JP2004034117A - 板材の加工方法 - Google Patents

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JP2004034117A JP2002197264A JP2002197264A JP2004034117A JP 2004034117 A JP2004034117 A JP 2004034117A JP 2002197264 A JP2002197264 A JP 2002197264A JP 2002197264 A JP2002197264 A JP 2002197264A JP 2004034117 A JP2004034117 A JP 2004034117A
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Haruyuki Muto
武藤 晴行
Kame Kobayashi
小林 亀
Yoshitomo Oguma
小熊 義智
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Abstract

【課題】曲げ部を有し曲げ部を挟んで差厚成形を行なうもので、据え込み加工による材料の流れ込みを抑制可能な板材の加工方法を提供する。
【解決手段】曲げ部8aを有し、この曲げ部8aを挟んで一方の部材8bを他方の部材8cより板厚を厚くする製品を製造するため曲げ加工後、その一方の部材8bの増肉成形を行なう板材の加工方法であって、一方の部材8bを据え込むことで、曲げ部8aの外側に延在する一方の部材8bの外周面に、段差8deを有する増肉部8dを形成する据え込み加工工程を備えている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は板材の加工方法に関し、特に曲げ形状、例えばL型断面形状を有し、かつ曲げ部を挟んで差厚成形を行なうための板材の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
L型断面形状等の曲げ部を有し、かつ曲げ部を挟んで一方を他方の板厚より厚くする製品を製造する方法として、切削加工により製造する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術による製造方法では、切削による無駄材料が発生する。この対策として、プレス加工により製造する方法が考えられる。しかしながら、プレス加工で行なうためには、以下の問題がある。第1に、一方の側壁部を他方の底部の肉厚より厚くなるように増肉させるため、側壁部を据え込み加工する場合において、底部へも据え込み加工に伴って材料の流れ込みが生じる。この材料の流れ込みによる底部の肉厚増加は、後工程にて、潰し加工によって成形し直す必要がある場合がある。この材料の流れ込みは据え込み加工による塑性変形を伴うため、潰し加工を行なうには、大きな加工荷重が必要となる。この流れ込み量が大きくなるに従い加工荷重もさらに大きくなるため、使用設備も大型化してしまって、結果として製造コストの増大を招く恐れがある。
【0004】
第2に、プレス加工の生産性向上を図るためには、据え込み加工において、増肉比率を高める必要があり、材料の挫屈による巻き込みが発生する。この巻き込み量が大きくなると、製品に望ましくない強度低下等の製品品質への悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、曲げ部を有し曲げ部を挟んで差厚成形を行なうもので、据え込み加工による材料の流れ込みを抑制可能な板材の加工方法を提供することにある。
【0006】
また、別の目的は、据え込み加工による材料の流れ込みの抑制が図れるとともに、生産性の向上が図れる板材の加工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、曲げ部を有し、この曲げ部を挟んで一方の部材を他方の部材より板厚を厚くする製品を製造するため曲げ加工後、その一方の部材の増肉成形を行なう板材の加工方法であって、一方の部材を据え込むことで、曲げ部の外側に延在する一方の部材の外周面に、段差を有する増肉部を形成する据え込み加工工程を備えている。
【0008】
一般に、曲げ部から延びる部材すなわち一方の部材を据え込み加工によって増肉させる場合、据え込み加工による加工荷重は、一方の部材および曲げ部に加わる。このため、曲げ部の曲げRは、増肉成形されるに従いその曲げRが小さくなる傾向がある。その結果、据え込み加工すなわち塑性加工中、加工荷重による材料流動が一方の部材だけでなく、曲げ部にも発生する。据え込み加工による所定の外側Rになるまでは、一方の部材および曲げ部の塑性変形によって挫屈し易い。
