JP2003200722A - タイヤのシミュレーション方法 - Google Patents

タイヤのシミュレーション方法

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JP2003200722A JP2001400268A JP2001400268A JP2003200722A JP 2003200722 A JP2003200722 A JP 2003200722A JP 2001400268 A JP2001400268 A JP 2001400268A JP 2001400268 A JP2001400268 A JP 2001400268A JP 2003200722 A JP2003200722 A JP 2003200722A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤの性能をシミュレーションする。 【解決手段】 コンピュータを用いてタイヤの数値解析
を行うタイヤのシミュレーション方法である。ゴム材
と、カーカス、ベルトを含む繊維複合材と、非伸張性の
ビードコアとが数値解析が可能な要素でモデル化された
タイヤモデルを設定するステップS1と、少なくとも予
め設定されたタイヤモデルの評価対象部について、境界
条件に基づき前記タイヤモデルの1回転により生じる歪
の履歴を計算するステップS2と、前記歪の履歴に基づ
いてタイヤの耐久性能を評価する評価ステップS3とを
含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤの耐久性能
を能率良く評価するのに役立つタイヤのシミュレーショ
ン方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
タイヤの耐久性能の評価は、タイヤを実際に試作しかつ
実車に装着したり或いはドラム試験器を用いた現物実験
が主体的に行われている。しかしながら、このような方
法では、試作タイヤの製造、実験を行なうために多大の
時間、費用、労力、設備等を必要とする。このため、タ
イヤの開発効率のさらなる向上が望まれている。
【0003】本発明は、このような実状に鑑み案出なさ
れたもので、実際にタイヤを試作することなく、タイヤ
の耐久性能を比較的簡易に評価することができ、タイヤ
の開発を能率化するのに役立つタイヤのシミュレーショ
ン方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、コンピュータを用いてタイヤの数値解析を
行うタイヤのシミュレーション方法であって、ゴム材
と、カーカス、ベルトを含む繊維複合材と、非伸張性の
ビードコアとが数値解析が可能な要素でモデル化された
タイヤモデルを設定するステップと、少なくとも予め設
定されたタイヤモデルの評価対象部について、境界条件
に基づき前記タイヤモデルの1回転により生じる歪の履
歴を計算するステップと、前記歪の履歴に基づいてタイ
ヤの耐久性能を評価する評価ステップとを含むことを特
徴としている。
【0005】また請求項2記載の発明は、前記評価対象
部は、前記ゴム材をモデル化した要素を含み、かつ前記
歪が、タイヤ子午線方向の垂直歪とせん断歪、タイヤ周
方向における垂直歪とせん断歪、及びタイヤ子午線方向
と直角な厚さ方向における垂直歪とせん断歪との6成分
を含むことを特徴とする請求項1記載のタイヤのシミュ
レーション方法である。
【0006】また請求項3記載の発明は、前記評価ステ
ップは、前記歪の履歴から少なくとも歪の最大振幅を計
算する処理を含み、かつこの歪の最大振幅の大きさ又は
総和によって前記評価対象部の耐久性能を評価すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレ
ーション方法である。
【0007】また請求項4記載の発明は、前記評価対象
部は、非評価対象部よりも小さくモデル化されてなる請
求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤのシミュレーシ
