JPH0578508A - 反射防止効果を有するプラスチツク光学物品の製造方法 - Google Patents

反射防止効果を有するプラスチツク光学物品の製造方法

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JPH0578508A
JPH0578508A JP4026537A JP2653792A JPH0578508A JP H0578508 A JPH0578508 A JP H0578508A JP 4026537 A JP4026537 A JP 4026537A JP 2653792 A JP2653792 A JP 2653792A JP H0578508 A JPH0578508 A JP H0578508A
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JP
Japan
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coating
sol
resistance
optical article
plastic
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JP4026537A
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English (en)
Inventor
Naoki Shimoyama
直樹 下山
Takashi Taniguchi
孝 谷口
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 耐すり傷性、密着性、耐摩耗性、耐衝撃性、
耐薬品性、可橈性、耐熱性、耐候性、耐光性、染色性、
耐溶剤浸透防止性などに優れ、良好な反射防止効果を有
するプラスチック光学物品の製造方法を提供する。 【構成】 プラスチック基体の表面に下記のイ、ロをこ
の順序で設け、更に該被膜上に2層以上の多層被膜を設
ける反射防止効果を有するプラスチック光学物品の製造
方法。 イ.オルガノポリシロキサンと、シリカゾル、チタニア
ゾル、ジルコニアゾル、酸化アンチモンゾルおよびアル
ミナゾルから選ばれる一種以上の微粒子状無機酸化物と
を主成分としてなる被膜。 ロ.少なくとも10重量%が、二酸化ケイ素である無機
酸化物からなる被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、眼鏡用レンズ、カメラ
用レンズ、CRT用フィルター、光記録用基体などの光
学用に適した反射防止効果を有するプラスチック光学物
品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成型品、とりわけプラスチ
ックレンズに代表される成形体は、極めて優れた耐衝撃
性および透明性を有し、かつ軽量であり、染色も容易で
あることから近年大幅に需要が増えている。従来より、
反射防止のために、屈折率が基体と異なる物質を真空蒸
着法などにより基体上に被膜形成させる方法が行われ
た。
【0003】特開昭 52-165862号公報には、プラスチッ
ク成形品にオルガノポリシロキサン系樹脂層を設け、そ
の上に金属および/または無機セラミック物層を設ける
ことが提案されている。
【0004】また、特開昭 56-113101号公報には、プラ
スチックの表面硬度と反射防止性の両者を向上、改良す
る目的で、プラスチック基体上に1ミクロン前後のSi
2 を真空蒸着により被覆し、さらにその上に多層膜の
反射防止膜をコートする方法が開示されている。
【0005】さらには、特開昭59-78301号公報にはプラ
スチック基体の表面に有機ケイ素化合物を主成分とする
オルガノポリシロキサン系ハードコート膜あるいは、エ
ポキシ樹脂硬化膜を施した上に、無機物からなる反射防
止膜をコートする方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開昭 52-165862号公
報に開示されている技術は、十分に強固な密着力が得ら
れないために被膜の剥離、表面硬度の低下、さらには発
生した傷が太く深いなど多くの欠点があり、実用耐久性
に乏しいという問題点がある。
【0007】また、特開昭56-11310号公報に開示されて
いる技術は、高硬度で反射防止性を有している反面、密
着性、耐衝撃性、耐候性、耐熱水性を低下させ、さらに
は、耐熱性に大きな問題がある。
【0008】また、特開昭59-78301号公報に開示されて
いる技術は、反射防止性を有する反面、基体に対する密
着性に乏しく、さらには、水、アルコールなどに浸され
やすく熱水処理後の密着性、耐候密着性などに大きな問
題がある。
【0009】本発明は、耐すり傷性、密着性、耐摩耗
性、耐衝撃性、耐薬品性、可橈性、耐熱性、耐候性、耐
光性、染色性、耐溶剤浸透防止性などに優れ、良好な反
射防止効果を有するプラスチック光学物品の製造方法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために下記の構成を有する。
