JP4259075B2 - ハイドロフォーミング用素材管の成形方法及び成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイドロフォーミング用素材管及びその成形方法及び成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイドロフォーミングにより自動車のフレーム等が成形されている。ハイドロフォーミングとは、曲げ加工等が施されたハイドロフォーミング用素材管を金型に装着して、素材管内部に液圧を供給することにより、所定の形状の管を成形する方法である。
【0003】
そして、従来、このハイドロフォーミング用素材管は、曲げ加工が施された部分であっても断面形状を円形としていた。すなわち、断面形状を円形に維持したまま曲げ成形が行われていた。断面形状が円形のハイドロフォーミング用素材管の成形は、例えば、特開2000−210721号公報に開示されたパイプの曲げ加工装置等により行われる。
【0004】
また、ハイドロフォーミング用素材管として、断面形状が円形ではなく、管の外周側から押圧して断面形状が偏平化したものが、特開2001−205350号公報に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−210721号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2001−205350号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ハイドロフォーミング用素材管を成形する際、断面形状を円形として、例えば管材の屈曲部の曲率半径を小さくすると、管材の屈曲部の内側(屈曲内側)に座屈が発生し、管材の屈曲部の外側(屈曲外側)に割れが発生するおそれがある。このような座屈や割れは、管材の直径に対する屈曲部の曲率半径が小さいほど発生しやすく、また、管材の直径に対する管材の肉厚が小さいほど発生しやすい。従って、管材の直径や管材の肉厚によっては、屈曲部の曲率半径が小さい素材管を成形することは困難であった。
【0008】
また、特開2001−205350号公報に開示されているハイドロフォーミング用素材管は、予備成形を不要または軽減するために偏平化したものであるため、このようなハイドロフォーミング用素材管であっても管材の屈曲部に上述と同様の問題が生じる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、屈曲部の曲率半径をさらに小さくした場合であっても、管材の屈曲部に座屈や割れが発生することのないハイドロフォーミング用素材管の成形方法及び成形装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のハイドロフォーミング用素材管の成形方法により成形されるハイドロフォーミング用素材管は、直線状の管材を曲げ成形して形成される屈曲部を有するハイドロフォーミング用素材管において、前記屈曲部は、屈曲外側に前記管材の内部側へ凹ませた凹部が形成された管軸方向に垂直な断面形状からなる。
【0011】
このように、屈曲部の管軸方向に垂直な断面形状の屈曲外側に凹部を形成したことにより、屈曲部に座屈や割れ等の発生を防止できる。これは、以下の理由による。まず、屈曲内側では、曲げ成形されることにより管軸方向に圧縮応力が発生すると共に、凹部の成形により周方向に引張応力が発生する。すなわち、屈曲内側の管軸方向に生じる圧縮ひずみを同一とした場合、管軸方向に発生する圧縮応力は小さくなる。このことは、凹部を形成しない場合に比べて、管軸方向に座屈の発生を防止することになる。また、屈曲外側では、凹部を形成しない場合に比べて、管軸方向に発生する引張ひずみを低減することができる。すなわち、屈曲外側に発生する割れを防止できる。
【0012】
このように、屈曲部の曲率半径を小さくした場合であっても、座屈や割れの発生を防止できる。そして、屈曲部の曲率半径をより小さくすることができるため、ハイドロフォーミングにより成形される管形状の設計自由度が向上する。
【0013】
また、管の肉厚を薄くした場合であっても、上記理由により座屈や割れの発生を防止できる。すなわち、管の軽量化を図ることができる。
【0014】
