JP2004027345A - 低鉄損方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁被膜の密着性がよく、しかも極めて低鉄損の方向性電磁鋼板とその製造方法の提供。
【解決手段】電磁鋼板を仕上げ焼鈍し、地鉄表面に酸素目付量にして両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物被膜、その上にCVD、PVDなどによりSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜、さらに塗布・焼付けにより酸化物を主体とする絶縁被膜を形成する低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法とその電磁鋼板。
【選択図】なし
【解決手段】電磁鋼板を仕上げ焼鈍し、地鉄表面に酸素目付量にして両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物被膜、その上にCVD、PVDなどによりSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜、さらに塗布・焼付けにより酸化物を主体とする絶縁被膜を形成する低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法とその電磁鋼板。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に電力用トランスの鉄心として用いられる、極めて低鉄損の方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
方向性電磁鋼板の鉄損を低減するために開発が進められている技術として、通常の方向性電磁鋼板の表面に形成されているフォルステライト被膜を除去し、地鉄表面を平滑にする方法が知られている。これは地鉄表面の凹凸を減少させ、磁壁の移動を妨げないようにして鉄損の要素の一つであるヒステリシス損を低減するものである。しかし、地鉄にコーティング液の塗布・焼付けで形成される絶縁被膜を強固に密着させる働きをしていたフォルステライト被膜がないため、絶縁被膜が剥離しやすいという問題がある。特に、従来使われてきたリン酸塩とコロイド状シリカを主体とした、地鉄に張力を付与できる被膜(張力被膜)は被膜と地鉄との間に働く応力のため剥落しやすく、常法では地鉄上に健全に形成することはほとんど困難である。
【0003】
その対策として、例えばリン酸塩とコロイド状シリカとを主体とするコーテイィング液の成分や焼付け方法を変更する方法(特開昭63− 111604号、特開平9−78253号公報など)、ホウ酸とアルミナゾルを主体とした絶縁被膜を形成する方法(特開平6−65754号公報など)、地鉄上に金属めっきをしてから絶縁コーティングを形成する方法(特開平11−181557号公報など)、PVDなどでセラミックス被膜を形成する方法(特開昭53− 144419号など)が提案されている。これらのうち、リン酸塩とコロイド状シリカまたはホウ酸アルミナを主体とする絶縁コーティングのみを形成する方法は、被膜の密着性が改善されているとはいえ、なお密着性が不十分な場合がある。さらに地鉄表面が酸化によって平滑度が低下し、鉄損が増加する恐れがある。また鋼板に付与できる張力は従来の方向性電磁鋼板と同程度でしかない。
【0004】
加えて、地鉄表面を平滑にした場合、従来地鉄表面の凹凸によってある程度生じていた磁区細分化の効果がなくなる。これを補うには従来以上に強い被膜の張力が必要であるが、これらのコーティングのみでは、従来以上の強い被膜張力は得られない。地鉄上に金属めっきを施してから張力被膜を形成する技術では、ヤング率の大きい金属めっきを利用すれば、従来よりも強い被膜張力が得られるという利点があるが、地鉄中にめっき金属が拡散するために歪み取り焼鈍が行えないという問題がある。
PVDなどのセラミックス被膜を形成する技術では、歪み取り焼鈍が可能である。また従来のリン酸塩―シリカ系被膜のような酸化物よりもヤング率が大きいセラミックス被膜が形成されるため、より強い被膜張力が得られることが期待される。しかし、強い被膜張力を持たせると、やはりセラミックス層と地鉄との間で剥離する場合があった。その場合、セラミックスの被膜を薄くして従来の被膜程度の張力にしなければならず、高張力で得られるはずの低鉄損が得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題を解決し、絶縁被膜の密着性がよく、しかも極めて低鉄損の方向性電磁鋼板を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来の技術のうち、高張力が得られるセラミックス被膜を利用する方法について、さらに研究を進め、セラミックス被膜と鋼板との界面にさらに中間層として酸化物層を形成することで、セラミックス被膜の鋼板表面への被膜密着性が大いに改善されることを発見した。さらに中間層の構成・条件を見極め、本発明を完成した。すなわち、その要旨は以下の通りである。
【0007】
本発明は、電磁鋼板の地鉄表面に酸素目付量にして両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物、その上にSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜、さらにその上に酸化物を主体とする絶縁被膜を有することを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板である。
【0008】
低鉄損方向性電磁鋼板は、Si系酸化物を主体とした酸化物が、仕上げ焼鈍中に地鉄表面に形成されたものであるのが好ましい。