【0011】すなわち、本発明は、プラスチック基体の
表面に下記のイ、ロをこの順序で設け、更に該被膜上に
2層以上の多層被膜を設ける反射防止効果を有するプラ
スチック光学物品の製造方法であって、該ロおよび該多
層被膜のうち少なくとも一層は、イオンビームアシスト
法にて設けられることを特徴とする反射防止効果を有す
るプラスチック光学物品の製造方法に関する。
【0012】本発明におけるプラスチック基体として
は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ジエチ
レングリコールビスアリルカーボネートポリマー、(ハ
ロゲン化)ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート
ポリマーおよびその共重合体、(ハロゲン化)ビスフェ
ノールAのウレタン変性ジ(メタ)アクリレートポリマ
ーおよびその共重合体などの成形物、例えば、レンズ、
シート、フィルム、コンパクトディスクなどが挙げられ
る。
【0013】本発明はこれらのプラスチック基体上にま
ずオルガノポリシロキサンと、シリカゾル、チタニアゾ
ル、ジルコニアゾル、酸化アンチモンゾルおよびアルミ
ナゾルから選ばれる一種以上の微粒子状無機酸化物とを
主成分とする被膜からなるハードコート層を設けてなる
ものであるが、ここでオルガノポリシロキサンを形成せ
しめる組成物の代表的な例としては有機置換されたケイ
素化合物が挙げられる。このような、ケイ素化合物とし
ては、下記一般式(A)、ないしはその加水分解物を挙
げることができる。
【0014】Ra 1 b SiX4-a-b (A) (ここで、Rは、炭素数1〜10の有機基、R1 は炭素
数1〜6の炭化水素基または、ハロゲン化炭化水素基、
Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または1であ
る。)具体的な代表例としては、メチルシリケート、エ
チルシリケート、n-プロピルシリケート、i-プロピルシ
リケート、n-ブチルシリケート、sec-ブチルシリケート
およびt-ブチルシリケートなどのテトラアルコキシシラ
ン類、およびその加水分解物さらにはメチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメト
キシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メ
チルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメト
キシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シ
アノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシ
シラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチ
ルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキ
シシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α
−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシ
ドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエ
チルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリ
エトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
フェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキ
シシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラ
ン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシド
キシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシ
ラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメト
キシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルト
リエトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4-
エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラ
ン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブ
トキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシエトキシシラン、β−(3,4-エポキシ
シクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−
(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシ
シラン、γ−(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル
トリエトキシシラン、δ−(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4-エポキシシ
クロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのトリア
ルコキシシラン、トリアシルオキシシランまたはトリフ
ェノキシシラン類またはその加水分解物およびジメチル
ジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシ
シラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチル
ジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、
メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキ
シシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−
グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシ
エチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
プロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチル
ジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエ
トキシシランなどジアルコキシシラン、ジフェノキシシ
ランまたはジアシルオキシシラン類またはその加水分解
物がその例である。
【0015】これらの有機ケイ素化合物は1種または2
種以上添加することも可能である。とくに染色性付与の
目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機ケイ素
化合物の使用が好適であり、高付加価値なものとなる。
【0016】上記の組成物は通常揮発性溶媒に希釈して
液状組成物として塗布される。溶媒として用いられるも
のは、特に限定されないが、使用にあたっては被塗布物
の表面性状を損わぬことが要求され、さらには組成物の
安定性、基材に対するぬれ性、揮発性などをも考慮して
決められるべきである。また溶媒は1種のみならず2種
以上の混合物として用いることも可能である。
【0017】さらに、硬度向上、無機酸化物層との密着
性向上のために微粒子状無機酸化物が5重量%以上80
重量%以下含まれることが好ましい。すなわち、5重量
%未満では、ロの被膜との十分に強固な密着強度が得ら
れず、80重量%を越えるとプラスチック基体との密着
不良、被膜自体にクラック発生、耐衝撃性低下などの問
題がある。かかる微粒子状無機酸化物は、作業性、透明
性付与の点からコロイド状に分散したシリカゾル、チタ
ニアゾル、ジルコニアゾル、酸化アンチモンゾル、アル
ミナゾルが挙げられる。
【0018】さらには、これらのコーティング組成物中
には、塗布時におけるフローを向上させる目的で各種の
界面活性剤を使用することも可能であり、とくにジメチ
ルポリシロキサンとアルキレンオキシドとのブロックま
たはグラフト共重合体、さらにはフッ素系界面活性剤な
どが有効である。
【0019】さらに耐候性を向上させる目的で紫外線吸
収剤、また耐熱劣化向上法として酸化防止剤を添加する
ことも可能である。
【0020】さらに、これらのコーティング組成物中に
は、被膜性能、透明性などを大幅に低下させない範囲で
微粒子状無機酸化物以外の無機化合物なども添加するこ
とができる。これらの添加物の併用によって基材との密
着性、耐薬品性、表面硬度、耐久性、染色性などの諸物
性を向上させることができる。前記の添加可能な無機材
料としては以下の一般式[I]で表わされる金属アルコ
キシド、キレート化合物および/またはその加水分解物
が挙げられる。
【0021】M(OR)m [I] (ここでRはアルキル基、アシル基、アルコキシアルキ
ル基であり、mは金属Mの電荷数と同じ値である。Mと
してはケイ素、チタン、ジルコン、アンチモン、タンタ
ル、ゲルマニウム、アルミニウムなどである。)本発明
におけるオルガノポリシロキサン系被膜を形成せしめる
場合には、硬化促進、低温硬化などを可能とする目的で
各種の硬化剤が使用可能である。硬化剤としては各種エ
ポキシ樹脂硬化剤、あるいは各種有機ケイ素樹脂硬化剤
などが適用される。
【0022】これらの硬化剤の具体的な例としては、各