なお、ハイドロフォーミング用素材管が凹部を有していたとしても、後工程のハイドロフォーミングにより所望の管形状に形成されるため、素材管の断面形状が円形でなく凹部を有していることは何ら問題ない。
【0015】
また、凹部の深さは、屈曲部の位置に応じて異なるようにしてもよい。例えば、屈曲部の中心部分の凹部が最も深く形成され、その中心部分から離れるに従って凹部が浅く形成されるようにしてもよい。
【0016】
そして、本発明のハイドロフォーミング用素材管の成形方法は、直線状の管材を曲げ成形して形成される屈曲部を有し、屈曲部の管軸方向に垂直な断面形状の屈曲外側に、管材の内部側へ凹ませた凹部を成形するハイドロフォーミング用素材管の成形方法において、ダイにより管材を支持した状態で、所定の曲率形状に形成され屈曲部の屈曲内側面を成形する成形面を有する内側ポンチを、ダイに対して所定方向に相対移動させることにより、管材を曲げ成形し屈曲部を形成する曲げ成形工程と、曲げ成形工程と同時に、内側ポンチの成形面に対向して配置され凹部を成形する成形面を有する外側ポンチを、内側ポンチに対して所定方向と反対方向に相対移動させることにより凹部を成形する凹部成形工程と、からなり、凹部の深さが、屈曲部の管軸方向の中心部分が最も深く、且つ、当該中心部分から離れるに従って浅いことを特徴とする。
【0017】
凹部を成形しながら曲げ成形を行うことにより、従来のように断面形状を円形に維持したまま曲げ成形を行う場合に比べて、屈曲部の曲率半径を小さくした場合であっても、上記理由により屈曲内側の座屈や屈曲外側の割れの発生を防止できる。
【0018】
さらに、上述のように成形された素材管に後工程のハイドロフォーミングを行う場合にも変形させやすくなる。つまり、断面形状を元の円形に戻す場合やさらに拡大して例えば長方形にする場合等にも、座屈や割れの発生を防止できる。これは、凹部の形成により、管に発生するひずみの変化方向が変化したことによる。従って、ハイドロフォーミングにより成形する最終管形状の設計自由度も向上することになる。
【0019】
また、本発明のハイドロフォーミング用素材管の成形方法は、さらに、曲げ成形工程および凹部成形工程の前に、外側ポンチを内側ポンチに対して所定方向と反対方向に相対移動させることにより、曲げ成形することなく凹部の最終深さより浅い第一凹部を成形する曲げ前凹部成形工程を有し、凹部成形工程は、外側ポンチを内側ポンチに対してさらに所定方向と反対方向に相対移動させることにより第一凹部の深さをさらに深くして凹部を成形するようにしてもよい。例えば、曲げ前凹部成形工程により成形される第一凹部の深さは、最終的に成形される凹部の深さのほぼ半分等とすることができる。このように、曲げ成形する前に、所定の深さの第一凹部を成形することにより、屈曲部の曲率半径をより小さくした場合であっても、座屈や割れの発生を防止することができる。
【0020】
また、本発明のハイドロフォーミング用素材管の成形装置は、直線状の管材を曲げ成形して形成される屈曲部を有し、屈曲部の管軸方向に垂直な断面形状の屈曲外側に、管材の内部側へ凹ませた凹部を成形するハイドロフォーミング用素材管の成形装置において、所定の曲率形状に形成され屈曲部の屈曲内側面を成形する成形面を有する内側ポンチと、内側ポンチの成形面に対向して配置され屈曲部の管軸方向に垂直な断面形状の屈曲外側に管材の内部側へ凹ませた凹部を成形する外側ポンチと、外側ポンチの両端側に配置され管材の屈曲外側を支持するダイとを有し、内側ポンチをダイに対して所定方向に相対移動させて管材を曲げ成形すると同時に、外側ポンチを内側ポンチに対して所定方向と反対方向に相対移動させて凹部を成形し、凹部の深さが、屈曲部の管軸方向の中心部分が最も深く、且つ、当該中心部分から離れるに従って浅いことを特徴とする。
【0021】
このような装置により、容易にかつ確実に、屈曲部の曲率半径のより小さなハイドロフォーミング用素材管を成形することができる。
さらに、本発明のハイドロフォーミング用素材管の成形装置において、外側ポンチを内側ポンチおよびダイに対して所定方向と反対方向へ相対移動させて凹部の最終深さより浅い第一凹部を成形し、内側ポンチをダイに対して所定方向に相対移動させて管材を曲げ成形すると同時に、外側ポンチを内側ポンチに対して所定方向と反対方向にさらに相対移動させて第一凹部の深さをさらに深くして凹部を成形するようにしてもよい。