【0009】
これに対して、本発明の板材の加工方法では、曲げ部の外側に延在する一方の部材の外周面に形成される増肉部に段差を設けるので、段差を形成する据え込み加工用冶具によって段差には、挫屈時に働く力と逆向きの力いわゆる反力を加えることが可能である。したがって、挫屈現象の発生を抑制するとともに、曲げ部への材料流動を抑制することが可能である。
【0010】
本発明の請求項2によると、段差とは、他方の部材の底面より一方の部材が延在する方向に向かって、所定の高さに形成される段差である。
【0011】
すなわち、曲げ部の外側に延在する一方の部材の外周面に形成される増肉部の段差は、所定の高さに対応する曲げ部の外側Rの途中に形成される。これにより、据え込み加工による曲げ部への材料流動を確実に抑制できる。
【0012】
本発明の請求項3によると、据え込み加工工程に使用する据え込みパンチとダイにおいて、ダイの内周は、他方の部材の底面に沿う底支持部と、他方の部材から延びる曲げ部の途中まで曲げ部に沿う曲げ支持部と、曲げ支持部から他方の部材の延在する方向に向かって形成される段差支持部と、段差支持部から一方の部材が延在する方向に延びる増肉支持部を備えている。
【0013】
すなわち、ダイの内周は、他方の部材の底面、他方の部材から延びる曲げ部、および他方の部材の延在する方向のぞれぞれに沿って形成される底支持部と曲げ支持部と段差支持部とから構成されている。これにより、ダイは、増肉部の段差に、挫屈時に働く力と逆向きの力いわゆる反力を加えることが容易となる。
【0014】
なお、その結果、据え込み加工による材料の流れは、段差支持部と増肉支持部とで区画される空間つまり増肉部を形成するための空間に流れ込み易くなる。
【0015】
本発明の請求項4によると、据え込みパンチと協働するダイには、他方の部材を挟んで、他方の部材をダイに向かって押圧する付勢手段を有する材料押さえ冶具が設けられている。
【0016】
これにより、本発明の板材の加工方法では、増肉部に段差を設ける据え込み加工を行なうことで、材料流動の抑制を図るので、加工対象の板材つまり他方の部材をダイに押さえ付ける手段として、例えば簡単な圧縮ばね等の付勢手段で対応可能である。
【0017】
本発明の請求項5によると、ダイと協働する据え込みパンチを型締め方向に駆動し、ダイと材料押さえ冶具の離間距離が所定長になったとき、据え込みパンチは、ダイへの押圧を開始する。
【0018】
これにより、本発明の板材の加工方法では、据え込み加工による材料流動の抑制を図ることで、他の部材への材料の流れ込みを少なくすることが可能であるので、一方の部材の増肉形成のための据え込み加工と、据え込み加工による材料流動によって生じた他方の部材の部分的な板厚増加を、整形する潰し加工の同時加工が可能である。従って工程が簡素になり、生産性向上が図れる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の板材の加工方法を、曲げ部を有し、その曲げ部を挟んで一方の部材を他方の部材より板厚を厚くする製品における板材の加工方法に具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係わる板材の加工方法の工程を説明する模式図である。図2は、本発明の板材の加工方法を適用して製造する製品の形状の一実施例を表す断面図である。図3は、図1中の増肉工程において、据え込み加工により被加工物を増肉するために用いる冶具および被加工物としての板材に増肉部が形成される過程を表す模式的断面図であって、図3(a)は据え込み加工開始前の状態、図3(b)は据え込み加工開始直後の状態、図3(c)は据え込み加工を継続している状態、図3(d)は据え込み加工が終了した状態を表す断面図である。なお、図4は、本実施形態に係わる被加工物の板材において、曲げ加工後にその板材を据え込み加工する際、据え込み加工による板材内部の材料流動と段差との関係を示す模式図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の板材の加工方法は、曲げ工程P1と増肉工程P2とを備えている。これにより、本実施形態では、被加工物としての板材8に、曲げ部8aを形成させ、その曲げ部8aを挟んで一方の部材8bの板厚を他方の部材8cの肉厚より大きくなるように、加工を行なう。なお、本発明の板材の加工方法を適用する板材の製品形状としては、図2に示すように、被加工物8は、曲げ形状を有している。その曲げ部8aは略直角に曲げられるものに限らず、鈍角に曲げられているものであってもよい。本発明の板材の加工方法を用いて形成可能な被加工物8の製品形状の詳細については後述する(図8に示す各実施態様を参照)。なお、本実施形態で説明する被加工物8は、以下、図2の上下方向に延在する一方の部材8bを側壁部と呼び、図2の左右方向に延在する他方の部材8cを底部と呼ぶ。なお、図1は、本実施形態に係わる工程順に従って、板材8が加工される状態を説明する。図1の左から右方向に向かって、工程名、その工程の説明、および板材8が加工される状態を順に示す。また、図1の上から下に向かって本実施形態に係わる工程の流れを示している。