ョン方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図1には、本発明のシミュレーショ
ン方法を実施するためのコンピュータ装置1が示されて
いる。コンピュータ装置1は、本体1aと、入力手段と
してのキーボード1b、マウス1cと、出力手段として
のディスプレイ装置1dとから構成されている。本体1
aには、図示していないが、演算処理装置(CPU)、
ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの大容量記
憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスクのドライ
ブ1a1、1a2などの記憶装置を適宜具えている。そ
して、前記大容量記憶装置には後述する方法を実行する
ための処理手順(プログラム)が記憶されている。好適
には、EWSなどが用いられる。
【0009】図2には、本実施形態の処理手順の一例が
示されており、以下順に説明する。先ず本実施形態で
は、ゴム材と、カーカス、ベルトを含む繊維複合材と、
非伸張性のビードコアとが数値解析が可能な要素でモデ
ル化されたタイヤモデルを設定する処理を行う(ステッ
プS1)。ここで、数値解析が可能とは、例えば前記コ
ンピュータ装置1を用い、有限要素法、有限体積法、差
分法又は境界要素法といった数値解析法にて取り扱い可
能なことを意味し、本例では有限要素法を採用するもの
を例示する。
【0010】図3は、タイヤモデル2の一例を3次元上
に視覚化して表し、図4にはタイヤ回転軸を含むタイヤ
子午線断面を示す。タイヤモデル2は、解析しようとす
るタイヤを有限個の小さな要素2a、2b、2c…に分
割してモデル化されることにより、前記コンピュータ装
置1にて取り扱い可能な数値データとなる。具体的に
は、各要素2a、2b、2c…の節点座標値、形状、材
料特性、例えば密度、弾性率、損失正接又は減衰係数な
どが定義される。各要素2a、2b、2c…には、例え
ば2次元平面としての三角形ないし四角形の膜要素、3
次元要素としては、複雑な形状を表現するのに適した4
面体ソリッド要素が好ましい。但し、これ以外にも5面
体ソリッド要素、6面体ソリッド要素などを用いること
もでき、いずれもコンピュータで処理可能な要素が用い
られる。
【0011】本例ではタイヤを構成するゴム材とビード
コアとは、3次元形状のソリッド要素でモデル化され
る。ゴム材をモデル化した要素は、例えば線形弾性体又
は非圧縮製超弾性体として定義しうる。一方、ビードコ
アは表面が剛をなし実質的に変形不能なソリッド要素と
して取り扱うことができる。また図5に示すように、タ
イヤを構成している繊維複合材f(例えばベルトプラ
イ、カーカスプライ、バンドプライ等)は、コード配列
体cを例えば四辺形の膜要素5a、5bに、またコード
配列体cを内外から被覆しているトッピングゴムtにつ
いてはソリッド要素5c〜5eにそれぞれモデル化し、
これらを厚さ方向に積層した複合シェル要素5としてモ
デル化しうる。膜要素5a、5bには、例えばコードc
1の直径に等しい厚さと、コードc1の配列方向(直線
にて示す)とこれと直交する方向とにおいて剛性の異な
る異方性とが定義される。なお、各要素は、各ゴム、コ
ード材などの弾性係数(縦弾性係数、横弾性係数)、コ
ード、ゴムの複素弾性率、損失正接tanδ、ビードコ
アの弾性率などに基づき材料特性が定義される。
【0012】また本例のタイヤモデル2は、トレッド面
が溝を有しない平滑面として構成されたものを例示する
がこれに限定されるものではない。また、このようなタ
イヤモデル2は、本実施形態では、前記タイヤ子午線断
面において先ず図4に示す2次元断面形状を特定し、こ
れを図9に示すように、そのタイヤ回転軸の回りに周方
向に回転させかつ所定の周方向長さsで等分に単位化す
ることにより、比較的簡単に3次元形状としてモデル化
することができる。これにより、タイヤモデル2は、ゴ
ム材をモデル化した要素と、カーカス、ベルトを含む繊
維複合材をモデル化した要素と、非伸張性のビードコア
