JP2003255107A - ハイブリッド薄膜、それを用いてなる反射防止膜、光学部材及びハイブリッド薄膜の防曇性能復元方法 - Google Patents

ハイブリッド薄膜、それを用いてなる反射防止膜、光学部材及びハイブリッド薄膜の防曇性能復元方法

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JP2003255107A
JP2003255107A JP2002373619A JP2002373619A JP2003255107A JP 2003255107 A JP2003255107 A JP 2003255107A JP 2002373619 A JP2002373619 A JP 2002373619A JP 2002373619 A JP2002373619 A JP 2002373619A JP 2003255107 A JP2003255107 A JP 2003255107A
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Japan
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hybrid thin
organic compound
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Application number
JP2002373619A
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Hiroshi Shirakawa
寛 白川
Takashi Mitsuishi
剛史 三石
Kenichi Niide
謙一 新出
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性及び防曇性能に優れたハイブリッド
薄膜、それを用いてなる反射防止膜及び光学部材、ハイ
ブリッド薄膜の防曇性能復元方法、並びにハイブリッド
薄膜の製造方法及び光学部材の製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 親水基及び反応基を有する有機化合物
と、二酸化ケイ素,又は二酸化ケイ素及び酸化アルミニ
ウムとを蒸着してなる防曇性能を有するハイブリッド薄
膜、反射防止膜の最外層として前記ハイブリッド薄膜が
施された反射防止膜、及びプラスチック基材と反射防止
膜とを備えた光学部材であって、該基材側を基準にし
て、反射防止膜の最外層として前記ハイブリッド薄膜が
施された光学部材、光学部材におけるハイブリッド薄膜
を洗浄することにより防曇性能を復元するハイブリッド
薄膜の防曇性能復元方法、並びに前記ハイブリッド薄膜
の製造方法、及び前記光学部材の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド薄
膜、それを用いてなる反射防止膜及び光学部材、ハイブ
リッド薄膜の防曇性能復元方法、並びにハイブリッド薄
膜の製造方法及び光学部材の製造方法に関し、特に耐摩
耗性及び防曇性に優れたハイブリッド薄膜、それを用い
てなる反射防止膜及び光学部材、ハイブリッド薄膜の防
曇性能復元方法、並びにハイブリッド薄膜の製造方法及
び光学部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、無機蒸着物質を施してなる反
射防止膜を有する光学部材は知られている。そして、こ
の光学部材は防曇特性が乏しいことも知られている。こ
の課題を解決するため、防曇特性及び反射防止特性を有
する薄膜が提案されており、例えば、特許文献1には、
多孔質無機酸化物、特定のシロキサンオリゴマ−を含有
する塗料を、眼鏡レンズ基材上に塗布させて、防曇特性
及び反射防止特性を有する薄膜を施した眼鏡レンズが提
案されている。しかしながら、同公報に提案されている
防曇レンズは、通常眼鏡レンズに用いられている蒸着物
質よりなる反射防止膜に比べると、耐摩耗性に関して十
分ではない。さらに反射防止性能に関しても十分ではな
い。
【特許文献1】特表平10-510860号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題
を解決するためになされたもので、その目的は、耐摩耗
性及び防曇性能に優れたハイブリッド薄膜、それを用い
てなる反射防止膜及び光学部材、ハイブリッド薄膜の防
曇性能復元方法、並びにハイブリッド薄膜の製造方法及
び光学部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、親水基及び反応
基を有する有機化合物と、二酸化ケイ素,又は二酸化ケ
イ素及び酸化アルミニウムとを蒸着してなるハイブリッ
ド薄膜を利用することにより、耐摩耗性及び防曇性能に
優れた光学部材が得られ、ハイブリッド薄膜の水に対す
る接触角が10度未満であるときに、ハイブリッド薄膜
が防曇性能を示すことを見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、親水基及び反応基を有する
