JP2002059824A - 鉄道車両の個室における展望確保方法 - Google Patents

鉄道車両の個室における展望確保方法

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JP2002059824A
JP2002059824A JP2000252605A JP2000252605A JP2002059824A JP 2002059824 A JP2002059824 A JP 2002059824A JP 2000252605 A JP2000252605 A JP 2000252605A JP 2000252605 A JP2000252605 A JP 2000252605A JP 2002059824 A JP2002059824 A JP 2002059824A
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JP2000252605A
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Takeshi Kimura
武史 木村
Kazuhiro Machida
和弘 町田
Atsushi Iizawa
篤志 飯沢
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Jisedai Joho Hoso System Kenkyusho KK
Original Assignee
Jisedai Joho Hoso System Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄道車両において、車両の長手方向に沿って
通路を設ける必要のある個室車両について、列車の進行
方向における両側の車窓風景を展望することができるよ
うな、鉄道車両の個室における展望確保方法を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 車両1の車両横断面の左右いずれかの片
側に通路3を配置し、通路3の上部空間が個室7空間の
一部として含まれるように個室7を形成する。個室7の
壁面を構成する車両外壁の両側面1a,1bに展望窓9
a,9bを配置して、車両の進行方向における両側の展
望を確保する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、世の中全体がますますパーソナル
指向になるなかで、鉄道などの公共交通機関の車両にあ
っても、個室に対するニーズが高まってきている。
【0003】ここで、従来の鉄道車両の個室としては、
次のようなものがある。
【0004】(1)個室の片側が通路に面していて通路
側には窓がなく、片側の展望しか利かないもの。カシオ
ペア、北斗星などに見られる客車寝台の個室の大部分、
サンライズエクスプレスの電車寝台の個室、ツバメ型車
両のグリーン個室、などにこのタイプの例がある。
【0005】(2)個室の片側が通路に面していて通路
側に窓があるが、通路の向こう側には窓がなかったり個
室があったりして展望が利かないもの。トワイライトエ
クスプレスのA寝台個室やセミコンパートメント、新幹
線 100系の個室、新幹線 700系レールスターのセミコン
パートメント、などにこのタイプの例がある。
【0006】(3)編成端部などの特殊な位置に限っ
て、個室両側の展望がひらけているもの。カシオペア、
トワイライトエクスプレスの編成端部の個室寝台にこの
タイプの例がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の鉄道車両の個室にあっては、車両の長手方向に沿って
通路を確保する必要があるから、例えば上記(3)で開
示した編成端部等の特殊な位置に限って個室両側の展望
がきくといった例外を除いて、車両の進行方向片側の車
窓風景しか展望できないのが実情であった。
【0008】本発明はこうした実情に鑑みてなされたも
ので、車両の長手方向に沿って通路を設ける必要のある
個室車両において、列車の進行方向における両側の車窓
風景を展望することができるような鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を提供することを目的とする。
【0009】ところで、公知技術ではないが、本件出願
人は、例えば特願平11−075870号「チケット保
守情報提供システム、保守情報フィルタリング方法、受
信装置」において、列車が通過する沿線から列車の乗客
に向けて「ここでこんなイベントを行なっているので、
進行方向右側の車窓から是非ごらんください。」といっ
たナローキャスト的な情報提供サービスを提案してい
る。ところが、鉄道車両の個室化が進んだ場合、上述の
如く従来技術では片側の車窓風景しか展望できないの
で、このような情報提供サービスを行なったとしても、
アナウンスした風景を車窓を通して望める保証はないと
いった問題を生じてくる。
【0010】そこで、本発明の他の目的は、車窓から展
望できる様々な対象物について、関連する情報を提供す
るシステムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に係る本発明の鉄道車両の個室における展望
確保方法は、鉄道車両の車両横断面の左右いずれかの片
側に通路を配置し、前記通路の上部空間が個室空間の一
部として含まれるように個室を形成すると共に、前記個
室の壁面を構成する車両外壁の両側面に展望窓を配置し
て、車両の進行方向における両側の展望を確保すること
を特徴としている。
【0012】請求項1に記載の方法では、車両の通路の
天井より上の空間を個室空間として利用することとし
た。こうして個室は車両の左側壁から右側壁までわたる
スペースを含むものとして提供される。従って、個室内
において左側壁と右側壁との両側の車両の外壁面に展望
窓を配置することで車両の進行方向における左右両側の
展望を確保する。
【0013】請求項1に記載の方法によれば、通路と個
室との配置デザインを工夫することで、個室内には車両
の進行方向に対して左右両側に展望窓を設けることがで
き、これにより左右両側の展望を確保することができ
る。
【0014】請求項1に記載の方法においては、通路と
個室との配置デザインを工夫して、個室内の左右に展望
窓を設けることができるようにした。しかしながら、通
路は乗客及び乗務員が歩行するためのスペースであるか
ら、その性質上ある程度の高さを確保しておかなければ
ならない。そうだとすると、通路の天井の上部空間を個
室用に利用するにしても、その上部空間は必然的に車両
横断面中の比較的高い箇所に位置することとなる。
【0015】従って、請求項2に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法は、請求項1に記載の鉄道車両の
個室における展望確保方法において、前記個室内の座席
の設置高さを前記通路の床面の高さよりも高くして、前
記個室内の座席に着座した乗客の視線高さと前記展望窓
の高さとをほぼ一致させて、車両の進行方向における両
側の展望を確保することを特徴としている。
【0016】請求項2に記載の方法では、個室内の少な
くとも乗客の座る座席(シート)の高さを高く設置する
ことで、座席に着座した乗客の視線高さを高くして、通
路を構成する構造要素に妨げられることなしに、両側の
展望窓からの展望を確保することとした。
【0017】請求項2に記載の方法によれば、個室内の
座席の設置高さを通路の床面高さよりも高くすること
で、通路の天井面よりも上方に配置されている個室内の
展望窓の高さと座席に着座した乗客の視線高さとが一致
するようにしたので、乗客は両側の展望窓を通して左右
の風景を展望することができる。
【0018】なお、本請求項においては、座席に着座し
た乗客の視線高さと展望窓の高さとが一致すれば所望の
目的を達成することができるので、座席自体は個室の床
面に固着的に設置することは必要的ではなく、例えば、
風景を展望したい場合にのみ座席を上昇させることがで
き、通常は座席を降下させた状態にするような昇降式の
座席の構成をとることもできる。
【0019】これに対して、請求項3に記載の鉄道車両
の個室における展望確保方法は、請求項1に記載の鉄道
車両の個室における展望確保方法において、前記個室の
床面の高さを前記通路の床面の高さよりも高くして、前
記個室内の座席に着座した乗客の視線高さと前記展望窓
とをほぼ一致させて、車両の進行方向における両側の展
望を確保することを特徴としている。
【0020】請求項3に記載の方法では、個室の床面自
体を高くすることで、座席に着座した乗客の視線高さと
展望窓の高さとを一致させるようにした。
【0021】請求項3に記載の方法によれば、個室の床
面自体を通路の床面高さよりも高くすることで、通路の
天井面よりも上方に配置されている個室内の展望窓の高
さと座席に着座した乗客の視線高さとが一致するように
したので、乗客は両側の展望窓を通して左右の風景を展
望することができる。
【0022】また請求項4に記載の鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法は、鉄道車両の車両横断面の左右いず
れかの片側に通路を配置し、前記車両横断面における前
記通路とは反対の側に個室を配置し、個室内の座席に着
座した乗客の視線高さから前記車両の両側の風景が見え
るように、前記個室の壁面を構成する車両一方の外壁
と、前記個室と前記通路とを仕切る隔壁と、前記通路の
壁面を構成する車両の他方の外壁と、のそれぞれに第
1,第2,第3の展望窓を配置すると共に、前記通路を
通行する人からは前記第2の展望窓を通して前記個室内
が見えないようにして、車両の進行方向における両側の
展望を確保することを特徴としている。
【0023】請求項4に記載の方法では、車両の左右両
方の外壁に展望窓を設けると共に、通路と個室とを仕切
る隔壁にも展望窓を設けることで、個室内から隔壁の展
望窓を通して通路側の風景の展望を確保した。具体的に
は、まず個室の空間に直接面している側の車両の外壁に
は第1の展望窓を設けてごく普通に車窓風景の展望がで
きるように確保することとし、次に、個室と通路とを仕
切る隔壁には第2の展望窓を設けて個室内から通路側を
見通せるようにすると共に、通路の壁面に相当する個室
と反対側の車両の外壁には第3の展望窓を設けて、個室
内から第2の展望窓と第3の展望窓とを順次通して通路
方向の展望を確保するようにした。第2の展望窓と第3
の展望窓の設置位置及び寸法は、個室内の座席に着座し
た乗客の視線高さから通路方向の車窓風景が展望できる
ように設計する。
【0024】請求項4に記載の方法においては、車両の
左右両方の外壁に展望窓を設けると共に、通路と個室と
を仕切る隔壁にも展望窓を設けることで、個室内から隔
壁の展望窓を通して通路側の風景の展望を確保した。し
かしながら上述の如く、通路は乗客及び乗務員が歩行す
るためのスペースであるから、通路を通行する不特定多
数の者から個室内を覗かれるおそれがある。
【0025】すなわち、個室と通路を仕切る隔壁に第2
の展望窓を設けることで個室内のプライバシーが十分に
守られないおそれがあるので、通路を通行する人からは
隔壁に設けた第2の展望窓を通して個室内が見えないよ
うにすることが要請されることになる。そのためには、
第2の展望窓にカーテンを設けたり、ブラインドやロー
ルスクリーンを設けて個室内の乗客が自由に開閉できる
ようにするのが最も簡易かつ低コストの目隠し手段であ
る。なお、ブラインドを用いた目隠し手段のなかには、
ブラインドの羽根を展望確保可能な例えば水平方向に調
整する一方で、この水平方向にブラインドの羽根が調整
されているとき、個室内へ向かっての不特定多数の者の
視線は遮られるといったような、乗客と不特定多数の者
との間におかれた視線角度差を活用した手段も含まれ
る。個室の乗客は、通路側の車窓風景が見たいときにの
みカーテンやブラインドを開放すれば良く、睡眠中や読
書中などに他人から見られたくないときにはこれらを閉
じればよい。また、ハイグレードの車両にあっては、よ
り技術的に進歩した手段を設けることもできる。例え
ば、通路には人の存在を検出するセンサを設置しておく
と共に、第2の展望窓のガラスとして、液晶を内蔵した
透明/不透明の状態を電気的に切換えられるようなもの
を採用すれば、センサが人の通行を検出したときにだけ
通路に面した第2の展望窓のガラスを自動的に不透明な
状態に切換えるようなことも実現可能である。また、同
様なセンサと電動作動するブラインドとを組合わせて、
人が通行したときにのみブラインドの傾斜角度を閉じる
方向に自動駆動して、通路から人が去るとブラインドを
開く方向に復帰させるようなことも実現可能である。も
ちろん、このような高度な自動化システムにあっては、
個室内の乗客の手により各種の動作モードを選択できる
ようにすることが望ましく、例えば是非とも見たい風景
が通路側にあるときにはかかる装置の自動遮光動作を禁
止したり、逆に、仮眠をとりたい時などは人の通行とは
関わりなく常に遮光状態に設定したりすることができる
とよい。
【0026】請求項4に記載の方法によれば、個室と通
路との間の隔壁に第2の展望窓を設けて個室内から通路
側を見通せるようにすると共に、通路の壁面にあたる車
両の個室とは反対側の外壁には第3の展望窓を設けるよ
うにしたので、個室内から第2の展望窓と第3の展望窓
とを通することで通路側方向の車窓風景の展望を確保す
ることができる。
【0027】請求項4に記載の方法の説明においては、
自動的に作動する視線遮断手段を設けるような例につい
ても言及したが、実際の低料金の個室においては高コス
トの設備を備えることは事実上難しい。
【0028】そこで、請求項5に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法は、請求項4に記載の鉄道車両の
個室における展望確保方法において、前記個室内の座席
の設置高さを前記通路の床面の高さよりも高くして、前
記個室内の座席に着座した乗客の視線高さと前記展望窓
とをほぼ一致させつつ、前記通路を通行する人の視線高
さと少なくとも前記第2の展望窓の高さとが一致しない
ようにし、車両の進行方向における両側の展望を確保す
ることを特徴としている。
【0029】請求項5に記載の方法では、個室内の少な
くとも乗客の座る座席(シート)の高さを高く設置する
と共に少なくとも第2の展望窓を高く設置することで、
通路を歩行する人の視線高さからは個室内を覗くことが
できないようにした。
【0030】請求項5に記載の方法によれば、個室内の
座席の設置高さを通路の床面高さよりも高くすること
で、個室内の座席に着座した乗客の視線高さからはその
高さに一致して設けられている第2の展望窓を通して通
路側方向の車窓風景を展望できるようにすると共に、通
路を歩行する人にとっては第2の展望窓は高すぎる位置
に設けられていることとなり、個室内を覗き見ることは
できなくなって、個室内のプライバシーを十分に守るこ
とができる。
【0031】なお、本請求項においては、座席に着座し
た乗客の視線高さと展望窓の高さとが一致すれば所望の
目的を達成することができるので、座席自体は個室の床
面に固着的に設置することは必要的ではなく、例えば、
風景を展望したい場合にのみ座席を上昇させることがで