種の有機酸およびそれらの酸無水物、窒素含有有機化合
物、各種金属錯化合物あるいは金属アルコキシド、さら
にはアルカリ金属の有機カルボン酸塩、炭酸塩などの各
種塩、さらには、過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ルなどのラジカル重合開始剤などが挙げられる。これら
の硬化剤は2種以上混合して使用することも可能であ
る。これらの硬化剤の中でも本発明の目的には、塗料の
安定性、コーティング後の塗膜の着色防止などの点か
ら、特に下記に示すアルミニムウキレート化合物が有用
である。
【0023】ここでいうアルミニウムキレート化合物と
は、一般式AlXn3-n で示されるアルミニウムキレ
ート化合物である(但し式中、XはOL(Lは低級アル
キル基)、Yは一般式M1 COCH2 COM2 (M1
2 はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由
来する配位子、および一般式M3 COCH2 COOM4
(M3 ,M4 はいずれも低級アルキル基)で示される化
合物に由来する配位子から選ばれる少なくとも1つであ
り、nは0,1または2である。)。
【0024】AlXn 3-n で示されるアルミニウムキ
レート化合物のうちで、組成物への溶解性、安定性、硬
化触媒としての効果などの観点からして、アルミニウム
アセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセト
アセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウム−
ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、ア
ルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノメチルア
セトアセテートなどが好ましい。これらは2種以上を混
合して使用することも可能である。
【0025】塗布方法としては通常のコーティング作業
で用いられる方法が適用可能であるが、たとえば浸漬塗
装、流し塗り法、スピンコート法などが好ましい。この
ようにして塗布されたコーティング組成物は加熱乾燥、
または硬化される。
【0026】加熱方法としては熱風、赤外線などで行な
うことが可能である。また加熱温度は適用される基材お
よび使用されるコーティング組成物によって決定される
べきであるが、通常は室温から250℃、より好ましく
は35〜200℃が使用される。これより低温では硬化
または乾燥が不充分になりやすく、またこれより高温に
なると熱分解、亀裂発生などが起り、さらには黄変など
の問題が生じやすくなる。
【0027】本発明における液状コーティング組成物の
塗布にあたっては、塗布されるべき表面は清浄化されて
いることが好ましく、清浄化に際しては界面活性剤によ
る汚れ除去、さらには有機溶剤による脱脂、フレオンに
よる蒸気洗浄などが適用される。また密着性、耐久性の
向上を目的として各種の前処理を施すことも有効な手段
である。特に好ましく用いられる方法としては、後述の
活性化ガス処理、濃度にもよるが酸、アルカリなどによ
る薬品処理である。
【0028】本発明におけるオルガノポリシロキサンと
微粒子状無機酸化物とを主成分としてなる被膜の膜厚
は、特に限定されるものではない。しかし、密着強度の
保持、硬度などの点から0.1ミクロン〜20ミクロン
の間で好ましく用いられる。
【0029】特に好ましくは、0.4ミクロン〜10ミ
クロンである。
【0030】本発明はこれらのハードコート層上に少な
くとも10重量%が二酸化ケイ素である無機酸化物から
なる被膜を設けてなるものであるが、形成に際しては、
前処理として活性化ガス処理、薬品処理などを施しても
よい。かかる活性化ガス処理とは、常圧、もしくは減圧
下において、生成するイオン、電子あるいは、励起され
た気体である。これらの活性化ガスを生成させる方法と
しては、例えば、コロナ放電、減圧下での直流、低周
波、高周波あるいはマイクロ波による高電圧放電などに
よるものである。特に減圧下で高周波放電によって得ら
れる低温プラズマによる処理が、再現性、生産性などの
観点から、好ましく使用される。ここで使用されるガス
は、特に限定されるものでないが、具体例としては酸
素、窒素、水素、炭酸ガス、二酸化硫黄、ヘリウム、ネ
オン、アルゴン、フレオン、水蒸気、アンモニア、一酸
化炭素、塩素、一酸化窒素、二酸化窒素などが、挙げら
れる。これらは、一種のみならず、二種以上混合しても
使用可能である。
【0031】前記の中で好ましいガスとしては、酸素が
挙げられ、空気などの自然界に存在するものであっても
よい。特に好ましくは、純粋な酸素ガスが密着性向上に
有効である。さらには、同様の目的で前記処理に際して
は、処理基材の温度を上げることも可能である。中で
も、活性化ガスによる前処理は、特に有効である。かか
る活性化ガスを適用する場合には、処理条件としては、
オルガノポリシロキサンを形成せしめる組成物、無機酸
