JP2018051608A - コイニング加工方法、バーリング加工品のコイニング装置及び金属部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイニング加工方法は、貫通孔を備えた金属板であって、前記貫通孔の周囲の縁に連続して設けられ、前記金属板の板厚方向の一方側に曲がる曲部と、前記曲部に連続し、前記金属板の板面に対して垂直に延びる立ち上がり部と、を備えるバーリング加工品を加工する方法であり、平面と傾斜面を備えるバックアップ金型の前記傾斜面で、前記曲部の曲げの外側面を支持して配置する第1工程と、前記バーリング加工品の立ち上がり部の端部を、前記バックアップ金型に対向して配置されたコイニング金型を用いて前記バックアップ金型に向かって押圧する第2工程と、を備える。
【選択図】図4
Description
なお、特許文献1に開示の技術を用いても、コイニング加工の際に、バーリング加工部の曲部の曲げの内側面に局所的に圧縮応力が集中するのを抑制することはできない。
なお、図面において同一の部材などには同一の符号を付しており、以下の説明において同一部材について先に説明したものは、適宜説明を省略している。
図3を用いて本実施形態のコイニング装置30によってコイニング加工を施されるバーリング加工品10について説明する。なお、図3に示される矢印Aは、金属板12の板厚方向の一方側を示しており、矢印Bは、金属板12の板厚方向の他方側を示している。
図5(A)及び図5(B)を用いてコイニング装置30によってコイニング加工を施されたバーリング加工品10である本実施形態の金属部品20について説明する。なお、図5(A)及び図5(B)に示される矢印Aは、金属板12の板厚方向の一方側を示しており、矢印Bは、金属板12の板厚方向の他方側を示している。また、金属部品20は、バーリング加工品10に対して、コイニング加工によりバーリング加工部14の高さが低くなっている点と、後述するバックアップ金型32の傾斜面40(円錐面)に押し付けられることで外側面16Bに平面部24(円錐面)が形成されている点で異なり、他の構成は同じである。したがって、以下では、平面部24について説明する。
実際は、10μm(0.01mm)は板厚に比べ100倍以上薄い。故に顕微鏡写真では板厚方向がよくわからないことがある。その場合、亀裂の進展方向(亀裂の始点と終点を結ぶ直線方向)を板厚方向とみなす。亀裂の進展方向に亀裂の長さが10μmを超える亀裂であれば、板厚方向に10μmを超える亀裂とみなす。
図1、図2及び図4を用いて、コイニング装置30について説明する。なお、図1〜図4に示される矢印Aは、コイニング装置30の装置上側を示しており、矢印Bは、コイニング装置30の装置下側を示している。そして、装置上下方向とコイニング加工を施されるバーリング加工品10を構成する金属板12板面における板厚方向とが一致している。
次に、本実施形態におけるバーリング加工品10のコイニング加工方法について説明する。
図4に示されるように、まず、バーリング加工部14が形成されたバーリング加工品10をバックアップ金型32上に設置(セット)する。具体的には、バーリング加工部14の根元側がバックアップ金型32の突部38に嵌った状態となるように、バーリング加工品10をバックアップ金型32の平面36上に設置(セット)する。ここで、バーリング加工部14の根元側が突部38に嵌った状態では、曲部16の外側面16Bが傾斜面40と当接(円状に線接触)し、傾斜面40によって支持される。
次に、コイニング金型34を装置下側へ移動させて、バーリング加工部14の端部18Aをコイニング金型34の溝部42に挿入し、その状態で、コイニング金型34を装置下方に移動させて溝部42の底42Aで端部18Aをバックアップ金型32に向けて押圧するコイニング加工を施す。このコイニング加工により、バーリング加工品10が金属部品20となる。なお、本実施形態では、コイニング加工によってバーリング加工部14の端部18Aを1mm程度圧縮している。
ここで、バーリング加工部14の端部18Aは、バーリング加工前に金属板12に形成された下孔の内周面によって構成されることから、下孔が粗く穴開け加工された場合には、端部18Aの拡径時に残留する引張残留応力が疲労強度低下の原因となる。これに対して、本実施形態では、コイニング加工によってバーリング加工部14の端部18Aに圧縮応力が生じるため、端部18Aの引張残留応力が緩和される。