このように、曲げ成形する前に、所定の深さの第一凹部を成形することにより、屈曲部の曲率半径をより小さくした場合であっても、座屈や割れの発生を防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態におけるハイドロフォーミング用素材管の成形装置を図1に示す。図1(a)は正面方向の断面図を示し、図1(b)は図1(a)のA−A断面図を示す。なお、図1は、ハイドロフォーミング用素材管の成形完了の状態を示している。図1に示すように、成形装置1は、内側ポンチ2と、外側ポンチ3と、ダイ4と、内側ポンチ用シリンダ5とを備えている。
【0023】
内側ポンチ2は、下面に素材管の屈曲部の屈曲内側面を所定の形状に成形する成形面2aを有している。この成形面2aの正面(X−Z平面)方向の断面形状は、下側に所定の曲率の凸形状に形成されている。この凸形状に倣って管材を屈曲させる。また、成形面2aの側面(Y−Z平面)方向の断面形状は、ほぼ円弧の凹形状に形成されている。この円弧の凹形状は、管の外周形状とほぼ一致した形状である。そして、内側ポンチ2の上部には、内側ポンチ用シリンダ5の軸部5aの下端側が固定されている。内側ポンチ用シリンダ5は、上台6に固定されており、油圧により軸部5aを上下(Z軸)方向に移動可能としている。
【0024】
外側ポンチ3は、内側ポンチ2の下方に、内側ポンチ2の成形面2aに対向して下台7に固定されている。そして、この外側ポンチ3は、上面に素材管の屈曲部の屈曲外側を凹ませた凹部を成形するための成形面3aを有している。この成形面3aは、正面(X−Z平面)方向の断面形状は、ほぼX軸に平行な直線状に形成されている。この外側ポンチ3の正面(X−Z平面)方向の幅は、内側ポンチ2の正面(X−Z平面)方向の幅より僅かに大きく形成されている。また、外側ポンチ3の成形面3aの側面(Y−Z平面)方向の断面形状は、ほぼ円弧の凸形状に形成されている。この円弧の凸形状の直径は、管Wの直径より小さく形成されている。
【0025】
そして、ダイ4は、外側ポンチ3のX軸方向の両端側であって、ダイ4の上側面4aが外側ポンチ3の成形面3aとほぼ同じ高さとなる位置に2箇所配設されている。また、それぞれのダイ4は、管を屈曲する方向、すなわちY軸まわりに回動自在に取付けられている。そして、このダイ4の上側面4aは、ほぼ円弧の凹形状に形成されている。この円弧の凹形状は、管の外周形状とほぼ一致した形状である。
【0026】
次に、上述のような構成からなる成形装置により直線状の管材を曲げ成形してハイドロフォーミング用素材管を成形する方法について図2を参照して説明する。図2(a)(c)(e)(g)は、正面(X−Z平面)方向の断面図である。図2(b)(d)(f)(h)は、側面(Y−Z平面)方向の断面図である。
【0027】
まず、図2(a)(b)に示すように、アルミニウム製の直線状の管材Wをダイ4の上側面4aの上に載置する。この場合、管材Wは、外側ポンチ3の成形面3aに接触している。そして、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側に所定の油圧P1をかける。これにより、内側ポンチ用シリンダ5が駆動し、内側ポンチ2の成形面2aが管材に接触する位置まで内側ポンチ2が下降する。
【0028】
続いて、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側にかける油圧をP1からP2まで上昇させる。これにより、図2(c)(d)に示すように、内側ポンチ用シリンダ5が駆動して内側ポンチ2が下降する。その結果、管材Wのうち内側ポンチ2に接触している部分、すなわち屈曲部の屈曲内側が内側ポンチ2の成形面2aに倣って屈曲し始める。そして、管材Wの両端側が傾斜するのに伴って、ダイ4はそれぞれ回転して管材Wを確実に支持する。これに伴って、管材Wの屈曲部全体が屈曲し始める(曲げ成形工程)。さらに、管材Wのうち外側ポンチ3に接触している部分、すなわち屈曲部の屈曲外側は、外側ポンチ3の成形面3aに倣って徐々に凹み、凹部が成形される(凹部成形工程)。
【0029】
続いて、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側にかける油圧をP2からP3まで上昇させる。これにより、図2(e)(f)に示すように、内側ポンチ2はさらに下降する。すなわち、管材Wはさらに屈曲し、ダイ4はさらに回転する。そして、管材Wの屈曲部の屈曲外側は、図2(f)に示すように、より深い凹部が成形される。