【0022】
曲げ工程P1は、図1に示すように、初期状態で平板状の板材8を、最終的に内側曲げRが略所定の半径Raiになるように曲げ加工を行なう周知の曲げ加工冶具または設備であればいずれでもよい。
【0023】
増肉工程P2は、図1に示すように、曲げ工程P1にて曲げ部8aが形成された板材8に据え込み加工を繰返し行なう。詳しくは、板材8の側壁部8bの端部を曲げ部8a側に向かって据え込む。増肉工程P2は、図1に示すように、据え込み加工工程P21を備えている。この据え込み加工工程P21を、N=1からN=n回繰り返すことで、側壁部8bを繰返し据え込んで所望の増肉形状に成形する(本実施形態では、N=4回の繰返しを実施)。なお、据え込み加工工程P21に使用する冶具の詳細構造については後述する。本実施形態では、この据え込み加工工程P21による据え込み加工によって、側壁部8bの外周面(詳しくは、曲げ部8aの外側Rao側に延在する外周面)に、図1に示すように、段差8deを有する増肉部8dを形成する。
【0024】
ここで、据え込み加工工程P21に使用する冶具、およびその冶具を使用して形成される増肉部8d、特に段差8deについて、図3および図4に従って説明する。なお、図5は、本実施形態(図3参照)と比較する比較例であって、増肉部8dに段差8deを有しない板材8の製品を製造する場合の工程を示す。また、図6は、その比較例に係わる据え込み加工による板材内部の材料流動を示す模式図である。
【0025】
図3(a)の据え込み加工開始前の状態では、曲げ部8aを有する板材8は、ダイ2に保持され、側壁部8bが延在する方向(図3(a)の上下方向)に向かって側壁部8bの上方に据え込みパンチ1が配置されている。この据え込みパンチ1とダイ2は、据え込み加工用冶具を構成し、協働する。本実施形態では、互いに協働する据え込みパンチ1とダイ2は、型締めする方向に駆動され、据え込みパンチ1とダイ2の軸方向端面が当接して、1回分に当たる据え込み加工が終了できる構成となっている。なお、本実施形態では、ダイ2の内周に収容された板材8において、板材8の内側曲げRai側の内周をガイドする材料押さえ冶具3を設けている。これにより、板材8(詳しくは、側壁部8b)を据え込み加工時に、側壁部8bの内周側が増肉されないように保持することができるとともに、曲げ加工P1にて成形された板材8の曲げ部8aの曲げ形状の維持することが可能である。
【0026】
ダイの内周は、底部8cの底面に沿う底支持部2aと、底部8cから延びる曲げ部8aの途中まで曲げ部8aに沿う曲げ支持部2bと、曲げ支持部2bから底部8cが延材する方向(図3(a)の左右方向)に向かって形成される段差支持部2cと、段差支持部2cから側壁部8bが延在する方向(図3(a)の上下方向)に延びるように形成される増肉支持部2dを備えている。段差支持部2cと増肉支持部2d、および側壁部8bの外周面とで区画される空間R1(図3(a)参照)は、増肉部8dの一部を構成する空間R2である。なお、この空間R2は、板材8の製品としての所望の形状に応じて、増肉部8dを構成する空間であってもよい。さらになお、空間R2を増肉部8dの一部とする場合は、据え込みパンチ1の内周は、同様に図3(b)に図示する空間R1を形成するように構成されている。空間R1と空間R2を合せた容積が、板材8つまり側壁部8bを据え込んで増肉成形させる増肉部8dの容積である。
【0027】
次に、図3(b)の据え込み加工開始直後の状態では、ダイ2に協働する据え込みパンチ1が、いわゆる型締め方向(図3(b)の矢印方向)に駆動される。この結果、据え込みパンチ1は、側壁部8bの軸方向端部に当接し、据え込み荷重を側壁部8bすなわち板材8に加える。これにより、側壁部8bおよび曲げ部8aは、据え込み加工によって塑性変形が開始され、板材8内部の材料流動が始まる。なお、板材8内部の材料流動の詳細については後述する。
【0028】