き、通常は座席を降下させた状態にするような昇降式の
座席の構成をとることもできる。
【0032】これに対して、請求項6に記載の鉄道車両
の個室における展望確保方法は、請求項4に記載の鉄道
車両の個室における展望確保方法において、前記個室内
の床面の高さを前記通路の床面の高さよりも高くして、
前記個室内の座席に着座した乗客の視線高さと前記展望
窓とをほぼ一致させつつ、前記通路を通行する人の視線
高さと少なくとも前記第2の展望窓の高さとが一致しな
いようにし、車両の進行方向における両側の展望を確保
することを特徴としている。
【0033】請求項6に記載の方法では、個室の床面自
体を高くすることで、個室内の座席に着座した乗客の視
線高さと第2の展望窓の高さとを一致させつつ、通路を
通行する人の視線高さと少なくとも第2の展望窓の高さ
とが一致しないようにした。
【0034】請求項6に記載の方法によれば、個室内の
座席に着座した乗客の視線高さと展望窓とを一致させ、
しかも通路を通行する人の視線高さと少なくとも第2の
展望窓の高さとが一致しないようにしたので、個室内の
乗客は通路を通行する人から個室内を覗かれるおそれな
しに、第2の展望窓を通して通路側方向の車窓風景を十
分に展望し満喫することができる。
【0035】これとは反対に、請求項7に記載の鉄道車
両の個室における展望確保方法は、請求項4に記載の鉄
道車両の個室における展望確保方法において、前記個室
内の床面の高さを前記通路の床面の高さよりも低くし
て、前記個室内の座席に着座した乗客の視線高さと前記
展望窓とをほぼ一致させつつ、前記通路を通行する人の
視線高さと少なくとも前記第2の展望窓の高さとが一致
しないようにし、車両の進行方向における両側の展望を
確保することを特徴としている。
【0036】請求項7に記載の方法では、個室の床面を
低くすることで、個室内の座席に着座した乗客の視線高
さと第2の展望窓の高さとを一致させつつ、通路を通行
する人の視線高さと少なくとも第2の展望窓の高さとが
一致しないようにした。
【0037】請求項7に記載の方法によれば、個室内の
座席に着座した乗客の視線高さと展望窓とを一致させ、
しかも通路を通行する人の視線高さと少なくとも第2の
展望窓の高さとが一致しないようにしたので、個室内の
乗客は通路を通行する人から個室内を覗かれるおそれな
しに、第2の展望窓を通して通路側方向の車窓風景を十
分に展望し満喫することができる。
【0038】さらに請求項8に記載の鉄道車両の個室に
おける展望確保方法は、鉄道車両の少なくともボギー台
車間の車両横断面を上下2層構造とし、下層に通路を配
置して、上層には車両外壁の両側面にわたる個室空間を
もった個室を形成すると共に、前記個室の壁面を構成す
る車両外壁の両側面に展望窓を配置して、車両の進行方
向における両側の展望を確保することを特徴としてい
る。
【0039】請求項8に記載の方法では、前後のボギー
台車間の横断面つまり概ほぼ台車の高さだけ車体の底面
を低く設計することができる部分において、車両の横断
面を上下2層構造とした。2層構造自体は一部の寝台車
や2階建新幹線車両によって公知である。しかし本請求
項では、特に下層に通路を配置すると共に、上層に個室
空間を配置することとした。さらに個室は車両外壁の両
側面にわたるような個室空間をもつように限定した。す
なわち個室は車両の左側壁から右側壁までわたるスペー
スを含むものとして提供される。従って、個室内におい
て左側壁と右側壁との両側の車両の外壁面に展望窓を配
置することが可能となって車両の進行方向における左右
両側の展望が確保される。
【0040】請求項8に記載の方法によれば、車両の内
部空間の高さが十分に確保できる少なくともボギー台車
間の車両横断面を上下2層構造とし、下層には通路を、
上層には個室を、それぞれ配置するように車両のデザイ
ンを工夫することで、車両外壁の両側面にわたる個室空
間をもった個室を形成することができるようになって、
そのため個室内には車両の進行方向に対して左右両側に
展望窓を設けることができ、これにより左右両側の展望
を確保することができる。
【0041】請求項8に記載の方法においては、上層の
空間は個室として占有されることとなるが、下層の空間
については少なくとも通路を確保する必要はあるものの
通路として必要な空間の幅はそれほど大きくないので、
下層の空間の残りの部分についての具体的な利用方法を
検討しておくことは有効であるといえる。
【0042】そこで、請求項9に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法は、請求項8に記載の鉄道車両の
個室における展望確保方法において、前記下層における
前記通路以外の空間を上層の個室と連通させ、前記上層
の個室と合わせてメゾネット形式の個室を形成して、少
なくとも個室の上層空間では車両の進行方向における両
側の展望を確保することを特徴としている。
【0043】請求項9に記載の方法では、下層の通路以
外の空間を上層の個室と一体的に利用してメゾネット形
式の個室を形成するようにした。メゾネット形式の個室
の上層部分については、請求項8に記載したように、車
両の左側壁から右側壁までわたるスペースを含むものと
して個室空間が提供され、しかも上層空間においては、
個室内において左側壁と右側壁との両側の車両の外壁面
に展望窓を配置するので、車両の進行方向における左右
両側の展望が確保される。従って、メゾネット形式の個
室の上層部分はいわば展望室的に利用することができる
ように、ゆったりとした座席を配置するとよく、一方、
下層部分には例えば机を配置して車内で仕事のできる書
斎的な空間にすること等が想定される。
【0044】請求項9に記載の方法によれば、車両を上
下2層構造に構成し、上層空間の全体を個室として確保
すると共に、下層の通路以外の空間は上層の個室空間と
連通させてメゾネット形式とすることでハイグレードの
個室を提供することができる。ここでメゾネット形式の
個室の上層部分は車両の左側壁から右側壁までわたるス
ペースを含むものとして提供され、しかも個室内におい
て左側壁と右側壁との両側の車両の外壁面には展望窓を
配置する。従って、この上層部分は線路からの高さが高
いことと相俟って、両側に設けた展望窓からゆったりと
且つ広々と車窓風景を見渡すように眺めながらくつろぐ
ためのいわば展望室的に利用することができる。また、
荷物の収納スペース(クロゼット)などは下層部分に配
置することができるので、可及的に上層の空間を広々と
確保することができる。
【0045】一方請求項10に記載の鉄道車両の個室に
おける展望確保方法は、請求項8に記載の鉄道車両の個
室における展望確保方法において、前記下層における前
記通路以外の空間を両側展望のできない独立した個室と
して利用することを特徴としている。
【0046】請求項10に記載の方法では、下層におけ
る通路以外の残りの空間の部分について、片側しか展望
のできない独立した個室として利用することとした。本
発明の基本的な目的は、車両の進行方向における左右両
側の展望を確保することにあるが、個室を利用する乗客
は、必ずしも「他人に邪魔のされないゆったりとくつろ
げるプライベートな空間の中で車窓風景を眺めながら旅
の楽しみを満喫したい」といった乗客ばかりに限られる
わけではなく、むしろ多忙なビジネスマンのように「静
かな個室の中でパソコンを使用して乗車中に仕事の文書
を作成したい」というような、あまり車窓風景には関心
を示さない利用客も存在する。従って、車両の下層の空
間を有効に利用するという観点からすれば、片側しか展
望できない個室を設けることを排除する必要はなく、そ
のような個室であっても乗客のニーズはある。さらに、
このような片側にしか展望窓を設けることができない個
室にあっては、後述する請求項12以下に記載した方法
を採用することで、実質的に両側方向を展望可能な個室
にすることもできる。
【0047】請求項10に記載の方法によれば、下層に
おける通路以外の残りの空間の部分については片側しか
展望できない独立した個室として利用することとしたの
で、車両内の下層の空間を有効に利用することができ
る。従って、乗客の要望や予算に応じて1両の車両中に
複数のバリエーションの個室を提供することが可能とな
って、多様化するニーズに対応することができる。しか
も、このような下層の個室にあっても請求項12以下に
記載した方法と組合わせることで、車両の進行方向にお
ける両側の展望を確保することができるようになる。
【0048】また請求項11に記載の鉄道車両の個室に
おける展望確保方法は、請求項8に記載の鉄道車両の個
室における展望確保方法において、前記下層における前
記通路以外の空間を前記車両の運行に必要な設備のため
の空間として利用することを特徴としている。
【0049】請求項11に記載の方法では、下層におけ
る通路以外の残りの空間の部分について、車両の運行に
必要な設備のための空間として利用することとした。当
然ではあるが、車両には車両の性質に応じて必要な設備
がある。新幹線のように電気で走行する車両であればモ
ータやチョッパその他の電装機器が必要になるのは当然
としても、自力走行のできないタイプのディーゼル機関
車で牽引される寝台車のような車両にあっても、各車両
にはブレーキ装置が必要になるし、冷暖房の空調機器
や、洗面所や便所のための清水タンクや汚水タンクと給
排水設備、車内の電源としてディーゼル発電機、食堂車
があれば食品の冷蔵設備など、車両の種類に応じた種々
の設備が必要になる。車両によっては、乗客を乗せる以
外に貨物類の運搬をも付随的な目的としていることが想
定され、そのような場合には倉庫のための空間として活
用することもできる。本請求項においては、このような
車両の運行に必要な設備を配置するための空間として下
層における通路以外の空間を有効に活用することとし
た。
【0050】請求項11に記載の方法によれば、上下2
層構造の車両の下層における通路以外の残りの空間の部
分については車両の運行に必要な設備を配置するための
空間として利用することとしたので、車両内の制約され
た空間を総合的な観点から有効に利用することができ
る。特に、個室を備えた車両は一般的に長距離かつ長時
間の運行をする車両であると考えられるから、洗面室や
便所、シャワー室を必要としたり食堂車を含んだりする
ことになり、例えば山の手線のような都心の電車とは異
なった性質の大容積の設備を搭載しなければならないこ
とが多く、本請求項が請求項8に従属していること、つ
まり車両を上下2層構造として上層を個室空間として占
有することを前提にしていることを考慮すれば、このよ
うな下層の利用方法はきわめて現実的な選択であるとい
える。
【0051】請求項1乃至11においては車両内におけ
る個室の配置を工夫することで車両の進行方向における
左右両側の車窓風景を展望できるような方法を提案し
た。しかしながら、これらの方法は比較的大きな個室空
間を要求するので、ハイグレードの個室として採用する
にはきわめて効果的ではあっても、低運賃の個室として
使用することはコスト的に難がある。さらに例えば請求
項10に記載したような片側しか展望することができな
い個室が1両の車両内に併存することも有り得る。従っ
て、請求項12以下においては、他の観点からのアプロ
ーチによって、車両の進行方向における左右両側の展望
を確保するという本発明の目的を達成することとした。
【0052】すなわち、請求項12に記載の鉄道車両の
個室における展望確保方法は、鉄道車両の車両横断面の
左右いずれかの片側に通路を配置し、前記車両の横断面
における前記通路とは反対の側に個室を配置し、前記個
室の壁面を構成する車両外壁の一方の側面には展望窓を
配置して当該側方向の展望を確保すると共に、他の側方
向の展望を確保すべく、前記他の側方向の展望を撮影す
る撮影カメラを前記車両に備えると共に、前記個室内に
は前記撮影カメラによる前記他の側方向の撮影展望画像
を表示するための表示手段を備えて、車両の進行方向に
おける両側の展望を確保することを特徴としている。
【0053】請求項12に記載の方法では、個室内から
は通路側の車窓風景が展望できないような車体構造を主
として想定しつつ、通路側の展望を撮影する撮影カメラ
を車両に取付けて、個室内のTV受像機などの表示手段
の画面上にていわば間接的に通路側の展望を見るように
した。
【0054】この場合、個室内から直接には展望できな
い通路側に撮影カメラを取付けることはいうまでもない
が、車両毎に通路の配置が右側だったり左側だったりと
異なる構造になっている場合には、左右両側に1台ずつ
撮影カメラを取付ければよい。一般的には通路の配置は
右側か左側かのいずれかに統一されていることが多いの
で、1台の撮影カメラを設置すれば十分である。ところ
が、近年の乗客のニーズの高まりによって、例えばJR
のカシオペア号(登録商標)のように、既にすべての個
室にTV受像機が標準的に装備されるに至っているとい
う現状があり、他方において、小型で高性能のCCDカ
メラがきわめて安価で入手可能になっているという実情
をも考慮すると、撮影カメラは各個室に1台ずつ割当て
るように取付けるという選択枝もさほど非現実的なもの
とはいえなくなってきている。各個室にそれぞれ専用の
CCDカメラを装備するようにすれば、個室内から撮影
カメラをリモコン操作して遠くの対象物をズームアップ
させたり、見たい方向にパンさせたりと、個室内の乗客
は自由自在に希望する展望風景を既設のTV受像機の画
面上で展望することも可能になる。しかも近年のCCD
カメラの性能向上は著しく、夜景を撮影するのに耐え得
るほどの高感度になっている。この方向で考えると、ガ
ラス窓が設けられていて直接外界を展望できるような方
向にまでもCCDカメラを取付けることは、ある意味で
魅力的である。残念ながら現時点ではVTR録画装置を
備えた個室というのは存在しないようではあるが、小型
のハンディータイプのビデオ撮影カメラは普及してお
り、これらのビデオカメラには外部入力端子が装備され
ている。従って、旅の記録をビデオに記録して残したい
と望むような乗客にとっては、従前は窓ガラス越しに外
界の風景をビデオカメラで撮影するしかなく、車室内の
様子までが窓ガラスで反射して写り込んだり、走行中の
車室内で長時間にわたってカメラを構えるのは疲労を伴
う作業であったが、車両自体に装備されたCCDカメラ
からの撮影画像を直接ハンディーカメラの入力端子に接
続することができるとすれば、これらの問題点は解消し
て高品位の画像を労せずして録画することができる。
「○○本線から見た車窓風景」のような長編ビデオ録画
記録を簡単に得られるのである。しかも、前述した如
く、車両に取付けた撮影カメラがリモコンで操作できる
ものだとすれば、とりわけ鉄道マニアにとってはたまら
なく魅力的なものとなるであろう。
【0055】請求項12に記載の方法によれば、通路に
遮られて個室内からは通路側の車窓風景が展望できない
ような車体構造の車両にあっても、通路側の展望を撮影
する撮影カメラを車両に取付けて、個室内のTV受像機
などの表示手段の画面上にて通路側の展望を見るように
したので、表示手段の画面を通したいわば間接的な展望
ではあるものの、従来は見ることのできなかった通路側
方向の車窓風景を十分に展望し満喫することができる。
【0056】請求項13に記載の鉄道車両の個室におけ
