JP2004059776A - 異方導電材テープ - Google Patents

Abstract

【課題】異方導電材テープの異方導電材であるフィルム状接着剤が被接続部材に不具合無く転写し、異方導電材の密着性及び良好な接続信頼性を有する製造歩留及び生産性を向上させた異方導電材テープの供給形態を提供する。
【解決手段】フィルム状の接着剤からなる異方導電材を芯材の長手方向に多数回巻き積層したことを特徴とする異方導電材テープ。フィルム状の接着剤の片面または両面に基材フィルムを設けた２層構造または３層構造の異方導電材とした異方導電材テープ。
【選択図】　図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶パネル、ＰＤＰパネル、ＥＬパネル、ペアチップ実装などの電子部品と回路板、回路板同士を接着固定すると共に、両者の電極同士を電気的に接続する異方導電材を供給するための異方導電材テープに関し、特に異方導電材テープの巻き形態に関する。
【０００２】
【従来の技術】
異方導電材テープによる接続方法として、相対峙する電極間にフィルム状の接着剤である異方導電材を挟み、加熱加圧することにより接続を行うことがなされている。フィルム状の接着剤中には、電極間の導通を得る為の導電粒子が混合され、樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合系、光硬化性樹脂が用いられている（例えば、特開昭５５−１０４００７号公報参照）。
また、導電粒子を含まず、樹脂のみからなる回路接続方法も知られている（例えば、特開昭６０−２６２４３０号公報参照）。
樹脂の代表的なものには熱可塑性樹脂系としてスチレン樹脂系、ポリエステル樹脂系があり、また熱硬化性樹脂系としてはエポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系、アクリル樹脂系が知られている。熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系共に接続する為に、加熱加圧が必要である。熱可塑性樹脂系では樹脂を流動させ被着体との密着力を得る為に、また熱硬化性樹脂系では更に樹脂の硬化反応を行う為である。近年、接続信頼性の面から、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合系、熱硬化性樹脂系が主流となっている。また、低温度で接続することのできる光硬化樹脂系も工業的に用いられ始めている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
近年、被接続体の反り及び伸びを防ぐために異方導電材の接続時の接続温度の低温化が要求されている。また、異方導電材の接続用途の拡大や液晶パネル、ＰＤＰパネル、ＥＬパネル、ベアチップ実装などの需要拡大に伴い接続時のタクトタイムの短時間化の要求が、強くなされるようになっている。
また、異方導電材の接続需要及び用途の拡大に伴い、短時間接続のみならず、生産性向上が要求されている。液晶パネル、ＰＤＰパネル、ＥＬパネル、ベアチップ実装などの需要拡大により、異方導電材テープの使用量は増加している。一方、液晶パネルの大画面及びＰＤＰパネルなど大画面フラットパネルの需要拡大に伴い、異方導電材テープの１枚のパネルに使用される使用量も増加した。従来、異方導電材テープは、断面が円形の芯材にフィルム状の接着剤を巻き重ねたリール形状で供給されており、リールの取り替え時間が生産性向上を妨げていた。
一方、液晶パネルの狭額縁化に伴い、異方導電材テープの狭幅化が進んでおり、従来の同一円芯状に巻いたリール形状では巻崩れが発生し、製造上の工程内歩留が悪化していた。
本発明は、上記欠点に鑑みなされたもので、リールの取り替え時間の間隔を長くし、また巻き崩れによる作業性の低下をなくして生産性の向上に寄与する異方導電材テープを提供することを目的とした。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、［１］フィルム状の接着剤からなる異方導電材を芯材の長手方向に多数回巻き積層したことを特徴とする異方導電材テープである。
また、［２］フィルム状の接着剤の片面に基材フィルムを設けた２層構造の異方導電材である上記［１］に記載の異方導電材テープである。
また、［３］フィルム状の接着剤の両面に基材フィルムを設けた３層構造の異方導電材である上記［１］に記載の異方導電材テープである。
また、［４］基材フィルムの片面または両面が剥離処理された基材フィルムである上記［２］または上記［３］に記載の異方導電材テープである。
また、［５］フィルム状の接着剤の幅が、０．５〜５ｍｍである上記［１］ないし上記［４］のいずれかに記載の異方導電材テープである。