有機化合物と、二酸化ケイ素,又は二酸化ケイ素及び酸
化アルミニウムとを蒸着してなる防曇性能を有するハイ
ブリッド薄膜、反射防止膜の最外層として前記ハイブリ
ッド薄膜が施された反射防止膜、及びプラスチック基材
と、該プラスチック基材上に前記ハイブリッド薄膜が施
された反射防止膜とを備えた光学部材であって、該基材
側を基準にして、反射防止膜の最外層として前記ハイブ
リッド薄膜が施された光学部材、光学部材におけるハイ
ブリッド薄膜を洗浄することにより防曇性能を復元する
ハイブリッド薄膜の防曇性能復元方法、並びに親水基及
び反応基を有する有機化合物と、二酸化ケイ素、又は二
酸化ケイ素及び酸化アルミニウムとを蒸着する前記ハイ
ブリッド薄膜の製造方法、及び該基材側を基準にして、
反射防止膜の最外層として前記ハイブリッド薄膜を施す
前記光学部材の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のハイブリッド薄膜は、親
水基及び反応基を有する有機化合物と、二酸化ケイ素,
又は二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムとを蒸着してな
るものである。このように、本発明のハイブリッド薄膜
は、二酸化ケイ素層中,又は二酸化ケイ素及び酸化アル
ミニウムの混合層中に親水基を有する親水性の有機化合
物を含ませることで、該有機化合物が、実質的に界面活
性剤(表面活性剤)における親水基の役割を果たし、一
方、二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素及び酸化アルミニウ
ムの混合物は該有機化合物よりも親水性が都合よく劣る
ため、擬似的に界面活性剤における疎水基の役割を果た
すので、ハイブリッド薄膜は、実質的に界面活性剤から
なる層と同様の特性を有することにより防曇機能を示
す。また、ハイブリッド薄膜は、蒸着により形成される
ため、膜厚の制御も容易となり、二酸化ケイ素に反応性
有機化合物を添加して蒸着することで架橋構造をとるの
で耐摩耗性が良好になる。
【0006】本発明のハイブリッド薄膜は、ガス雰囲気
下で成膜を行うイオンアシスト法で蒸着されることが好
ましい。イオンアシスト法は従来公知の、例えば、M. F
lindner et al., Society of Vacuum Coaters Albuquer
que, NM, USA p 237-241,1995などに記載の方法で行わ
れればよい。イオンアシスト法における好ましい処理条
件は、加速電圧50V〜150V、加速電流30mA〜
100mAの範囲である。前記イオンアシスト法を実施
する際のイオン化ガスは、成膜中の反応性、酸化防止の
点からアルゴン(Ar)、又はアルゴンと酸素混合ガス
を用いるのが好ましい。本発明におけるハイブリッド薄
膜の成膜方法としては、前記有機化合物と、二酸化ケイ
素,又は二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムとを別の蒸
着源として真空下で同時に蒸着を行うのが好ましい。ま
た、前記有機化合物の蒸着量を制御するため前記有機化
合物を溶媒にて希釈し、希釈液をバイオカラムフィルタ
ーに含浸乾燥させたものを使用するのが好ましい。この
場合、溶媒としては特に限定はされないが、末端アミン
系の有機化合物を用いる場合ではジメチルエーテル、末
端エポキシド系の有機化合物では酢酸エチル、極性の低
いポリシロキサン系の有機化合物ではトリメチルエチル
シラン又はジエチルエーテル、極性の高いポリエーテル
系の有機化合物ではメタノールが好ましく用いられる。
【0007】ハイブリッド薄膜の成膜は、粘性が高く、
沸点の測定が困難または不可能な化合物に対しては、容
器として多孔性材料を加熱して、前記有機化合物を蒸着
により被成膜体に成膜を行うのが好ましい。有機物質を
溶媒に溶かして、この溶液量を調節することによって膜
厚の制御を行うことができる。また、多孔性材料に上記
溶液を含浸させ、加熱することにより適度な蒸着速度を
得ることが可能である。多孔性材料は、より具体的には
銅などの熱伝導性の高い金属粉末を焼結した焼結フィル
ターを用いることが好ましい。多孔性材料は、適度な蒸
着速度を得るという観点からその孔の大きさを通常は4
0〜200μmとし、80〜120μmとすると好まし
い。容器の加熱温度は、通常は200〜300℃、好ま
しくは200〜240℃とすることが適当な蒸着速度を
得るという点から好ましい。加熱装置は、特に限定され
ないが、例えば、ハロゲンヒータ、抵抗加熱装置、セラ
ミックヒータ等が使用できる。加熱装置には、成膜制御
用に、シャッター機構を有することが好ましい。また、
加熱時に、成膜物質の飛散による、被成膜体の汚染防止
として、加熱装置の周囲を囲うことが好ましい。成膜時
の成膜物質の安定供給を行うために、前記バイオカラム
フィルターを蔽い、小径の孔を有した、成膜量調整室を
設けることが好ましい。その孔の形状は、成膜させる有
機化合物の分布指向性を向上させるために楕円形である
ことが好ましい。また、粘性が比較的低く(例えば1.