る展望確保方法は、請求項12に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法において、前記鉄道車両を編成す
る少なくとも一部の車両に当該車両専用の前記撮影カメ
ラを備え、車両の進行方向における両側の展望を確保す
ることを特徴としている。
【0057】請求項13に記載の方法では、車両にその
車両専用の撮影カメラを備えることとして、当該車両に
属する個室内の表示手段へ撮影カメラからの撮影展望画
像を伝送するようにした。なお、列車の編成中に個室車
両と一般車両とが混在している場合には撮影カメラは個
室車両だけに備えれば良い。また、グレードの異なる個
室車両が混在した車両編成においては、TV受像機等の
表示手段を備えた個室であって通路側の車窓風景を表示
できるような要請を満たすレベルのグレードの個室の存
在する車両のみに撮影カメラを設ければよい。また、個
室のグレードに応じて取付ける撮影カメラの種類を異な
るものとすることもでき、例えばハイグレードの個室を
含む車両には高感度CCDカメラを取付けるようなこと
もできる。
【0058】請求項13に記載の方法によれば、編成を
構成する車両毎に通路の左右の配置が異なる場合や、列
車の編成の少ない台数の車両のみが個室車両になってい
るような場合において、必要のある車両だけに撮影カメ
ラを備えることができると共に、個室のグレードに対応
させて機能の異なる撮影カメラを装備することも可能に
なって、撮影風景画像の提供方法にバリエーションを付
けるなどの応用が可能になる。また、列車編成中の1両
の車両のみに撮影カメラを装備する場合には、編成の各
車両に撮影風景画像を伝送するケーブルなどの伝送系統
が必要となるが、必要な車両であって必要な方向のみに
専属の撮影カメラを装備すればそのような不都合を解消
することができる。
【0059】これに対して、請求項14に記載の鉄道車
両の個室における展望確保方法は、請求項12に記載の
鉄道車両の個室における展望確保方法において、前記鉄
道車両を編成するいずれかの1両の車両にだけ前記撮影
カメラを備え、その撮影展望画像を各車両の前記個室の
前記表示手段へと伝送して、車両の進行方向における両
側の展望を確保することを特徴としている。
【0060】請求項14に記載の方法では、編成中のい
ずれかの1両の車両だけに撮影カメラを備えることとし
て、その撮影展望画像をすべての個室の表示手段へ伝送
することとした。従って、撮影カメラの必要台数が少な
くてすみ、具体的には、旅客車両のすべての通路が右側
又は左側のいずれか一方に統一されているような車両編
成にあっては、通路側方向の展望を撮影すべく1台の撮
影カメラを設ければよく、また、通路の配置が左右に混
在しているような場合であっても左右に1台ずつの合計
2台の撮影カメラを設置するだけで足りる。
【0061】請求項14に記載の方法によれば、撮影カ
メラの必要台数が1台又は2台あれば十分であって撮影
カメラの台数が少ないだけ、コストダウンを図ることが
できる。
【0062】もっとも、請求項14に記載の方法におい
ては、例えば先頭車両に撮影カメラを取付けた場合に
は、後方の車両の個室内においては、表示手段の表示画
面上に先頭車両から見た車窓風景が表示されることにな
るので、乗客にとってはいわばこれから見えるはずの未
来の風景を先取りして展望することになってしまう。従
って、個室内から当該方向の風景が全く見えない場合に
は特段の違和感を与えないものの、個室のドアに窓が設
けられていたりして、たとえ狭い範囲ではあっても通路
側の車窓風景を直接目視できるような場合においては、
表示手段に表示された車窓風景が、その数秒後になって
から実際に見えることになって不自然な印象を与えるお
それがある。このような不都合は編成中の中央の車両に
撮影カメラを取付けることで相当程度に抑えることがで
きる。しかし、この場合には先頭付近の車両の乗客にと
っては、目視した風景が遅れて表示されることになり、
根本的な解決策であるとはいい難い。
【0063】そこで、請求項15に記載の鉄道車両の個
室における展望確保方法は、請求項14に記載の鉄道車
両の個室における展望確保方法において、前記鉄道車両
を編成する先頭の車両にだけ前記撮影カメラを備え、前
記各個室の前記表示手段にあっては前記先頭車両からの
通過時刻の差に合わせて遅延させた前記撮影展望画像を
表示して、車両の進行方向における両側の展望を確保す
ることを特徴としている。
【0064】請求項14に記載の方法では、上述したタ
イムラグを解消するために撮影展望画像の表示タイミン
グを遅延させることとした。そのためには、先頭の車両
に取り付けた撮影カメラで撮影された撮影展望画像が各
個室に伝送されてきたときに、各個室の表示手段におい
て、先頭の車両がある地点を通過してから自己の乗車す
る個室が同一地点を通過するまでに要する通過時刻の差
だけ撮影展望画像の表示タイミングを遅延させればよ
い。
【0065】請求項14に記載の方法によれば、撮影カ
メラは先頭の車両に1台だけ取付ければよいので、カメ
ラ設備に要するコストを低廉化することができる。しか
も、撮影展望画像の表示タイミングを遅延させること
で、先頭付近の車両から見える車窓風景と後続車両から
見える車窓風景とのタイムラグを解消するようにしたの
で、肉眼で目視した展望と表示手段上に表示される展望
との間に時間差が生じて違和感を与えることはなくなっ
て、自然な車窓風景の展望を表示手段の画面上にて表示
することができる。
【0066】他方、請求項16に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法は、鉄道車両の車両横断面の左右
いずれかの片側に通路を配置し、前記車両横断面の前記
通路とは反対の側に個室を配置し、前記個室の壁面を構
成する車両外壁の一方の側面には展望窓を配置して当該
側方向の展望を確保すると共に、他の側方向の展望を確
保するために、前記他の側を含む方向の展望を事前に記
録しておいた記録展望画像を再生すべく、前記記録展望
画像の保存された画像再生手段を前記車両の現在走行位
置に同期するように再生動作させ、前記個室内には前記
画像再生手段が再生した前記他の側方向の記録展望画像
を表示するための表示手段を備えることで、車両の進行
方向における両側の展望を確保することを特徴としてい
る。
【0067】請求項16に記載の方法では、通路に妨害
されて見えない側の展望を、事前に撮影ないし作成する
などしてVTRなどのような画像記録手段に記録してお
き、この記録展望画像を車両の現在の走行位置に対応す
るように同期的に再生させて、個室内の表示手段に表示
するようにした。
【0068】請求項16に記載の方法によれば、表示手
段に表示されるのは前もって記録された記録展望画像で
あるから、例えば夜間や悪天候にあっても昼間ならば見
えたであろう車窓風景を展望することが可能になる。従
って、同一の路線を常用するような乗客にとっては、た
とえ夜間であっても表示手段を見ることで、だいたいど
の辺を走行しているのかを把握することができると共
に、特に家族旅行のように子供が車窓風景を展望したい
にもかかわらず、条件が悪くて外界が良く見えないよう
な場合においては、表示手段の画面上で車窓風景を展望
させて子供をなだめることができる。
【0069】ここで請求項17に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法は、請求項16に記載の鉄道車両
の個室における展望確保方法において、前記鉄道車両を
編成するいずれかの1両の車両にだけ前記画像再生手段
を備え、その記録展望画像を各車両の前記個室の前記表
示手段へと伝送して、車両の進行方向における両側の展
望を確保することを特徴としている。
【0070】請求項17に記載の方法では、編成中のい
ずれかの1両の車両だけに画像再生手段を備えることと
して、その記録展望画像をすべての個室の表示手段へ伝
送することとした。従って、画像再生手段の必要台数が
少なくてすみ、具体的には、旅客車両のすべての通路が
右側又は左側のいずれか一方に統一されているような車
両編成にあっては、通路側方向の展望を再生すべく1台
の画像再生手段を設ければよく、また、通路の配置が左
右に混在しているような場合であっても左右に1台ずつ
の合計2台の画像再生手段を設置するだけで足りる。
【0071】請求項17に記載の方法によれば、画像再
生手段の必要台数が1台又は2台あれば十分であって画
像再生手段の台数が少ないだけ、コストダウンを図るこ
とができる。
【0072】もっとも、請求項17に記載の方法におい
ては、請求項14と類似したタイムラグの問題が発生す
る。本請求項では画像再生手段の設置位置は先頭車両で
も交尾車両でも構わないが、記録再生画像のタイミング
をどの車両を基準として同期させるかが問題となる。例
えば先頭車両から見える車窓風景と同期させるように画
像再生手段を再生した場合には、後方の車両の個室内に
おいては、表示手段の表示画面上に先頭車両から見た車
窓風景が表示されることになるので、乗客にとってはい
わばこれから見えるはずの未来の風景を先取りして展望
することになってしまう。従って、個室内から当該方向
の風景が全く見えない場合には特段の違和感を与えない
ものの、個室のドアに窓が設けられていたりして、たと
え狭い範囲ではあっても通路側の車窓風景を直接目視で
きるような場合においては、表示手段に表示された車窓
風景が、その数秒後になってから実際に見えることにな
って不自然な印象を与えるおそれがある。このような不
都合は編成中の中央の車両を基準としたタイミングで画
像再生手段を再生動作させることで相当程度に抑えるこ
とができる。しかし、この場合には先頭付近の車両の乗
客にとっては、目視した風景が遅れて表示されることに
なり、根本的な解決策であるとはいい難い。
【0073】そこで、請求項18に記載の鉄道車両の個
室における展望確保方法は、請求項16に記載の鉄道車
両の個室における展望確保方法において、前記鉄道車両
を編成する先頭の車両にだけ前記画像再生手段を備え、
前記各個室の前記表示手段にあっては前記先頭車両から
の通過時刻の差に合わせて遅延させた前記記録展望画像
を表示して、車両の進行方向における両側の展望を確保
することを特徴としている。
【0074】請求項18に記載の方法では、上述したタ
イムラグを解消するために記録展望画像の再生表示タイ
ミングを遅延させることとした。そのためには、先頭の
車両から見える車窓風景のタイミングに合わせて画像再
生手段を動作させ、記録展望画像が各個室に伝送されて
きたときに、各個室の表示手段において、先頭の車両が
ある地点を通過してから自己の乗車する個室が同一地点
を通過するまでに要する通過時刻の差だけ記録展望画像
の表示タイミングを遅延させればよい。
【0075】請求項18に記載の方法によれば、画像再
生手段は編成中のいずれかの車両に1台だけ備えればよ
く、その動作タイミングを先頭車両からの車窓風景を基
準として再生するようにすればよいので、画像再生手段
の設備に要するコストを低廉化することができる。しか
も、記録展望画像の表示タイミングを遅延させること
で、先頭付近の車両から見える車窓風景と後続車両から
見える車窓風景とのタイムラグを解消するようにしたの
で、肉眼で目視した展望と表示手段上に表示される展望
との間に時間差が生じて違和感を与えることはなくなっ
て、自然な車窓風景の展望を表示手段の画面上にて表示
することができる。
【0076】次に請求項19に記載の鉄道車両の個室に
おける展望確保方法は、請求項12乃至18のいずれか
1項記載の鉄道車両の個室における展望確保方法におい
て、前記個室内の前記表示手段に現在表示中の画像に対
応した内容の関連情報を、付加的に提示することを特徴
としている。
【0077】請求項19に記載の方法では、表示手段に
現在表示されている画像に対応した内容の関連情報につ
いて、付加的に提示することで、車窓風景の展望をより
楽しく魅力的なものとするようにした。観光バスにあっ
てはバスガイドが「皆様、右手に見えますのは○○でご
ざいます。」などのように車窓風景について解説してく
れるのが一般的であるが、鉄道列車での旅においてはこ
の種のサービスは提供されていないのが現状である。し
かしながら、誰でも体験するように鉄道列車での旅行に
おいても車窓風景にめずらしいものやその土地の名物的
なものが現れることはしばしばあることである。そこ
で、現在表示中の画像に対応した説明などの関連情報を
付加的に提示することとした。具体的な関連情報として
は、列車の走行中に車窓から展望することができる自然
物(山や河川)や人工構造物(例えば有名な橋や大仏、
高層ビル等)についての名称や解説を想定することがで
きる。さらに列車路線の沿線に存在するホテル等のサー
ビス機関などについての情報をも関連情報の対象とする
こともできる。
【0078】請求項19に記載の方法によれば、ただ単
に両側の車窓風景の展望を確保するという効果のみなら
ず、展望中の風景についての解説情報などの関連情報が
提供されるので、車窓風景を展望しようという動機付け
が強まって、車窓風景を展望しながら列車で旅行を楽し
む魅力を大きくすることができる。このことは鉄道旅行
に対する新たな需要を創り出すことにもつながる。
【0079】さらに請求項20に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法は、請求項12乃至18のいずれ
か1項記載の鉄道車両の個室における展望確保方法にお
いて、前記個室内の前記表示手段に乗客の操作又は動作
に従って現在又は過去又は将来に表示される画像に対応
した内容の関連情報を、付加的に提示することを特徴と
している。
【0080】請求項20に記載の方法では、乗客の能動
的な操作又は動作に従って車窓に展望される風景につい
ての関連情報を提示することとした。関連情報の提示を
望まない個室乗客は提示を禁止すれば良く、山河などの
自然物にしか関心のない乗客はジャンルを指定して提示
される関連情報の種類を限定してもよい。また、提示さ
れる関連情報は表示手段に現に表示されている画像に対
応するものに限定するものではなく、過去又は将来に表
示される画像に対応した内容の関連情報についても提示
することが可能である。
【0081】請求項20に記載の方法によれば、例えば
表示手段上にめずらしい風景を発見した場合には、車窓
風景から消え去っても過去にさかのぼってその風景につ
いての関連情報を提示させることができ、乗客の好奇心
を満足させることができる。また、沿線に名物風景があ
る場合には、事前にその風景に関する関連情報の提示を
受けていわば予習しておいてから、その風景の名所をじ
っくりと鑑賞することができる。
【0082】一方、請求項21に記載の鉄道車両の個室
における展望確保方法は、請求項12乃至18のいずれ
か1項記載の鉄道車両の個室における展望確保方法にお
いて、前記個室内の前記表示手段に現在表示中の表示対
象のいずれかを乗客が特定したときに、当該対象に対応
した内容の関連情報を、付加的に提示することを特徴と
している。
【0083】請求項21に記載の方法では、表示手段に
現在表示中の表示対象の中からいずれかの対象物を乗客
が特定することができるようにして、その対象に対応し
た内容の関連情報を提示することとした。この方法を実
現するためには、表示中の車窓風景の中から特定の対象