また、［６］基材フィルムの強度が、１２ｋｇ／ｍｍ^２以上で、伸びが、６０〜２００％、厚みが、１００μｍ以下である上記［２］ないし上記［５］のいずれかに記載の異方導電材テープである。そして、基材フィルムは、有色透明または有色不透明に着色してあると基材フィルムと接着剤の判別が容易であり、また、巻きだし部の位置が容易となり、作業性が向上する。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態は、図１及び図２に示したように、糸巻き状にフィルム状の接着剤２と両面を剥離処理した基材フィルム１の２層構造あるいはフィルム状の接着剤２と接着剤面を剥離処理した２種の基材５、６の３層構造からなる異方導電材テープの供給形態である。
異方導電材テープを側板３の付いた芯材（巻芯）４の長手方向に多数回巻き積層して糸巻き状に巻くことにより、巻崩れのない、長尺の異方導電材テープの供給が可能あり、生産性の向上が可能となる。
基材フィルム１、５、６の引張り強度は、１２ｋｇ／ｍｍ^２以上、基材フィルム１、５、６の破断伸びは６０〜２００％にすることにより、基材フィルムが強度を持ち、伸びが小さいため、異方導電材であるフィルム状接着剤２を接続部材に転写する前のプロセスにおいて、フィルム状接着剤２が伸びたり、厚みが薄くなったり、幅が細くなったりすることを防止できる。また、基材フィルム１、５、６の厚みはハンドリング及び環境面から考えると１００μｍ以下が望ましい。
薄いと上記効果に劣るようになるので０．５μｍ以上とするのが好ましい。フィルム状の接着材である異方導電材が、粘着性がなく、ブロッキング現象を示さないものであればフィルム状の接着材を基材フィルム無しで単独で糸巻き状に巻くことができる。
基材フィルムの剥離処理は、シリコンまたはフッ素処理を行うことにより容易に行うことができ、基材フィルムの片面にのみ剥離処理を行うと、基材フィルムの表裏に離型性に差を設けることができ、基材フィルムに対する背面転写を防止することができる。また、基材フィルムの両面に剥離処理を行うと、フィルム状接着剤面はシリコン及びフッ素処理を行い、剥離性を有するものとする。
【０００６】
本発明について図面を参照して、さらに具体的に説明する。
図１は本発明のフィルム状の接着剤と両面を剥離処理した基材フィルムからなる２層構造の異方導電材テープの供給形態の一実施例を説明する模式図である。
図２は、図１の基材フィルムを２種類とし、異方導電材を含み、３層構造からなる異方導電材テープの供給形態を説明する模式図である。
本発明の異方導電材テープは、基材フィルム１上に塗布された異方導電材であるフィルム状接着剤２からなり、高精細化された電子部品の接続に用いられるため無機及び有機物の異物及び汚染を防ぐため、基材フィルム１が接着剤の外側となる構造を示している。
本発明に用いられるフィルム状の接着剤２は、高信頼性を有する熱硬化性樹脂系であるエポキシ樹脂系、接着剤の低応力化を図り、接着剤の相溶性に効果のあるシリコーン樹脂系、これらより更に低温度・短時間で接続することが可能なラジカル系は主にアクリル系接着剤を使用するが、これらに制限するものではない。
さらに、本発明の異方導電材テープに用いられる基材フィルムは、強度及び異方導電材を構成する接着剤の剥離性の面からシリコン及びフッ素剥離処理したＰＰ（ポリプロピレン）、ＯＰＰ（延伸ポリプロピレン）、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などを用いるが、これらに制限するものではない。
異方導電材を用いた接続は、タクトタイムの向上が求められており、異方導電材の転写性が要求されている。異方導電材テープを側板３の付いた芯材（巻芯）４に糸巻き状に巻くことにより、異方導電材テープの取り替え時間の間隔を長くすることができ、巻崩れのない、長尺の異方導電材テープの供給が可能であり、生産性の向上が可能となる。
図２は、基材フィルムを２種類とし、異方導電材を含み、３層構造からなる異方導電材テープの供給形態であり、接着剤である異方導電材が柔らかい場合、巻芯側の次の基材フィルムによる接着剤の変形を防止することができる。
【０００７】
さらに、基材フィルムの物性値である基材フィルムの引張り強度は、１２ｋｇ／ｍｍ^２以上で、基材フィルムの破断伸びは、６０〜２００％にすることにより、基材フィルムに物理的強度が得られ、フィルム状の接着剤の伸びに伴う、薄膜化、幅方向に細くなることを防ぐことが可能である。また、基材の厚みは１００μｍ以下にすることにより、ハンドリング及び環境面での対応が可能である。
【０００８】
【実施例】
次に実施例を説明するが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