【0009】
低鉄損方向性電磁鋼板は、鋼板の長手方向から60〜90°の方向に、板厚の5〜25%の深さの溝が0.5〜10mmの間隔で繰返し地鉄表面に形成されているのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、電磁鋼板を仕上げ焼鈍し、地鉄表面の酸素目付量が両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物を付け、これにCVD、PVDまたはイオンプレーティングでSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜を形成し、さらにその上に酸化物を主体とする絶縁被膜を、塗布・焼付けにより形成することを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0011】
電磁鋼板の製造工程における最終冷間圧延より後で、セラミックス被膜を形成するより前の工程において、鋼板の長手方向から60〜90°の方向に、板厚の5〜25%の深さの溝を0.5〜10mmの間隔で繰返し地鉄表面に形成するのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の方向性電磁鋼板は、仕上げ焼鈍により地鉄表面に形成された、極薄いSi系酸化物を主体とした酸化物を被膜として有する。好ましい方向性電磁鋼板は、特に優れた磁気特性が得られる結晶粒の(110)[001]方位への集積度が高い、いわゆる高配向性の方向性電磁鋼板である。酸化物被膜はその上に形成されるセラミックス被膜を地鉄に強固に密着させるために、酸素目付量が両面で0.01g/m2 以上でなければならない。一方、酸化物被膜が酸素目付量にして両面で0.15g/m2 を超えるとセラミックス被膜が剥離しやすくなる。これは厚さが大きくなりすぎて被膜内部で破壊が生じやすくなったり、被膜の地鉄との整合性が板厚の増加とともに失われるためと考えられる。したがって、酸化物被膜の酸素目付量は両面で0.01〜0.15g/m2 が好適であり、0.02〜0.10g/m2 がより好適である。
【0013】
本発明の方向性電磁鋼板は、まず仕上げ焼鈍により、地鉄表面に極薄いシリカを主体とした酸化物被膜を形成するように製造されるが、該方向性電磁鋼板を製造する際のスラブの圧延から一次再結晶焼鈍までの諸工程は、従来公知の高配向性の方向性電磁鋼板の製造方法における諸工程が適用される。すなわち、有効(強化)成分を調整した鋼スラブを素材として使用し、スラブ加熱、熱間圧延、熱延板焼鈍(必要に応じて)、1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延、一次再結晶焼鈍、仕上げ焼鈍による公知の方法で製造される。
【0014】
鋼スラブは、例えば質量%で、Si:2〜7%およびMn:0.01〜2.5%の他に、さらにS、Se、Al、B、Bi、Sb、Mo、Te、Sn、P、Ge、As、Nb、Cr、Ti、Cu、Pb、Zn、Inなどを1種または2種以上添加して有効成分を調整したものが好ましい。
【0015】
仕上げ焼鈍の際に、鋼板間に適用する焼鈍分離剤として、アルミナ、シリカなどの水和しない酸化物粉末を使用するとフォルステライト被膜が形成されなくなる。また、焼鈍分離剤のマグネシアにハロゲン化物を少量添加すると、仕上げ焼鈍後にフォルステライト被膜を地鉄上に形成することを回避できる。これは地鉄とフォルステライト被膜の界面が平滑化され、仕上げ焼鈍の冷却過程で地鉄表面からフォルステライト被膜が剥離されるためと推測される。
【0016】
また、仕上げ焼鈍条件の変更により、酸化物被膜の膜厚を調整することができる。例えば、仕上げ焼鈍中の雰囲気中の酸化性ガス(酸素、水蒸気など)の濃度や雰囲気温度、焼鈍時間を変化させて酸化性を変えることにより、地鉄上にわずかに形成される酸化物被膜の膜厚を調整することができる。なお、酸化性ガスの過度の使用により、地鉄表面の平滑度が劣化することがあるので、注意を要する。
酸化物被膜の膜厚は仕上げ焼鈍後の酸洗や研磨などにより調整することもできるが、仕上げ焼鈍時の焼鈍分離剤や雰囲気の条件変更による方が、工程が少なく単純で効率的である。また、酸洗などを経ずに、高温の仕上げ焼鈍で形成されたままの酸化物被膜の方が被膜強度が優れ、鋼板表面への酸化物被膜の密着性に優れるので好ましい。
【0017】
仕上げ焼鈍後には、残留した焼鈍分離剤を水洗や軽酸洗で洗浄除去する。例えば、従来からマグネシアを除去するために適用されているリン酸洗浄などが好適である。過度の酸洗は酸化物被膜を劣化させたり、地鉄表面に凹凸を形成したりするので好ましくない。酸洗による重量減少量を両面で2g/m2 以下、好ましくは1g/m2 以下とする。
【0018】
また、仕上げ焼鈍後の電磁鋼板を化学的または機械的に研磨して表面を平滑にしてから、さらに熱処理によって、極薄の酸化物被膜を形成することも可能である。例えば、通常の方向性電磁鋼板を化学研磨し、フォルステライト被膜を除去して表面を平滑化した後、さらに弱い酸化性ガス雰囲気中で、例えば、800〜900℃のPH2O /PO2=0.01〜0.2程度の雰囲気で1〜300秒間熱処理を行ってSi系酸化物を主体とする酸化物被膜を形成してもよい。
【0019】
このようにして、仕上げ焼鈍後に形成された酸化物はSi系酸化物(シリカなど)を主体とするものであるが、仕上げ焼鈍の条件により、Fe、Mg、Alなどを含有することもある。例えば、SiO2 、Fe2 SiO4 、Mg2 SiO4 などのSiを含有する酸化物であり、これらの酸化物は単独でも複数が混在していてもよく、構成元素比も一定である必要はない。
【0020】