を指定するための構成手段が必要となる。
【0084】請求項21に記載の方法によれば、個室内
の乗客が関心を示した対象についてのみ、乗客自身がそ
の対象を特定したときに関連情報が提示されるので、乗
客が興味のある情報のみを能動的に得ることができ、例
えば常に関連情報が提示され続けるのをうっとうしく感
じる乗客にとっても満足のできる関連情報の提示形態と
することができ、乗客自身が主体となって能動的に車窓
風景の展望を楽しむことができるようになる。
【0085】なお請求項22に記載の鉄道車両の個室に
おける展望確保方法は、請求項19乃至21のいずれか
1項記載の鉄道車両の個室における展望確保方法におい
て、前記関連情報の付加的な提示は前記表示手段の表示
画面上に文字情報を重畳的に表示することで行なわれる
ことを特徴としている。
【0086】請求項22に記載の方法では、関連情報を
表示手段の表示画面上に重畳的に表示する。より具体的
には文字情報をスーパーインポーズしたり、パソコンの
画面のように解説用のウインドウをオープンさせたりす
るとよい。また、画面の最下行に右から左へとスクロー
ルするようにして関連情報を流し続けるような態様を採
用することもできる。さらに、請求項21に記載したよ
うに乗客が特定の対象物を指定した場合には画面内にお
けるその対象物の付近にウインドウを開いたりスーパー
インポーズ表示させたりと様々な表示態様を採用するこ
とができる。しかも、これらの表示態様は乗客自身がい
ずれかを選択できるようにしてもよい。
【0087】請求項22に記載の方法によれば、表示手
段の表示画面上に写し出された車窓風景を展望しつつ、
同一の画面上にて関連情報を読取ることができるので、
可及的に視線移動が小さくて疲労感が少なくて、あたか
も洋画の字幕を読みながら映画を鑑賞するような雰囲気
で、車窓風景の展望を満喫することができる。
【0088】これに対して請求項23に記載の鉄道車両
の個室における展望確保方法は、請求項19乃至21の
いずれか1項記載の鉄道車両の個室における展望確保方
法において、前記関連情報の付加的な提示は前記表示手
段とは独立して備えられた他の提示手段によって行なわ
れることを特徴としている。
【0089】請求項23に記載の方法では、関連情報の
提供を表示手段とは独立して備えられた他の提示手段に
よって行なうこととした。近年、とりわけLEDを利用
した文字表示装置の進歩は著しく、小型で薄型のものが
安価に入手可能になっており、実際にタクシーに搭載さ
れて文字ニュースを流したり、都心の電車などでは次の
停車駅の案内表示手段として採用されたりしている。ま
た独立した提示手段は文字表示手段に限られるわけでは
なく、音声アナウンス手段などでもよい。
【0090】請求項23に記載の方法によれば、車窓風
景の見えない側の展望を表示するための表示手段とは独
立させて、関連情報の提示手段を独立させたので、例え
ば薄型かつ小型の文字表示手段を直接展望のできる窓の
下部などに取付ければ、車窓風景を肉眼で展望しながら
関連情報を読取ることができるようになる。また、関連
情報の提示手段を独立させることは、例えば関連情報を
欲する乗客の個室にのみオプション料金を徴収して提示
手段を設置して、他の個室には設置しないような営業も
可能になる。さらに、提示手段として音声アナウンス手
段を採用すれば、風景を眺めては文字を読んで再び風景
を眺めるといった動作を繰返す必要がなく、関連情報の
解説を聞きながら車窓風景の展望に熱中することもで
き、車窓風景の展望を邪魔されずに風景の展望を満喫す
ることができる。
【0091】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
に係る鉄道車両の個室における展望確保方法を実現する
ための車両構成の実施形態を説明する。
【0092】(実施形態1)まず、本発明の第1の実施
形態について説明する。図1は鉄道車両を進行方向にお
ける後方からみた車両横断面を示す模式図である。本実
施形態は請求項1及び請求項3に対応するもので、同図
はかかる請求項に記載の方法に従って構成された鉄道車
両の構造を示している。
【0093】図において、車両1は左外壁1a,右外壁
1b,車両天井1c,車両底壁1dによって外形が構成
されていて、図示の車両横断面の片側(図示の実施形態
では左側)には、編成内の各車両1間を行き来できるよ
うに車両1の長手方向に延在するように通路3が配置さ
れており、その通路床面3aは車両底壁1dとほぼ同一
の高さであって、通路3の空間の高さについては、通路
3中を一般的な身長の成人の乗客及び乗務員Aが無理な
く普通に歩行できるような最小限の高さ空間(例えば約
180〜200cm)を確保して、通路天井3bが設け
られている。車両1の横断面において、通路3と反対の
側(図示の実施形態では右側)には、隔壁5を介して通
路3とは仕切られた個室7の空間が形成されていると共
に、個室7の個室床面7aの高さは通路床面3aの高さ
よりも約1m強ほど高く設けられていて、個室7を利用
する乗客Pは隔壁5のドア(図示せず)を開き、個室7
内に設置された階段7bを昇って個室床面7aへと上が
り、個室床面7aに取付けられた座席7cに着座する。
なお、本実施形態1では、通路側から高い位置に設けら
れた個室7へ入るための車体構造として、各個室毎に専
用階段を設け、通路側からこの専用階段へ至る境界付近
にドアを設ける形態を例示して説明したが、本発明はこ
の形態のみに限定されるものではなく、例えば隣接する
個室間に共通階段を設け、この共通階段の踊り場からド
アを開けて各個室へと入るようにした車体構造を採用す
ることもできる。このことは、その他の実施形態におい
ても同様であることを付言しておく。
【0094】乗客Pの視線11の高さは、乗客Pが座席
7cに着座したとき個室床面7aから概ね1m程度であ
るから、前述した通路床面3aと個室床面7aとの1m
強の段差を考慮すると、乗客Pの視線高さは通路床面3
aよりも2m強の高さに位置する。一方において前述し
たように通路天井3bの高さは通路床面3aから概ね1
80〜200cmである。よって、乗客Pの視線高さは
通路天井3bの高さよりも十分に高い位置になって、通
路天井3b及び隔壁5の上部構造物によって妨げられる
ことはない。もっとも上述した各種寸法はあくまで例示
であって任意の設計事項に属するものであり、要するに
通路天井3bの高さよりも着座した乗客Pの視線高さが
十分に高くなるように設計しさえすれば、上記寸法に何
等限定されるものではない。
【0095】通路天井3bのすぐ上の空間は個室7の空
間の一部として含まれるように、個室7の空間が通路天
井3bの上側の空間までも占有するように形成されてお
り、しかも、個室7の左壁面を構成する車両1の左外壁
1aには個室7に面するような左展望窓9aが、また、
個室7の右壁面を構成する車両1の右外壁1bには個室
7に面するような右展望窓9bがそれぞれ設けられてい
て、個室7の両方の側面に展望窓9a,9bが配置され
ていることになる。これらの展望窓9a,9bの寸法及
びその設置高さは、座席7cに着座した乗客Pの視線1
1の視界範囲に基づいて定められる。もちろん、乗客P
が大人でも子供であっても良好に左右の風景を展望でき
るように各種寸法を定めることが好ましい。しかし、こ
れらの具体的な数値については、当業者にとって容易に
設計できる事項であると共に、車両1自体の構造にも適
宜対応しなければならない事項であるから、ここでは特
に言及しない。
【0096】以上のように本実施形態によれば、個室7
の座席7cに着座した乗客Pは左右の展望窓9a,9b
を通して、車両1の走行中に左右の車窓風景を十分に堪
能することができる。
【0097】(実施形態2)次に、本発明の第2の実施
形態について説明する。図2は鉄道車両を進行方向にお
ける後方からみた車両横断面を示す模式図である。本実
施形態は請求項4及び請求項6に対応するもので、同図
はかかる請求項に記載の方法に従って構成された鉄道車
両の構造を示している。
【0098】図において、車両1は左外壁1a,右外壁
1b,車両天井1c,車両底壁1dによって外形が構成
されていて、図示の車両横断面の片側(図示の実施形態
では左側)には編成内の各車両1間を行き来できるよう
に車両1の長手方向に延在するように通路3が配置され
ており、その通路床面3aは車両底壁1dとほぼ同一の
高さであって、通路3の内部空間の高さは車両天井1c
にまで達している。車両1の横断面において、通路3と
反対の側(図示の実施形態では右側)には、隔壁5を介
して通路3と仕切られた個室7の空間が形成されている
と共に、個室7の個室床面7aの高さは通路床面3aの
高さよりも約1m強ほど高く設けられていて、個室7を
利用する乗客Pは隔壁5のドア(図示せず)を開き、個
室7内に設置された階段7bを昇って個室床面7aへと
上がり、個室床面7aに取付られた座席7cに着座す
る。
【0099】個室7の内部空間において、その右壁面を
構成する車両1の右外壁1bには、座席7cに着座した
乗客Pの視線11の高さから車両1の進行方向右側の風
景が展望できるように、座席7cに面するような第1の
展望窓としての右展望窓13aが設けられていて、乗客
Pはこの右展望窓13aを通して、ごく普通に右側方向
の車窓風景の展望を楽しむことができる。
【0100】次に、個室7と通路3とを仕切る隔壁5の
上部部分には、座席7cに着座した乗客Pの視線11の
高さとほぼ一致するように、第2の展望窓としての隔壁
窓13bが設けられていて、乗客Pはこの隔壁窓13b
を通して、通路3内のようすはもちろん、左外壁1aの
内壁面の広い範囲にわたって見渡すことができる。
【0101】乗客Pの視線11の高さは、乗客Pが座席
7cに着座したとき個室床面7aから概ね1m程度であ
るから、前述した通路床面3aと個室床面7aとの1m
強の段差を考慮すると、乗客Pの視線高さは通路床面3
aよりも2m強の高さに位置する。そこで、隔壁窓13
bの設置高さも通路床面3aから約2m上方の高さに配
置する。よって、通路3を通行する乗客又は乗務員Aに
とっては、隔壁窓13bの設置位置が高すぎるために、
これを通して個室7の内部を覗き見ることはできない。
もっとも上述した各種寸法はあくまで例示であって任意
の設計事項に属するものでであり、要するに通路3を通
行する他の乗客又は乗務員Aの視線高さよりも十分に高
い位置に隔壁窓13bが配置されるようにしさえすれば
上記寸法に何等限定されるものではない。
【0102】そして、通路3の左壁面にあたる、個室7
とは反対側の車両1の左外壁1aには、隔壁窓13bに
比べてやや大型の第3の展望窓としての左展望窓13c
が設けられていて、個室7内の乗客Pは隔壁窓13bを
通して左展望窓13cの外界の風景を展望し満喫するこ
とができる。通路3を通行中の乗客又は乗務員Aもまた
左展望窓13cを通して左側方向の車窓風景を展望する
ことができる。
【0103】隔壁窓13bと左展望窓13cの設置位置
及び寸法は、個室7内の座席7cに着座した乗客Pの視
線11の高さから通路側方向の車窓風景を良好に展望で
きるように定める必要があり、座席7cに着座した乗客
Pの視線11の視野の範囲を考慮して設計する。また特
に、隔壁窓13bの設置高さ及び大きさは通路3を通行
中の乗客又は乗務員Aの視線高さからは個室7の内部が
覗けないように十分高い位置に設計する必要がある。こ
れらの隔壁窓13b及び展望窓13cの設計に際して
は、もちろん、乗客Pが大人でも子供であっても良好に
左右の風景を展望できるように各種寸法を定めることが
好ましい。しかし、これらの具体的な設計数値について
は、当業者にとって容易に設計できる事項であると共
に、車両1自体の構造にも適宜対応しなければならない
事項であるから、ここでは特に言及しない。
【0104】以上のように本実施形態2によれば、個室
7の座席7cに着座した乗客Pは、右側方向の車窓風景
については右展望窓13aを通して直接的に展望するこ
とができると同時に、従来の個室にあっては展望するこ
とができなかった通路側方向の車窓風景についても隔壁
窓13bを通して左展望窓13cの外界の車窓風景を十
分に堪能することができる。しかも、本実施形態では、
個室7の床面7aを通路3の床面3aの高さよりも高く
することで、個室7内の座席7cに着座した乗客Pの視
線11の高さを隔壁窓13bの高さに一致させつつも、
通路3を通行する他の乗客や乗務員Aの視線高さからは
個室7内のようすを覗かれることがないようにして、個
室7のプライバシーを十分に守ることができる。ここ
で、前述した実施形態1では、乗客Pの視線11を通過
させる窓9aは、通路3の天井3bのさらに上方に位置
している必要がある。これに対し実施形態2では、乗客
Pの視線11を通過させる窓13bは、乗務員Aの頭上
を超えている必要は必ずしもなく、乗務員Aの視線位置
より適度に高ければ足りる。したがって、実施形態2で
は、個室7の床面7aを通路3の床面3aの高さよりも
かさ上げする度合いは実施形態1よりも少なくて済む、
という利点ががある。
【0105】(実施形態3)次に、本発明の第3の実施
形態について説明する。図3は鉄道車両を進行方向にお
ける後方からみた車両横断面を示す模式図である。本実
施形態は請求項4及び請求項7に対応するもので、同図
はかかる請求項に記載の方法に従って構成された鉄道車
両の構造を示している。
【0106】図において、車両1は左外壁1a,右外壁
1b,車両天井1c,車両底壁1dによって外形が構成
されていて、図示の車両横断面の片側(図示の実施形態
では左側)には編成内の各車両1間を行き来できるよう
に車両1の長手方向に延在させて通路3が配置されてお
り、その通路床面3aは車両底壁1dから約1mほど底
上げされた高さにあって、通路床面3aの下部空間15
には車両1の運行に必要な設備機器が収容されている。
通路3の内部空間の高さは車両天井1cにまで達してい
る。車両1の横断面において、通路3と反対の側(図示
の実施形態では右側)には、隔壁5を介して通路3と仕
切られた個室7の空間が形成されていると共に、個室7
の個室床面7aの高さは通路床面3aの高さよりも約7
0cmほど低く設けられていて、個室7を利用する乗客
Pは隔壁5のドア(図示せず)を開き、個室7内に設置
された階段7bを下って個室床面7aへと降りて、個室
床面7aに取付られた座席7cに着座する。
【0107】個室7の内部空間において、その右壁面を
構成する車両1の右外壁1bには、座席7cに着座した
乗客Pの視線11の高さから車両1の進行方向右側の風
景が展望できるように、座席7cに面するような第1の
展望窓としての右展望窓13aが設けられていて、乗客
Pはこの右展望窓13aを通して、ごく普通に右側方向
の車窓風景の展望を楽しむことができる。
【0108】次に、個室7と通路3とを仕切る隔壁5の
下部部分には、座席7cに着座した乗客Pの視線11の
高さとほぼ一致するように、第2の展望窓としての隔壁
窓13bが設けられていて、乗客Pはこの隔壁窓13b
を通して、通路3内のようすはもちろん、左外壁1aの
内壁面の広い範囲にわたって見渡すことができる。
【0109】乗客Pの視線11の高さは、乗客Pが座席
7cに着座したとき個室床面7aから概ね1m程度であ
るから、前述した通路床面3aと個室床面7aとの70
cm程度の段差を考慮すると、乗客Pの視線高さは通路
床面3aよりも30cm程度の高さに位置する。そこ
