JP2001329076A - ポリフェニレンスルフィドフィルムおよびコンデンサー - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドフィルムおよびコンデンサー

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JP2001329076A
JP2001329076A JP2000154703A JP2000154703A JP2001329076A JP 2001329076 A JP2001329076 A JP 2001329076A JP 2000154703 A JP2000154703 A JP 2000154703A JP 2000154703 A JP2000154703 A JP 2000154703A JP 2001329076 A JP2001329076 A JP 2001329076A
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capacitor
polyphenylene sulfide
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pps
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Iwao Okazaki
巌 岡崎
Kenji Tsunashima
研二 綱島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンデンサーの加工適性を低下させることな
く、耐熱性および誘電特性等コンデンサー特性に優れた
PPSフィルムの問題点であった耐電圧を向上させたポ
リフェニレンスルフィドフィルムとコンデンサーを提供
する。 【解決手段】ポリフェニレンスルフィドを主体とし、エ
ンタルピー緩和温度が85〜120℃、エンタルピー緩
和量が0.01〜1.0kJ/molであり、かつ剛直
非晶量が10〜55%であるポリフェニレンスルフィド
フィルムであり、このポリフェニレンスルフィドフィル
ムの少なくとも片方の面に金属層を設けて巻回あるいは
積層してコンデンサーとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性(以下、耐
電圧と略称することがある)が高く、かつ加工性に優れ
たコンデンサー用に好適なポリフェニレンスルフィドフ
ィルムおよびそれを用いたコンデンサーに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリフェニレンスルフィドフィ
ルム(以下、単にPPSフィルムと略称することがあ
る)は、特開昭54−142275号公報等に開示され
ている。また、PPSフィルムをコンデンサーの誘電体
に用い、耐熱性、周波数特性および温度特性等に優れた
コンデンサーを提供することが、特開昭57−1873
27号公報等で提案されている。しかしながら、上記の
コンデンサーは耐電圧が低いため、大容量型のコンデン
サーへの使用が制限されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、コン
デンサーの加工適性を低下させず、耐熱性、誘電特性お
よび吸湿特性等のコンデンサー特性に優れた、特にその
耐圧性を向上させたポリフェニレンスルフィドフィル
ム、およびそのポリフェニレンスルフィドフィルムを用
いたコンデンサーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のポリフェニレンスルフィドフィルムは、(1)ポリ
フェニレンスルフィドを主体とし、エンタルピー緩和温
度が85〜120℃、エンタルピー緩和量が0.01〜
1.0kJ/molであり、かつ剛直非晶量が10〜5
5%であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド
フィルムであり、そして、本発明のコンデンサーは、
(2)上記のポリフェニレンスルフィドフィルムの少な
くとも片方の面に、金属層を設けて巻回あるいは積層し
てなるコンデンサーである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のポリフェニレンスルフィ