熱処理によって形成された極薄の酸化物被膜は、例えばゾルゲル法などで作られた酸化物被膜に比べて、遥かに電磁鋼板への密着性が強い。この理由は明確ではないが、次のように推定される。すなわち、酸化物被膜は地鉄表面での地鉄もしくは合金元素の酸化反応によって形成されるが、酸化物被膜と地鉄との界面に他の物質が介在しないこと、ならびに地鉄表面の二次再結晶粒方位に整合した結晶構造を持つ酸化物が形成されて、酸化物被膜と地鉄との界面が安定化されることが関係しているものと考えられる。
【0021】
次に、電磁鋼板に張力を付与する被膜として、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体としたセラミックス被膜層を形成する。セラミックス被膜層は、CVD、PVDまたはイオンプレーティングによって、一般的な条件によって形成される。その際、雰囲気などから、酸素が層内に取り込まれ、該元素の酸化物が少量含有されていても構わない。
【0022】
セラミックス被膜層は酸化物被膜表面から少量ずつ積み重なって形成されるため、塗布・焼付けで形成される従来の絶縁被膜とは異なり、該被膜層は酸化物の結晶に整合した構造を持つ。これはセラミックス被膜の酸化物被膜への密着性を高めるのに極めて有効である。
先に述べたように、地鉄表面の極薄の酸化物被膜も地鉄の結晶方位と整合した構造を持つため、このセラミックス被膜もまた地鉄および酸化物被膜の結晶方位と整合した構造を持つことになり、より一層セラミックス被膜の酸化物被膜への優れた被膜密着性が得られるものと考えられる。
【0023】
酸化物被膜なしにセラミックス被膜を形成した場合に比べて、該被膜密着性が改善されている理由は、地鉄とセラミックスの間の結合力より、地鉄と、地鉄の反応によって形成された酸化物との間の結合力、およびともに非金属である酸化物とセラミックスとの間の結合力の方が優れるためと考えられる。また、地鉄表面の極薄の酸化物被膜はセラミックス被膜中に含まれる炭素や窒素が歪み取り焼鈍などの熱処理中に地鉄中に拡散するのを抑制する作用もあり、鉄損劣化を防止するという効果もある。
【0024】
特定の窒化物および/または炭化物は、従来の張力被膜を構成するリン酸塩とシリカを主体とした酸化物よりもヤング率が極めて大きいため、薄い被膜で強い張力を電磁鋼板に懸けることが可能になる。特にセラミックス被膜を形成する際に、鋼板の長手方向に2MPa 以上の張力を懸けておくと、被膜から地鉄に付与する張力が増大するので好ましい。またセラミックス被膜形成時の鋼板の温度を変圧器の鉄心の常用温度よりも高い200℃以上にしておくと鋼板に付与される張力が増大するので好ましい。特に歪み取り焼鈍として常用される750〜900℃以上にすると、歪み取り焼鈍後のセラミックス被膜の張力被膜に対する被膜密着性が改善されるという効果があり、より一層好適である。
【0025】
セラミックス被膜の厚さが0.1〜5μmの範囲であると、セラミックス被膜の張力とセラミックス被膜の張力被膜に対する被膜密着性に優れる。0.1μmよりも小さいと鉄損の低減効果が小さく、5μmよりも大きいと張力が強すぎてセラミックス被膜の張力被膜に対する被膜密着性が劣化する上に、鉄心に加工する際の占積率も低下する。0.2〜2μmの範囲であるのがより好ましい。
【0026】
さらに、該セラミックス被膜の上に絶縁被膜を形成する。該絶縁被膜は、リン酸塩とシリカを主体として、必要に応じてクロム酸などを添加した従来のコーティング液の塗布・焼付けで形成された酸化物を主体とするものであり、該絶縁被膜は、下層の窒化物・炭化物のセラミックス被膜の張力をさらに強める効果を有する。
絶縁被膜の形成には、さらに、熱膨張係数の小さいガラスのフリットを懸濁した液を塗布して焼付ける方法、ホウ酸とアルミナゾルを主成分とするコーティング液を塗布して焼付ける方法などの公知の張力被膜の形成方法を適用することもできる。
絶縁被膜の量は、鉄心とした際の層間抵抗の確保と占積率を考慮すると、目付量にして両面で2〜20g/m2 の範囲が好ましく、6〜14g/m2 の範囲がより好ましい。
【0027】
また、地鉄表面に溝を形成して磁区を細分化すると、本発明の電磁鋼板の鉄損の低減化を顕著に発現させることができるので、極めて有効である。本発明のように、従来以上に高い被膜張力を電磁鋼板に付与する場合の好ましい溝の形態は、深さが板厚の5〜25%で、溝の方向が電磁鋼板の長手方向から60〜90°傾き、溝の繰返し間隔が0.5〜10mmのものである。溝の深さが板厚の5%未満の場合、方向が長手方向から60°を超える場合、または間隔が10mmを超える場合は、磁区細分化による鉄損の低減の効果が小さく、溝の深さが板厚の25%を超える場合や、間隔が0.5mm未満の場合は透磁率が低下して、かえって鉄損の増大を招くことになる。
【0028】
溝の形成は、溝形状を一定に保つために、電磁鋼板の最終冷間圧延の後に実施する必要がある。溝の形成は、機械加工や化学的なエッチングによるのが好ましい。セラミックス被膜形成後は機械加工や化学的なエッチングによる溝の形成が困難になる上、セラミックス被膜の剥離や破壊が生じて張力効果が低下するため、セラミックス被膜形成よりも前の工程で溝を形成するのが好ましい。例えば、最終冷間圧延後に、レジストでマスクしてから電解エッチングを行ったり、仕上げ焼鈍後にプレスを行ったりする方法が用いられる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
