炭素を含浸した後、これら貴金属イオンを還元し、導電性炭素表面に担持させる方法などが知られており、特開平2−111440号公報、特開2000−003712号公報などに開示されている。また担持させたい貴金属をターゲットとし導電性炭素にスパッタなどの真空成膜方法により担持させても構わない。
【0029】
導電性炭素の表面に担持される触媒の量は、電極触媒全体に対して5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%の範囲が望ましい。5重量%未満では触媒性能が十分発現しない恐れがあり、80重量%をこえると触媒の作製コストが高くなるばかりか、引火しやすくなるなど製造工程上の取扱が極めて難しくなるので好ましくない。
【0030】
本発明の導電性炭素には、水素イオン解離が可能な有機基が直接結合もしくは物理吸着している。水素イオン解離が可能な有機基としては、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、水酸基などがあるが、特にスルホン酸が特性上、製造上好ましい。例えば導電性炭素にスルホン酸を直接結合させるのであれば、発煙硫酸などで加熱処理をすることで容易に得ることができる。また硫酸で導電性炭素を処理することで、スルホン酸基を物理吸着させた導電性炭素を得ることができる。導電性炭素に有機基を直接結合させるか物理吸着させるかは、導電性炭素の種類、有機基の種類によって適宜選択して構わない。しかし直接結合させた方が、耐久性の面から好ましい。またこれらの水素イオン解離が可能な有機基の中から複数の有機基を用いても構わない。
【0031】
結合させる水素イオン解離が可能な有機基の量は、導電性炭素に対して0.0001mmol/g〜100mmol/g、さらには0.001mmol/g〜10mmol/gの範囲が好ましい。0.0001mmol/g未満では有機基のプロトン伝導性が発現されず、100mmol/gを越えると導電性が阻害されるため好ましくない。
【0032】
導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を直接結合もしくは物理吸着させる工程および触媒を担持させる工程の順序は特に問わない。
【0033】
本発明の電極触媒は、導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基が直接結合もしくは物理吸着することにより、燃料極側において触媒上で発生した電子は導電性炭素をパスとして電極へ輸送され、また発生した水素イオンは、水素イオン解離が可能な有機基をパスとして電解質へそれぞれ効率よく輸送することが可能である。
【0034】
酸化剤極側でも本発明の電極触媒を用いてもよい。電極間の電解質膜より受け取った水素イオンと外部回路より入ってくる電子を効率よく輸送することが可能となり酸化剤である酸素との反応性も向上する。
【0035】
特に本発明では、導電性炭素に水素イオン解離が可能な有機基を直接結合もしくは物理吸着させることによって、燃料や酸素の通過に起因する有機基の局在化が発生せず、また表面近傍の反応場に導電性炭素、水素イオン解離が可能な有機基、触媒が直接接することで反応効率の向上が見込まれる。
【0036】
このようにして作製した電極触媒を、単独で高分子電解質膜に接して設ける。または電極触媒を、バインダー、高分子電解質、撥水剤、導電性炭素、溶剤などと混合して高分子電解質膜に接して設ける。燃料電池が拡散層を有する場合には、拡散層にも接して設ける。
【0037】
拡散層3a、3bは、燃料である水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルおよび酸化剤である空気や酸素を効率よく均一に電極触媒層に導入し、かつ電極に接触して電子を受け渡しするものである。一般的には、導電性の多孔質膜が好ましく、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンとポリテトラフルオロエチレンとの複合シートなどを用られる。
この拡散層の表面および内部をフッソ系塗料でコーティングし撥水化処理をして用いても構わない。
【0038】
電極4a、4bは各拡散層に燃料、酸化剤を効率よく供給できかつ拡散層と電子の授受が行えるものであれば従来から用いられているものを特に限定することなく用いることができる。
【0039】
本発明における燃料電池は、高分子電解質、電極触媒層、拡散層、電極を図1のように積層して作成するが、その形状は任意であり作製方法についても特に限定はなく一般的な方法を用いることができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
(電極触媒の製造例)
実施例1〜3
導電性炭素として、バルカンXC72−R(キャボット社製)を用い、その表面に、塩化白金酸水溶液および塩化ルテニウム水溶液を原料として用いて、白金化合物およびルテニウム化合物を担持、還元させることにより白金(30重量%)−ルテニウム(15重量%)の合金を担持させた。
【0042】
この触媒を担持させた導電性炭素を乾燥後、発煙硫酸で加熱処理しさらにイオン交換水で洗浄し、触媒を担持した導電性炭素にスルホン酸を直接結合させた。その後、よく乾燥させて本実施例の電極触媒としての導電性炭素を得た。発煙硫酸で処理する際に、その処理時間を種々変更することによって、導電性炭素に結合させるスルホン酸の量を変えた。
元素分析によりスルホン酸基の量を定量し、以下の表1に示す3種類の電極触媒を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例4