ドフィルム(PPSフィルム)は、ポリフェニレンスル
フィドを主成分とする樹脂組成物(以下、PPS組成物
と称することがある)を溶融押出し、二軸延伸、熱処理
して得ることができる。
【0006】本発明者らは、PPSフィルムの耐圧性向
上について鋭意検討した結果、非晶部分の緩和現象に起
因する構造の安定化と耐圧性の関係を見い出すに到っ
た。すなわち、本発明のPPSフィルムは、耐圧性の点
からエンタルピー緩和温度が85〜120℃、好ましく
は90〜110℃で、エンタルピー緩和量が0.01〜
1.0kJ/mol、好ましくは0.02〜0.5kJ
/molのPPSフィルムである。PPSフィルムは、
ガラス転移温度以下の温度でポリマー中の非晶部は緩和
現象を起こすが、エンタルピー緩和量が0.01kJ/
mol未満では非晶構造の緩和現象が不足するため、耐
圧性が向上しない。また、緩和量が1.0kJ/mol
を超える量を達成するためには、実際に製品として用い
る場合、エージング処理等が必要以上に長時間化する問
題がある。
【0007】本発明のPPSフィルムの剛直非晶量は、
耐圧性の点から10〜55%、好ましくは20〜55
%、さらに好ましくは30〜55%である。剛直非晶
は、ガラス転移温度以上でも可動とならず、拘束された
状態の非晶であるが、この剛直非晶が10%未満の場合
は、工程で熱が加わり、ガラス転移温度以上に上がった
場合、フィルム構造が大きくゆるむので耐圧性が不良と
なる。また、この量が55%を超える場合は、脆くなる
ので耐圧性が満足できなくなる。
【0008】本発明におけるPPS樹脂組成物とは、P
PSを好ましくは70重量%以上、より好ましくは85
重量%以上含む樹脂組成物をいい、残りの30重量%未
満、好ましくは15%未満であれば、有機または無機の
添加剤、不活性粒子あるいは帯電防止剤等を含むことは
差し支えない。また、PPSとは、好ましくは繰り返し
単位の70モル%以上、より好ましくは85モル%以上
がチオ−1,4−フェニレンからなる重合体をいう。か
かる成分が70モル%未満では、ポリマーの結晶性と軟
化点等が低下し、PPSの特長である耐熱性、寸法安定
性および機械特性等が損なわれる場合がある。
【0009】上記PPSにおいて、繰り返し単位の30
モル%未満、好ましくは15モル%未満であれば、共重
合可能なスルフィド結合を有する単位が含まれていても
差し支えない。該重合体の共重合の仕方はランダム共重
合体、ブロック共重合体を問わない。また、本発明のP
PS樹脂組成物の溶融粘度は、温度300℃、せん断速
度200sec-1 の下で好ましくは100〜5000
0ポイズ、より好ましくは500〜12000ポイズの
範囲であることが製膜性の面で好ましい。
【0010】本発明のPPSフィルムには、耐圧性の点
から、無機粒子および/または有機粒子が含有されてい
ることが好ましい。無機粒子および/または有機粒子の
平均粒径は特に限定されないが、好ましくは0.1〜
3.0μm、より好ましくは0.1〜2.0μmであ
る。また、その含有量は特に限定されないが、好ましく
は0.01〜1.0重量%である。
【0011】かかる粒子としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、シリカ、酸化
チタン、架橋剤としてポリスチレンを用いた有機粒子、
カーボンブラック等から選ばれる粒子が好ましく例示さ
れる。これらの粒子を複数併用してもよい。粒子粒度分
布の相対標準偏差は特に限定されないが、好ましくは
1.0以下、より好ましくは0.5以下の場合に特に耐
圧性が向上する。
【0012】本発明のPPSフィルムの厚さは特に限定
されないが、好ましくは3μm以下、より好ましくは2
μm以下の場合に、本発明の目的を特に効果的に達成す
ることができる。
【0013】また、易接着効果を持たせる目的で、PP
Sフィルムの片面または両面に、コロナ処理、プラズマ
処理あるいはプライマー処理などの表面処理が施されて
いてもよい。
【0014】本発明のコンデンサーは、電気回路の受信
回路素子の一種で、誘電体を挟んで導体からなる一対の
電極を設けることにより、両電極間に一定の静電容量を
与えるものを意味し、蓄電器あるいはキャパシターなど
と呼ばれるものである。本発明のコンデンサーは、上記