AlN、MnSe、Sbをインヒビターとした方向性電磁鋼板の最終冷間圧延後の試料(厚さ0.23mm)を用意した。これに電解エッチングによって深さ21μmの溝を圧延方向と80°の方向に2.5mm間隔で形成した。続いて、湿潤水素雰囲気で脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を行った。次に、マグネシアに質量比にして2%の塩化アンチモンを添加した焼鈍分離剤をスラリーにして塗布して乾燥し、乾燥水素中で最高1200℃まで昇温して10時間保持する仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍後に、鋼板上に残留した焼鈍分離剤を水洗とリン酸酸洗で除去したところ、酸素目付量にして両面で0.08g/m2 のシリカを主体とした酸化物被膜が形成された(番号3および4)。
【0030】
さらに、一部の試料を過酸化水素とフッ酸により化学研磨して、表面の酸化物被膜を完全に除去し、酸素目付量にして0.01g/m2 未満にした(番号1および2)。
比較のために、ハロゲン化物を添加しない通常の条件のマグネシアを焼鈍分離剤として仕上げ焼鈍した電磁鋼板も作成した(番号5および6)。この電磁鋼板には、酸素目付量にして両面で3.2g/m2 のフォルステライトを主体とした酸化物被膜が形成された。
【0031】
これらの電磁鋼板の一部に、厚み1μmのTiN被膜をPVDによって形成しセラミックス被膜を形成した。さらに850℃で3時間の歪み取り焼鈍を行った後、リン酸アルミニウム、コロイド状シリカ、および重クロム酸マグネシウムを含むコーティング液を、ロールコーターで塗布し、840℃で焼付けして両面で12g/m2 の酸化物の絶縁被膜を形成し、方向性電磁鋼板を製造した。表1に該電磁鋼板の鉄損W17/50 と、被膜密着性を評価した結果を示した。
【0032】
鉄損W17/50 はエプスタイン法によって、1.7T、50Hzで測定した。
被膜密着性は直径30mmおよび60mmの丸棒に沿わせて電磁鋼板を曲げたときの被膜の剥離耐性で評価した。直径30mm曲げに耐えたものを○、直径60mm曲げに耐えたが、直径30mm曲げに耐えないものを△、直径60mm曲げに耐えないものを×と評価した。表1に評価結果を併記する。
本発明が規定する、酸化物被膜、セラミックス被膜、および塗布型絶縁被膜の条件の全てを満たした場合(番号3)のみが著しく低い鉄損と良好な密着性を同時に発現する。
【0033】
【表1】
【0034】
(実施例2)
実施例1の仕上げ焼鈍を行った後の、酸素目付量にして両面で0.08g/m2 のシリカを主体とした酸化物被膜を有する電磁鋼板上に、CVDにより表2に示す各種の窒化物被膜または炭化物被膜からなるセラミックス被膜を表2に示す膜厚で形成した。番号14および15では、2種類のセラミックス被膜を形成した。その後、ホウ酸とアルミナゾルを主成分とするコーティング液を、ロールコーターで塗布し、880℃で焼付けして10g/m2 の酸化物(両面)の絶縁被膜を形成した。さらに、850℃で3時間の歪み取り焼鈍を行った後、鉄損W17/50 と被膜密着性を評価した。表2に評価結果を併記する。
本発明が規定する極薄酸化物被膜、セラミックス被膜、および塗布型絶縁被膜の条件の全てを揃えた場合、低い鉄損と良好な密着性を同時に発現する。
【0035】
【表2】
【0036】
(実施例3)
実施例1において、焼鈍分離剤のマグネシアに対する塩化アンチモンの添加量を、質量比で表3に示す0.1〜1%の間で変化させる以外は、実施例1と同様に仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍後の地鉄表面には表3に示すように酸素目付量にして両面で0.06〜0.80g/m2 の酸化物被膜が形成された。電磁鋼板の一部(番号1〜3)については化学研磨によってさらに酸化物量を低減させた。
これらの電磁鋼板上にスパッタリングにより厚さ1.2μmのSi3 N4 被膜を形成し、続いて、リン酸アルミニウム、コロイド状シリカおよびクロム酸を含むコーティング液をロールコーターで塗布し、850℃で焼付けして両面で7g/m2 の酸化物張力被膜を形成した。表3に仕上げ焼鈍後の酸化物被膜量と鉄損、被膜密着性との関係を示す。本発明が規定する、酸化物被膜を有する電磁鋼板が、低い鉄損と良好な密着性を同時に発現する。
【0037】
【表3】
【0038】
(実施例4)
実施例1において、表4に示す冷間圧延後から仕上げ焼鈍後までの各工程において電磁鋼板の溝形成を行う工程を追加する以外は、実施例1( 番号3〜4)と同様に酸化物被膜を形成した。溝は深さ19μm、間隔3.4mmで長手方向から75°傾けた方向に形成した。これらの電磁鋼板の上に、イオンプレーティングにより厚さ0.8μmのSiC被膜を形成し、続いて、リン酸マグネシウム、コロイド状シリカおよびクロム酸を含むコーティング液を、ロールコーターで塗布し、810℃で焼付けして酸化物張力被膜を両面あたりの目付量にして10.2g/m2 で形成した。表4にこれらの電磁鋼板の鉄損を示す。
【0039】
一方、冷間圧延後に、電解エッチングでこれらと同じ溝を形成し、従来法と同じマグネシアを焼鈍分離剤として仕上げ焼鈍を行い、フォルステライト被膜を形成した試料に、さらにイオンプレーティングによるSiC被膜とリン酸塩系酸化物被膜を前記と同じように形成した試料の鉄損W17/50は0.79W/kgであった。溝を形成しない場合でも従来を遥かに超える低鉄損が得られるが、溝を形成したものはさらに低鉄損となり好適である。
【0040】
【0041】
【発明の効果】
本発明の方向性電磁鋼板は、フォルステライト被膜がないので、極めて低い鉄損と良好な被膜密着性とを有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に電力用トランスの鉄心として用いられる、極めて低鉄損の方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