導電性炭素として、ケッチェンブラックEC(ライオン社製)を用い、クロロアルキルホスホン酸で処理し導電性炭素の表面にホスホン酸基を直接結合させた。さらにその表面に、実施例1〜3と同様にして実施例1〜3と同様にして、白金(30重量%)−ルテニウム(15重量%)の合金を担持させた。その後よく乾燥させて本実施例の電極触媒としての導電性炭素を得た。
【0045】
元素分析によりホスホン酸基の量を定量し、以下の表2に示す電極触媒を得た。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例5〜7
導電性炭素としてバルカンXC72−R(キャボット社製)を用い、その表面に、塩化白金酸水溶液を原料として用いて、白金化合物を担持、還元させることにより白金(50重量%)を担持させた。
この触媒を担持させた導電性カーボンを乾燥後、発煙硫酸で処理しさらにイオン交換水で洗浄し、触媒が担持した導電性炭素にスルホン酸を直接結合させた。その後よく乾燥させて本実施例の電極触媒としての導電性炭素を得た。発煙硫酸で処理する際に、その処理時間を種々変更して、結合させるスルホン酸の量を変えた。
【0048】
元素分析によりスルホン酸基の量を定量し、以下の表3に示す3種類の電極触媒を得た。
【0049】
【表3】
【0050】
比較例1
実施例1で用いた白金(30重量%)−ルテニウム(15重量%)を担持させたバルカンXC72−Rにスルホン酸基を付けないでそのまま用いた。
【0051】
比較例2
実施例5で用いた白金(50重量%)を担持させたバルカンXC72−Rにスルホン酸基を付けないでそのまま用いた。
【0052】
評価
実施例1〜7、比較例1〜2で作製した触媒を担持し、有機基を有する導電性炭素を各々4gを、水10g、ナフィオン5%溶液(和光純薬社製)8gとともに混合しペースト状にした。
このペーストを、撥水処理した厚さ0.1mmのカーボンペーパー(TGP−H−30、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させた。この際の白金または白金−ルテニウム合金の塗布量は各々約4mg/cm2 であった。
【0053】
燃料極側、酸化剤極側として以下の表4に示す組み合わせで用意し、電解質膜としてナフィオン112(デュポン社製)を挟持した。さらにホットプレスを用いて100℃、4.9MPa(50kgf/cm2 )でプレス処理し、MEA(Membrane Electrode Assembly)とした。
【0054】
【表4】
【0055】
上記で作製したMEAを、燃料電池の単セルに組み込みそれぞれセルを作製した。セル面積は25cm2 である。
【0056】
それぞれのセルについて、燃料極側には、5wt%のメタノール水溶液を10ml/minで供給し、酸化剤極側には常圧の空気を200ml/minで供給し、セル全体を75℃にて保温しながら発電をおこなった。
【0057】
評価例1〜7のセルの電流と電圧の関係を図3に示す。評価例1〜6の本発明の燃料電池セルにおいては、0.5A/cm2 まで安定して出力が取り出せるが、評価例7においては0.2A/cm2 以下しか電流がとり出せないことがわかる。これは、導電性炭素に結合されたスルホン酸基またはホスホン酸基が水素イオンの有効なパスになっているためであることがわかる。
なお、燃料として、水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルなどを用いても同様の結果が得られる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、水素イオン解離が可能な有機基と、白金触媒を担持した導電性炭素を有することから、触媒上で生じる水素イオンおよび電子とを効率的に伝導させることができる。
このような導電性炭素を電極触媒として用いることにより、高い放電特性を示す固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の部分概略図である。
【図2】本発明の電極触媒の構造を表す概略図である。
【図3】本発明の評価例1〜7における燃料電池の電流と電圧の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 高分子電解質膜
2a、2b 電極触媒層
3a、3b 拡散層
4a、4b 電極
5 導電性炭素
6 触媒
7 水素イオン解離が可能な有機基
Claims (8)
- 触媒としての白金を少なくとも担持しており、かつ水素イオン解離が可能な有機基を有する導電性炭素。
- さらに触媒としてのルテニウムを担持している請求項1に記載の導電性炭素。
- 前記有機基が、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基および水酸基から選択される少なくとも1つである請求項1または2に記載の導電性炭素。
- 請求項1乃至3のいずれかの項に記載の導電性炭素を有する燃料電池用の電極触媒。
- 燃料極側の電極触媒層と、酸化剤極側の電極触媒層と、これらの電極触媒層の間に設けられた高分子電解質膜とを有する燃料電池セルであって、前記燃料極側の電極触媒層および酸化剤極側の電極触媒層の少なくとも一方が請求項4に記載の電極触媒を含有することを特徴とする燃料電池セル。
- 前記燃料極側の電極触媒層および前記酸化剤極側の電極触媒層のそれぞれの外側に、電力を集めるための集電体を有する請求項5に記載の燃料電池セル。
- 前記燃料極側の電極触媒層と集電体との間、前記酸化剤極側の電極触媒層と集電体との間のそれぞれに、多孔質の拡散層を有する請求項6に記載の燃料電池セル。
- 請求項5乃至7のいずれかに記載の燃料電池セルと、前記燃料電池セルの燃料極側に燃料を供給する手段と、酸化剤極側に酸化剤を供給する手段とを備えることを特徴とする燃料電池。
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