JP2008282908A - コンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムおよびフィルムコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムおよびフィルムコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】積層フィルムコンデンサを製造した際に、コンデンサ表面のフィルムめくれの発生が無く、優れた耐電圧性を示し、加工収率を改善できるフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも片面のフィルム表面に山脈状の突起を形成させるとともに、高さが250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、アスペクト比が5以上30以下である突起構造の個数が10000μm2あたり10個以上50個以下であるコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明はコンデンサ用フィルムに関し、優れた耐電圧を示し、層間剥離が生じないフィルムを提供する。さらに、上記フィルムから得られるコンデンサに関するものである。
二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムは、優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性を持つことから、電気絶縁材料、電子部品、音響振動板、離型材など様々な分野に単体または複合体の形体で使用されている。
従来から二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムの性質を改善するために、これに不活性粒子を配合することが知られている。例えば特許文献1には、二軸配向ポリ−p−フェニレンサルファイドフィルムをコンデンサに用いた場合に、その容量および絶縁破壊電圧のバラツキを小さくするために、微細突起密度および粗大突起密度を一定範囲に調整した二軸配向ポリ−p−フェニレンサルファイドフィルムが提案されており、必要に応じて溶融押出工程以前の任意の段階で、樹脂組成物中に微粒子を分散させることが開示されている。
特許文献2には、粒径0.01〜5μmの不活性無機粒子と特定嵩密度のポリ−p−フェニレンサルファイド樹脂粉末とを混合し、溶融押出して微粒子を分散させる方法が開示されている。
さらに、特許文献3、特許文献4などには固体微粒子として特定形状の炭酸カルシウムを用いることが開示されている。炭酸カルシウムの使用によって、滑り性が良好で粗大突起や粒子脱落の少なく、ポリマーと粒子の親和性を上げることでボイドを小さくできることからフィルムの絶縁欠陥が少なくできたことが示されている。
しかしながら、このような従来公知の方法には次のような欠点があり、改善が要望されていた。二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムを用いた積層コンデンサにおいて、上記のような方法でフィルムの表面構造が単一粒子で均一になることにより、フィルム層間での密着力が弱くなり層間剥離やコンデンサ表面でのフィルムめくれが発生し、外観不良さらには耐電圧不良をも引き起こすことが問題となっていた。
特開昭60−257510号公報 特開昭63−245442号公報 特開2004−149740号公報 特開2006−104369号公報
本発明の課題は、積層フィルムコンデンサを製造した際に、コンデンサ表面のフィルムめくれの発生が無く、優れた耐電圧性を示し、加工収率を改善できるフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明のコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムは次の構成を有する。すなわち、少なくとも片面のフィルム表面に山脈状の突起構造を有する二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムであって、高さが250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、アスペクト比が5以上30以下である突起構造の個数が10000μmあたり10個以上50個以下であることを特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムである。
本発明で提供されるフィルムを用いることにより、積層フィルムコンデンサを製造した際に、コンデンサ表面のフィルムめくれの発生が無く、優れた耐電圧性を示し、加工収率を改善することができる。
以下に本発明の最良の実施形態を説明する。
本発明において、ポリフェニレンサルファイドとは、繰り返し単位80モル%以上(好ましくは90モル%以上)が次の化学式で示される構成単位からなる重合体をいう。
Figure 2008282908
かかる成分が20モル%未満ではポリマーの結晶性、軟化点が低くなり、得られるフィルムの耐熱性、寸法安定性および機械的特性などを損なう。繰り返し単位の20モル%未満(好ましくは10モル%未満)であれば、共重合可能なスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。該重合体の共重合の仕方はランダム、ブロックを問わない。
本発明においてポリフェニレンサルファイド樹脂組成物とは上記ポリフェニレンサルファイド(好ましくはポリ−p−フェニレンサルファイド)を90重量%以上含む樹脂組成物をいう。樹脂組成物中の残りの10重量%未満は、ポリフェニレンサルファイド以外のポリマーおよび/または充填剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤等の添加物であってもかまわない。また、本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物の溶融粘度は温度300℃、せん断速度200sec−1のもとで100〜50000ポイズ、さらには500〜12000ポイズの範囲が製膜性の面で好ましい。