化物微粒子の種類、硬化条件、膜厚、染色の有無などに
よってそれぞれ最適化されるべきであり、実験的に定め
られるべきものである。
【0032】本発明において、少なくとも10重量%が
二酸化ケイ素である無機酸化物質からなる被膜を設ける
に際しては、液状コーティングあるいは真空蒸着などの
ドライコーティングが有効であるが、特に被膜の緻密
性、生産性などの観点から真空蒸着などのドライコーテ
ィングが好ましく使用される。二酸化ケイ素以外の無機
酸化物として併用可能な具体例としては、液状コーティ
ングに際しては、チタニアゾル、ジルコニアゾル、酸化
アンチモンゾル、アルミナゾルなどのコロイド状酸化
物、さらには、前述の一般式、M(OR)mで表わされ
る金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物から
得られる生成物などが挙げられる。これらの物質は、一
種のみならず二種以上を混合して、使用することも可能
である。ドライコーティングに際して、好ましく使用さ
れる二酸化ケイ素以外の無機酸化物としては、SiO、
ZrO2 、Al2 3 、TiO、TiO2 、Ti
2 3 、Y2 3 、Yb2 3 、MgO、Ta2 5
CeO2 、HfO2 などが挙げられる。これらの物質は
一種のみならず二種以上を混合して使用することも可能
である。かかる被膜の膜厚は特に限定されるものではな
い。しかし、硬度、耐熱性の観点から、0.01ミクロ
ン〜1ミクロンの間で好ましく用いられる。特に好まし
くは、0.02ミクロンから0.5ミクロンである。特
にSiO2 とZrO2 の混合物質からなる被膜は染色プ
ラスチック基体の耐光堅牢度向上に有効である。また、
共蒸着に際しては、さらにY2 3 などを添加併用する
ことが有効である。
【0033】本発明は、前記の二酸化ケイ素を10重量
%以上含む無機酸化物質からなる被膜層上に2層以上の
多層膜を設けてなるものであるが、形成せしめる物質の
具体例としては前述の無機酸化物からなる組み合せが好
ましく用いられる。
【0034】かかる層を形成させる方法は、真空蒸着
法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法などが挙げられるが、本発明におい
ては、前記の二酸化ケイ素を10重量%以上含む層と、
反射防止多層被膜のうち、少なくとも1層は、イオンビ
ームアシスト法にて設けられてなるものである。本発明
によって得られる反射防止効果を有するプラスチック光
学物品は、一般のプラスチック反射防止光学物品より、
高硬度、高耐熱性があり、さらには、薬品に侵されにく
いことから、眼鏡用レンズ、カメラ用レンズ、CRT用
フィルター、さらには、特に二酸化ケイ素を10重量%
以上含む被膜がガスバリヤー性を有する点から、光記録
用基体に好ましく使用できる。
【0035】
【実施例】更に詳細に説明するために、以下に実施例を
挙げて説明するが本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0036】なお、得られた反射防止効果を有する光学
物品の性能は、下記の方法に従って試験を行なった。結
果は、第1表に示す。
【0037】(イ)硬度 #0000のスチールウールを用い、1.5kgの荷重下
で塗面を50回こすり、傷付き具合を判定する。判定基
準は、 A…傷がつかない。
【0038】B…多く傷が発生する。
【0039】(ロ)密着性 塗膜面に1mmの基板に達するゴバン目を塗膜の上から鋼
ナイフで100個入れて、セロハン粘着テープ(商品名
“セロテープ” ニチバン社製)を強く貼りつけ、90
度方向に急速にはがし、塗膜剥離の有無を調べた。
【0040】(ハ)外観 得られた、反射防止効果を有する光学物品を肉眼にてそ
の透明性、着色性、クラックの有無を観察した。
【0041】(ニ)耐熱性 70℃に設定したオーブン中に入れて1時間後取り出し
クラックの有無を観察した。
【0042】実施例1 (1) 被コーティング透明基体の調製 テトラブロムビスフェノールAのエチレンオキサイド2
モル付加体に1モルのアクリル酸をエステル化により結
合させた水酸基含有化合物1モルに対し、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートを0.9モル付加させた多官能アク
リレートモノマーを含むモノマー70重量部とスチレン
30重量部をイソプロピルパーオキサイドを重合開始剤
としてキャスト重合した基体を低温プラズマ処理を行な
い、表面処理された基体を得た。得られた樹脂の屈折率
は1.6であった。
【0043】(2) コーティング組成物の調製 (a)γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン加
水分解物の調製 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン95.3重量部を仕込み、液温を10
℃に保ち、マグネチックスターラーで撹拌しながら0.
