JP3374823B2 - 電気炊飯器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本願発明は、電気炊飯器に関
し、さらに詳しくは電気炊飯器における蓋体の構造に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来からよく知られている電気炊飯器の
蓋体は、合成樹脂製の上板と下板とを外周部において結
合し、前記上板と下板との間に形成される空間に断熱材
を配設した構成の断熱蓋とされており、該蓋体の下面に
熱源により加熱される放熱板を取り付けた構成のものと
か、前記放熱板の下面に、飯器の開口部に臨む内蓋を着
脱自在に取り付けた構成のものとかがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記構成の蓋体の場
合、蓋体のみが断熱構造となっていて、飯器内のご飯に
最も近い部材である放熱板あるいは内蓋は断熱構造とな
っていないため、保温時における断熱効果が不十分とな
り、保温のための電力消費がかさむという問題があっ
た。

【０００４】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、蓋体におけるご飯に最も近い部材である内蓋の断
熱性能を向上させることにより、保温性能を向上させ得
るようにすることを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明では、上
記課題を解決するための手段として、飯器を出し入れ自
在に収納する炊飯器本体と、該炊飯器本体の蓋体と、前
記飯器を加熱する加熱手段とを備えた電気炊飯器におい
て、前記蓋体の下面に、該蓋体の閉蓋時に前記炊飯器本
体の肩部に設けられた熱源に外周縁が接触する熱良導体
からなる放熱板を設け且つ該放熱板の下方に、上部金属
板と下部金属板とをその外周部で接合してなり、内部に
空間部を有する断熱構造体からなる内蓋を着脱自在に設
けるとともに、該内蓋を、前記蓋体の閉蓋時に前記飯器
の開口縁より稍下方に位置せしめられるように該飯器の
開口口径より稍小径としている。

【０００６】上記のように構成したことにより、蓋体に
おけるご飯に最も近い部材である内蓋の断熱性能が向上
することとなる。従って、保温性能が向上し、ご飯から
の放熱が抑制されることとなり、保温のための電力消費
を節約することができる。しかも、内蓋を、蓋体の閉蓋
時に飯器の開口縁より稍下方に位置せしめられるように
該飯器の開口口径より稍小径としているので、飯器の開
口部が断熱性能に優れた内蓋で覆われることとなり、ご
飯からの放熱がより一層抑制される。また、炊飯器本体
の肩部に設けられた熱源からの熱は、放熱板に伝えら
れ、該放熱板からの放射熱は、内蓋の上部金属板に間接
的に伝達され、さらに該上部金属板から下部金属板に伝
達された後に飯器内の米飯へ放射されることとなる。従
って、米飯 は、均一且つソフトに加熱されることとな
り、褐変等を生じにくい適切な保温が行える。

【０００７】請求項２の発明におけるように、請求項１
記載の電気炊飯器において、前記内蓋の外周縁に、前記
蓋体の閉蓋時に前記飯器の開口部との間および前記放熱
板との間を同時にシールするシールパッキンを取り付け
た場合、飯器の開口部が完全に密閉されるため、保温性
能がより一層向上し、ご飯からの放熱が抑制されること
となる。また、蓋体の開閉時などに内蓋が揺動しても、
放熱板と内蓋とはシールパッキンを介して接触すること
となり、金属接触音が生じるということがなくなる。

【０００８】請求項３の発明におけるように、請求項１
および２のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前
記空間部を真空空間とした場合、ご飯に最も近い部材で
ある内蓋の断熱性能がより一層向上することとなり、保
温性能がより一層向上し、ご飯からの放熱がより一層抑
制される。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して、本
願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。

【００１０】第１の実施の形態 図１および図２には、本願発明の第１の実施の形態にか
かる電気炊飯器が示されている。

【００１１】この電気炊飯器は、図１に示すように、外
周面を構成する外ケース４と内周面を構成するとともに
磁性体材料からなる飯器５を収納できるように構成され
た合成樹脂製の保護枠６とによって構成された炊飯器本
体１と、該炊飯器本体１の蓋体２と、前記保護枠６の外
周側に位置して前記飯器５を加熱する加熱手段として作
用する電磁誘導コイル３とを備えて構成されている。

【００１２】前記外ケース４は、前記炊飯器本体１の側
周面となる胴部４ａと前記保護枠６の上端口縁との結合
部となる肩部４ｂと、前記炊飯器本体１の底部となる底
部４ｃとからなっており、本実施の形態においては、前
記胴部４ａと肩部４ｂとは、合成樹脂製の一体成形品に
より構成され、底部４ｃは別体構成とされている。な
お、胴部４ａと底部４ｃとを合成樹脂製の一体成形品に
より構成し、肩部４ｂを別体構成とする場合もある。