をモデル化した要素とがタイヤ周方向に同一断面形状で
連続することとなる。
【0013】また本発明では、タイヤの予め評価しよう
とする部分を評価対象部として定める。本例では図6
(A)に示すように、ラジアルタイヤTにおいて比較的
損傷が生じやすい部分であるベルト層BEの軸方向端部
の小領域に含まれるゴム材の要素を評価対象部Xとして
定めたものを例示する。この領域では、ベルト層BEの
コード端とゴムとの接着部分が剥離するベルトエッジル
ースなどが生じ易い。従って、かかる部分の耐久性能を
解析することにより、耐久性能に優れたタイヤの開発期
間の短縮に役立つ。
【0014】また本実施形態では、タイヤモデル2を設
定する際、図6(B)に拡大して示す如く、前記評価対
象部Xを、非評価対象部よりも小さい要素でモデル化し
たものが例示される(タイヤモデル2の評価対象部Xに
はドットを付す。)。具体的には、ゴム材をモデル化し
た六面体ソリッド要素の場合、子午線断面に表れる評価
対象部Xの要素の軸方向長さL1を、非評価対象部の要
素の軸方向長さL2の要素で約30〜70%、より好ま
しくは40〜60%とするのが好ましく、同半径方向の
長さh1を非評価対象部の要素の長さh2の約30〜7
0%、より好ましくは40〜60%とするのが好まし
い。これにより、要素数を大幅な増加を防いで計算時間
の増大を防止しつつ評価したい部分の耐久性能をより詳
細に解析することができる。
【0015】次に本実施形態では、少なくとも前記タイ
ヤモデル2の評価対象部Xについて、予め定めた境界条
件に基づき前記タイヤモデルの1回転により生じる歪の
履歴を計算する処理を行う(ステップS2)。
【0016】予め設定される境界条件としては、例えば
タイヤモデル2が装着されるリムのサイズないし形状、
充填内圧、軸荷重、路面モデル14(図7に示す)との
間の摩擦係数、スリップ角又は走行速度の1以上を含む
ことができる。
【0017】タイヤモデル2がリム組みされた状態をシ
ミュレートするためには、図7に示すように、ビードコ
アbcを変位させ、タイヤモデル2のビード外面巾W
が、装着されるリム巾に等しくなるように調節するか、
若しくはタイヤモデル2のリム接触域b、bを移動不能
に拘束しかつ前記ビード外面巾Wをリム巾に等しく強制
変位させること等で行うことができる。また、このとき
タイヤモデル2の仮想のタイヤ回転軸CLと前記リム接
触域bとの間の相対距離r1が常に一定となるように定
義する。なおタイヤモデル2のリム接触域bは装着され
るリムの寸法に応じて適宜定められる。
【0018】またタイヤモデル2に内圧を充填した状態
をシミュレートするには、タイヤモデル2のタイヤ内腔
面にタイヤ内圧に相当する等分布荷重wが作用するよう
に条件を定義する。さらに、タイヤモデル2に縦荷重P
を負荷するには、例えば前記仮想のタイヤ回転軸CL又
は路面モデル14から路面と垂直な垂直荷重Pが作用す
るように条件を定義する。なおタイヤモデル2と路面モ
デル14との間の摩擦係数は、走行させようとする路面
に準じて適宜定義される。以上のように境界条件を定義
することにより、リム組みされかつ所定の内圧を充填さ
れたタイヤが所定の縦荷重Pで路面に押しつけられた接
地状態を、タイヤモデル2と路面モデル14とを用いて
コンピュータ1上にシミュレートすることができる。
【0019】また接地状態において、例えば路面モデル
14を移動不能に固定し、かつタイヤモデル2の仮想の
タイヤ回転軸CLに回転力を与えることにより、路面モ
デル14との間に生じる摩擦力でタイヤモデル2が路面
モデル14を転動走行させる転動シミュレーションを行
うことができる(なおタイヤモデル2を回転自在に支持
し、路面モデル14を移動させることによって転動シミ
ュレーションを行っても良いのは言うまでもない)。設
定した境界条件に基づき、タイヤモデル2を路面モデル
14上で転動させると、タイヤモデル2を構成する各要
素、具体的にはゴム材をモデル化したソリッド要素やコ
ード材をモデル化した膜要素5a、5bは、内圧、縦荷
重及び路面からの反力によって変形し連続的に歪を受け
る。