【0030】
続いて、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側にかける油圧をP3からP4まで上昇させる。これにより、内側ポンチ2はさらに下降する。このようにして曲げ成形が完了した状態を、図2(g)(h)に示す。すなわち、管材Wの屈曲部の屈曲内側は、図2(g)に示すように、内側ポンチ2の成形面2aに倣って成形されている。また、管材Wの屈曲部の屈曲外側は、図2(h)に示すように、凹部が成形されている。この凹部は、外側ポンチ3の成形面3aに倣って成形されている。このようにして、直線状の管材Wからハイドロフォーミング用素材管を成形することができる。
【0031】
上述のように、ハイドロフォーミング用素材管の屈曲部の屈曲外側に凹部を形成することにより、屈曲部の曲率半径をさらに小さくした場合であっても、屈曲部の屈曲内側では座屈の発生を防止することができ、屈曲部の屈曲外側では割れの発生を防止することができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態におけるハイドロフォーミング用素材管の成形装置を図3に示す。図3(a)は正面方向の断面図を示し、図3(b)は図3(a)のA−A断面図を示す。なお、図1に示す第1実施形態における成形装置と同一の構成は同一符号を付し、説明を省略する。図3に示すように、成形装置11は、内側ポンチ2と、外側ポンチ8と、ダイ4と、内側ポンチ用シリンダ5と、外側ポンチ用シリンダ9とを備えている。
【0033】
外側ポンチ8は、内側ポンチ2の下方に、内側ポンチ2の成形面2aに対向した位置に配設されている。そして、この外側ポンチ8は、上面に素材管の屈曲部の屈曲外側を凹ませた凹部を成形するための成形面8aを有している。この成形面8aは、正面(X−Z平面)方向の断面形状は、ほぼX軸に平行な直線状に形成されている。この外側ポンチ8の正面(X−Z平面)方向の幅は、内側ポンチ2の正面(X−Z平面)方向の幅より僅かに大きく形成されている。また、外側ポンチ8の成形面8aの側面(Y−Z平面)方向の断面形状は、ほぼ円弧の凸形状に形成されている。この円弧の凸形状の直径は、管Wの直径より小さく形成されている。この外側ポンチ8は、下台7に固定された外側ポンチ用シリンダ9に上下(Z軸)方向に移動可能に支持されている。外側ポンチ用シリンダ9は、油圧により駆動する。
【0034】
そして、ダイ4は、外側ポンチ3のX軸方向の両端側であって、ダイ4の上側面4aが最下端に位置する場合の外側ポンチ3の成形面3aとほぼ同じ高さとなる位置に2箇所配設されている。また、それぞれのダイ4は、管を屈曲する方向、すなわちY軸まわりに回動自在に取付けられている。そして、このダイ4の上側面4aは、ほぼ円弧の凹形状に形成されている。この円弧の凹形状は、管の外周形状とほぼ一致した形状である。
【0035】
次に、上述のような構成からなる成形装置により、直線状の管材Wを曲げ成形してハイドロフォーミング用素材管を成形する方法について図4を参照して説明する。図4(a)(c)(e)(g)(i)は、正面(X−Z平面)方向の断面図である。図4(b)(d)(f)(h)(j)は、側面(Y−Z平面)方向の断面図である。
【0036】
まず、図4(a)(b)に示すように、外側ポンチ用シリンダ9を駆動させて、外側ポンチ8を最下端に位置させる。そして、アルミニウム製の直線状の管材Wをダイ4の上側面4aの上に載置する。この場合、管材Wは、外側ポンチ8の成形面8aに接触している。そして、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側に所定の油圧P11をかける。これにより、内側ポンチ用シリンダ5が駆動して内側ポンチ2の成形面2aが管材に接触する位置まで内側ポンチ2が下降する。
【0037】