5×10-52/s(15cst)以下)、沸点の解る
ものに関しては、外部タンクを50℃〜150℃に加熱
し、真空に引いたチャンバー内にモノマーガスとして導
入し、前記有機化合物を蒸着により被成膜体に成膜を行
うのが好ましい。この場合には外部タンクからの有機化
合物の流量を直接調節することで膜厚及び添加量を制御
できる。
【0008】前記ハイブリッド薄膜で使用する前記有機
化合物は、より良い防曇特性を付与するため、前記有機
化合物中における、前記有機化合物のモル数に対する酸
素原子の原子数の割合が、18〜40%であることが好
ましい。また、前記有機化合物の数平均分子量は、15
0〜1500g/molであると好ましい。本発明のハ
イブリッド薄膜内における前記有機化合物に由来する構
造の含有率は、薄膜の全重量に対して0.02〜70重
量%であることが好ましい。
【0009】本発明のハイブリッド薄膜に使用する前記
有機化合物下記一般式(Ia)〜(V)で表される構造
を有すると好ましい。 (Re−)nHy , (Re−L−)nHy (Ia),(Ib) Re(−Hy)m , Re(−L−Hy)m (IIa),(IIb) (Re−)n L(−Hy)m (III) (Re−)nHy(−L)o (IV) (L−)oRe(−Hy)m (V) (式中、Reは反応基、Hyは親水基、Lは炭素数1〜
3の炭化水素基である(非親水性かつ非反応性の)連結
基を示し、nは1又は2、mは1以上の整数、oは1又
は2を示す。)本発明のハイブリッド薄膜に使用する前
記有機化合物における親水基は、以下のように定義され
る。すなわち、メチル基に、ある基を結合させることに
より誘導された化合物の水(25℃)における溶解度が
90%(v/V)を超えるとき、その基を親水基とい
う。好ましい親水基の例としては、−SO3H、−SO3M、−
OSO3H、−OSO3M、−COOM、−NR3X、−COOH、−NH2、−C
N、−OH、−NHCONH2、−(OCH2 CH2) p−、− CH2O CH3、
−OCH3、−COOCH3、−CS、−CON(ここでR:炭素数1〜2
のアルキル基、 M:アルカリ金属又はNH4、X:ハロゲ
ン、pは1以上の整数)等が挙げられる。前記親水基を
含む前記有機化合物は、親水性化合物であると好まし
い。親水性化合物とは、前記有機化合物を硬化すること
により得られる薄膜表面と水滴間における水に対する接
触角を測定することにより決定され、その接触角が10
度未満であるときに親水性化合物であると言う。また、
前記有機化合物は、二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミ
ニウムより親水性が高いとさらに好ましい。この場合、
それぞれの成分の親水性も、それぞれの純物質よりなる
薄膜と水滴間における接触角を基に決定、比較される。
本発明のハイブリッド薄膜に使用する前記有機化合物に
おける反応基は、その基自身、もしくはハイブリッド薄
膜中の二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムと反応
可能な基と定義される。好ましい反応基の例としては、
エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、チ
オール基、炭素数3〜15のトリアルコキシシリル基、
水酸基等が挙げられる。
【0010】本発明のハイブリッド薄膜に使用する前記
有機化合物としては、ポリエーテル主鎖構造を有し、か
つその主鎖の両末端に反応基を有する化合物、ヒドロキ
シメチレンの繰り返し単位を有し、かつその繰り返し単
位の両末端に反応基を有する化合物、及びカルボキシメ
チレンの繰り返し単位を有し、その両末端に反応基を有
する化合物等が好ましい。
【0011】前記ポリエーテル主鎖構造を有し、かつそ
の主鎖の両末端に反応基を持つ化合物としては、下記一
般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化3】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、エポキシ基、
メタクリル基、アクリル基、アミノ基、チオール基、炭
素数3〜15のトリアルコキシシリル基、水酸基又はこ
れらの中から選ばれる少なくとも一種類の基を含有する
有機基(この有機基は、前記官能基の1つ以上が結合し
た炭素数1〜3の炭化水素基からなると好ましい。)を
示す。また、nは1以上の整数で、数平均分子量が15
0〜1500g/molの範囲となる整数である。)
【0012】前記ヒドロキシメチレンの繰り返し単位を
有し、かつその繰り返し単位の両末端に反応基を有す化
合物としては下記一般式(2)で表される化合物が、前
記カルボキシメチレンの繰り返し単位を有し、その両末
端に反応基を有する化合物としては下記一般式(3)で
表される化合物が挙げられる。
【化4】 (式中、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、エポ
キシ基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、チオー
ル基、炭素数3〜15のトリアルコキシシリル基、水酸
基又はこれらの中から選ばれる少なくとも一種類の基を
含有する有機基を示す。また、m及びkは、それぞれ2
以上の整数で、数平均分子量225〜1500g/mo
lとなる整数である。)また、本発明のハイブリッド薄
膜に使用する前記有機化合物は、前述した有機化合物を
組み合わせて用いてもよい。
【0013】本発明のハイブリッド薄膜に使用する前記