のPPSフィルムの少なくとも片方の面に、金属層を設
けて巻回あるいは積層してなるものである。本発明のコ
ンデンサーの電極は、金属の薄膜または箔からなり、形
状、材質等は特に限定されるものではない。
【0015】次に、本発明の特にコンデンサー用として
好適なPPSフィルムの製造方法と、該PPSフィルム
を用いたコンデンサーの製造方法について説明する。但
し、本発明の製造方法は、この方法に限定されるもので
はない。
【0016】まず、本発明のPPSフィルムの製造方法
について述べる。
【0017】本発明のPPSは、硫化アルカリとパラジ
ハロベンゼンを極性溶媒中で高温下で反応させることに
よって得ることができる。特に、硫化ナトリウムとパラ
ジクロルベンゼンを、N−メチル−ピロリドン(以下N
MPと略称することがある)等のアミド系高沸点溶媒中
で反応させることが好ましい。重合度を調整するため
に、苛性アルカリやカルボン酸アルカリ金属塩などの重
合助剤を添加して、230〜280℃の温度で反応させ
ることが好ましい。重合系内の圧力と重合時間は、所望
する重合度、使用する重合助剤の種類や量などのよって
適宜決定することができる。
【0018】得られたPPSに、滑剤等の添加剤を添加
してヘンシェルミキサー等でブレンドし、エクストルー
ダーに代表される押出機、好ましくは一段以上のベント
孔を有する押出機に供給して290〜360℃の温度で
溶融混練して任意の口金から押出してPPS樹脂組成物
を得る。
【0019】該PPS樹脂組成物を溶融押出装置に供給
し、該PPS樹脂組成物の融点以上、好ましくは290
〜360℃の温度で溶融してスリット状のダイから押出
し、回転する金属ドラム上でキャストするなどの方法で
急冷して、未延伸、無配向のフィルムを得る。
【0020】得られた未延伸フィルムを二軸延伸フィル
ムにするには、上記で得られた未延伸、無配向フィルム
を、周知の逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの方法
を用いることができる。延伸条件は、85〜105℃の
温度で両軸各1.5〜4.5倍の範囲の倍率で行なうこ
とが好ましい。
【0021】このようにして得られた二軸延伸フィルム
は、次に、好適には15%以下の制限下で熱処理され
る。熱処理温度は、剛直非晶量を本発明の範囲とする上
で、好ましくは180℃〜融点、より好ましくは200
〜285℃の範囲であり、本発明では当該温度で1〜6
0秒熱処理する方法が好適である。また、工程速度が速
く常温への移行が速いと剛直非晶量は少なくなるので、
剛直非晶を増すために熱処理ゾーンから室温への移行を
3段階以上で段階降温する方法も、剛直非晶量を本願範
囲とするのに有効である。
【0022】さらに、巻かれたフィルムロールを、好ま
しくは40℃以上かつガラス転移温度以下、より好まし
くは(ガラス転移温度−30℃)以上かつガラス転移温
度以下、さらに好ましくは(ガラス転移温度−20℃)
以上かつガラス転移温度以下の温度で、好ましくは6時
間以上、より好ましくは12時間以上、さらに好ましく
は24時間以上放置(エージング)することはエンタル
ピー緩和量を本発明範囲とする上で特に好ましい。エー
ジング条件は、一定温度を保つ恒温条件であってもよ
く、また、上記の温度範囲で変位幅5〜10℃で周期的
に変化させる方法もエンタルピー緩和量を本発明範囲と
する上で特に好ましい。
【0023】次に、本発明のコンデンサーの製造方法に
ついて述べる。
【0024】コンデンサーの内部電極としては、金属箔
が用いられる場合は金属箔と本発明のPPSフィルム
を、箔はみだし巻回法や巻回途中でタブを挿入する方法
などによって交互に重ね合わせて巻き取るなどして誘電
体と電極を交互に重ね合わせ、かつ外部に電極が引き出
せるような構造となるように巻回してコンデンサー素子
あるいはコンデンサー母素子を得る。
【0025】また、コンデンサーの内部電極として金属
薄膜が用いられる場合は、まず、上述した本発明のPP
Sフィルムを金属化する。PPSフィルムを金属化する
方法としては、蒸着によりPPSフィルム上に金属層を
形成する方法が好ましく用いられる。蒸着に用いられる
金属は、アルミニウムを主たる成分とする金属が好まし
い。金属化する際、予め金属化する側のフィルム表面に
コロナ放電処理やプラズマ処理などの処理によって、金