続いて、外側ポンチ用シリンダ9内の下方側へ所定の油圧P21をかける。これにより、図4(c)(d)に示すように、外側ポンチ用シリンダ9が駆動して外側ポンチ8が上昇する。その後、図4(c)(d)に示す位置にて、外側ポンチ8は停止する。その結果、管材Wのうち外側ポンチ8に接触している部分、すなわち屈曲部の屈曲外側は、外側ポンチ8の成形面8aに倣って徐々に凹み始め、所定の深さの凹部が成形される(曲げ前凹部成形工程)。例えば、ここで成形される凹部の所定の深さは、図4(c)(d)に示すように最終的に成形される凹部(図4(j)参照)の深さに対して約4分の1としている。なお、この工程にて成形される凹部の深さは、外側ポンチ用シリンダ9内の下方側にかける油圧P11を変化させることにより変化させることができる。例えば、最終的に成形される凹部の約半分とすることもできる。
【0038】
続いて、外側ポンチ用シリンダ9の下方側からの油圧P21は維持した状態で、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側にかける油圧をP11からP12まで上昇させる。これにより、図4(e)(f)に示すように、内側ポンチ用シリンダ5が駆動して内側ポンチ2が下降する。なお、内側ポンチ用シリンダ5にかけられる油圧P12は、外側ポンチ用シリンダ9にかけられている油圧P21より小さい。その結果、管材Wのうち内側ポンチ2に接触している部分、すなわち屈曲部の屈曲内側は、内側ポンチ2の成形面2aに倣って屈曲し始める。そして、管材Wの両端側が傾斜するのに伴って、ダイ4はそれぞれ回転して管材Wを確実に支持する。これに伴って、管材Wの屈曲部全体が屈曲し始める(曲げ成形工程)。さらに、外側ポンチ8は停止した状態が維持され、管材Wのうち外側ポンチ8に接触している部分、すなわち屈曲部の屈曲外側は、外側ポンチ3の成形面3aに倣ってさらに凹み、より深い凹部を成形する(凹部成形工程)。
【0039】
続いて、外側ポンチ用シリンダ9内の下方側からの油圧P21は維持した状態で、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側にかける油圧をP12からP13まで上昇させる。なお、内側ポンチ用シリンダ5にかけられる油圧P13は、外側ポンチ用シリンダ9にかけられている油圧P21とほぼ同一である。この場合、外側ポンチ8は停止した状態を維持したまま、内側ポンチ2がさらに下降する。この状態を図4(g)(h)に示す。すなわち、管材Wはさらに屈曲し、ダイ4はさらに回転する。そして、管材Wの屈曲部の屈曲外側は、図4(h)に示すように、より深い凹部が成形される。この凹部は、外側ポンチ8の成形面8aに倣って成形されている。
【0040】
続いて、外側ポンチ用シリンダ9内の下方側からの油圧P21は維持した状態で、内側ポンチ用シリンダ5内の上方側にかける油圧をP13からP14まで上昇させる。ここで、内側ポンチ用シリンダ5にかけられている油圧P14は、外側ポンチ用シリンダ9にかけられている油圧P21より大きくなる。これにより、内側ポンチ2と同時に外側ポンチ8が下降する。すなわち、内側ポンチ2と外側ポンチとの相対位置は変化しない。このようにして曲げ成形が完了した状態を図4(i)(j)に示す。すなわち、管材Wの屈曲部の屈曲内側は、図4(i)に示すように、内側ポンチ2の成形面2aに倣って成形されている。このようにして、直線状の管材Wからハイドロフォーミング用素材管を成形することができる。
【0041】
上述のように、ハイドロフォーミング用素材管の屈曲部の屈曲外側に凹部を形成することにより、屈曲部の曲率半径をさらに小さくした場合であっても、屈曲部の屈曲内側では座屈の発生を防止することができ、屈曲部の屈曲外側では割れの発生を防止することができる。さらに、第1実施形態における成形方法により成形する場合に比べると、第2実施形態における成形方法により成形する場合は、屈曲部の屈曲内側での座屈の発生をより防止でき、屈曲部の屈曲外側での割れの発生をより防止することができる。
【0042】
(他の実施形態)
なお、外側ポンチ3、8の成形面3a、8aは、正面(X−Z平面)方向の断面形状は、ほぼX軸に平行な直線状に形成されているが、曲線状に形成してもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、内側ポンチ2を上下移動させることにより素材管を成形したが、これに限られるものではない。例えば、特開2000−210721号公報に開示された曲げ成形方法を用いてもよいし、特開2001−205350号公報に開示された曲げ成形方法を用いてもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明のハイドロフォーミング用素材管の成形方法及び成形装置によれば、屈曲部の曲率半径をさらに小さくした場合であっても、管材の屈曲部に座屈や割れが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるハイドロフォーミング用素材管の成形装置を示す図である。