本発明のポリフェニレンサルファイドフィルムとは、上記ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物を溶融成形した二軸延伸フィルムである。該フィルムの厚さは0.5〜6μm、さらには0.7〜3μmの範囲が本発明の目的を効果的に達成する点で好ましい。また、易接着効果を持たせる目的で、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理を単体または複合の表面処理が施されてもよい。
本発明においてコンデンサとは、電気回路の一種で、誘電体を挟んで導体からなる一対の電極を設けることにより、両電極間に一定の静電気量を与えるものを意味し、蓄電器、キャパシタなどと呼ばれるものである。
次に、本発明のコンデンサ用ポリフェニレンサルファイドフィルムおよび該フィルムを用いたコンデンサの好ましい製造方法の例を説明する。ただし、本発明の製造方法はこの方法に限定されるものではない。
まず、ポリフェニレンサルファイドフィルムの製造方法について述べる。
ポリフェニレンサルファイドの重合方法としては、硫化アルカリとp−ジハロベンゼンを極性溶媒中で高温に反応させる方法を用いる。特に、硫化ナトリウムとジクロロベンゼン(好ましくはp−ジクロロベンゼン)をN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称することがある)等のアミド系極性溶媒中で反応させるのが好ましい。この場合、重合度を調節するために、苛性アルカリ、カルボン酸アルカリ金属塩等のいわゆる重合助剤を添加して230〜280℃で反応させるのが最も好ましい。重合系内の圧力および重合時間は、使用する助剤の種類や量をおよび所望する重合度などによって適宜決定される。重合を終わったポリマーを例えばN−メチルピロリドンのようなポリフェニレンサルファイドと親和性のある溶媒で高温洗浄した後に水洗、乾燥することでポリフェニレンサルファイド粉末が得られる。
このようにして得られた樹脂粉末に例えば無機や有機の添加剤をヘンシェルミキサー等でブレンドし、押出機、好ましくは一段以上のベント孔を有する押出機に供給して290〜360℃の温度で溶融混練して適当な口金から押し出してポリフェニレンサルファイド樹脂組成物を得ることができる。
上記樹脂組成物を溶融押出装置に供給し、該樹脂組成物の融点以上、好ましくは290〜360℃の温度で溶融して、スリット状のダイから押し出し、回転する金属ドラム上でキャストするなどの方法で急冷して未延伸、無配向のフィルムを得る。
次いで、この未延伸フィルムを長手方向ならびに長手方向と直行方向に延伸する。この延伸条件が本発明の山脈構造を作る上で極めて重要であり、最適な延伸条件においてのみ本発明の効果を達成できる。まず、長手方向に延伸するために駆動ロール間に表面温度が90℃以上120℃未満の複数本のフリーロール群に巻き付け、延伸区間を50mm〜500mm、好ましくは200mm〜300mmとなるようにフリーロールの本数を調整し、長手方向に3〜5倍に延伸し一軸延伸フィルムとする。
一軸延伸したフィルムをテンターを用いてフィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して長手方向と直行方向に延伸する。テンター内では、予熱温度が90℃〜100℃、好ましくは93℃〜97℃であり、かつ延伸温度が95℃〜105℃、好ましくは98℃〜102℃がよいことを見出した。上記の温度範囲で予熱、延伸することによって、フィルムの結晶化が進み、本発明に必要な山脈状の突起構造を作ることができた。予熱、延伸温度が上記の温度範囲以下であると、フィルムの結晶化が十分ではないため山脈状の突起構造は得られず、また予熱、延伸温度が上記の温度範囲以上であるとフィルムの結晶化が進み過ぎることによってフィルムが破断する問題がある。上記温度範囲内で長手方向と直交方向に2〜4倍延伸して二軸配向フィルムを作り、引き続きテンター内で200℃以上融点以下の温度範囲で2〜60秒間定長熱処理し、必要に応じて引き続き200℃以上融点以下の温度範囲で制限収縮させて二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムを作製した。
本発明における有益なフィルム表面の山脈状の突起構造は、上記の方法で得られた二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムの表面を観察し、高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、アスペクト比が5以上30以下であるものを指す。本発明者らは鋭意検討することにより、その山脈状の突起構造が10000μmあたりの10個以上50個以下であるとき、そのフィルムを用いて積層フィルムコンデンサを製造した際に、コンデンサ表面のフィルムめくれの発生が無く、優れた耐電圧性を示し、加工収率を改善することができることを見出した。短径2μm以上の突起構造の内、アスペクト比が5以上30以下の山脈状の突起構造は、形成される該突起構造によりフィルム表面の滑り性が得られ、コンデンサ作製時の熱処理工程でのフィルム収縮力が層間密着力として有効に働く。アスペクト比が5より小さい山脈状の突起構造やアスペクト比が30より大きい山脈状の突起構造は、フィルム長手方向、幅方向の収縮力のバランス関係からコンデンサを作製したときの有効な層間密着力にはならない。また、山脈状の突起構造が10000μmあたり10個以下であると、フィルムの層間密着力が弱くコンデンサ表面でフィルムめくれが発生してしまう。また、山脈状の突起構造が10000μmあたり50個以上であると、コンデンサ作製時のプレス工程においてフィルムに多数のキズが発生し、コンデンサの耐電圧性が著しく低下してしまうことがわかった。
次に、本発明のコンデンサの好ましい製造方法の例について述べる。
コンデンサの内部電極としては、金属箔が用いられる場合は金属箔と本発明の積層フィルムを箔はみだし巻回法や巻回途中でタブを挿入する方法などによって交互に重ね合わせて巻き取るなどして誘電体と電極を交互に重ね合わせ、かつ外部に電極が引き出せるような構造となるように巻回してコンデンサ素子あるいはコンデンサ母素子を得る。