【0020】例えば図8(A)に示すように、ゴム材を
モデル化した一の要素2fは、タイヤモデル2が路面モ
デル14を1回転(θ=0〜360°)する間に、図8
(B)のように歪が連続的に変化する。これがタイヤモ
デル2の1回転により生じる要素2fの歪の履歴とな
る。なお図8(B)には、横軸にタイヤモデル2の初期
値からの回転角、縦軸に歪の大きさを取っている。
【0021】また各要素に作用する歪は、図3、図4に
示すx軸、y軸及びz軸からなる全体座標系では、それ
ぞれ各軸に沿った引張、圧縮方向の垂直歪εx 、εy 、
εz、及び各方向のせん断方向の歪εxy、εyz、εzxの
合計6成分に分けて計算しうる。またタイヤ座標系で
は、図9に示すように、タイヤ子午線方向に沿う垂直歪
ε11、タイヤ周方向に沿う垂直歪ε22及びタイヤ子午線
方向と直角な厚さ方向に沿う垂直歪ε33を含むととも
に、図10(A)〜(C)に示すように、タイヤ子午線
方向にせん断変形するせん断歪ε12、タイヤ周方向にせ
ん断変形するせん断歪ε23及び前記厚さ方向にせん断変
形するせん断歪ε31の合計6成分に分けて計算すること
ができる。いずれの座標系を選択するかは適宜選択で
き、また一方の座標系で求めた値は、座標変換等の計算
により他方の座標系の値に変換することができる。
【0022】図11、図12には、前記評価対象部Xに
含まれる一の要素2X1について、前記タイヤ座標系を
基準とした前記6成分の歪の履歴をグラフで示す。各グ
ラフは、縦軸に歪、横軸にはタイヤ回転角(0〜360
゜)を示し、180゜の位置を接地中心としている。本
実施形態では、図11〜12に示すように、このような
歪の履歴から、前記各6成分について、歪の最大値と最
小値との差である歪の最大振幅ε11m 、ε22m 、ε33m
、ε12m 、ε23m 及びε31m を計算し、これらの値を
用いてタイヤの耐久性能を評価する(ステップS3)。
【0023】例えばゴム材の耐久性を評価する場合、タ
イヤの1回転において、単に圧縮側又は引張側の個々の
歪の大きさ着目するだけでは十分ではない。また歪エネ
ルギーの総和などを用いて評価することも考えられる
が、この場合、歪の方向の符号によって、圧縮歪と引張
歪が相殺されてしまう場合があり正確な耐久性能を評価
できない場合がある。本発明では、圧縮と引張との双方
を考慮した歪の最大振幅を用いて評価することにより、
より精度良く耐久性能を解析することができる。
【0024】具体的には、タイヤモデル2の評価対象部
Xの一要素2X1について、6成分それぞれで得られた
歪の最大振幅ε11m 、ε22m 、ε33m 、ε12m 、ε23m
及びε31m の総和を求めこれを当該要素の耐久性能を評
価する一パラメータとして用いることができる。また、
評価対象部Xの他の要素それぞれについても、前記6成
分の歪の最大振幅の総和を求める。そしてこれらの総和
を比較することで耐久性能を評価することができる。な
お、歪の最大振幅だけを比較することも勿論可能であ
る。
【0025】表1、図13、図14には、本実施形態の
シミュレーションを行って、タイヤモデル2の前記評価
対象部Xに含まれる3つの要素2Xa、2Xb、2Xc
を用いて耐久性能を解析した結果を示す。各要素2X
a、2Xb、2Xcの位置は、夫々図6(B)に示す通
りである。また耐久性能の比較には、それぞれの要素に
ついて、前記6成分の歪の最大振幅の総和に100を乗
じた評価パラメータEaと、タイヤ周方向にせん断変形
するせん断歪ε23の最大振幅ε23m を用いて行った。い
ずれも、数値が大きいほど耐久性能に不利であることを
示す。また評価パラメータEa、せん断歪の最大振幅ε
23m は、ベルト層BEのベルトコード角度をタイヤ赤道
に対して±11゜、±14゜、±17゜、±20゜及び
±23(±は2枚のベルトプライのベルトコードが交差
していることを意味する。)に変化させたそれぞれのタ
イヤについて計算している。
【0026】
【表1】
【0027】本実施形態のシミュレーションの結果、評
価パラメータEaやタイヤ周方向のせん断歪の最大振幅
ε23m については、ほぼベルトコードのタイヤ赤道に対