で、隔壁窓13bの設置高さも通路床面3aから約30
cm程度上方の高さに配置する。よって、通路3を通行
する乗客又は乗務員Aにとっては、隔壁窓13bの設置
位置が低すぎるために、これを通して個室7の内部を覗
き見ることは、あえてしゃがみ込んだりして覗きこまな
い限りできない。もっとも上述した各種寸法はあくまで
例示であって任意の設計事項に属するものでであり、要
するに通路3を通行する他の乗客又は乗務員Aの視線高
さよりも十分に低い位置に隔壁窓13bが配置されるよ
うにしさえすれば上記寸法に何等限定されるものではな
い。
【0110】そして、通路3の左壁面にあたる、個室7
とは反対側の車両1の左外壁1aには、隔壁窓13bに
比べてやや大型の第3の展望窓としての左展望窓13c
が設けられていて、個室7内の乗客Pは隔壁窓13bを
通して左展望窓13cの外界の風景を展望し満喫するこ
とができる。通路3を通行中の乗客又は乗務員Aもまた
左展望窓13cを通して左側方向の車窓風景を展望する
ことができる。
【0111】隔壁窓13bと左展望窓13cの設置位置
及び寸法は、個室7内の座席7cに着座した乗客Pの視
線11の高さから通路側方向の車窓風景を良好に展望で
きるように定める必要があり、座席7cに着座した乗客
Pの視線11の視野の範囲を考慮して設計する。また特
に、隔壁窓13bの設置高さ及び大きさは通路3を通行
中の乗客又は乗務員Aの視線高さからは個室7の内部が
覗けないように十分低い位置に設計する必要がある。こ
れらの隔壁窓13b及び展望窓13cの設計に際して
は、もちろん、乗客Pが大人でも子供であっても良好に
左右の風景を展望できるように各種寸法を定めることが
好ましい。しかし、これらの具体的な設計数値について
は、当業者にとって容易に設計できる事項であると共
に、車両1自体の構造にも適宜対応しなければならない
事項であるから、ここでは特に言及しない。
【0112】なお、本実施形態では、個室7の内側にお
いて、隔壁窓13bの内面にブラインド17を取付ける
こととした。ブラインド17を降ろして遮断方向に操作
すれば、例えば通路3を身長の低い子供が通るような場
合でさえも、隔壁窓13bから個室7の内部をのぞき見
ることはできなくなる。また、本実施形態では、隔壁窓
13bが通路3の下方に設置されているために通路を通
る他の乗客や乗務員Aからは個室7の内部を覗き見られ
ることはない反面、個室7の乗客Pの立場からは通路3
を歩行する人の足元が常に隔壁窓13bのすぐ外に見え
ることになる。従って、そのような通行人の足元がちら
ちらと視界に入って目障りに感じるときには、ブライン
ド17を閉じると良い。特に、ターミナル駅に到着した
時のように数多くの乗客が通路3を歩行する条件下で
は、ブラインド17を降ろすのが効果的である。列車が
発車して通路3を歩行する人が居なくなったらブライン
ド17を開けて通路側の車窓風景を堪能すれば良い。
【0113】以上のように本実施形態によれば、個室7
の座席7cに着座した乗客Pは、右側方向の車窓風景に
ついては右展望窓13aを通して直接的に展望すること
ができると同時に、従来の個室にあっては展望すること
ができなかった通路側方向の車窓風景についても隔壁窓
13bを通することで左展望窓13cの外界の車窓風景
を十分に堪能することができる。しかも、本実施形態で
は、個室7の床面7aを通路3の床面3aの高さよりも
低くすることで、個室7内の座席7cに着座した乗客P
の視線11の高さを隔壁窓13bの高さに一致させつつ
も、通路3を通行する他の乗客や乗務員Aの視線高さか
らは個室7内のようすを覗かれることがないようにし
て、個室7のプライバシーを十分に守ることができる。
また、個室7の床面7aを車両1内の下方に配置したこ
とによって、可及的に個室7内の天井高さを高く確保す
ることができ、ゆったりと解放感にあふれた個室7を提
供することができると共に、車両1内における座席7c
の高さが低くなったために、横揺れを受けにくい快適な
乗り心地の座席を提供することができる。さらに、ブラ
インド17を設けることで、隔壁窓13bが通路3の下
方に配置されていることに伴う不都合は解消することが
できる。
【0114】(実施形態4)次に、本発明の第4の実施
形態について説明する。図4は鉄道車両を進行方向にお
ける後方からみた車両横断面を示す模式図である。本実
施形態は請求項8及び請求項9に対応するもので、同図
はかかる請求項に記載の方法に従って構成された鉄道車
両の構造を示しており、具体的には、現在個室化が最も
積極的に進められている個室寝台の例を示している。
【0115】図において、車両1は左外壁1a,右外壁
1b,車両天井1c,車両底壁1dによって外形が構成
されている。図は車両1の長手方向の前方に装備された
ボギー台車と後方のボギー台車(共に図示せず)との間
の中間部分の構造について示していて、例えば図1と対
比すれば明らかなように、車両底壁1dは線路との間に
最小限の必要な間隔が保たれる程度の低い位置に設けら
れており、このため車両底壁1dから車両天井1cまで
の高さ寸法は約4mほど確保されている。なお、ボギー
台車の装備部分にあっては、実質的な車両1の高さは3
m弱となる。車両1の高さ方向のほぼ中間部分を境にし
て車両1の横断面は上下2層構造に区分されている。車
両横断面の片側(図示の実施形態では左側)には、編成
内の各車両1間を行き来できるように車両1の長手方向
に延在させて通路3が配置されており、その通路床面3
aは車両底壁1dとほぼ同一の高さであって、通路3の
空間の高さについては、通路3中を一般的な身長の成人
の乗客及び乗務員Aが圧迫感なく快適に歩行できるよう
に十分な高さ空間(約230cm)を確保して、通路天
井3bが設けられている。車両1の横断面において、通
路3と反対の側(図示の実施形態では右側)の、隔壁5
を介して通路3と仕切られた通路3以外の空間は、すべ
てメゾネット形式の個室7の占有空間となっていて、個
室7の上層の床面7aの高さは下層の床面1aの高さよ
りも約2mほど高く設けられているので、個室7の上層
空間7dと下層空間7eとの間を登ったり降りたり移動
できるように連通すべく、下層空間7e内には例えば螺
旋形式の階段7b(階段7bは直線形式でも可)が設け
られている。個室7を利用する乗客Pは隔壁5のドア
(図示せず)を開いて、まず個室7の下層空間7eに入
る。下層空間7eには乗客Pの荷物や衣服を収納できる
クロゼットや簡易的な書斎として利用できるような机と
椅子、並びに化粧台が設備されている(いずれも図示せ
ず)。上層空間7dへは、下層空間7e内に設置された
階段7bを昇って上層の個室床面7aへと上がり、個室
床面7aに取付けられた座席7cに着座する。
【0116】乗客Pの視線11の高さは、乗客Pが座席
7cに着座したとき個室床面7aから概ね1m程度であ
るから、車両底壁1dからはほぼ3mの高さとなる。一
方、前述した如く、通路天井3bの高さは、車両底壁1
dと同一高さである通路床面3aから約230cmであ
る。よって、乗客Pの視線高さは通路天井3bの高さよ
りも約70cmほど高い位置になって、通路天井3b及
び隔壁5の上部構造物によって妨げられることはない。
ここで、通路天井3bの上方にある空間を有効活用する
ために、本実施形態4では、通路天井3bの上面にベッ
ド19を設置することととした。これにより、次述する
実施形態5と比較して、通路3および個室7の両天井高
を高くとれる利点がある。なお本実施形態においては、
通路天井3bの車両底壁1dからの高さは230cm、
また個室床面7aの高さは200cmとなっていて、両
者の間には30cmの段差が存在するので、車両1の横
断面を「平坦な」床によって上下2層構造に仕切っては
いないが、これは請求項8の趣旨から逸脱するものでは
ない。もっとも上述した各種寸法はあくまで例示であっ
て任意の設計事項に属するものであり、要するに車両1
の横断面を上層と下層に区分して、上層の空間全体を個
室7として利用するようにすれば、上記寸法に何等限定
されるものではない。
【0117】このようにメゾネット形式の個室7にあっ
ては、通路天井3bのすぐ上の空間は個室7の上層空間
7dの一部を構成するように、個室7の上層空間7dが
通路天井3bの上側の空間までも占有するように形成さ
れている。また、個室7の上層空間7d内においては、
左壁面を構成する車両1の左外壁1aには座席7cに面
するような左展望窓9aが、他方、上層空間7dの右壁
面を構成する車両1の右外壁1bには座席7cに面する
ような右展望窓9bがそれぞれ設けられていて、上層空
間7dにおいては個室7の両方の側面に展望窓9a,9
bが配置されていることになる。これらの展望窓9a,
9bの寸法及びその設置高さは、座席7cに着座した乗
客Pの視線11の視界範囲に基づいて定められる。もち
ろん、乗客Pが大人でも子供であっても良好に左右の風
景を展望できるように各種寸法を定めることが好まし
い。しかし、これらの具体的な設計数値については、当
業者にとって容易に設計できる事項であると共に、車両
1自体の構造にも適宜対応しなければならない事項であ
るから、ここでは特に言及しない。
【0118】以上のように本実施形態によれば、個室7
の座席7cに着座した乗客Pは左右の展望窓9a,9b
を通して、車両1の走行中に左右の車窓風景を十分に堪
能することができる。しかも、乗客Pの視線11の高さ
は線路面から約3mの高さに位置するのでその眺望条件
は最高である。また、乗客Pの荷物や衣服を収納するク
ロゼットやその他の個室内の設備については下層空間7
eに配備したので、上層空間7d内はすっきりとした空
間として維持することができ、ゆったりとリラックスし
ながら車窓風景を堪能しつつ列車での旅を楽しむことが
できる。
【0119】(実施形態5)次に、本発明の第5の実施
形態について説明する。図5は鉄道車両を進行方向にお
ける後方からみた車両横断面を示す模式図である。本実
施形態は請求項8及び請求項11に対応するもので、同
図はかかる請求項に記載の方法に従って構成された鉄道
車両の構造を示している。
【0120】図において、車両1は左外壁1a,右外壁
1b,車両天井1c,車両底壁1dによって外形が構成
されている。図は車両1の長手方向の前方に装備された
ボギー台車と後方のボギー台車(共に図示せず)との間
の中間部分の構造について示していて、例えば図1と対
比すれば明らかなように、車両底壁1dは線路との間に
最小限の必要な間隔が保たれる程度の低い位置に設けら
れており、このため車両底壁1dから車両天井1cまで
の高さ寸法は約4mほど確保されている。なお、ボギー
台車の装備部分にあっては、実質的な車両1の高さは3
m弱となる。車両1の高さ方向のほぼ中間部分を境にし
て車両1の横断面は上下2層構造に区分されている。車
両横断面の下層における中央には、編成内の各車両1間
を行き来できるように車両1の長手方向に延在させて通
路3が配置されており、その通路床面3aは車両底壁1
dとほぼ同一の高さであって、通路3の空間の高さにつ
いては、通路3中を一般的な身長の成人の乗客及び乗務
員Aが無理なく普通に歩行できる程度の高さ空間(約2
00cm)を確保して、通路天井3bが設けられてい
て、この通路天井3bは左右へと延びて車両1の左外壁
1aと右外壁1bとに結合されていて、これを介して車
両1の横断面を上下2層の構造に分割している。上層の
全空間は個室7として確保されている。通路3の左右に
は左隔壁5aと右隔壁5bとがそれぞれ設けられてい
て、左隔壁5aのドア(図示せず)を開けると左側の下
層空間7eに入ることができる。個室7の床面7aの高
さは通路床面3aの高さよりも約2mほど高く設けられ
ているので、通路3から上層の個室7へと登ったり降り
たり移動できるように連通すべく、下層空間7e内には
螺旋形式の階段7bが設けられている。個室7を利用す
る乗客Pは隔壁5のドア(図示せず)を開いて、まず個
室7の下層空間7eに入り、下層空間7e内に設置され
た階段7bを昇って上層の個室7へと上がり、個室床面
7aに取付けられた座席7cに着座する。
【0121】一方、通路3の右隔壁5bを隔てた右側の
空間21は車両の運行に必要な設備が収められている。
本実施形態の車両1は機関車で牽引されるタイプの長距
離路線の列車であって、編成中の各車両1には洗面所と
便所とシャワー室とが備えられている。従って、空間2
1中には清水タンクと給水ポンプ並びに汚水タンクと真
空吸引式排水設備等が配置されている。空間21にはま
た、車両1の空調機器や車内照明、前述の給水ポンプ等
のための電力を供給するためのディーゼル発電機が収容
されている。空間21にはさらに車両1の冷暖房用の空
調機器も収容されている。
【0122】このように本実施形態の個室7は、車両1
の横断面の上層空間の全体を占有するように構成されて
いる。また、個室7の上層空間7d内においては、左壁
面を構成する車両1の左外壁1aには座席7cに面する
ような左展望窓9aが、他方、上層空間7dの右壁面を
構成する車両1の右外壁1bには座席7cに面するよう
な右展望窓9bがそれぞれ設けられていて、個室7内に
は個室7の両方の側面に展望窓9a,9bが配置されて
いることになる。これらの展望窓9a,9bの寸法及び
その設置高さは、座席7cに着座した乗客Pの視線11
の視界範囲に基づいて定められる。もちろん、乗客Pが
大人でも子供であっても良好に左右の風景を展望できる
ように各種寸法を定めることが好ましい。しかし、これ
らの具体的な設計数値については、当業者にとって容易
に設計できる事項であると共に、車両1自体の構造にも
適宜対応しなければならない事項であるから、ここでは
特に言及しない。
【0123】以上のように本実施形態によれば、個室7
の座席7cに着座した乗客Pは左右の展望窓9a,9b
を通して、車両1の走行中に左右の車窓風景を十分に堪
能することができる。しかも、乗客Pの視線11の高さ
は線路面から約3mの高さに位置するのでその眺望条件
は最高である。また、車両1の運行に必要な設備機器は
空間21に収容するようにしたが、空間21は個室7へ
の入口のドアとは通路3を隔てて離れているので、設備
機器が若干の騒音や振動を発生させる性質の機器であっ
てもそれらの騒音が個室7内にまで侵入することは防ぐ
ことができ、個室7内の静粛を保つことが可能になる。
従って、個室7の乗客Pは静粛な室内でゆったりとリラ
ックスしながら左右両側の車窓風景を堪能しつつ列車で
の旅を楽しむことができる。
【0124】(実施形態6)次に、本発明の第6の実施
形態について説明する。本実施形態は請求項12,請求
項14及び請求項15に対応するもので、図6はかかる
請求項に記載の方法を実現するために車両に搭載される
設備の構成を示すブロック図である。
【0125】図において、車両31はディーゼル機関車
などの先頭車両、車両33は旅客用の車両である。先頭
車両31の乗務員室には進行方向に対して右方向に向け
られたCCDカメラからなる撮影カメラ35と左方向に
向けられた撮影カメラ37とがそれぞれ配置されてい
て、これらの各撮影カメラ35,37は先頭車両31か
ら見た左右側方の展望風景を撮影するようになってい
る。先頭車両31にはまた、列車内TV配信装置39が
設置されている。同装置39には先頭車両31の外部天
井などに取付けられたアンテナ(図示せず)が接続され
ていて、例えばBS放送などを受信できるようになって