また、コンデンサの内部電極として金属薄膜が用いられる場合は、まず上述した本発明のフィルムを金属化する。金属化の方法は蒸着による方法が好ましい。蒸着する金属はアルミニウムを主たる成分とする金属が好ましい。金属化する際、予め金属化する側のフィルム表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などの処理を施し、金属薄膜とフィルムとの密着力を向上させることもできる。金属化する際、あるいは金属化後に対向電極が短絡しないようにテープマスク、オイルマージンあるいはレーザービーム等により非金属部分(いわゆるマージン)を設けることもできる。その後、一方の端にマージン部分がくるように細幅のテープ状にスリットすることもある。
次にコンデンサ素子を製造する。積層型コンデンサの場合は、ドラムあるいは平板に巻回した母素子を熱処理する、あるいはリング等で締め付ける、あるいは平行平板等でプレスするなどフィルムの厚さ方向に圧力を加えて成形する。その際の温度範囲は常温からフィルムの融点以下である。この後、外部電極の取り付け工程(金属溶射、導電性樹脂等による)、個々の素子切り出し工程、必要なら樹脂または油含浸工程を経てコンデンサを得ることができる。
[物性の測定方法]
1.山脈状の突起構造の測定
フィルム表面の山脈状の突起構造は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)AFMを用いて測定した。具体的には、セイコーインスツルメント(株)製の卓上小型プローブ顕微鏡(“Nanopics”1000)を用い、ダンピングモードでフィルムの表面を10000μmの範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られたイメージデータから粒子解析を行う。粒子解析でのしきい値を250nmとし、図に示したように一つの山脈構造に対しフィルム長手方向、幅方向にそれぞれ平行な線を引き、山脈構造を挟む距離をそれぞれ測定し、長い方を長径、短い方を短径とする。短径が2μm以上の山脈構造の中で、長径を短径で割ったときの値をアスペクト比とし、各アスペクト比に対する山脈構造の個数を数える。
[測定条件]
測定モード :ダンピングモード
測定方向 :幅方向
測定領域 :100×100μm
スキャンスピード :380s/FRAME
スキャン回数 :512本
振幅モード :HH(100%)
2.コンデンサ表面のフィルムめくれ発生率
フィルムにアルミ蒸着し、下記条件で積層コンデンサを作製して、目視によりコンデンサ表面のめくれ発生個数を確認し、発生している割合を百分率(%)で表した。
◎:めくれ発生率 1%未満
○:めくれ発生率 1%以上5%未満
×:めくれ発生率 5%以上
[コンデンサ作製条件]
アルミニウム蒸着 :2Ω/□
フィルム幅 :9mm
マージン幅 :1mm
静電容量 :0.35μF
プレス条件
温度 :150℃
圧力 :25kg/cm
時間 :0.5時間
3.コンデンサの耐電圧不良率
上記4と同様に積層コンデンサを作製して、直流耐圧試験機(春日電機製)で印可電圧昇圧速度100V/secで測定し、電流が10mA以上流れ、電圧上昇が止まったものを不良とした。コンデンサ100個を測定し、不良個数の百分率(%)で表した。
◎:不良率 2%未満
○:不良率 2%以上10%未満
×:不良率 10%以上
以下に、本発明をより理解しやすくするために実施例、比較例を示す。
(実施例1)
50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナトリウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メチルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、窒素ガス気流下に攪拌しながら内温を220℃まで昇温させ脱水を行った。脱水終了後、系を170℃まで冷却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DCB)と0.055モルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒素気流下に系を2.0kg/cmまで加圧封入した。235℃にて1時間、さらに270℃にて2〜5時間攪拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマーのスラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間攪拌後、ポリマーを分離する。このポリマーをさらに約70℃のイオン交換水(ポリマー重量の9倍)で攪拌しながら5回洗浄後、約70℃の酢酸リチウムの5重量%水溶液にて窒素気流下にて約1時間攪拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、0.8〜1torrの雰囲気下で20時間乾燥することによって白色のポリフェニレンサルファイド粉末が得られた。
次に、このポリフェニレンサルファイド粉末を市販の窒素ガス雰囲気下20〜90℃のNMP(ポリフェニレンサルファイドポリマー重量の3倍量)にて5分間〜1時間の攪拌処理を1〜5回行った。このポリフェニレンサルファイド粉末をさらに約70℃のイオン交換水で4回洗浄した後分離し、上記のようにして乾燥することによって白色のポリフェニレンサルファイド粉末を得た。このポリフェニレンサルファイド粉末の300℃における溶融粘度は5000ポイズであった。
平均粒径0.5μmの炭酸カルシウムをエチレングリコール中に50重量%微分散させたスラリーを調製した後、表面処理剤としてポリメタクリル酸アンモニウム塩を2.0重量%添加した。このスラリーを1μmカットフィルターで濾過した後、上記のポリフェニレンサルファイド粉末にヘンシェルミキサーを用いて炭酸カルシウムが5.0重量%となるよう混合した。次いで、2ヶ所のベント孔を有する2軸押出機に供給し、溶融混練と同時にベント孔よりエチレングリコールを除去し、ガット状に押出し、水中で冷却後切断して粒子ペレットとした。
また、ポリフェニレンサルファイド粉末のみを上記同様に溶融押出し、無粒子ペレットとした。
上記の粒子ペレットおよび無粒子ペレットを炭酸カルシウムが1.0重量%となるよう混合し、180℃、0.5kPaの減圧下で15時間乾燥した後、押出機に供給し溶融温度330℃で押し出し、口金から吐出させ、表面を25℃に保った金属ドラム上で静電印加させながら冷却・固化し、厚み約15μmの未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを表面温度95℃の複数のフリーロールに巻きつけ、延伸区間が250mmとなるようにし、フィルムの長手方向に3.5倍に延伸した。次いで、予熱温度95℃で加熱し、その後、延伸温度100℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸し、260℃の熱風雰囲気下で定長熱処理を行い、1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。