次に、本実施の形態の作用及び効果について、図8に示される比較例のコイニング装置70及びコイニング加工と比較して説明する。
したがって、本実施形態のコイニング装置30では、比較例1のコイニング装置70のように傾斜面40を備えない装置と比べて、コイニング加工後に、金属部品20の曲部16の内側面16Aにしわや亀裂が生じるのが抑制される。
なお、傾斜角度θが0度以上15度未満の範囲内では、傾斜面40が外側面16Bの曲げの中央部(外側面16Bの曲げの頂部)を支持できない。また、傾斜角度θが75度を超えて90度以下の範囲内では、傾斜面40が平面34に対してほぼ垂直な壁となるため、外側面16Bの曲げの中央部(外側面16Bの曲げの頂部)を支持できない。そのため、傾斜面40の傾斜角度θを15度〜75度の範囲内に設定することが好ましい。
以下、図6を用いて第2実施形態のコイニング装置50及びコイニング加工方法について説明する。なお、第2実施形態では、コイニング装置50を用いてバーリング加工品10にコイニング加工を施す。以下、第2実施形態のコイニング装置50について説明し、次いで、第2実施形態のコイニング加工方法について説明する。
図6に示されるように、コイニング装置50では、バックアップ金型52の傾斜面58の構成を除いて第1実施形態のコイニング装置30と同様に構成されている。なお、以下の説明では、コイニング装置50において、コイニング装置30と同様に構成されている部分については、同一の符号を付し、その説明を省略している。
このため、図6に示されるように、溝部42の幅方向中央を通り垂線PLに対して平行な直線SLが傾斜部58Aを貫通している。すなわち、本実施形態の傾斜部58Aは、バックアップ金型52において、直線SLが貫通する位置に設けられている。
まず、バーリング加工部14が形成されたバーリング加工品10をバックアップ金型52上に設置(セット)する。具体的には、バーリング加工部14の根元側がバックアップ金型52の突部56に嵌った状態となるように、バーリング加工品10をバックアップ金型52の平面54上に設置(セット)する。ここで、バーリング加工部14の根元側が突部56に嵌った状態では、曲部16の外側面16Bが傾斜面58を構成する傾斜部58A、緩傾斜部58B及び急傾斜部58Cとそれぞれ当接(円状に線接触)し、傾斜部58A、緩傾斜部58B及び急傾斜部58Cによって支持される。
次に、コイニング金型34を装置下側へ移動させて、バーリング加工部14の端部18Aをコイニング金型34の溝部42に挿入し、その状態で、コイニング金型34を装置下方に移動させて溝部42の底42Aで端部18Aをバックアップ金型52に向けて押圧するコイニング加工を施す。
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
以下、図7を用いて第3実施形態のコイニング装置60及びコイニング加工方法について説明する。なお、第3実施形態では、コイニング装置60を用いてバーリング加工品10にコイニング加工を施す。以下、第3実施形態のコイニング装置60について説明し、次いで、第3実施形態のコイニング加工方法について説明する。
図7に示されるように、コイニング装置60では、バックアップ金型62の傾斜面68の構成を除いて第1実施形態のコイニング装置30と同様に構成されている。なお、以下の説明では、コイニング装置60において、コイニング装置30と同様に構成されている部分については、同一の符号を付し、その説明を省略している。
このため、図7に示されるように、溝部42の幅方向中央を通り垂線PLに対して平行な直線SLが傾斜部68Bを貫通している。すなわち、本実施形態の傾斜部68Bは、バックアップ金型62において、直線SLが貫通する位置に設けられている。
まず、バーリング加工部14が形成されたバーリング加工品10をバックアップ金型62上に設置(セット)する。具体的には、バーリング加工部14の根元側がバックアップ金型62の突部66に嵌った状態となるように、バーリング加工品10をバックアップ金型62の平面64上に設置(セット)する。ここで、バーリング加工部14の根元側が突部66に嵌った状態では、曲部16の外側面16Bが傾斜面68を構成する湾曲部68Aに面接触し、湾曲部68Aによって支持される。