おり、また、VTRやDVD等の再生装置(図示せず)
などが接続されており、同装置39はこれらのTV信号
を出力すると共に、前述した各撮影カメラ35,37で
撮影された展望画像の映像信号もまた空きチャンネルを
利用して前記のTV信号と混合・多重して出力する。
【0126】列車内TV配信装置39からの出力は列車
の編成を構成するすべての車両33にわたって延設され
た同軸ケーブルなどの伝送路41を介して各車両33に
伝送され、各個室内に設置された複数の各TV端末43
(本実施形態では一般的なTV受像機である)の入力端
子へと接続されている。
【0127】各個室内の乗客はTV端末43のチャンネ
ルを選択的に切換えて、放送局から提供される番組を楽
しんだり、撮影カメラ35,37の撮影画像である車窓
の左右風景を楽しんだりすることができる。
【0128】本実施形態においては先頭車両31の左右
両側の方向に撮影カメラ35,37をそれぞれ設けるよ
うにしたが、撮影カメラは個室内から直接展望すること
ができない側の片側にだけ設けるようにしてもよい。な
お、展望することができない方向が個室毎に異なってい
る場合には、本実施形態のように撮影カメラを左右両側
に設置する必要がある。
【0129】以上のように本実施形態によれば、個室内
の乗客は、片側の車窓風景については直接窓を通して、
通路によって直接見ることができない他の側はTV画面
を介して、車両の両側方向を展望することができるよう
になる。
【0130】なお、本実施形態においては列車編成の1
両にだけ撮影カメラを設置するようにしたが、各車両毎
に1台ずつの撮影カメラを設置するようにしてもよく、
そのようにすれば乗客の乗車位置と撮影カメラの取付位
置とが可及的に近接するので、窓を通して風景を見るの
と同一のタイミングで撮影展望画像を提示することがで
きる利点がある。これに対して本実施形態では、特に後
方の旅客車両33において、TV端末43には先頭車両
31から見た風景が提示されることになるので、乗客に
とってはいわばこれから見えるはずの未来の風景を先取
りして展望することになる。従って、個室内から当該方
向の風景が全く見えない場合にはさほどの違和感を与え
ないものの、個室のドアに窓が設けられていたりして、
狭い範囲ではあっても通路側の車窓風景を直接目視でき
るような場合においては、TV端末43に提示された数
秒後になってからその風景が実際に見えることになって
若干の不自然な印象を与えることが有り得る。
【0131】従って、かかる違和感を除去するために、
本実施形態の応用として、先頭車両31に取り付けた撮
影カメラ35,37で撮影された撮影展望画像が各個室
に伝送されてきたときに、各個室のTV端末43におい
て、先頭車両31がある地点を通過してから個室の旅客
車両33が同一地点を通過するまでに要する通過時刻の
差に合わせて提示させる撮影展望画像を時間的に遅延さ
せて見る方法が考えられる。この遅延時間は厳密でなく
ても近似値(固定値、速度を考慮した補正値など)でも
相当程度効果がある。
【0132】(実施形態7)次に、本発明の第7の実施
形態について説明する。本実施形態は請求項15,請求
項16及び請求項17に対応するもので、図7はかかる
請求項に記載の方法を実現するために車両に搭載される
設備の構成を示すブロック図である。
【0133】図において、車両31はディーゼル機関車
などの先頭車両、車両33は旅客用の車両である。本実
施形態における旅客車両33では、すべての旅客車両3
3において進行方向における左側に個室が配置され、右
側に通路が配置されている。従って、個室内の乗客は左
方向の車窓風景は直接窓から展望することができるもの
の、右方向の車窓風景は通路に遮られてしまって展望す
ることができない。
【0134】先頭車両31の乗務員室には右方向の展望
風景を例えば前記実施形態のような撮影カメラによって
事前に撮影して記録しておいたVTRテープを装填され
た映像再生装置45が設置されており、この映像再生装
置45には先頭車両31の現在の走行位置を得るための
列車位置検出装置47が接続されている。映像再生装置
45には、列車位置検出装置47によって得られた先頭
車両31の現在走行位置に同期させてVTRテープに保
存された記録展望画像を再生できるように、再生速度の
調節機能と再生画像の一時停止機能(スチル画像の再
生)とが備えられている。先頭車両31にはまた、列車
内TV配信装置39が設置されており、映像再生装置4
5から出力された展望画像の映像信号を、空きチャンネ
ルを利用してTV信号と混合・多重して出力する。
【0135】列車内TV配信装置39からの出力は列車
の編成を構成するすべての車両33にわたって延設され
た伝送路41を介して各車両33に伝送され、各個室内
に設置された複数の各TV端末43(本実施形態では一
般的なTV受像機である)の入力端子へと接続されてい
る。
【0136】各個室内の乗客はTV端末43の画面上に
おいて、通路を隔てた側の右側の車窓風景を記録した記
録展望画像を楽しむことができる。
【0137】本実施形態においては先頭車両31の右側
方向の展望風景のみを再生するように映像再生装置45
を1台だけ設けたが、展望することができない方向が個
室毎に異なっている場合には、映像再生装置45を左右
両方のために2台設置すればよい。
【0138】以上のように本実施形態によれば、個室内
の乗客は、片側の車窓風景については直接窓を通して、
通路によって直接見ることができない他の側はTV画面
を介して、車両の両側方向を展望することができるよう
になる。ここで、本発明は、展望が利かない方向のみな
らず、展望の利く方向に関しても、その映像及び関連情
報を提供する形態をあえて除外する趣旨ではないことを
付言しておく。
【0139】なお、本実施形態の変形として次のような
構成をとることも考えられる。すなわち、リアルタイム
の映像でなく、コンピュータ・グラフィック(以下、C
Gと省略する。)映像と実写映像との両方を車両の現在
位置に同期して再生して列車内共聴で流し、各個室には
TV端末を設置して、これらの映像のいずれかを選択し
て見ることができるようにする。
【0140】また、先頭車両31の走行位置の検出は、
(1)GPSによる検出や、(2)加速度センサによる
加速度からの位置検出、(3)車輪の回転から走行距離
を計算する、(4)線路に設置されたATS地上子など
の情報から位置を推定する、などの方法を採用すること
ができる。さらに、これらの検出方法を複数組み合わせ
ることにより、さらに正確・確実・容易に位置を求める
ことができる。このように求めた車両の走行位置に従っ
て、CGを描画したり実写映像のフレームを指定したり
する事により、車両の走行位置に同期した映像を得る。
【0141】本実施形態では、車窓風景をリアルタイム
に撮影カメラで撮影するわけではないので、現時点にお
ける真の風景を見ることはできない反面、夜間や悪天候
時でも、どんなところを走っているのかについて、おお
よその周囲状況を把握することができる。また、実施形
態1〜5の実際の車窓や実施形態6のリアルタイム映像
と同時に実施すると効果的である。
【0142】さらに、本実施形態の装置を用いると、そ
の応用として実際に走行する路線とは異なる(CGまた
は実写)映像を流すことも考えられる。例えば、東海道
新幹線において東北新幹線の車窓のCGまたは実写映像
を流したり、東海道新幹線の線形に合わせて制作した架
空の路線のCG映像を流したり、などのサービスが考え
られる。これらの場合は、実際の路線の映像を含む複数
の路線の映像から選択して利用することも含めて考えて
良い。サービスを受ける側にとっては、乗り飽きた路線
でも新鮮な車窓の風景を楽しむことができ、サービスを
提供する側にとっては、リピート客の多いビジネス路線
において観光路線の車窓を見せることによって観光需要
を引き出すなどの効果を期待することもできる。実際に
車窓が見えないあるいは見られない夜間などにおいて利
用すれば、違和感が少なく、また効果的であろう。さら
に、架空の路線のCGを利用する場合を発展させて考え
ると、そのCG制作に利用者が参加できるようにするこ
とも考えられ、サービス利用者の新しい娯楽とサービス
提供者の新しいビジネスへの展開の可能性がある。
【0143】本実施形態7では、展望が利かない側の車
窓から見通し可能な展望風景を撮影カメラによって事前
に実写記録しておき、この予め実写記録しておいた展望
画像を各個室内に備えられたマルチメディア端末57の
画面上に再生表示する態様を例示して説明した。これに
対し、本実施形態7の変形例として、予め実写記録して
おいた展望画像を再生表示する態様に代えて、予め作成
しておいた展望が利かない側の展望風景のCG画像を再
生表示する態様を採用したり、または、実走行路線の展
望画像を再生表示する態様に代えて、実走行路線とは異
なる他路線の展望画像を再生表示する態様を採用した
り、さらには、実走行路線の展望画像を再生表示する態
様に代えて、上述したふたつの変形例を組み合わた態
様、つまり、他路線における展望が利かない側の展望風
景のCG画像を再生表示する態様を採用することもでき
る。これらに加えて、本実施形態7の変形例として、展
望が利かない側の車窓から見通し可能な展望風景を再生
表示する態様に代えて、車窓から見通し可能な展望風景
にこだわることなく、例えば、障害物を避けた車両の屋
根などの高さ地点から見通し可能な展望風景を再生表示
する態様や、上空からの俯瞰風景を再生表示する態様を
採用することもできる。念のため付言すれば、上述した
本実施形態7の変形例を組み合わせて、例えば、障害物
を避けた車両の屋根などの高さ地点から見通し可能な展
望風景のCG画像を再生表示する態様や、上空からの俯
瞰風景のCG画像を再生表示する態様を採用可能である
ことは言うまでもない。
【0144】(実施形態8)次に、本発明の第8の実施
形態について説明する。本実施形態は主として請求項1
9乃至請求項22に対応するもので、図8はかかる請求
項に記載の方法を実現するために車両に搭載される設備
の構成を示すブロック図である。
【0145】図において、車両31はディーゼル機関車
などの先頭車両、車両33は旅客用の車両である。本実
施形態における旅客車両33では、すべての旅客車両3
3において進行方向における左側に個室が配置され、右
側に通路が配置されている。従って、個室内の乗客は左
方向の車窓風景は直接窓から展望することができるもの
の、右方向の車窓風景は通路に遮られてしまって展望す
ることができない。
【0146】先頭車両31の乗務員室には、展望が利か
ない側の車窓から見通し可能な展望風景を例えば前記実
施形態のような撮影カメラによって事前に撮影して記録
しておいたVTRテープを装填された映像再生装置45
が設置されており、この映像再生装置45には先頭車両
31の現在の走行位置を得るための列車位置検出装置4
7が接続されている。映像再生装置45には、列車位置
検出装置47によって得られた先頭車両31の現在走行
位置に同期させてVTRテープに保存された記録展望画
像を再生できるように、再生速度の調節機能と再生画像
の一時停止機能(スチル画像の再生)とが備えられてい
る。
【0147】先頭車両31にはまた、列車の走行中に車
窓から展望することができる自然物(山や河川)や人工
構造物(例えばレインボーブリッジや観音大仏、高層ビ
ル等)、ならびに列車路線の沿線に存在するホテル等の
サービス機関などについての展望画像に関係のある関連
情報を記録保存している関連情報データ再生装置49が
設置されており、その関連情報としては例えば、「○○
ブリッジは全長××kmで△△式の橋としては世界最
長。昭和○○年に完成。1日の通行自動車数はおよそ×
×台である。」のような情報が記録されている。
【0148】先頭車両31にはさらに、対象物の位置情
報を記録保存している対象物位置情報再生装置51が設
置されており、各種の対象物のそれぞれについて例えば
「○○湖は、列車が路線上の位置××にいる時に、車窓
の方位△△を中心に領域±□□のなかに展望できる(画
面上の座標△△を中心に領域±□□を占有して映ってい
る)。」といったように対象物の位置情報について記録
されている。
【0149】映像再生装置45と関連情報データ再生4
9と対象物位置情報再生装置51には共に列車位置検出
装置47から列車の現在の走行位置が提供されていて、
これらは相互に連携的に動作して、現在の走行位置に同
期するようにして、映像再生装置からは記録展望画像が
再生され、対象物位置情報再生装置51は沿線の対象物
が記録展望画像に出現するタイミングを生成し、関連情
報データ再生装置49は前述したような関連情報(主と
して文字データ情報)を出力する。
【0150】これらからの出力は列車内データ配信装置
53に入力されてデジタル信号に変換され、列車内デー
タ配信装置53からのデジタル出力は列車の編成を構成
するすべての車両33にわたって延設された光ファイバ
55を介して各車両33に伝送され、各個室内に設置さ
れた表示手段としてのマルチメディア端末57のデジタ
ル通信ポートへと接続されている。
【0151】マルチメディア端末57は図8(b)に詳
細に示すように、光ファイバ55から伝送されてきたデ
ジタルデータのうち、映像再生装置45から送信された
記録展望画像の情報を分離して取出す映像デコーダ57
aと、映像再生装置45から送信された関連情報を分離
して取出す関連情報デコーダ57bと、映像再生装置4
5から送信された対象物位置情報を分離して取出す関連
情報デコーダ57bとを備えている。そして、列車位置
検出装置47により得られた列車の現在走行位置と対象
物との位置を比較57dして、対応する関連情報の表示
出力57eを映像デコーダ57aの画像と合成57fし
て、CRTや液晶ディスプレイなどの表示手段57gの
画面上に表示する。
【0152】各個室内の乗客はマルチメディア端末57
の画面上において、通路を隔てた側の右側の車窓風景を
記録した展望画像を楽しむことができる。なお、本実施
形態においては先頭車両31の右側方向の展望風景のみ
を再生するように映像再生装置45を1台だけ設けた
が、展望することができない方向が個室毎に異なってい
る場合には、映像再生装置45を左右両方のために2台
設置すればよい。
【0153】以上のように本実施形態によれば、個室内
の乗客は、片側の車窓風景については直接窓を通して、
通路によって直接見ることができない他の側はTV画面
を介して、車両の両側方向を展望することができるよう
になる。そして、現在表示中の画面の視界内に著名な対
象物などが写ったときには、自動的にその対象物の名称
や関連情報が画面上に付加的にスーパーインポーズさせ
て表示される。また、沿線に存在するホテル等が鉄道会
社のスポンサーになっているような場合には、その付近
を通過したときにホテルの広告案内を付加的に表示させ
るような応用例も考えられる。
【0154】なお、関連情報を表示する方法としては、
次のような変形例も考えられる。常時表示する場合は、
例えばマルチメディア端末57の画面に表示された対象
物の位置に、その対象物の名称をスーパーインポーズし
て表示する方法がある。この場合には、個室内のマルチ
メディア端末57の機能によってスーパーする方法をと
ることで、個々の個室内の乗客の嗜好に応じて関連情報
の表示を禁止させたり、対象物の名称だけを表示させた
