JP2004008630A - 炊飯ジャーにおける蓋補強構造 - Google Patents
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Abstract
【効果】蓋体1の左右方向の補強を、補強ピン5という極めて簡単な機構のもので行うことができる。蓋体1の全体の強度も増す。従来の場合のように、蓋体の変形によって、生じていたヒンジスプリング4の位置ずれを防止できる。その結果、蓋開閉動作がスムーズとなり、高品質な炊飯ジャーを提供できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋体をヒンジピンにより胴体に開閉自在に装着するとともに、前記ヒンジピンにヒンジスプリングを巻着し、このヒンジスプリングにより前記蓋体を胴体に対して付勢せしめる形式の炊飯ジャーに関し、さらに詳しくは、その蓋体の補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
炊飯ジャーのなかでも特に圧力タイプの炊飯ジャーでは、使用時に、その蓋体に相当の圧力が掛かる。特に、よりおいしさを顧客が追求するために、炊飯ジャーの内部に掛ける圧力を可能な限り高く設定するようになって来ている。
そして、この圧力により蓋体が変形するのを防止するために、蓋体内に補強板を取り付けている。特に、蓋体の前後方向の変形を防止するために、蓋体の前後方向に左右2つの補強板を、また、蓋体の左右方向の変形を防止するために、前記補強板の上にさらに別の補強板を取り付け、前後方向と左右方向に配置されているこれらの補強板でそれぞれの方向の補強を行っていた(例えば、特開2002−447号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、蓋体の前後方向と左右方向に別々の補強板を配置することによって、蓋体全体の補強を行おうとする場合には、左右方向に配置すべき補強板の形状が特に複雑になる。なぜならば、この補強板を配置すべきところには、本来、蒸気通路、安全弁、調圧弁、圧力センサ、温度センサなど、蓋の中枢機能ともいうべき各種機器が取り付けられており、そのための形状が非常に複雑になるからである。
本発明の第一の目的は、この補強板部分の機構を比較的簡単なものとするとともに、蓋体の強度を増大ならしめ得るようにすることである。
【0004】
一方、上述したように、圧力によって蓋体が変形すると、また、炊飯によって蓋体が変形すると、ヒンジピンに巻着されているヒンジスプリングの設置位置が変わり、蓋体の開き角度が異なったり、この蓋体と上述した各種機器との干渉により異常音が発生する場合があった。従来の場合には、図5に示すように、蓋体の一部品である蓋リングにヒンジピンの一端が保持されており、そのために、蓋リングが変形すると、ヒンジピンに巻着されているヒンジスプリングの設置位置が一定しなくなるからである。
本発明の第二の目的は、このような欠点を解消することによって、炊飯ジャーの品質を向上させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記第一の目的を達成するため、本発明では、蓋体1をヒンジピン2により胴体3に開閉自在に装着するとともに、前記ヒンジピン2にヒンジスプリング4を巻着し、このヒンジスプリング4により前記蓋体1を胴体3に対して付勢せしめた炊飯ジャーにおいて、蓋体1内の蓋リング1aに対して左右方向に補強ピン5を配置し、この補強ピン5を蓋体1の前後方向に配置した補強板6で押し付けて固定したものである。
この場合には、蓋体1の左右方向の補強を、補強ピン5という極めて簡単な機構のもので行うことができる。そして、この補強ピン5は蓋体1の前後方向に配置されている補強板6で押し付けられて固定されているから、蓋体1の全体の強度も増す。
【0006】
二本の補強ピン5,5を炊飯ジャーの内釜中心線に対して前後均等に配置することが望ましい。二本の補強ピン5,5をこのように配置することによって、炊飯ジャーの蓋体1を全体にわたって均等に補強できる。
【0007】
補強ピン5は金属の中実丸棒であることが望ましい。この場合には、金属からなる中実丸棒の補強ピン5で炊飯ジャーの蓋体1を確実に補強できる。
【0008】
上記第二の目的を達成するため、本発明では、ヒンジピン2に巻着されているヒンジスプリング4の一端を、蓋体1内の蓋リング1aに対して左右方向に配置した補強ピン5に係止させてある。
このようにすると、蓋体1がたとえ変形していても、その変形とは無関係の補強ピン5によってヒンジスプリング4の一端が保持されている。従って、従来の場合において、蓋体の変形によって生じていたヒンジスプリング4の位置ずれを防止できる。その結果、蓋開閉動作がスムーズとなり、高品質な炊飯ジャーを提供できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の最も好ましい実施の形態を、図1〜図4に基いて詳細に説明する。