【図2】第1実施形態におけるハイドロフォーミング用素材管の成形方法を示す図である。
【図3】第2実施形態におけるハイドロフォーミング用素材管の成形装置を示す図である。
【図4】第2実施形態におけるハイドロフォーミング用素材管の成形方法を示す図である。
【符号の説明】
2 ・・・ 内側ポンチ
3、8 ・・・ 外側ポンチ
4 ・・・ ダイ
5 ・・・ 内側ポンチ用シリンダ
6 ・・・ 上台
7 ・・・ 下台
9 ・・・ 外側ポンチ用シリンダ
Claims (4)
- 直線状の管材を曲げ成形して形成される屈曲部を有し、前記屈曲部の管軸方向に垂直な断面形状の屈曲外側に、前記管材の内部側へ凹ませた凹部を成形するハイドロフォーミング用素材管の成形方法において、
ダイにより前記管材を支持した状態で、所定の曲率形状に形成され前記屈曲部の屈曲内側面を成形する成形面を有する内側ポンチを、前記ダイに対して所定方向に相対移動させることにより、前記管材を曲げ成形し前記屈曲部を形成する曲げ成形工程と、
前記曲げ成形工程と同時に、前記内側ポンチの前記成形面に対向して配置され前記凹部を成形する成形面を有する外側ポンチを、前記内側ポンチに対して前記所定方向と反対方向に相対移動させることにより前記凹部を成形する凹部成形工程と、
からなり、
前記凹部の深さが、前記屈曲部の管軸方向における中心部分が最も深く、且つ、当該中心部分から離れるに従って浅いことを特徴とするハイドロフォーミング用素材管の成形方法。 - さらに、前記曲げ成形工程および前記凹部成形工程の前に、前記外側ポンチを前記内側ポンチに対して前記所定方向と反対方向に相対移動させることにより、曲げ成形することなく前記凹部の最終深さより浅い第一凹部を成形する曲げ前凹部成形工程を有し、
前記凹部成形工程は、前記外側ポンチを前記内側ポンチに対してさらに前記所定方向と反対方向に相対移動させることにより前記第一凹部の深さをさらに深くして前記凹部を成形することを特徴とする請求項1記載のハイドロフォーミング用素材管の成形方法。 - 直線状の管材を曲げ成形して形成される屈曲部を有し、前記屈曲部の管軸方向に垂直な断面形状の屈曲外側に、前記管材の内部側へ凹ませた凹部を成形するハイドロフォーミング用素材管の成形装置において、
所定の曲率形状に形成され前記屈曲部の屈曲内側面を成形する成形面を有する内側ポンチと、
前記内側ポンチの前記成形面に対向して配置され前記屈曲部の管軸方向に垂直な断面形状の屈曲外側に前記管材の内部側へ凹ませた凹部を成形する外側ポンチと、
前記外側ポンチの両端側に配置され前記管材の屈曲外側を支持するダイとを有し、
前記内側ポンチを前記ダイに対して所定方向に相対移動させて前記管材を曲げ成形すると同時に、前記外側ポンチを前記内側ポンチに対して前記所定方向と反対方向に相対移動させて前記凹部を成形し、
前記凹部の深さが、前記屈曲部の管軸方向における中心部分が最も深く、且つ、当該中心部分から離れるに従って浅いことを特徴とするハイドロフォーミング用素材管の成形装置。 - 前記外側ポンチを前記内側ポンチおよび前記ダイに対して前記所定方向と反対方向へ相対移動させて前記凹部の最終深さより浅い第一凹部を成形し、
前記内側ポンチを前記ダイに対して前記所定方向に相対移動させて前記管材を曲げ成形すると同時に、前記外側ポンチを前記内側ポンチに対して前記所定方向と反対方向にさらに相対移動させて前記第一凹部の深さをさらに深くして前記凹部を成形することを特徴とする請求項3記載のハイドロフォーミング用素材管の成形装置。
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JP2002273290A JP4259075B2 (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | ハイドロフォーミング用素材管の成形方法及び成形装置 |
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