【００１３】前記外ケース４における胴部４ａの前面側
上部は、なだらかに傾斜されており、当該部位には、操
作パネル部７が設けられている。従って、前記外ケース
４と前記保護枠５との間における前記操作パネル部７の
下方には、比較的大きな前方空間部が形成されることと
なっている。この操作パネル部７には、各種の操作スイ
ッチ類とそれらの各種操作スイッチ類によって設定され
る設定状態を表示する液晶表示部とが設けられている。

【００１４】前記保護枠６は、有底円筒形状を有してお
り、その側周面６ａから底面６ｂにかけては、なだらか
な湾曲面６ｃとされている。

【００１５】前記保護枠６における底面６ｂおよび湾曲
面６ｃの裏面には、環状の電磁誘導コイル３，３がそれ
ぞれ配設されている。該電磁誘導コイル３，３は、前記
保護枠底面６ｂの中央部下面において結合され且つ保護
枠６に沿って放射状に延びるコイルダイ８と保護枠６と
の間に挟持された状態で位置決めされている。つまり、
電磁誘導コイル３，３は、保護枠６の外周面形状に倣っ
た形状とされているのである。符号９は飯器５の温度を
検知する温度検知手段として作用するセンタセンサー、
１０は保温ヒータである。

【００１６】前記外ケース４における肩部４ｂの内周縁
には、合成樹脂製の肩リング１１が無理嵌めにより取り
付けられており、該肩リング１１の上面には、肩ヒータ
１２を備えた金属製のヒータリング１３が取り付けられ
ている。該ヒータリング１３の上面には、後述するよう
に、蓋体２の下面に取り付けられる放熱板１４の外周縁
が蓋体２の閉蓋時に圧接されることとなっている。

【００１７】一方、前記蓋体２は、外ケース肩部４ｂの
後方部位（即ち、操作パネル部７の反対側）に対してヒ
ンジユニット１５を介して開閉且つ着脱自在に枢支され
ており、上面を形成する合成樹脂製の上板１６と、該上
板１６に対して外周部および内周部が溶着により接合さ
れて下面を形成する合成樹脂製の下板１７と、該上板１
６と下板１７との間の空間に配設された断熱材１８とか
らなる断熱蓋とされている。

【００１８】前記上板１６と下板１７との内周側接合部
には、上下に貫通する貫通穴２０が形成されており、該
貫通穴２０には、調圧筒１９が着脱自在に取り付けられ
ている。該調圧筒１９の上方は、前記貫通穴２０の上部
に対して着脱自在に嵌挿された調圧キャップ２１によっ
て覆われている。符号２２は調圧筒１９への蒸気入口、
２３は調圧筒１９からの蒸気出口、２４は調圧キャップ
２１における蒸気排出口、２５はボール弁である。

【００１９】前記調圧筒１９の下端には、前記蓋体２の
閉蓋時に前記ヒータリング１３の上面に外周縁が圧接さ
れる放熱板１４がリベット２６により取り付けられてい
る。この放熱板１４は、熱良導性金属からなっており、
ヒータリング１３に取り付けられている肩ヒータ１２か
らの熱伝導により加熱されることとなっている。つま
り、前記肩ヒータ１２は、放熱板１４を加熱する熱源と
されているのである。

【００２０】なお、図３に示すように、肩ヒータ１２に
代えて放熱板１４の上面に蓋ヒータ４８を設けて、該蓋
ヒータ４８により放熱板１４を直接加熱するようにして
もよい。

【００２１】また、前記放熱板１４の中心部には、支持
棒２７が取り付けられており、該支持棒２７には、前記
飯器５の開口部５ａに臨む内蓋２８がシールパッキン２
９を介して着脱自在に取り付けられている。つまり、本
実施の形態においては、内蓋２８が、蓋体２におけるご
飯に最も近い部材とされているのである。

【００２２】該内蓋２８は、ステンレス等からなる上部
金属板３０と下部金属板３１とを外周部および内周部で
溶接等により接合してなり、該上下金属板３０，３１間
の空間部を真空空間３２とした断熱構造体Ａとされてお
り、蓋体２の閉蓋時に前記飯器５の開口縁より稍下方に
位置せしめられるように前記飯器５の開口口径より稍小
径とされている。なお、本実施の形態においては、前記
内蓋２８の中心部（即ち、シールパッキン２９に支持さ
れる部分）は上部金属板３０のみからなる１枚板部２８
ａとされている。なお、前記上下金属板３０，３１間の
空間部を真空空間とすることなく空気層としても、断熱
性能はやや劣るものの十分な保温性能を確保することが
できる。