方向性電磁鋼板の鉄損を低減するために開発が進められている技術として、通常の方向性電磁鋼板の表面に形成されているフォルステライト被膜を除去し、地鉄表面を平滑にする方法が知られている。これは地鉄表面の凹凸を減少させ、磁壁の移動を妨げないようにして鉄損の要素の一つであるヒステリシス損を低減するものである。しかし、地鉄にコーティング液の塗布・焼付けで形成される絶縁被膜を強固に密着させる働きをしていたフォルステライト被膜がないため、絶縁被膜が剥離しやすいという問題がある。特に、従来使われてきたリン酸塩とコロイド状シリカを主体とした、地鉄に張力を付与できる被膜(張力被膜)は被膜と地鉄との間に働く応力のため剥落しやすく、常法では地鉄上に健全に形成することはほとんど困難である。
【0003】
その対策として、例えばリン酸塩とコロイド状シリカとを主体とするコーテイィング液の成分や焼付け方法を変更する方法(特開昭63− 111604号、特開平9−78253号公報など)、ホウ酸とアルミナゾルを主体とした絶縁被膜を形成する方法(特開平6−65754号公報など)、地鉄上に金属めっきをしてから絶縁コーティングを形成する方法(特開平11−181557号公報など)、PVDなどでセラミックス被膜を形成する方法(特開昭53− 144419号など)が提案されている。これらのうち、リン酸塩とコロイド状シリカまたはホウ酸アルミナを主体とする絶縁コーティングのみを形成する方法は、被膜の密着性が改善されているとはいえ、なお密着性が不十分な場合がある。さらに地鉄表面が酸化によって平滑度が低下し、鉄損が増加する恐れがある。また鋼板に付与できる張力は従来の方向性電磁鋼板と同程度でしかない。
【0004】
加えて、地鉄表面を平滑にした場合、従来地鉄表面の凹凸によってある程度生じていた磁区細分化の効果がなくなる。これを補うには従来以上に強い被膜の張力が必要であるが、これらのコーティングのみでは、従来以上の強い被膜張力は得られない。地鉄上に金属めっきを施してから張力被膜を形成する技術では、ヤング率の大きい金属めっきを利用すれば、従来よりも強い被膜張力が得られるという利点があるが、地鉄中にめっき金属が拡散するために歪み取り焼鈍が行えないという問題がある。
PVDなどのセラミックス被膜を形成する技術では、歪み取り焼鈍が可能である。また従来のリン酸塩―シリカ系被膜のような酸化物よりもヤング率が大きいセラミックス被膜が形成されるため、より強い被膜張力が得られることが期待される。しかし、強い被膜張力を持たせると、やはりセラミックス層と地鉄との間で剥離する場合があった。その場合、セラミックスの被膜を薄くして従来の被膜程度の張力にしなければならず、高張力で得られるはずの低鉄損が得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題を解決し、絶縁被膜の密着性がよく、しかも極めて低鉄損の方向性電磁鋼板を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来の技術のうち、高張力が得られるセラミックス被膜を利用する方法について、さらに研究を進め、セラミックス被膜と鋼板との界面にさらに中間層として酸化物層を形成することで、セラミックス被膜の鋼板表面への被膜密着性が大いに改善されることを発見した。さらに中間層の構成・条件を見極め、本発明を完成した。すなわち、その要旨は以下の通りである。
【0007】
本発明は、電磁鋼板の地鉄表面に酸素目付量にして両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物、その上にSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜、さらにその上に酸化物を主体とする絶縁被膜を有することを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板である。
【0008】
低鉄損方向性電磁鋼板は、Si系酸化物を主体とした酸化物が、仕上げ焼鈍中に地鉄表面に形成されたものであるのが好ましい。
【0009】
低鉄損方向性電磁鋼板は、鋼板の長手方向から60〜90°の方向に、板厚の5〜25%の深さの溝が0.5〜10mmの間隔で繰返し地鉄表面に形成されているのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、電磁鋼板を仕上げ焼鈍し、地鉄表面の酸素目付量が両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物を付け、これにCVD、PVDまたはイオンプレーティングでSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜を形成し、さらにその上に酸化物を主体とする絶縁被膜を、塗布・焼付けにより形成することを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0011】
電磁鋼板の製造工程における最終冷間圧延より後で、セラミックス被膜を形成するより前の工程において、鋼板の長手方向から60〜90°の方向に、板厚の5〜25%の深さの溝を0.5〜10mmの間隔で繰返し地鉄表面に形成するのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の方向性電磁鋼板は、仕上げ焼鈍により地鉄表面に形成された、極薄いSi系酸化物を主体とした酸化物を被膜として有する。好ましい方向性電磁鋼板は、特に優れた磁気特性が得られる結晶粒の(110)[001]方位への集積度が高い、いわゆる高配向性の方向性電磁鋼板である。酸化物被膜はその上に形成されるセラミックス被膜を地鉄に強固に密着させるために、酸素目付量が両面で0.01g/m2 以上でなければならない。一方、酸化物被膜が酸素目付量にして両面で0.15g/m2 を超えるとセラミックス被膜が剥離しやすくなる。これは厚さが大きくなりすぎて被膜内部で破壊が生じやすくなったり、被膜の地鉄との整合性が板厚の増加とともに失われるためと考えられる。したがって、酸化物被膜の酸素目付量は両面で0.01〜0.15g/m2 が好適であり、0.02〜0.10g/m2 がより好適である。