有機化合物には、必要に応じて架橋剤を添加することも
できる。架橋剤としては、テトラアルコキシシラン(ア
ルコキシ基の炭素数1〜2)、テトラアミノシランなど
の第4級シランを用いることができる。架橋剤の好まし
い添加量は、使用する有機化合物全量に対して1〜20
重量%である。
【0014】本発明のハイブリッド薄膜は、多層構造を
有する反射防止膜における低屈折率層として用いること
ができる。多層反射防止膜において、基材側を基準にし
て最外層にハイブリッド薄膜を施せば、耐摩耗性、防曇
性能及び反射防止性能に優れた反射防止膜、光学部材を
得ることができる。本発明のハイブリッド薄膜の膜厚
は、特に限定はされないが5〜100nmであると好ま
しい。また、ハイブリッド薄膜を多層反射防止膜の最外
層である低屈折率層として用いる場合は、従来公知の二
酸化ケイ素などの低屈折率層における光学的膜厚(λ/
4)と同一の光学的膜厚にすることも可能である(λは
照射光の波長を示す)。その場合のハイブリッド薄膜の
屈折率は、1.42〜1.48であると好ましい。
【0015】また、本発明のハイブリッド薄膜は、耐衝
撃性向上のため、基材側に一番近い層に設けることもで
きる。基材側に一番近い層にハイブリッド薄膜を設けた
場合、ハイブリッド薄膜と基材との密着性を向上させる
ため下地層を施すことが可能である。この下地層として
は、ハイブリッド薄膜形成の際に触媒作用のある金属、
例えば、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、白金(P
t)、ニオブ(Nb)及びチタニウム(Ti)から選ば
れる少なくとも1種類からなる層を施すことができる。
特に好ましい下地層は、より良好な耐衝撃性を付与させ
るために、ニオブからなる金属層である。金属層を下地
層として用いた場合、耐衝撃性が向上する。また、プラ
スチック基材と下地層との密着性確保及び蒸着物質の初
期膜形成状態の均一化を図るために、下地層を形成する
前にイオン銃前処理を行っても良い。イオン銃前処理に
おけるイオン化ガスは、酸素、アルゴン(Ar)などを
用いることができ、出力で好ましい範囲は、特に良好な
密着性、耐摩耗性を得る観点から、加速電圧が50V〜
200V、加速電流が50mA〜150mAである。
【0016】本発明のハイブリッド薄膜以外の反射防止
膜は、蒸着法で形成されると好ましく、必要に応じて、
物理的蒸着法(PVD法)、化学的蒸着法(CVD
法)、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プ
ラズマCVD法等で形成することもできる。前記反射防
止膜におけるハイブリッド薄膜以外の層は特に限定され
ないが、良好な反射防止効果を得るため、低屈折率層と
してSiO2層、又はSiO2とAl 23との混合層、高
屈折率層としてNb25層、又はTiO2層とを有する
ことが好ましい。
【0017】本発明の光学部材は、プラスチック基材
と、このプラスチック基材上に本発明のハイブリッド薄
膜が施された反射防止膜とを備えている。本発明の光学
部材で使用するプラスチック基材の材質は、特に限定さ
れず、例えば、メチルメタクリレ−ト単独重合体、メチ
ルメタクリレ−トと1種以上の他のモノマ−との共重合
体、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−ト単独
重合体、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−ト
と1種以上の他のモノマ−との共重合体、イオウ含有共
重合体、ハロゲン共重合体、ポリカ−ボネ−ト、ポリス
チレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエ
チレンテレフタレ−ト、ポリウレタン、ポリチオウレタ
ンなどが挙げられる。
【0018】本発明の光学部材は、プラスチック基材
と、ハイブリッド薄膜が施された反射防止膜との間、又
はプラスチック基材と、前記下地層との間に、硬化被膜
を有していてもよい。硬化被膜としては、通常、金属酸
化物コロイド粒子と下記一般式(I) (R7a (R8)bSi(OR94-(a+b) ・・・(I) (式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、炭素数1〜8
のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6
〜8のアリール基、炭素数1〜8のアシル基、ハロゲン
原子、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカ
プト基、メタクリロキシ基及びシアノ基の中から選ばれ
る有機基を示し、R9は炭素数1〜8のアルキル基、炭
素数1〜8アシル基及び炭素数6〜8のアリール基の中
から選ばれる有機基を示し、a及びbは、それぞれ独立
に0又は1の整数である)で表される有機ケイ素化合物
とからなる組成物等が使用されればよい。
【0019】前記金属酸化物コロイド粒子としては、例
えば、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(A
23)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニ
ウム(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ベリリウ
ム(BeO)又は酸化アンチモン(Sb25)等が挙げ
られ、単独又は2種以上を併用することができる。
【0020】前記一般式(I)で示される有機ケイ素化