属薄膜とフィルムとの密着力を向上させることもでき
る。PPSフィルムを金属化する際、あるいは金属化後
に、対向電極が短絡しないようにテープマスク、オイル
マージン、あるいはレーザービーム等により非金属化部
分(いわゆるマージン)を設けることが常法であるが、
全面に金属蒸着した後に、放電やレーザー光線などを用
いて非金属化帯を設けることもできる。その後、一方の
端にマージン部分がくるように細幅のテープ状にスリッ
トすることもある。
【0026】次に、コンデンサー素子を製造する。巻回
型コンデンサーを得る場合は、金属化フィルムを、一方
の端にマージン部分がくるように細幅のテープ状にスリ
ットしたフィルムを2枚重ねて、あるいは両面金属化フ
ィルムと非金属化フィルムを重ねて個々の素子を個別に
巻いていく方法が常法である。また、両面金属化フィル
ムに、コーティング法などで第2の誘電体を設けた1枚
の複合フィルムを巻回する方法もある。
【0027】積層型コンデンサーの場合は、大径のドラ
ム、あるいは平板に巻回してコンデンサー母素子を得
る。
【0028】巻回型コンデンサーを製造する場合は、上
記のようにして得られたコンデンサー母素子をプレス成
形することが一般的である。このとき、100℃以上、
PPSフィルムの融点以下の温度に加熱することもでき
る。その後、外部電極の取り付け工程(金属溶射、導電
性樹脂等による)、必要に応じ樹脂または油含浸工程、
リード付きタイプのコンデンサーとするときはリード線
の取り付け工程、外装工程を経てコンデンサーを得るこ
とができる。
【0029】積層型コンデンサーの場合は、大径のドラ
ム、あるいは平板に巻回下母素子を熱処理する、あるい
はリング等で締め付ける、あるいは平行平板等でプレス
するなどフィルムの厚さ方向に圧力を加えて成形する。
その際の温度範囲は、好ましくは常温からフィルムの融
点以下である。この後、外部電極の取り付け工程(金属
溶射、導電性樹脂による)、個々の素子切り出し工程、
必要なら樹脂または油含浸工程を経てコンデンサーを得
ることができる。
【0030】[特性の評価方法]本発明の記述に用いた
特性の評価方法および評価の基準は、下記のとおりであ
る。
【0031】(1)剛直非晶量、エンタルピー緩和温度
およびエンタルピー緩和量 TAInstrument社(TAインストルメント社)製MDS
C2920を用いた。冷却は機械的冷却装置により、測
定セルのパージガスは乾燥窒素30ml/分とした。ま
ず、サンプルの比熱を測定する。比熱測定は23mgの
サファイヤで校正し、測定はサンプル重量5mg、温度
変調周期60秒、温度変調振幅1K、平均昇温速度0の
等温測定条件(ある温度で20分間測定し、後半の10
分をデータとして採用する。次に2K温度を上げ、同様
の測定を繰り返す)で行なった。ガラス転移温度は、ポ
リマー中の非晶の比熱がガラス状態から液体状態まで変
化する全変化量の1/2の温度で定義される。非晶割合
はガラス転移温度での全体の比熱変化量をPPSの10
0%非晶量(29.2J/(mol・K))で割った値
を%で表した。
【0032】結晶化度はサンプル5mgで、温度変調な
しで20K/分で昇温し、結晶融解ピーク面積を求め、
PPSの100%結晶化度を8.65kJ/molとし
て%で求めた。剛直非晶量は100%から非晶割合
(%)と結晶化度(%)を差し引いた値である。
【0033】エンタルピー緩和温度は、結晶化度を求め
る場合と同条件でガラス転移温度付近の吸熱ピークの温
度を、エンタルピー緩和量はそこでの吸熱ピーク面積を
求めた。
【0034】(2)粒子の平均粒径 フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1
万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約10
0nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。粒
子の平均径dは重量平均径(等価円相当径)から求め
る。相対標準偏差は標準偏差を平均値で割った値であ
る。
【0035】(3)粒子の含有量 ポリマは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、粒子