【0013】
本発明の方向性電磁鋼板は、まず仕上げ焼鈍により、地鉄表面に極薄いシリカを主体とした酸化物被膜を形成するように製造されるが、該方向性電磁鋼板を製造する際のスラブの圧延から一次再結晶焼鈍までの諸工程は、従来公知の高配向性の方向性電磁鋼板の製造方法における諸工程が適用される。すなわち、有効(強化)成分を調整した鋼スラブを素材として使用し、スラブ加熱、熱間圧延、熱延板焼鈍(必要に応じて)、1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延、一次再結晶焼鈍、仕上げ焼鈍による公知の方法で製造される。
【0014】
鋼スラブは、例えば質量%で、Si:2〜7%およびMn:0.01〜2.5%の他に、さらにS、Se、Al、B、Bi、Sb、Mo、Te、Sn、P、Ge、As、Nb、Cr、Ti、Cu、Pb、Zn、Inなどを1種または2種以上添加して有効成分を調整したものが好ましい。
【0015】
仕上げ焼鈍の際に、鋼板間に適用する焼鈍分離剤として、アルミナ、シリカなどの水和しない酸化物粉末を使用するとフォルステライト被膜が形成されなくなる。また、焼鈍分離剤のマグネシアにハロゲン化物を少量添加すると、仕上げ焼鈍後にフォルステライト被膜を地鉄上に形成することを回避できる。これは地鉄とフォルステライト被膜の界面が平滑化され、仕上げ焼鈍の冷却過程で地鉄表面からフォルステライト被膜が剥離されるためと推測される。
【0016】
また、仕上げ焼鈍条件の変更により、酸化物被膜の膜厚を調整することができる。例えば、仕上げ焼鈍中の雰囲気中の酸化性ガス(酸素、水蒸気など)の濃度や雰囲気温度、焼鈍時間を変化させて酸化性を変えることにより、地鉄上にわずかに形成される酸化物被膜の膜厚を調整することができる。なお、酸化性ガスの過度の使用により、地鉄表面の平滑度が劣化することがあるので、注意を要する。
酸化物被膜の膜厚は仕上げ焼鈍後の酸洗や研磨などにより調整することもできるが、仕上げ焼鈍時の焼鈍分離剤や雰囲気の条件変更による方が、工程が少なく単純で効率的である。また、酸洗などを経ずに、高温の仕上げ焼鈍で形成されたままの酸化物被膜の方が被膜強度が優れ、鋼板表面への酸化物被膜の密着性に優れるので好ましい。
【0017】
仕上げ焼鈍後には、残留した焼鈍分離剤を水洗や軽酸洗で洗浄除去する。例えば、従来からマグネシアを除去するために適用されているリン酸洗浄などが好適である。過度の酸洗は酸化物被膜を劣化させたり、地鉄表面に凹凸を形成したりするので好ましくない。酸洗による重量減少量を両面で2g/m2 以下、好ましくは1g/m2 以下とする。
【0018】
また、仕上げ焼鈍後の電磁鋼板を化学的または機械的に研磨して表面を平滑にしてから、さらに熱処理によって、極薄の酸化物被膜を形成することも可能である。例えば、通常の方向性電磁鋼板を化学研磨し、フォルステライト被膜を除去して表面を平滑化した後、さらに弱い酸化性ガス雰囲気中で、例えば、800〜900℃のPH2O /PO2=0.01〜0.2程度の雰囲気で1〜300秒間熱処理を行ってSi系酸化物を主体とする酸化物被膜を形成してもよい。
【0019】
このようにして、仕上げ焼鈍後に形成された酸化物はSi系酸化物(シリカなど)を主体とするものであるが、仕上げ焼鈍の条件により、Fe、Mg、Alなどを含有することもある。例えば、SiO2 、Fe2 SiO4 、Mg2 SiO4 などのSiを含有する酸化物であり、これらの酸化物は単独でも複数が混在していてもよく、構成元素比も一定である必要はない。
【0020】
熱処理によって形成された極薄の酸化物被膜は、例えばゾルゲル法などで作られた酸化物被膜に比べて、遥かに電磁鋼板への密着性が強い。この理由は明確ではないが、次のように推定される。すなわち、酸化物被膜は地鉄表面での地鉄もしくは合金元素の酸化反応によって形成されるが、酸化物被膜と地鉄との界面に他の物質が介在しないこと、ならびに地鉄表面の二次再結晶粒方位に整合した結晶構造を持つ酸化物が形成されて、酸化物被膜と地鉄との界面が安定化されることが関係しているものと考えられる。
【0021】
次に、電磁鋼板に張力を付与する被膜として、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体としたセラミックス被膜層を形成する。セラミックス被膜層は、CVD、PVDまたはイオンプレーティングによって、一般的な条件によって形成される。その際、雰囲気などから、酸素が層内に取り込まれ、該元素の酸化物が少量含有されていても構わない。
【0022】
セラミックス被膜層は酸化物被膜表面から少量ずつ積み重なって形成されるため、塗布・焼付けで形成される従来の絶縁被膜とは異なり、該被膜層は酸化物の結晶に整合した構造を持つ。これはセラミックス被膜の酸化物被膜への密着性を高めるのに極めて有効である。
先に述べたように、地鉄表面の極薄の酸化物被膜も地鉄の結晶方位と整合した構造を持つため、このセラミックス被膜もまた地鉄および酸化物被膜の結晶方位と整合した構造を持つことになり、より一層セラミックス被膜の酸化物被膜への優れた被膜密着性が得られるものと考えられる。
【0023】
酸化物被膜なしにセラミックス被膜を形成した場合に比べて、該被膜密着性が改善されている理由は、地鉄とセラミックスの間の結合力より、地鉄と、地鉄の反応によって形成された酸化物との間の結合力、およびともに非金属である酸化物とセラミックスとの間の結合力の方が優れるためと考えられる。また、地鉄表面の極薄の酸化物被膜はセラミックス被膜中に含まれる炭素や窒素が歪み取り焼鈍などの熱処理中に地鉄中に拡散するのを抑制する作用もあり、鉄損劣化を防止するという効果もある。