合物の好ましい例としては、メチルシリケート、エチル
シリケート、n−プロピルシリケート、i−プロピルシ
リケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリ
ケート、t−ブチルシリケート、テトラアセトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセト
キシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプ
ロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチル
トリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラ
ン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシ
メチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエ
トキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシ
ラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β
−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシ
プロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシ
ドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブ
チルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリ
メトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリ
シドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシ
ブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラ
ン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルト
リメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチル
メチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジ
エトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメト
キシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシ
シラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、
α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルフェニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキ
シエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチ
ルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチ
ルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオ
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシ
シラン、メチルビニルジエトキシシラン等が挙げられ
る。
【0021】前記硬化被膜を形成するためには、コ−テ
ィング組成物を基材に塗布する方法が挙げられる。コー
ティング組成物は、従来公知の方法で、調製することが
できる。所望により、硬化触媒、塗布時における濡れ性
を向上させ、硬化被膜の平滑性を向上させる目的で各種
の有機溶剤や界面活性剤を含有させることもできる。好
ましい硬化触媒としては、アリルアミン、エチルアミン
等のアミン類、ルイス酸もしくはルイス塩基等の各種酸
もしくは塩基、カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホ
ウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オル
トケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸等
の塩もしくは金属塩、アルミニウム、ジルコニウム、チ
タン等の金属のアルコキシド及びそれらの金属のキレー
ト化合物等が挙げられる。さらに、紫外線吸収剤、酸化
防止剤、光安定剤、老化防止剤等もコーティング組成物
及び硬化被膜の物性に影響を与えない限り添加すること
ができる。コ−ティング組成物の塗布手段としてはディ
ッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の通
常行われる方法が適用できるが、面精度(膜表面の平滑
さ)の点からディッピング法、スピンコーティング法が
好ましい。コ−ティング組成物の硬化は、熱風乾燥又は
活性エネルギー線照射によって行い、硬化条件として
は、通常70〜200℃の熱風中にて行われ、好ましく
は90〜150℃で行われる。なお、活性エネルギー線
としては遠赤外線等が挙げられ、熱による損傷を低く抑
えることができる。