り、詳細な説明をも表示させたりと様々な表示態様を選
択することができる。また、配信元の列車内データ配信
装置53でスーパーした映像を作った後に配信する方法
もあり得る。特に、前述したようなスポンサーのための
広告案内表示などについては、個室内の乗客の好みに関
わらず、必ず広告がスーパーインポーズされるようにす
ることができる。
【0155】また、本実施形態の応用例として、現在表
示中の画面上の特定の対象物を乗客が特定することによ
って、当該対象物に関する関連情報が表示されるように
することもできる。こうした乗客のアクションとして
は、マルチメディア端末57にマウスのような指示入力
デバイス57を備えるようにしてそのポインティングデ
バイスによってその対象物を特定したり、表示されたボ
タンを押す、などの態様が考えられる。対象物が映像中
のどの位置にあるかを判別するためには、対象物位置情
報再生装置51からの位置情報を用いる。マルチメディ
ア端末57の表示画面57gに指示入力デバイス57h
としてタッチパネルを装備し、そのタッチパネル上で対
象物を指さすなどの方法も考えられる。また、アクショ
ンに応じて表示する場合には、例えば対象物が指示され
たときに、その対象物の案内情報を画面の一部に(例え
ばウインドウを出して)表示する方法もある。
【0156】(実施形態9)次に、本発明の第9の実施
形態について説明する。本実施形態は前記実施形態8の
変形例であって、前記実施形態と同様に請求項19乃至
請求項22に対応するもので、図9はかかる請求項に記
載の方法を実現するために車両に搭載される設備の構成
を示すブロック図である。
【0157】本実施形態においては、前記実施形態8が
関連情報の全てを各個室に向けて配信していたのとは異
なって、列車位置検出手段47による列車の現在走行中
の位置情報のみを各個室に向けて配信することとし、関
連情報のうち各種の案内情報は個室内のマルチメディア
端末59に予め記録保存しておくようにした。
【0158】かかる変形にともなって、マルチメディア
端末59は図9(b)に詳細に示すように、光ファイバ
55からは列車位置検出装置47による列車の現在走行
位置のみを取得するものとし、前記実施形態の映像再生
装置45に代るものとして、映像データベース59aと
映像再生装置59bとが備えられ、関連情報データ再生
装置49に代るものとして関連情報データベース59c
が備えられ、対象物位置情報再生装置51に代るものと
して対象物位置情報データベース59dと対象物位置情
報再生装置59eとが備えられている。その他の構成要
素については前記実施形態8と同様であるので図8
(b)と同一の符号を付している。
【0159】なお、実施形態8及び9の変形応用例の一
形態として、アクションや表示を実際の車窓に対して行
なう形態があっても良い。例えば、車窓の風景を指さし
て、あるいはポインティングデバイスで方向を指示し
て、情報表示の要求を出すという形態である。
【0160】上述した実施の形態は、本発明の理解を容
易にするために例示的に記載したものであって、本発明
の技術的範囲を限定するために記載したものではない。
換言すれば、本発明は、その技術的範囲に属するあらゆ
る設計変更や均等物を包括的に含む趣旨である。
【0161】すなわち、例えば、本実施形態中、展望が
利かない方向を主として対象とした展望確保方法につい
て言及したが、本発明はこうした態様のみに限定される
ことなく、展望の利く方向について本発明を適用するこ
とで、その映像及び関連情報を提供する態様をあえて除
外する趣旨ではないことを付言しておく。
【0162】
【発明の効果】以上説明したように本発明の鉄道車両の
個室における展望確保方法によれば、以下の効果が得ら
れる。
【0163】請求項1に記載の方法によれば、通路と個
室との配置デザインを工夫することで、個室内には車両
の進行方向に対して左右両側に展望窓を設けることがで
き、これにより左右両側の展望を確保することができ
る。
【0164】請求項2に記載の方法によれば、個室内の
座席の設置高さを通路の床面高さよりも高くすること
で、通路の天井面よりも上方に配置されている個室内の
展望窓の高さと座席に着座した乗客の視線高さとが一致
するようにしたので、乗客は両側の展望窓を通して左右
の風景を展望することができる。
【0165】請求項3に記載の方法によれば、個室の床
面自体を通路の床面高さよりも高くすることで、通路の
天井面よりも上方に配置されている個室内の展望窓の高
さと座席に着座した乗客の視線高さとが一致するように
したので、乗客は両側の展望窓を通して左右の風景を展
望することができる。
【0166】請求項4に記載の方法によれば、個室と通
路との間の隔壁に第2の展望窓を設けて個室内から通路
側を見通せるようにすると共に、通路の壁面にあたる車
両の個室とは反対側の外壁には第3の展望窓を設けるよ
うにしたので、個室内から第2の展望窓と第3の展望窓
とを通することで通路側方向の車窓風景の展望を確保す
ることができる。
【0167】請求項5に記載の方法によれば、個室内の
座席の設置高さを通路の床面高さよりも高くすること
で、個室内の座席に着座した乗客の視線高さからはその
高さに一致して設けられている第2の展望窓を通して通
路側方向の車窓風景を展望できるようにすると共に、通
路を歩行する人にとっては第2の展望窓は高すぎる位置
に設けられていることとなり、個室内を覗き見ることは
できなくなって、個室内のプライバシーを十分に守るこ
とができる。
【0168】請求項6に記載の方法によれば、個室内の
座席に着座した乗客の視線高さと展望窓とを一致させ、
しかも通路を通行する人の視線高さと少なくとも第2の
展望窓の高さとが一致しないようにしたので、個室内の
乗客は通路を通行する人から個室内を覗かれるおそれな
しに、第2の展望窓を通して通路側方向の車窓風景を十
分に展望し満喫することができる。
【0169】請求項7に記載の方法によれば、個室内の
座席に着座した乗客の視線高さと展望窓とを一致させ、
しかも通路を通行する人の視線高さと少なくとも第2の
展望窓の高さとが一致しないようにしたので、個室内の
乗客は通路を通行する人から個室内を覗かれるおそれな
しに、第2の展望窓を通して通路側方向の車窓風景を十
分に展望し満喫することができる。
【0170】請求項8に記載の方法によれば、車両の内
部空間の高さが十分に確保できる少なくともボギー台車
間の車両横断面を上下2層構造とし、下層には通路を、
上層には個室を、それぞれ配置するように車両のデザイ
ンを工夫することで、車両外壁の両側面にわたる個室空
間をもった個室を形成することができるようになって、
そのため個室内には車両の進行方向に対して左右両側に
展望窓を設けることができ、これにより左右両側の展望
を確保することができる。
【0171】請求項9に記載の方法によれば、車両を上
下2層構造に構成し、上層空間の全体を個室として確保
すると共に、下層の通路以外の空間は上層の個室空間と
連通させてメゾネット形式とすることでハイグレードの
個室を提供することができる。ここでメゾネット形式の
個室の上層部分は車両の左側壁から右側壁までわたるス
ペースを含むものとして提供され、しかも個室内におい
て左側壁と右側壁との両側の車両の外壁面には展望窓を
配置する。従って、この上層部分は線路からの高さが高
いことと相俟って、両側に設けた展望窓からゆったりと
且つ広々と車窓風景を見渡すように眺めながらくつろぐ
ためのいわば展望室的に利用することができる。また、
荷物の収納スペース(クロゼット)などは下層部分に配
置することができるので、可及的に上層の空間を広々と
確保することができる。
【0172】請求項10に記載の方法によれば、下層に
おける通路以外の残りの空間の部分については片側しか
展望のできない独立した個室として利用することとした
ので、車両内の下層の空間を有効に利用することができ
る。従って、乗客の要望や予算に応じて1両の車両中に
複数のバリエーションの個室を提供することが可能とな
って、多様化するニーズに対応することができる。しか
も、このような下層の個室にあっても請求項12以下に
記載した方法と組合わせることで、車両の進行方向にお
ける両側の展望を確保することができるようになる。
【0173】請求項11に記載の方法によれば、上下2
層構造の車両の下層における通路以外の残りの空間の部
分については車両の運行に必要な設備を配置するための
空間として利用することとしたので、車両内の制約され
た空間を総合的な観点から有効に利用することができ
る。特に、個室を備えた車両は一般的に長距離かつ長時
間の運行をする車両であると考えられるから、洗面室や
便所、シャワー室を必要としたり食堂車を含んだりする
ことになり、例えば山の手線のような都心の電車とは異
なった性質の大容積の設備を搭載しなければならないこ
とが多く、本請求項が請求項8に従属していること、つ
まり車両を上下2層構造として上層を個室空間として占
有することを前提にしていることを考慮すれば、このよ
うな下層の利用方法はきわめて現実的な選択であるとい
える。
【0174】請求項12に記載の方法によれば、通路に
遮られて個室内からは通路側の車窓風景が展望できない
ような車体構造の車両にあっても、通路側の展望を撮影
する撮影カメラを車両に取付けて、個室内のTV受像機
などの表示手段の画面上にて通路側の展望を見るように
したので、表示手段の画面を通したいわば間接的な展望
ではあるものの、従来は見ることのできなかった通路側
方向の車窓風景を十分に展望し満喫することができる。
【0175】請求項13に記載の方法によれば、編成を
構成する車両毎に通路の左右の配置が異なる場合や、列
車の編成の少ない台数の車両のみが個室車両になってい
るような場合において、必要のある車両だけに撮影カメ
ラを備えることができると共に、個室のグレードに対応
させて機能の異なる撮影カメラを装備することも可能に
なって、撮影風景画像の提供方法にバリエーションを付
けるなどの応用が可能になる。また、列車編成中の1両
の車両のみに撮影カメラを装備する場合には、編成の各
車両に撮影風景画像を伝送するケーブルなどの伝送系統
が必要となるが、必要な車両であって必要な方向のみに
専属の撮影カメラを装備すればそのような不都合を解消
することができる。
【0176】請求項14に記載の方法によれば、撮影カ
メラの必要台数が1台又は2台あれば十分であって撮影
カメラの台数が少ないだけ、コストダウンを図ることが
できる。
【0177】請求項14に記載の方法によれば、撮影カ
メラは先頭の車両に1台だけ取付ければよいので、カメ
ラ設備に要するコストを低廉化することができる。しか
も、撮影展望画像の表示タイミングを遅延させること
で、先頭付近の車両から見える車窓風景と後続車両から
見える車窓風景とのタイムラグを解消するようにしたの
で、肉眼で目視した展望と表示手段上に表示される展望
との間に時間差が生じて違和感を与えることはなくなっ
て、自然な車窓風景の展望を表示手段の画面上にて表示
することができる。
【0178】請求項16に記載の方法によれば、表示手
段に表示されるのは前もって記録された記録展望画像で
あるから、例えば夜間や悪天候にあっても昼間ならば見
えたであろう車窓風景を展望することが可能になる。従
って、同一の路線を常用するような乗客にとっては、た
とえ夜間であっても表示手段を見ることで、だいたいど
の辺を走行しているのかを把握することができると共
に、特に家族旅行のように子供が車窓風景を展望したい
にも関わらず、条件が悪くて外界が良く見えないような
場合においては、表示手段の画面上で車窓風景を展望さ
せて子供をなだめることができる。
【0179】請求項17に記載の方法によれば、画像再
生手段の必要台数が1台又は2台あれば十分であって画
像再生手段の台数が少ないだけ、コストダウンを図るこ
とができる。
【0180】請求項18に記載の方法によれば、画像再
生手段は編成中のいずれかの車両に1台だけ備えればよ
く、その動作タイミングを先頭車両からの車窓風景を基
準として再生するようにすればよいので、画像再生手段
の設備に要するコストを低廉化することができる。しか
も、記録展望画像の表示タイミングを遅延させること
で、先頭付近の車両から見える車窓風景と後続車両から
見える車窓風景とのタイムラグを解消するようにしたの
で、肉眼で目視した展望と表示手段上に表示される展望
との間に時間差が生じて違和感を与えることはなくなっ
て、自然な車窓風景の展望を表示手段の画面上にて表示
することができる。
【0181】請求項19に記載の方法によれば、ただ単
に両側の車窓風景の展望を確保するという効果のみなら
ず、展望中の風景についての解説情報などの関連情報が
提供されるので、車窓風景を展望しようという動機付け
が強まって、車窓風景を展望しながら列車で旅行を楽し
む魅力を大きくすることができる。このことは鉄道旅行
に対する新たな需要を創り出すことにもつながる。
【0182】請求項20に記載の方法によれば、例えば
表示手段上にめずらしい風景を発見した場合には、車窓
風景から消え去っても過去にさかのぼってその風景につ
いての関連情報を提示させることができ、乗客の好奇心
を満足させることができる。また、沿線に名物風景があ
る場合には、事前にその風景に関する関連情報の提示を
受けていわば予習しておいてから、その風景の名所をじ
っくりと鑑賞することができる。
【0183】請求項21に記載の方法によれば、個室内
の乗客が関心を示した対象についてのみ、乗客自身がそ
の対象を特定したときに関連情報が提示されるので、乗
客が興味のある情報のみを能動的に得ることができ、例
えば常に関連情報が提示され続けるのをうっとうしく感
じる乗客にとっても満足のできる関連情報の提示形態と
することができ、乗客自身が主体となって能動的に車窓
風景の展望を楽しむことができるようになる。
【0184】請求項22に記載の方法によれば、表示手
段の表示画面上に写し出された車窓風景を展望しつつ、
同一の画面上にて関連情報を読取ることができるので、
可及的に視線移動が小さくて疲労感が少なくて、あたか
も洋画の字幕を読みながら映画を鑑賞するような雰囲気
で、車窓風景の展望を満喫することができる。
【0185】請求項23に記載の方法によれば、車窓風
景の見えない側の展望を表示するための表示手段とは独
立させて、関連情報の提示手段を独立させたので、例え
ば薄型かつ小型の文字表示手段を直接展望のできる窓の
下部などに取付ければ、車窓風景を肉眼で展望しながら
関連情報を読取ることができるようになる。また、関連
情報の提示手段を独立させることは、例えば関連情報を
欲する乗客の個室にのみオプション料金を徴収して提示
手段を設置して、他の個室には設置しないような営業も
可能になる。さらに、提示手段として音声アナウンス手
段を採用すれば、風景を眺めては文字を読んで再び風景
を眺めるといった動作を繰返す必要がなく、関連情報の
解説を聞きながら車窓風景の展望に熱中することもで
き、車窓風景の展望を邪魔されずに風景の展望を満喫す
ることができるというきわめて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を採用した車両の構造を示す図であっ
て、車両の進行方向における後方からみた模式的な横断
面図である。
【図2】本発明の実施形態2による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を採用した車両の構造を示す図であっ