図1に示す炊飯ジャーは、蓋体1をヒンジピン2により胴体3に開閉自在に装着するとともに、前記ヒンジピン2にヒンジスプリング4を巻着し、このヒンジスプリング4により前記蓋体1を胴体3に対して常に開く方向に付勢せしめた形式のものである。
ヒンジピン2の両端は、図2、図3に示すように、蓋体1の内側であって胴体3への装着側に一部分を覆うように取り付け得る蓋ヒンジカバー7の左右の軸受7a,7aで保持されている。そして、このヒンジピン2に巻着されているヒンジスプリング4の一端4aが、図1及び図4に示すように、胴体3の立壁3aに係止させてある。この枢着部を利用して蓋体1を胴体3に簡単に装着でき、また、この枢着部により蓋体1は胴体3に対して開閉自在となる。
【0010】
蓋体1の裏面(内面)周縁部は、図2及び図3に示すように、蓋リング1aと呼ばれる部分であり、その内方である左右両側(図3では、上下に現れる)には、多数の補強リブ8,8が形成されている。左右両側にある多数の補強リブ8,8の内側であってその左右両側には、蓋体1の前後方向に金属製の補強板6,6がネジ9,9により取り付けられている。左右両側にある多数の補強リブ8,8と左右2つの補強板6,6とによって、プラスチックス製の蓋体1が補強され、加圧炊飯時の圧力に耐え得るようになっている。
そして、左右2つの補強板6,6間の空間部分には、蒸気通路Aが形成されており、また、調圧弁B、安全弁C、センサDなど、炊飯ジャーの中枢部品である各種機器が配置されている。これらは、炊飯中の内釜11の圧力を制御し、よりおいしいご飯を得るために用いられる。
【0011】
また、蓋体1内の前後(図3の左右)両側においてその蓋リング1aに対して左右方向に補強ピン5,5を配置し、2本の補強ピン5,5の両側をそれぞれ蓋体1の前後方向に配置した左右2つの補強板6,6の水平部分6a,6a(図4参照)で押し付けて固定してある。
この場合には、蓋体1の左右方向の補強を、補強ピン5という極めて簡単な機構のもので行うことができる。すなわち、2本の補強ピン5,5によって、補強リブ8,8では防止不可能な蓋体1の左右方向のそり上がりを防止できる。そして、2本の補強ピン5,5は蓋体1の前後方向に配置されている左右2つの補強板6,6で押し付けられて固定されているから、プラスチックス製の蓋体1全体の強度も増す。
【0012】
ここでは、二本の補強ピン5,5が炊飯ジャーの内釜中心線に対して前後均等に配置されている。二本の補強ピン5,5をこのように配置することによって、炊飯ジャーの蓋体1を全体にわたって均等に補強できる。そして、両補強ピン5,5は金属の中実丸棒からなっている。この場合には、金属からなる中実丸棒の補強ピン5で炊飯ジャーの蓋体1を確実に補強できる。
【0013】
一方、ヒンジピン2に巻着されているヒンジスプリング4の他端4bは、図4に示すように、蓋体1の左右方向に配置されている前記補強ピン5に係止させてある。
このようにすると、炊飯により蓋体1が、特に、その一部品である蓋リング1aがたとえ変形していても、その変形とは無関係の補強ピン5によってヒンジスプリング4の一端4bが保持されることになる。
【0014】
従来の場合には、図6に示すように、ヒンジスプリング4の一端4b’が蓋体1の一部品である蓋リング1aの一部分1b’で保持されており、そのために、蓋リング1aが、特に、ヒンジスプリング4の一端4b’を保持している部分1b’が熱や加圧などで変形すると、ヒンジピン2に巻着されているヒンジスプリング4の設置位置が一定しなくなる。
これに対して、本発明の場合のように、ヒンジスプリング4の一端4bが蓋リング1aの変形とは無関係の補強ピン5によって保持されていると、蓋リング1aがたとえ熱や加圧などで変形したとしても、ヒンジスプリング4の位置ずれは生じない。従って、従来の場合において、蓋体、特に、その一部品である蓋リング1aの変形によって生じていたヒンジスプリング4の位置ずれを防止できる。その結果、蓋開閉動作がスムーズとなり、高品質な炊飯ジャーを提供できる。
【0015】
なお、図1に示すように、蓋体1の内側には、胴体3に収容されている内釜11の上端開放面を閉塞する放熱板10が装着されている。そして、この放熱板10とその周囲に取り付けられている放熱板取付リング10aとで放熱板パッキン10bを挾んで保持し、それを前記内釜11の周縁に接触させるとともに、内釜11をコイルなどの加熱手段12によって加熱することにより、炊飯の調理を行うことができる。
【0016】