【００２３】前記放熱板１４における外周寄り位置に
は、上向きに屈曲された立ち上がり部１４ａが形成され
ており、該立ち上がり部１４ａ上端には、前記ヒータリ
ング１３に当接されるべく外周端に向かって延びる当接
部１４ｂが一体に延設されている。前記立ち上がり部１
４ａには、その上下中間部を外向きに突出させてなる係
止突部１４ｃが一体に形成されている。前記係止突部１
４ｃには、蓋体２の閉蓋時に前記飯器５の開口部を密閉
するシールパッキン３３がパッキンリング３４により取
り付けられている。

【００２４】図１において、符号３５は蓋体２の閉止状
態を保持するロック機構、３６は飯器冷却用のファン、
３７は電子部品冷却用のファンである。

【００２５】上記のように構成された電気炊飯器におい
ては、次のような作用効果が得られる。

【００２６】即ち、蓋体２におけるご飯に最も近い部材
（即ち、内蓋２８）の断熱性能が向上することとなるの
で、保温性能が向上し、ご飯からの放熱が抑制されるこ
ととなり、保温のための電力消費を節約することができ
る。また、肩ヒータ１２からの熱は、ヒータリング１３
を介して放熱板１４に伝えられ、該放熱板１４からの放
射熱は、内蓋２８との間の空間部を介して間接的に内蓋
２８の上部金属板３０に伝達され、さらに該上部金属板
３０から下部金属板３１に伝達された後に飯器５内の米
飯へ放射されることとなる。従って、米飯は、均一且つ
ソフトに加熱されることとなり、褐変等を生じにくい適
切な保温が行える。なお、前記上下金属板３０，３１間
の空間部を真空空間とすることなく空気層としても、断
熱性能はやや劣るものの十分な保温性能を確保すること
ができる。

【００２７】第２の実施の形態 図４には、本願発明の第２の実施の形態にかかる電気炊
飯器における蓋体が示されている。

【００２８】この場合、内蓋２８は、ステンレス等から
なる上部金属板３０と下部金属板３１とを外周部で溶接
等により接合してなり、該上下金属板３０，３１間の空
間部を真空空間３２とした断熱構造体Ａとされている。
この内蓋２８を構成する上部金属板３０の中心部には、
支持杆３８が固着されており、該支持杆３８を前記放熱
板１４の中心部に取り付けられたシールパッキン３９に
着脱自在に取り付けることにより、内蓋２８が蓋体２に
対して着脱自在に取り付けられることとなっている。こ
のようにすると、内蓋２８内の全体が真空空間３２とな
ることとなり、断熱性能がより一層向上することとな
る。従って、保温性能がより一層向上し、ご飯からの放
熱が抑制されることとなり、保温のための電力消費を節
約することができる。なお、前記上下金属板３０，３１
間の空間部を真空空間とすることなく空気層としても、
断熱性能はやや劣るものの十分な保温性能を確保するこ
とができる。その他の構成および作用効果は、第１の実
施の形態におけると同様なので説明を省略する。

【００２９】第３の実施の形態 図５には、本願発明の第３の実施の形態にかかる電気炊
飯器における蓋体の要部が示されている。

【００３０】この場合、内蓋２８の内周縁には、環状の
パッキン４０が取り付けられており、該パッキン４０
を、調圧筒１９の下端に延設された筒部４１に嵌着する
ことにより、内蓋２８が蓋体２に対して着脱自在に取り
付けられることとなっている。また、内蓋２８の外周縁
には、蓋体２の閉蓋時に飯器５の開口部５ａとの間およ
び放熱板１４との間を同時にシールするシールパッキン
４２が取り付けられている。さらに、前記筒部４１に
は、調圧筒１９への蒸気穴４３が形成されている。この
ようにすると、飯器５の開口部５ａが完全に密閉される
こととなり、保温性能がより一層向上し、ご飯からの放
熱が抑制されることとなる。また、蓋体２の開閉時など
に内蓋２８が揺動しても、放熱板１４と内蓋２８とはシ
ールパッキン４２を介して接触することとなり、金属接
触音が生じるということがなくなる。なお、前記上下金
属板３０，３１間の空間部を真空空間とすることなく空
気層としても、断熱性能はやや劣るものの十分な保温性
能を確保することができる。その他の構成および作用効
果は、第１の実施の形態におけると同様なので説明を省
略する。

【００３１】上記各実施の形態においては、電磁誘導コ
イルを加熱手段としたものについて説明したが、本願発
明は、電気ヒータを加熱手段としたものにも適用可能な
ことは勿論である。