次に、コイニング金型34を装置下側へ移動させて、バーリング加工部14の端部18Aをコイニング金型34の溝部42に挿入し、その状態で、コイニング金型34を装置下方に移動させて溝部42の底42Aで端部18Aをバックアップ金型52に向けて押圧するコイニング加工を施す。
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
12 金属板
12A 板面
14 バーリング加工部
16 曲部
16A 内側面
16B 外側面
18 立ち上がり部
18A 端部
20 金属部品
22 曲部
22A 内側面
22B 外側面
24 平面部
26 曲面部
30 コイニング装置
32 バックアップ金型
34 コイニング金型
36 平面
40 傾斜面
40A 傾斜部(傾斜する部分)
42 溝部
42A 底
50 コイニング装置
52 バックアップ金型
54 平面
58 傾斜面
58A 傾斜部(傾斜する部分)
60 コイニング装置
62 バックアップ金型
64 平面
68 傾斜面
68A 湾曲部(大きくなる部分)
68B 傾斜部(傾斜する部分)
70 コイニング装置
72 バックアップ金型
74 平面
θ 傾斜角度
PL 垂線
SL 直線
Claims (14)
- 貫通孔を備えた金属板であって、前記貫通孔の周囲の縁に連続して設けられ、前記金属板の板厚方向の一方側に曲がる曲部と、前記曲部に連続し、前記金属板の板面に対して垂直に延びる立ち上がり部と、を備えるバーリング加工品を、平面と傾斜面を備えるバックアップ金型の前記傾斜面で、前記曲部の曲げの外側面を支持して配置する第1工程と、
前記バーリング加工品の立ち上がり部の端部を、前記バックアップ金型に対向して配置されたコイニング金型で、前記バックアップ金型に向かって押圧する第2工程と、
を備えるコイニング加工方法。 - 前記コイニング金型は環状の溝部を備え、
前記第2工程において、前記立ち上がり部の端部は、前記溝部の底に当接される請求項1に記載のコイニング加工方法。 - 前記傾斜面は、前記外側面と線接触又は面接触する請求項1又は請求項2に記載のコイニング加工方法。
- 平面と、前記平面に対して凸形状かつ前記平面との境界が円形である傾斜面とを備えるバックアップ金型と、
前記バックアップ金型の前記平面に対向して配置されるコイニング金型と、
を備えるバーリング加工品のコイニング装置。 - 前記傾斜面は、前記平面に対して15度〜75度の範囲内で傾斜する部分を有する請求項4に記載のバーリング加工品のコイニング装置。
- 前記傾斜面は、前記平面との境界側よりも頂側で前記平面に対する傾斜角度が大きい請求項4又は請求項5に記載のバーリング加工品のコイニング装置。
- 前記傾斜面は、前記境界から離れるにしたがい前記傾斜角度が大きくなる部分を有する請求項6に記載のバーリング加工品のコイニング装置。
- 前記コイニング金型の前記バックアップ金型に対向する側には円環状の溝部が設けられている請求項4に記載のバーリング加工品のコイニング装置。
- 前記平面と前記傾斜面との境界を通る前記平面の垂線が前記溝部の底を通る請求項8に記載のバーリング加工品のコイニング装置。
- 前記コイニング金型の前記バックアップ金型に対向する側には円環状の溝部が設けられ、
前記溝部の幅方向中央を通り前記平面の垂線に対して平行な直線が前記傾斜する部分を通る請求項5又は請求項5を引用する請求項6に記載のバーリング加工品のコイニング装置。 - 前記コイニング金型の前記バックアップ金型に対向する側には円環状の溝部が設けられ、
前記溝部の幅方向中央を通り前記平面の垂線に対して平行な直線が前記大きくなる部分を通る請求項7に記載のバーリング加工品のコイニング装置。 - 前記溝部の底は平らである請求項8〜11のいずれか1項に記載のバーリング加工品のコイニング装置。
- 円形の貫通孔を備えた金属板であって、
前記貫通孔の周囲の縁に連続して設けられ、前記金属板の板厚方向の一方側に曲がり、曲げの外側面に平面部を備える曲部と、
前記曲部に連続し、前記金属板の板面に対して垂直に延びる立ち上がり部と、
を備えた金属部品。 - 円形の貫通孔を備えた金属板であって、
前記貫通孔の周囲の縁に連続して設けられ、前記金属板の板厚方向の一方側に曲がり、曲げの内側面から内部に10μm離間した部位が連続する形状の曲部と、
前記曲部に連続し、前記金属板の板面に対して垂直に延びる立ち上がり部と、
を備えた金属部品。
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