【0022】本発明の光学部材は防曇性能を有するもの
であるが永久に防曇性能が維持されるわけではない。防
曇性能が劣化した場合、ハイブリッド薄膜を洗浄するこ
とにより防曇性能を復元することができる。前記洗浄方
法としては、プラズマ処理によってなされると好まし
い。プラズマ処理とは、プラズマ放電による分子解離の
結果、発生する励起分子、ラジカル、イオンを目的物に
照射する方法をいう。プラズマを照射する時間は、特に
限定されないが、5秒〜60秒が好ましい。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例において得られた光学部材の物性
評価は以下のようにして行った。 (1)視感透過率 プラスチックレンズの視感透過率Yは、両面に反射防止
膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立
分光光度計U−3410を用い測定した。 (2)視感反射率 プラスチックレンズの視感反射率Yは、両面に反射防止
膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立
分光光度計U−3410を用い測定した。 (3)密着性 プラスチックレンズの表面に剃刀にて1mm×1mmの
升目を100個作成し、升目上にセロハンテープ(商
標:セロテープ、ニチバン(株)販売)を貼り、一気に
テープをはがし、残った升目の数で評価した。表中、残
った升目の数/100で記載した。 (4)耐摩耗性 プラスチックレンズの表面にスチールウール規格(#0
000)(日本スチールウール(株)製)にて1kgf
/cm2の荷重をかけ、10ストローク(往復)擦り、
表面状態により以下の基準で評価した。 UA:殆ど傷なし A:細い傷数本あり B:細い傷多数、太い傷数本あり C:細い傷多数、太い傷多数あり D:殆ど膜はげ状態 (5)防曇性 5℃の冷蔵庫にサンプルを20分間保管した後、すぐに
湿度90%、室温40℃の恒室機内に10秒間放置し、
とりだしてそのサンプル越しに曇り度合いを評価した。
評価基準は以下の通りである。 レベル4:サンプルレンズを通して本が読めるレベル レベル3:サンプルレンズを通して日中歩けるレベル レベル2:サンプルレンズを通して何とか景色が確認で
きるレベル レベル1:サンプルレンズを通して景色が全く見えない
レベル レベル1及び2は、防曇性を有していないと見なせる。 (6)水に対する接触角 プラスチックレンズ表面の水に対する接触角は、自動表
面張力計K12(Kruess社製)を用い、ウイルヘ
ルミー法に準拠して測定した。 (7)ハイブリッド層における有機物質含有率 薄膜のハイブリッド層における有機物質含有率は、前も
って無機物質と有機物質の屈折率を把握しておき、ハイ
ブリッド層の膜厚と反射率を測定することにより求め
た。ハイブリッド層における有機物質含有率は、無機物
質からなる層の屈折率及び有機物質からなる層の屈折率
を基準とし、内挿法によってハイブリッド層の屈折率を
用いて決定した。
【0024】実施例1及び2 ガラス製容器に、コロイダルシリカ(スノ−テックス−
40、日産化学(株)製)90重量部、有機ケイ素化合
物のメチルトリメトキシシラン81.6重量部、有機ケ
イ素化合物のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン176重量部、0.5N塩酸2.0重量部、酢酸2
0重量部、水90重量を加えた液を、室温にて8時間攪
拌後、室温にて16時間放置して加水分解溶液を得た。
この溶液に、イソプロピルアルコ−ル120重量部、n
−ブチルアルコ−ル120重量部、アルミニウムアセチ
ルアセトン16重量部、シリコ−ン系界面活性剤(ポリ
アルキレンオキサイド−メチルシロキサン共重合体型,
商品名:Y7006,日本ユニカー(株)社製)0.2
重量部、紫外線吸収剤(2−2(ヒドロキシ−4−オク
チロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,商品名:SE
ESORB 707R,SHIPORRO社製)0.1
重量部を加え、室温にて8時間攪拌後、室温にて24時
間熟成させコ−ティング液を得た。アルカリ水溶液で前
処理したプラスチックレンズ基板(素材:ジエチレング
リコ−ルビスアリルカ−ボネ−ト、屈折率1.50、中
心厚2.0mm、レンズ度数0.00)を、前記コーテ
ィング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度2
0cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃
で2時間加熱して硬化膜(ハードコートA層)を形成し
た。その後、表1に記載したイオン加速電圧、照射時間
の条件でArガスを用いて、イオン銃前処理を行った。
次に、ハードコートA層の上に、表1に示した条件で第
1〜7層からなる多層反射防止膜を形成して、プラスチ
ックレンズを得た。表1において、親水基及び反応基を
有する有機化合物として、実施例1では有機物質A(ポ
リエチレングリコールグリシジルエーテルE−400
(日本油脂(株)製))を使用し、実施例2では有機物
質B(ポリエチレングリコールモノアクリレートAE−
400(日本油脂(株)製))を使用した。また、多層
反射防止膜を形成する際、第7層目のハイブリッド薄膜
を成膜するに当たりイオン銃を用いてイオンアシストを
行った。その条件は、Arガスを用い、加速電圧70
V、加速電流70mAである。また有機物質Aは外部タ
ンクを80℃に加熱し、6.7×10-3Pa(5×10