【0024】
特定の窒化物および/または炭化物は、従来の張力被膜を構成するリン酸塩とシリカを主体とした酸化物よりもヤング率が極めて大きいため、薄い被膜で強い張力を電磁鋼板に懸けることが可能になる。特にセラミックス被膜を形成する際に、鋼板の長手方向に2MPa 以上の張力を懸けておくと、被膜から地鉄に付与する張力が増大するので好ましい。またセラミックス被膜形成時の鋼板の温度を変圧器の鉄心の常用温度よりも高い200℃以上にしておくと鋼板に付与される張力が増大するので好ましい。特に歪み取り焼鈍として常用される750〜900℃以上にすると、歪み取り焼鈍後のセラミックス被膜の張力被膜に対する被膜密着性が改善されるという効果があり、より一層好適である。
【0025】
セラミックス被膜の厚さが0.1〜5μmの範囲であると、セラミックス被膜の張力とセラミックス被膜の張力被膜に対する被膜密着性に優れる。0.1μmよりも小さいと鉄損の低減効果が小さく、5μmよりも大きいと張力が強すぎてセラミックス被膜の張力被膜に対する被膜密着性が劣化する上に、鉄心に加工する際の占積率も低下する。0.2〜2μmの範囲であるのがより好ましい。
【0026】
さらに、該セラミックス被膜の上に絶縁被膜を形成する。該絶縁被膜は、リン酸塩とシリカを主体として、必要に応じてクロム酸などを添加した従来のコーティング液の塗布・焼付けで形成された酸化物を主体とするものであり、該絶縁被膜は、下層の窒化物・炭化物のセラミックス被膜の張力をさらに強める効果を有する。
絶縁被膜の形成には、さらに、熱膨張係数の小さいガラスのフリットを懸濁した液を塗布して焼付ける方法、ホウ酸とアルミナゾルを主成分とするコーティング液を塗布して焼付ける方法などの公知の張力被膜の形成方法を適用することもできる。
絶縁被膜の量は、鉄心とした際の層間抵抗の確保と占積率を考慮すると、目付量にして両面で2〜20g/m2 の範囲が好ましく、6〜14g/m2 の範囲がより好ましい。
【0027】
また、地鉄表面に溝を形成して磁区を細分化すると、本発明の電磁鋼板の鉄損の低減化を顕著に発現させることができるので、極めて有効である。本発明のように、従来以上に高い被膜張力を電磁鋼板に付与する場合の好ましい溝の形態は、深さが板厚の5〜25%で、溝の方向が電磁鋼板の長手方向から60〜90°傾き、溝の繰返し間隔が0.5〜10mmのものである。溝の深さが板厚の5%未満の場合、方向が長手方向から60°を超える場合、または間隔が10mmを超える場合は、磁区細分化による鉄損の低減の効果が小さく、溝の深さが板厚の25%を超える場合や、間隔が0.5mm未満の場合は透磁率が低下して、かえって鉄損の増大を招くことになる。
【0028】
溝の形成は、溝形状を一定に保つために、電磁鋼板の最終冷間圧延の後に実施する必要がある。溝の形成は、機械加工や化学的なエッチングによるのが好ましい。セラミックス被膜形成後は機械加工や化学的なエッチングによる溝の形成が困難になる上、セラミックス被膜の剥離や破壊が生じて張力効果が低下するため、セラミックス被膜形成よりも前の工程で溝を形成するのが好ましい。例えば、最終冷間圧延後に、レジストでマスクしてから電解エッチングを行ったり、仕上げ焼鈍後にプレスを行ったりする方法が用いられる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
AlN、MnSe、Sbをインヒビターとした方向性電磁鋼板の最終冷間圧延後の試料(厚さ0.23mm)を用意した。これに電解エッチングによって深さ21μmの溝を圧延方向と80°の方向に2.5mm間隔で形成した。続いて、湿潤水素雰囲気で脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を行った。次に、マグネシアに質量比にして2%の塩化アンチモンを添加した焼鈍分離剤をスラリーにして塗布して乾燥し、乾燥水素中で最高1200℃まで昇温して10時間保持する仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍後に、鋼板上に残留した焼鈍分離剤を水洗とリン酸酸洗で除去したところ、酸素目付量にして両面で0.08g/m2 のシリカを主体とした酸化物被膜が形成された(番号3および4)。
【0030】
さらに、一部の試料を過酸化水素とフッ酸により化学研磨して、表面の酸化物被膜を完全に除去し、酸素目付量にして0.01g/m2 未満にした(番号1および2)。
比較のために、ハロゲン化物を添加しない通常の条件のマグネシアを焼鈍分離剤として仕上げ焼鈍した電磁鋼板も作成した(番号5および6)。この電磁鋼板には、酸素目付量にして両面で3.2g/m2 のフォルステライトを主体とした酸化物被膜が形成された。
【0031】
これらの電磁鋼板の一部に、厚み1μmのTiN被膜をPVDによって形成しセラミックス被膜を形成した。さらに850℃で3時間の歪み取り焼鈍を行った後、リン酸アルミニウム、コロイド状シリカ、および重クロム酸マグネシウムを含むコーティング液を、ロールコーターで塗布し、840℃で焼付けして両面で12g/m2 の酸化物の絶縁被膜を形成し、方向性電磁鋼板を製造した。表1に該電磁鋼板の鉄損W17/50 と、被膜密着性を評価した結果を示した。
【0032】
鉄損W17/50 はエプスタイン法によって、1.7T、50Hzで測定した。
被膜密着性は直径30mmおよび60mmの丸棒に沿わせて電磁鋼板を曲げたときの被膜の剥離耐性で評価した。直径30mm曲げに耐えたものを○、直径60mm曲げに耐えたが、直径30mm曲げに耐えないものを△、直径60mm曲げに耐えないものを×と評価した。表1に評価結果を併記する。