次に、図3(c)の据え込み加工を継続している状態では、据え込み加工によって側壁部8bの軸方向端部に加工荷重が加えられた結果、側壁部8bの根元側、つまり曲げ部8aの周りから塑性変形による材料流動によって増肉部8dの一部が形成され始める。本実施形態では、ダイ2の内周に曲げ支持部2bおよび段差支持部2cを備えるので、曲げ支持部2bによって支持された曲げ部8aは塑性変形が抑制され、曲げ支持部2bによって支持されていない曲げ部8aが段差支持部2cに沿って、塑性変形により材料流動する、すなわち増肉成形される。この結果、段差支持部8cに形成された初期状態の増肉部8dは、据え込み加工を継続するに従って、側壁部8bの延在する方向へその増肉部8dの容積を拡大していく。
【0029】
つまり、側壁部8bに形成される増肉部8dは、据え込み加工の全過程を通じて、段差8deを支持する段差支持部2cによって保持されている。これにより、据え込み加工を継続(つまり、いわゆる増肉比率T2/T1(図2参照)の増加)に従い挫屈が生じるような加工荷重が加えられるようになったとしても、段差支持部2cによって、挫屈時に働く力と逆向きの力である反力を、段差8deつまり増肉部8dに加えることができる。したがって、挫屈現象の発生を抑制することが可能である。さらにまた、これにより、1回の据え込み加工による増肉比率T2/T1を高めて(本実施形態では、T2/T1が約1.3程度)、増肉工程P2内の工程数の削減、つまり据え込み加工工程P21の据え込み回数Nの低減が図れる。したがって、本発明の板材の加工方法に係わる工程の簡素化が図れるとともに、生産性の向上が図れる。
【0030】
さらに本実施形態では、ダイ2の内周は、底部8cの底面、底部8cから延びる曲げ部8a、および底部8cが延材する方向のそれぞれに沿って形成される底支持部2a、曲げ支持部2b、段差支持部2cを備えるので、底支持部2a、曲げ支持部2bによって曲げ部8aへの材料流動の抑制を図れる。さらに、成形する板材8に、切欠き形状の段差を設けることなく、挫屈時に働く力と逆向きの力となる反力を加えることが可能な、板材8の表面に形成される滑らかな段差を容易に形成することが可能である。さらに、本実施形態では板材8の表面に滑らかな段差8deを形成することが可能であるので、切欠き形状を有する段差のように切欠き等を起点として発生する強度低下等の製品品質を阻害するような現象の防止が図れる。
【0031】
さらにまた、ダイ2の内周は、底支持部2a、曲げ支持部2b、段差支持部2cを備えるので、据え込み加工による板材8内部の材料の流れを、少なくとも空間R1つまり増肉部8dを形成するための空間R1、R2に流れ込み易くする相乗効果がある。
【0032】
次に、図3(d)の据え込み加工を終了した状態では、段差8deを起点として増肉された増肉部8deの容積が、ダイ2および据え込みパンチ1のそれぞれの内周に形成された空間R2(図3(a)参照)と空間R1(図3(b)参照)との和の容積まで成形することができる。しかも、上記据え込み加工にて挫屈現象による巻き込み不具合の防止が可能である。
【0033】
ここで、本発明の板材の加工方法の特徴である段差8deを有する増肉部8dを増肉成形する際の、板材8内部の材料流動について検証確認を行なったので、以下図4に従って説明する。なお、増肉部8dに段差8deなく増肉成形する従来技術を適用した比較例(図5、図6参照)と対比して説明する。
【0034】
まず、従来技術を適用して板材の製品を製造する場合の比較例では、図5に示すように、ダイ2の内周は、底支持部2a、および増肉支持部2dから構成されている。すなわち、曲げ部8aの少なくとも途中まで曲げ部8aに沿って曲げ部8aを支持する曲げ支持部2bがない。なお、増肉部支持部2dとして、増肉によって形成された曲げR形状を支持する増肉曲げ形状支持部2dbはある。このため、据え込み加工を開始すると、据え込み加工による加工荷重が側壁部8bだけでなく、曲げ部8a全体に加わってしまう。その結果、図6に示すように、板材8の内部の材料流動が顕著になる。曲げ部8aに流れ込んだ材料の流れは、底部8cの根元側の曲げ部8aの周辺で、板厚が当初の板厚、あるいは曲げ工程P1で成形された板厚に反して、材料の流れ込み分だけ板厚が増加する現象が発生する。さらになお、場合によっては、図3(C)に示すように挫屈現象が進行してしまって、内側Raiが小さくなり、曲げ工程P1の曲げ加工による材料硬化した板材8の部分と、後工程である増肉工程P2の据え込み加工によって新たに材料硬化した板材8の部分との境界で巻き込み現象(例えば比較例の図10参照)が発生する。
【0035】
これに対して、本実施形態では、ダイ2の内周の構成として、曲げ部8aの少なくとも途中まで曲げ部8aに沿って曲げ部8aを支持する曲げ支持部2bを有する。さらに、図4に示すように、挫屈時に働く力に対して、段差支持部2cによって挫屈時に働く力とは逆向きの反力を、板材8つまり側壁部8bおよび曲げ部8aに作用させることができる。その結果、本実施形態では、図4に示すように、板材8内部の材料の流れが曲げ部8aへ流れ込む材料流動を抑制することができる。