01規定塩酸水溶液21.8重量部を徐々に滴下する。
滴下終了後冷却をやめて、γ―グリシドキシプロピルト
リメトキシシランの加水分解物を得た。 (b)コーティング組成物の調製 前記シラン加水分解物に、メタノール216重量部、ジ
メチルホルムアミド216重量部、フッ素系界面活性剤
0.5重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(シェ
ル化学社製 商品名 エピコート827)67.5重量
部を添加混合し、さらにコロイド状五酸化アンチモンゾ
ル(日産化学社製 商品名 アンチモンゾルA−255
0 平均粒子径 60mμ)270重量部、アルミニウ
ムアセチルアセトネート13.5重量部を添加し、充分
撹拌した後、コーティング組成物とした。
【0044】(3) 前記(1) によって得られた被コーティ
ング基体に前記(2) で調製した、コーティング組成物を
引き上げ速度10cm/ 分の条件で浸漬し、加熱硬化は8
2℃で、12分の予備硬化を行ない、さらに100℃で
4時間過熱して行なった。
【0045】(4) 前記(3) よって得られたハードコート
プラスチック基体を赤、青、黄からなる液温が93℃の
分散染料染浴に浸漬して、5分間染色をおこなった。得
られた染色品の減光率は、50%であった。
【0046】(5) 前記(4) によって得られた染色ハード
コートプラスチック基体の上に無機酸化物質のZrO2
とSiO2 との混合物(ZrO2 /SiO2 =50/5
0(重量比))、ZrO2 、Ta2 5 、SiO2 をそ
れぞれイオンビームアシスト法でこの順序にそれぞれ光
学膜厚をλ/4、λ/4、λ/4、λ/4(λ=521nm)に設
定して、両面に多層被覆させた。得られた反射防止効果
を有する光学物品の反射干渉色は、黄緑色を呈してい
た。このようにして得られた染色反射防止プラスチック
基体の半面をアルミホイルで包みフェードメーター(ス
ガ試験機社製)で耐光堅牢度の促進試験をおこなったと
ころ紫外線が照射されている半面も全く染料の褪色は無
く、良好な耐光堅牢度を有していた。
【0047】
【0048】
【発明の効果】本発明によって得られる反射防止効果を
有するプラスチック光学物品には、以下のような効果が
ある。
【0049】(1) スチールウールなどの多数回摩耗にも
耐え得る高硬度塗膜が得られる。
【0050】(2) 密着性に優れている。
【0051】(3) 耐熱性、耐熱水性に優れている。
【0052】(4) 染色品の耐久性に優れている。
【0053】(5) ガス遮断性に優れていて、染色品の耐
久性に優れている。
【0054】(6) 耐溶剤性に優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック基体の表面に下記のイ、ロを
    この順序で設け、更に該被膜上に2層以上の多層被膜を
    設ける反射防止効果を有するプラスチック光学物品の製
    造方法であって、該ロおよび該多層被膜のうち少なくと
    も一層は、イオンビームアシスト法にて設けられること
    を特徴とする反射防止効果を有するプラスチック光学物
    品の製造方法。 イ.オルガノポリシロキサンと、シリカゾル、チタニア
    ゾル、ジルコニアゾル、酸化アンチモンゾルおよびアル
    ミナゾルから選ばれる一種以上の微粒子状無機酸化物と
    を主成分としてなる被膜 ロ.少なくとも10重量%が、二酸化ケイ素である無機
    酸化物からなる被膜
  2. 【請求項2】オルガノポリシロキサンが、下記一般式
    (A)で示される有機ケイ素化合物であることを特徴と
    する請求項(1) 記載の反射防止効果を有するプラスチッ
    ク光学物品の製造方法。 Ra 1 b SiX4-a-b (A) (ここで、Rは、炭素数1〜10の有機基、R1 は炭素
    数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、X
    は加水分解性基であり、aおよびbは0または1であ
    る。)
  3. 【請求項3】オルガノポリシロキサンが、下記一般式
    (A)で示される有機ケイ素化合物の加水分解物である
    ことを特徴とする請求項(1) 記載の反射防止効果を有す
    るプラスチック光学物品の製造方法。 Ra 1 b SiX4-a-b (A) (ここで、Rは、炭素数1〜10の有機基、R1 は炭素
    数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、X
    は加水分解性基であり、aおよびbは0または1であ
    る。)
  4. 【請求項4】微粒子状無機酸化物が、5重量%以上、8
    0重量%以下含まれることを特徴とする請求項(1) 記載
    の反射防止効果を有するプラスチック光学物品の製造方
    法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0848369A (ja) * 1994-08-01 1996-02-20 Toppan Printing Co Ltd 透明ガスバリア材

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