する角度を23°に近づけることにより徐々に低減しう
ること、つまりベルト層端部でのルースに関する耐久性
能を向上しうるという結果が得られた。これは実際のタ
イヤを用いたドラム耐久テストの結果とも符合した。な
お、図6(A)に示すように、ベルト層BEの外端をな
す内側のベルトプライB2の外端部に隣接した要素2X
aでは、ベルトコードの角度が増すに従い、評価パラメ
ータEaが増加している。これは、片持ち深状となる端
部の剛性が低下したことによる歪の増加と考えられ、こ
のような変化をシミュレートしていることが確認でき
る。
【0028】このように、本発明のシミュレーション方
法は、上記コンピュータ装置1を用いてタイヤの転がり
抵抗の予測が比較的簡単に行えるため、実際にタイヤを
試作することなく解析しようとするタイヤの大凡の転が
り抵抗を予測しうる。また歪の履歴も静的な接地シミュ
レーションから擬似的に計算しているため、精度をさほ
ど低下させることなくコンピュータの計算処理時間の大
幅な短縮化を図ることができる。
【0029】なお上記実施形態では、評価対象部Xとし
て、ゴム材をモデル化した要素を対象にしたが、繊維複
合材をモデル化した膜要素5a、5bを評価対象部とし
て定めることもできる。この場合、ゴム材と同様に前記
6成分について歪の履歴を求めても良いが、図15に示
すように、タイヤ子午線方向に沿う垂直歪ε11及びタイ
ヤ周方向に沿う垂直歪ε22の2成分で行うことが望まし
い。膜要素の場合には、厚さが小であるため、厚さ方向
に沿う垂直歪ε33は実質的に小さいため無視して考える
ことができ、またせん断歪は生じないためである。
【0030】また前記実施形態では、実際にタイヤモデ
ル2を路面モデル14上で走行させる転動シミュレーシ
ョンにより歪の履歴を得たものを示したが、この方法で
は、一般に計算時間が大となる傾向がある。このため、
例えば前記接地状態でかつ静止したタイヤモデル2から
擬似的に評価対象部Xの要素についての転動時の歪の履
歴を計算することもできる。この方法は、タイヤモデル
2が路面モデル14に静的に接地した状態で受ける歪を
タイヤが負荷転動しているときの一瞬間に受ける動的な
歪と実質的に等しいものとして取り扱う。
【0031】例えば図16には、静的にタイヤモデル2
を路面モデル14に接地させた接地シミュレーションの
側面図を示す。このとき、例えばタイヤ周方向の一方側
へ順次隣り合う要素2f、2g、2h…にはおのおの歪
が作用している。タイヤモデル2は、タイヤ周方向長さ
Sが等しい要素が等分に配されかつ同一断面形状が連続
するようモデル化されているため、例えば図16の状態
での要素2gが受けている歪は、タイヤモデル2が1要
素分回転することにより前記要素2fが要素2gの位置
へ移動したときに受ける歪と実質的に等しいものとみな
すことができる。同様に図16の状態で、要素2hが受
けている歪は、タイヤモデル2が2要素分回転し前記要
素2fが当該要素2hの位置へ移動したときに受ける歪
と実質的に等しいものとみなすことができる。このよう
な仮定に基づいて、タイヤモデル2の静的な接地シミュ
レーションからでも、各要素についての歪の履歴を、タ
イヤ周方向で連続する他の要素の歪を参照することによ
って擬似的に計算することができる。この方法を用いた
ときには、より計算時間を短縮化することができ、さら
に開発期間の短縮かを図ることができる。
【0032】
【発明の効果】上述したように、本発明のシミュレーシ
ョン方法では、評価対象部の歪の履歴を計算し、この歪
の振幅に基づいてタイヤの耐久性能をコンピュータ上で
評価することができるため、実際にタイヤを試作しかつ
実験する工程を低減させることができ、タイヤの開発効
率を向上するのに役立つ。またタイヤモデルは、ゴムを
モデル化したゴム要素とコード材をモデル化したコード
要素とを含んで設定されるため、より実物に近い耐久性
能を精度良くを計算でき、指標として十分な有効性を発
揮できる。
【0033】また、請求項2記載の発明のように、ゴム
材については、タイヤ座標系について6成分の歪の履歴