このフィルム表面の山脈状の突起構造、積層コンデンサを作製した際のめくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μmあたり18個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造は10000μmあたり30個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μmあたり2個であり、めくれ発生率は良好で、耐電圧不良率も良好な結果となった。
(実施例2)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度92℃で加熱し、その後、延伸温度97℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μmあたり23個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μmあたり8個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μmあたり0個であり、一部めくれ発生があったが問題ないレベルであり、耐電圧不良率も良好な結果となった。
(実施例3)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度98℃で加熱し、その後、延伸温度104℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μmあたり3個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μmあたり42個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μmあたり2個であり、めくれ発生率が良好、耐電圧不良率も問題ない結果となった。
(比較例1)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度85℃で加熱し、その後、延伸温度90℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μmあたり10個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μmあたり0個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μmあたり0個であり、めくれ発生率が高く、耐電圧不良率も高い結果となった。
(比較例2)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度85℃で加熱し、その後、延伸温度100℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μmあたり15個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μmあたり0個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μmあたり0個であり、めくれ発生率が高く、耐電圧不良率も高い結果となった。
(比較例3)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度85℃で加熱し、その後、延伸温度110℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
(比較例4)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度95℃で加熱し、その後、延伸温度110℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
(比較例5)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度105℃で加熱し、その後、延伸温度110℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
(比較例6)
実施例1と同様に未延伸フィルムまで得た後、表面温度95℃の複数のフリーロールに巻きつけ、延伸区間が40mmとなるようにし、フィルムの長手方向に3.5倍に延伸した。以降、実施例1と同様に行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
Figure 2008282908
本発明のコンデンサ用ポリフェニレンサルファイドフィルムは、最近の小型電子機器用のチップコンデンサやハイブリッド自動車用のフィルムコンデンサ用などに好ましく用いられる。
AFMによる粒子解析で得られたフィルム表面の山脈状の突起構造の模式図である。

Claims (3)

  1. 少なくとも片面のフィルム表面に山脈状の突起構造を有する二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムであって、高さが250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、アスペクト比が5以上30以下である突起構造の個数が10000μmあたり10個以上50個以下であることを特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルム。
  2. 請求項1記載のコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムの少なくとも片面に金属層を設けてなるコンデンサ用金属化ポリフェニレンサルファイドフィルム。
  3. 請求項2に記載のコンデンサ用金属化ポリフェニレンサルファイドフィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
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