【0036】
上述の実施形態において、据え込み加工工程P21に係わる冶具を構成する据え込みパンチ1、ダイ2、および材料押さえ冶具3のうち、材料押さえ冶具3に底部8cをダイ2に向かって押圧する付勢手段Pを設けてもよい。これにより、段差8deに起因して曲げ部8aへ流れ込む材料流動が抑制された状態で、なお曲げ部8aに流れ込む材料流動を、付勢手段Pによる付勢荷重によって抑制することが可能である。
【0037】
さらになお、曲げ部8aに流れ込む材料流動の抑制が図られているので、付勢手段Pの付勢力は所定の荷重程度でよく、付勢手段Pとして簡単な圧縮ばね等であればよい。これにより、加工設備の大型化を伴うことなく、簡素な構成で対応可能である。
【0038】
さらになお、ダイ2と協働する据え込みパンチ1を型締め方向に駆動し、ダイ2と材料押さえ冶具3の離間距離が所定長になったとき、据え込みパンチ1は、ダイ2への押圧を開始するように、構成としてもよい。これにより、据え込み加工工程P21において、側壁部8bの増肉形成のための据え込み加工と、据え込み加工による材料流動によって生じた底部8cの部分的な板厚増加を整形する潰し加工とを同時に行なうことが可能である。従って工程が簡素になり、生産性向上が図れる。例えば図3(a)に示すダイ2と据え込みパンチ1の離間距離hと、据え込みパンチ1の上端と材料押さえ冶具3の上端との離間距離Hとを調整し、図3(c)の据え込み加工の終段(詳しくは、据え込み加工の終了直前)にて、段差ΔH1がなくなる(ΔH1=0)ように設定し、据え込みパンチ1の上部に設けられた駆動装置(図示せず)によって材料押さえ冶具3の上端を押圧する構成とすればよい。
【0039】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態おいては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0040】
第2の実施形態では、第1の実施形態に係わる工程に加えて、図7に示す工程を加える。図7は、実施形態に係わる板材の加工方法の工程を説明する模式図である。本発明の板材の加工方法を適用する板材8の製品形状として、単に側壁部8bが底部8cに対して所定の増肉比率T2/T1にするだけでは、製品としての要求を満足しない場合がある。例えば、内燃機関へ燃料を噴射する燃料噴射弁いわゆるインジェクタの電磁駆動部に用いられ固定子鉄心としてのステータハウジング(図示せず)を形成するような場合、側壁部8bの軸方向端部は、図示しない電磁駆動部のコイルに発生する電磁力の磁気通路を形成するため、左右方向に幅広であることが望ましい(図8(g)参照)。本実施形態では、このようないた板材8の製品形状に対する要求に対して好適な板材の加工方法を提供する。図7は、本実施形態に係わる板材の加工方法の工程を説明する模式図である。なお、図7は、本実施形態に係わる工程順に従って、板材8が加工される状態を説明する。図7の左から右方向に向かって、工程名、その工程の説明、および板材8が加工される状態を順に示す。また、図7の上から下に向かって本実施形態に係わる工程の流れを示している。
【0041】
図7に示すように、本実施形態では、被加工物である板材8を製品形状に応じて整形するように、曲げ整形工程P12と、増肉整形工程P22とを備えている。なお、本実施形態で説明する曲げ整形工程P12および増肉整形工程P22を備えた板材の加工方法に限らず、板材の加工方法として、製品形状の要求に応じて、曲げ整形工程P12および増肉整形工程P22のうち少なくともいずれか一方があればよい。図7に示すように、曲げ整形工程P12は、ダイ22と、曲げパンチ11とを備え、周知の曲げ加工用冶具または設備であればよい。曲げ部8aの形状を、略直角から鈍角にしてもよい。さらになお、後述の増肉整形工程P22の前工程として、増肉整形工程P22にて増肉部の整形がし易い形状に曲げ加工してもよい。増肉整形工程P22は、図7に示すように、ダイ23と、曲げパンチ13とを備えている。
【0042】
以上説明した実施形態では、板材8の製品形状として、図8に示す形状であって適用可能である。図8は、本発明の板材の加工方法を用いて成形可能な形状を示す被加工物としての板材の模式的断面図であって、図8(a)〜図8(g)は他の実施形態に係わるそれぞれ一態様を示す断面図である。側壁部8bの外周に設ける増肉部が、側壁部8bが外周の一部または全部に形成されているものであってもよい(図8(a)〜図(e)参照)。また、側壁部8bと底部9cとのなす傾斜角を略直角に限らず、鈍角にすることが可能である(図8(f)参照)。