を計算するときには、より細かに耐久性能を評価するこ
とができる。また請求項3記載の発明のように、歪の履
歴から少なくとも歪の最大振幅を計算する処理を含み、
かつこの歪の最大振幅の大きさ又は総和によって前記評
価対象部の耐久性能を評価することができる。さらに請
求項4記載の発明のように、タイヤモデルにおいて評価
対象部を、非評価対象部よりも小さくモデル化したとき
には、計算時間の大幅な増大を招くことなく精度の良い
解析結果を得るのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシミュレーション方法を実施するため
のコンピュータ装置の構成図である。
【図2】本発明のシミュレーション方法の処理手順の一
例を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態で用いたタイヤモデルを視覚化して
示す斜視図である。
【図4】その断面図である。
【図5】繊維複合材の要素へのモデル化を示す概念図で
ある。
【図6】(A)はタイヤの部分断面図、(B)はその部
分に相当するタイヤモデルを視覚化して示す部分断面図
である。
【図7】タイヤモデルのリム組み条件を例示する断面図
である。
【図8】(A)はタイヤモデルの転動シミュレーション
の側面図、(B)は歪の履歴を説明するグラフである。
【図9】タイヤモデルの部分斜視図及びその1要素の拡
大図である。
【図10】ソリッド要素の歪を説明する要素の斜視図で
ある。
【図11】(A)〜(C)は、要素2X1の垂直歪の履
歴を示すグラフである。
【図12】(A)〜(C)は、要素2X1のせん断歪の
履歴を示すグラフである。
【図13】シミュレーション結果を示し、耐久性能を示
す評価パラメータとベルトコード角度との関係を示すグ
ラフである。
【図14】シミュレーション結果を示し、耐久性能を示
すせん断歪の最大振幅とベルトコード角度との関係を示
すグラフである。
【図15】膜要素の歪を説明する要素の斜視図である。
【図16】タイヤモデルの接地シミュレーションから歪
の履歴を計算する方法を説明するの側面図である。
【符号の説明】
2 タイヤモデル 2a、2b… 要素 e1 ソリッド要素 5a、5b 膜要素 X 評価対象部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンピュータを用いてタイヤの数値解析を
    行うタイヤのシミュレーション方法であって、 ゴム材と、カーカス、ベルトを含む繊維複合材と、非伸
    張性のビードコアとが数値解析が可能な要素でモデル化
    されたタイヤモデルを設定するステップと、 少なくとも予め設定されたタイヤモデルの評価対象部に
    ついて、境界条件に基づき前記タイヤモデルの1回転に
    より生じる歪の履歴を計算するステップと、 前記歪の履歴に基づいてタイヤの耐久性能を評価する評
    価ステップとを含むことを特徴とするタイヤのシミュレ
    ーション方法。
  2. 【請求項2】前記評価対象部が、前記ゴム材をモデル化
    した要素を含み、 かつ前記歪が、タイヤ子午線方向の垂直歪とせん断歪、
    タイヤ周方向における垂直歪とせん断歪、及びタイヤ子
    午線方向と直角な厚さ方向における垂直歪とせん断歪と
    の6成分を含むことを特徴とする請求項1記載のタイヤ
    のシミュレーション方法。
  3. 【請求項3】前記評価ステップは、前記歪の履歴から少
    なくとも歪の最大振幅を計算する処理を含み、かつこの
    歪の最大振幅の大きさ又は総和によって前記評価対象部
    の耐久性能を評価することを特徴とする請求項1又は2
    に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  4. 【請求項4】前記評価対象部は、非評価対象部よりも小
    さくモデル化されてなる請求項1乃至3のいずれかに記
    載のタイヤのシミュレーション方法。
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