-5Torr)に減圧したチャンバー内に供給するものと
し、無機成分は電子銃による蒸着によって同時に供給し
て成膜を行った。また、無機物質の蒸着と有機物質との
蒸着とは、二元蒸着として、ほぼ同時に蒸着するように
条件を設定した。得られたプラスチックレンズについて
上記(1)〜(5)を評価し、それらの結果を表1に示
した。尚、表中、λは照射光の波長で、λ=500nm
を示す。ハイブリッド層の屈折率はλ=500nmで求
めた。
【0025】実施例3 実施例1と同様にしてハードコートAを形成した。次
に、ハードコートA層の上に、表2に示した条件で第1
〜7層からなる多層反射防止膜を形成して、プラスチッ
クレンズを得た。表2において、親水基及び反応基を有
する有機化合物として、実施例2では有機物質C(N−
(3−トリメトキシシリルプロピル)グルコンアミド
(チッソ(株)製))を使用した。また、多層反射防止
膜を形成する際、第7層目のハイブリッド薄膜を成膜す
るに当たりイオン銃を用いてイオンアシストを行った。
その条件は、Arガスを用い、加速電圧80V、加速電
流80mAである。また有機物質Cはバイオカラム(ス
テンレス鋼フィルター;径18mm、厚さ3mm、孔の
大きさ80〜100μm)に溶媒として酢酸エチルを使
用して50%溶液とした後0.5ミリリットルを加えた
ものを真空度6.7×10-3Pa(5×10-5Tor
r)中で150〜200℃に加熱して供給し、それと同
時にイオン銃によって無機物を蒸発させて成膜を行っ
た。また、無機物質の蒸着と有機物質との蒸着とは、二
元蒸着として、ほぼ同時に蒸着するように条件を設定し
た。得られたプラスチックレンズについて上記(1)〜
(5)を評価し、それらの結果を表2に示した。尚、表
中、λは照射光の波長で、λ=500nmを示す。ハイ
ブリッド層の屈折率はλ=500nmで求めた。なお、
表1〜2において、イオン銃設定値の項目が「−」で表示
されているのは、層がイオンアシスト法以外の方法、す
なわち一般的な蒸着法により形成されていることを示
す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】表1〜2に示したように、実施例1〜3の
プラスチックレンズは、視感反射率が0.72〜0.8
1%と極めて小さく、視感透過率は99.0〜99.1
%と高かった。さらに、密着性、耐摩耗性、防曇性も良
好であった。また、実施例1〜3におけるレンズの水に
対する接触角を測定したところ実施例1は5度、実施例
2は4度、実施例3は5度であった。
【0031】実施例4 実施例1〜3によって製造した最外層がハイブリッド薄
膜である防曇プラスチックレンズの反射防止膜にセーム
皮を用いて100g加重で200回擦ることで防曇性能
が低下したところ、防曇性能が評価基準でレベル2まで
低下し、レンズの水に対する接触角は、実施例1が16
度、実施例2が15度、実施例3が16度であった。こ
のようになった防曇プラスチックレンズレンズを小型プ
ラズマ発生装置のチャンバー内に立ててセットし、13
3Pa(1Torr)まで減圧する。次に空気を70c
c/min.(25℃での体積換算値)供給し、RF
(高周波)パワー200Wで15秒間、大気プラズマ処
理を行った。この処理により、実施例1〜3全てのプラ
スチックレンズについて、他の物性が損なわれずに防曇
性能が再現され、評価レベルでレベル4まで向上し、レ
ンズの水に対する接触角は、実施例1が5度、実施例2
が4度、実施例3が5度となった。また、上記実施例1
〜3において、反射防止膜を形成するそれぞれの層の組
み合わせを変えることによって、さらに上記実施例1〜
4より好ましい実施例を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のハ
イブリッド薄膜を用いることにより、透明性が良好で、
耐摩耗性及び防曇性能に優れ、反射率も小さいため反射
防止膜としても十分に使用でき、反射防止膜、光学部材
に有用である。また、本発明の防曇性能復元方法によ
り、ハイブリッド薄膜の防曇性能が劣化しても、容易に
復元することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/08 G02B 1/10 A G02B 1/10 Z (72)発明者 新出 謙一 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 HO YA株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA02 AA15 BB14 CC03 CC24 CC42 DD03 EE00 EE02 4F100 AA19A AA20 AA20A AH00A AH06 AK01A AK01C AK25A AK45 AK52 AK52A AK53A AK54A AL05A AT00C BA03 BA07 BA10B BA10C EH61 EH612 EJ08 EJ082 EJ42 EJ422 EJ82 EJ822 JA07A JK09 JL07 JL07A JM02A JN06B JN18A YY00A 4K029 BA44 BA46 BA62 BB00 BB02 BC00 BC07 BD00 EA00 EA01

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水基及び反応基を有する有機化合物
    と、二酸化ケイ素,又は二酸化ケイ素及び酸化アルミニ
    ウムとを蒸着してなる防曇性能を有するハイブリッド薄
    膜。
  2. 【請求項2】 前記ハイブリッド薄膜が、イオンアシス