をポリマから遠心分離し、粒子の全体重量に対する比率
(重量%)をもって粒子含有量とする。場合によっては
赤外分光法の併用も有効である。
【0036】(4)コンデンサー耐電圧性 フィルム表面にアルミニウム蒸着し下記条件でコンデン
サーを作成して直流3kV耐圧試験器(春日電機製)で
印加電圧昇圧速度100V/secで測定し、電圧昇圧
中に電流が10mA以上の電流が流れ、電圧昇圧が止ま
った時の電圧を耐電圧とし、20個の平均値を求めフィ
ルムの厚み当たりの電圧(V/μm)で評価した。その
基準は、剛直非晶量が10%未満のPPSフィルムから
なるコンデンサー耐電圧の平均値を100として今回作
成したコンデンサーの耐電圧から下記基準で評価した。
該値が大きい程耐電圧の改善効果が大きい。
【0037】[コンデンサー作成条件] アルミニウム蒸着 : 2Ω/□ フィルム幅 : 13mm マージン幅 : 1mm 静電容量 : 0.35μFに制御 [プレス条件] 温度 : 150℃ 圧力 : 25kg/cm2 時間 : 5分 外部電極の取り付け : メタリコン溶射法 [評価基準] ○ : 106%以上の耐圧改善向上効果がある。
【0038】△ : 102%以上105%の耐圧
改善向上効果がある。
【0039】× : 102%未満で耐電圧の向上
効果は全くない。
【0040】(5)コンデンサーの耐ハンダ性 コンデンサーの素子部分を260℃の溶融ハンダに5秒
間浸漬して静電容量変化率を測定した。
【0041】これを△C/Cで示し、下記基準でハンダ
耐熱性を評価した。ここで、Cは浸漬前の静電容量、△
Cは浸漬後の静電容量から浸漬前の静電容量を差し引い
た値である。
【0042】 ○ : ハンダ耐熱性が良好 △C/C≧−5 △ : ハンダ耐熱性が実用範囲 −5>△C/C≧−
10 × : ハンダ耐熱性不良 −10>△C/C
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例を挙げて説明する。
【0044】(実施例1) (1)PPSフィルムの製造 PPSポリマーとして、東レ(株)製T1880の粉末
を使用し、このPPSポリマー粉末に、平均粒径¥0.
8μmの凝集シリカを0.5重量%ブレンドしてベント
付き二軸押出装置でPPS樹脂組成物を得た。
【0045】該PPS樹脂組成物を180℃の温度で5
時間真空乾燥して、40mm孔径の押出機に供給し、3
20℃で溶融押出し、600mm幅の直線状のリップを
有する口金(間隙1mm)でシート状に成形した後、4
0℃の温度に制御した金属ドラムでキャストして、30
μm厚さのPPS未延伸フィルムを得た。このPPS未
延伸フィルムを、逐次二軸延伸装置で長手方向に3.7
倍、幅方向に3.5倍延伸した。延伸温度は、長手方
向、幅方向とも99℃であった。このフィルムを270
℃で熱処理し、室温には3段階に分け200℃まで3
秒、150℃まで5秒、80℃まで10秒とした。得ら
れたフィルムの厚さは1.2μmであった。その後、そ
の二軸配向PPSフィルムを80℃、60RH%の環境
下で24時間放置した。結果を表1に示す。
【0046】(2)コンデンサーの製造 上記で得られたPPSフィルムに、抵抗値が2Ωになる
ようにアルミニウムを真空蒸着した。その際、長手方向
に走るマージンを有するストライプ状に蒸着(フィルム
幅12mm、マージン幅1mmの繰り返し)した。この
アルミニウム蒸着フィルムの各蒸着部中央と各マージン
の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に0.5
mmのマージンを有する全幅6.5mmのテープ状にし
て巻き取った。得られたテープを左マージンおよび右マ
ージンのもの、各1枚ずつを重ね合わせて巻回し、静電
容量0.35μFの巻回体を得た。その際、幅方向に蒸
着部分がマージン部より0.5mmはみだすように2枚
のフィルムをずらせて巻回した。これらの巻回体から芯
材を抜いて、そのまま150℃の温度、25kg/cm
2の圧力で5分間プレスした。さらに、両端面をメタリ
コンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を
220℃で2時間熱処理した後、粉体エポキシ樹脂によ
る外装を施し(平均外装厚み0.5mm)、コンデンサ
ーを作成した。 このPPSフィルムコンデンサーの特