また、図1、図5に示すように、放熱板10の内側(図1、図5では、上側に現われる)には、放熱板10と接触するごとく加熱板13が配置されており、この加熱板13には温度センサ14が設置されている。従来の場合、この温度センサ14は通常アルミ箔及び両面テープ15を加熱板13に添着することによって固定されていたから、ヒータの貼り方によって温度センサ14の感知にバラツキが生じたり、温度センサ14が密着していない場合には温度センサ14付近に空間ができ、その空間内部の温度が異常に上昇するという現象が発生していた。
【0017】
これに対して、ここでは、図5(a),(b)に示すように、蓋リング1aにリブ16を形成し、従来の場合のようにアルミ箔及び両面テープ15だけで固定するのではなく、このリブ16で温度センサ14を押えることにより固定してある。このようにすると、温度センサ14が所定位置より浮くことなくセットできるため、温度センサ14の感知を安定させ得る。図5(a)には、温度センサ14を覆っているアルミ箔及び両面テープ15にリブ16の先端を直接当てて温度センサ14を押えた場合を、図5(b)には、アルミ箔及び両面テープ15とリブ16の先端との間に緩衝材17を介装した状態で温度センサ14を押えた場合を示す。いずれの場合とも、上述したように、温度センサ14が所定位置より浮くことなくセットでき、温度センサ14の感知を安定させ得る。
【0018】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、蓋体1の左右方向の補強を、補強ピン5という極めて簡単な機構のもので行うことができる。また、この補強ピン5は蓋体1の前後方向に配置されている補強板6で押し付けられて固定されているから、蓋体1の全体の強度も増す。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、炊飯ジャーの蓋体1を全体にわたって均等に補強できる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、金属からなる中実丸棒の補強ピン5で炊飯ジャーの蓋体1を確実に補強できる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、蓋体1がたとえ変形していても、その変形とは無関係の補強ピン5によってヒンジスプリング4の一端が保持されているから、従来の場合において、蓋体の変形によって生じていたヒンジスプリング4の位置ずれを防止できる。その結果、蓋開閉動作がスムーズとなり、高品質な炊飯ジャーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による蓋補強構造を備えている炊飯ジャーの一例を示す全体の拡大縦断面図である。
【図2】蓋体の一部を切り欠いて示す全体の斜視図である。
【図3】蓋体を裏側から見た拡大図で、一部を切り欠いて示す。
【図4】補強ピンの配置状態、ならびに、補強ピンとヒンジスプリングとの係合状態を示す拡大縦断面図である。
【図5】加熱板に設置されている温度センサを、蓋リングに形成されているリブで押えた状態を示す拡大断面図で、特に、(a)は、温度センサを覆っているアルミ箔及び両面テープにリブの先端を直接当てて温度センサを押えた場合を、(b)は、アルミ箔及び両面テープとリブの先端との間に緩衝材を介装した状態で温度センサを押えた場合を示す。
【図6】ヒンジスプリングの一端が蓋体の一部品である蓋リングの一部分で保持されている状態を示す従来例の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1…蓋体、1a…蓋リング、2…ヒンジピン、3…胴体、4…ヒンジスプリング、5…補強ピン、6…補強板。
Claims (4)
- 蓋体1をヒンジピン2により胴体3に開閉自在に装着するとともに、前記ヒンジピン2にヒンジスプリング4を巻着し、このヒンジスプリング4により前記蓋体1を胴体3に対して付勢せしめた炊飯ジャーにおいて、蓋体1内の蓋リング1aに対して左右方向に補強ピン5を配置し、この補強ピン5を蓋体1の前後方向に配置した補強板6で押し付けて固定したことを特徴とする炊飯ジャーにおける蓋補強構造。
- 二本の補強ピン5,5を炊飯ジャーの内釜中心線に対して前後均等に配置したことを特徴とする請求項1記載の炊飯ジャーにおける蓋補強構造。
- 補強ピン5は金属の中実丸棒である請求項1又は2記載の炊飯ジャーにおける蓋補強構造。
- ヒンジピン2に巻着されているヒンジスプリング4の一端を、蓋体1内の蓋リング1aに対して左右方向に配置した補強ピン5に係止させたことを特徴とする請求項1記載の炊飯ジャーにおける蓋補強構造。
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