て、車両の進行方向における後方からみた模式的な横断
面図である。
【図3】本発明の実施形態3による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を採用した車両の構造を示す図であっ
て、車両の進行方向における後方からみた模式的な横断
面図である。
【図4】本発明の実施形態4による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を採用した車両の構造を示す図であっ
て、車両の進行方向における後方からみた模式的な横断
面図である。
【図5】本発明の実施形態5による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を採用した車両の構造を示す図であっ
て、車両の進行方向における後方からみた模式的な横断
面図である。
【図6】本発明の実施形態6による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を実現するために車両に搭載される設
備の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態7による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を実現するために車両に搭載される設
備の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態8による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を実現するために車両に搭載される設
備の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態9による鉄道車両の個室にお
ける展望確保方法を実現するために車両に搭載される設
備の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 車両 1a 左外壁 1b 右外壁 1c 車両天井 1d 車両底壁 3 通路 3a 通路床面 3b 通路天井 5 隔壁 5a 左隔壁 5b 右隔壁 7 個室 7a 個室床面 7b 階段 7c 座席 7d 上層空間 7e 下層空間 9a 左展望窓 9b 右展望窓 11 視線 13a 右展望窓(第1の展望窓) 13b 隔壁窓(第2の展望窓) 13c 左展望窓(第3の展望窓) 15 下部空間 17 ブラインド 19 ベッド 21 空間 31 先頭車両 33 旅客車両 39 列車内データ配信装置 41 伝送路 43 TV端末(表示手段) 45 映像再生装置 47 列車位置検出装置 49 関連情報データ再生装置 51 対象物位置情報再生装置 53 列車内データ配信装置 55 光ケーブル 57 マルチメディア端末(表示手段) 57a 映像デコーダ 57b 関連情報デコーダ 57c 対象物位置情報デコーダ 57d 位置比較手段 57e 対象物関連情報表示出力手段 57f 表示手段 57g 指示入力デバイス 59 マルチメディア端末(表示手段) 59a 映像データベース 59b 映像再生装置 59c 関連情報データベース 59d 対象物位置情報データベース 59e 対象物位置情報再生装置 P 乗客 A 他の乗客又は乗務員
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B61D 37/00 B61D 37/00 G

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道車両の車両横断面の左右いずれかの
    片側に通路を配置し、前記通路の上部空間が個室空間の
    一部として含まれるように個室を形成すると共に、前記
    個室の壁面を構成する車両外壁の両側面に展望窓を配置
    して、車両の進行方向における両側の展望を確保するこ
    とを特徴とする鉄道車両の個室における展望確保方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法において、 前記個室内の座席の設置高さを前記通路の床面の高さよ
    りも高くして、前記個室内の座席に着座した乗客の視線
    高さと前記展望窓の高さとをほぼ一致させて、車両の進
    行方向における両側の展望を確保することを特徴とする
    鉄道車両の個室における展望確保方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法において、 前記個室の床面の高さを前記通路の床面の高さよりも高
    くして、前記個室内の座席に着座した乗客の視線高さと
    前記展望窓とをほぼ一致させて、車両の進行方向におけ
    る両側の展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個
    室における展望確保方法。
  4. 【請求項4】 鉄道車両の車両横断面の左右いずれかの
    片側に通路を配置し、前記車両横断面における前記通路
    とは反対の側に個室を配置し、個室内の座席に着座した
    乗客の視線高さから前記車両の両側の風景が見えるよう
    に、前記個室の壁面を構成する車両一方の外壁と、前記
    個室と前記通路とを仕切る隔壁と、前記通路の壁面を構
    成する車両の他方の外壁と、のそれぞれに第1,第2,
    第3の展望窓を配置すると共に、前記通路を通行する人
    からは前記第2の展望窓を通して前記個室内が見えない
    ようにして、車両の進行方向における両側の展望を確保
    することを特徴とする鉄道車両の個室における展望確保
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法において、 前記個室内の座席の設置高さを前記通路の床面の高さよ
    りも高くして、前記個室内の座席に着座した乗客の視線
    高さと前記展望窓とをほぼ一致させつつ、前記通路を通
    行する人の視線高さと少なくとも前記第2の展望窓の高
    さとが一致しないようにし、車両の進行方向における両
    側の展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個室に
    おける展望確保方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法において、 前記個室内の床面の高さを前記通路の床面の高さよりも
    高くして、前記個室内の座席に着座した乗客の視線高さ
    と前記展望窓とをほぼ一致させつつ、前記通路を通行す
    る人の視線高さと少なくとも前記第2の展望窓の高さと
    が一致しないようにし、車両の進行方向における両側の
    展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載の鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法において、 前記個室内の床面の高さを前記通路の床面の高さよりも
    低くして、前記個室内の座席に着座した乗客の視線高さ
    と前記展望窓とをほぼ一致させつつ、前記通路を通行す
    る人の視線高さと少なくとも前記第2の展望窓の高さと
    が一致しないようにし、車両の進行方向における両側の
    展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法。
  8. 【請求項8】 鉄道車両の少なくともボギー台車間の車
    両横断面を上下2層構造とし、下層に通路を配置して、
    上層には車両外壁の両側面にわたる個室空間をもった個
    室を形成すると共に、前記個室の壁面を構成する車両外
    壁の両側面に展望窓を配置して、車両の進行方向におけ
    る両側の展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個
    室における展望確保方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法において、 前記下層における前記通路以外の空間を上層の個室と連
    通させ、前記上層の個室と合わせてメゾネット形式の個
    室を形成して、少なくとも個室の上層空間では車両の進
    行方向における両側の展望を確保することを特徴とする
    鉄道車両の個室における展望確保方法。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の鉄道車両の個室にお
    ける展望確保方法において、 前記下層における前記通路以外の空間を両側展望のでき
    ない独立した個室として利用することを特徴とする鉄道
    車両の個室における展望確保方法。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載の鉄道車両の個室にお
    ける展望確保方法において、 前記下層における前記通路以外の空間を前記車両の運行
    に必要な設備のための空間として利用することを特徴と
    する鉄道車両の個室における展望確保方法。
  12. 【請求項12】 鉄道車両の車両横断面の左右いずれか
    の片側に通路を配置し、前記車両の横断面における前記
    通路とは反対の側に個室を配置し、前記個室の壁面を構
    成する車両外壁の一方の側面には展望窓を配置して当該
    側方向の展望を確保すると共に、他の側方向の展望を確
    保すべく、前記他の側方向の展望を撮影する撮影カメラ
    を前記車両に備えると共に、前記個室内には前記撮影カ
    メラによる前記他の側方向の撮影展望画像を表示するた
    めの表示手段を備えて、車両の進行方向における両側の
    展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の鉄道車両の個室に
    おける展望確保方法において、 前記鉄道車両を編成する少なくとも一部の車両に当該車
    両専用の前記撮影カメラを備え、車両の進行方向におけ
    る両側の展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個
    室における展望確保方法。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の鉄道車両の個室に
    おける展望確保方法において、 前記鉄道車両を編成するいずれかの1両の車両にだけ前
    記撮影カメラを備え、その撮影展望画像を各車両の前記
    個室の前記表示手段へと伝送して、車両の進行方向にお
    ける両側の展望を確保することを特徴とする鉄道車両の
    個室における展望確保方法。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の鉄道車両の個室に
    おける展望確保方法において、 前記鉄道車両を編成する先頭の車両にだけ前記撮影カメ
    ラを備え、前記各個室の前記表示手段にあっては前記先
    頭車両からの通過時刻の差に合わせて遅延させた前記撮
    影展望画像を表示して、車両の進行方向における両側の
    展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個室におけ
    る展望確保方法。
  16. 【請求項16】 鉄道車両の車両横断面の左右いずれか
    の片側に通路を配置し、前記車両横断面の前記通路とは
    反対の側に個室を配置し、前記個室の壁面を構成する車
    両外壁の一方の側面には展望窓を配置して当該側方向の
    展望を確保すると共に、他の側方向の展望を確保するた
    めに、前記他の側を含む方向の展望を事前に記録してお
    いた記録展望画像を再生すべく、前記記録展望画像の保
    存された画像再生手段を前記車両の現在走行位置に同期
    するように再生動作させ、前記個室内には前記画像再生
    手段が再生した前記他の側方向の記録展望画像を表示す
    るための表示手段を備えることで、車両の進行方向にお
    ける両側の展望を確保することを特徴とする鉄道車両の
    個室における展望確保方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の鉄道車両の個室に
    おける展望確保方法において、 前記鉄道車両を編成するいずれかの1両の車両にだけ前
    記画像再生手段を備え、その記録展望画像を各車両の前
    記個室の前記表示手段へと伝送して、車両の進行方向に
    おける両側の展望を確保することを特徴とする鉄道車両
    の個室における展望確保方法。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の鉄道車両の個室に
    おける展望確保方法において、 前記鉄道車両を編成する先頭の車両にだけ前記画像再生
    手段を備え、前記各個室の前記表示手段にあっては前記
    先頭車両からの通過時刻の差に合わせて遅延させた前記
    記録展望画像を表示して、車両の進行方向における両側
    の展望を確保することを特徴とする鉄道車両の個室にお
    ける展望確保方法。
  19. 【請求項19】 請求項12乃至18のいずれか1項記
    載の鉄道車両の個室における展望確保方法において、 前記個室内の前記表示手段に現在表示中の画像に対応し
    た内容の関連情報を、付加的に提示することを特徴とす
    る鉄道車両の個室における展望確保方法。
  20. 【請求項20】 請求項12乃至18のいずれか1項記
    載の鉄道車両の個室における展望確保方法において、 前記個室内の前記表示手段に乗客の操作又は動作に従っ
    て現在又は過去又は将来に表示される画像に対応した内
    容の関連情報を、付加的に提示することを特徴とする鉄
    道車両の個室における展望確保方法。
  21. 【請求項21】 請求項12乃至18のいずれか1項記
    載の鉄道車両の個室における展望確保方法において、 前記個室内の前記表示手段に現在表示中の表示対象のい
    ずれかを乗客が特定したときに、当該対象に対応した内
    容の関連情報を、付加的に提示することを特徴とする鉄
    道車両の個室における展望確保方法。
  22. 【請求項22】 請求項19乃至21のいずれか1項記
    載の鉄道車両の個室における展望確保方法において、 前記関連情報の付加的な提示は前記表示手段の表示画面
    上に文字情報を重畳的に表示することで行なわれること
    を特徴とする鉄道車両の個室における展望確保方法。
  23. 【請求項23】 請求項19乃至21のいずれか1項記
    載の鉄道車両の個室における展望確保方法において、 前記関連情報の付加的な提示は前記表示手段とは独立し
    て備えられた他の提示手段によって行なわれることを特
    徴とする鉄道車両の個室における展望確保方法。
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