性は、表2に示したとおりであり、耐圧性が良好であっ
た。
【0047】(実施例2)上記実施例1と同様にして、
但し、得られた二軸配向PPSフィルムを60RH%の
環境下で、75〜85℃で1周期30分で周期的に温度
を変化させエージングを行い、24時間放置した。実施
例1と同じ条件でコンデンサーを作成した。結果を表1
と表2に示す。
【0048】(比較例1)上記実施例1の特性と比較す
るために、実施例1の方法で同様にして、但し、熱処理
以降、直接室温に移行し、フィルム巻き取り後のロール
エージングを施さず、実施例1と同じ条件でコンデンサ
ーを作成した。結果を表1と表2に示す。
【0049】(比較例2)熱処理温度を220℃にした
以外は、比較例1の方法と同様にしてPPSフィルムを
得た。また、得られたPPSフィルムを用いて、実施例
1の条件でコンデンサーを作成した。結果を表1と表2
に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、上記したようにPPS
のガラス転移温度、剛直非晶量等を規定したので、コン
デンサーとしての特性を低下させることなく、従来の問
題点であった絶縁性(耐電圧)を大幅に向上させたコン
デンサー用に特に好適なPPSフィルムおよび該PPS
フィルムを誘電体として用いたコンデンサーが得られ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA62 AB03 AB18 AB21 AB30 AF11 AF11Y AH12 BA01 BB06 BC01 4J002 CN011 DA036 DE136 DE146 DE236 DJ016 GQ00 5E082 AB03 AB04 BC35 EE03 EE07 EE17 EE23 EE24 EE37 FF18 FG06 FG22 FG34 FG48 FG54 FG56 FH18 GG04 GG06 HH25 HH48 JJ03 JJ22 JJ23 LL03 MM22 MM24 PP06 PP09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンスルフィドを主体とし、
    エンタルピー緩和温度が85〜120℃、エンタルピー
    緩和量が0.01〜1.0kJ/molであり、かつ剛
    直非晶量が10〜55%であることを特徴とするポリフ
    ェニレンスルフィドフィルム。
  2. 【請求項2】 フィルムが平均粒径0.1〜3μmの粒
    子を含有し、該粒子粒度分布の相対標準偏差が1.0以
    下であることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレ
    ンスルフィドフィルム。
  3. 【請求項3】 フィルム厚みが3μm以下であることを
    特徴とする請求項1または2記載のポリフェニレンスル
    フィドフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリ
    フェニレンスルフィドフィルムの少なくとも片方の面
    に、金属層を設けて巻回あるいは積層してなるコンデン
    サー。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096298A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Toray Ind Inc ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびコンデンサー用部品
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CN110060870A (zh) * 2019-04-09 2019-07-26 安徽开博电容科技有限公司 一种低损耗层叠结构金属化膜电容器及其制作方法
CN114127193A (zh) * 2019-09-04 2022-03-01 东丽株式会社 双轴取向聚芳撑硫醚膜

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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