本発明が規定する、酸化物被膜、セラミックス被膜、および塗布型絶縁被膜の条件の全てを満たした場合(番号3)のみが著しく低い鉄損と良好な密着性を同時に発現する。
【0033】
【表1】
【0034】
(実施例2)
実施例1の仕上げ焼鈍を行った後の、酸素目付量にして両面で0.08g/m2 のシリカを主体とした酸化物被膜を有する電磁鋼板上に、CVDにより表2に示す各種の窒化物被膜または炭化物被膜からなるセラミックス被膜を表2に示す膜厚で形成した。番号14および15では、2種類のセラミックス被膜を形成した。その後、ホウ酸とアルミナゾルを主成分とするコーティング液を、ロールコーターで塗布し、880℃で焼付けして10g/m2 の酸化物(両面)の絶縁被膜を形成した。さらに、850℃で3時間の歪み取り焼鈍を行った後、鉄損W17/50 と被膜密着性を評価した。表2に評価結果を併記する。
本発明が規定する極薄酸化物被膜、セラミックス被膜、および塗布型絶縁被膜の条件の全てを揃えた場合、低い鉄損と良好な密着性を同時に発現する。
【0035】
【表2】
【0036】
(実施例3)
実施例1において、焼鈍分離剤のマグネシアに対する塩化アンチモンの添加量を、質量比で表3に示す0.1〜1%の間で変化させる以外は、実施例1と同様に仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍後の地鉄表面には表3に示すように酸素目付量にして両面で0.06〜0.80g/m2 の酸化物被膜が形成された。電磁鋼板の一部(番号1〜3)については化学研磨によってさらに酸化物量を低減させた。
これらの電磁鋼板上にスパッタリングにより厚さ1.2μmのSi3 N4 被膜を形成し、続いて、リン酸アルミニウム、コロイド状シリカおよびクロム酸を含むコーティング液をロールコーターで塗布し、850℃で焼付けして両面で7g/m2 の酸化物張力被膜を形成した。表3に仕上げ焼鈍後の酸化物被膜量と鉄損、被膜密着性との関係を示す。本発明が規定する、酸化物被膜を有する電磁鋼板が、低い鉄損と良好な密着性を同時に発現する。
【0037】
【表3】
【0038】
(実施例4)
実施例1において、表4に示す冷間圧延後から仕上げ焼鈍後までの各工程において電磁鋼板の溝形成を行う工程を追加する以外は、実施例1( 番号3〜4)と同様に酸化物被膜を形成した。溝は深さ19μm、間隔3.4mmで長手方向から75°傾けた方向に形成した。これらの電磁鋼板の上に、イオンプレーティングにより厚さ0.8μmのSiC被膜を形成し、続いて、リン酸マグネシウム、コロイド状シリカおよびクロム酸を含むコーティング液を、ロールコーターで塗布し、810℃で焼付けして酸化物張力被膜を両面あたりの目付量にして10.2g/m2 で形成した。表4にこれらの電磁鋼板の鉄損を示す。
【0039】
一方、冷間圧延後に、電解エッチングでこれらと同じ溝を形成し、従来法と同じマグネシアを焼鈍分離剤として仕上げ焼鈍を行い、フォルステライト被膜を形成した試料に、さらにイオンプレーティングによるSiC被膜とリン酸塩系酸化物被膜を前記と同じように形成した試料の鉄損W17/50は0.79W/kgであった。溝を形成しない場合でも従来を遥かに超える低鉄損が得られるが、溝を形成したものはさらに低鉄損となり好適である。
【0040】
【0041】
【発明の効果】
本発明の方向性電磁鋼板は、フォルステライト被膜がないので、極めて低い鉄損と良好な被膜密着性とを有する。
Claims (5)
- 電磁鋼板の地鉄表面に酸素目付量にして両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物、その上にSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜、さらにその上に酸化物を主体とする絶縁被膜を有することを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板。
- Si系酸化物が、仕上げ焼鈍中に地鉄表面に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の低鉄損方向性電磁鋼板。
- 鋼板の長手方向から60〜90°の方向に、平均で板厚の5〜25%の深さの溝が0.5〜10mmの間隔で繰返し地鉄表面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の低鉄損方向性電磁鋼板。
- 電磁鋼板を仕上げ焼鈍し、地鉄表面の酸素目付量が両面で1m2 当たり0.01〜0.15gのSi系酸化物を主体とした酸化物を得、これにCVD、PVDまたはイオンプレーティングでSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Cr、Mo、W、Co、Ni、AlまたはBの1種または2種以上の窒化物および/または炭化物を主体とした厚み0.1〜3μmのセラミックス被膜を形成し、さらにその上に酸化物を主体とする絶縁被膜を、塗布・焼付けにより形成することを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
- 電磁鋼板の製造工程における最終冷間圧延より後で、セラミックス被膜を形成するより前の工程において、鋼板の長手方向から60〜90°の方向に、板厚の5〜25%の深さの溝を0.5〜10mmの間隔で繰返し地鉄表面に形成することを特徴とする請求項4に記載の低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
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