（実施例１）
（１）異方導電材フィルムの作製
フィルム形成材としてフェノキシ樹脂（高分子量エポキシ樹脂）５０ｇとエポキシ樹脂２０ｇ、イミダゾールを５ｇ添加し、酢酸エチルの３０重量％溶液を作製し、これに平均粒径２．５μｍのＮｉ粉を５体積％添加した。薄く青色に着色した透明な厚み５０μｍのポリエチレンテレフタレートフィルム（破断強度２５ｋｇ／ｍｍ^２、破断伸び１３０％）の両面にシリコン処理した基材フィルムを用いた。この基材フィルムの片面にロールコータを用いて上記の溶液を塗布し、１１０℃、５分間乾燥し、厚み５０μｍの異方導電材フィルムの巻物を得た。
【０００９】
（２）異方導電材テープの作製
上記の異方導電材フィルムの巻物を幅１．５ｍｍにスリットしながら、側板のついた直径４８ｍｍ、幅１００ｍｍの芯材（巻芯）の長手方向に多数回巻いて積層し糸巻き状に巻くことにより、３００ｍの長さの異方導電材テープを得た。
この糸巻き状に巻いた異方導電材テープの供給形態にて異方導電材テープ圧着自動機に取付け、供給した場合、異方導電材の転写性及び伸び試験において良好な結果が得られ、しかも、リールの取付け回数が減り、取付けに要する時間や転写性、接着剤の伸びに起因する貼付け作業の繰り返しがなくなり、これらの効果により生産性が向上した。
【００１０】
（実施例２）
実施例１と同様に異方導電材テープを作製し、基材フィルムと接着剤の積層体に、さらにもう１種類の厚み２５μｍのポリエチレンテレフタレート基材フィルム（破断強度２５ｋｇ／ｍｍ^２、破断伸び１３０％）をラミネートし、３層構造の異方導電材とし、実施例１と同様にこのフィルムの巻物を幅１．５ｍｍにスリットしながら、側板のついた直径４８ｍｍ、幅１００ｍｍの芯材（巻芯）に糸巻き状に巻くことにより、３００ｍの長さの異方導電材テープを得た。
実施例２においても実施例１と同様に良好な生産性が得られた。
【００１１】
（参考例）
実施例１と同様であるが基材フィルムとして厚み５０μｍのポリテトラフルオロエチレンフィルム（破断強度４．６ｋｇ／ｍｍ^２、破断伸び３５０％）を用いたこと以外は実施例１と同様にして異方導電材フィルムの巻物を得、さらに実施例１と同様にこのフィルムの巻物を幅１．５ｍｍにスリットしながら、側板のついた直径４８ｍｍ、幅１００ｍｍの芯材（巻芯）に糸巻き状に巻くことにより、３００ｍの長さの異方導電材テープを得た。この場合、所々に糸巻き状に巻くときに腰が弱く接着剤と基材フィルムの間に剥離がみられたが、３００ｍの長さに巻くことができた。
【００１２】
（比較例）
実施例１と同様にして異方導電材フィルムの巻物を得、さらに実施例１と同様にこのフィルムの巻物を幅１．５ｍｍにスリットしながら、従来のリールに同一円芯状に巻き、１００ｍの長さの異方導電材テープを得た。
この糸巻き状に巻いた異方導電材テープの供給形態にて異方導電材テープ圧着自動機に取付け、供給した場合、異方導電材の転写性及び伸び試験において良好な結果が得られたがリールの取付け回数が実施例の３倍となり、取付けに要する時間と調整に用する時間が増えた。
【００１３】
【発明の効果】
本発明によれば、被接続部材に対して良好な転写性（貼付け性）を有し、良好な接続信頼性を有し、そのことにより工程内における歩留を高め、さらに作業性をも向上した、従来より長尺の異方導電材テープの供給が可能であり、生産性、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の２層構成異方導電材テープの供給形態の模式図。
【図２】本発明の３層構成異方導電材テープの供給形態の模式図。
【符号の説明】
１…基材フィルム　２…フィルム状の接着剤　３…側板　４…芯材（巻芯）　５…基材フィルム　６…基材フィルム。

Claims (6)

1. フィルム状の接着剤からなる異方導電材を芯材の長手方向に多数回巻き積層したことを特徴とする異方導電材テープ。
2. フィルム状の接着剤の片面に基材フィルムを設けた２層構造の異方導電材である請求項１に記載の異方導電材テープ。
3. フィルム状の接着剤の両面に基材フィルムを設けた３層構造の異方導電材である請求項１に記載の異方導電材テープ。
4. 基材フィルムの片面または両面が剥離処理された基材フィルムである請求項２または請求項３に記載の異方導電材テープ。
5. フィルム状の接着剤の幅が、０．５〜５ｍｍである請求項１ないし請求項４のいずれかに記載の異方導電材テープ。
6. 基材フィルムの強度が、１２ｋｇ／ｍｍ^２以上で、伸びが、６０〜２００％、厚みが、１００μｍ以下である請求項２ないし請求項５のいずれかに記載の異方導電材テープ。

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