    ト法で形成されてなる請求項1記載のハイブリッド薄
    膜。
  3. 【請求項3】 前記有機化合物は親水性化合物であり、
    前記二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素及び酸化アルミニウ
    ムは前記有機化合物に比べて親水性に劣る請求項1記載
    のハイブリッド薄膜。
  4. 【請求項4】 前記有機化合物中における、前記有機化
    合物のモル数に対する酸素原子の原子数の割合が、18
    〜40%である請求項1〜3のいずれか1項記載のハイ
    ブリッド薄膜。
  5. 【請求項5】 前記ハイブリッド薄膜内における前記有
    機化合物に由来する構造の含有率が、ハイブリッド薄膜
    全量を基準にして、0.02〜70重量%である請求項
    1〜4のいずれか1項記載のハイブリッド薄膜。
  6. 【請求項6】 前記有機化合物の数平均分子量が、15
    0〜1500g/molである請求項1〜5のいずれか
    1項記載のハイブリッド薄膜。
  7. 【請求項7】 前記有機化合物が、ポリエーテル主鎖構
    造を有し、かつその主鎖の両末端に反応基を有する化合
    物である請求項1〜6のいずれか1項記載のハイブリッ
    ド薄膜。
  8. 【請求項8】 前記反応基が、エポキシ基、メタクリル
    基、アクリル基、アミノ基、チオール基、炭素数3〜1
    5のトリアルコキシシリル基及び水酸基の中から選ばれ
    る少なくとも1種類の基である請求項1〜7のいずれか
    1項記載のハイブリッド薄膜。
  9. 【請求項9】 前記有機化合物が、一般式(1)で表さ
    れる化合物である請求項7記載のハイブリッド薄膜。 【化1】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、エポキシ基、
    メタクリル基、アクリル基、アミノ基、チオール基、炭
    素数3〜15のトリアルコキシシリル基、水酸基又はこ
    れらの中から選ばれる少なくとも一種類の基を含有する
    有機基を示す。また、nは1以上の整数で、数平均分子
    量が150〜1500g/molの範囲となる整数であ
    る。)
  10. 【請求項10】 前記有機化合物が、ヒドロキシメチレ
    ン又はカルボキシメチレンの繰り返し単位を有し、かつ
    その繰り返し単位の両末端に反応基を有する請求項1〜
    6のいずれか1項記載のハイブリッド薄膜。
  11. 【請求項11】 前記反応基が、エポキシ基、メタクリ
    ル基、アクリル基、アミノ基、チオール基、炭素数3〜
    15のトリアルコキシシリル基又は水酸基である請求項
    10記載のハイブリッド薄膜。
  12. 【請求項12】 前記有機化合物が、一般式(2)又は
    一般式(3)で表される化合物である請求項10記載の
    ハイブリッド薄膜。 【化2】 (式中、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、エポ
    キシ基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、チオー
    ル基、炭素数3〜15のトリアルコキシシリル基、水酸
    基又はこれらの中から選ばれる少なくとも一種類の基を
    含有する有機基を示す。また、m及びkは、それぞれ2
    以上の整数で、数平均分子量225〜1500g/mo
    lとなる整数である。)
  13. 【請求項13】 前記ハイブリッド薄膜の屈折率が、
    1.42〜1.48である請求項1〜12のいずれか1
    項記載のハイブリッド薄膜。
  14. 【請求項14】 前記ハイブリッド薄膜の厚さが、5n
    m〜100nmである請求項1〜13のいずれか1項記
    載のハイブリッド薄膜。
  15. 【請求項15】 反射防止膜の最外層として請求項1〜
    14のいずれか1項記載のハイブリッド薄膜が施された
    反射防止膜。
  16. 【請求項16】 プラスチック基材と、該プラスチック
    基材上に請求項15記載のハイブリッド薄膜が施された
    反射防止膜とを備えた光学部材であって、該基材側を基
    準にして、反射防止膜の最外層として請求項1〜14の
    いずれか1項記載の前記ハイブリッド薄膜が施された光
    学部材。
  17. 【請求項17】 プラスチック基材と、ハイブリッド薄
    膜が施された反射防止膜との間に硬化被膜を有する請求
    項16記載の光学部材。
  18. 【請求項18】 請求項16又は請求項17の光学部材
    におけるハイブリッド薄膜を洗浄することにより防曇性
    能を復元するハイブリッド薄膜の防曇性能復元方法。
  19. 【請求項19】 前記洗浄が、プラズマ処理によってな
    される請求項18記載のハイブリッド薄膜の防曇性能復
    元方法。
  20. 【請求項20】 親水基及び反応基を有する有機化合物
    と、二酸化ケイ素、又は二酸化ケイ素及び酸化アルミニ
    ウムとを蒸着する請求項1〜14のいずれか1項記載の
    ハイブリッド薄膜の製造方法。
  21. 【請求項21】 基材側を基準にして、反射防止膜の最
    外層として請求項1〜14のいずれか1項記載のハイブ
    リッド薄膜を施す請求項16又は請求項17に記載の光
    学部材の製造方法。
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