【００３２】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、飯器を出し入
れ自在に収納する炊飯器本体と、該炊飯器本体の蓋体
と、前記飯器を加熱する加熱手段とを備えた電気炊飯器
において、前記蓋体の下面に、該蓋体の閉蓋時に前記炊
飯器本体の肩部に設けられた熱源に外周縁が接触する熱
良導体からなる放熱板を設け且つ該放熱板の下方に、上
部金属板と下部金属板とをその外周部で接合してなり、
内部に空間部を有する断熱構造体からなる内蓋を着脱自
在に設けて、蓋体におけるご飯に最も近い部材である内
蓋の断熱性能を向上させるようにしたので、保温性能が
向上し、ご飯からの放熱が抑制されることとなり、保温
のための電力消費を節約することができるという効果が
ある。しかも、内蓋を、蓋体の閉蓋時に飯器の開口縁よ
り稍下方に位置せしめられるように該飯器の開口口径よ
り稍小径としているので、飯器の開口部が断熱性能に優
れた内蓋で覆われることとなり、ご飯からの放熱がより
一層抑制されるという効果もある。また、炊飯器本体の
肩部に設けられた熱源からの熱は、放熱板に伝えられ、
該放熱板からの放射熱は、内蓋の上部金属板に間接的に
伝達され、さらに該上部金属板から下部金属板に伝達さ
れた後に飯器内の米飯へ放射されることとなるため、米
飯は、均一且つソフトに加熱されることとなり、褐変等
を生じにくい適切な保温が行えるという効果もある。

【００３３】請求項２の発明におけるように、請求項１
記載の電気炊飯器において、前記内蓋の外周縁に、前記
蓋体の閉蓋時に前記飯器の開口部との間および前記放熱
板との間を同時にシールするシールパッキンを取り付け
た場合、飯器の開口部が完全に密閉されるため、保温性
能がより一層向上し、ご飯からの放熱が抑制されること
となる。また、蓋体の開閉時などに内蓋が揺動しても、
放熱板と内蓋とはシールパッキンを介して接触すること
となり、金属接触音が生じるということがなくなる。

【００３４】請求項３の発明におけるように、請求項１
および２のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前
記空間部を真空空間とした場合、ご飯に最も近い部材で
ある内蓋の断熱性能がより一層向上することとなり、保
温性能がより一層向上し、ご飯からの放熱がより一層抑
制される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の第１の実施の形態にかかる電気炊飯
器の縦断面図である。

【図２】本願発明の第１の実施の形態にかかる電気炊飯
器における蓋体の拡大断面図である。

【図３】本願発明の第１の実施の形態にかかる電気炊飯
器における蓋体の他の例を示す拡大断面図である。

【図４】本願発明の第２の実施の形態にかかる電気炊飯
器における蓋体の拡大断面図である。

【図５】本願発明の第３の実施の形態にかかる電気炊飯
器における蓋体の要部を示す拡大断面図である。

【符号の説明】

１は炊飯器本体、２は蓋体、３は加熱手段（電磁誘導コ
イル）、５は飯器、５ａは開口部、１２は熱源（肩ヒー
タ）、１４は放熱板、２８は内蓋、３０は上部金属板、
３１は下部金属板、３２は空間部（真空空間あるいは空
気層）、４２はシールパッキン、Ａは断熱構造体。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 飯器を出し入れ自在に収納する炊飯器本
   体と、該炊飯器本体の蓋体と、前記飯器を加熱する加熱
   手段とを備えた電気炊飯器であって、前記蓋体の下面に
   は、該蓋体の閉止時に前記炊飯器本体の肩部に設けられ
   た熱源に外周縁が接触する熱良導体からなる放熱板を設
   け且つ該放熱板の下方には、上部金属板と下部金属板と
   をその外周部で接合してなり、内部に空間部を有する断
   熱構造体からなる内蓋を着脱自在に設けるとともに、該
   内蓋を、前記蓋体の閉蓋時に前記飯器の開口縁より稍下
   方に位置せしめられるように該飯器の開口口径より稍小
   径としたことを特徴とする電気炊飯器。
2. 【請求項２】 前記内蓋の外周縁には、前記蓋体の閉蓋
   時に前記飯器の開口部との間および前記放熱板との間を
   同時にシールするシールパッキンを取り付けたことを特
   徴とする前記請求項１記載の電気炊飯器。
3. 【請求項３】 前記空間部を真空空間としたことを特徴
   とする前記請求項１および２のいずれか一項記載の電気
   炊飯器。