【0043】
なお、これら板材8の製品形状であっても、増肉工程P2の据え込み加工工程P21での据え込み加工を繰り返し行なったとしても、曲げ部8aへの材料流動を抑制することができるとともに、製品に有害な巻き込みの発生を防止できる(例えば図9参照)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる板材の加工方法の工程を説明する模式図である。
【図2】本発明の板材の加工方法を適用して製造する製品の形状の一実施例を表す断面図である。
【図3】図1中の増肉工程において、据え込み加工により被加工物を増肉するために用いる冶具および被加工物としての板材に増肉部が形成される過程を表す模式的断面図であって、図3(a)は据え込み加工前の状態、図3(b)は据え込み加工開始直後の状態、図3(c)は据え込み加工を継続している状態、図3(d)は据え込み加工が終了した状態を表す断面図である。
【図4】第1の実施形態に係わる被加工物の板材において、曲げ加工後にその板材を据え込み加工する際、据え込み加工による板材内部の材料流動と段差との関係を示す模式図である。
【図5】比較例としての増肉部に段差を形成しない板材の加工方法に係わる増肉工程において、据え込み加工により被加工物を増肉するために用いる冶具および被加工物としての板材に増肉部が形成される過程を表す模式的断面図であって、図5(a)は据え込み加工開始前の状態、図5(b)は据え込み加工開始直後の状態、図5(c)は据え込み加工を継続している状態、図5(d)は据え込み加工が終了した状態を表す断面図である。
【図6】比較例に係わる被加工物の板材において、曲げ加工後にその板材を据え込み加工する際、据え込み加工による板材内部の材料流動を示す模式図である。
【図7】第2の実施形態に係わる板材の加工方法の工程を説明する模式図である。
【図8】本発明の板材の加工方法を用いて成形可能な形状を示す被加工物としての板材の模式的断面図であって、図8(a)〜図8(g)は他の実施形態に係わるそれぞれ一態様を示す断面図である。
【図9】本発明の板材の加工方法を適用して加工された被加工物の状態を示す模式的断面図である。
【図10】比較例の板材の加工方法を適用して加工された被加工物の状態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 据え込みパンチ
2 ダイ
2a 底支持部
2b 曲げ支持部
2c 段差支持部
2d 増肉支持部
3 材料押さえ冶具
8 板材
8a 曲げ部
8b 側壁部(一方の部材)
8c 底部(他方の部材)
8d 増肉部
8de 段差
P 付勢手段
P1 曲げ工程
P2 増肉工程
P21 据え込み加工工程

Claims (5)

  1. 曲げ部を有し、前記曲げ部を挟んで一方の部材を他方の部材より板厚を厚くする製品を製造するため曲げ加工後、前記一方の部材の増肉成形を行なう板材の加工方法であって、
    前記一方の部材を据え込むことで、前記曲げ部の外側に延在する前記一方の部材の外周面に、段差を有する増肉部を形成する据え込み加工工程を備えていることを特徴とする板材の加工方法。
  2. 前記段差とは、前記他方の部材の底面より前記一方の部材が延在する方向に向かって、所定の高さに形成される段差であることを特徴とする請求項1に記載の板材の加工方法。
  3. 前記据え込み加工工程に使用する据え込みパンチとダイにおいて、前記ダイの内周は、前記他方の部材の前記底面に沿う底支持部と、前記他方の部材から延びる前記曲げ部の途中まで前記曲げ部に沿う曲げ支持部と、前記曲げ支持部から前記他方の部材の延在する方向に向かって形成される段差支持部と、前記段差支持部から前記一方の部材が延在する方向に延びる増肉支持部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の板材の加工方法。
  4. 前記据え込みパンチと協働する前記ダイには、前記他方の部材を挟んで、前記他方の部材を前記ダイに向かって押圧する付勢手段を有する材料押さえ冶具が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の板材の加工方法。
  5. 前記ダイと協働する前記据え込みパンチを型締め方向に駆動し、前記ダイと前記材料押さえ冶具の離間距離が所定長になったとき、前記据え込みパンチは、前記ダイへの押圧を開始することを特徴とする請求項4に記載の板材の加工方法。
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